JP3850611B2 - タイミング再生器およびこれを用いた復調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイミング再生器および復調装置に関し、特にバースト信号の先頭にプリアンブルを有する広帯域ディジタル無線通信システムに適したタイミング再生器および復調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のプリアンブルを有する広帯域ディジタル無線通信システム用復調装置のタイミング再生器として、例えば文献「キャリア・クロック同時再生方式(Carrier-Clock Simultaneous Recovery Scheme)」(名倉,松本,久保田,加藤 著電子情報通信学会 (The Institute Of Electronics, Information And Communication Engineers)信学技報(Technical Report Of IEICE) RCS94-60,pp.7-12,1994年9月)に記載されている2つの方式がある。
【0003】
一つはOQPSK変調用に広く用いられているプリアンブル信号からタイミング位相を推定する方式である。このプリアンブル信号は、複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移する信号(例えば“1101”パターン)である。この方式に関する特許として「バースト信号復調回路」(特開平7−235956,発明者:松本,加藤)が存在する。
【0004】
もう一つはQPSK変調用に広く用いられているプリアンブル信号からタイミング位相を推定する方式である。このプリアンブル信号は、複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移する“0π”変調信号(例えば“1001”パターン)である。この方式に関する特許として「バースト信号復調回路」(特開平8−46658,発明者:名倉,松本,加藤)が存在する。
【0005】
これらの方式は、いずれのプリアンブル信号もシンボル周波数(fs)の1/2の周波数成分を有していることに着目し、受信機側で、これらプリアンブル信号と、VCOから出力される1/2シンボル周波数成分exp[−jπ(fs)t]との相関を求め、その相関値の示すベクトル角からタイミング位相を推定するものである。
【0006】
また、いずれの方式においても、データのサンプリング速度は僅か2[sample/symbol]であり、例えば文献「信号検出方式、及びバースト復調装置」(特開平6−141048,発明者:吉田)に記載されているような、非線形処理後の信号(例えばエンベロープ)と、シンボル周波数成分exp[−j2π(fs)t]との相関からタイミング位相を推定する従来方式において必要となるサンプリング速度の最小値(=4[sample/symbol])の1/2であるため、サンプリング速度の低減による受信機の低消費電力化を実現することができる。以下に上記2つの方式(特開平7−235956,特開平8−46658)の詳細を示す。
【0007】
はじめに、複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル(“1101”パターン)信号を用いたタイミング再生方式(特開平7−235956)について説明する。
図14は、上述のタイミング再生器を含んだ復調装置を示すブロック図である。図14において、100はアンテナ、200は周波数変換手段、301,302はAD変換器、400はタイミング再生器、500はデータ判定手段であり、タイミング再生器400内において、401は1シンボル遅延手段、402は共役複素乗算手段、403はタイミング位相差算出手段、404はVCOである。
【0008】
次に、従来の復調装置の動作について説明する。アンテナ100は、RF帯のプリアンブル信号を受信し、周波数変換手段200はRF帯のプリアンブル信号をベースバンド帯のプリアンブル信号に周波数変換する。
図15に、このベースバンド帯のプリアンブル信号(“1101”パターン)の信号空間図を示す。図15において、θcは受信信号のキャリア位相であり、プリアンブル信号は、図中のナイキスト点“A”と、ナイキスト点“B”を1シンボル毎に交互に遷移する。ナイキスト点“A”のベクトル角は(θc−45)[deg]、ナイキスト点“B”のベクトル角は(θc+45)[deg]であり、ナイキスト点“A”とナイキスト点“B”の各ベクトル角の差は90[deg]である。
【0009】
AD変換器301は、このベースバンドプリアンブル信号の同相成分を、時刻t=τ+iT/2(但し、i=1,2,3,…、τはタイミング誤差(−T/2≦τ<T/2)、Tはシンボル周期)においてサンプリングし、サンプリングされたプリアンブルデータ系列Ipi(i=1,2,3,…)を出力する。同様に、AD変換器302は、ベースバンドプリアンブル信号の直交成分を、時刻t=τ+iT/2においてサンプリングし、サンプリングされたプリアンブルデータ系列Qpi(i=1,2,3,…)を出力する。
【0010】
よって、サンプリング速度は2[sample/symbol]であることが明らかである。またサンプリングは、後段のタイミング再生器400出力である再生サンプルクロックの立上がりエッジで行い、タイミング位相推定動作を行っている間は、再生サンプルクロックの位相制御は行われない。
タイミング再生器400は、プリアンブルデータ系列Ipi(i=1,2,3,…)とプリアンブルデータ系列Qpi(i=1,2,3,…)を用いてタイミング誤差τを算出し、タイミング誤差τを打ち消す位相制御を、再生サンプルクロックと、再生シンボルクロックに対して行う。
【0011】
ここで再生シンボルクロックとは、再生サンプルクロックを2分周した、シンボル周期のクロックである。
データ判定手段500は、タイミング再生器400によってタイミング誤差τが打ち消された後、プリアンブルの後に続く有意なランダムデータ系列Idi,Qdi(i=1,2,3,…)から、ナイキスト点におけるデータを、再生シンボルクロックでラッチする。そして、ラッチしたナイキスト点データを用いてデータを判定し、復調データを出力する。
【0012】
次に、タイミング再生器400の動作について説明する。1シンボル遅延手段401は、プリアンブルデータ系列Ipi(i=1,2,3,…)とプリアンブルデータ系列Qpi(i=1,2,3,…)を1シンボル時間遅延させ、共役複素乗算手段402はプリアンブルデータ系列(Ipi,Qpi)と、1シンボル前のプリアンブルデータ系列(Ipi-2,Qpi-2 )との共役複素乗算を、下記式で行う。
【0013】
IDi=(Ipi×Ipi-2)+(Qpi×Qpi-2) (1a)
QDi=(Qpi×Ipi-2)−(Ipi×Qpi-2) (1b)
【0014】
この処理によって、プリアンブル信号に対して遅延検波が行われる。このような処理を行うことで、図16に示すように、キャリア位相θcに関係無く、点“C”と点“D”を1シンボル毎に遷移するプリアンブル信号を得ることができる。このプリアンブル信号の示す位相θX(t)は、図17に示すように+90[deg]から−90[deg]の位相遷移と、−90[deg]から+90[deg]の位相遷移を、それぞれ1シンボル周期で交互に繰り返すため、1/2シンボル周波数成分を有する。
【0015】
そこでタイミング位相差算出手段403は、この位相θX(t)と、VCOから出力される1/2シンボル周波数成分exp[−jπ(fs)t]との相関を求める。具体的には、信号(IDi,QDi)の示す位相をθXiとすると、以下の乗算を行い、
【0016】
MIi=θXi×cosπi/2 (2a)
MQi=θXi×sinπi/2 (2b)
【0017】
その乗算結果(MIi,MQi)を平均化して、相関値(ΣMI,ΣMQ)を出力する。なお、式(2a)、(2b)の乗算は、cosπi/2=1,0,−1,0,…、sinπi/2=0,1,0,−1,…であるため、上記相関値(ΣMI,ΣMQ)は、容易に求めることができる。例えば、4シンボルで平均化する場合、相関値(ΣMI,ΣMQ)は下記式で得られる。
【0018】
【0019】
この相関値が示すベクトル角
θT=tan-1(ΣMQ/ΣMI)
が2シンボル周期(2T)で正規化した場合のタイミング位相差であり、よってシンボル周期(T)で正規化した場合のタイミング位相差θs[deg]は、以下の式で求まる。
【0020】
θs=2θT mod360 (4)
【0021】
タイミング位相差θsと、タイミング誤差τの関係は、以下の通りである。
θs>180[deg]の場合、
τ=(θs−360)T/360 (5a)
θs≦180[deg]の場合、
τ=(θs)T/360 (5b)
【0022】
例えば、位相信号θX(t)に対して、図17に示すタイミングでサンプリングし、データ系列{θXi ,θXi+1 ,θXi+2 ,θXi+3 ,… }を得た場合、図18に示すような相関値(ΣMI,ΣMQ)と、タイミング位相差θT が得られる。
タイミング位相差算出手段403は、以上の演算によって得られたタイミング誤差τより、タイミング誤差τを打ち消す制御信号を、後段のVCO404に与える。VCO404は、タイミング位相差算出手段からの制御信号を受けて、再生サンプルクロックと、再生シンボルクロックの位相を制御し、タイミング誤差τを“0”とする。
【0023】
次に、複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル(“0π”変調,例えば“1001”パターン)信号を用いたタイミング再生方式(特開平8−46658)について説明する。
図14との対応部分に同一符号を付した図19は、上述のタイミング再生器を含んだ復調装置を示す。図19において、400aはタイミング再生器、403aはタイミング位相差算出手段、405aはIch相関演算手段、405bはQch相関演算手段、406はベクトル合成選択手段である。
【0024】
また、図20はベクトル合成選択手段406の構成図であり、407aは第一のベクトル合成手段、407bは第二のベクトル合成手段、407cは第三のベクトル合成手段、407dは第四のベクトル合成手段、408は最大絶対値検出手段、409は選択手段である。
更に、図20との対応部分に同一符号を付した図21はベクトル合成選択手段406のもう一つの構成図であり、410a,410bは加算手段、411aは第一の選択手段、411bは第二の選択手段、411cは第三の選択手段、411dは第四の選択手段である。
【0025】
次に、復調装置の動作について説明する。前述した図14の従来例の構成と同様、アンテナ100は、RF帯のプリアンブル信号を受信し、周波数変換手段200はRF帯のプリアンブル信号をベースバンド帯のプリアンブル信号に周波数変換する。
図22に、このベースバンド帯のプリアンブル信号(“1001”パターン)の信号空間図を示す。図22において、θcは受信信号のキャリア位相であり、プリアンブル信号は、図中のナイキスト点“A”と、ナイキスト点“B”を1シンボル毎に原点を通過しながら、交互に遷移する。
【0026】
ナイキスト点“A”のベクトル角はθc[deg]、ナイキスト点“B”のベクトル角は(θc+180)[deg]であり、ナイキスト点“A”とナイキスト点“B”の各ベクトル角の差は180[deg]である。
図14の従来例と同様、AD変換器301は、このベースバンドプリアンブル信号の同相成分を、時刻t=τ+iT/2(但し、i=1,2,3,…、τはタイミング誤差(−T/2≦τ<T/2),Tはシンボル周期)においてサンプリングし、サンプリングされたプリアンブルデータ系列Ipi(i=1,2,3,…)を出力する。
【0027】
同様に、AD変換器302は、ベースバンドプリアンブル信号の直交成分を、時刻t=τ+iT/2においてサンプリングし、サンプリングされたプリアンブルデータ系列Qpi(i=1,2,3,…)を出力する。後段のタイミング再生器400aは、タイミング位相推定動作を行っている間は、再生サンプルクロックの位相制御は行われない。
【0028】
また、タイミング再生器400aは、図14の従来例と同様、プリアンブルデータ系列Ipi(i=1,2,3,…)とプリアンブルデータ系列Qpi(i=1,2,3,…)を用いてタイミング誤差τを算出し、タイミング誤差τを打ち消す位相制御を、再生サンプルクロックと、再生シンボルクロックに対して行う。再生シンボルクロックは、再生サンプルクロックを2分周した、シンボル周期のクロックである。
【0029】
データ判定手段500も、図14の従来例と同様、タイミング再生器400aによってタイミング誤差τが打ち消された後、プリアンブルの後に続く有意なランダムデータ系列Idi,Qdi(i=1,2,3,…)から、ナイキスト点におけるデータを、再生シンボルクロックでラッチする。そして、ラッチしたナイキスト点データを用いてデータを判定し、復調データを出力する。
【0030】
