JP5447789B2 - 化学機械研磨用水系分散体および該分散体の調製方法、ならびに化学機械研磨方法 - Google Patents

化学機械研磨用水系分散体および該分散体の調製方法、ならびに化学機械研磨方法 Download PDF

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本発明は、化学機械研磨用水系分散体、および該分散体の調製方法、ならびに化学機械研磨方法に関する。
高性能LSIに搭載される銅ダマシン配線は、化学機械研磨(以下、「CMP」ともいう)を用いて形成される。銅ダマシン配線を形成するCMPでは、主に銅などの配線金属を研磨する第1研磨工程と、配線金属、タンタルやチタンなどのバリアメタル膜、および絶縁膜を研磨する第2研磨工程が順に実施される。
上記の第1研磨工程では、高速で配線材料のみを選択的に研磨することが要求される。しかしながら、第1研磨工程の終了時(バリアメタル膜などの他種材料膜が露出した時点)において、配線材料に対する高研磨速度を維持させた状態で配線部分のディッシングやエロージョンを抑制することは非常に困難である。例えば、研磨速度を大きくするだけであれば研磨する際の印加圧力を上げてウエハにかかる摩擦力を大きくすることにより達成できる場合があるが、配線部分のディッシングやエロージョンも研磨速度の向上に伴い悪化してしまうために、研磨方法からのアプローチには限界があった。さらに、第2研磨工程において良好な研磨面を得るためには、第1研磨工程の終了時における微細配線パターン上の銅残り(銅残渣)や研磨液の化学成分に由来する配線部分の腐蝕を抑制する必要がある。
近年、このような要求に対し、化学機械研磨用水系分散体に含まれる添加剤成分の組み合わせに着目した検討が行われている。たとえば、特許文献1にはトリアゾール系化合物とベンゾトリアゾール系化合物を併用する技術が開示されている。また、特許文献2にはトリアゾール系化合物とアミノ酸を併用する技術が開示されている。
しかしながら、上述したように、配線の更なる微細化が進むに伴い、配線部分のディッシング低減、微細配線パターン上の銅残り(銅残渣)や研磨液の化学成分に由来する配線部分の腐蝕をさらに抑制する必要が生じている。
特開2002−164310公報 特開2004−71673号公報
本発明の目的は、銅膜や絶縁膜に欠陥を引き起こすことなく、高研磨速度と高平坦化特性を両立させながら、銅残り(銅残渣)や腐食無く研磨することができる化学機械研磨用水系分散体、および該分散体の調製方法、ならびに化学機械研磨方法を提供する。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、
(A)アミノ酸と、
(B)トリアゾール骨格を有する化合物と、
(C)ピリジン骨格を有する化合物と、
(D)酸化剤、および
(E)砥粒と
を含み、前記(B)成分の含有量(W)と前記(C)成分の含有量(W)との質量比(W/W)は30〜100である、pHが6〜8の銅または銅合金からなる膜を研磨するための化学機械研磨用水系分散体である。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、pHが6〜8であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、前記(B)成分は、1,2,4‐トリアゾール、1,2,3‐トリアゾール、4‐アミノ-1,2,4‐トリアゾール、3‐メルカプト-1,2,4‐トリアゾール、ベンゾトリアゾール、5‐メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらの中でもベンゾトリアゾール、5‐メチルベンゾトリアゾールよりなる群から選択される一種以上であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、前記(C)成分の含有量は、0.01〜1質量%であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、前記(C)成分は、キナルジン酸、キノリン酸、キノリン−8−カルボン酸、キサンツレン酸、キヌレン酸、ピコリン酸よりなる群から選択される一種以上であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、前記(A)アミノ酸がアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、チロシン、パリンであることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体調製用キットは、
第1の組成物、および第2の組成物を混合して、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化学機械研磨用水系分散体を調製するためのキットであって、
前記第1の組成物は、前記(D)成分を含み、
前記第2の組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、および前記(E)成分と、を含むことができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、半導体基板上に形成された銅または銅合金からなる膜を研磨する方法に用いることができる。
