JP3629059B2 - Mlse型等化器を用いた復調装置 - Google Patents

Mlse型等化器を用いた復調装置 Download PDF

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Description

【0001】
(目次)
産業上の利用分野
従来の技術(図45〜図55)
発明が解決しようとする課題
課題を解決するための手段(図1〜図6)
作用(図1〜図6)
実施例
(a)第1実施例の説明(図7〜図26)
(b)第2実施例の説明(図27〜図39)
(c)第3実施例の説明(図40〜図44)
発明の効果
【0002】
【産業上の利用分野】
本発明は、MLSE型等化器を用いた復調装置に関する。
MLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation)とは、空間上で遅延やフェージングなどを受けて伝搬される送信信号のすべての系列のうちから確率的に最も確からしい送信信号の系列を、ビタビアルゴリズムを用いて推定する最尤系列推定法であり、MLSE型等化器は、この最尤系列推定法を用いて送信信号の系列を推定することによって、伝送路(空間)から遅延やフェージングなどを受けて送信されてくる信号を高精度に等化することのできる等化器である。
【0003】
また、近年、移動体無線通信などにおいて、将来加入者数の増加に伴い、周波数利用効率の向上が求められてきているが、移動体無線通信では、受信信号に対するマルチパスフェージングなどの影響が大きいため、単純にシンボルのクロッククレートを上げたり、多相位相変調をかける等の対策を容易に行なうことができない。
【0004】
このため、マルチパスフェージング状況下でも安定に動作して高速にデータ伝送を行なうことが可能な復調装置が要求されてきており、これに伴い、近年では、上述のMLSE型等化器を用いた復調装置の開発が盛んに行なわれてきている。
【0005】
【従来の技術】
(1)MLSE型等化器の説明
図45は一般的なMLSE型等化器の構成を示すブロック図で、この図45において、201はレプリカ生成部、202はCIR計算部、203は誤差演算部、204はブランチメトリック計算部、205はACS部、206はパスメモリである。
【0006】
ここで、レプリカ生成部201は、トレーニング系列と呼ばれる既知のPN系列と、後述するCIR計算部202で計算されるCIR推定値とを基に、伝送路(空間)を通ることにより遅延やフェージングなどを受けて受信される受信信号の元の状態、つまり送信信号の状態を推定したレプリカと呼ばれる推定受信信号を生成するものであり、CIR計算部202は、LMS(Least−Mean−Square:最小2乗法) アルゴリズムなどを用いて、受信信号の通ってきた伝送路のCIR(Channel Impulse Response: インパルス応答) を計算して、この演算結果を、送信信号推定用のレプリカを生成するための情報としてレプリカ生成部201へ出力するものである。
【0007】
また、誤差演算部203は、上述のレプリカ生成部201で生成されるレプリカ信号と実際の受信信号とに対して負加算(減算)処理を施すことによって、レプリカ信号と受信信号との誤差情報を得るものであり、ブランチメトリック計算部204は、この誤差演算部203で得られるレプリカ信号と受信信号との誤差情報の絶対値の2乗を計算して、ブランチメトリックと呼ばれる値を得るものである。
【0008】
さらに、ACS(Add Compare & Select)部205は、ブランチメトリック計算部204で得られたブランチメトリックを、後述する受信信号の信号点の状態遷移に応じて、その前の時点までに得られるブランチメトリックの積算値(パスメトリック)と加算し(Add) 、その結果を比較し(Compare) 、最も加算結果の小さい信号点の遷移を選択する(Select)ものであり、パスメモリ206は、このACS部205によって上述のごとく選択された信号点の遷移情報を記憶してゆき、最も確からしいパスをトレースバックして出力することによって等化受信信号を出力するものである。
【0009】