次に、タイミング再生器400aの動作について説明する。図22に示すような原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号を受信する場合、図14に示す従来例は適用できない。図22に示すプリアンブル信号を遅延検波すると、遅延検波後(即ち、共役複素乗算手段出力)の位相信号θX(t)は、常に約180[deg]となり、シンボル周波数の1/2の周波数成分が得られないため、VCO404から出力されるシンボル周波数の1/2の周波数成分exp[−jπ(fs)t]との相関が“0”になるためである。
【0031】
そこで、図19の従来例では、図22のプリアンブル信号の同相成分I(t)と、直交成分Q(t)それぞれに対してシンボル周波数の1/2の周波数成分exp[−jπ(fs)t]との相関演算を行う。具体的には、Ich相関演算手段405aは、オーバーサンプルされたプリアンブルデータ系列Ipi(i=1,2,3,…)に対して、以下の乗算を行い、
【0032】
Ici=Ipi×cosπi/2 (6a)
Isi=Ipi×sinπi/2 (6b)
【0033】
その乗算結果(Ici,Isi)を平均化して、相関値(CI,SI)を求め、Qch相関演算手段405bは、オーバーサンプルされたプリアンブルデータ系列Qpi(i=1,2,3,…)に対して、以下の乗算を行い、
【0034】
Qci=Qpi×cosπi/2 (7a)
Qsi=Qpi×sinπi/2 (7b)
【0035】
その乗算結果(Qci,Qsi)を平均化して、相関値(CQ,SQ)を求める。
なお、式(6a)、(6b)、(7a)、(7b)の乗算は、cosπi/2=1,0,−1,0,…、sinπi/2=0,1,0,−1,…であるため、上記相関値(CI,SI)、(CQ,SQ)は、容易に求めることができる。例えば、4シンボルで平均化する場合、相関値(CI,SI)は下記式で得られ、
【0036】
【0037】
相関値(CQ,SQ)は下記式で得られる。
【0038】
ここで、相関値(CI,CQ)の示すベクトル角と、(SI,SQ)の示すベクトル角は、図14の従来例と同様、いずれもタイミング位相誤差を示すが、キャリア位相θcによって、お互い同じ方向を向く場合や、反対方向を向く場合、あるいはどちらかのベクトルが消失する場合がある。
例えば、図22に示すように、θcの範囲が(90<θc<180)あるいは(270<θc<360)を満たすプリアンブル信号に対して、図23に示すタイミングでサンプリングし、データ系列{Ipi ,Ipi+1 ,Ipi +2 ,Ipi+3 ,… }とデータ系列{Qpi ,Qpi+1 ,Qpi +2 ,Qpi+3 ,… }を得た場合、図24(a)に示すような相関値(CI,SI)と、相関値(CQ,SQ)が得られ、各相関ベクトルの角度は反対方向を向く。
【0039】
一方、図25に示すように、θcの範囲が(0<θc<90)あるいは(180<θc<270)を満たすプリアンブル信号に対して、図26に示すタイミングでサンプリングし、データ系列{Ipi ,Ipi+1 ,Ipi +2 ,Ipi+3 ,… }とデータ系列{Qpi ,Qpi+1 ,Qpi +2 ,Qpi+3 ,… }を得た場合、図27に示すような相関値(CI,SI)と、相関値(CQ,SQ)が得られ、各相関ベクトルの角度は同じ方向を向く。また、キャリア位相θcによって各ベクトル長が変化することも明らかであり、θc={0,180}では、相関値(CI,SI)のベクトルは消失し、θc={90,−90}では、相関値(CQ,SQ)のベクトルが消失する。
【0040】
そこでベクトル合成選択手段406は、キャリア位相θcの影響を除去するため、相関値(CI,CQ)と、相関値(SI,SQ)を後述する4つの状態にそれぞれ合成し、もっともSN比の高い合成ベクトルを選択し、タイミング位相差算出手段403aは、ベクトル合成選択手段406が選択した合成ベクトルからタイミング位相を算出する。
【0041】
図20のベクトル合成選択手段406において、最大絶対値検出手段408はCI,CQ,SI,SQの4つの絶対値を求め、各絶対値の最大値が4つのうちのどれであるか検出する。
また第一のベクトル合成手段407aは、以下の式によって合成ベクトル(G1C,G1S)を出力し、
【0042】
G1C=CI+sign[CI]・|CQ| (10a)
G1S=SI+sign[CI・CQ]・|SQ| (10b)
【0043】
第二のベクトル合成手段407bは、以下の式によって合成ベクトル(G2C,G2S)を出力し、
【0044】
G2C=CQ+sign[CQ]・|CI| (11a)
G2S=SQ+sign[CI・CQ]・|SI| (11b)
【0045】
第三のベクトル合成手段407cは、以下の式によって合成ベクトル(G3C,G3S)を出力し、
【0046】
G3C=CI+sign[SI・SQ]・|CQ| (12a)
G3S=SI+sign[SI]・|SQ| (12b)
【0047】
第四のベクトル合成手段407dは、以下の式によって合成ベクトル(G4C,G4S)を出力する。
【0048】
G4C=CQ+sign[SI・SQ]・|CI| (13a)
G4S=SQ+sign[SQ]・|SI| (13b)
但し、sign[*]は、[]内の符号(=±1)を意味する。
【0049】
選択手段409は、最大絶対値検出手段408の検出信号を受け、合成相関値(ΣC,ΣS)を(G1C,G1S)、(G2C,G2S)、(G3C,G3S)、(G4C,G4S)から選択する。
【0050】
【0051】
このような処理により、キャリア位相θcによる影響が除去され、相関値(CI,CQ),相関値(SI,SQ)のベクトルの向きが揃えられた合成ベクトルが、もっともタイミング位相推定に適したベクトルとして選択される。例えば、図24の場合、ベクトル長の小さい相関値(CQ,SQ)を反転して両者のベクトル方向を揃え、相関値(CI,SI)に加算した合成ベクトルが選択される。このときの相関値(ΣC,ΣS)は、図28のようになる。また図27の場合、ベクトル長の小さい相関値(CQ,SQ)をそのまま、相関値(CI,SI)に加算した合成ベクトルが選択される。このときの相関値(ΣC,ΣS)は、図29のようになる。
【0052】
なお、ベクトル合成選択手段406は、上述した図20のように、あらかじめCI,SI,CQ,SQから生成した4つの合成ベクトルから、一つのベクトルを選択する処理のほかに、図21のように、最大絶対値検出手段408の検出結果を基に、407a,407b,407c,407dのいずれかの合成手段を実行するような構成でも、同様な出力結果が得られる。図21の構成は、図20の構成と比較して、回路規模を低減することができる。図21に示すベクトル合成選択手段において、最大絶対値検出手段408の検出結果を基に、各選択手段411a,411b,411c,411dは、以下の値を出力する。
【0053】
第一の選択手段411a出力であるSEL1は、
【0054】
第二の選択手段411b出力であるSEL2は、
【0055】
第三の選択手段411c出力であるSEL3は、
【0056】
第四の選択手段411d出力であるSEL4は、
SEL4=SI
(|CI|あるいは|SI|が最大の場合) (18a)
SEL4=SQ
(|CQ|あるいは|SQ|が最大の場合) (18b)
【0057】
加算器410aはSEL1とSEL2を加算し、加算結果をΣCとして出力する。また、加算器410bはSEL3とSEL4を加算し、加算結果をΣSとして出力する。
以上の処理により、図21で構成されるベクトル合成選択手段は、図20で構成されるベクトル合成選択手段と同様の値を出力する。
【0058】
次に、タイミング位相差算出手段403aは、合成相関値(ΣC,ΣS)が示すベクトル角
θ2s=tan-1(ΣS/ΣC) (19)
を求める。θ2sは、前記θTと同様、2シンボル周期(2T)で正規化した場合のタイミング位相差であり、よってシンボル周期(T)で正規化した場合のタイミング位相差θs[deg]は、式(20)で求まる。
θs=2θ2s mod360 (20)
【0059】
図28の場合のθ2sと、図29の場合のθ2sは、180[deg]の差があるが、式(20)の処理により、図28のθ2sから求まるθsと、図29のθ2sから求まるθsは一致する。
なお、タイミング位相差θsとタイミング誤差τの関係は、式(5a)、(5b)の通りである。
タイミング位相差算出手段403aは、以上の演算によって得られたタイミング誤差τより、タイミング誤差τを打ち消す制御信号を、後段のVCO404に与える。VCO404は、タイミング位相差算出手段からの制御信号を受けて、再生サンプルクロックと、再生シンボルクロックの位相を制御し、タイミング誤差τを“0”とする。
【0060】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来例におけるプリアンブルを用いる2つのタイミング再生器400,400aは、いずれもプリアンブル信号の含まれる1/2シンボル周波数成分と、VCOから出力される1/2シンボル周波数成分exp[−jπ(fs)t]との相関を求め、その相関値の示すベクトル角からタイミング位相を推定するものであり、サンプリング速度も2[sample/symbol]と低速であるため、特に広帯域TDMA無線通信システムに有効な方式であるが、いずれもキャリア位相差θcの影響を除去するための各手段が備わっており、それらの手段が回路規模の増大や、演算処理量の増加を招いている。
【0061】
例えば、タイミング再生器400では、キャリア位相差θcの影響を除去するため、1シンボル遅延手段401と、共役複素乗算手段402を用いた遅延検波を行っている。よって、共役複素乗算手段402では、乗算器4個と、加算器2個が必要であり、大きな回路規模、演算処理が必要となる。
【0062】
また、タイミング再生器400aでは、キャリア位相差θcの影響を除去するため、ベクトル合成選択手段406を用いた、複雑な加減算処理と選択処理を行っている。ベクトル合成選択手段406では、あらかじめCI,SI,CQ,SQから生成した4つの合成ベクトルから、一つのベクトルを選択する処理を実施する図20の場合は、各合成手段407a,407b,407c,407d内に含まれる計8個の加算器や、8つのデータ系列から、2つのデータ系列を選択する選択手段409を必要とする。
【0063】
さらに、ベクトル合成選択手段406を図21の構成で実現する場合、加算器の数を8個から2個に低減することができるため、図20と比較して回路規模を低減することができるが、その場合でも加算器410a,410bの前段に4つの選択手段411a,411b,411c,411dが必要となり、処理が複雑である。
【0064】
また、上述のタイミング再生器400a,400bは、プリアンブル信号を受信するタイミングが既知である場合にのみ有効であり、例えば移動端末機における電源立上げ時や、シャドウイング復帰後の再接続において生じるバースト信号の受信タイミングが未知である場合には、プリアンブルを受信するタイミングが判らないため、適用することができない。
【0065】
本発明は、上記のような問題を解決し、回路規模、演算処理を低減させるタイミング再生器およびこれを用いた復調装置を提供することを目的とする。
【0066】
また、本発明は、複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移する信号(例えば“1101”パターン)、複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移する“0π”変調信号(例えば“1001”パターン)のいずれのプリアンブル信号に対して有効なタイミング再生器およびこれを用いた復調装置を提供することを目的とする。
【0067】
さらに、本発明は、プリアンブルを受信するタイミングが判らない場合でも有効なタイミング再生器およびこれを用いた復調装置を提供することを目的とする。
【0068】
【課題を解決するための手段】
請求項1のタイミング再生器は、ベースバンド信号の同相成分と、ベースバンド信号の直交成分とを加算し、加算後の信号を加算信号として出力する加算手段と、ベースバンド信号の同相成分と、ベースバンド信号の直交成分とを減算し、減算後の信号を減算信号として出力する減算手段と、加算信号と、受信機側で生成する1/2シンボル周波数成分との相関を算出し、算出した相関値を加算相関信号として出力する加算相関演算手段と、減算信号と、1/2シンボル周波数成分との相関を算出し、算出した相関値を減算相関信号として出力する減算相関演算手段と、加算相関信号の大きさと、減算相関信号の大きさとを比較し、どちらか大きい方の相関信号を選択し、選択した相関信号を選択相関信号として出力するベクトル選択手段と、選択相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出するタイミング位相差算出手段とを備えることを特徴とする。
【0069】
請求項2において、タイミング位相差算出手段は、選択相関信号の示すベクトル角およびベクトル長を算出し、ベクトル長が大きい場合にプリアンブル信号を検出したと判定し、その時の選択相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出することを特徴とする。
【0070】
