JP5360357B2 - 表示装置用基板に設けられたバリアメタル層を研磨するための化学機械研磨用水系分散体、化学機械研磨用水系分散体の製造方法および化学機械研磨方法 - Google Patents
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Description
また、ディスプレイのさらなる高精細化を達成するためには、導電配線の超微細化かつ高集積化された配線構造が必須となる。ところが、基板に銅または銅合金などの配線材料を配設する場合、従来のスパッタ法、蒸着法、CVD法等の乾式成膜法や無電解めっき法、熱分解法等の湿式成膜法のみで、超微細化かつ高集積化された配線構造を形成するには限界がある。
かかる配線構造を形成し得る技術として、従来、半導体装置製造に主に用いられてきた化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)技術、いわゆるダマシン法と称される技術が注目されている。この方法は、基板に形成された溝等に配線材料を埋め込んだ後、化学機械研磨により余剰な配線材料を除去することによって所望の配線を形成するものである。
すなわち、化学機械研磨とは、研磨対象基板と研磨用パッドの間に化学機械用水系分散体を満たして、研磨対象基板を研磨する方法である。ところが、研磨対象基板の大きさが大きくなるにつれて、基板面内における化学機械研磨用水系分散体の存在量が不均一となるため、研磨速度の均一性を確保できなくなり、被研磨面の平坦性のばらつきが大きくなる。基板面内の単位面積あたりに同一量の化学機械研磨用水系分散体を供給しようとすると、理論的には、回転中心から外周に向かう距離に従い、化学機械研磨用水系分散体をその距離の2乗(面積相当)に比例し、増加して供給する必要がある。しかし、現実的には、研磨用パッド上に一定の圧力で押し付けられ、かつ、回転している研磨対象基板と研磨用パッドの間に、上記のように化学機械研磨用分散体を供給することは技術的に困難である。また、かかる場合、多量の化学機械研磨用分散体を必要とするため、経済的な観点から好ましくない。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、(D)水溶性高分子をさらに含むことを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、(D)水溶性高分子の重量平均分子量が、50000〜500000であることを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)有機酸が、2個以上のカルボキシル基を有する化合物であることを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、界面活性剤をさらに含むことを特徴とする。
(a)研磨に用いられた化学機械研磨用水系分散体を回収する工程と、
(b)研磨に用いられた化学機械研磨用水系分散体中の粗大粒子を除去する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨方法は、本発明の化学機械研磨用水系分散体を用いて実施される。
なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変型例も含む。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)砥粒と、(B)有機酸、および(C)Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の原子を含有し、前記(A)砥粒の長径Rmaxと、短径Rminの比率Rmax/Rminが1.0〜1.5であり、前記(C)成分が1.0×102〜1.0×104ppmであることを特徴とする。以下、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体に含まれる各成分について、詳細に説明する。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体に用いられる(A)砥粒として、無機粒子、有機粒子から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア等を挙げることができる。有機粒子としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンおよびスチレン系共重合体、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィンおよびオレフィン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂およびアクリル系共重合体などが挙げられる。
シリカとしては、気相中で塩化ケイ素、塩化アルミニウム、塩化チタン等を酸素および水素と反応させるヒュームド法により合成されたシリカ、金属アルコキシドから加水分解縮合して合成するゾルゲル法により合成されたシリカ、精製により不純物を除去した無機コロイド法等により合成されたコロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、精製により不純物を除去した無機コロイド法等により合成されたコロイダルシリカが特に好ましい。コロイダルシリカは、エロージョンの抑制および被研磨面のスクラッチの抑制という観点から、平均粒子径100nm以下のものを好適に用いることができる。
上記のような判断手法により、たとえば、50個の砥粒粒子の長径(Rmax)と短径(Rmin)を測定し、長径(Rmax)と短径(Rmin)の平均値を算出したあと、長径と短径との比率(Rmax/Rmin)を計算して求めることができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、有機酸を添加することにより、研磨速度を調整することができる。例えば、銅または銅合金からなる配線層を研磨する速度とタンタル、チタン、若しくは、それらの窒化物や酸化物、またはタンタル、チタン等を含有する合金からなるバリアメタル層を研磨する速度との比を、目的に応じた比率に調整することができる。