このような構成により、上述のMLSE型等化器では、図47に示すごとくトレーニングデータ部(トレーニング系列)207及びデータ部(実際の信号データ)208からなる信号が入力されると、まず、CIR計算部202によって、伝送路のCIRの推定値がトレーニングデータ部207のトレーニング系列を用いて計算され、これにより得られたCIRの推定値を基に、レプリカ生成部201によって、送信信号を推定するレプリカが生成される。
【0010】
さらに、このレプリカは誤差演算部203へ入力されることにより、レプリカとトレーニング系列の受信信号との信号誤差が演算され、これが上述のCIR計算部202でのCIRの推定値計算用の誤差情報として出力される。そして、トレーニング系列が終了するまで上述の処理が繰り返されることによって、伝送路のCIRの推定値が更新・収束されてゆく。
【0011】
つまり、上述のMLSE型等化器では、上述のごとく処理を行なうことで、レプリカ生成部201でレプリカを生成するに際して十分なデータが得られていない初期の段階では、既知系列であるトレーニング系列を用いて伝送路のCIRを計算することによって、トレーニング系列の受信状態を把握して伝送路の状態をある程度推定しておくのである。
【0012】
そして、上述のごとく伝送路のCIRを推定した後、実際の受信信号(データ部208)が誤差演算部203に入力されると、図46に示すように、この誤差演算部203によって、この受信信号とレプリカ生成部201で生成されたレプリカとの誤差が演算され、ブランチメトリック計算部204によって、この誤差の絶対値の2乗が計算されブランチメトリックとしてACS部205へ出力される。
【0013】
さらに、ACS部205では、ブランチメトリック計算部204で計算されたブランチメトリックが、後述するごとく信号点の状態遷移に応じて、その前の時点までに得られているブランチメトリックの積算値であるパスメトリックと加算され、その結果が比較され、最も加算結果の小さい遷移(パス)が選択されて、パスメモリ206へ出力され、パスメモリ206は、この最も加算結果の小さいパスを記憶しておく。
【0014】
そして、上述のごとく処理を受信信号の1シンボル毎に繰り返し、バーストの終端が認識された時点で、パスメモリ206に記憶されたパスをトレースバックして出力することにより、最も確からしいパスが受信信号の等化出力として出力される。
なお、上述のレプリカ生成部201,CIR計算部202,誤差演算部203,ブランチメトリック計算部204,ACS部205及びパスメモリ206の各機能は、実際には、1つのCPUもしくは、演算用のプロセッサとしてDSP(Digital Signal Processor)を用いて、ソフトウェアにより実現されている。
【0015】
ここで、上述のMLSE型等化器による受信信号の等化処理について、さらに具体的に述べる。なお、以下では、送信信号の変調方式をQPSK(Quadriphase Phase Shift Keying:4相位相変調)、送信信号が伝送路から遅延を受けて受信されることによって図48(a),(b)に示すごとく生じる遅延波及び先行波における遅延波の最大遅延時間を1シンボル(A)長とする。
【0016】
まず、伝送路で生じている現象を考える。図49はQPSKにおける信号点配置を示す図であり、例えば、信号点が「1」,「3」の順に送信されたとする。遅延波が存在している場合、受信信号は、図50に示すごとく、フェージングによる振幅変動と位相回転を受けた信号点「3」に対応する信号に、同じくフェージングを受けた「1」に対応する信号を加えたものになる。
【0017】
なお、ここでは、遅延波の最大遅延時間を1シンボル長としたため、現在の信号点「3」への影響は、1シンボル前の信号点「1」からの影響に限られるが、最大遅延時間を延ばせばそれだけ影響を及ぼすシンボル数が増える。この先行波に対するフェージングの影響と、遅延波に対するフェージングの影響を表す複素値が、前述の伝送路のインパルス応答(CIR)である。
【0018】
そして、図45及び図46にて前述したMLSE型等化器において、トレーニング系列を用いる段階では、どのような系列が送られているのかがわかっているので、これを用いてレプリカ生成部201でレプリカを計算することによって、例えば、この場合の信号点の状態遷移は、図51に示すごとく1本のパスで表される。なお、この図51では、トレーニング系列のシンボル数を「K」としている。
【0019】