請求項3において、ベースバンド信号をサンプリングする再生サンプルクロックおよび再生1/2シンボル周波数成分を出力し、タイミング位相差情報を用いて、タイミング誤差を“0”に位相制御する再生サンプルクロック発振手段を更に備えることを特徴とする。
【0071】
請求項4において、加算相関演算手段、減算相関演算手段、ベクトル選択手段、タイミング位相差算出手段および再生サンプルクロック発振手段の処理は、再生サンプルクロックでサンプリングされたベースバンド信号を用い、加算相関演算手段および減算相関演算手段は、1/2シンボル周波数成分を再生1/2シンボル周波数成分とすることを特徴とする。
【0072】
請求項5において、再生サンプルクロックでサンプリングされたベースバンド信号を用いてタイミング位相を検出し、その検出信号を位相検出信号として出力する位相検出手段と、位相検出信号を平均化し、その平均を位相進み遅れ信号として出力する位相検出信号平均化手段とを更に備え、再生サンプルクロック発振手段は、タイミング位相差情報と位相進み遅れ信号の両方を用いて、タイミング誤差を“0”に位相制御することを特徴とする。
【0073】
請求項6において、ベースバンド信号をサンプリングする非同期サンプルクロックおよび非同期1/2シンボル周波数成分を出力する非同期サンプルクロック発振手段を更に備えることを特徴とする。
【0074】
請求項7において、加算相関演算手段、減算相関演算手段、ベクトル選択手段、タイミング位相差算出手段および非同期サンプルクロック発振手段の処理は、非同期サンプルクロックでサンプリングされたベースバンド信号を用い、加算相関演算手段および減算相関演算手段は、1/2シンボル周波数成分を非同期1/2シンボル周波数成分とすることを特徴とする。
【0075】
請求項8のタイミング再生器は、ベースバンド信号の同相成分と、ベースバンド信号の直交成分とを加算し、加算後の信号を加算信号として出力する加算手段と、ベースバンド信号の同相成分と、ベースバンド信号の直交成分とを減算し、減算後の信号を減算信号として出力する減算手段と、加算信号と、受信機側で生成する1/2シンボル周波数成分との相関を算出し、算出した相関値を加算相関信号として出力する加算相関演算手段と、減算信号と、1/2シンボル周波数成分との相関を算出し、算出した相関値を減算相関信号として出力する減算相関演算手段と、加算相関信号の大きさと、減算相関信号の大きさとを比較し、どちらか大きい方の相関信号を選択し、選択した相関信号を選択相関信号として出力するベクトル選択手段と、選択相関信号の示すベクトル長の大きさに応じた重み付けを、選択相関信号に与え、重み付けされた選択相関信号を、重み付け相関信号として出力する重み付け手段と、重み付け相関信号を平均化し、その平均を重み付け平均相関信号として出力する重み付け信号平均化手段と、平均相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出するタイミング位相差算出手段とを備えることを特徴とする。
【0076】
請求項9において、タイミング位相差算出手段は、重み付け平均相関信号の示すベクトル角およびベクトル長を算出し、ベクトル長が大きい場合にプリアンブル信号を検出したと判定し、その時の選択相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出することを特徴とする。
【0077】
請求項10において、ベースバンド信号をサンプリングする再生サンプルクロックおよび再生1/2シンボル周波数成分を出力し、タイミング位相差情報を用いて、タイミング誤差を“0”に位相制御する再生サンプルクロック発振手段を更に備えることを特徴とする。
【0078】
請求項11において、加算相関演算手段、減算相関演算手段、ベクトル選択手段、重み付け手段、重み付け信号平均化手段、タイミング位相差算出手段および再生サンプルクロック発振手段の処理は、再生サンプルクロックでサンプリングされたベースバンド信号を用い、加算相関演算手段および減算相関演算手段は、1/2シンボル周波数成分を再生1/2シンボル周波数成分とすることを特徴とする。
【0079】
請求項12において、重み付け信号平均化手段は、重み付け相関信号をそれぞれ入力とする時定数の短い第一のローパスフィルタと、時定数の長い第二のローパスフィルタとを備え、位相制御時に第一のローパスフィルタおよび第二のローパスフィルタの各直交成分に“0”を、同相成分に、位相制御前の(同相成分2+直交成分2)1/2をセットし、タイミング位相差算出手段は、第一のローパスフィルタの示す第一のベクトル角および第一のベクトル長を算出し、第一のベクトル長が大きい場合にプリアンブル信号を検出したと判定し、第一のベクトル角を用いて初期タイミング位相差を算出し、第二のローパスフィルタの示す第二のベクトル角および第二のベクトル長を算出し、第一の位相制御後、第二のベクトル長が大きい場合に第二のベクトル角を用いて位相追随用タイミング位相差を周期的に算出し、再生サンプルクロック発振手段は、初期タイミング位相差および位相追随用タイミング位相差の両方を、タイミング位相差情報として用いて、タイミング誤差を“0”に位相制御することを特徴とする。
【0080】
請求項13において、ベースバンド信号をサンプリングする非同期サンプルクロックおよび非同期1/2シンボル周波数成分を出力する非同期サンプルクロック発信手段を更に備えることを特徴とする。
【0081】
請求項14において、加算相関演算手段、減算相関演算手段、ベクトル選択手段、重み付け手段、重み付け信号平均化手段、タイミング位相差算出手段および非同期サンプルクロック発振手段の処理は、非同期サンプルクロックでサンプリングされたベースバンド信号を用い、加算相関演算手段および減算相関演算手段は、1/2シンボル周波数成分を非同期1/2シンボル周波数成分とすることを特徴とする。
【0082】
請求項15において、重み付け信号平均化手段は、重み付け相関信号をそれぞれ入力とする時定数の短い第一のローパスフィルタと、時定数の長い第二のローパスフィルタとを更に備え、タイミング位相差算出手段は、第一のローパスフィルタの示す第一のベクトル角および第一のベクトル長を算出し、第一のベクトル長が大きい場合にプリアンブル信号を検出したと判定し、第一のベクトル角を用いて初期タイミング位相差を算出し、第二のローパスフィルタの示す第二のベクトル角および第二のベクトル長を算出し、第一の位相制御後、第二のベクトル長が大きい場合に第二のベクトル角を用いて位相追随用タイミング位相差を周期的に算出することを特徴とする。
【0083】
請求項16の復調装置は、タイミング再生器と、無線信号を受信するアンテナと、アンテナで受信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換する周波数変換手段と、周波数変換手段で変換されたベースバンド信号を、再生サンプルクロックを用いてシンボルレートの2倍でサンプリングし、ディジタルベースバンド信号に変換して、タイミング再生器に与えるAD変換手段と、タイミング再生器から出力された再生シンボルクロックを用いて、ディジタルベースバンド信号の中からナイキスト点データを抽出し、抽出したナイキスト点データを判定し、復調データとして出力するデータ判定手段とを備えることを特徴とする。
【0084】
請求項17の復調装置は、タイミング再生器と、無線信号を受信するアンテナと、アンテナで受信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換する周波数変換手段と、周波数変換手段で変換されたベースバンド信号を、非同期サンプルクロックを用いてシンボルレートの2倍でサンプリングし、ディジタルベースバンド信号に変換して、タイミング再生器に与えるAD変換手段と、タイミング再生器から出力された非同期サンプルクロックでサンプリングされたディジタルベースバンド信号を補間し、補間後のデータを、補間ベースバンド信号として出力するデータ補間手段と、タイミング位相差を基に、データ補間手段から出力された補間ベースバンド信号のナイキスト点を抽出し、抽出したナイキスト点データを判定し、復調データとして出力するデータ判定手段とを備えることを特徴とする。
【0085】
請求項18の復調装置は、タイミング再生器と、無線信号を受信するアンテナと、アンテナで受信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換する周波数変換手段と、周波数変換手段で変換されたベースバンド信号を、非同期サンプルクロックを用いてシンボルレートの2倍でサンプリングし、ディジタルベースバンド信号に変換して、タイミング再生器に与えるAD変換手段と、タイミング再生器から出力された非同期サンプルクロックでサンプリングされたディジタルベースバンド信号を補間し、補間後のデータを、補間ベースバンド信号として出力するデータ補間手段と、初期タイミング位相差および位相追随用タイミング位相差の両方を基に、データ補間手段から出力された補間ベースバンド信号のナイキスト点を抽出し、抽出したナイキスト点データを判定し、復調データとして出力するデータ判定手段とを備えることを特徴とする。
【0086】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るタイミング再生器およびこれを用いた復調装置の好適な実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0087】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る復調装置の構成を示すブロック図である。図1において、10は無線信号を受信するアンテナ、20はアンテナ10で受信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換する周波数変換手段、30,31は周波数変換手段20で変換されたベースバンド信号をシンボルレートの2倍でサンプリングし、ディジタルベースバンド信号に変換するAD変換器、40はAD変換器30,31で変換されたディジタルベースバンド信号を用いて、タイミング同期を行うタイミング再生器、60はタイミング再生器40から出力された再生シンボルクロックを用いて、ディジタルベースバンド信号の中からナイキスト点データを抽出し、抽出したナイキスト点データを判定するデータ判定手段である。
【0088】
また、タイミング再生器40内において、41aはベースバンド信号の同相成分とベースバンド信号の直交成分とを加算する加算手段、41bはベースバンド信号の同相成分とベースバンド信号の直交成分とを減算する減算手段、42aは加算信号と1/2シンボル周波数成分との相関を算出する加算値相関演算手段、42bは減算信号と1/2シンボル周波数成分との相関を算出する減算値相関手段、43は加算相関信号の大きさと減算相関信号の大きさとを比較して、どちらか大きい方の相関信号を選択するベクトル選択手段、44は選択相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出するタイミング位相差算出手段、45は再生サンプルクロックと再生シンボルクロックの位相を制御して、タイミング誤差を“0”にするVCO(再生サンプルクロック発振手段)である。さらに、図2はベクトル選択手段43の構成図であり、43aは最大絶対値検出手段、43bは選択手段である。
【0089】
次に、実施の形態1に係る復調装置の動作について説明する。アンテナ10は、RF帯のバースト信号を受信し、周波数変換手段20はRF帯のバースト信号をベースバンド帯のバースト信号に周波数変換する。このバースト信号は、プリアンブル信号を先頭部に有し、プリアンブル信号の後には有意なデータが存在する。
実施の形態1で用いるプリアンブル信号は、図15に示すような信号(例えば“1101”パターン)でも、図22に示すような信号(例えば“1001”パターン)でも、どちらでも良い。
【0090】
AD変換器30は、受信したベースバンド帯の信号の同相成分を、時刻t=τ+iT/2(但し、i=1,2,3,…、τはタイミング誤差(−T/2≦τ<T/2)、Tはシンボル周期)においてサンプリングし、サンプリングした受信データ系列Ii(i=1,2,3,…)を出力する。同様に、AD変換器31は、受信したベースバンド帯の信号の直交成分を、時刻t=τ+iT/2においてサンプリングし、サンプリングした受信データ系列Qi(i=1,2,3,…)を出力する。
【0091】
タイミング再生器40は、受信データ系列Ii(i=1,2,3,…)と受信データ系列Qi(i=1,2,3,…)を用いて、バースト信号内のプリアンブル信号(Ipi,Qpi)の検出と、プリアンブル信号を用いたタイミング誤差τの算出を行い、タイミング誤差τを打ち消す位相制御を、再生サンプルクロックと、再生シンボルクロックに対して行う。再生シンボルクロックは、再生サンプルクロックを2分周した、シンボル周期のクロックである。
【0092】
データ判定手段60は、図19の従来例と同様、タイミング再生器40によってプリアンブル検出と、タイミング誤差τが打ち消された後、バースト信号内のプリアンブルの後に続く有意なランダムデータ系列Idi,Qdi(i=1,2,3,…)から、ナイキスト点におけるデータを、再生シンボルクロックでラッチする。そして、ラッチしたナイキスト点データを用いてデータを判定し、復調データを出力する。
