JPH11103326A - 復調器 - Google Patents

復調器

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Publication number
JPH11103326A
JPH11103326A JP9261392A JP26139297A JPH11103326A JP H11103326 A JPH11103326 A JP H11103326A JP 9261392 A JP9261392 A JP 9261392A JP 26139297 A JP26139297 A JP 26139297A JP H11103326 A JPH11103326 A JP H11103326A
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JP
Japan
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signal
phase
correlation
timing
carrier
Prior art date
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Pending
Application number
JP9261392A
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English (en)
Inventor
Akinori Fujimura
明憲 藤村
Seiji Okubo
政二 大久保
Makoto Miyake
真 三宅
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
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  • Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)
  • Synchronisation In Digital Transmission Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回路規模が小さくプリアンプルが短くても位
相推定精度が高い復調器を得る。 【解決手段】 一定振幅に振幅制限された、入力信号の
ベースバンド複素信号を積算して所定値以上の信号のみ
を用いて相関計算するか、または相関計算結果で所定値
以上の相関信号で入力信号のキャリア位相を推定し、推
定したキャリアの相関信号を出力するキャリア位相推定
手段と、ベースバンド複素信号でキャリア再生を行って
キャリア位相を推定出力するキャリア再生手段と、キャ
リア位相推定手段出力のキャリア位相推定信号を用いて
データ検出用のタイミングを生成するか、または帰還型
の位相制御により装置のタイミングを得るタイミング再
生手段とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ディジタル無線
通信システムにおける“0π”変調信号によりキャリア
位相を推定する復調器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の“0π”変調信号によりキャリア
位相を推定する回路として、例えば公開特許公報、特開
平2−44947号記載の「信号検出器」や、特開平8
−46658号記載の「バースト信号復調回路」に記載
されている回路がある。この従来回路は、キャリア位相
推定、およびクロック再生に共通のプリアンブルとし
て、“0π”変調信号の振幅情報を用いるバースト信号
復調回路である。“0π”変調信号は、例えば、100
1、0110、1100、または0011の繰り返しデ
ータをQPSK変調した信号である。以下、図を用いて
従来の技術を説明する。図22に、上述のキャリア位相
推定手段を含んだ、従来の復調器を示す。図において、
1はバンドパスフィルタ、2は直交検波手段、3はサン
プリング手段、4は相関値算出手段、5はキャリア位相
推定手段、6はキャリア再生手段、7は選択手段、8は
タイミング再生手段、9は検波手段、10は自動利得制
御(AGC)手段、17はベクトル合成手段である。
【0003】はじめに第1の従来のバースト信号復調器
の動作を、図22を用いて説明する。この第1の従来例
では、Ns[シンボル]の“0π”変調信号がバースト
の先頭部分にある、QPSK変調されたバースト信号を
受信する。受信IF信号は、バンドパスフィルタ1を通
過した後、直交検波手段2に入力される。直交検波手段
2によって、受信IF信号は受信ベースバンド複素信号
に変換される。サンプリング手段3は、AD変換器で構
成され、受信した入力信号のベースバンド複素信号をシ
ンボルレートの2倍でオーバーサンプルする。オーバー
サンプリングされた受信ベースバンド複素信号の同相成
分をIk 、直交成分をQk (但し、k=0,1,2,
3)とすると、相関値算出手段4は以下の式(1)〜
(4)により、受信ベースバンド複素信号と“0π”変
調信号との相関信号C、及び相関信号Sを求める。つま
り受信したバーストの先頭部分であるプリアンプル部分
のNs[シンボル]の相関信号を求める。各式におい
て、CIは相関信号Cの同相成分、CQは相関信号Cの
直交成分、SIは相関信号Sの同相成分、SQは相関信
号Sの直交成分を意味する。またNsは、“0π”変調
信号の長さ(単位は[シンボル])、ωs はシンボル角
周波数(=2πfs 、但しfs ;シンボル周波数)、T
はシンボル周期である。
【0004】
【数1】
【0005】上記各式において、cos(ωs /2)×
(kT/2)=1,0,−1,0,…、またsin(ω
s /2)×(kT/2)=0,1,0,−1,…である
ので、上記(1)〜(4)の計算は容易である。
【0006】図23に、位相平面上における“0π”変
調信号の一例を示す。φはキャリア位相である。信号点
は、“○”で示した2つのナイキスト点a,b間を交互
に往復する。また図23(a)に、この時の信号の時間
軸上の動作を、同相成分、直交成分について示す。実線
の波形が同相成分(I(t))、点線の波形が直交成分
(Q(t))である。また縦軸で示した太実線が、2倍
オーバーサンプルされた同相成分データIk を、縦軸で
示した太点線が、2倍オーバーサンプルされた直交成分
データQk を示している。図23(a)において、
“○”印はナイキスト点であり、真のナイキスト点と実
サンプルされたIk 、Qk 点とのタイミング位相差Δθ
はナイキスト点“a”と、cos(ωs /2)tとのタ
イミング位相差である。即ち、タイミング位相差Δθ
は、“0π”変調信号に含まれる2シンボル周期の信号
と、受信側の2シンボル周期のクロックとの位相差であ
る。よって、ナイキスト点とのタイミング位相差は、2
×mod(Δθ,π)[ラジアン]となる。この場合、
相関値算出手段4から出力される相関信号C、及び相関
信号Sの示す各ベクトルは、図23(b)に示される。
【0007】ベクトル合成手段17では、相関信号C及
び相関信号Sから、図23で示したキャリア位相φを推
定する。そのためには、まずベクトル合成手段17が、
初めに相関信号Cと、相関信号Sのベクトル長を比較
し、長い方の相関信号が示すベクトル方向に、短い方の
相関信号ベクトルを方向を合わせて合成する。合成され
た相関信号Uは、以下の式で求まる。但し、UIは相関
信号Uの同相成分、UQは相関信号Uの直交成分であ
る。 [相関信号Cのベクトル長≧相関信号Sのベクトル長の
場合] ・UI=CI+sign[CI]×|SI| (5a) ・UQ=CQ+sign[CQ]×|SQ| (5b) [相関信号Cのベクトル長<相関信号Sのベクトル長の
場合] ・UI=SI+sign[SI]×|CI| (6a) ・UQ=SQ+sign[SQ]×|CQ| (6b)
【0008】図23(b)の例では、相関信号Cのベク
トル長が相関信号Sより長いため、上記式(5a),
(5b)から、相関信号Uは図25に示す値となる。こ
こで、相関信号Uの示すベクトル角φ´が、キャリア推
定位相角として出力される。タイミング再生手段9は、
相関信号Cと相関信号Sから、タイミング位相差Δθを
算出する。タイミング再生手段9は、相関信号Cと相関
信号Sが算出されたら、|CI|,|CQ|,|SI
|,|SQ|の内の最大値に応じて、以下の式(7a)
〜(7d)からタイミング位相推定信号V(Xθ,Y
θ)を求め、そのベクトル角tan-1(Yθ/Xθ)か
らΔθを算出する。よってタイミング再生手段9は、相
関信号C,Sが算出されるNs [シンボル]間は、クロ
ック位相制御を行なわず、あるタイミング位相を保つ。
そしてΔθ算出後は、Δθからタイミング位相差を打ち
消す位相制御を再生クロックに対して行う。
【0009】 ・|CI|が最大値の場合 Xθ=CI+sign[CI]・|CQ| Yθ=SI+sign[CI・CQ]・|SQ|(7a) ・|CQ|が最大値の場合 Xθ=CQ+sign[CQ]・|CI| Yθ=SQ+sign[CI・CQ]・|SI|(7b) ・|SI|が最大値の場合 Xθ=CI+sign[SI・SQ]・|CQ| Yθ=SI+sign[SI]・|SQ| (7c) ・|SQ|が最大値の場合 Xθ=CQ+sign[SI・SQ]・|CQ| Yθ=SQ+sign[SQ]・|SI| (7d) 本従来例では、相関信号C、Sが算出されるNs[シン
ボル]間において、タイミング位相差Δθは、一定であ
ることが望ましい。仮にΔθが変化すると、式(1)〜
(4)に入力されるIk 、Qk の値が、Δθに応じて変
動するため、Δθが一定である場合と比較して、キャリ
ア位相推定精度は大きく劣化する。よって本従来例にお
けるキャリア再生手段6に、Δθを徐々に0[deg]
に位相制御する、フィードバック型のタイミング再生方
式を組合わせることは望ましくない。
【0010】キャリア再生手段6は、キャリア位相推定
手段5からφ´が算出されたら、切替え信号によって相
関信号Uを初期値として、動作を開始する。キャリア再
生手段6は、例えばAndrew J.Viterb
i, Audrey M. Viterbi, “No
nliner Estimation of PSK−
Modulated Carrier Phase w
ith Application to Burst
Digital Transmission ”IEE
E Transaction on Informat
ion Theory, vol. It−29,n
o.4, pp543−pp551,July,198
3に記載されているものがある。以下、上記文献のキャ
リア再生手段6を、ビタビ&ビタビ回路と称する。図2
6に、本実施の形態におけるキャリア再生手段6(ビタ
ビ&ビタビ回路)の構成を示す。図26において、60
1は4逓倍手段、602は同相成分平均化手段、603
は直交成分平均化手段、604は極座標変換手段、60
5は位相除算手段である。
【0011】4逓倍手段601は、ベースバンド信号
(Ik ,Qk )を4逓倍し、4逓後の同相成分データ
と、4逓倍後の直交成分データを出力する。ベースバン
ド信号(Ik ,Qk )が示す位相を、φB=tan
-1(Qk /Ik )とすると、4逓倍後の同相成分データ
IMk は、cos( mod×φB,2π))、4逓倍後
の直交成分データQMk は、sin(mod(4×φ
B,2π))で表わされる。同相成分平均化手段602
は、ナイキスト点データであるk=0,2,4,…のI
k を平均化する。また直交成分平均化手段603は、
ナイキスト点データであるk=0,2,4,…のQMk
を平均化する。各平均化手段602,603は、例えば
無限インパルス応答型フィルタで構成できる。極座標変
換手段604は、IMk を平均化した信号と、QMk
平均化した号を極座標変換し、位相除算手段605は、
極座標変換手段604から出力される極座標変換後の位
相データを、“4”で除算して、その結果をキャリア位
相として出力する。
【0012】図27に切替え信号と、受信バースト信号
のタイミングチャートを示す。前記相関値算出手段4
は、バースト信号内の“0π”変調信号を入力とし、図
27に示される切替え信号の立ち上がり位置から、Ns
シンボル間、つまりバースト先頭の“0π”変調信号の
相関算出動作をする。またキャリア再生手段6は、バー
スト信号内のデータ部を入力とし、図27に示される切
替え信号の立ち下がり位置からデータ部のキャリア再生
動作をする。この時、切替え信号の立ち下がり位置で、
キャリア再生手段6に相関信号Uk の情報を、初期値と
してロードする。ところで、上記キャリア再生方式は、
4逓倍法に基づくため、出力であるキャリア位相は、0