ここで、信号点X(X=0〜3)及び信号点Y(Y=0〜3)の送信信号点をそれぞれD,D、状態Xの時点tにおける先行波に対する推定CIRをC0,X,t 、1シンボル遅延波に対する推定CIRをC−1,X,tとすると、レプリカ生成部201で生成される状態Xから状態Yへの信号点の状態遷移に対応するレプリカRX,Y,t は以下のように表される。
【0020】
X,Y,t =D・C0,X,t−1 +D・C−1,X,t−1 ・・・(1)
従って、時点tにおける受信信号をSとすると、誤差演算部203で得られる誤差信号EX,Y,t は、
X,Y,t =S−RX,Y,t ・・・(2)
で表される。そして、CIR計算部202が、この誤差EX,Y,t を用いてC0,X,t ,C−1,X,tを更新していく操作をトレーニング系列のシンボル数K回だけ繰り返すことによって、上述のごとくCIRの推定値を収束させる。
【0021】
その後、実際の受信信号が入力されると、MLSE型等化器は、トレーニング系列を用いて最終的に得られたCIRを用いて等化処理を図45及び図46にて前述したごとく開始する。具体的には、ブランチメトリック計算部204でのブランチメトリックの計算により、例えば、図52(a)に示すごとく、時点K(トレーニング系列の最終シンボル)から時点K+1(受信信号データの最初のシンボル)にパスが伸ばされる。なお、このとき、時点Kでの信号点は「0」なので、信号点「0」から信号点「0」,「1」,「2」,「3」への4本のパスが考えられる。
【0022】
ここで、誤差演算部203によって得られる誤差E0 Y,K+1 の絶対値の2乗(|E0 Y,K+1 )が、信号点「0」から信号点「Y」へのブランチメトリックであり、ACS部205によるこのブランチメトリックのある時点までの積算値が、その時点のパスメトリックである。そして、例えば、時点K+1を考える場合、時点Kが持っているパスメトリックを「0」と定義すれば、ブランチメトリックがそのままパスメトリックになる。そして、CIR計算部202では、この時に式(2)をにより誤差演算部203で得られる誤差を用いて、状態「Y」に対応するCIRが計算される。
【0023】
さらに、その後、時点K+1での信号点は分からないので、時点K+2への信号点の状態遷移は、図52(b)に示すごとく16本のパスが考えられる。このとき、各パスに対して式(2)より誤差演算部203で誤差EX,Y,K+2 が求まり、ブランチメトリック計算部204で、その絶対値の2乗(|EX Y,K+2 )としてブランチメトリックが求まる。
【0024】
ここで、時点K+1における各信号点「0〜3」から時点K+2における信号点「0」に至るパスは4本あるが、このとき、ACS部205により各パスの持っているブランチメトリックと、その出発点の信号点(この場合、時点K+1の信号点)が持っているパスメトリックとがそれぞれ加算され、新たなパスメトリックが得られ、このうち最も加算結果が最小となるパスメトリックをもったパスのみを残して、このパスを時点K+1における各信号点「0〜3」から時点K+2における信号点「0」に至る最も確からしいパスとする。
【0025】
なお、時点時点K+1における各信号点「0〜3」から時点K+2における各信号点「1〜3」に至るパスも同様に、ACS部205での加算結果の最も小さいパスが最も確からしいパスとして残される。
これにより、図52(b)において時点K+1から時点K+2へ至る16通りあったパスが、例えば、図52(c)に示すごとく4通りになり、順次、残ったパスがパスメモリ206に記憶されてゆく。
【0026】
その後は、受信信号データの長さがNであれば、上述のごとく処理が時点K+Nまで繰り返され、図53(a),(b)に示すごとくパスが決定されてゆき、最終的に、パス時点K+N−1から時点K+Nに至るパスのうち最もパスメトリックの小さいパスからパスメモリ206に記憶されたパスをトレースバックして出力することにより、図54の太実線で示すごとくパスが等化出力として出力される。
【0027】
(2)復調装置の説明
図55は一般的な復調装置の構成を示すブロック図で、この図55において、301はミキサ、302は局部発振器、303はバンドパスフィルタ(BPF)、304はAGCアンプ(Automatic Gain Control AMP)、305はハイブリッド、306,307はそれぞれミキサ、308,309はそれぞれベースバンド信号用のアンプ(AMP)、310,311はそれぞれローパスフィルタ(LPF)、312,313はA/D変換器、314はパラレル/シリアルデータ変換器(P/S変換器)である。