有機酸としては、カルボン酸有機化合物が好ましい。より好ましくは、分子内に2個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸有機化合物であり、例えば、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、クエン酸などが挙げられる。特に好ましくは、分子内に2個のカルボキシル基を有するカルボン酸有機化合物であり、例えば、マレイン酸が挙げられる。カルボキシル基を有しない有機酸化合物を添加しても、被研磨面に対して十分な研磨速度を得ることができない。
有機酸の添加量は、使用時における化学機械研磨用水系分散体の質量に対し、好ましくは0.01〜3質量%であり、より好ましくは0.05〜2質量%であり、特に好ましくは0.1〜1.5質量%である。有機酸の添加量が前記範囲未満であると、十分な研磨速度を得ることができず、研磨工程を終了するのに多大な時間を要する。一方、有機酸の添加量が前記範囲を超えると、化学的エッチング効果が大きくなり、被研磨面の平坦性を損なうことがある。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体に含有される(C)Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の原子の濃度は1.0×102〜1.0×104ppmであり、好ましくは2.0×102〜5.0×103ppm、さらに好ましくは3.0×102〜1.0×103ppmである。なお、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体に含有される(C)Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の原子の濃度とは、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体の全ての成分を含めた100質量%中に含有される(C)Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の原子の総重量から算出される重量濃度である。このような(C)Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の原子の濃度は、原子吸光分析法、全反射蛍光X線分析法等、公知の方法により本発明に係る化学機械研磨用水系分散体から定量することができる。
たとえば、バリアメタル膜がTa膜あるいはTaN膜である場合、本発明の化学機械研磨用水系分散体は少なくともTaを含有することが好ましい。バリアメタル膜がTi膜あるいはTiN膜である場合、本発明の化学機械研磨用水系分散体は少なくともTiを含有することが好ましい。バリアメタル膜がRu膜あるいはRuOx膜あるいはRuNx膜である場合、本発明の化学機械研磨用水系分散体は少なくともRuを含有することが好ましい。このようにバリアメタル膜と同種類の金属種を含有することにより、バリアメタル膜を研磨する場合の化学機械研磨用水系分散体中のTa原子、Ti原子、Ru原子の濃度の変化量を抑制し、安定した研磨特性を維持することができる。たとえば、バリアメタル膜の研磨前の化学機械研磨用水分散体中に含まれるTa、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の原子の濃度を100質量%とした場合、バリアメタル膜の研磨により溶出したTa原子、Ti原子、Ru原子による化学機械研磨用水系分散体中のTa原子、Ti原子、Ru原子の濃度の上昇量を1〜10質量%、好ましくは1.5〜8質量%、さらに好ましくは2〜5質量%に抑制することができ、研磨中に化学機械研磨用水系分散体の研磨特性の変化を抑制することができる。その結果、本発明の研磨対象となる広い被研磨面積を有する表示装置用基板を均一に研磨することが可能となる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、水溶性高分子を添加することにより、化学機械研磨用水系分散体に粘性を付与することができる。すなわち、化学機械研磨用水系分散体の粘性は、水溶性高分子の添加量によって制御することができる。そして、化学機械研磨用水系分散体の粘性を制御することによって、研磨圧力を効率的かつ均一的に被研磨面に伝達させることができるようになる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、必要に応じて水溶性高分子を含有することができる。水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、およびこれらの塩;ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリビニルホルムアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルオキサゾリン、ポリビニルイミダゾールなどのビニル系合成ポリマー;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、加工澱粉などの天然多糖類の変性物などが挙げられるが、化学機械研磨用水系分散体に効率的に粘性を付与できることから、ポリアクリル酸が特に好ましい。これらの水溶性高分子は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミド基を有する単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどを用いることができる。
ヒドロキシル基を有する単量体としては、ビニルアルコール、アリルアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルグリコール酸などを用いることができる。側鎖のアルキル鎖長、エチレンオキシド鎖長、は特に限定はされない。