【0093】
次に、タイミング再生器40の動作について説明する。まず、加算手段41aは受信信号の同相成分I(t)と、直交成分Q(t)を加算し、加算結果を加算信号として出力する。一方、減算手段41bはプリアンブル信号の同相成分I(t)と、直交成分Q(t)を減算し、減算結果を減算信号として出力する。この減算は(I(t)−Q(t))でも、(Q(t)−I(t))でも、どちらでも良い。具体的には、加算手段41aは下記式(21a)により、図3(a)に示す加算信号を出力し、
【0094】
Ai=Ii+Qi (21a)
【0095】
減算手段41bは下記式(21b)により、図3(b)に示す減算信号を出力する。
【0096】
Si=Ii−Qi (21b)
【0097】
この簡単な加算手段41aと減算手段41bにより、タイミング再生器40は、プリアンブル信号(Ii=Ipi,Qi=Qpi)を受信した場合、キャリア位相θc[deg]がどのような値であっても、加算信号あるいは減算信号のどちらかに大きな1/2シンボル周波数成分を有する信号を得ることができる。
【0098】
例えば、キャリア位相θc[deg]が図22のように(90<θc<180)あるいは(270<θc<360)の範囲にある場合、プリアンブル信号の同相成分と直交成分の位相関係が図23のように逆相となるため、加算信号の振幅は図3(a)のようにプリアンブル信号の同相成分と直交成分の両方の信号が打ち消し合って小さくなるが、減算信号の振幅は逆に図3(b)のように、プリアンブル信号の同相成分と−(直交成分)が合成されて大きくなる。
【0099】
一方、キャリア位相θc[deg]が図25のように(0<θc<90)あるいは(180<θc<270)の範囲にある場合、プリアンブル信号の同相成分と直交成分の位相関係が図26のように同相となるため、減算信号の振幅は図5(b)のようにプリアンブル信号の同相成分と−(直交成分)の信号が打ち消し合って小さくなるが、加算信号の振幅は逆に図5(a)のように、プリアンブル信号の同相成分と直交成分が合成されて大きくなる。
このように、図3(b)の減算信号、図5(a)の加算信号のいずれも、大きな1/2シンボル周波数(fs/2=1/(2T))成分が含まれていることが明らかである。
【0100】
同様に、複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号(例えば“1101”パターン)を受信した場合でも、タイミング再生器40は、キャリア位相θcがどのような値であっても、加算信号と減算信号のいずれかに、1/2シンボル周波数(fs/2=1/(2T))成分を得ることができる。例えば、図15に示すようなキャリア位相θcを有するプリアンブル信号を受信した場合、プリアンブル信号の同相成分と直交成分は、図4(a)に示すような、お互い逆相の波形となり、図4(a)に示す加算信号より、図4(b)に示す減算信号の方が振幅は大きく、1/2シンボル周波数(fs/2=1/(2T))成分を多く有していることが判る。
【0101】
以降では、図22に示すような複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブルを例に動作の説明を行っていくが、実施の形態1のタイミング再生方式は、複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号受信時においても、上記の理由(加算信号、減算信号のいずれかに、1/2シンボル周波数(fs/2=1/(2T))成分を得ることができる)により、以降説明する動作を実現することができる。
【0102】
加算値相関演算手段42aは、加算信号に対してシンボル周波数の1/2の周波数成分exp[−jπ(fs)t]との相関演算を行う。具体的には、データ系列Ai(i=1,2,3,…)に対して、以下の乗算を行い、
【0103】
Aci=Ai×cosπi/2 (22a)
Asi=Ai×sinπi/2 (22b)
【0104】
上記データ系列(Aci,Asi)を平均化して、加算相関信号(CAi,SAi)を出力する。なお式(22a)、(22b)の乗算は、cosπi/2=1,0,−1,0,…、sinπi/2=0,1,0,−1,…であるため、上記加算相関信号(CAi,SAi)は、容易に求めることができる。例えば、4シンボルで平均化する場合、加算相関信号(CAi,SAi)は下記式で得られる。
【0105】
【0106】
同様に、減算値相関演算手段42bは、減算信号に対してシンボル周波数の1/2の周波数成分exp[−jπ(fs)t]との相関演算を行う。具体的には、データ系列Si(i=1,2,3,…)に対して、以下の乗算を行い、
【0107】
Sci=Si×cosπi/2 (23a)
Ssi=Si×sinπi/2 (23b)
【0108】
上記データ系列(Sci,Ssi)を平均化して、減算相関信号(CSi,SSi)を出力する。なお式(23a)、(23b)の乗算も、cosπi/2=1,0,−1,0,…、sinπi/2=0,1,0,−1,…であるため、上記減算相関信号(CSi,SSi)は、容易に求めることができる。例えば、4シンボルで平均化する場合、減算相関信号(CSi,SSi)は下記式で得られる。
【0109】
【0110】
プリアンブル受信時において、例えば、キャリア位相θc[deg]が図22のように(90<θc<180)あるいは(270<θc<360)の範囲にある場合、減算信号の方が加算信号より振幅が大きいため、図6に示すように、減算相関信号(CSi,SSi)の示すベクトル長は、加算相関信号(CAi,SAi)の示すベクトル長より大きくなる。ここで、図6は、図3のタイミングでデータをサンプリングした場合の例である。
【0111】
一方、例えば、キャリア位相θc[deg]が図12のように(0<θc<90)あるいは(180<θc<270)の範囲にある場合、加算信号の方が減算信号より振幅が大きいため、図7に示すように、加算相関信号(CAi,SAi)の示すベクトル長は、減算相関信号(CSi,SSi)の示すベクトル長より大きくなる。ここで、図7は、図5のタイミングでデータをサンプリングした場合の例である。
なお、無信号受信時(信号が無く、雑音のみ受信する時)や、プリアンブルの後に続く有意なデータ部を受信中は、加算相関信号(CAi,SAi)、減算相関信号(CSi,SSi)のいずれも、1/2シンボル周波数成分が時間的に長く存在しないため、小さなベクトル長を示す。
【0112】
ベクトル選択手段43は、これら加算相関信号(CAi,SAi)、減算相関信号(CSi,SSi)の内、どちらかベクトル長の大きい方を選択し、選択相関信号(COi,SOi)として出力する。ベクトル選択手段43の動作を、図2を用いて説明する。最大絶対値検出手段43aは、従来のベクトル合成選択手段406の場合と同様の動作を行い、加算相関信号(CAi,SAi)、減算相関信号(CSi,SSi)の各絶対値である|CAi|,|SAi|,|CSi|,|SSi|の最大値を求める。
【0113】
選択手段43bは、最大絶対値検出手段43aで求めた最大値が|CAi|,|SAi|のどちらかで有る場合は、加算相関信号(CAi,SAi)を選択し、その最大値が|CSi|,|SSi|のどちらかで有る場合は、減算相関信号(CSi,SSi)を選択する。選択した信号は、選択相関信号(COi,SOi)として出力する。
【0114】
プリアンブル信号受信時におけるベクトル選択手段43の動作は、以下のようになる。キャリア位相θc[deg]が図22のように(90<θc<180)あるいは(270<θc<360)の範囲にある場合、図6のように減算相関信号(CSi,SSi)の示すベクトル長は、加算相関信号(CAi,SAi)の示すベクトル長より大きいため、ベクトル選択手段43は減算相関信号(CSi,SSi)を選択し、選択相関信号(COi,SOi)=(CSi,SSi)を出力する。
【0115】
一方、キャリア位相θc[deg]が図25のように(0<θc<90)あるいは(180<θc<270)の範囲にある場合、図7のように、加算相関信号(CAi,SAi)の示すベクトル長は、減算相関信号(CSi,SSi)の示すベクトル長より大きいため、ベクトル選択手段43は加算相関信号(CAi,SAi)を選択し、選択相関信号(COi,SOi)=(CAi,SAi)を出力する。
【0116】
一方、無信号受信時(信号が無く、雑音のみ受信する時)や、プリアンブルの後に続く有意なデータ部を受信中は、加算相関信号(CAi,SAi)、減算相関信号(CSi,SSi)のいずれも、小さなベクトル長を示し、加算相関信号(CAi,SAi)、減算相関信号(CSi,SSi)のいずれかをランダムに選択する動作を行う。
【0117】
次にタイミング位相差算出手段44は、以下の2つの処理を同時に行う。一つは、選択相関信号(COi,SOi)のベクトル長Viを求める。ベクトル長Viは、式(24a)で求めても良いが、演算量を削減したい場合は、式(24b)で求めてもよい。
【0118】
Vi=(|COi|2+|SOi|2)1/2 (24a)
Vi=max(|COi|,|SOi|) (24b)
【0119】
なお、|COi|,|SOi|を求める絶対値変換処理を削減したい場合は、最大絶対値検出手段43aで求めた|CAi|,|SAi|,|CSi|,|SSi|を、最大値検出信号に応じて選択し、使用すればよい。
もう一つの処理は、選択相関信号(COi,SOi)が示すベクトル角
【0120】
θoi=tan-1(SOi/COi) (25)
【0121】
を求める。θoiは、前記θTと同様、2シンボル周期(2T)で正規化した場合のタイミング位相差であるため、シンボル周期(T)で正規化した場合のタイミング位相差θri[deg]は、式(26)で求まる。
【0122】
θri=2θoi mod360 (26)
【0123】
ここで、タイミング再生器40が、プリアンブル信号を受信中は、ベクトル長Viは大きな値を示し、かつタイミング位相差θri[deg]も確かな値となる。例えば、図22のようなプリアンブル信号を、図23のタイミングでサンプリングした場合、図6に示す減算相関信号(CSi,SSi)がベクトル選択手段43で選択され、そのベクトル長がVi、ベクトル角がθoiとなる。一方、図25のようなプリアンブル信号を、同様のタイミングでサンプリングした場合(即ち、図26の場合)、図7に示す加算相関信号(CAi,SAi)がベクトル選択手段43で選択され、そのベクトル長がVi、そのベクトル角がθoiとなる。
【0124】
なお、図6のθoiと、図7のθoiは、180[deg]の差があるが、式(26)の処理により、図6のθoiから求まるθriと、図7のθoiから求まるθriは一致する。
一方、タイミング再生器40が、無信号受信時(信号が無く、雑音のみ受信する時)や、プリアンブルの後に続く有意なデータ部を受信中は、ベクトル長Viは小さな値を示し、かつタイミング位相差θri[deg]も不確かな値となる。受信状態に応じたViとθriの確からしさの関係を、図8に示す。
【0125】
よって、バースト信号を受信するタイミングが不明で、プリアンブルが到来する時刻が判らない場合でも、以下の処理によって、タイミング誤差τを求めることができる。
即ち、ベクトル長Viをモニタし、Viが大きい場合(例えばベクトル長Viが、ある閾値εpを超えた場合)は“プリアンブル受信中”と判定して、タイミング位相差θri[deg]を、図8に示すタイミングでラッチする。ラッチされたタイミング位相差θs[deg]は、図8から明らかなように、Viが大きい時のタイミング位相差θriであるため、確かな値である。タイミング位相差算出手段44は、このようにして得られたタイミング位相差θsを用いて、タイミング誤差τを式(5a)、(5b)で求め、タイミング誤差τを打ち消す制御信号を、後段のVCO45に与える。
【0126】
なお、バースト信号を受信するタイミングが既知で、プリアンブルが到来する時刻が特定できる場合は、上記プリアンブル検出動作は不要であるため、タイミング位相差算出手段44の代わりに、従来例のタイミング位相差算出手段403aを用いることができる。この場合、ベクトル長Viを求め、その大きさを検出する機能が不用になるため、回路規模は低減する。
【0127】
VCO45は、タイミング位相差算出手段44からの制御信号を受けて、再生サンプルクロックと、再生シンボルクロックの位相を制御し、タイミング誤差τを“0”とする。
以上のことから、本実施の形態1に示したタイミング再生器40は、以下の効果を奏する。
【0128】
第1に、プリアンブル信号の同相成分と直交成分を加算した信号と、減算した信号の計2つの信号に対する相関演算を行い、得られた2つの相関値のうち、ベクトル長の大きい方をタイミング位相推定に用いる簡単な構成により、従来のタイミング再生器400,400aと比較して、回路規模、演算処理を低減することができる。例えば、タイミング再生器400aと比較した場合、タイミング再生器400aと同様、短いプリアンブル信号で高精度なタイミング位相推定を、複雑な回路で構成されるベクトル合成選択手段406(図20,図21)の代わりに、簡単な加算手段41a,減算手段41b,ベクトル選択手段43(図2)で実施することができる。