【0028】
さらに、315,316はそれぞれ乗算器、317は加算器、318はクロック再生用の電圧制御発振器(CLK VCO) 、319はクロック再生用のループフィルタ(Loop Filter) 、320はクロック再生用の位相器比較器(P.D:Phase Detector)、321は直交ハイブリッド(H)、322はキャリア再生用の電圧制御局部発振器(Lo VCO)、323はキャリア再生用のループフィルタ、324はキャリア再生用の位相比較器である。
【0029】
ここで、ミキサ301は、局部発振器302からの所定の周波数を受けて、RF帯(高周波帯)の受信信号をIF帯(中間周波数帯)の信号にダウンコンバート(周波数変換)するものであり、バンドパスフィルタ303は、ミキサ301から出力されるIF帯の信号の高周波成分などの不要成分を取り除くものであり、AGCアンプ304は、ハイブリッド305への入力信号のゲインを適正な値に保ちつつバンドパスフィルタ303の出力を所要のレベルに増幅するものである。
【0030】
また、ハイブリッド305は、AGCアンプ304から入力されるIF帯域の信号を分波して、それぞれをIch信号,Qch信号として出力するものであり、各ミキサ306,307は、後述する直交ハイブリッド321で互いに90°位相の異なる信号に分岐したキャリア再生用の電圧制御発振器322からの所要の周波数信号に応じて、IF帯のIch,Qch信号をそれぞれベースバンド信号にダウンコンバートするものであり、各アンプ308,309は、それぞれミキサ306,307からのIch,Qchのベースバンド信号を所要の信号レベルに増幅するものである。
【0031】
さらに、各ローパスフィルタ310,311は、それぞれIch,Qchのベースバンド信号の中間周波数成分などの不要成分を取り除くものであり、各A/D変換器312,313は、後述するクロック再生用の電圧制御発振器318からのA/D変換用クロックに応じて、各Ich,Qchのベースバンド信号をA/D変換してIch,Qchのディジタル復調信号を得るものであり、P/S変換部314は、各A/D変換器312,313で得られたIch,Qchのディジタル復調信号(パラレルデータ)をシリアルデータに変換して順次出力するものである。
【0032】
また、各乗算器315,316は、それぞれ各A/D変換器312,313でA/D変換される前のIch,Qchのベースバンド信号を自乗するものであり、加算器317は、これらの各乗算器315,316でそれぞれ自乗を施されたされたIch,Qchのベースバンド信号を加算するもので、これらの乗算器315,316及び加算器317によって、各A/D変換器312,313のためのA/D変換用クロックの位相が検出されるようになっている。
【0033】
さらに、位相比較器320は、上述の加算器317から出力されるA/D変換用クロックの位相と、過去に各A/D変換器312,313へ供給したA/D変換用クロックの位相とを比較して、その位相差分を後述する電圧制御発振器318の発振周波数を制御するための制御情報として出力するものであり、ループフィルタ319は、この位相比較器320の出力の不要成分を除去するものであり、電圧制御発振器318は、ループフィルタ319を介して入力される位相比較器320からの制御情報に応じて、発振周波数を調整して位相ずれを補正したA/D変換用クロックを各A/D変換器312,313及び位相比較器320へ供給するものである。
【0034】
つまり、これら位相比較器320,ループフィルタ319及び電圧制御発振器318は、いわゆるPLL(Phase−Locked−Loop) 回路を構成しており、このPLL回路によって、各A/D変換器312,313のためのA/D変換用クロックの位相が、常に最適な位相に追従するようになっているのである。
さらに、キャリア再生用の位相比較器324は、各A/D変換器312,313からのIch,Qchの各ディジタル復調信号の位相を比較して、その位相差分を後述する電圧制御発振器322の発振周波数を制御するための制御情報として出力するものであり、ループフィルタ323は、この位相比較器324の出力の不要成分を除去するものである。
【0035】