〜π/2[ラジアン]の範囲となるのに対し、相関信号
k の示すベクトル角は、0〜2π[ラジアン]の範囲
となる。そのため、相関信号( UIk ,UQk )も4逓
倍手段601aにおいて、4逓倍手段601と同じ領で
4逓倍し、切替え信号が立ち下がったら、4逓倍後の相
関信号UIk ´を同相成分平均化手段602に、信号U
k ´を直交成分平均化手段603に、それぞれ初期値
としてロードする。よって選択手段7は、切替え信号が
論理“1”つまり“0π”変調信号である場合は、キャ
リア位相推定手段5から出力されるキャリア位相を、論
理“0”つまりデータ部の場合は、キャリア再生手段6
から出力されるキャリア位相をそれぞれ選択して出力す
る。
【0013】この切替え信号の論理が切り替わるタイミ
ングは、フレームタイミング情報から得る。よって、フ
レームタイミング同期が外れたり、フレームタイミング
同期が困難な場合だと、切替え信号の切替えタイミング
もずれてしまう。この場合、上述した従来方式は切替え
タイミングのずれによって誤動作する。フレームタイミ
ング同期が外れる現象は、例えば受信信号が数十バース
トにわたって長時間瞬断された場合に生じる。また、フ
レームタイミングが困難となる現象は、建物等による反
射や、通信距離によって生じる伝播遅延時間が、シンボ
ル周期の数倍から十数倍になり得る場合に生じる。この
現象は、特に高い伝送速度でデータを送受する高速無線
伝送TDMAシステムで生じ、バースト信号受信毎に、
シンボル周期の数倍から十数倍で、ランダムにフレーム
タイミングが揺らぐため、“0π”変調信号の位置を特
定することが困難となる。
【0014】検波手段9は、選択手段7から出力される
キャリア位相を用いて、サンプリング手段3からシンボ
ルレートの2倍で出力されるベースバンド信号Ik ,Q
k を同期検波し、検波後の判定されたデータを、復調デ
ータとして出力する。また自動利得制御手段10は、受
信ベースバンド複素信号から受信レベルを算出し、バー
スト的に到来する受信信号のレベル変動を、復調器が動
作できる範囲まで抑える利得制御を行なう。
【0015】これに対して、リミタ増幅器をバンドパス
フィルタ1と、直交検波手段2の間に設けて、一定振幅
に増幅された(振幅制限された)信号を用いる復調器構
成も考えられる。以下、リミタ増幅器を用いた第2の従
来例である復調器を説明する。図28は第2の従来例で
ある復調器の構成を示す図であり、図において11はリ
ミタ増幅器である。その他の要素は図18の対応する番
号の要素と同じものである。バンドパスフィルタ1を通
過した受信IF信号は、リミタ増幅器11により振幅制
限された受信IF信号に変換されて、直交検波手段2に
入力される。それ以降の処理は、図18と同様である。
この場合、自動利得制御手段10が不要となる。
【0016】次に上記構成の回路の動作を説明する。図
29は、振幅制限された“0π”変調信号波形の一例で
ある。図23と比較して判るように振幅制限されている
ため、同相成分の波形、及び直交成分の波形は、共に矩
形となる。この時、ナイキスト点からT/2シンボルの
時間(以降、T/2シンボル点と称する)における信号
点は、図22からも明らかなように位相平面上で原点の
ところであり、振幅値は“0”である。よって、ガウス
雑音伝送路で受信された“0π”変調信号のT/2シン
ボル点には、雑音成分だけが存在する。この時、“0
π”変調信号に対して振幅制限を施すと、T/2シンボ
ル点における雑音成分も一定の振幅に増幅されるため、
上記従来方式でT/2シンボル点近傍をサンプリングし
た場合、即ちタイミング位相差Δθが{0,π/2,
π,3π/2}のいずれかの近い値をとる場合、本来は
振幅が0に近いはずなのに雑音成分が増幅されてサンプ
リングされるため、キャリア位相推定精度は、振幅制限
を施さなかった場合と比較して劣化する。
【0017】このことを説明するため、一例として、Δ
θ=0時の相関信号C,S,Uを、図30(a)、図3
0(b)に示す。図30が振幅制限を施さなかった場合
の各相関信号、図30(b)が振幅制限を施した場合の
各相関信号であり、点線で描かれた円の半径は、各ベク
トルの雑音による分散を示したものである。いずれも、
相関信号Sのベクトル長は“0”となり、原点に位置す
るが、増幅されサンプリングされた雑音成分の分散は、
振幅制限を施した場合の方が大きくなる。よって、図3
0(a)、図30(b)に示すように、相関信号SとC
を合成する相関信号Uの分散も、振幅制限を施した場合
の方が大きくなり、この相関信号Uに基づいて行うキャ
リア位相φの推定精度が劣化する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】このように上記第1の
従来例では、シンボルレートの2倍でオーバーサンプル
した“0π”変調信号を用いて、高速なキャリア位相推
定を実現するが、ベースバンド信号の振幅情報を用いる
ため、自動利得制御(AGC)手段10が必要不可欠で
あり、回路規模、消費電力が増大するという課題があっ
た。またTDMA/TDDシステムなどのように、バー
スト信号を連続受信する場合は、AGCが引込み動作を
完了するまで正常な復調データを得るまでの、AGCの
引込み時定数が必要になり、従ってプリアンブルを長く
する必要があり、情報伝送効率が低下するという課題も
ある。
【0019】また第2の従来例では、回路規模を抑える
ために増幅制限のためのリミタ増幅器を用いると、キャ
リア位相推定精度が劣化するという課題がある。更に従
来回路は、“0π”変調信号の位置を特定して、その信
号によりキャリア位相推定演算を行なうため、バースト
信号の受信タイミングが不明な場合、“0π”変調信号
の位置が特定できず、従ってキャリア位相推定が出来な
いという課題がある。
【0020】この発明は上記の課題を解決するためにな
されたもので、リミタ増幅器によって振幅制限された
“0π”変調信号を用いた場合でも、高精度なキャリア
位相推定が出来る復調器を得ることを目的としている。
更に、バースト信号の受信タイミングが不明で、“0
π”変調信号の位置が特定できない場合でも、良好なビ
ット誤り率特性を示す同期検波が行える復調器を得るこ
とを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】この発明に係る復調器
は、一定振幅に振幅制限された入力信号を直交検波して
復調する構成において、入力信号のベースバンド複素信
号を積算して所定値以上の信号のみを用いて相関計算す
るか、または相関計算結果で所定値以上の相関信号で入
力信号のキャリア位相を推定し、推定したキャリアの相
関信号を出力するキャリア位相推定手段と、ベースバン
ド複素信号でキャリア再生を行ってキャリア位相を推定
出力するキャリア再生手段と、キャリア位相推定手段出
力のキャリア位相推定信号を用いてデータ検出用のタイ
ミングを生成するか、または帰還型の位相制御により装
置のタイミングを得るタイミング再生手段とを備え、キ
ャリア位相推定手段出力かキャリア再生手段出力かのい
ずれかの出力の位相と、タイミング再生手段によるタイ
ミングとにより最終検波出力を得るようにした。
【0022】また更に、キャリア位相推定手段は、入力
信号のベースバンド複素信号を設定時間幅以上にわたっ
て相関計算して積算して相関信号を得る相関値算出手段
と、この相関値算出手段出力の各相関信号がそれぞれ所
定のしきい値を超えるかを調べるしきい値比較手段と、
このしきい値比較手段が調べてしきい値を超えた相関信
号からベクトルを得て合成相関信号として出力し、合成
相関信号が示すベクトル角をキャリア位相として推定出
力するベクトル合成手段とで構成するようにした。
【0023】また更に、キャリア位相推定手段は、しき
い値比較手段とベクトル合成手段とに代えて、相関値算
出手段出力の直交相関信号と同相相関信号とを比較して
ベクトルの大きい方を合成相関信号として出力し、この
合成相関信号が示すベクトル角をキャリア位相として推
定出力するベクトル長比較選択手段を用いるようにし
た。
【0024】また更に、キャリア位相推定手段は、入力
信号のベースバンド複素信号を設定時間幅以上にわたっ
て相関計算して積算して相関信号を得る相関値算出手段
と、この相関値算出手段出力である直交及び同相相関信
号のベクトルの差分値から重み付け値を求める重み付け
値算出手段と、この求められた重み付け値を用いて積算
した直交及び同相相関信号からベクトルを得て合成相関
信号として出力し、この合成相関信号が示すベクトル角
をキャリア位相として推定出力するベクトル合成手段と
で構成するようにした。
【0025】また更に、キャリア位相推定手段は、タイ
ミング位相の同期か非同期かを再生タイミング信号の位
相を検出して判定し、同期時にタイミング同期信号を出
力するタイミング位相同期検出手段と、入力信号のベー
スバンド複素信号を設定時間幅以上にわたってタイミン
グ位相同期信号で相関計算して平均化して相関信号を得
る相関値算出手段と、この相関値算出手段が算出した相
関信号のうちでベクトル長が長い相関信号を選択出力す
る比較選択手段とで構成され、選択後の相関信号を出力
し、かつその相関信号が示すベクトル角をキャリア位相
として推定出力するようにし、タイミング再生手段は、
入力信号の直交検波出力が最大となるよう帰還制御して
タイミング同期後のシンボルレートのクロックを得る構
成とした。
【0026】また更に、タイミング位相同期検出手段
は、再生クロックの立ち上がりとナイキスト点とのタイ
ミング位相検出信号の絶対値平均に基づいて重み付け値
を出力し、相関値算出手段は、重み付けした値で相関計
算して積算して相関信号を得る相関値算出手段とした。
【0027】また更に、キャリア位相推定手段は、自身
が最終出力する合成相関信号のベクトル長が所定のしき
い値以上になると位相が合致したとして位相推定完了信
号を出すようにした。
【0028】また更に、キャリア位相推定手段は、入力
信号のベースバンド複素信号をシンボルレートの2倍の
クロックでオーバーサンプリングし、キャリア再生手段
は、オーバーサンプリングされたベースバンド複素信号
を用いて4逓倍法または逆変調法によりキャリア再生し
て位相推定を行い、キャリア位相推定手段からの位相推
定完了を受けてキャリア位相推定手段出力の相関信号に
よる位相を初期値として最終検波用の位相に用いるよう
にした。
【0029】また更に、タイミング再生手段は、入力信
号のベースバンド複素信号を積算し相関計算で得られる
直交相関信号と同相相関信号とを用いて再生クロックと
ナイキスト点とのタイミング位相差を推定し、位相推定
完了信号により推定したタイミング位相差を打ち消す位
相制御を行うようにした。
【0030】また更に、タイミング再生手段は、入力信
号の相関複素信号を所定の論理でそのまままたは0に変
換するデータ変換手段と、この変換された後の相関複素
信号の絶対値から最大の絶対値を得る最大絶対値検出手
段と、この得られた最大絶対値に対応するタイミング位
相を求めるタイミング位相算出手段とを備え、位相推定
完了信号により算出したタイミング位相を再生クロック
位相手段に出力してタイミング位相差を打ち消す位相制
御を行うようにした。
【0031】また更に、タイミング再生手段は、入力信
号のベースバンド複素信号からタイミング位相の進み/
遅れを検出して位相検出信号を得る位相検出手段と、こ
の得た位相検出信号を平均化してその平均値から位相制
御信号を得る平均化手段と、この得た位相制御信号でタ
イミング位相制御を行う位相制御手段を備えて、復調器
のタイミングを行う再生クロックを得るようにした。
【0032】また更に、キャリア位相推定手段が位相推
定完了信号を出力するとこのキャリア位相推定手段が出
力するキャリア位相推定値を選択出力し、それ以外では
キャリア再生手段が出力するキャリア位相を選択して最
終検波用に出力する選択手段を備えた。
【0033】また更に、最終検波出力して得られる復調
データと、所定のワードパターンとの相関検出をしてユ
ニークワードを検出するユニークワード検出手段を備え
て、最終検波出力は、この検出されたユニークワードに
より最終検波出力した結果を補正するようにした。
【0034】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.この発明の実施の形態1における復調器
は、フレームタイミングが不明な状態から連続動作し
て、QPSK変調されたバースト信号のキャリア位相を
推定し、同期検波を用いてデータを復調する。キャリア
位相推定は、振幅制限された“0π”変調信号を用いて
行なう。図1は、本実施の形態におけるキャリア位相推
定手段を含む復調器の構成を示す図である。図中、5a
はキャリア位相推定手段、6aはキャリア再生手段、7