【0129】
第2に、複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移する信号(例えば“1101”パターン)、複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移する“0π”変調信号(例えば“1001”パターン)のいずれのプリアンブル信号に対して、有効である。
【0130】
第3に、タイミング位相差検出手段44により、プリアンブルを用いた高精度なタイミング位相推定と、プリアンブル検出を同時に実現できるため、プリアンブルを受信するタイミングが判らない場合でも、タイミング位相制御を正常に行うことができる。
【0131】
第4に、従来例と同様、2[sample/symbol]の低いサンプリング速度で上記1〜3を実現することができる。
さらに、本発明のタイミング再生器を用いる復調装置は、仮に電源立上げ時や、シャドウイング復帰後の再接続において生じるバースト信号の受信タイミングが未知である場合においても、小さな回路規模で、短いプリアンブルで高速同期、高速再同期を実現し、プリアンブルに続く有意なデータ部において良好なBER(ビット誤り率)特性を実現することができる。
【0132】
なお、実施の形態1のタイミング再生器45bは、以下の2つのプリアンブル信号((1)複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号、(2)複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を、1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号)に限らず、複素平面上のある2点を、1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号を用いる無線通信システムであれば、どのような変調方式(BPSK,QPSK,π/4QPSK,OQPSK、FSKなど)を用いるシステムにも適用することができる。
【0133】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係る復調装置の構成を示すブロック図である。図9において、10は無線信号を受信するアンテナ、20はアンテナ10で受信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換する周波数変換手段、30,31は周波数変換手段20で変換されたベースバンド信号をシンボルレートの2倍でサンプリングし、ディジタルベースバンド信号に変換するAD変換器、40aはAD変換器30,31で変換されたディジタルベースバンド信号を用いて、タイミング同期を行うタイミング再生器、60はタイミング再生器40aから出力された再生シンボルクロックを用いて、ディジタルベースバンド信号の中からナイキスト点データを抽出し、抽出したナイキスト点データを判定するデータ判定手段である。
【0134】
また、タイミング再生器40a内において、41aはベースバンド信号の同相成分とベースバンド信号の直交成分とを加算する加算手段、41bはベースバンド信号の同相成分とベースバンド信号の直交成分とを減算する減算手段、42aは加算信号と1/2シンボル周波数成分との相関を算出する加算値相関演算手段、42bは減算信号と1/2シンボル周波数成分との相関を算出する減算値相関手段、43は加算相関信号の大きさと減算相関信号の大きさとを比較して、どちらか大きい方の相関信号を選択するベクトル選択手段である。
【0135】
さらに、44は選択相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出するタイミング位相差算出手段、45aは再生サンプルクロックと再生シンボルクロックの位相を制御して、タイミング誤差を“0”にするVCO(再生サンプルクロック発振手段)、46は再生サンプルクロックでサンプリングされたベースバンド信号を用いてタイミング位相を検出する位相検出手段、47は位相検出信号を平均化して、その平均を位相進み遅れ信号として出力する位相検出信号平均化手段である。
【0136】
以降、実施の形態2の動作について説明する。
実施の形態2では、例えば、文献「受信信号位相情報を用いたQPSK用タイミング再生方式の検討」(藤村著 電子情報通信学会 論文誌 VOL.J81-B-・ no.6,pp.665-668,1998年6月)に記載されているような、従来のPLLタイミング再生器を併用し、本実施の形態1によってプリアンブル検出や、タイミング誤差τ算出中も、位相検出手段46、位相検出信号平均化手段47、VCO45aで構成されるPLLタイミング再生器を動作させる。
【0137】
この時の加算手段41a、減算手段41bからタイミング位相差算出手段44までの演算処理は、実施の形態1と同様であり、プリアンブル信号を検出したら、その時に同時に求めたタイミング誤差τを打ち消すクロック位相制御を、第一の位相制御信号として、VCO45aに与える。
一方で、位相検出手段46は、受信データ(Ii,Qi)からタイミング位相が進んでいるか、遅れているかを、例えば上記文献の方式に基づいて検出し、検出信号としてタイミング位相が進んでいれば“+1”を、遅れていれば“−1”を出力する。
【0138】
位相検出信号平均化手段47は、この進み/遅れ信号を例えばランダムウォークフィルタで平均化し、その平均を第二の位相制御信号として出力する。VCO45aは、第二の位相制御信号によって、再生サンプルクロックと再生シンボルクロックの位相を制御し、第二の位相制御信号が“正”であればタイミング位相を進ませ、“負”であればタイミング位相を遅らせる。VCO45aは、通常は第二の位相制御信号によって制御されているが、プリアンブルが検出され、第一の位相制御信号が入力されたら、第二の位相制御信号を用いずに、第一の位相制御信号を用いて、各クロック位相制御を実施する。
【0139】
第二の位相制御信号のみを用いる場合の短所は、第二の位相制御信号を用いるタイミング位相の進み/遅れの制御が、例えば1/16シンボルステップ幅で行われるため、タイミング位相の引込みに時間を要することである。逆にその長所は、プリアンブル信号の後に続く有意なランダムデータ部受信時において、タイミング位相追随が可能な点である。
【0140】
一方、第一の位相制御信号のみを用いる場合の短所は、プリアンブル信号の後に続く有意なランダムデータ部受信時において、タイミング位相差θri[deg]が不確かとなり、使用できない点である。逆にその長所は、実施の形態1で述べた通りであり、短いプリアンブル信号で、高精度にタイミング位相差を検出できる点である。
【0141】
実施の形態2では、第一の位相制御信号と第二の位相制御信号の両方を用いるので、上記2つの長所が上記2つの短所を補うため、実施の形態1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
即ち、短いプリアンブル信号で高精度なタイミング位相推定と制御を実施しながら、有意なランダムデータ部受信中もタイミング位相追随を実現することができる。
【0142】
なお、実施の形態2のタイミング再生器45cは、実施の形態1と同様、以下の2つのプリアンブル信号((1)複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号、(2)複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を、1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号)に限らず、複素平面上のある2点を、1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号を用いる無線通信システムであれば、どのような変調方式(BPSK,QPSK,π/4QPSK,OQPSK、FSKなど)を用いるシステムにも適用することができる。
【0143】
実施の形態3.
図10は、実施の形態3に係る復調装置の構成を示すブロック図である。図10において、10は無線信号を受信するアンテナ、20はアンテナ10で受信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換する周波数変換手段、30,31は周波数変換手段20で変換されたベースバンド信号をシンボルレートの2倍でサンプリングし、ディジタルベースバンド信号に変換するAD変換器、40bはAD変換器30,31で変換されたディジタルベースバンド信号を用いて、タイミング同期を行うタイミング再生器、70はタイミング再生器40bから出力された非同期サンプルクロックでサンプリングされたディジタルベースバンド信号を補間するデータ補間手段、60aはデータ補間手段70から出力された補間ベースバンド信号のナイキスト点を抽出し、抽出したナイキスト点データを判定するデータ判定手段である。
【0144】
また、タイミング再生器40b内において、41aはベースバンド信号の同相成分とベースバンド信号の直交成分とを加算する加算手段、41bはベースバンド信号の同相成分とベースバンド信号の直交成分とを減算する減算手段、42aは加算信号と1/2シンボル周波数成分との相関を算出する加算値相関演算手段、42bは減算信号と1/2シンボル周波数成分との相関を算出する減算値相関手段、43は加算相関信号の大きさと減算相関信号の大きさとを比較して、どちらか大きい方の相関信号を選択するベクトル選択手段、44は選択相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出するタイミング位相差算出手段、48は非同期サンプルクロックおよび非同期1/2シンボル周波数成分を出力する発振器(非同期サンプルクロック発振手段)である。
【0145】
以降、実施の形態3の動作について説明する。
実施の形態1では、タイミング誤差τを、VCO45による再生サンプルクロックと、再生シンボルクロックの位相制御により、タイミング誤差τを“0”とするフィードバック型のタイミング再生器40について説明したが、実施の形態1を実施の形態3のタイミング再生器40bに示すように、フィードフォワード型のタイミング再生器に変形することができる。即ち、VCO45を、発振器48に切替え、データ補間手段70を付加し、データ判定手段60の処理を、後述するデータ判定手段60aの処理に切替える。
【0146】
発振器48は、シンボル周期の2倍の自走する非同期サンプルクロックを出力する。A/D変換器30,31は、この非同期サンプルクロックでデータを2[sample/symbol]で非同期サンプリングする。加算手段41a、減算手段41bは、実施の形態1と同様に、非同期サンプリングされた受信データ(Ii,Qi)の加減算を行う。加算値相関演算手段42aは、加算手段41a出力の加算信号と、発振器から出力されるシンボル周波数の1/2の周波数成分exp[−jπ(fs)t]との相関を、実施の形態1と同様に求める。
【0147】
減算値相関演算手段42bは、減算手段41b出力の減算信号と、発振器から出力されるシンボル周波数の1/2の周波数成分exp[−jπ(fs)t]との相関を、実施の形態1と同様に求める。以降のベクトル選択手段43や、タイミング位相差算出手段44は、実施の形態1と同様の処理であり、タイミング誤差τを求める。
【0148】
データ補間手段70は、非同期の2[sample/symbol]によって得られた受信データ(Ii,Qi)を補間して、例えばシンボル周期に対して1/16の時間分解能を有する受信データを生成し、補間された受信データを出力する。データ判定手段60aは、タイミング位相差算出手段44からのタイミング誤差τの情報を用いて、補間された受信データのナイキスト点を抽出し、抽出したナイキスト点のデータを復調データとして出力する。
【0149】
以上のように、実施の形態3のようなフィードフォワード型の構成とすることで、実施の形態1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
即ち、安価で小型な発振器48を用いることにより、タイミング再生器40bは、より一層の低価格化、小型化を実現することができる。
【0150】
なお、実施の形態3のタイミング再生器45dは、実施の形態1と同様、以下の2つのプリアンブル信号((1)複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号、(2)複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を、1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号)に限らず、複素平面上のある2点を、1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号を用いる無線通信システムであれば、どのような変調方式(BPSK,QPSK,π/4QPSK,OQPSK、FSKなど)を用いるシステムにも適用することができる。
【0151】
実施の形態4.