また、電圧制御局部発振器322は、ループフィルタ323を介して入力される位相比較器324からの制御情報に応じて、発振周波数を調整して位相ずれを補正した信号を各ミキサ306,307におけるダウンコンバート用の制御信号として出力するものであり、ハイブリッド321は、このダウンコンバート用の制御信号を互いに90°位相の異なる信号に分岐して、それぞれを各ミキサ306,307へ供給するものである。
【0036】
上述のごとく構成された復調装置では、RF帯の受信信号をミキサ301でIF帯の信号にダウンコンバートし、ハイブリッド部305及びミキサ306,307でIch,Qchのベースバンド信号を得、それぞれをA/D変換器312,313でA/D変換してディジタル復調信号を得る際、各A/D変換器312,313のそれぞれの出力をキャリア再生用の位相比較器324で位相比較して、その位相ずれを局部発振器322の発振周波数の制御情報として用いることにより、ハイブリッド305及びミキサ306,307による検波の同期(キャリア同期)が取られるようになっている。
【0037】
また、他に、バースト受信信号を再生する復調装置には、一般的に、遅延検波方式が用いられている。この遅延検波方式の復調装置では、1サイクル分の遅延を作り、信号と1サイクル前の信号の位相を比較することよってバースト受信信号の再生が行なわれるようになっている。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、まず、図45〜図54にて前述したMLSE型等化器は、k相PSK無線通信(kは通常2以上の偶数であり、前述のQPSKは4相PSKである)で、1シンボル遅延干渉波から送信信号を推定する場合、例えば、レプリカ生成部201では、1シンボルにつき少なくとも「k×k」個のレプリカを生成しなければならず、データ系列の受信シンボル長を「n」としたとき、最終的に必要とするレプリカは「k×k×n」個となる。
【0039】
ここで、このレプリカ生成部201では、乗算処理4段,加算処理2段からなる複素乗算処理が2段、加算処理が2段という具合に、少なくとも演算処理が16段必要であるので、DSPを使用して1演算処理を1クロック周期で行なうと想定しても全てのレプリカを生成するまでに要するクロック数は、「16×k×k×n」クロックとなる。
【0040】
従って、複素演算を行なうCIR計算部202,誤差演算部203及びブランチメトリック計算部204を、同様に、DSPを用いて実現した場合、等化処理に膨大な演算処理時間が必要になるので、複数のシンボルからなる受信フレームデータの等化処理が極めて困難になってしまうという課題がある。
また、図55にて前述した復調装置は、例えば、移動体無線通信システムの受信部などに適用することを考えた場合、キャリア再生のループゲインが高いため、受信信号が伝送路から受けるフェージングなどの影響で、キャリアの同期が外れると、キャリア再生用の局部発振器322の周波数が大きくずれてしまい、上述のごとくMLSE等化器を使用して受信信号の等化を行なっても、この局部発振器322の急峻な周波数変化に追従できなくなってしまうという課題がある。
【0041】
また、遅延検波方式を用いた復調装置では、受信信号が遅延やフェージングなどを受けることにより符号間干渉が大きくなってくると、急速にビットエラー率が増加してしまう。この符号間干渉の影響を受けにくくし、回線の品質を保つためには、復調装置にMLSE型等化器を用いることが有効であるが、MLSE型等化器を使用するためには受信信号の振幅情報が必要である。しかし、遅延検波方式を用いた復調装置では、この振幅情報を得ることができないため、単純に、MLSE型等化器を遅延検波方式を用いた復調装置に適用することはできない。
【0042】
そこで、この振幅情報が得られる同期検波方式(変調波信号と局部発振器との周波数と位相を同期させる)を用いた復調装置にMLSE型等化器を適用して、バースト信号を再生することが考えられるが、実際には、バースト信号に対して上述の同期を維持することは非常に困難であるので、バースト信号の再生に同期検波を用いることは有効ではない。
【0044】