aは選択手段、8aはタイミング再生手段、12はしき
い値比較手段、13はユニークワード(UW)検出手
段、17aはベクトル合成手段である。その他の要素は
従来の構成を示す図中の対応要素と同一符号を付して説
明を省略する。
【0035】この実施の形態におけるキャリア位相推定
手段は、振幅制限された“0π”変調信号と、シンボル
レートの1/2の周波数のサイン成分との相関演算を行
ない、その結果を直交相関信号として出力し、また振幅
制限された“0π”変調信号と、シンボルレートの1/
2の周波数のコサイン成分との相関演算を行ない、その
結果を同相相関信号として出力する相関値算出手段4a
と、直交相関信号のベクトル長と、直交相関用の所定の
しきい値とを比較し、ベクトル長がしきい値より大きい
か小さいかを示す直交相関比較信号を出力し、また同相
相関信号のベクトル長と、同相相関用しきい値とを比較
し、同じくベクトル長がしきい値より大きいか小さいか
を示す同相相関比較信号とを出力するしきい値比較手段
12と、直交相関信号のベクトル長が直交相関用しきい
値より大きく、かつ同相相関信号のベクトル長が同相相
関用しきい値より大きい場合は、ベクトル長が短い方の
相関信号(直交相関信号、あるいは同相相関信号)の同
相成分、直交成分に対して、ベクトル長が長い方の相関
信号の同相成分、直交成分の符号(+1あるいは−1)
をそれぞれ乗算し、乗算された信号をベクトル長が長い
方の相関信号と合成し、合成後の信号を合成相関信号と
して出力する、または直交相関信号のベクトル長が直交
相関用しきい値より大きく、かつ同相相関信号のベクト
ル長が同相相関用しきい値より小さい場合は、直交相関
信号を合成相関信号として出力する、または同相相関信
号のベクトル長が同相相関用しきい値より大きく、かつ
直交相関信号のベクトル長が直交相関用しきい値より小
さい場合は、同相相関信号を合成相関信号として出力す
る。また同時に合成相関信号が示すベクトル角を、キャ
リア位相推定値として出力するベクトル合成手段17a
とで構成される。
【0036】更に、その他の要素として、振幅制限され
たベースバンド信号を、再生クロックによって、シンボ
ルレートの2倍でオーバーサンプリングするサンプリン
グ手段3と、以下の構成と動作の方が望ましい要素とし
てサンプリング手段でオーバーサンプリングされたベー
スバンド信号を用いて4逓倍法、あるいは逆変調法に基
づいたキャリア再生によりキャリア位相推定を行い、キ
ャリア位相推定値をキャリア位相信号として出力し、推
定完了検出信号によって推定動作の完了が検出された
ら、合成相関信号をキャリア再生のための初期値として
用いるキャリア再生手段6aと、推定完了検出信号がキ
ャリア位相推定の完了を検出したらキャリア位相推定手
段からのキャリア位相推定値を選択して出力し、それ以
外はキャリア再生手段からのキャリア位相を選択して出
力する選択手段7aと、復調器としては必須の選択手段
出力信号を用いてサンプリング手段でオーバーサンプリ
ングされたベースバンド信号を同期検波し、検波された
信号を復調データとして出力する最終の検波手段9と、
その構成と動作が望ましい要素として、同相相関信号と
直交相関信号を用いて再生クロックとナイキスト点との
タイミング位相差を推定し、同期完了検出信号によって
同期動作の完了が検出されたら、その時に推定されたタ
イミング位相差を打ち消す位相制御を行うタイミング再
生手段8aとで構成される。
【0037】次に、上述構成の復調器の動作について説
明する。従来例と同様に、受信IF信号はバンドパスフ
ィルタ1で帯域制限され、リミタ増幅器11で振幅制限
される。また直交検波手段2は、振幅制限された受信I
F信号を直交検波して、振幅制限された受信ベースバン
ド複素信号を出力する。本実施の形態では、タイミング
再生手段8に改良を施し、フレームタイミングが不明な
場合においても動作を可能とするフィードフォワード型
のタイミング再生手段8aを用いる。タイミング再生手
段8aの動作の詳細は、後で述べる。サンプリング手段
3では、タイミング再生手段8aから出力される再生シ
ンボルクロックの立ち上がりと、立ち下がりで、受信ベ
ースバンド複素信号をシンボルレートの2倍でオーバー
サンプルする。
【0038】本実施の形態では、フレームタイミングが
不明であるため、相関値算出手段4aは、サンプリング
手段3から出力される振幅制限されたベースバンド複素
信号Ik ,Qk に対して、式(8)〜(11)の処理を
施した連続的な移動平均処理を行なう。但し、k=…,
−3,−2,−1,0,1,2,3,…であり、k=0
の時間から、つまり全期間にわたってバースト信号が入
力されるものとする。
【0039】
【数2】
【0040】よって各相関信号は、Ck =(CIk ,C
k ),Sk =(SIk ,Qk )で表記され、時間方向
で変化していく。
【0041】第2の従来例で説明したように、タイミン
グ位相差Δθが{0,π/2,π,3π/2}の近傍に
あるとき、T/2シンボル点近傍の主として雑音成分で
ある“0π”変調信号が一定の振幅に増幅されるため、
キャリア位相推定精度が劣化する。この場合、T/2シ
ンボル点近傍の0π”変調信号から求まる相関信号を除
外して、もう一方の正しい信号成分であるナイキスト点
近傍の0π”変調信号を用いて相関信号を生成すれば、
キャリア位相推定精度の劣化を防ぐことが出来る。ここ
で、Nsシンボルで構成される“0π”変調信号の各相
関値、即ち上記式(8)〜(11)において、k=2N
s−1における各相関信号C2Ns-1 ,SNs -1を考える。
タイミング位相差Δθが、{0,π/2,π,3π/
2}の近傍にあるとき、振幅制限された“0π”変調信
号の、T/2シンボル点近傍の0π”変調信号から求ま
る相関信号のベクトル長は、振幅制限を行なわなかった
場合のT/2シンボル点近傍の0π”変調信号から求ま
る相関信号のベクトル長より大きくなるが、もう一方の
ナイキスト点近傍の0π”変調信号から求まる相関信号
のベクトル長よりは分散が大きいために充分小さくな
る。またΔθが{0,π/2,π,3π/2}の近傍に
ないときは、相関信号C2N s-1 ,S2Ns-1 共に、分散が
小さいため、しきい値を上回る大きな値をとる。
【0042】そこで本実施の形態における発明では、相
関信号Ck ,Sk を、あるしき値と比較し、一方がある
しきい値を越え、一方が越えていない場合、越えないも
のは雑音成分による分散が大きいためと判断して、越え
ていない方の相関信号をキャリア位相推定演算に用い
ず、越えている方の相関信号のみをキャリア位相推定演
算に用いる。またCk ,Sk 共にしきい値を超える大き
な値を示す場合は、従来例と同様、相関値Ck ,Sk
用いたキャリア位相推定を行なう。図1に示すしきい値
比較手段12は、相関信号Ck ,Sk の各ベクトル長あ
るしきい値と比較し、その結果を制御信号AC,ASと
して出力する。次にベクトル合成手段17aは、この制
御信号AC,ASに基づいて、相関信号Ck ,Sk から
相関信号Uk を生成する方法を決定する。以降、しきい
値比較手12と、ベクトル合成手段17aの動作の詳細
を説明する。
【0043】はじめにしきい値比較手段12は、相関値
k ,Sk のベクトルの長さCk ,SLk を、以下の式
(12a),(12b)で求める。これは2乗回路、加
算回路と比較回路で構成される。 CLk =√(CIk 2+CQk 2) (12a) SLk =√(SIk 2+SQk 2) (12b) ベクトル長の算出演算を簡略化したい場合は、以下の式
(13a),(13)、あるいは式(14a),(14
b)を用いて、CLk ,SLk を求めてよい。 CLk =max(CIk ,CQk )(13a) SLk =max(SIk ,SQk )(13b) CLk =(CIk +CQk ) (14a) SLk =(SIk +SQk ) (14b) これらは単なる比較、または加算と比較回路で構成でき
る。
【0044】次に、CLk としきい値εC とを比較した
結果から、制御信号ACを出力る。制御信号ACは、C
k ≧εC なら論理“1”を、CLk <εC な理“0”
を出力する。同様に、SLk としきい値εS とを比較し
た結果から、制御信号ASを出する。制御信号ASは、
SLk ≧εs なら論理“1”を、SLk <εs 論理
“0”を出力する。また、これらしきい値εC ,εs
同じ値でもよい。
【0045】ベクトル合成手段17aは、AC,ASが
共に論理“1”の場合、あるいはAC,ASが共に論理
“0”の場合は、式(15a),(15b)、あるいは
式(16a),(16b)を用いて相関信号Uk を求め
る。これは絶対値回路と加算回路で構成される。 [CLk ≧SLk の場合] ・UIk =CIk +sign[CIk ]×|SIk |(15a) ・UQk =CQk +sign[CQk ]×|SQk |(15b) [CLk <SLk の場合] ・UIk =SIk +sign[SIk ]×|CIk |(16a) ・UQk =SQk +sign[SQk ]×|CQk |(16b)
【0046】またACが論理“1”,ASが論理“0”
の場合は、Uk =Ck とし、Aが論理“0”,ASが論
理“1”の場合は、Uk =Sk とする制御を行なう。例
えば、図23に示す“0π”変調信号をΔθ=0のタイ
ミングで受信する場合、従来例では図30(b)で示さ
れるように、相関信号Uk の分散が増大し、キャリア位
相推定精度の劣化が生じるが、本実施の形態では、例え
ば図2に示すようなしきい値εc =εs を設定すること
で、k=2Ns−1の時間において、ほぼ100%の確
率でACが論理“1”、“AS”が論理“0”となり、
振幅制限によって増幅された雑音成分から求まる相関信
号Sk を用いないので、相関信号Uk の分散を抑えるこ
とができる。図2において、実線で示した円の半径がε
c =εs である。
【0047】このように本実施の形態は、振幅制限を施
した場合にΔθ={0,π/2,π,3π/2}近傍で
生じるキャリア位相推定精度の劣化を防止することがで
きる。一方、本実施の形態において、Δθ={0,π/
2,π,3π/2}近傍にない場合の例として、図27
の信号を受信した場合の処理を、図3に示す。各相関信
号Ck ,Sk ともに、そのベクトル長はしきい値εc
εs を超える、図3に示すように相関信号Ck ,Sk
方用いて、相関信号Uk が求まる。以上のことから本実
施の形態では、従来例のようにΔθ={0,π/2,
π,3π/2}近傍においてキャリア位相推定精度が劣
化することはなく、どのようなΔθに対しても、高精度
なキャリア位相推定を実現することができる。また以下
の式(17)によって、キャリア位相角φk ´を算出す
る。 φk ´=tan-1(UQk /UIk )(17)
【0048】次にベクトル合成手段17aは、相関信号
k に対するしきい値検出によって、“0π”変調信号
に対するキャリア位相推定算出の完了を判定し、検波処
理を切り替える信号SWを出力する。相関信号Uk に対
するしきい値検出は、相関信号Uk のベクトル長ULk
を算出し、しきい値εu と比較して行なう。また信号S
Wは、ULk ≧εu が成立したら論理“1”を、ULk
<εu 成立したら論理“0”を出力する。
【0049】キャリア再生手段6aは、フレームタイミ
ングが不明な場合、時定数を“0π”変調信号の長さN
s[シンボル]以下の短い値に設定して連続動作し、従
来例と同様のキャリア再生方式などで、キャリア位相φ
k を出力する。キャリア再生手段6aは、例えば図1
8または図26の詳細回路で示されるキャリア再生手段
6と、ほとんど同じ構成で実現できる。キャリア再生手
段6aが、図22のキャリア再生手段6と異なる点は、
入力である“切り替え信号”が、切替え信号“SW”に
置き換わる点である。キャリア位相推定手段5aと、キ
ャリア再生手段6aは並行して動作する。また切替え信
号SWが、“0”から“1”に変化(即ち、ULk ≧ε
u が成立)した直後の時間k=qにおいて、相関信号U
q がキャリア再生手段6aに初期値として与えられ、同
時に、キャリア再生手段6aの時定数が、短いものから
長いものに切り替えられる。キャリア再生手段6aは、
図26で示した4逓倍法に基づく方式以外にも、例えば
逆変調法に基づく方式でもよい。最近の文献では、例え
ば、阪田、久保田、加藤、“オープンループ型逆変調キ
ャリア再生方式”、信学技報RCS94−59に記載の
逆変調法に基づく方式がある。
【0050】選択手段7aは、切替え信号SWが“0”
から“1”に変化した直後の時間であるk=qの時だ
け、キャリア位相推定手段5aからの信号(即ち、φq
´)を選択し、それ以外の時間では、キャリア再生手段
6からの信号φRk を選択する。検波手段9は、選択手