図11は、実施の形態4に係る復調装置の構成を示すブロック図である。図11において、10は無線信号を受信するアンテナ、20はアンテナ10で受信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換する周波数変換手段、30,31は周波数変換手段20で変換されたベースバンド信号をシンボルレートの2倍でサンプリングし、ディジタルベースバンド信号に変換するAD変換器、40cはAD変換器30,31で変換されたディジタルベースバンド信号を用いて、タイミング同期を行うタイミング再生器、60はタイミング再生器40cから出力された再生シンボルクロックを用いて、ディジタルベースバンド信号の中からナイキスト点データを抽出し、抽出したナイキスト点データを判定するデータ判定手段である。
【0152】
また、タイミング再生器40c内において、41aはベースバンド信号の同相成分とベースバンド信号の直交成分とを加算する加算手段、41bはベースバンド信号の同相成分とベースバンド信号の直交成分とを減算する減算手段、42aは加算信号と1/2シンボル周波数成分との相関を算出する加算値相関演算手段、42bは減算信号と1/2シンボル周波数成分との相関を算出する減算値相関手段、43は加算相関信号の大きさと減算相関信号の大きさとを比較して、どちらか大きい方の相関信号を選択するベクトル選択手段である。
【0153】
さらに、44aは平均相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出するタイミング位相差算出手段、45は再生サンプルクロックと再生シンボルクロックの位相を制御して、タイミング誤差を“0”にするVCO(再生サンプルクロック発振手段)、49は選択相関信号の示すベクトル長の大きさに応じた重み付けを選択相関信号に与える重み付け手段、50は重み付け相関信号を平均化する重み付け信号平均化手段、50aは重み付け相関信号を入力とする時定数の短い第一のローパスフィルタ、50bは重み付け相関信号を入力とする時定数の長い第二のローパスフィルタである。
【0154】
以降、実施の形態4の動作について説明する。実施の形態4は、プリアンブル信号だけでなく、プリアンブルの後に続くランダムパターン信号も用いてタイミング再生を行い、実施の形態2とは別の方法によって、ランダムパターン信号受信中もタイミング同期を実現するものである。基本的な概念として、プリアンブル信号だけでなく、プリアンブルの後に続くランダムパターン信号において数シンボルの時間単位でバースト的に存在する1/2シンボル周波数成分も抽出し、これらを平均化して、タイミング位相推定に用いるものである。
【0155】
前述のように実施の形態1〜実施の形態3の各タイミング再生器は、以下のプリアンブル信号((1)複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号、(2)複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を、1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号)に対して有効であるが、このような1/2シンボル周波数成分を有する信号遷移は、数シンボルと短い時間ではあるが、ランダムパターン受信中も存在する。
【0156】
例えば、QPSK変調方式を例にすると、以下の計12パターンの8ビットデータ系列に1/2シンボル周波数成分が存在することになる。これらのいずれかが発生する確率は、12/256=4.6%であり少ないが、これらのパターンに含まれる1/2シンボル周波数成分を検出し、長い時間かけて平均化すれば、ランダムパターン受信時においても、高精度なタイミング位相推定を実現することができる。
【0157】
パターンA:11001100
パターンB:00110011
パターンC:01100110
パターンD:10011001
パターンE:11011101
パターンF:01110111
パターンG:11101110
パターンH:10111011
パターンI:01000100
パターンJ:00010001
パターンK:10001000
パターンL:10001000
【0158】
図11の実施の形態4において、アンテナ10からベクトル選択手段までの動作は、一つの点を除いて、実施の形態1と同様である。この異なる一つの点とは、加算値相関手段42aと減算値相関手段42bがそれぞれ行う、乗算後のデータ系列の平均化を、{4,8,12}程度の少ないデータ数を用いることである。例えば、上記パターンA〜パターンLまでの8ビットの何れかのパターンに対する相関を求める場合は、平均化に用いるデータ数は連続する8個のデータとなる。
【0159】
重み付け手段49は、ベクトル選択手段出力である選択相関信号(COi,SOi)のベクトル長VOiを求め、VOiの大きさに応じた重み付け値αを(COi,SOi)に乗算し、その結果を重み付け相関信号(CWi,SWi)として出力する。
【0160】
CWi=αCOi (27a)
SWi=αSOi (27b)
【0161】
ここで、ベクトル長VOiは、上記パターンA〜Dを受信した場合には、非常に大きな値を示す。また、上記パターンE〜Lを受信した場合には、大きな値を示す。さらに、それ以外のパターンを受信した場合には、小さな値を示す。
【0162】
よって重み付け手段49は、上記ベクトル長VOiに応じた重み付けを、式(27a)、(27b)のように実施することで、上記パターンA〜L受信時の相関情報のみ抽出することができる。例えば、VOiを2つの閾値によって3値検出し、VOiが非常に大きな値の場合には、α=1を設定する。また、VOiが大きな値の場合には、α=1/2を設定する。さらに、VOiが小さな値の場合には、α=0を設定する。
【0163】
このように設定すれば、上記パターンA〜L以外の不確かなタイミング位相情報を有する選択相関信号(COi,SOi)は、後段に出力されない。また上記パターンA〜L中、上記パターンA〜Dは、上記パターンE〜Lと比較して、より確かなタイミング位相情報を有するような、1/2シンボル周波数成分を多く含んでいるが、これらを受信中は、大きな重み付けが行われるため、タイミング位相推定に有効な1/2シンボル周波数成分の抽出が効率的に行われる。
【0164】
重み付け信号平均化手段50は、重み付け相関信号(CWi,SWi)を平均化し、その平均値を、平均化重み付け相関信号(ΣCWi,ΣSWi)として出力する。重み付け信号平均化手段50では、プリアンブル受信中は、大きな重み付けが与えられた(例えば、“1”を乗算された)相関信号(CWi,SWi)が入力されるため、少ないデータ数で、正確なタイミング位相差情報が得られる。また、プリアンブル受信中は、前バースト信号受信時のタイミング情報を迅速に打ち消し、現在受信中のバースト信号のタイミング情報を迅速に得る必要がある。よって、プリアンブル信号受信中は、少ないデータ数で平均化を行う必要がある。
【0165】
一方、有意なランダムデータ受信中は、小さな重み付けが与えられた(例えば、“0”を乗算された)相関信号(CWi,SWi)が多く入力されるため、正確なタイミング位相差情報を得るためには、数十シンボル〜数百シンボル分の多くのデータ数を用いて平均化を行う必要がある。
【0166】
そこで、重み付け信号平均化手段50は、プリアンブル信号用に小さな時定数を有する第一のローパスフィルタ50aと、有意なランダムデータ用に大きな時定数を有する第二のローパスフィルタ50bを備え、両方のフィルタの出力情報(Σ1CWi,Σ1SWi)、(Σ2CWi,Σ2SWi)を出力する。例えばβ<γ(0<β<1,0<γ<1)の関係を有する2つのIIR(Infinite Impulse Response)フィルタで構成する場合、第一のIIR(Infinite Impulse Response)フィルタは以下の処理を実施する。、
【0167】
Σ1CWi=βΣCWi-1+CWi (28a)
Σ1SWi=βΣSWi-1+SWi (28b)
【0168】
また、第二のIIR(Infinite Impulse Response)フィルタは、以下の処理を実施する。
【0169】
Σ2CWi=γΣCWi-1+CWi (29a)
Σ2SWi=γΣSWi-1+SWi (29b)
【0170】
タイミング位相差算出手段44aは、以下の処理を行って、プリアンブル検出と、プリアンブルを用いたタイミング位相推定を同時に行い、かつ有意なランダムデータ受信時におけるタイミング位相推定も行う。
【0171】
第1の処理として、重み付け信号平均化手段50の出力(Σ1CWi,Σ1SWi)が示す正規化ベクトル長V1i
V1i=β(Σ1CWi 2+Σ1SWi 2)1/2 (30a)
と、重み付け信号平均化手段50の出力(Σ2CWi,Σ2SWi)が示す正規化ベクトル長V2i
V2i=γ(Σ2CWi 2+Σ2SWi 2)1/2 (30b)
を求める。
【0172】
第2の処理として、V1iが大きな値を示したら(例えば、V1iがある閾値εp1より大きくなったら)、以下の式で求まるタイミング位相差θr1iをラッチする。
但しθ1iは、(Σ1CWi,Σ1SWi)が示すベクトル角である。
θr1i=2θ1i mod360 (31)
【0173】
第3の処理として、θr1iをラッチしたタイミング位相差θ1s=θr1iを用いて、タイミング誤差τ1を式(32a)、(32b)で求め、タイミング誤差τ1を打ち消す第一の制御信号を、後段のVCO45に与える。
θ1s>180[deg]の場合、
τ1=(θ1s−360)T/360 (32a)
θ1s≦180[deg]の場合、
τ1=(θ1s)T/360 (32b)
【0174】
第4の処理として、第一の制御信号による位相制御(以降、第一の位相制御と称する)後、クロック位相差は0[deg]となり、重み付け信号平均化手段50に入力されるタイミング位相差情報は、第一の位相制御前と制御後で異なるため、第一の位相制御後、以下の制御を重み付け信号平均化手段50に対して行い、各ベクトル(Σ1CWi,Σ1SWi)、(Σ2CWi,Σ2SWi)の示すベクトル角を、0[deg]の方向にセットする。
【0175】
Σ1CWi=(Σ1CWi-1 2+Σ1SWi-1 2)1/2 (33a)
Σ1SWi=0 (33b)
Σ2CWi=(Σ2CWi-1 2+Σ2SWi-1 2)1/2 (34a)
Σ2SWi=0 (34b)
【0176】
第5の処理として、上記第2〜第4の処理と並行して、以下の式で求まるタイミング位相差θr2iを求める。
但しθ2iは、(Σ2CWi,Σ2SWi)が示すベクトル角である。
θr2i=2θ2i mod360 (35)
【0177】
第6の処理として、第一の位相制御後、以下の2つの条件(条件A、条件B)を両方とも満たす時、有意なランダムデータ部受信信号から求まるタイミング位相差情報として、θr2iをラッチし、ラッチしたタイミング位相差θ2s=θr2iを用いて、タイミング誤差τ2を式(36a)、(36b)で求め、タイミング誤差τ2を打ち消す第二の制御信号を、後段のVCO45に与える。
【0178】
ここで、条件Aは、「θr1iとθr2iとのタイミング位相差が小さい(例えば、|θr1i−θr2i|≦45[deg])。」である。
また、条件Bは、「V2iが大きな値を示す(例えば、V2iがある閾値εp2より大きい)。」である。
【0179】
そして、θ2s>180[deg]の場合、
τ2=(θ2s−360)T/360 (36a)
となる。また、θ2s≦180[deg]の場合、
τ2=(θ2s)T/360 (36b)
となる。
【0180】
第7の処理として、第二の制御信号による位相制御(以降、第二の位相制御と称する)後も、第一の位相制御時と同様、重み付け信号平均化手段50に入力されるタイミング位相差情報は、第二の位相制御前と制御後で異なる可能性があるため、第二の位相制御後も、式(33a)、(33b)、(34a)、(34b)の制御を重み付け信号平均化手段50に対して行い、各ベクトル(Σ1CWi,Σ1SWi)、(Σ2CWi,Σ2SWi)の示すベクトル角を0[deg]にセットする。
【0181】
第8の処理として、引き続き有意なランダムデータ受信中に、第三以降の位相制御を行う場合は、第二の位相制御後、数十シンボル周期で、上記条件Bが成立しているか否かをモニタし、成立している場合は、その時の(Σ2CWi,Σ2SWi)が示すベクトル角θr2iをラッチし、ラッチしたタイミング位相差θ2s=θr2iを用いて、タイミング誤差τ2を式(36a)、(36b)で求め、タイミング誤差τ2を打ち消す第二の制御信号を、後段のVCO45に与える。同時に式(33a)、(33b)、(34a)、(34b)の制御を重み付け信号平均化手段50に対して行い、各ベクトル(Σ1CWi,Σ1SWi)、(Σ2CWi,Σ2SWi)の示すベクトル角を0[deg]にセットする。
【0182】
第9の処理として、この間に、再びV1iが大きな値を示したら(例えば、V1iがある閾値εp1より大きくなったら)、次のバースト信号を受信したと判定し、上記第2の処理に戻る。