複素環を有する単量体としては、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルオキサゾリン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルピロール、ビニルキノリンなどを用いることができる。
また、分子内に重合性二重結合とスルホン酸基を有する界面活性剤が市販されており、このような界面活性剤を単量体として用いてもよい。このような界面活性剤としては、エレミノールJS−2(三洋化成社製)、ラテムルASK(花王社製)などがある。
その他の単量体としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、リン酸化合物などを挙げることができる。前記単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の化学機械研磨用水系分散体には、さらに非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤を配合することができる。前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤や三重結合を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。また、三重結合を有する非イオン性界面活性剤としては、アセチレングリコールおよびそのエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコールなどが挙げられる。また、シリコーン系界面活性剤、ポリビニルアルコール、シクロデキストリン、ポリビニルメチルエーテル、およびヒドロキシエチルセルロースなども挙げられる。前記アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪族せっけん、硫酸エステル塩、およびリン酸エステル塩などが挙げられる。前記カチオン界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩および脂肪族アンモニウム塩などが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、さらにpH調整剤を含むことができる。pH調整剤としては有機酸、塩基化合物等を用いることができる。本発明に用いることのできる有機酸は、例えばアミノ酸としては、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、システイン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、およびトリプトファンなどが好ましい。有機酸としては、ギ酸、乳酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、グリコール酸、フタル酸、マレイン酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、アントラニル酸、マロン酸およびグルタル酸、少なくとも1個のN原子を含む複素六員環を含む有機酸、複素五員環からなるヘテロ環化合物を含む有機酸が挙げられる。より具体的には、キナルジン酸、キノリン酸、8−キノリノール、8−アミノキノリン、キノリン−8−カルボン酸、2−ピリジンカルボン酸、キサンツレン酸、キヌレン酸、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、7−ヒドリキシ−5−メチル−1,3,4−トリアザインドリジン、ニコチン酸、およびピコリオン酸などが好ましい。
化学機械研磨用水系分散体のpHを調整することにより、研磨速度を制御することができる。被研磨面の電気化学的性質や砥粒の分散安定性等の要素を総合的に考慮しながら、適宜酸またはアルカリを添加しpHを設定することができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、酸化剤を添加することにより、研磨速度をより大きく向上させることができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、酸化剤として広義の酸化剤を適用することができる。例えば、酸化性金属塩、酸化性金属錯体、非金属系酸化剤が挙げられる。具体的には、過酢酸、過ヨウ素酸、鉄系イオンのニトレート、スルフェート、EDTA、シトレート、フェリシアン化カリウム、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、およびその他のカチオン塩の過酸化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、過マンガン酸塩、過硫酸塩、これらの混合物が挙げられる。
酸化剤の添加量は、使用時における化学機械研磨用水系分散体の質量に対し、好ましくは0.005〜5質量%であり、より好ましくは0.01〜3質量%であり、特に好ましくは0.02〜1質量%である。酸化剤の添加量が0.005質量%未満になると、化学的エッチングの効果が得られないため、十分な研磨速度を得ることができず、研磨工程を終了するのに多大な時間を要する。一方、酸化剤の添加量が5質量%を超えると、被研磨面が腐食することがある。
本発明の化学機械研磨用水系分散体は、前記化学機械研磨用水系分散体の使用後に排出される研磨後の廃液を、(a)研磨に用いられた化学機械研磨用水系分散体を回収する工程と、(b)研磨に用いられた化学機械研磨用水系分散体中の粗大粒子を除去する工程を含む、化学機械研磨用水系分散体の製造方法により製造、さらに再生利用することができる。以下、各工程について詳細に説明する。
化学機械研磨工程では、研磨対象の違いによって、その目的に応じた適切な化学機械研磨用水系分散体を選択することができる。本実施形態に係る表示装置用基板の製造方法における化学機械研磨工程は、主として配線層を研磨する一段階目の工程と、主としてバリアメタル層を研磨する二段階目の工程とに分けることができる。本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、特にバリアメタル層を研磨するための二段階目の工程に適用することができる。