段7から出力されるキャリア位相信号(φq ´あるいは
φRk )を用いてベースバンド複素信号(Ik ,Qk
を検波し、復調ータを得る。以上の処理例を、図4のタ
イミングチャートを用いて説明する。
【0051】図4に示すように、ベクトル長ULk はバ
ースト信号が入力される前では小さな値を示す。そし
て、バースト信号の先頭部にある“0π”変調信号が入
力されると、ベクトル長ULk は大きくなり、次にバー
スト信号のデータ部が入力されるとULk は再び小さな
値を示す。このベクトル長ULk が大きな値をす時のキ
ャリア位相推定値φq ´ほど、誤差は小さくなる。よっ
て、大きな値を示すベクトル長ULk を、しきい値εu
を用いて検出することで、誤差のないキャリア位相推定
値φq ´をフレームタイミングが不明な状態から、得る
ことができる。また上述の各処理により、相関信号Uk
は、振幅制限された“0π”変調信号の、T/2シンボ
ル点のデータをサンプリングすることによる悪影響を受
けないため、即ち相関信号Uk をしきい値εu と比較し
て、それを越えるものを算して検出することで、バース
ト信号が振幅制限されていても、バースト信号の到来を
正確に検出することができる。図4に示すように、検波
手段9はキャリア位相推定値φq ´が検出されるまでは
時定数を小さく設定した場合のφRk を用いて同期検波
を行なう。そして、キャリア位相推定値φq ´が検出さ
れたらφq ´を用い、それ以降はUq ´を初期値とし、
時定数を大きく設定した場合のφRk を用いて、同期検
波を行なう。また、仮にフェージング伝送路におけるフ
ェード、シャドウイング等により、キャリア位相推定値
φq ´が検出できない、即ちULk ≧εu が満たされい
場合は、データ部以降も時定数を小さく設定した場合の
φRk を用いることにより、フェージングによるキャリ
ア位相の激しい変化に、φRk を追随させていく。
【0052】このように、本発明における復調器は、キ
ャリア位相推定値φq ´をしきい値検出して、キャリア
位相推定手段5aからの信号φq ´と、キャリア再生手
段6aからの信号φRk を切替えるため、フレームタイ
ミング情報を必要としない。よって、受信信号が数十バ
ーストにわたって長時間瞬断された場合でも、回線復帰
後の迅速な“0π”変調信号を用いたキャリア再生が実
現できる。また本発明における復調器は、高速無線伝送
TDMAシステム等で生じ得るような、シンボル周期の
数倍から十数倍の範囲で、ランダムにバースト信号の到
来位置がずれるような場合でも、1バースト毎にキャリ
ア位相推定値φq ´を検出するため、信号φq ´と信号
φRk との切替えも、バースト信号の到来位置のずれに
応じて正確に行うことができる。
【0053】このような一連の動作により、“0π”変
調信号を用いた高速なキャリア位相推定と、キャリア位
相制御後のキャリア位相の低ジッタ、ならびにフェージ
ング伝送路等に対応した制御を、またこれらの効果によ
って得られる良好なビット誤り率特性を、外部からの切
替え信号を用いずに、フレームタイミングが不明な状態
で実現することができる。
【0054】タイミング再生手段8aは、相関値算出手
段4aで求められた相関信号Ck ,Sk を用いて、再生
クロックとナイキスト点とのタイミング位相を、フレー
ムタイミングが不明な状態で推定する。タイミング位相
の推定値は、“0π”変調信号入力時にのみ正しい値を
示すため、タイミング再生手段8aは、信号SWの
“0”から“1”への変化直後の時間におけるタイミン
グ位相推定値を用いる。以下に、タイミング再生手段8
aの詳細な動作を示す。タイミング再生手段8aは、フ
レームタイミングが不明な状態からの位相制御を可能と
するため、従来例と同様に、相関信号Ck ,Sk を用い
たタイミン位相推定を、以下の式(18a)〜(18
d)を用いて行なう。 ・|CIk |が最大値の場合 Xθk =CIk +sign[CIk ]・|CQk | Yθk =SIk +sign[CIk ・CQk ]・|SQk | (18a) ・|CQk |が最大値の場合 Xθk =CQk +sign[CQk ]・|CIk | Yθk =SQk +sign[CIk ・CQk ]・|SIk | (18b) ・|SIk |が最大値の場合 Xθk =CIk +sign[SIk ・SQk ]・|CQk | Yθk =SIk +sign[SIk ]・|SQk | (18c) ・|SQk |が最大値の場合 Xθk =CQk +sign[SIk ・SQk ]・|CQk | Yθk =SQk +sign[SQk ]・|SIk | (18d) ここでタイミング再生手段8aは、ULk ≧εU を満た
す時点であるk=qにおいて、信号(Xθq ,Yθq
を用いたタイミング位相Δθq の算出行い、Δθq から
タイミング位相差を打ち消すような位相制御を行なう。
この算出タイミングには、切替え信号SWの立ち上がり
エッジを用いればよい。以上の動作により、タイミング
再生手段8aは、フレームタイミングが不明な場合で
も、タイミング位相差を“0π”変調信号受信中に打ち
消すことが出来る。
【0055】更に、振幅制限を施した受信信号のT/2
シンボル点近傍の雑音成分による、タイミング再生手段
8aのタイミング位相推定精度の劣化を回避したい場合
は、以下のようにしてタイミング位相を推定する。はじ
めにULk ≧εU を満たす時点であるk=qにおいて、
前記した制御信号AC,ASが、共に論理“1”、ある
いは論理“0”である場合は、上記式(18a)から
(18d)を用いてタイミング位相を推定する。また、
ULk ≧εU を満たす時点k=qにおいて、ACが論理
“1”を、ASが論理“0”(即ち、相関信号Sk が確
からしくない状態)を示す場合、相関信号Sk をタイミ
ング位相推定に用いないように、上記式(18a)〜
(18d)にSIk =0、SQk =0を代入してΔθを
求める。同様に、ULk ≧εU を満たす時点k=qにお
いて、ACが論理“0”を、ASが論理“1”(即ち、
相関信号Ck が確からしくない状態)を示す場合、相関
信号Ck をタイミング位相推定に用いないように、上記
式(18a)〜(18d)にCIk =0、CQk =0を
代入してΔθを求める。
【0056】図19に、タイミング再生手段8aの構成
を示す。図において、81は“0”データ変換手段、8
2は絶対値変換手段、83は最大値検出手段、84はタ
イミング位相算出手段、85は再生クロック移相手段で
ある。“0”データ変換手段81は、制御信号AC、A
Sの論理値が共に“1”、あるいは“0”なら、入力で
あるデータ(CIk ,CQk )と、データ(SIk ,S
k )をそのまま出力する。また、制御信号ACが論理
“1”、ASが論理“0”なら、入力であるデータ(C
k ,CQk )はそのまま出力し、データ(SIk ,S
k )は“0”に変換して出力する。逆に制御信号AC
が論理“0”、ASが論理“1”なら、入力であるデー
タ(CIk ,CQk )は“0”に変換して出力し、デー
タ(SIk ,SQk )はそのまま出力する。絶対値変換
手段82は、CIk ,CQk ,SIk ,SQk の各デー
タの絶対値を求めて、出力する。最大値検出手段83
は、絶対値変換後の各データ、|CIk |,|CQ
k |,|SIk |,|SQk |の内、最大値を示すデー
タを検出し、その検出信号を最大値検出信号として出力
する。タイミング位相算出手段84は、この最大値検出
信号によって式(18a)〜(18d)の処理の1つを
選択し、CIk ,CQk ,SIk ,SQk の各データ
と、絶対値変換された各データ|CIk |,|CQ
k |,|SIk |,|SQk|を用いて、(Xθk ,Y
θk )を求める。そして、信号SWによって、ULk
εU を満たす時点であるk=qのデータ(Xθq ,Y
θq )から、Δθ=tan-1(Xθq /Yθq )を求
め、出力する。再生クロック移相手段85は、Δθが入
力されたら、再生クロックをΔθ移相させて、Δθを打
ち消すタイミング位相制御を行う。なお、振幅制限を施
した受信信号のT/2シンボル点近傍の雑音成分によ
る、タイミング位相推定精度の劣化を許容する場合(即
ち、上述のタイミング再生手段8aの場合)、タイミン
グ再生手段8aにおいて、データ変換手段81は不要と
なり、データ(CIk ,CQk )、(SIk ,SQk
が、そのまま絶対値変換手段82に入力されるような構
成となる。
【0057】ところでフレームタイミングが不明な場
合、バースト信号の先頭で、タイミング位相差Δθはラ
ンダムな値になるため、相関信号Uq が示すキャリア位
相φ´には位相不確定性が生じる。これを、図23に示
されるキャリア位相角φの場合を例に、説明する。図2
3に示されるキャリア位相角φを、図24(a)に示さ
れるタイミング位相差Δθで受信した場合、π/4<Δ
θ≦5π/4を満たす時は、図23に示される相関信号
S,Cのベクトルは入れ替わり、図24(b)に示され
る相関信号Uのベクトル角はπラジアン逆を向く。即
ち、π/4<Δθ≦5π/4を満たす場合、キャリア位
相角は、(φ−π)ラジアンとなり、それ以外ではφラ
ジアンとなる。よって、フレームタイミングが不明で、
タイミング位相差Δθがランダムな値を取る場合、キャ
リア位相の不確定性が生じることになる。
【0058】ここで変調方式が、差動符号化を用いたQ
PSK(DQPSK)方式の場合、キャリア位相不確定
性を考慮する必要はなく、検波手段9においてデータを
キャリア位相信号(φq ´あるいはφRk )を用いて4
値判定した後で、差動復号を行なえばよい。この時、差
動符号化されたデータが、即ち復調データとなる。
【0059】一方、変調方式が差動符号化を用いないQ
PSK方式の場合、キャリア位相不確定性を考慮する必
要がある。TDMAシステムでは、一般にフレーム同期
用の既知パターンとして、ユニークワード(UW)パタ
ーンがタイミング再生用プリアンブルの後に付加され
る。この場合、例えばユニークワード(UW)検出手段
13において求められるUWパターンの相関値を用い
て、キャリア位相推定値φq ´の位相不確定性を除去す
ることができる。また仮に、キャリア位相推定値φq ´
が検出できず、キャリア再生手段6aからのキャリア位
相信号φRk 用いてデータを復調する場合も同様にし
て、UWパターンの相関値から位相不確定性を除去する
ことができる。このキャリア位相不確定性は、UW検出
手段13において、キャリア位相が{φ,φ+π/2,
φ+π,φ+3π/2}ずれた場合に受信される、4つ
のUWパターンをあらかじめ設けておき、各4つのパタ
ーンと受信信号との相関を求めることで検出することが
できる。UWパターンが入力されると、4つの相関値の
いずれかが大きな値を示すため、例えばそれをしきい値
検出することで、UWパターンの検出を行なう。また、
4つのパターンの内、どれに対して相関ピークが得られ
たのかを示す信号を4値で出力し、この信号を用いて、
検波手段に入力されるキャリア位相に、位相のずれに応
じた補正値={0,−π/2,π,−3π/2}[ラジ
アン]を加算して、位相ずれを補正する。
【0060】以上のように、実施の形態1における復調
器は、フィードフォワード型タイミング再生方式を用い
る構成において、タイミング位相差に関係なく振幅制限
された“0π”変調信号であっても、高精度なキャリア
位相推定と、バースト信号のデータ部におけるキャリア
位相の低ジッタを実現できる。また、振幅制限された
“0π”変調信号によっても、高精度なキャリア位相推
定が得られるため、リミタ増幅器を用いることによる復
調器の小型化、低消費電力化と、良好なビット誤り率特
性との両方が同時に得られる。なお、本発明の実施の形
態1における復調器は、従来例と同様にシンボルレート
の2倍の周波数で動作するため、シンボルレートが数十
MHzと高い無線伝送システムにおいて、低消費電力の
回路であり、CMOSゲートアレイによるLSI化も容
易である。
【0061】ところで上述の実施の形態は、QPSK変
調方式のシステムについて説明したが、BPSK変調方
式のシステムにも適用できる。その場合は、本実施の形
態のキャリア再生手段を、4逓倍法から2逓倍法に変更
すればよい。また上述の実施の形態は、振幅制限された
ベースバンド信号に対して各処理を行なうが、振幅制限
されたベースバンド信号は即ち位相信号であり、ベース
バンド信号の位相情報を用いて同様の処理を行なっても
よい。
【0062】この位相情報を用いる場合の、(Ik,Q
k)が出力されるまでの復調器前段の構成は、図20に
示すように変更される。位相検出手段24は、リミタ1
1によって振幅制限されたIF信号から、ベースバンド
位相信号θ(t)を生成する。更に、サンプリング手段