発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、移動体無線通信などにおいて、フェージング周波数が高くなっても、受信データのビット誤り率持性を劣化させることなくデータを再生することのできる、MLSE型等化器を用いた復調装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、バースト信号の復調を行なう場合にも、MLSE型等化器を用いて受信データのビット誤り率持性を劣化させることなくデータを再生し、回線品質を向上させることのできる、MLSE型等化器を用いた復調装置を提供すること目的とする。
【0045】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の関連技術を示すブロック図で、この図1において、1はレプリカ生成部、2は誤差演算部、3はブランチメトリック部、4は加算・比較・選択処理部、5はインパルス応答演算部、6はパスメモリ部、7はインパルス応答メモリ部で、これらの各部でMLSE型等化器が構成されている。
【0046】
ここで、レプリカ生成部1は、k相PSK無線通信での送信信号推定用レプリカを生成するものであり、誤差算出部2は、このレプリカ生成部1で得られたレプリカとk相PSK無線通信での受信信号との誤差を算出するものであり、さらにブランチメトリック部3は、この誤差算出部2で得られた誤差の絶対値を二乗してブランチメトリックを得るものである。
【0047】
また、加算・比較・選択処理部4は、ブランチメトリック部3で得られたブランチメトリックに基づいて得られるパスメトリックについて、加算処理,比較処理及び選択処理を施すことにより、最も加算結果の小さい遷移を選択するものであり、インパルス応答演算部5は、この加算・比較・選択処理部4で得られた処理結果に基づき、所要のアルゴリズムで、伝送路のインパルス応答を演算して、この演算結果をレプリカ生成用情報として上述のレプリカ生成部1へ入力するものであり、さらにパスメモリ部6は、加算・比較・選択処理部4で得られた処理結果に基づいて、最も加算結果の小さい遷移を記憶しながら、最も確からしいパスを等化出力とするものである。
【0048】
そして、この図1に示すMLSE型等化器では、上述のレプリカ生成部1,誤差算出部2,ブランチメトリック部3,加算・比較・選択処理部4,インパルス応答演算部5,パスメモリ部6が独立した演算器を有するように構成され、且つ、インパルス応答演算部5とレプリカ生成部1との間に、データの書き込み及び読み出しを同時に行なうことができるインパルス応答メモリ部7が介装されて、インパルス応答演算部5からの演算結果の書き込みとレプリカ生成部1へのインパルス応答演算部5からの演算結果の読み出しとを同時に行なうことができるようになっている。
【0049】
また、上述の加算・比較・選択処理部4には、データの書き込み及び読み出しを同時に行なうことのできるパスメトリックメモリ部が設けられて、前時点のパスメトリックの読み出しと、加算・比較・選択処理部4で選択された現時点の選択パスメトリックの書き込みとを同時に行なうことができるようになっている。
【0050】
さらに、具体的に、上述のレプリカ生成部1は、基準信号点の複素値をkビットアドレスより変換する第1エンコーダをそなえ、この第1エンコーダからの情報を用いて、1シンボル毎にk×k種類のレプリカを1クロックサイクルで1種生成するように構成され、インパルス応答演算部5は、基準信号点に収束係数を掛け合わせた複素値をkビットアドレスより変換する第2エンコーダをそなえて構成される。
【0051】
また、上述のインパルス応答メモリ部7は、DRAMを用いて構成され、加算・比較・選択処理部4に設けられるパスメトリックメモリ部は、2個のメモリで構成され、この場合は、前時点のパスメトリックの読み出しと、現時点の選択パスメトリックの書き込みとがこれら2個のメモリの交互切替えによって実行されるようになる。
【0052】
さらに、この図1に示すMLSE型等化器には、加算・比較・選択処理部4の出力を誤差アドレスとして、k×k種類の誤差からkクロック周期で所要の誤差を出力し、この誤差をインパルス応答演算部5へ出力する誤差レジスタを設けてもよく、誤差算出部2の入力側に、受信信号を一時的に保存するFIFOメモリを設けてもよい。
【0053】
