JP4797938B2 - 搬送波再生装置、復調器、再生搬送波の擬似引込み検出方法、及びそのプログラム - Google Patents
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Description
この図7に示す復調器にあって、再生搬送波の同期・非同期の検出は、C/N(搬送波・雑音比)推定回路90で演算されたC/N値と、C/N推定回路90に外部から設定されるC/N閾値161とを比較することによって行われていた。即ち、演算により得られたC/N値がC/N閾値より低い場合に、C/N推定回路90により生成出力されるC/Nアラーム信号162によって、オペレータは再生搬送波を非同期と判定していた。
しかしながら、この従来例にあっては、受信信号の信号点位置でのみ再生搬送波の疑似引き込みの検出を行うため、図10にQPSK変調における擬似引き込みの例を示すように、再生搬送波Ich,Qchの±fs/8ずれ(図10(a))、 ±fa/12ずれ(図10(b))の疑似引き込み検出を行うことはできるが、図10(c)に示されるような±n*fa/4(n=1,2,……) ずれの疑似引き込みの検出を行うことができない。従って、再生搬送波の疑似引き込みをすべて検出することができないという不都合があった。この図10において、記号fsは変調速度を示す。
本発明は、上記した従来例に有する不都合を改善し、特に、外部接続されるフレーム同期回路によって生成されるフレーム非同期信号を用いることなく、復調器単独で搬送波の擬似引き込み状態を検出し、受信信号の再引き込みから同期判定までの時間を大幅に短縮することができる搬送波再生装置、復調器、再生搬送波の擬似引込み検出方法、および擬似引込み検出用プログラムを提供することを、その目的とする。
この結果、搬送波の疑似引き込み発生の確率を落とし、かつ、疑似引き込み発生時には、その検出から、再引き込み、同期判定までの一連の動作について消費される時間を大幅に短縮することが出来る。
このようにしても、前述した搬送波の擬似引き込み検出方法の場合とほぼ同等の効果を得ることができる。
図1は、本発明の実施の形態にかかわる復調器の構成を示すブロック図である。以下に説明する本発明の実施の形態において、変調方式は、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation )等の直交変調方式を、検波方式は、準同期検波方式を想定した復調器が例示されており、それぞれ直交するベースバンド成分の表記として一般的な、I成分(実部:Ich)、Q成分(虚部:Qch)という表記を用いるものとする。
尚、復調器における前述した発振器2は、再生搬送波を生成するための基準周波数信号を出力するものであり、図示せぬ送信機側の変調器における搬送波を出力する発振器に近い周波数で自走している。
A/D変換器3は、以降の処理をデジタル化するために、アナログのベースバンド信号Ich103をデジタルのベースバンド信号Ich105に、また、アナログのベースバンド信号Qch104をデジタルのベースバンド信号Qch106に変換して搬送波再生装置4を構成する搬送波再生部40に出力する。
上述した搬送波再生装置4は、搬送波再生部40のほかに、本実施形態により付加される再生搬送波信号領域判定部(再生搬送波信号領域判定回路50)、および位相制御信号領域判定制御部60(再生搬送波APC信号領域判定回路64、掃引回路67)、更には、C/N推定回路70、同期検出回路80、リセット信号発生回路90によって構成されている。
位相回転器44は、デジタル信号Ich105およびQch106に残っている位相回転に対してデジタル信号処理により位相回転制御を行い、再生搬送波信号Ich107、Qch108を出力する。
発振器2は、上記したように図示せぬ送信側の変調器の発振器に近い周波数で自走しており、このため、変調器と復調器の発振器の差分の周波数の位相回転が残っている。位相回転器44は、この位相回転に対して、デジタル信号処理により逆回転を与えることで、信号を収束させるものである。
再生搬送波信号領域判定回路50の詳細は、再生搬送波信号がマッピングされた位相平面図(図4)を参照して後述する。
掃引回路67は、APC信号領域判定回路64により出力される擬似引き込みCARR APC信号122に基づいてその擬似引き込み信号点位置における同期引き込みを回避する制御信号(CARR APC補助信号)を生成し、加算回路48経由で数値制御発振器49へ出力する。
同期検出回路80は、C/N推定回路80により生成されるC/Nアラーム信号112と、再生搬送波信号領域判定回路50により生成出力される疑似引きこみ領域検出信号113との論理和演算を行い、間欠リセット信号発生回路90に対して非同期検出信号114を出力する。
尚、フレーム同期回路5は、フレーム周期での同期・非同期を判定する外付けの回路であり、フレーム非同期時には、フレーム非同期信号123を生成し、位相制御信号領域判定制御部60のAPC信号領域判定回路64、並びに同期検出回路80に出力する。