上記化学機械研磨用水系分散体を用いて化学機械研磨を行うことにより、銅膜や絶縁膜に欠陥を引き起こすことなく、高研磨速度と高平坦化特性を両立させながら、銅残りや腐食無く研磨することができる。上記化学機械研磨用水系分散体は、特にダマシン法で二段階研磨処理を行う場合の第1研磨工程のおける研磨材として用いる場合に有用である。これにより、化学機械磨後の銅残りが少なく、銅膜のディッシング、および腐食の発生を大幅に抑制することができる。
上記化学機械研磨用水系分散体キットは、上記化学機械研磨用水系分散体を別々に濃縮した状態で製造、保管することができるため、水分散体の安定性を向上させることができるとともに、製造コストを削減することができる。
本発明に用いられる半導体基板の一例を示す断面図である。(a)は化学機械研磨前の半導体基板の一例を示す断面図である。(b)は洗浄前の半導体基板の一例を示す断面図である。 本発明に用いられる化学機械研磨装置を模式的に示す図である。
以下、本発明にかかる好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変型例も含む。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)アミノ酸と、(B)トリアゾール骨格を有する化合物(以下、単に「(B)成分」ともいう。)と、(C)ピリジン骨格を有する化合物(以下、単に「(C)成分」ともいう。)と、(D)酸化剤と、(E)砥粒と、を含み、前記(B)成分の含有量(W)と前記(C)成分の含有量(W)との比率(W/W)は、30以上100以下である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
1.化学機械研磨用水系分散体
まず、本発明の一実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体を構成する各成分について説明する。
1.1 (A)成分
本実施形態に用いられる(A)アミノ酸は、銅イオンまたは銅膜表面に配位することにより、銅膜に対する研磨速度を促進させる作用がある。
アミノ酸としては、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、チロシン、パリンなどが挙げられる。これらの中でも、グリシン、アラニンは、研磨速度を促進させる効果が高いことから特に好ましい。上記アミノ酸は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記(A)アミノ酸の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の質量に対し0.01〜3質量%であることが好ましく、0.2〜2質量%であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることが特に好ましい。アミノ酸の含有量が前記範囲未満の場合には、実用的な研磨速度が得られないことがある。一方、アミノ酸の含有量が前記範囲を超えると、平坦性が不良となるおそれがある。
1.2 (B)成分
本実施形態に用いられるトリアゾール骨格を有する化合物は、銅イオンまたは銅膜表面に配位することにより、不溶性錯体を形成する。この不溶性錯体が配位した銅膜は変質し銅膜自体が加工しやすくなる。そのため、銅膜が凸になっている部分でパッドと接触することにより、容易に剥ぎ取られるため、凸部の研磨速度向上効果、及び銅残りを改善する効果がある。更に、銅膜表面に配位することで銅膜の腐食を抑制する効果がある。
上記(B)成分としては、たとえば、複素五員環であるトリアゾール構造をもつ化合物であり、その骨格に水素原子、アルキル基、アルキレン基、カルボキシル基、チオール基、芳香環を有することができる。
具体的にはベンゾトリアゾールおよび5‐メチルベンゾトリアゾールが腐食抑制、研磨速度促進の効果が高く、特に好ましい。
上記(B)成分の含有量は、化学機械研磨用水系分散体100質量%に対し0.0001〜0.5質量%であることが好ましく、0.001〜0.03質量%であることがより好ましく、0.005〜0.03質量%であることが特に好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲以上の場合には、実用的な研磨速度が得られないことがある。一方、(B)成分の含有量が上記範囲以下になると、ディッシングや銅残りの抑制が十分にできなくなり、好ましくない。
1.3 (C)成分
本実施形態に用いられるピリジン骨格を有する化合物は、銅イオンまたは銅膜表面に配位することにより、不溶性錯体を形成する。この不溶性錯体は、銅表面をケミカルエッチングから保護するため、腐食抑制や平坦性改善の効果がある。
上記(C)成分としては、たとえば、窒素原子の隣接位に、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物である。
具体的にはキナルジン酸、キノリン酸、キノリン−8−カルボン酸、キサンツレン酸、キヌレン酸、ピコリン酸等が挙げられる。これらの中でもキナルジン酸が腐食抑制、平坦性改善の効果が高く、特に好ましい。
上記(C)成分の含有量は、化学機械研磨用水系分散体100質量%に対し0.01〜1質量%であることが好ましく、0.03〜0.5質量%であることがより好ましく、0.05〜0.3質量%であることが特に好ましい。(C)成分の含有量が上記範囲未満の場合には、腐食が十分に抑制できず、平坦性が悪化することがある。一方、(C)成分の含有量が上記範囲を超えると、水系分散体の保存安定性が悪くなることがあり、また、コストも高くなり好ましくない。