3は、θ(t)を2倍オーバーサンプルして、位相デー
タθk を出力する。極座標変換手段25は、θk からI
k =cosθk 、Qk =sinθk を出力する。以降の
処理は、データ(Ik ,Qk )を用いて、上記直交検波
手段2を用いた処理と同様に行われる。また、実施の形
態2以降の復調器も同様な構成変更により、位相情報で
動作する復調器を実現することができる。
【0063】実施の形態2.この発明の実施の形態2で
は、相関値算出に無限インパルス応答(IIR)型フィ
ルタを用いることで、復調器の更なる小型化を実現す
る。また、しきい値ε C ,εS を用いずに高精度なキャ
リア位相推定を行なう構成として、相関信Ck ,Sk
各ベクトル長の差分値をもとに、相関信号Ck ,Sk
重けを与えて、合成してキャリア位相を推定する。復調
器は実施の形態1と同様、フレームタイミングが不明な
状態から連続動作して、QPSK変調されたバースト信
号のキャリア位相を推定し、同期検波を用いてデータを
復調する。キャリア位相推定は、振幅制限された“0
π”変調信号を用いて行なう。図5は、本実施の形態に
おけるキャリア位相推定手段を含む復調器の構成を示す
図である。図中、5bはキャリア位相推定手段、14は
重み付け値算出手段、17bはベクトル合成手段であ
る。その他の要素は実施の形態1の図1にある対応する
記号の要素と同じものである。
【0064】この実施の形態におけるキャリア位相推定
手段は、振幅制限された“0π”変調信号と、シンボル
レートの1/2の周波数のサイン成分との相関演算を行
ない、その結果を直交相関信号として出力し、また振幅
制限された“0π”変調信号と、シンボルレートの1/
2の周波数のコサイン成分との相関演算を行ない、その
結果を同相相関信号として出力する相関値算出手段4b
と、直交相関信号のベクトル長と同相相関信号のベクト
ル長との差分値から、直交用重み付け値と同相用重み付
け値を求めて、出力する重み付け値算出手段14と、直
交相関信号に直交用重み付け値を乗算して、重み付け直
交相関信号を求め、同相相関信号に同相用重み付け値を
乗算して、重み付け同相相関信号を求め、ベクトル長が
短い方の重み付け相関信号(重み付け直交相関信号、あ
るいは重み付け同相相関信号)の同相成分、直交成分に
対して、ベクトル長が長い方の重み付け相関信号の同相
成分、直交成分の符号(+1あるいは−1)をそれぞれ
乗算し、乗算された信号をベクトル長が長い方の相関信
号と合成し、合成後の信号を合成相関信号として出力す
るベクトル合成手段17bとで構成される。
【0065】次に、上述構成実施の形態2の復調器の動
作について説明する。本実施の形態の復調器は、実施の
形態1と同様の処理により、振幅制限されたベースバン
ド複素信号Ik 、及びQk を得る。相関値算出手段4b
は、以下の式(19)〜(22)の処理を施すIIR型
フィルタを用いて、相関信号Ck ,Sk を算出する。但
し、k=…, に、−3,−2,−1,0,1,2,3,
…であり、k=0の時間からバースト信号が入力される
ものとする。またα(<1)は忘却係数であり、Ns
[シンボル]の時定数に設定する場合は、α=(2Ns
−1)/2Nsに設定する。 CIk =CIk-1 ×α+Ik ×cos(ωs /2)×(kT/2)() CQk =CQk-1 ×α+Qk ×cos(ωs /2)×(kT/2)() SIk =SIk-1 ×α+Ik ×sin(ωs /2)×(kT/2)() SQk =SQk-1 ×α+Qk ×sin(ωs /2)×(kT/2)() 同じ時定数のフィルタを構成する場合、IIR型フィル
タを用いる方が、実施の形態1で示した移動平均より、
レジスタの数を削減することができ、更に回路規模を削
減することができる。
【0066】重み付け値算出手段14は、ベクトル長C
k とベクトル長SLk を実施形態1と同様、式(12
a)、(12b)、あるいは、式(13a)、(13
b)か、式(14a)、(14b)によって求める。即
ち2乗回路、加算回路と比較回路、または比較回路、ま
たは加算回路と比較回路で構成される。そしてその差分
値DLk を、以下の式(23)によって減算回路で求め
る。DLk =CLk −SLk (23)この差分値DLk
から、重み付け値WCk ,WSk を求める。重み付けW
k ,WSk は、DLk が正の値を示す場合は、WCk
>WSk を、Lk が負の値を示す場合は、WCk <WS
k を満たすものとする。例えばDLk >0が成立した
ら、WCk =DLk +1,WSk =1,DLk <0が成
立したら、WCk =1,WSk =−DLk +1とし、L
k =0が成立したら、WCk =1,WSk =1とする。
【0067】ベクトル合成手段17bは、AC,ASが
共に論理“1”の場合、あるいはAC,ASが共に論理
“0”の場合は、上述の重み付け算出手段14からのW
k WSk を用い、式(24a)、(24b)、(25
a)、(25b)に基づいて相関信号Uk を求める。 [CLk >SLk の場合] ・UIk =WCk ×CIk +sign[CIk ]×|WSk ×|(24a) ・UQk =WCk ×CQk +sign[CQk ]×|WSk ×|(24b) [CLk <SLk の場合] ・UIk =WSk ×SIk +sign[SIk ]×|WCk ×CI(25a) ・UQk =WSk ×SQk +sign[SQk ]×|WCk ×CQ(25b) このように、ベクトル長の差分値に応じた重み付けを行
なうことで、より確からしい方の相関信号が重み付けに
より強調されてから合成されるため、振幅制限された
“0π”変調信号に対しても、合成後の相関信号Uk
示すキャリア位相推定値は、高い精度を実現できる。以
降の処理は、実施の形態1と同様であり、しきい値εU
を越えたときの相関信号Uq を用いた同期検波が行われ
る。
【0068】実施の形態2において、振幅制限を施した
受信信号のT/2シンボル点近傍の雑音成分による、タ
イミング再生手段8aのタイミング位相推定精度の劣化
を回避したい場合は、以下のようにしてタイミング位相
を推定する。即ちULk ≧εU を満たす時点であるk=
qにおいて、以下の式(181a)〜(181d)に示
すように、重み付け値WCk を相関信号Ck に、重み付
け値WSk を相関信号Sk に乗算してΔθを求める。 ・WCk ×|CIk |が最大値の場合 Xθk =WCk ×CIk +sign[CIk ]×WCk
×|CQk | Yθk =WSk ×SIk +sign [CIk ・CQk ]×WSk ×|SQk | (181a) ・WCk ×|CQk |が最大値の場合 Xθk =WCk ×CQk +sign [CQk ]×WCk ×|CIk | Yθk =WSk ×SQk +sign [CIk ・CQk ]×WSk ×|SIk | (181b) ・WSk ×|SIk |が最大値の場合 Xθk =WCk ×CIk +sign [SIk ・SQk ]×WCk ×|CQk | Yθk =WSk ×SIk +sign [SIk ]×WSk ×|SQk | (181c) ・WSk ×|SQk |が最大値の場合 Xθk =WCk ×CQk +sign [SIk ・SQk ]×WCk ×|CQk | Yθk =WSk ×SQk +sign [SQk ]×WSk ×|SIk | (181d) そして、実施の形態1と同様に、タイミング再生手段8
aは、ULk ≧εU を満たす時点であるk=qにおい
て、上記式(181a)〜(181d)から求めた信号
(Xθq ,Yθq )を用いたタイミング位相Δθq の算
出を行い、Δθqからタイミング位相差を打ち消すよう
な位相制御を行う。以上の動作により、タイミング再生
手段8aは、フレームタイミングが不明な場合でも、タ
イミング位相差を“0π”変調信号受信中に打ち消すこ
とができる。
【0069】以上のように、実施の形態2における復調
器は、フィードフォワード型タイミング再生方式を用い
る構成において、タイミング位相差に関係なく、差分演
算結果を用いた重み付け処理により、振幅制限された
“0π”変調信号を用いた高精度なキャリア位相推定
と、バースト信号のデータ部におけるキャリア位相の低
ジッタを実現できる。また、振幅制限された“0π”変
調信号であっても、高精度なキャリア位相推定が得られ
るため、リミタ増幅器を用いることによる復調器の小型
化、低消費電力化と、良好なビット誤り率特性との両方
が同時に得られる。更に、実施の形態2における復調器
は従来例と同様にシンボルレートの2倍の周波数で動作
するため、低消費電力化と上述の実施の形態は、またC
MOSゲートアレイによるLSI化が容易であることは
実施の形態1と同様である。ところで上述の実施の形態
は、QPSK変調方式を用いたシステムを例に説明した
が、BPSK変調方式を用いたシステムにも適用できる
ことも実施の形態1と同様である。
【0070】実施の形態3.この発明の実施の形態3と
して、フィードバック型のタイミング再生方式を組み合
わせた場合を説明する。復調器はフレームタイミングが
不明な状態から連続動作し、バースト信号が入力された
ら、振幅制限された“0π”変調信号を用いたキャリア
位相推定と、そのキャリア位相を用いたデータの復調を
行なうことは実施の形態1、2と同様である。実施の形
態1及び実施の形態2は、フィードフォワード型のタイ
ミング再生手段を組み合わせた場合を想定し、あるタイ
ミング位相差Δθ(0≦Δθ<2π)をとり続けた場合
でも、振幅制限された“0π”変調信号に対して高精度
なキャリア位相推定を行なうものであるのに対し、本実
施の形態の復調器は、フィードバック型のタイミング再
生手段を組み合わせた場合を想定しており、フィードバ
ックによるタイミング位相変動に影響されずに、振幅制
限された“0π”変調信号に対して高精度なキャリア位
相推定を行なうものである。図6は、本実施の形態にお
けるキャリア位相推定手段を含む復調器の構成を示す図
である。図中、4cは相関値算出手段、5cはキャリア
位相推定手段、8bはタイミング再生手段、16は比較
選択手段である。その他の要素は実施の形態1の図1に
ある対応する記号の要素と同じものである。
【0071】この実施の形態におけるキャリア位相推定
手段は、再生クロックの立ち上がりと、ナイキスト点と
のタイミング位相検出信号を絶対値変換してから平均化
し、その平均値がしきい値を下回ったら、タイミング位
相同期と判定し、その平均値がしきい値以上であれば、
タイミング位相引込みと判定するタイミング位相同期検
出手段15と、振幅制限された“0π”変調信号に対し
て、シンボル周期の1/2の間隔で1,1,−1,−1
の繰り返しパターンを乗算し、その乗算結果を第一の乗
算複素データとし、また振幅制限された“0π”変調信
号に対して、シンボル周期の1/2の間隔で1,−1,
−1,1の繰り返しパターンを乗算し、その乗算結果を
第二の乗算複素データとし、タイミング位相同期検出手
段がタイミング位相引込み状態と判定したら、第一の乗
算複素データを平均化したものを第一の相関信号として
出力し、また第二の乗算複素データを平均化したものを
第二の相関信号として出力し、一方、タイミング位相同
期検出手段がタイミング同期状態と判定したら、再生ク
ロックの立ち上がりでサンプリングされた第一の乗算複
素データだけを用いて平均化したものを第一の相関信号
として出力し、また再生クロックの立ち上がりでサンプ
リングされた第二の乗算複素データだけを用いて平均し
たものを第二の相関信号として出力する相関値算出手段
4Cと、第一の相関信号のベクトル長と第二の相関信号
のベクトル長を比較し、ベクトル長が長い方の相関信号
を合成相関信号として出力する比較選択手段7aとで構
成される。
【0072】次に、上述構成の復調器の動作について説
明する。実施の形態1と同様に、受信IF信号はバンド
パスフィルタ1で帯域制限され、リミタ増幅器11で振
幅制限される。また直交検波手段2は、振幅制限された
受信IF信号を直交検波して、振幅制限された受信ベー
スバンド複素信号(Ik ,Qk )を出力する。また本実
施の形態3では、タイミング位相制御をフィードバック
で実現するようなタイミング再生手段8bを用いる。タ
イミング再生手段8bには、例えば文献“位相情報を用
いたQPSK用タイミング再生方式の検討”(藤村、三
宅、藤野、信学技報RCS96−160)記載の方式を
用いればよい。即ち、図20はタイミング再生手段8b
の詳細構成の例を示す図であり、図において86は入力
信号の複素信号Ik ,Qk からタイミング位相の進相/
遅相を検出する位相検出手段、87はその出力の位相検
出信号を平均化する平均化手段、88はこの得られた平
均値からタイミング位相制御を行う位相制御手段であ
る。これら位相検出手段86、平均化手段87、位相制