図2は本実施形態における復調器の基本動作を説明するためのフローチャートを示す。又、図3は再生搬送波信号領域判定回路50による再生搬送波信号領域判定動作を、図5はAPC信号領域判定回路64ならびに掃引回路67による位相制御信号領域判定制御の動作を、それぞれ詳細に示すフローチャートである。
以下、図2,図3,図5のフローチャートを参照しながら、図1に示す本実施形態における復調器の動作について説明する。
尚、C/N推定回路70における推定C/N値の算出は、例えば、Ich107、Qch108のそれぞれの分散を求めた後、それらの加算を行い、雑音電力を求めることにより推定C/N値を算出すれことにより行なわれる。
例えば、仮に、C/N閾値111を再生搬送波の同期状態での推定C/N値に近い値に設定したとする。このとき、雑音が加わり推定C/N値が低下すれば、再生搬送波が同期状態にあるにもかかわらず、C/N推定回路70は、再生搬送波は非同期状態にあると判定し、結果的にC/Nアラーム信号112を生成出力する。したがって、LPF46にリセットがかかり、不安定な状態になる。
即ち、再生搬送波信号領域判定回路50は、所定時間に再生搬送波がA領域、B領域に属する割合を算出し(ステップS302)、B領域に属する割合がある一定の値(閾値)以上であれば(ステップS303:=)、その再生搬送波信号は疑似引き込み状態であると判定し、疑似引き込み領域検出信号113を出力する(ステップS304)。
このため、本実施形態においては、更に、位相制御信号領域判定制御部60(APC信号領域判定回路64)を付加し、再生搬送波信号領域判定回路50で検出できない疑似引き込み信号点位置の識別を可能とした。以下、これを更に詳述する。
又、位相制御信号領域判定部60(APC信号領域判定回路60と掃引回路67)を付加することにより疑似引き込み時における疑似引き込みAPC信号122が識別され、そして、掃引回路67でその擬似引き込み信号点位置における同期引き込みを回避する制御信号(CARR APC補助信号118)を生成することにより、搬送波の疑似引き込みを未然に防止することが可能となる。
また、再生搬送波から推定C/N値を演算し(図2のステップS203)、予め設定されたC/N閾値111との比較により、再生搬送波信号の同期、非同期を監視しており(図2のステップS203〜S205)、非同期状態にあると判定された場合、上記した第3のステップによる判定結果との論理和演算を行い、搬送波再生信号の生成を禁止する第5のステップを実行する(ステップS206、S207)。
尚、上記した本実施形態にあってはQPSK変調を用いた変調器のみを例示したが、QPSK変調に限らず、PSK、或いは多値QAM変調方式を用いた変調器に対しても同様に適用できるものである。
2 発振器
3 A/D変換器
4 搬送波再生装置
5 フレーム同期回路
40 搬送波再生部
44 位相回転器
45 位相誤差検出器
46 LPF
48 加算回路
50 再生搬送波信号領域判定部(再生搬送波信号領域判定回路)
59 数値制御発振器
60 位相制御信号領域判定制御部
64 APC信号領域判定回路
67 掃引回路
70 C/N推定回路
80 同期検出回路
90 間欠リセット信号発生回路
Claims (12)
- 直交変換されたデジタル信号と基準信号との位相誤差を検出して位相制御信号を生成すると共にこの位相制御信号に基づいて再生搬送波信号を生成する搬送波再生部と、
前記再生搬送波信号が位相平面上に予めマッピングされた信号点位置に基づいて前記再生搬送波信号の擬似引き込み信号点の位置を検出する再生搬送波信号領域判定部と、
前記再生搬送波信号の擬似引き込み信号点位置における位相制御信号に基づいて前記擬似引き込み信号点位置における同期引き込みを回避するための制御信号を生成する位相制御信号領域判定制御部と、
を備えたことを特徴とする搬送波再生装置。 - 前記請求項1に記載の搬送波再生装置において、
前記搬送波再生部を、
前記位相誤差を検出すると共に前記再生搬送波信号の位相の進み遅れに応じた値を持つ位相誤差信号を生成する位相誤差検出器と、この位相誤差検出器により出力される位相誤差信号から高周波成分を除外して前記位相制御信号を出力するローパスフィルタと、このローパスフィルタにより出力される位相制御信号を角度に応じた制御角情報に変換する数値制御発振器と、この数値制御発振器により出力される制御角情報に基づき、前記再生搬送波信号に対して位相回転制御を行なう位相回転器と、
を含む構成としたことを特徴とする搬送波再生装置。 - 前記請求項1に記載の搬送波再生装置において、
前記再生搬送波信号領域判定部は、
前記再生搬送波信号が、前記位相平面上に分割して割付けられる領域内にあって、正常時における再生搬送波信号の信号点位置を中心とする第1の領域と,擬似引き込み時に再生搬送波信号がマッピングされる第2の領域とにそれぞれに属する割合を算出すると共に、前記第2の領域に属する割合が予め設定した設定値以上の場合に、擬似引き込み状態検出信号を生成出力する機能を備えた構成としたことを特徴とする搬送波再生装置。 - 前記請求項1に記載の搬送波再生装置において、