1.4 組成比率
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、上記(B)成分と、上記(C)成分とを併用することにより、銅膜の銅残り、ディッシング、および腐食を抑制しながら、銅膜に対し高い研磨速度を発現することができる。化学機械研磨用水系分散体の質量に対する上記(A)成分および上記(B)成分の含有量の好適な範囲は上記のとおりであるが、上記(B)成分の含有量(W)と上記(C)成分の含有量(W)との質量比(WC/WB)は、30〜100である。W/Wの値は、30〜80であることがより好ましく、30〜60であることが特に好ましい。これまではディッシングおよび腐食を抑制するにもかかわらず、銅膜に対する研磨速度が十分に得られないため、この比率を実施しなかった。しかしながら、本願ではpHを6〜8に絞り込むことで従来知られていた問題を克服して本段発明を達成したのである。W/Wの値が上記範囲未満であると、銅膜に対する研磨速度が不十分となり、銅残り(銅残渣)が起こることもあり、好ましくない。一方、W/Wの値が上記範囲を超えると、ディッシングや銅残りの抑制が十分にできないことがある。上記の含有比率の範囲内では、銅膜の銅残り(銅残渣)、ディッシングおよび腐食を抑制しながら、銅膜の高研磨速度を実現することができる。
1.5 (D)酸化剤
本実施形態に用いられる酸化剤は、銅膜の表面を酸化し研磨液成分との錯化反応を促すことにより、脆弱な改質層を銅膜の表面に作り出し、銅膜を研磨しやすくする効果がある。
酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、硝酸第二鉄、硝酸二アンモニウムセリウム、硫酸鉄、オゾンおよび過ヨウ素酸カリウム、過酢酸などが挙げられる。これらの酸化剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの酸化剤のうち、酸化力、保護膜との相性、および取り扱いやすさなどを考慮すると、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、および過酸化水素が特に好ましい。
上記酸化剤の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の100質量%に対し0.01〜5質量%であることが好ましく、0.2〜3質量%であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることが特に好ましい。酸化剤の含有量が上記範囲未満の場合には、銅膜の表面を十分に酸化させることができないため、銅膜の研磨速度が小さくなることがある。一方、上記範囲を越えると、銅膜の腐食やディッシングが大きくなるおそれがある。
1.6 (E)砥粒
本実施形態に用いられる砥粒は、いわゆる研磨材であり、銅膜を機械的に研磨する作用がある。本実施形態に用いられる砥粒は、無機粒子または有機無機複合粒子であることが好ましい。
無機粒子としては、ヒュームド法により、塩化ケイ素、塩化アルミニウムまたは塩化チタン等と酸素および水素とを気相中で反応させて合成されたヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、ヒュームドチタニア;ゾルゲル法により、金属アルコキシドを加水分解縮合して合成されたシリカ;無機コロイド法等により合成され、精製により不純物を除去した高純度コロイダルシリカなどが挙げられる。
上記の無機粒子の中でも、コロイダルシリカは特に好ましい。コロイダルシリカは、球状で粒径がそろっているため、銅膜に対し安定した高研磨速度を提供することができる。
有機無機複合粒子としては、有機粒子と無機粒子とが、研磨時に、容易に分離しない程度に一体に形成されていれば、その種類、構成等は特に限定されない。例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の重合体粒子の存在下で、アルコキシシラン、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド等を重縮合させ、重合体粒子の少なくとも表面に、ポリシロキサン、ポリアルミノキサン、ポリチタノキサン等の重縮合物が形成された複合粒子を挙げることができる。形成された重縮合物は、重合体粒子の官能基に直接結合していてもよいし、シランカップリング剤等を介して結合していてもよい。
また、有機無機複合粒子は、前記重合体粒子と、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子等とを用いて形成してもよい。この場合、前記複合粒子は、ポリシロキサン、ポリアルミノキサン、ポリチタノキサン等の重縮合物をバインダーとして、重合体粒子の表面にシリカ粒子等が存在するように形成されていてもよいし、シリカ粒子等が有するヒドロキシル基等の官能基と、重合体粒子の官能基とが化学的に結合して形成されていてもよい。
さらに、有機無機複合粒子として、ゼータ電位の符号が互いに異なる有機粒子と無機粒子とが、これらの粒子を含む水分散体において、静電力により結合している複合粒子を使用することもできる。