【0183】
図12に、タイミング位相差算出手段の動作例を示す。V1iは、重み付け信号平均化手段50において、平均化に用いるデータ数が少ないため、プリアンブル信号受信時にのみ大きな値を示し、ランダムデータ部受信時は、小さな値を示す。一方、V2iは、重み付け信号平均化手段50において、平均化に用いるデータ数が多いため、プリアンブル信号受信時においては前バースト信号の情報が残っている場合もあり、小さい値を示す場合が多いが、ランダムデータ部受信時は、十分大きな値を示す。
よって、図12に示す通り、第一の位相制御は、上記第1〜第4の処理により、プリアンブル受信中に行われ、第二の位相制御以降の制御は、データ部受信中に行われる。
【0184】
最後にVCO45は、タイミング位相差算出手段44aからの制御信号を受けて、再生サンプルクロックと、再生シンボルクロックの位相を制御し、タイミング誤差τを“0”とする。
よって、実施の形態4は、実施の形態1と同様、これらのプリアンブル信号受信中は短い時間で、高精度なタイミング位相推定を実現しながら、実施の形態2とは別の方法によって、ランダムパターン信号受信中もタイミング同期を実現することができる。
【0185】
なお、バースト信号を受信するタイミングが既知で、プリアンブルが到来する時刻が特定できる場合は、上記処理を大幅に削減することができる。この場合の変更点は、以下の通りである。
第1に、重み付け信号平均化手段50は、第一のローパスフィルタ50aだけで構成され、第一のローパスフィルタ50aの時定数(例えば、式24(a)、式24(b)の忘却係数β)を、プリアンブル信号受信中は小さく、有意なランダムデータ受信中は大きく切替える。
【0186】
第2に、プリアンブル検出動作は不要であるため、タイミング位相差算出手段44aの代わりに、従来例のタイミング位相差算出手段403aを用いて、第一のローパスフィルタ50aの出力(Σ1CWi,Σ1SWi)が示すベクトル角から、タイミング誤差τを求める。
上記の2つの変更点により、回路規模は大幅に低減する。
【0187】
以上のことから、本実施の形態4に示したタイミング再生器40cは、実施の形態1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
即ち、短いプリアンブル信号で高精度なタイミング位相推定と、制御を実施しながら、有意なランダムデータ部受信中もタイミング位相追随を実現することができる。
【0188】
なお、実施の形態4のタイミング再生器45eは、実施の形態1と同様、以下の2つのプリアンブル信号((1)複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号、(2)複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を、1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号)に限らず、複素平面上のある2点を、1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号を用いる無線通信システムであれば、どのような変調方式(BPSK,QPSK,π/4QPSK,OQPSK、FSKなど)を用いるシステムにも適用することができる。
【0189】
実施の形態5.
図13は、実施の形態5に係る復調装置の構成を示すブロック図である。図13において、10は無線信号を受信するアンテナ、20はアンテナ10で受信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換する周波数変換手段、30,31は周波数変換手段20で変換されたベースバンド信号をシンボルレートの2倍でサンプリングし、ディジタルベースバンド信号に変換するAD変換器、40dはAD変換器30,31で変換されたディジタルベースバンド信号を用いて、タイミング同期を行うタイミング再生器、70はタイミング再生器40bから出力された非同期サンプルクロックでサンプリングされたディジタルベースバンド信号を補間するデータ補間手段、60aはデータ補間手段70から出力された補間ベースバンド信号のナイキスト点を抽出し、抽出したナイキスト点データを判定するデータ判定手段である。
【0190】
また、タイミング再生器40d内において、41aはベースバンド信号の同相成分とベースバンド信号の直交成分とを加算する加算手段、41bはベースバンド信号の同相成分とベースバンド信号の直交成分とを減算する減算手段、42aは加算信号と1/2シンボル周波数成分との相関を算出する加算値相関演算手段、42bは減算信号と1/2シンボル周波数成分との相関を算出する減算値相関手段、43は加算相関信号の大きさと減算相関信号の大きさとを比較して、どちらか大きい方の相関信号を選択するベクトル選択手段である。
【0191】
さらに、44aは平均相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出するタイミング位相差算出手段、48は非同期サンプルクロックおよび非同期1/2シンボル周波数成分を出力する発振器(非同期サンプルクロック発振手段)、49は選択相関信号の示すベクトル長の大きさに応じた重み付けを選択相関信号に与える重み付け手段、50は重み付け相関信号を平均化する重み付け信号平均化手段、50aは重み付け相関信号を入力とする時定数の短い第一のローパスフィルタ、50bは重み付け相関信号を入力とする時定数の長い第二のローパスフィルタである。
【0192】
以降、実施の形態5の動作について説明する。
実施の形態4では、タイミング誤差τを、VCO45による再生サンプルクロックと、再生シンボルクロックの位相制御により、タイミング誤差τを“0”とするフィードバック型のタイミング再生器40cについて説明したが、実施の形態5のタイミング再生器40dに示すように、フィードフォワード型のタイミング再生器に変形することができる。即ち、VCO45を、発振器48に切替え、データ補間手段70を付加し、データ判定手段60の処理を、後述するデータ判定手段60aの処理に切替える。
【0193】
発振器48は、シンボル周期の2倍の自走する非同期サンプルクロックを出力する。A/D変換器30,31は、この非同期サンプルクロックでデータを2[sample/symbol]で非同期サンプリングする。加算手段41a、減算手段41bは、実施の形態1と同様に、非同期サンプリングされた受信データ(Ii,Qi)の加減算を行う。加算値相関演算手段42aは、加算手段41aから出力される加算信号と、発振器から出力されるシンボル周波数の1/2の周波数成分exp[−jπ(fs)t]との相関を、実施の形態2と同様に求める。
【0194】
減算値相関演算手段42bは、減算手段41b出力の減算信号と、発振器から出力されるシンボル周波数の1/2の周波数成分exp[−jπ(fs)t]との相関を、実施の形態2と同様に求める。以降のベクトル選択手段43、重み付け手段50は、実施の形態4と同様の処理であり、タイミング誤差τを求める。
【0195】
タイミング位相差算出手段44bは、以下の点を除いて、タイミング位相差算出手段44aと同様の動作を行う。以下、タイミング位相差算出手段44bとタイミング位相差算出手段44aの相違点を示す。
即ち、タイミング位相差算出手段44bは、フィードフォワード型であるため、サンプルクロックの位相が制御されることがない。これに対して、タイミング位相差算出手段44aは、フィードバック型であるため、式(33a)、(33b)、(34a)、(34b)の制御を重み付け信号平均化手段50に対して行い、各ベクトル(Σ1CWi,Σ1SWi)、(Σ2CWi,Σ2SWi)の示すベクトル角を0[deg]にセットする必要がない。
【0196】
データ補間手段70は、非同期の2[sample/symbol]によって得られた受信データ(Ii,Qi)を補間して、例えばシンボル周期に対して1/16の時間分解能を有する受信データを生成し、補間された受信データを出力する。
データ判定手段60aは、タイミング位相差算出手段44aからのタイミング誤差τの情報を用いて、補間された受信データのナイキスト点を抽出し、抽出したナイキスト点のデータを復調データとして出力する。
【0197】
以上示したように、実施の形態5は、フィードフォワード型の構成とすることで、実施の形態4の効果に加えて、以下の効果を奏する。
即ち、安価で小型な発振器48を用いるため、タイミング再生器40dは、より一層、低価格化、小型化を実現することができる。
【0198】
なお、実施の形態5のタイミング再生器45dは、実施の形態1と同様、以下の2つのプリアンブル信号((1)複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号、(2)複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を、1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号)に限らず、複素平面上のある2点を、1シンボル毎に交互に遷移するプリアンブル信号を用いる無線通信システムであれば、どのような変調方式(BPSK,QPSK,π/4QPSK,OQPSK、FSKなど)を用いるシステムにも適用することができる。
【0199】
【発明の効果】
本発明に係るタイミング再生器および復調装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
即ち、プリアンブル信号の同相成分と直交成分を加算した信号と、減算した信号の計2つの信号に対する相関演算を行い、得られた2つの相関値のうち、ベクトル長の大きい方をタイミング位相推定に用いる簡単な構成により、従来のタイミング再生器と比較して、回路規模、演算処理を低減することができる。
【0200】
また、複素平面上で隣り合う2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移する信号(例えば“1101”パターン)、複素平面上で原点対称となる2つのナイキスト点を1シンボル毎に交互に遷移する“0π”変調信号(例えば“1001”パターン)のいずれのプリアンブル信号に対して、有効である。
【0201】
さらに、タイミング位相差検出手段により、プリアンブルを用いた高精度なタイミング位相推定と、プリアンブル検出を同時に実現できるため、プリアンブルを受信するタイミングが判らない場合でも、タイミング位相制御を正常に行うことができる。
【0202】
また、本発明に係る復調装置は、仮に電源立上げ時や、シャドウイング復帰後の再接続において生じるバースト信号の受信タイミングが未知である場合においても、小さな回路規模で、短いプリアンブルで高速同期、高速再同期を実現し、プリアンブルに続く有意なデータ部において良好なBER(ビット誤り率)特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る復調装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ベクトル選択手段の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、プリアンブルの加算信号を示す波形図である。(b)は、プリアンブルの減算信号を示す波形図である。
【図4】(a)は、プリアンブルの加算信号を示す波形図である。(b)は、プリアンブルの減算信号を示す波形図である。
【図5】(a)は、プリアンブルの加算信号を示す波形図である。(b)は、プリアンブルの減算信号を示す波形図である。
【図6】プリアンブル信号受信時の加算相関信号および減算相関信号を示す信号空間図である。
【図7】プリアンブル信号受信時の加算相関信号および減算相関信号を示す信号空間図である。
【図8】実施の形態1のタイミング位相差算出手段の動作を示す波形図である。
【図9】実施の形態2に係る復調装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態3に係る復調装置の構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態4に係る復調装置の構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態4のタイミング位相差算出手段の動作を示す波形図である。
【図13】実施の形態5に係る復調装置の構成を示すブロック図である。
【図14】従来の復調装置の構成を示すブロック図である。
【図15】“1101”パターンを示す信号空間図である。
【図16】共役復素乗算手段出力を示す信号空間図である。
【図17】共役復素乗算手段出力信号を示す波形図である。
【図18】相関値とタイミング誤差を示す図である。
【図19】従来の復調装置の構成を示すブロック図である。
【図20】ベクトル合成選択手段の構成を示すブロック図である。