前記搬送波再生部に、
前記再生搬送波信号に基づいて搬送波・雑音比を算出し且つ当該算出された搬送波・雑音比と予め設定した搬送波・雑音比とを比較演算する搬送波・雑音比推定回路と、この搬送波・雑音比推定回路による比較演算結果と前記再生搬送波信号領域判定部による判定結果とに基づいて前記再生搬送波信号の同期若しくは非同期を検出する同期検出回路とを併設したことを特徴とする搬送波再生装置。 - 前記請求項1又は4に記載の搬送波再生装置において、
前記位相制御信号領域判定制御部は、
前記擬似引き込み状態にあって、前記同期検出部が前記再生搬送波信号の同期を検出し且つ予め外部接続されフレーム周期での同期・非同期を検出するフレーム同期検出回路が非同期を検出した場合に、前記位相制御信号の制御値を前記擬似引き込み信号点位置として判定する位相制御信号領域判定回路と、
前記位相信号領域判定回路による判定結果に基づいて前記擬似引き込み信号点位置における同期引き込みを回避する制御信号を生成する掃引回路と、
を備えたことを特徴とする搬送波再生装置。 - 前記請求項5に記載の搬送波再生装置において、
前記掃引回路は、
前記再生搬送波信号が非同期状態から同期状態に遷移した場合に、前記制御信号の遷移直前における制御値を保持すると共に当該保持された制御値に基づいて前記制御信号を生成し前記搬送波再生部へ出力する機能を備えていることを特徴とした搬送波再生装置。 - 前記請求項1又は5に記載の搬送波再生装置において、
前記同期検出回路が非同期状態を検出した場合に前記搬送波再生部による再生搬送波信号の生成を禁止する間欠リセット信号発生回路を、前記搬送波再生部に併設したことを特徴とする搬送波再生装置。 - 前記請求項1乃至7の何れか一つに記載の搬送波再生装置と、この搬送波再生装置の入力段に装備され到来する受信変調波信号を基準周波数信号に基づいて互いに直交するベースバンド信号に変換する直交検波器と、前記ベースバンド信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換器とを備えたことを特徴とする復調器。
- 到来する受信変調波信号を復調する復調器における搬送波の擬似引き込み検出方法であって、
前記受信変調波信号を互いに直交するベースバンド信号に変換すると共に当該変換されたベースバンド信号をデジタル信号に変換する第1のステップと、
前記直交変換されたデジタル信号と予め設定した基準信号との位相誤差を検出して位相制御信号を生成すると共に当該位相制御信号に基づいて再生搬送波信号を生成する第2のステップと、
生成された前記再生搬送波信号が位相平面上にマッピングされた信号点位置に基づいて前記再生搬送波信号の擬似引き込み信号点位置を検出する第3のステップと、
前記再生搬送波信号の擬似引き込み信号点位置における位相制御信号に基づいて前記擬似引き込み信号点位置における同期引き込みを回避する制御信号を生成する第4のステップと、
を有することを特徴とする搬送波の擬似引き込み検出方法。 - 前記請求項9に記載の搬送波の擬似引き込み検出方法において、
前記第4のステップでは、前記再生搬送波信号が非同期状態から同期状態に遷移したときに前記位相制御信号の直前における制御値を保持すると共に当該保持された制御値に基づいて前記制御信号を生成するサブステップを含むことを特徴とする搬送波の擬似引き込み検出方法。 - 到来する受信変調波信号を復調する復調器における搬送波の擬似引き込み状態を検出するためのプログラムであって、
前記受信変調波信号を互いに直交するベースバンド信号に変換すると共に当該変換されたベースバンド信号をデジタル信号に変換する信号変換処理機能、
前記直交変換されたデジタル信号と基準信号との位相誤差を検出して位相制御信号を生成すると共に当該位相制御信号に基づいて再生搬送波信号を生成する再生搬送波信号生成機能、
生成された前記再生搬送波信号が位相平面上にマッピングされた信号点位置に基づいて前記再生搬送波信号の擬似引き込み信号点位置を検出する擬似引き込み信号点位置検出処理機能、
前記再生搬送波信号の擬似引き込み信号点位置における位相制御信号に基づいて前記擬似引き込み信号点位置における同期引き込みを回避する制御信号を生成し前記搬送波再生部へ出力する制御信号生成処理機能、
をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする搬送波の擬似引き込み検出用プログラム。 - 前記請求項11に記載の搬送波の擬似引き込み検出用プログラムにおいて、
前記制御信号生成処理機能では、前記再生搬送波信号が非同期状態から同期状態に遷移したときに前記位相制御信号の直前における制御値を保持すると共に当該保持された制御値に基づいて前記制御信号を生成するサブ処理機能を含み、
これをコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする搬送波の擬似引き込み検出用プログラム。
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