砥粒の平均粒子径は5〜1000nmが好ましい。この平均粒子径は、レーザー散乱回折型測定機により測定することができる。この平均粒子径は、測定される算術平均値であり、実質的には一次粒子が会合した二次粒子径に相当する。平均粒子径が5nm未満では、十分に研磨速度が大きい化学機械研磨用水系分散体を得ることができないことがある。1000nmを超えると、ディッシングおよびエロージョンの抑制が不十分となることがあり、また砥粒の沈降・分離により、安定な水系分散体を容易に得ることができないことがある。砥粒の平均粒子径は上記範囲でもよいが、より好ましくは10〜500nm、特に好ましくは20〜200nmである。平均粒子径がこの範囲にあると、研磨速度が大きく、ディッシングおよびエロージョンが十分に抑制され、かつ粒子の沈降・分離が発生しにくい、安定な化学機械研磨用水系分散体を得ることができる。上記砥粒は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記砥粒の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の質量に対し0.01〜2質量%であることが好ましく、0.001〜1質量%であることがより好ましく、0.03〜0.5質量%あることが特に好ましい。砥粒量が上記範囲内であると十分な研磨速度を得ることができないことがあり、上記範囲を超えるとコストが高くなるとともに安定した化学機械研磨用水系分散体を得られないことがある。
1.6 その他の添加剤
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、必要に応じてその他の添加剤を添加することができる。
1.6.1 アニオン性界面活性剤
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、必要に応じてアニオン性界面活性剤を含有することができる。アニオン性界面活性剤は、研磨中の銅膜表面を保護しつつ、上記砥粒の分散安定性を高める効果ある。砥粒の凝集した化学機械研磨用水系分散体を用いても、銅膜のディッシングやエロージョンが発生し、銅膜の表面が平坦にならない。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族石鹸、芳香族スルホン酸塩、アルキル硫酸塩、およびリン酸エステル塩などが挙げられる。芳香族スルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩などを好ましく用いることができる。脂肪族石鹸としては、オレイン酸カリウム等を好ましく用いることができる。これらのアニオン性界面活性剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン性界面活性剤の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の質量に対し0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。
1.6.2 水溶性高分子
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、必要に応じて水溶性高分子を含有することができる。水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、およびこれらの塩;ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリビニルホルムアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルオキサゾリン、ポリビニルイミダゾールなどのビニル系合成ポリマー;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、加工澱粉などの天然多糖類の変性物などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの水溶性高分子は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性高分子は、ホモポリマーでもよいが、2種以上の単量体とを共重合させた共重合体であってもよい。カルボキシル基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、ヒドロキシル基を有する単量体、ポリエチレンオキシド鎖を有する単量体、アミノ基を有する単量体、複素環を有する単量体などを用いることができる。
アミド基を有する単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどを用いることができる。
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびこれらの塩を用いることができる。これらは、酸無水物の状態で用いてもよい。
ヒドロキシル基を有する単量体としては、ビニルアルコール、アリルアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルグリコール酸などを用いることができる。側鎖のアルキル鎖長、エチレンオキシド鎖長、は特に限定はされない。
アミノ基を有する単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、などを用いることができる。側鎖のアルキル鎖長は特に限定はされず、また、種々のカチオン化剤によって、4級塩化されたものであってもよい。