【図21】ベクトル合成選択手段の構成を示すブロック図である。
【図22】“1001”パターンを示す信号空間図である。
【図23】(a)は、プリアンブル信号の同相成分を示す波形図である。(b)は、プリアンブル信号の直交成分を示す波形図である。
【図24】相関値の一例を示す信号空間図である。
【図25】“1001”パターンを示す信号空間図である。
【図26】(a)は、プリアンブル信号の同相成分を示す波形図である。(b)は、プリアンブル信号の直交成分を示す波形図である。
【図27】相関値の一例を示す信号空間図である。
【図28】相関値の一例を示す信号空間図である。
【図29】相関値の一例を示す信号空間図である。
【符号の説明】
10…アンテナ、20…周波数変換手段、30,31…AD変換器、40,40a,40b,40c,40d…タイミング再生器、41a…加算手段、41b…減算手段、42a…加算値相関演算手段、42b…減算値相関手段、43…ベクトル選択手段、43a…最大絶対値検出手段、43b…選択手段、44…タイミング位相差算出手段、45,45a…VCO(再生サンプルクロック発振手段)、46…位相検出手段、47…位相検出信号平均化手段、48…発振器(非同期サンプルクロック発振手段)、49…重み付け手段、50…重み付け信号平均化手段、50a…第一のローパスフィルタ、50b…第二のローパスフィルタ、60,60a…データ判定手段、70…データ補間手段。
Claims (18)
- ベースバンド信号の同相成分と、ベースバンド信号の直交成分とを加算し、加算後の信号を加算信号として出力する加算手段と、
ベースバンド信号の同相成分と、ベースバンド信号の直交成分とを減算し、減算後の信号を減算信号として出力する減算手段と、
前記加算信号と、受信機側で生成する1/2シンボル周波数成分との相関を算出し、算出した相関値を加算相関信号として出力する加算相関演算手段と、
前記減算信号と、前記1/2シンボル周波数成分との相関を算出し、算出した相関値を減算相関信号として出力する減算相関演算手段と、
前記加算相関信号の大きさと、前記減算相関信号の大きさとを比較し、どちらか大きい方の相関信号を選択し、選択した相関信号を選択相関信号として出力するベクトル選択手段と、
前記選択相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出するタイミング位相差算出手段とを備えることを特徴とするタイミング再生器。 - 前記タイミング位相差算出手段は、前記選択相関信号の示すベクトル角およびベクトル長を算出し、前記ベクトル長が大きい場合に前記プリアンブル信号を検出したと判定し、その時の前記選択相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出することを特徴とする請求項1記載のタイミング再生器。
- 前記ベースバンド信号をサンプリングする再生サンプルクロックおよび再生1/2シンボル周波数成分を出力し、前記タイミング位相差情報を用いて、タイミング誤差を“0”に位相制御する再生サンプルクロック発振手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のタイミング再生器。
- 前記加算相関演算手段、前記減算相関演算手段、前記ベクトル選択手段、前記タイミング位相差算出手段および前記再生サンプルクロック発振手段の処理は、前記再生サンプルクロックでサンプリングされたベースバンド信号を用い、
前記加算相関演算手段および前記減算相関演算手段は、前記1/2シンボル周波数成分を前記再生1/2シンボル周波数成分とすることを特徴とする請求項3記載のタイミング再生器。 - 前記再生サンプルクロックでサンプリングされた前記ベースバンド信号を用いてタイミング位相を検出し、その検出信号を位相検出信号として出力する位相検出手段と、
前記位相検出信号を平均化し、その平均を位相進み遅れ信号として出力する位相検出信号平均化手段とを更に備え、
前記再生サンプルクロック発振手段は、前記タイミング位相差情報と前記位相進み遅れ信号の両方を用いて、タイミング誤差を“0”に位相制御することを特徴とする請求項3又は請求項4記載のタイミング再生器。 - 前記ベースバンド信号をサンプリングする非同期サンプルクロックおよび非同期1/2シンボル周波数成分を出力する非同期サンプルクロック発振手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のタイミング再生器。
- 前記加算相関演算手段、前記減算相関演算手段、前記ベクトル選択手段、前記タイミング位相差算出手段および前記非同期サンプルクロック発振手段の処理は、前記非同期サンプルクロックでサンプリングされたベースバンド信号を用い、
前記加算相関演算手段および前記減算相関演算手段は、前記1/2シンボル周波数成分を前記非同期1/2シンボル周波数成分とすることを特徴とする請求項6記載のタイミング再生器。 - ベースバンド信号の同相成分と、ベースバンド信号の直交成分とを加算し、加算後の信号を加算信号として出力する加算手段と、
ベースバンド信号の同相成分と、ベースバンド信号の直交成分とを減算し、減算後の信号を減算信号として出力する減算手段と、
前記加算信号と、受信機側で生成する1/2シンボル周波数成分との相関を算出し、算出した相関値を加算相関信号として出力する加算相関演算手段と、
前記減算信号と、前記1/2シンボル周波数成分との相関を算出し、算出した相関値を減算相関信号として出力する減算相関演算手段と、
前記加算相関信号の大きさと、前記減算相関信号の大きさとを比較し、どちらか大きい方の相関信号を選択し、選択した相関信号を選択相関信号として出力するベクトル選択手段と、
前記選択相関信号の示すベクトル長の大きさに応じた重み付けを、前記選択相関信号に与え、重み付けされた前記選択相関信号を、重み付け相関信号として出力する重み付け手段と、
前記重み付け相関信号を平均化し、その平均を重み付け平均相関信号として出力する重み付け信号平均化手段と、
前記平均相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出するタイミング位相差算出手段とを備えることを特徴とするタイミング再生器。 - 前記タイミング位相差算出手段は、前記重み付け平均相関信号の示すベクトル角およびベクトル長を算出し、前記ベクトル長が大きい場合に前記プリアンブル信号を検出したと判定し、その時の前記選択相関信号の示すベクトル角を用いてタイミング位相差を算出することを特徴とする請求項8記載のタイミング再生器。
- 前記ベースバンド信号をサンプリングする再生サンプルクロックおよび再生1/2シンボル周波数成分を出力し、前記タイミング位相差情報を用いて、タイミング誤差を“0”に位相制御する再生サンプルクロック発振手段を更に備えることを特徴とする請求項8又は請求項9記載のタイミング再生器。
- 前記加算相関演算手段、前記減算相関演算手段、前記ベクトル選択手段、前記重み付け手段、前記重み付け信号平均化手段、前記タイミング位相差算出手段および前記再生サンプルクロック発振手段の処理は、前記再生サンプルクロックでサンプリングされたベースバンド信号を用い、
前記加算相関演算手段および前記減算相関演算手段は、前記1/2シンボル周波数成分を前記再生1/2シンボル周波数成分とすることを特徴とする請求項10記載のタイミング再生器。 - 前記重み付け信号平均化手段は、前記重み付け相関信号をそれぞれ入力とする時定数の短い第一のローパスフィルタと、時定数の長い第二のローパスフィルタとを備え、位相制御時に前記第一のローパスフィルタおよび前記第二のローパスフィルタの各直交成分に“0”を、同相成分に、位相制御前の(同相成分2+直交成分2)1/2をセットし、
前記タイミング位相差算出手段は、前記第一のローパスフィルタの示す第一のベクトル角および第一のベクトル長を算出し、前記第一のベクトル長が大きい場合に前記プリアンブル信号を検出したと判定し、前記第一のベクトル角を用いて初期タイミング位相差を算出し、
前記第二のローパスフィルタの示す第二のベクトル角および第二のベクトル長を算出し、前記第一の位相制御後、前記第二のベクトル長が大きい場合に前記第二のベクトル角を用いて位相追随用タイミング位相差を周期的に算出し、
前記再生サンプルクロック発振手段は、前記初期タイミング位相差および前記位相追随用タイミング位相差の両方を、前記タイミング位相差情報として用いて、タイミング誤差を“0”に位相制御することを特徴とする請求項10又は請求項11記載のタイミング再生器。 - 前記ベースバンド信号をサンプリングする非同期サンプルクロックおよび非同期1/2シンボル周波数成分を出力する非同期サンプルクロック発信手段を更に備えることを特徴とする請求項8又は請求項9記載のタイミング再生器。
- 前記加算相関演算手段、前記減算相関演算手段、前記ベクトル選択手段、前記重み付け手段、前記重み付け信号平均化手段、前記タイミング位相差算出手段および前記非同期サンプルクロック発振手段の処理は、前記非同期サンプルクロックでサンプリングされたベースバンド信号を用い、
前記加算相関演算手段および前記減算相関演算手段は、前記1/2シンボル周波数成分を前記非同期1/2シンボル周波数成分とすることを特徴とする請求項13記載のタイミング再生器。 - 前記重み付け信号平均化手段は、前記重み付け相関信号をそれぞれ入力とする時定数の短い第一のローパスフィルタと、時定数の長い第二のローパスフィルタとを更に備え、
前記タイミング位相差算出手段は、前記第一のローパスフィルタの示す第一のベクトル角および第一のベクトル長を算出し、前記第一のベクトル長が大きい場合に前記プリアンブル信号を検出したと判定し、前記第一のベクトル角を用いて初期タイミング位相差を算出し、
前記第二のローパスフィルタの示す第二のベクトル角および第二のベクトル長を算出し、前記第一の位相制御後、前記第二のベクトル長が大きい場合に前記第二のベクトル角を用いて位相追随用タイミング位相差を周期的に算出することを特徴とする請求項13又は請求項14記載のタイミング再生器。 - 請求項3、請求項4、請求項5、請求項10、請求項11、請求項12のいずれか一項に記載のタイミング再生器と、
無線信号を受信するアンテナと、
前記アンテナで受信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換する周波数変換手段と、
前記周波数変換手段で変換されたベースバンド信号を、前記再生サンプルクロックを用いてシンボルレートの2倍でサンプリングし、ディジタルベースバンド信号に変換して、前記タイミング再生器に与えるAD変換手段と、
前記タイミング再生器から出力された再生シンボルクロックを用いて、前記ディジタルベースバンド信号の中からナイキスト点データを抽出し、抽出した前記ナイキスト点データを判定し、復調データとして出力するデータ判定手段とを備えることを特徴とする復調装置。 - 請求項6又は請求項7記載のタイミング再生器と、
無線信号を受信するアンテナと、
前記アンテナで受信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換する周波数変換手段と、
前記周波数変換手段で変換されたベースバンド信号を、前記非同期サンプルクロックを用いてシンボルレートの2倍でサンプリングし、ディジタルベースバンド信号に変換して、前記タイミング再生器に与えるAD変換手段と、
前記タイミング再生器から出力された非同期サンプルクロックでサンプリングされた前記ディジタルベースバンド信号を補間し、補間後のデータを、補間ベースバンド信号として出力するデータ補間手段と、
前記タイミング位相差を基に、前記データ補間手段から出力された補間ベースバンド信号のナイキスト点を抽出し、抽出した前記ナイキスト点データを判定し、復調データとして出力するデータ判定手段とを備えることを特徴とする復調装置。 - 請求項15記載のタイミング再生器と、
無線信号を受信するアンテナと、
前記アンテナで受信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換する周波数変換手段と、
前記周波数変換手段で変換されたベースバンド信号を、前記非同期サンプルクロックを用いてシンボルレートの2倍でサンプリングし、ディジタルベースバンド信号に変換して、前記タイミング再生器に与えるAD変換手段と、
前記タイミング再生器から出力された非同期サンプルクロックでサンプリングされた前記ディジタルベースバンド信号を補間し、補間後のデータを、補間ベースバンド信号として出力するデータ補間手段と、
前記初期タイミング位相差および前記位相追随用タイミング位相差の両方を基に、前記データ補間手段から出力された補間ベースバンド信号のナイキスト点を抽出し、抽出した前記ナイキスト点データを判定し、復調データとして出力するデータ判定手段とを備えることを特徴とする復調装置。
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