御手段88は閉ループを構成し、いわゆるPLL回路を
形成する。位相制御手段は、位相制御信号によって再生
クロックの位相を制御し、タイミング位相制御を行う。
【0073】本実施の形態において、再生クロックはシ
ンボルレートの周波数のクロックであり、サンプリング
手段3では、再生クロックの立ち上がりエッジと、立ち
下がりエッジを用いて、データを2倍オーバーサンプリ
ングする。また本実施の形態では、フィードバック制御
によりタイミング同期が確立されると、再生クロックの
立ち上がりエッジで、データのナイキスト点がサンプリ
ングされる。このようなフィードバック型のタイミング
再生手段8bを用いる場合、タイミング位相Δθはバー
スト先頭部ではランダムな値を示すが、時間の経過とと
もにΔθ=0[ラジアン]、あるいはΔθ=π[ラジア
ン]に収束していく。即ち、実施の形態1、2とは異な
り、バースト先頭部で徐々に変化して位相を変えてい
く。このようにタイミング位相がバースト先頭部で引込
み時に変動していくため、キャリア位相推定方法もタイ
ミング位相の変動に影響されない方式を用いる必要があ
る。実施の形態3は、このようなタイミング位相の変動
に影響されないで、キャリア位相推定を行なうものであ
る。
【0074】初めに相関値算出手段4cの構成を、図7
に示す。図7に示されるように相関値算出手段4cは、
乗算手段401、データ出力制御手段402、平均化手
段403で構成される。乗算手段401は、複素ベース
バンド信号(Ik ,Qk )に対して、繰りしパターンで
ある信号、sin(ωs /2)×(kT/2+T/4)
=1,1,−1,−1,…を乗算して信号(FIk ,F
k )を、cos(ωs /)×(kT/2+T/4)=
1,−1,−1,1,…を乗算して信号(GIk ,GQ
k )を得る。但し、k=0,1,2,3,…である。但
しωs は、シンボルレートの周波数をfs で表記すると
ωs =2πfs で表されるシボル角周波数である。
【0075】データ出力制御手段402は、タイミング
位相が引込み過程で検出されない場合、信号(FIk
FQk )と、信号(GIk ,GQk )をそのまま出る。
また、タイミング位相の同期が検出された場合、信号
(FIk ,FQk )と信号(GIk ,GQk )の内、再
生クロックの立ち上がりでサンプリングれたデータだけ
を出力する。このタイミング位相同期の判定には、後述
するタイミング位相同期信号TLk を用いる。平均化手
段403は、データ出力制御手段402出力信号である
(FIk ´,FQk ´)と、信号(GIk ´,GQ
k ´)を、移動平均(FIR)フルタ、あるいはIIR
型フィルタを用いて平均化し、その平均値を相関信号V
k =(VIk ,VQk )、及びWk =(WIk ,W
k )として出力。
【0076】比較選択手段16は、相関信号Vk のベク
トル長と、相関信号Wk のベクル長を比較し、ベクトル
長の長い方の相関信号を相関信号Uk として選択する。
このように、2つの相関信号Vk ,Wk を求め、そのベ
クトル長の長い方、相関信号Uk とする処理は、フレー
ムタイミングが不明な場合に対応した処理であり、その
詳細は後述する。
【0077】相関信号Uk 算出以降の処理は、実施の形
態1と同様であり、式(16)によって求まる相関信号
k のベクトル角を用いて、キャリア位相推定を行な
う。図22に示す、キャリア位相φの“0π”変調信号
を受信した場合を例に、本実施の形態における動作を、
図8、図9を用いて説明する。フィードバック型のタイ
ミング再生手段8bにより、タイミング位相差Δθは、
時間の経過とともに“0”、あるいは“π”に収束する
ため、図8に示すΔθを有するタイミングチャートは、
次第に図9に示すタイミングチャートへと変化してい
く。また図8では、タイミング位相同期信号TLk は非
同期状態を示す論理“0”を、図9では、タイミング位
相同期信号TLk は同期状態を示す論理“1”を示して
いるとする。図8の例では、乗算手段401において、
振幅制限された“0π”変調信号(Ik ,Qk )に、c
os(ωs/2)×(kT/2+T/4)=1,−1,
1,1,…を乗算して信号Fk =(FIk ,FQk
を、sin(ωs/)×(kT/2+T/4)=1,−
1,−1,1,…を乗算して信号Gk =(Glk ,GQ
k )を得る。データ出力制御手段402は、TLk が非
同期状態を示す論理“0”であるため、信号Fk 、信号
k の全てのデータを平均化手段403に出力する。
【0078】図9の場合も図8の場合と同様に、乗算手
段401において、信号Fk =(FIk , FQk ),G
k =(Glk , GQk )を得るが、Δθ=0でめ、(I
1 ,Q1 ),(I3 ,Q3 ),(I5 ,Q5 ),…は、
Tンボル点をサンプリングして得られた一定振幅に増幅
された雑音成分となり、ランダムな位相を示す。この場
合、信号Fk ,信号Gk 共に、kが奇数の各信号は、ラ
ンダムな位を示すものとなり、図中にこれらの信号を破
線で表記する。図9においてデータ出力制御手段402
は、タイミング同期検出信号TLk が同期状態を示す論
理“1”であるため、kが偶数の信号Fk ,Gk だけを
均化手段403に入力し、破線で示したkが奇数の信号
k ,Gk は、平均に用いない。
【0079】平均化手段403は、このようなデータ出
力制御手段402からの信号を平均化し、相関信号Vk
=(VIk ,VQk )、及びWk =(WIk ,W)を出
力する。このように、TLk が論理“1”である場合
は、kが奇数のデータを平均化に用いないため、平均化
手段403は、図10のように構成される。図10
(a)に示す平均化手段403は、一例として移動平均
フィルタを用いた場合の構成であり、図中、4031は
イネーブル信号生成手段、4032a,4032bはイ
ネーブル機能付きのシフトレジスタ、4033a,40
33bは加算器である。シフトレジスタ4032a,4
032bの段数は、“0π”変調信号の長さがNs [シ
ンボル]の場合、Ns 段とする。イネーブル信号生成手
段4031は、TLk が論理“1”である場合は、kが
奇数番目の時間に、論理“1”となり、偶数番目の時間
に論理“0”となるイネーブル信号ENk を出力する。
また、TLk が論理“0”である場合、Ek は常に論理
“0”の信号を出力する。シフトレジスタ4032a,
4032bは、ENk が論理“1”を示したら、シフト
動作を停止(ディスイネーブル)することで、その時の
k ,Qk 平均化処理に用いない。
【0080】また、IIR型フィルタを用いる場合の平
均化手段403の構成は、図10(b)のように示され
る。図9と同一符号を付した図10において、4034
a,4034bは加算器、4035a,4035bはD
フリップフロップ、4036a,4036bは乗算器で
ある。図10に示すIIR型フィルタも、イネーブル信
号ENk によって、動作が制御される。ENk が論理
“0”の時は、通常動作により、入力信号Ik ,Q
k と、却係数α(<1)が乗算されたDフリップフロッ
プの値が加算され、積分動作が行われる。一方、ENk
が論理“1”を示したら、Dフリップフロップ4035
a,4035bの動作を停止(ディスイネーブル)する
ことで、その時のIk ,Qk を平均化処理に用いない。
【0081】以上のような動作により、タイミング位相
引き込み時は、データ出力制御手段402出力信号であ
る(FIk ´,FQk ´)と、信号(GIk ´,GQ
´)を全て使用して平均化を行い、タイミング位相同期
時は、kが偶数のデータ(すなわちナイキスト点デー
タ)のみを使用して平均化を行うことで、高速に高精度
でキャリア位相の推定を行っている。各平均値は、相関
信号Vk =(VI,VQk )、及びWk =(WIk ,W
k )として出力される。図8に示すタイミング位相引
込み時の例では、信号(FIk ´,FQk ´)の値が一
定した値をとるため、相関信号Vk のベクトル長は“0
π”変調信号の入力と共に、増加していく。一方、信号
(GIk ´,GQk ´)の各値は、その符号が1サンプ
ル毎に正と負を交互に繰り返すため、相関信号Wk のベ
クトル長は、“0π”変調信号が入力されても増加して
いかない。また図9で示すタイミング位相同期の確立時
には、相関信号Vk ,Wk のベクトル長は、同じように
増加していく。上述したように比較選択手段16は、相
関信号Vk のベクトル長と相関信号Wk のベクトル長を
比較し、ベクトル長の長い方の相関信号を相関信号Uk
して用いる。
【0082】このように相関信号Vk ,Wk から、相関
信号Uk を求める理由につい以下に述べる。フレームタ
イミングが不明な場合では、タイミング位相引込み時に
おいてΔθが0〜2πの間でランダムな値を取る。この
時、相関信号Vk がΔθによって確からしい値を示す場
合と、確からしくない値を示す場合がある。またその逆
で、相関信号Wk はΔθによって、Vk が確からしい値
を示す場合は、確からくない値を示し、Vk が確からし
くない値を示す場合は、確からしい値を示す。図8の例
では、相関信号Vk の方が、相関信号Wk より確からし
い場合でり、この場合、相関信号Vk のベクトル長が、
相関信号Wk のベクトル長よ大きな値を示す。相関信号
k のベクトル長が、相関信号Wk のベクトル長り大き
な値を示す範囲は、0<Δθ<π/2,3π/2<Δθ
<2πである。
【0083】また、相関信号Wk のベクトル長が、相関
信号Vk のベクトル長より大き値を示す範囲は、π/2
<Δθ<3π/2であり、その一例を、図11に示す。
この場合、信号(FIk ´,FQk ´)の各値は、その
符号が1サンプルに正と負を交互に繰り返すため、相関
信号Vk のベクトル長は、“0π”変調信号が入力され
ても増加していかない。一方、信号(GIk ´,GQk
´)値は一定した値をとるため、相関信号Wk のベクト
ル長は、“0π”変調信号の入力と共に増加していく。
【0084】このように、相関信号Vk ,Wk のどちら
か一方のみを用いてキャリア位推定を行なうと、Δθの
値によっては、確からしくない値が得られるため、タイ
ミング位相引込み時におけるキャリア位相推定精度の劣
化が生じるが、上記のように、2つの相関信号Vk ,W
k のベクトル長の大きい方を相関信号Uk して選択する
ことで、フレームタイミングが不明で、かつタイミング
位相が引込み過程の場合でも、キャリア位相推定を精度
よく行なうことができる。
【0085】以上の一連の処理により、本実施の形態に
おけるキャリア位相推定は、2つの相関信号Vk ,Wk
を用いるため、フレームタイミングが不明な場合におい
もΔθの値に影響されずにキャリア位相を求めることが
できる。またタイミング位相引込み時は、全てのデータ
を平均化に用いてキャリア位相推定を行い、タイミング
位相同期時は、振幅制限されたT/2シンボル点のデー
タを省いた平均化によってキャリア位相推定を行なうこ
とにより、振幅制限された“0π”変調信号に対するキ
ャリア位相を、短時間で精度よく推定することができ
る。
【0086】またタイミング位相同期検出手段15は、
タイミング位相の同期/非同期を判定して、タイミング
同期信号TLk を出力する。タイミング位相の同期/非
同期の判定は、例えばタイミング再生手段8b内の、位
相検出部出力DTk を平均化して求めることができる。
一般に、フィードバック型の位相検出特性は、図12に
示すようにSカーブを描く。但し、mod(Δθ,π)
は、タイミング位相差Δθ[ラジアン]を、πで除算し
た場合の余剰を意味する。Δθは、“0π”変調信号の
2シンボル周期の位相に対するタイミング位相差である
ため、ナイキスト点が{0,π}、T/2シンボル点が
{π/2,3π/2}となる。よって、図12のmod
(Δθ,π)=0がナイキスト点、mod(Δθ,π)
=π/2が、T/2シンボル点となる。
【0087】タイミング位相が引込まれると、mod
(Δθ,π)=0となり、絶対値変換されたDTk の値
は、平均すると“0”になる。よって、タイミング位相
同期検出手段15は、例えば図13に示される構成によ
り、容易に実現することができる。図13において、1
51は絶対値変換手段、152は移動平均手段、153
は比較手段である。図13に示すタイミング位相同期検
出手段15は、タイミング位相同期の検出を、絶対値変
換手段151においてDTk を絶対値変換し、比較手段
153で移動平均手段152から出力されるその平均値
が“0”であるか、否かを、しきい値TEを用いて判定
する。
【0088】このように実施の形態3では、タイミング
位相引込み時は、再生クロックの立ち上がりでサンプリ
ングされたデータと、立ち下がりでサンプリングされた
データを全て用いてキャリア位相推定を行ない、タイミ