複素環を有する単量体としては、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルオキサゾリン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルピロール、ビニルキノリンなどを用いることができる。
また、分子内に重合性二重結合とスルホン酸基を有する界面活性剤が市販されており、このような界面活性剤を単量体として用いてもよい。このような界面活性剤としては、エレミノールJS−2(三洋化成社製)、ラテムルASK(花王社製)などがある。
その他の単量体としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、リン酸化合物などを挙げることができる。上記単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性高分子の重量平均分子量は、2,000〜1,200,000であることが好ましく、10,000〜800,000であることがより好ましい。水溶性高分子の重量平均分子量が上記範囲にあると、銅膜のディッシング抑制効果を向上させることができる。
水溶性高分子の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の質量に対し0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が上記範囲にあると、銅膜のディッシング抑制効果を向上させることができる。
1.6.2 pH調整剤
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、必要に応じて有機酸、無機酸、およびその塩、塩基性化合物を含有することができる。有機酸、無機酸、およびその塩は、銅膜に対する研磨速度をさらに促進させる効果がある。
上記有機酸、無機酸、およびその塩として、例えば、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、安息香酸などの有機酸;炭酸、硝酸、硫酸、アミド硫酸、リン酸などの無機酸;およびこれらのアンモニウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
上記塩基性化合物としては、たとえば、水酸化カリウム、アンモニア、エチレンジアミン、およびTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)などが挙げられる。
上記pH調整剤を添加して化学機械研磨用水系分散体のpHを6〜8に調整することができ、より好ましくは6.5〜7.5に調整することができる。pHが6より低い場合、銅の溶出が促進され、金属腐食が発生する。また、pHが8より高い場合においては酸化銅の形成が促進され、銅膜の研磨速度が十分に得られないといった問題が起こる。そのため、pHを上記範囲内とすることで、銅膜の研磨速度と銅膜の腐食抑制の両立が可能となった。
1.7 用途
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、主として半導体装置の配線を形成する銅膜を化学機械研磨するための研磨材として使用することができる。具体的には、銅(または銅合金)ダマシン配線を形成する際の研磨材として使用することができる。化学機械研磨によって銅(または銅合金)ダマシン配線を形成する工程は、主として銅(または銅合金)の除去を行う第1研磨工程と、主として銅(または銅合金)の下部に形成された導電性バリアメタル膜を除去する第2研磨工程と、からなるが、上記化学機械研磨用水系分散体は第1研磨工程に用いると効果的である。
2.化学機械研磨方法
上記化学機械研磨用水系分散体を用いて被処理体を化学機械研磨する各工程について、以下図面を用いて具体的に説明する。図1(A)〜図1(B)は、化学機械研磨方法の一具体例を模式的に示す断面図である。
2.1 被処理体
図1(A)に、被処理体100を示す。図1(A)に示すように、被処理体100は、基体10を有する。基体10は、少なくとも図示しない半導体基板を有する。基体10は、例えば、シリコン基板とその上に形成された酸化シリコン膜から構成されていてもよい。さらに、基体10の半導体基板には、トランジスタ等の機能デバイスが形成されていてもよい。
被処理体100は、基体10の上に形成されたシリコン酸化物等からなる絶縁膜12と、絶縁膜12の上に形成されたシリコン窒化物等からなる絶縁膜14と、絶縁膜14の上に配線用凹部22が設けられた絶縁膜16と、絶縁膜16の表面ならびに配線用凹部22の底部および内壁面を覆うように設けられたバリアメタル膜18と、配線用凹部22を充填し、かつバリアメタル膜18の上に形成された銅膜20と、が順次積層されて、構成される。
絶縁膜16は、例えば、真空プロセスで形成された酸化シリコン膜(例えば、PETEOS膜(Plasma Enhanced−TEOS膜)、HDP膜(High Density Plasma Enhanced−TEOS膜)、熱化学気相蒸着法により得られる酸化シリコン膜等)、FSG(Fluorine−doped silicate glass)と呼ばれる絶縁膜、ホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)、SiON(Silicon oxynitride)と呼ばれる絶縁膜、Siliconnitride、低誘電率の絶縁膜等を挙げることができる。