以下、本実施形態に係る化学機械研磨方法および表示装置用基板の製造方法を、図面を用いて説明する。図4(A)ないし図4(E)は、本実施形態に係る化学機械研磨の工程を示す表示装置用基板の断面図である。
ここで、同一条件により研磨した場合において、銅または銅合金からなる配線層の研磨速度(RCu)とバリアメタル層の研磨速度(RBM)との比(RCu/RBM)は、0.5〜2であることが好ましい。より好ましくは0.6〜1.5であり、特に好ましくは0.7〜1.3である。この比(RCu/RBM)が0.5未満の場合は、銅または銅合金からなる配線層を研磨する際に十分な研磨速度を得ることができない。このため、二段階研磨法における一段階目の研磨において配線層の除去が不完全であった場合、二段階目の研磨において不要部の配線層の除去に長時間を要することになる。一方、比(RCu/RBM)が2を超える場合、配線層が過度に研磨され、ディッシング発生の原因となり、良好なダマシン配線の形成ができないことがある。
上記の方法により、高度に微細化され、かつ面内平坦性に優れた電気光学装置用基板が得られる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」および「質量%」を示す。
(ヒュームドシリカ粒子含有水分散体の調製)
ヒュームドシリカ粒子(日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル 90G)100重量部を、イオン交換水900重量部に超音波分散機によって分散し、孔径5μmのフィルターを通して濾過し、ヒュームドシリカ粒子を10質量%含有するヒュームドシリカの水分散体(1)を調製した。
(コロイダルシリカ含有水分散体の調製)
濃度25質量%のアンモニア水65質量部、イオン交換水40質量部、エタノール170質量部およびテトラエトキシシラン20質量部を、フラスコに仕込み、回転速度180rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。温度を60℃に維持しながら撹拌を2時間継続してコロイダルシリカ粒子のアルコール分散体を得た。
引き続きイオン交換水を添加してロータリーエバポレータによりアルコール成分を除去し、コロイダルシリカ粒子を10質量%含むコロイダルシリカの水分散体(2)を調製した。この水分散体に含まれるコロイダルシリカ粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ平均一次粒子径は30nmであり、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、動的光散乱式粒子径分布測定装置、型番「HORIBA LB550」)によって測定した平均二次粒子径は65nmであった。
(コロイダルシリカ含有水分散体の調製)
濃度25質量%のアンモニア水70質量部、イオン交換水30質量部、エタノール100質量部およびテトラエトキシシラン30質量部を、フラスコに仕込み、回転速度180rpmで撹拌しながら70℃に昇温した。温度を70℃に維持しながら撹拌を2時間継続してコロイダルシリカ粒子のアルコール分散体を得た。
引き続きイオン交換水を添加してロータリーエバポレータによりアルコール成分を除去し、コロイダルシリカ粒子を10質量%含むコロイダルシリカの水分散体(3)を調製した。この水分散体に含まれるコロイダルシリカ粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ平均一次粒子径は30nmであり、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、動的光散乱式粒子径分布測定装置、型番「HORIBA LB550」)によって測定した平均二次粒子径は75nmであった。
(ポリアクリル酸を含有する水溶液の調製)
イオン交換水1,000gおよび5質量%過硫酸アンモニウム水溶液1gを仕込んだ内容積2リットルの容器中に、20質量%のアクリル酸水溶液500gを還流下で撹拌しながら8時間かけて均等に滴下した。滴下終了後、更に2時間還流下で保持することにより、重量平均分子量(Mw)1,100,000のポリアクリル酸を含む水溶液を得た。
(ポリアクリル酸塩を含有する水溶液の調製)
前記〔調製例4〕で作成したポリアクリル酸を含有する水溶液に、10質量%水酸化カリウム水溶液を徐々に加えて溶液を中和することにより、10質量%のポリアクリル酸塩P1(重量平均分子量(Mw)1,100,000のポリアクリル酸カリウム)を含有するpH7.5の水溶液を調製した。重量平均分子量(PEG換算分子量)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(装置名;ウォターズ社製LCモジュール−1,検出器;ウォターズ社製410型示差屈折率計)により測定した。
[実施例1]
化学機械研磨用水系分散体の総量を100質量%となるように、固形分換算にて1.2質量%に相当する量のヒュームドシリカ水分散体(1)をポリエチレン製の瓶に入れ、これに、表1に記載の(A)砥粒、(B)有機酸、その他の添加剤、30質量%過酸化水素水、(C)Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の原子を表1記載の所定の含量になるように添加して十分に攪拌した。なお、Taは0.1gのタンタルペンタエトキシド(株式会社高純度化学社製)を激しく攪拌した純粋1Kgへ1時間かけて滴下して得られたTa含有の分散液を添加することにより、表1に記載のTa濃度となるように調整した。Tiは1gのチタンテトラエトキシド(株式会社高純度化学社製)を激しく攪拌した純粋1Kgへ1時間かけて滴下して得られたTi含有の分散液を添加することにより、表1に記載のTi濃度となるように調整した。Ruは1%硝酸ルテニウム水溶液を添加することにより、表1に記載のRu濃度となるように調整した。攪拌しながら化学機械研磨用水系分散体pHが9となるようにアンモニア水溶液を添加し、最後に全構成成分の量が100質量%となるようにイオン交換水を加えて1時間撹拌した。その後、孔径5μmのフィルターでろ過することにより、化学機械研磨用水系分散体を得た。この化学機械研磨用水系分散体を原子吸光法により各原子の濃度を測定したところ、Ta原子の濃度は2.0×102ppmであり、Ru原子の濃度は4.0×101ppmであり、配合量に見合った各原子の濃度を含有していることを確認した。