ング位相同期時は、キャリア位相推定にナイキスト点近
傍をサンプリングした立ち上がりデータのみを用いるこ
とで、T/2シンボル点近傍のデータ(即ち、一定振幅
に増幅された雑音成分)使用による、キャリア位相推定
精度の劣化を防止することができる。よって、タイミン
グ位相差Δθを徐々に“0”に収束されるような、フィ
ードバック位相制御を行うPLL型タイミング再生手段
8bを、キャリア位相推定手段5dと併用することがで
きる。
【0089】またフレームタイミングが不明な場合、バ
ースト信号の先頭で、タイミング位相差がランダムに発
生するが、相関信号Vk ,Wk を用いたキャリア位相推
により、タイミング位相差に関係なく、キャリア位相推
定をおこなうことができる。更に、本実施の形態3の発
明における復調器も、“0π”変調信号が振幅制限され
ていても、良好なキャリア位相推定が行なえるため、他
の実施の形態と同様に復調器にリミタ増幅器があって自
動利得制御回路が不要となり、復調器の小型化が実現で
きる。また本復調器は、シンボルレートの2倍の周波数
で動作し、低消費電力化とLSI化が容易となることも
同様である。また、QPSK変調方式を用いたシステム
で説明したが、BPSK変調方式を用いたシステムにも
適用できること等も他の実施の形態と同様である。
【0090】フィードバック型のタイミング再生方式を
組み合わせた本実施の形態における他の復調器を以下に
説明する。復調器もフレームタイミングが不明な状態か
ら連続動作し、バースト信号が入力されたら、振幅制限
された“0π”変調信号を用いたキャリア位相推定と、
そのキャリア位相を用いたデータの復調を行なう。図1
4は、そのキャリア位相推定手段を含む復調器の構成を
示す図である。図中、5dはキャリア位相推定手段、1
5aはタイミング位相同期検出手段、4dは相関値算出
手段である。その他の要素は図6に対応する記号で示し
た要素と同じものである。
【0091】本実施の形態における他のキャリア位相推
定手段は、再生クロックの立ち上がりと、ナイキスト点
とのタイミング位相検出信号を絶対値変換してから平均
化し、その平均値が大きいほど、第一の重み付け値か
ら、第二の重み付け値を減算した値が小さくなり、その
平均値が小さいほど、第一の重み付け値から、第二の重
み付け値を減算した値が大きくなるような、2つの重み
付け値(第一の重み付け値,第二の重み付け値)を出力
するタイミング位相同期検出手段と、振幅制限された
“0π”変調信号に対して、シンボル周期の1/2の間
隔で1,1,−1,−1の繰り返しパターンを乗算し、
その乗算結果を第一の乗算複素データとし、また振幅制
限された“0π”変調信号に対して、シンボル周期の1
/2の間隔で1,−1,−1,1の繰り返しパターンを
乗算し、その乗算結果を第二の乗算複素データとし、第
一の乗算複素データの内、立ち上がりでサンプリングさ
れた第一の乗算複素データに対して第一の重み付け値を
乗算し、立ち下がりでサンプリングされた第一の乗算複
素データに対して第二の重み付け値を乗算し、これらの
重み付けされた第一の乗算複素データを平均化したもの
を第一の相関信号として出力し、また第二の乗算複素デ
ータの内、立ち上がりでサンプリングされた第二の乗算
複素データに対して、第一の重み付け値を乗算し、立ち
下がりでサンプリングされた第二の乗算複素データに対
して、第二の重み付け値を乗算し、これらの重み付けさ
れた第二の乗算複素データを平均化したものを第二の相
関信号として出力する相関値算出手段と、第一の相関信
号のベクトル長と第二の相関信号のベクトル長を比較
し、ベクトル長が長い方の相関信号を合成相関信号とし
て出力する比較選択手段とで構成される。
【0092】次に、上述構成の復調器の動作について説
明する。本構成の装置は図6の構成のものと同様、図1
4に示されるように、タイミング位相制御をフィードバ
ックで実現するようなタイミング再生手段8bを用い
る。また図6の構成と同様の処理により、ベースバンド
複素信号(Ik ,Qk )は、相関値算出手段4dに入力
される。図6の構成と異なる点は、タイミング位相同期
検出手段15aと、相関値算出手段4dである。
【0093】タイミング位相同期検出手段15aは、タ
イミング再生手段8bから出力されるDTk を用いて、
重み付け信号WGk を出力する。図15は、タイミング
位相差算出手段15aの構成を示す図であり、154は
変換手段である。図中、その他の要素は図11の同番号
のそれと同じものである。上述したように、タイミング
再生手段8bからの信号DTk を絶対値変換し、平均化
した信号ADTk は、タイミング位相同期時において、
“0”となる。一方、タイミング位相差が大きくなる
と、ADTk は大きな値をとる。また信号Fk ,G
k は、タイミング位相引き込み時では、いずれもT/2
シンボ点のデータを含まないため、キャリア位相を算出
するのに有効である。逆に、タイミング位相同期時で
は、k=奇数番目のデータがT/2シンボル点のデータ
となるため、ナイキスト点データであるk=偶数番目の
データのみが、キャリア位相を算出するのに有効であ
る。
【0094】以上のことから、信号ADTk が大きな値
を取る場合は、信号Fk ,Gk の奇数番目のデータ、偶
数番目のデータ共に大きな重み付けをかけ、信号ADT
k が小さな値を取る場合は、奇数番目のデータには小さ
な重み付けを、偶数番目のデータには大きな重み付けを
かける。これらは、信号ADTk に対して線形的な重み
付けでもよいし、非線形的な重み付けでもよい。これら
の処理を実現するため、変換手段154は、信号ADT
k から、信号Fk ,Gk の奇数番目のデータに対する重
み付け値WGOk と、信号Fk k の偶数番目のデータ
に対する重み付け値WGEk を出力する。変換手段54
は、ROMで構成することができる。変換の一例を、図
16に示す。この例では、信号ADTk が4ビット(0
〜15)で表され、WGOk ,WGEk は、5ビットで
出力される。
【0095】次に、相関値算出手段4dの動作を説明す
る。図17は、相関値算出手段4dの構成を示した図で
あり、図において403aは平均化手段、404は重み
付け手段である。その他の要素は図7における同番号の
それと同じものである。相関値算出手段4dにおける乗
算手段401は、図6の構成と同様、ベースバンド信号
k ,Qk から信号Fk ,Gk を生成する。次に、重み
付け手段404は、kが奇数番目の信号Fk ,Gk に対
してWOk を乗算し、その乗算結果を信号FWk =(F
IWk ,FQWk )と出力する。また、kが偶数番目の
信号Fk ,Gk に対してWGEk を乗算、その乗算結果
を信号GWk =(GIWk ,GQWk )として出力す
る。平均化手段403aは、これらの信号FWk 、GW
k を移動平均フィルタ、るいはIIR型フィルタを用い
て平均化し、平均化信号Vk =(VIk ,Vk ),Wk
=(WIk ,WQk )を出力する。
【0096】以降の処理は、実施の形態3の図6の装置
と同様であり、比較選択手段16は、信号Vk ,Wk
ら相関信号Uk を出力し、相関信号Uk のベクトル算出
することで、振幅制限された“0π”変調信号を用いた
キャリア位相推定を行なう。
【0097】このように図14の構成による装置は、信
号Fk ,Gk に対するきめ細か重み付けを行なったもの
を平均化に用いるため、T/2シンボル点近傍のデータ
(即ち、一定振幅に増幅された雑音成分)使用による、
キャリア位相推定精度の劣化を防止することができ、図
6の装置のように平均化に信号Fk ,Gk をて用いる
か、kが偶数番目のデータだけを用いるかを選択する方
式と比較して、更に特性の向上が期待できる。また図1
6の構成の装置も、フレームタイミングが不明な場合、
バースト信号の先頭でタイミング位相差がランダムに発
生するが、相関信号Vk ,Wk をいたキャリア位相推定
により、タイミング位相差に関係なく、キャリア位相推
定をおこなうことができる。その他の実施の形態3の装
置が持つ特徴も、またそのまま持つことになる。
【0098】実施の形態4.実施の形態1の装置を更に
簡略化した構成を説明する。この発明の実施の形態4に
おける復調器も、フレームタイミングが不明な状態から
連続動作して、QPSK変調されたバースト信号のキャ
リア位相を推定し、同期検波を用いてデータを復調す
る。キャリア位相推定は、振幅制限された“0π”変調
信号を用いて行なう。
【0099】この実施の形態における位相推定手段は、
振幅制限された“0π”変調信号とシンボルレートの1
/2の周波数のサイン成分との相関演算を行ない、その
結果を直交相関信号として出力し、また振幅制限された
“0π”変調信号と、シンボルレートの1/2の周波数
のコサイン成分との相関演算を行ない、その結果を同相
相関信号として出力する相関値算出手段4aと、直交相
関信号のベクトル長と、同相相関信号のベクトル長とを
比較し、直交相関信号のベクトル長が同相相関信号のベ
クトル長より大きければ直交相関信号を合成相関信号と
して出力し、同相相関信号のベクトル長が直交相関信号
のベクトル長より大きければ同相相関信号を合成相関信
号として出力し、また合成相関信号が示すベクトル角を
キャリア位相推定値として出力するベクトル長比較選択
手段18とで構成される。図18は、本実施の形態にお
けるキャリア位相推定手段を含む復調器の構成を示す図
である。図中、18はベクトル長比較選択手段である。
その他の要素は図1中の同番号のそれと同等のものであ
る。
【0100】次に、本実施の形態における復調器の動作
について説明する。本実施の形態において、キャリア位
相推定手段5e以外の動作は、実施の形態1と同じであ
る。本実施の形態においては、実施の形態1より簡単な
回路構成でも、振幅制御された“0π”変調信号を用い
て、高速で高精度なキャリア位相推定を行うことができ
る。
【0101】本実施の形態における相関値算出手段4a
は、実施の形態1と同様な処理により、相関信号C
k と、相関信号Sk を得る。ここで、タイミング位相差
Δθによって相関信号Ck と相関信号Sk のベトル長は
相反する関係となり、再生クロックの立ち上がり点がナ
イキスト点近くをサンプリングする場合(即ち、−π/
2<(2×mod(Δθ,π))<π/2の場合)、相
関信号Ck のベクトル長の方が相関信号Sk のベクトル
長よ長くなる。従って、相関信号Ck の示すベクトル角
の方が相関信号Sk のベトル角よりキャリア位相推定角
に近い値を示す。またこの逆に、再生クロックの立ち下
がり点がナイキスト点近くをサンプリングする場合(即
ち、π/2<(2×mod(Δθ,π),あるいは−π
/2>(2×mod(Δθ,π))、相関信号Sk のベ
クトル長の方が、相関信号Ck のベクトル長より長くな
る。従って、相関信号Sk の示すベクトル角の方が、相
関信号Ck のベクトル角よりャリア位相推定角に近い値
を示す。
【0102】そこでベクトル長比較選択手段18は、相
関信号Ck のベクトル長と相関信号Sk のベクトル長を
比較し、相関信号Ck のベクトル長の方が相関信号Sの
ベクトル長より長い場合は、相関信号Ck を合成相関信
号Uk として出し、逆に相関信号Sk のベクトル長の方
が相関信号Ck のベクトル長より長場合は、相関信号S
k を合成相関信号Uk として出力する。また、実施の形
1と同様、合成相関信号Uk のベクトル角を算出し、算
出結果を、キャリア位相推定角φ´として出力する。更
に信号“SW”は、合成相関信号Uk のベクトル長がし
きい値εu を超えたら、論理“1”を、それ以外の場合
は論理“0”を出力する。
【0103】以降の処理は、実施の形態1と同様であ
る。また、タイミング再生手段8aは、実施の形態1で
示すような、フィードフォワード型である必要はなく、
実施の形態3で示したようなフィードバック型でもよ
い。
【0104】以上のように、実施の形態4における復調
器は、実施の形態1と同様に、タイミング位相差に関係
なく、振幅制限された“0π”変調信号を用いても高精
度なキャリア位相推定と、バースト信号のデータ部にお
けるキャリア位相の低ジッタが得られる。また、振幅制
限された“0π”変調信号を用いた高精度なキャリア位
相推定が実現できるため、リミタ増幅器を用いることに
よる復調器の小型化、低消費電力化と、良好なビット誤
り率特性の両立が実現できること等は他の実施の形態と
同様である。
【0105】
【発明の効果】上述のようにこの発明によれば、キャリ
ア位相推定手段は、直交相関信号と同相相関信号がそれ
ぞれ確からしいものであるかそうでないかを検出し、確
からしい相関信号のみを用いてキャリア位相を求める構
成としたので、“0π”変調信号が振幅制限されていて