バリアメタル膜18としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、タンタル−ニオブ合金、コバルト、ルテニウム等を挙げることができる。バリアメタル膜18は、これらの1種から形成されることが多いが、タンタルと窒化タンタルなど2種以上を併用することもできる。
銅膜20は、図1(A)に示すように、配線用凹部22を完全に埋めることが必要となる。そのためには、通常化学蒸着法または電気めっき法により、10,000〜15,000オングストロームの銅膜を堆積させる。銅膜20の材料としては、純度の高い銅だけでなく、銅を含有する合金を使用することもできる。銅を含有する合金中の銅含有量としては、95質量%以上であることが好ましい。
2.2 銅研磨工程
銅研磨工程は、上記化学機械研磨用水系分散体を用いて、被処理体100の銅膜20を研磨する工程である。銅研磨工程では、図1(B)に示すように、配線用凹部22に埋没された部分以外の銅膜20をバリアメタル膜18が露出するまで研磨する。
銅研磨工程では、例えば、図2に示すような化学機械研磨装置200を用いることができる。図2は、化学機械研磨装置200の模式図を示している。スラリー供給ノズル42からスラリー44を供給し、かつ研磨布46が貼付されたターンテーブル48を回転させながら、半導体基板50を保持したキャリアーヘッド52を当接させることにより行う。なお、図2には、水供給ノズル54およびドレッサー56も併せて示してある。
キャリアーヘッド52の研磨荷重は、10〜1,000gf/cm2の範囲内で選択することができ、好ましくは30〜500gf/cm2である。また、ターンテーブル48およびキャリアーヘッド52の回転数は10〜250rpmの範囲内で適宜選択することができ、好ましくは30〜150rpmである。スラリー供給ノズル42から供給されるスラリー44の流量は、10〜1,000mL/分の範囲内で選択することができ、好ましくは50〜400mL/分である。
3.化学機械研磨用水系分散体を調製する方法
上記化学機械研磨用水系分散体は、調製後にそのまま研磨用組成物として使用できる状態で供給することができる。あるいは、上記化学機械研磨用水系分散体の各成分を高濃度で含有する研磨用組成物(すなわち濃縮された研磨用組成物)を準備しておき、使用時にこの濃縮された研磨用組成物を希釈して、所望の化学機械研磨用水系分散体を得てもよい。
また、以下のように、上記成分のいずれかを含む複数の組成物を調製し、これらを使用時に混合して使用することもできる。この場合、複数の液を混合して化学機械研磨用水系分散体を調製した後、これを化学機械研磨装置に供給してもよいし、複数の液を個別に化学機械研磨装置に供給して定盤上で化学機械研磨用水系分散体を調製してもよい。例えば、以下に示すキットを用いて、複数の液を混合することにより、上記化学機械研磨用水系分散体を調製することができる。
3.1 キット
キットは、第1の組成物、第2の組成物および水を混合して、上記の化学機械研磨用水系分散体を調製するためのキットであって、前記第1の組成物は、(A)アミノ酸、(B)成分、(C)成分および(E)砥粒を含む。前記第2の組成物は、(D)酸化剤を含む。
第1のキットを構成する第1の組成物および第2の組成物を調製する場合、第1の組成物、第2の組成物、及び水を混合して得られた水系分散体中に、上述した各成分が上述した濃度範囲内に含まれるように、第1の組成物および第2の組成物に含有される各成分の濃度を決定する必要がある。また、第1の組成物および第2の組成物は、各成分を高濃度で含有していてもよく(すなわち濃縮されたものでもよく)、この場合、使用時に希釈して第1の組成物および第2の組成物を得ることが可能である。第1のキットによれば、第1の組成物と第2の組成物とを分けておくことで、特に第1の組成物に含まれる(D)酸化剤の安定性を高めることができる。
第1のキットを用いて上記化学機械研磨用水系分散体を調製する場合、第1の組成物および第2の組成物が別個に用意・供給され、かつ研磨時に一体となっていればよく、その混合方法およびタイミングは特に限定されない。例えば、各成分を高濃度で含有する第1の組成物および第2の組成物を調製し、使用時に第1の組成物および第2の組成物を希釈して、これらを混合し、各成分の濃度が上記範囲内にある化学機械研磨用水系分散体を調製する。具体的には、第1の組成物と第2の組成物とを1:1の重量比で混合する場合には、実際に使用する化学機械研磨用水系分散体の各成分の濃度よりも2倍に濃縮された第1の組成物および第2の組成物を調製すればよい。また、2倍以上の濃度の第1の組成物および第2の組成物を調製し、これらを1:1の重量比で混合した後、各成分が上記範囲となるように水で希釈してもよい。
第1のキットを使用する場合、研磨時に上記化学機械研磨用水系分散体が調製されていればよい。例えば、第1の組成物と第2の組成物とを混合して上記化学機械研磨用水系分散体を調製した後、これを化学機械研磨装置に供給してもよいし、第1の組成物と第2の組成物とを別個に化学機械研磨装置に供給し、定盤上で混合してもよい。あるいは、第1の組成物と第2の組成物とを別個に化学機械研磨装置に供給し、装置内でライン混合してもよいし、化学機械研磨装置に混合タンクを設けて、混合タンク内で混合してもよい。また、ライン混合の際には、より均一な水系分散体を得るために、ラインミキサーなどを用いてもよい。