Ta原子、Ti原子、Ru原子の含有量、およびその他の組成を表1に示すものに変更した以外は、前記調製方法と同様にして各例で使用する化学機械研磨用水系分散体を調製した。
表示基板用化学機械研磨機(対角寸法が2000mmの大きさの表示基板を化学機械研磨できるように、既存の化学機械研磨装置(株式会社荏原製作所製、型式「EPO−112」)を改造したもの)に、多孔質ポリウレタン製研磨パッド(ローム&ハース(株)製、品番「IC」)を装着し、前記で調製した分散体を供給しながら、後述する研磨速度測定用基板について、後述する研磨条件にて1分間化学機械研磨処理を行い、下記の手法によって銅膜、タンタル膜、絶縁膜の研磨速度を算出した。銅膜の研磨速度(RCu)、タンタル膜の研磨速度(RTa)、絶縁膜の研磨速度(RTEOS)の比率は、RCu/RTaの値(速度比)が0.3〜2.5が好ましく、0.5〜1.5がより好ましく、0.8〜1.4が最も好ましいと判断できる。また。RCu/RTEOSの値(速度比)は0.3〜2.5が好ましく、0.5〜1.5がより好ましく、0.8〜1.4が最も好ましいと判断できる。さらに、良好な研磨特性と判断するためには、この二つの研磨速度比が前記の好ましい範囲にある必要がある。
対角線寸法2000mmのガラス基板表面に、スパッタリング法にて銅膜、スパッタリング法にてタンタル膜、プラズマ法にてTEOS膜(絶縁膜)を成膜して、それぞれ最大寸法2000mmの銅膜付き基板、最大寸法2000mmのタンタル膜付き基板、および最大寸法2000mmのプラズマTEOS膜(酸化膜)付き基板を準備した。
・研磨パッド :Rodel社製、商品名:IC1000
・ヘッド荷重 :200g/cm2
・ヘッド回転数:60rpm
・定盤回転数 :65rpm
・化学機械研磨用水系分散体の供給速度:150mL/min
研磨速度は下記式(1)により算出した。
研磨速度(nm/分)
=(研磨前の各膜の厚さ−研磨後の各膜の厚さ)/研磨時間 …(1)
なお、銅膜、タンタル膜の厚さは、電気伝導式膜厚測定器(ケーエルエー・テンコール社製、形式「オムニマップRS75」)を用いて、研磨処理後の膜厚を測定し、化学機械研磨により減少した膜厚および研磨時間から前記式(1)により研磨速度を算出した。
絶縁膜については、光干渉式膜厚測定器(ナノメトリクス・ジャパン社製、型式「Nanospec6100」)を用いて、研磨処理後の膜厚を測定し、化学機械研磨により減少した膜厚および研磨時間から前記式(1)により研磨速度を算出した。
比較例1は、(C)Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の原子が本発明の上限を超えて含有されている例であり、研磨速度が十分でなく、研磨速度比も好ましい値ではない。
比較例2は、(C)Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の原子が含まれていない例であり、いずれの研磨速度比も適切でなく、良好な平坦性を得ることができない。
これに対して、比較例3は、(B)有機酸が含まれておらず、(C)Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の原子が本発明の下限より少ない量しか含有されおらず、Rmax/Rminが本発明の範囲を外れる例であり、バリアメタル層の研磨速度が十分でなく、研磨速度比も好ましい値ではない。
以上のように、比較例1ないし3の化学機械研磨用水系分散体では、本願発明の目的を達成することができない。
10…ガラス基板、12…配線用凹部、20・20a…バリアメタル層、30…金属層
Claims (8)
- 表示装置用基板に設けられた、Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の金属種を含むバリアメタル膜を研磨するための化学機械研磨用水系分散体であって、
(A)砥粒と、(B)有機酸と、(C)Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の原子と、を含有し、
前記(A)砥粒の長径Rmaxと短径Rminとの比率Rmax/Rminが1.0〜1.5であり、
前記(C)成分が前記バリアメタル膜に含有される金属種と同じ原子種を少なくとも1種含み、かつ前記(C)成分が1.0×102〜1.0×104ppmである、化学機械研磨用水系分散体。 - 前記(A)砥粒がシリカであることを特徴とする、請求項1に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- (D)水溶性高分子をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 前記(D)水溶性高分子の重量平均分子量は、50000〜5000000である、請求項3に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 前記(B)有機酸が、2個以上のカルボキシル基を有する化合物である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 界面活性剤をさらに含む、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- (a)表示装置用基板に設けられた、Ta、Ti、Ruよりなる群から選択される一種以上の金属種を含むバリアメタル膜の研磨に用いられた化学機械研磨用水系分散体を回収する工程と、
(b)前記化学機械研磨用水系分散体の粗大粒子を除去する工程と、
を含む、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体の製造方法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体を用いた化学機械研磨方法。
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