も良好なキャリア位相推定が行える効果がある。更に自
動利得制御回路が不要となり回路が小型化できる効果も
ある。
【0106】また更に、他のキャリア位相推定手段は、
確からしさに応じたきめ細かい重み付けを直交相関信号
と同相相関信号に対して行なってから両者を合成してキ
ャリア位相を求める構成としたので、振幅制御された
“0π”変調信号に対しても良好なキャリア位相推定が
行える効果がある。
【0107】更にこの発明によれば、基本構成に加え
て、キャリア位相推定手段がベクトル長が所定のしきい
値以上であるかで位相推定を完了するようにしたので、
キャリア再生を早期に切り替えて有効利用できる効果が
ある。
【0108】また更にこの発明によれば、基本構成に加
えてユニークワード検出手段も備えたので、更に厳密に
絶対同期検波によるデータの復調ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1におけるバースト信
号復調器の構成図である。
【図2】 実施の形態1におけるΔθ=0の場合の各相
関信号の例を示す図である。
【図3】 実施の形態1における図27の信号受信時に
おける各相関信号の例を示す図である。
【図4】 実施の形態1における検波動作の例を示すタ
イミングチャート図である。
【図5】 この発明の実施の形態2におけるバースト信
号復調器の構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態3におけるバースト信
号復調器の構成図である。
【図7】 実施の形態3における相関値算出手段の構成
図である。
【図8】 実施の形態3におけるタイミング位相引き込
み時のキャリア位相推定動作の例を示すタイミングチャ
ート図である。
【図9】 実施の形態3におけるタイミング位相同期時
のキャリア位相推定動作の例を示すタイミングチャート
図である。
【図10】 実施の形態3における平均化手段に、移動
平均フィルタを用いた場合とIIRフィルタを用いた場
合の構成図である。
【図11】 実施の形態3におけるタイミング位相引き
込み時のキャリア位相推定動作の例を示すタイミングチ
ャート図である。
【図12】 実施の形態3におけるタイミング再生手段
の位相検出特性の例を示す図である。
【図13】 実施の形態3におけるタイミング位相同期
検出手段の構成図である。
【図14】 この発明の実施の形態3における他のバー
スト信号復調器の構成図である。
【図15】 図14の復調器におけるタイミング位相検
出手段の構成図である。
【図16】 図14の復調器における変換手段が行う変
換例を示す図である。
【図17】 図14の復調器における相関値算出手段の
構成図である。
【図18】 この発明の実施の形態4におけるバースト
信号復調器の構成図である。
【図19】 タイミング再生手段8aの詳細構成図であ
る。
【図20】 位相情報を用いる場合の復調器前段の詳細
構成図である。
【図21】 タイミング再生手段8bの詳細構成図であ
る。
【図22】 従来のバースト信号復調器の構成図であ
る。
【図23】 位相平面上における“0π”変調信号の一
例を示す図である。
【図24】 “0π”変調信号の波形の一例と従来の相
関値算出回路の出力信号の例を示す図である。
【図25】 従来のキャリア位相推定手段の動作の例を
示す図である。
【図26】 従来のキャリア再生手段の構成を示す図で
ある。
【図27】 従来の切り替え信号とバースト信号を示す
タイミングチャート図である。
【図28】 従来のバースト信号復調器にリミタ増幅器
を用いた場合の構成図である。
【図29】 振幅制御された“0π”変調信号波形の例
を示した図である。
【図30】 振幅制限を施さない場合の相関信号S,C
の一例と振幅制限を施した場合の相関信号S,Cの一例
を示した図である。
【符号の説明】
1 バンドパスフィルタ、2 直交検波手段、3 サン
プリング手段、4,4a,4b,4c,4d 相関値算
出手段、5,5a,5b,5c,5d,5eキャリア位
相推定手段、6,6a キャリア再生手段、7 選択手
段、8,8a,8b タイミング再生手段、9 検波手
段、10 自動利得制御手段、11リミタ増幅器、12
しきい値比較手段、13 ユニークワード検出手段、
14重み付け値算出手段、15,15a タイミング位
相同期検出手段、16 比較選択手段、17,17a,
17b ベクトル合成手段、18 ベクトル長比較選択
手段、24 位相検出手段、25 極座標変換手段、8
1 “0”データ変換手段、82 絶対値変換手段、8
3 最大値検出手段、84 タイミング位相算出手段、
85 再生クロック位相手段、86 位相検出手段、8
7 平均化手段、88 位相制御手段、151 絶対値
変換手段、152 移動平均手段、153 比較手段、
154 変換手段、401 乗算手段、402 データ
出力制御手段、403,403a 平均化手段、404
重み付け手段、601, 601a 4逓倍手段、6
02 同相成分平均化手段、603 直交成分平均化手
段、604 極座標変換手段、605 位相除算手段、
4031 イネーブル信号生成手段、4032a,40
32b シフトレジスタ、4033a,4033b 加
算器、4034a,4034b 加算器、4035a,
4035b Dフリップフロップ、4036a,403
6b 乗算器。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一定振幅に振幅制限された入力信号を直
    交検波して復調する構成において、 上記入力信号のベースバンド複素信号を積算して所定値
    以上の信号のみを用いて相関計算するか、または相関計
    算結果で所定値以上の相関信号で入力信号のキャリア位
    相を推定し、推定したキャリアの相関信号を出力するキ
    ャリア位相推定手段と、 上記ベースバンド複素信号でキャリア再生を行ってキャ
    リア位相を推定出力するキャリア再生手段と、 上記キャリア位相推定手段出力のキャリア位相推定信号
    を用いてデータ検出用のタイミングを生成するか、また
    は帰還型の位相制御により装置のタイミングを得るタイ
    ミング再生手段とを備え、上記キャリア位相推定手段出
    力か上記キャリア再生手段出力かのいずれかの出力の位
    相と、上記タイミング再生手段によるタイミングとによ
    り最終検波出力を得ることを特徴とする復調器。
  2. 【請求項2】 キャリア位相推定手段は、 入力信号のベースバンド複素信号を設定時間幅以上にわ
    たって相関計算して積算して相関信号を得る相関値算出
    手段と、 上記相関値算出手段出力の各相関信号がそれぞれ所定の
    しきい値を超えるかを調べるしきい値比較手段と、 上記しきい値比較手段が調べてしきい値を超えた相関信
    号からベクトルを得て合成相関信号として出力し、上記
    合成相関信号が示すベクトル角をキャリア位相として推
    定出力するベクトル合成手段とで構成されることを特徴
    とする請求項1記載の復調器。
  3. 【請求項3】 キャリア位相推定手段は、しきい値比較
    手段とベクトル合成手段とに代えて、 相関値算出手段出力の直交相関信号と同相相関信号とを
    比較してベクトルの大きい方を合成相関信号として出力
    し、上記合成相関信号が示すベクトル角をキャリア位相
    として推定出力するベクトル長比較選択手段を用いたこ
    とを特徴とする請求項2記載の復調器。
  4. 【請求項4】 キャリア位相推定手段は、 入力信号のベースバンド複素信号を設定時間幅以上にわ
    たって相関計算して積算して相関信号を得る相関値算出
    手段と、 上記相関値算出手段出力である直交及び同相相関信号の
    ベクトルの差分値から重み付け値を求める重み付け値算
    出手段と、 上記求められた重み付け値を用いて積算した上記直交及
    び同相相関信号からベクトルを得て合成相関信号として
    出力し、上記合成相関信号が示すベクトル角をキャリア
    位相として推定出力するベクトル合成手段とで構成され
    ることを特徴とする請求項1記載の復調器。
  5. 【請求項5】 キャリア位相推定手段は、 タイミング位相の同期か非同期かを再生タイミング信号
    の位相を検出して判定し、同期時にタイミング同期信号
    を出力するタイミング位相同期検出手段と、 入力信号のベースバンド複素信号を設定時間幅以上にわ
    たって上記タイミング位相同期信号で相関計算して平均
    化して相関信号を得る相関値算出手段と、 上記相関値算出手段が算出した相関信号のうちでベクト
    ル長が長い相関信号を選択出力する比較選択手段とで構
    成され、上記選択後の相関信号を出力し、該相関信号が
    示すベクトル角をキャリア位相として推定出力するよう
    にし、 タイミング再生手段は、入力信号の直交検波出力が最大
    となるよう帰還制御してタイミング同期後のシンボルレ
    ートのクロックを得る構成としたことを特徴とする請求
    項1記載の復調器。
  6. 【請求項6】 タイミング位相同期検出手段は、再生ク
    ロックの立ち上がりとナイキスト点とのタイミング位相
    検出信号の絶対値平均に基づいて重み付け値を出力し、 相関値算出手段は、上記重み付けした値で相関計算して
    積算して相関信号を得る相関値算出手段としたことを特
    徴とする請求項5記載の復調器。
  7. 【請求項7】 キャリア位相推定手段は、自身が最終出
    力する合成相関信号のベクトル長が所定のしきい値以上
    になると位相が合致したとして位相推定完了信号を出す
    ようにしたことを特徴とする請求項1記載の復調器。
  8. 【請求項8】 キャリア位相推定手段は、入力信号のベ
    ースバンド複素信号をシンボルレートの2倍のクロック
    でオーバーサンプリングし、 キャリア再生手段は、上記オーバーサンプリングされた
    ベースバンド複素信号を用いて4逓倍法または逆変調法
    によりキャリア再生して位相推定を行い、上記キャリア
    位相推定手段からの位相推定完了を受けて上記キャリア
    位相推定手段出力の相関信号による位相を初期値として
    最終検波用の位相に用いるようにしたことを特徴とする
    請求項1記載の復調器。
  9. 【請求項9】 タイミング再生手段は、入力信号のベー
    スバンド複素信号を積算し相関計算で得られる直交相関
    信号と同相相関信号とを用いて再生クロックとナイキス
    ト点とのタイミング位相差を推定し、位相推定完了信号
    により上記推定したタイミング位相差を打ち消す位相制
    御を行うようにした特徴とする請求項1記載の復調器。
  10. 【請求項10】 タイミング再生手段は、入力信号の相
    関複素信号を所定の論理でそのまままたは0に変換する
    データ変換手段と、上記変換された後の相関複素信号の
    絶対値から最大の絶対値を得る最大絶対値検出手段と、
    上記得られた最大絶対値に対応するタイミング位相を求
    めるタイミング位相算出手段とを備え、位相推定完了信
    号により上記算出したタイミング位相を再生クロック位
    相手段に出力してタイミング位相差を打ち消す位相制御
    を行うようにした特徴とする請求項1記載の復調器。
  11. 【請求項11】 タイミング再生手段は、入力信号のベ
    ースバンド複素信号からタイミング位相の進み/遅れを
    検出して位相検出信号を得る位相検出手段と、上記得た
    位相検出信号を平均化してその平均値から位相制御信号
    を得る平均化手段と、上記得た位相制御信号でタイミン
    グ位相制御を行う位相制御手段を備えて、装置のタイミ
    ングを行う再生クロックを得るようにしたことを特徴と
    する請求項1記載の復調器。
  12. 【請求項12】 キャリア位相推定手段が位相推定完了
    信号を出力すると上記キャリア位相推定手段が出力する
    キャリア位相推定値を選択出力し、それ以外ではキャリ
    ア再生手段が出力するキャリア位相を選択して最終検波
    用に出力する選択手段を備えたことを特徴とする請求項
    1記載の復調器。
  13. 【請求項13】 最終検波出力して得られる復調データ
    と、所定のワードパターンとの相関検出をしてユニーク
    ワードを検出するユニークワード検出手段を備えて、最
    終検波出力は、上記検出されたユニークワードにより最
    終検波出力した結果を補正するようにしたことを特徴と
    する請求項1記載の復調器。
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