4.実施例
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本実施例においては、粒子の平均一次粒子径を走査型電子顕微鏡により、また粒子の平均二次粒子径をレーザー回折法により測定した(測定装置:堀場製作所社製、動的光散乱式粒径分布測定装置、品番「HORIBA LB550」)。
4.1 コロイダルシリカ粒子を含む水分散体の調製
濃度25質量%のアンモニア水70質量部、イオン交換水40質量部、エタノール170質量部およびテトラエトキシシラン20質量部を、フラスコに仕込み、回転速度180rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。温度を60℃に維持しながら撹拌を2時間継続してコロイダルシリカ粒子のアルコール分散体を得た。
引き続きイオン交換水を添加してロータリーエバポレータによりアルコール成分を除去し、コロイダルシリカ粒子を20質量%含む水分散体「C35」を調製した。この水分散体に含まれるコロイダルシリカ粒子の平均一次粒子径は35nmであり、平均二次粒子径は70nmであった。
また、前記反応において、アンモニア水、エタノール、テトラエトキシシランの使用量および撹拌時の温度を適宜変更して、コロイダルシリカ粒子(平均一次粒子径50nm、平均二次粒子径90nm)を8質量%含む水分散体「C50」を調製した。
4.2 化学機械研磨用水系分散体の調製
4.2.1 実施例1
固形分に換算して0.1質量%に相当する量のコロイダルシリカ水分散体C35をポリエチレン製の瓶に入れ、これに、グリシンを0.9質量%、ベンゾトリアゾールを0.005質量%、キナルジン酸を0.3質量%、過酸化水素に換算して1.2質量%に相当する量の30質量%過酸化水素水を順次入れ、全構成成分の量が100質量%となるようにイオン交換水を加えて1時間撹拌した。その後、孔径5μmのフィルターで濾過することにより、表1に記載の実施例1で用いる化学機械研磨用水系分散体を得た。なお、表1に記載されている各成分組成量は質量%であり、表記載成分以外の分散体成分は水である。
4.2.2 実施例2〜8および比較例1〜6
各成分の種類または含有量を表1に示すものに変更したこと以外は、上記の実施例1で用いる化学機械研磨用水系分散体の調製方法と全く同様にして実施例2〜8および比較例1〜6で用いる化学機械研磨用水系分散体を調製した。
4.3 研磨性能の評価
4.3.1 銅膜の研磨速度評価
化学機械研磨装置(アプライドマテリアル社製、型式「MIRRA−Mesa」)に、多孔質ポリウレタン製研磨パッド(ローム&ハース社製、品番「IC1010」)を装着し、上記の方法で調製した化学機械研磨用水系分散体を供給しながら、下記の研磨速度測定用基板について、下記の研磨条件にて1分間化学機械研磨処理を行い、下記の手法によって銅膜の研磨速度を算出した。銅膜の研磨速度は、5,000オングストローム以上であることが好ましく、6,000オングストローム以上であることがより好ましい。
(a)銅研磨速度測定用基板
・8インチ熱酸化膜付きシリコン基板上に膜厚15,000オングストロームの銅膜が設けられたもの。
(b)研磨条件
・ヘッド回転数:90rpm
・テーブル回転数:90rpm
キャリアーヘッド荷重:3.0psi
・化学機械研磨用水系分散体の供給速度:250mL/分
(c)研磨速度の算出方法
電気伝導式膜厚測定器(ケーエルエー・テンコール社製、形式「オムニマップRS75」)を用いて、直流4針法によって研磨処理後のシート抵抗値を測定し、下記式によって研磨後の銅膜の厚さを算出し、化学機械研磨により減少した膜厚と研磨時間とから研磨速度を算出した。この結果を表1〜3に示す。
銅膜の厚さ(オングストローム)=銅の理論抵抗値(Ω・cm)×10÷シート抵抗値(Ω)
4.3.2 パターン付き銅膜の研磨性能評価
パターン付きウエハ(SEMATECH INTERNATIONAL社製、形式「SEMATECH 854」、種々の配線パターンを有する銅膜研磨のテスト用の基板、銅膜厚さ;11,000オングストローム)を被研磨物とした。研磨圧力を60秒研磨後に3.0psiから1.5psiに下げ、銅の研磨が進行し、バリアメタル膜が露出した後、さらに30秒研磨を行った時点を終点としたこと以外は、上記「4.3.1 銅膜の研磨速度評価」における研磨条件と同様にして、化学機械研磨を行った。銅膜除去後のウエハについて、銅配線のディッシング、銅表面粗さを評価した。
(a)ディッシングの評価方法
ここで「ディッシング」とは、ウエハの上面(絶縁膜または導電性バリア膜により形成される平面)と、配線部分の最低部位との距離(高低差)のことをいう。幅100μmの銅配線部および幅100μmの絶縁部(共に長さは3.0mmである。)が交互に連続したパターンが、長さ方向に対して垂直方向に3.0mm連続した部分について、配線幅100μmの部分の銅配線の窪み量(ディッシング)を、KLAテンコール社製の精密段差計(形式「HRP−240」)を使用して測定した。この結果を表1〜3に示す。ディッシング量は1000オングストローム以下であることが好ましく、750オングストローム以下であることがより好ましい。
(b)銅残りの評価方法
操作型電子顕微鏡(アプライドマテリアル社製、型式「SEM Vision G3」)を用いて、幅0.18umの銅配線部および幅0.18umの絶縁部が交互に連続したパターンを観察した。銅膜が絶縁部上に残っている箇所がなければ銅残り無し、残っている場所があれば銅残り有りとした。
(c)腐食の評価方法
操作型電子顕微鏡(アプライドマテリアル社製、型式「SEM Vision G3」)を用いて、周囲が絶縁部であり、幅0.18umの銅配線がバリアメタル膜を介して孤立して存在している箇所を観察した。銅とバリアメタル膜の界面に、銅の溶出により、幅が0.01um以上の隙間が発生していれば腐食有り、隙間が無い、もしくは幅が0.01um未満の隙間であれば腐食無しとした。
Figure 0005447789
実施例1〜8の化学機械研磨用水系分散体を用いることにより、銅膜に対する研磨速度は5000オングストローム/分以上と十分に高いことが確認された。また、銅膜のディッシングは1000オングストローム以下に抑えられた。さらに、銅残りと腐食も認められなかった。
比較例1に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)成分を含有しておらず、ディッシングは抑制したが、銅膜に対する研磨速度が小さく、銅残りが発生した。
比較例2に係る化学機械研磨用水系分散体は、(C)成分を含有しておらず、ディッシングは抑制したが、銅膜に対する研磨速度が小さく、腐食が発生した。
比較例3に係る化学機械研磨用水系分散体は、化学機械研磨用水系分散体に含まれる(B)成分と(C)成分との含有比率(W/W)は、300(100以上)であるため、ディッシングが大きく、銅残りが発生した。
比較例4に係る化学機械研磨用水系分散体はpH10.5(8以上)であり、研磨速度が小さく、ディッシングを抑制できなかった。
比較例5に係る化学機械研磨用水系分散体はpH5.0(6以下)であり、銅膜に対する研磨速度は十分であったが、ディッシングが大きく、腐食が発生した。
比較例6に係る化学機械研磨用水系分散体に含まれる(B)成分と(C)成分との含有比率(W/W)は、1.3(30以下)であり、ディッシングを抑制することができたが、銅膜に対する研磨速度が不十分であった。
以上のように、化学機械研磨用水系分散体として必須成分となる砥粒および酸化剤のほか、(B)成分と(C)成分とを特定の比率で含有することにより、化学機械研磨用水系分散体の銅膜に対する研磨性能が大幅に向上することがわかった。
10…基体、12…絶縁膜(例えば、シリコン酸化物等)、14…絶縁膜(例えば、シリコン窒化物等)、16…絶縁膜(例えば、PETEOS等)、18…バリアメタル膜、20…銅膜、22…配線用凹部、42…スラリー供給ノズル、44…スラリー、46…研磨布、48…ターンテーブル、50…半導体基板、52…キャリアーヘッド、54…水供給ノズル、56…ドレッサー、100…被処理体、200…化学機械研磨装置

Claims (9)

  1. (A)アミノ酸と、
    (B)トリアゾール骨格を有する化合物と、
    (C)ピリジン骨格を有する化合物と、
    (D)酸化剤と、
    E)砥粒と
    を含み、前記(B)成分の含有量が化学機械研磨用水系分散体100質量%に対して0.0001〜0.5質量%であり、かつ、前記(C)成分の含有量が化学機械研磨用水系分散体100質量%に対して0.01〜1質量%であり、
    前記(B)成分の含有量(W)と前記(C)成分の含有量(W)との質量比(W/W30〜100であ
    pHが6〜8である、銅または銅合金からなる膜を研磨するための化学機械研磨用水系分散体。
  2. 前記質量比(W /W )が40〜100である、請求項1に記載の化学機械研磨用水系分散体。
  3. 前記pHが6.7〜7.2である、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用水系分散体。
  4. 前記(C)成分は、窒素原子の隣接位にカルボキシル基を有する、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
  5. 前記(B)成分は、ベンゾトリアゾールおよび5−メチルベンゾトリアゾールよりなる群から選択される一種以上である、請求項1ないし請求項4いずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
  6. 前記(C)成分は、キナルジン酸である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記
    載の化学機械研磨用水系分散体。
  7. 前記(A)アミノ酸がグリシンである、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
  8. 第1の組成物および第2の組成物を混合して、請求項1ないし請求項7のいずれか項に記載の化学機械研磨用水系分散体を調製するためのキットであって、
    前記第1の組成物は、前記(D)成分を含み、
    前記第2の組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、および前記(E)成分を含む、化学機械研磨用水系分散体調製用キット。
  9. 請求項1ないし請求項7のいずれか項に記載の化学機械研磨用水系分散体を用いて、半導体基板上に形成された銅または銅合金からなる膜を研磨する方法。
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