次に、図2も本発明の関連技術を示すブロック図で、この図2において、1A,1Bはそれぞれ第1,第2レプリカ生成部、2A,2Bはそれぞれ第1,第2誤差算出部、3A,3Bはそれぞれ第1,第2ランチメトリック部、4′は加算・比較・選択処理部、5A,5Bはそれぞれ第1,第2インパルス応答演算部、6はパスメモリ部で、この場合も、これらの各部でMLSE型等化器が構成されている。
【0054】
ここで、第1レプリカ生成部1Aは、k相PSK無線通信での送信信号推定用レプリカを生成するものであり、第1誤差算出部2Aは、この第1レプリカ生成部1Aで得られたレプリカとk相PSK無線通信での第1受信信号との誤差を算出するものであり、さらに第1ブランチメトリック部3Aは、この第1誤差算出部2Aで得られた誤差の絶対値を二乗してブランチメトリックを得るものである。
【0055】
さらに、第2レプリカ生成部1Bは、上述の第1レプリカ生成部1Aと同様に、k相PSK無線通信での送信信号推定用レプリカを生成するものであり、第2誤差算出部2Bは、この第2レプリカ生成部2Bで得られたレプリカと該k相PSK無線通信での第2受信信号との誤差を算出するものであり、さらに第2ブランチメトリック部3Bは、この第2誤差算出部2Bで得られた誤差の絶対値を二乗してブランチメトリックを得るものである。
【0056】
また、加算・比較・選択処理部4′は、上述の第1ブランチメトリック部3A及び第2ブランチメトリック部3Bでそれぞれ得られたブランチメトリックに基づいて得られるパスメトリックについて、加算処理,比較処理及び選択処理を施すことにより、最も加算結果の小さい遷移を選択するものであり、パスメモリ部6は、この加算・比較・選択処理部4′で得られた処理結果に基づいて、最も加算結果の小さい遷移を記憶しながら、最も確からしいパスを等化出力とするものである。
【0057】
さらに、第1インパルス応答演算部5Aは、上述の加算・比較・選択処理部4′で得られた処理結果に基づき、所要のアルゴリズムで、伝送路のインパルス応答を演算して、この演算結果をレプリカ生成用情報として第1レプリカ生成部1Aへ入力するものであり、第2インパルス応答演算部5Bは、同じく加算・比較・選択処理部4′で得られた処理結果に基づき、所要のアルゴリズムで、伝送路のインパルス応答を演算して、この演算結果をレプリカ生成用情報として第2レプリカ生成部1Bへ入力するものである。
【0058】
そして、この図2に示すMLSE型等化器では、上述の第1レプリカ生成部1A,第2レプリカ生成部1B,第1誤差算出部2A,第2誤差算出部2B,第1ブランチメトリック部3A,第2ブランチメトリック部3B,加算・比較・選択処理部4′,パスメモリ部6,第1インパルス応答演算部5A,第2インパルス応答演算部5Bが独立した演算器を有するように構成され、且つ、第1ブランチメトリック部3A及び第2ブランチメトリック部3Bのいずれか一方が、ブランチメトリックを所定値に固定して出力しうるように構成される。
【0059】
次に、図3は発明の原理ブロック図で、この図3において、8は直交検波部、9は局部発振器、10はMLSE型等化器、11は周波数弁別器、12Aは制御部である。
ここで、直交検波部8は、k相PSK無線通信での受信信号を局部発振器9からのローカル信号を用いて直交検波するものであり、MLSE型等化器10は、この直交検波部8で得られた復調信号を入力として、ビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施すものである。
【0060】
そして、周波数弁別器11は、上述のMLSE型等化器10での等化前の時間的に間隔をあけた複数のデータを用いて、これらのデータのもつ周波数偏差を検出するものであり、制御部12Aは、この周波数弁別器11で得られた周波数偏差を最小にするように、直交検波部8における局部発振器9の発振周波数を制御するものである。
【0061】
また、上述の制御部12Aは、周波数弁別器11で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成され、具体的には、周波数弁別器11で得られた周波数偏差の大きさと、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成される。
【0063】
次に、図4も本発明の原理ブロック図で、この図4においても、8は直交検波部、9は局部発振器、10はMLSE型等化器、11は周波数弁別器であり、それぞれ図3にて前述したものと同様のものである。そして、この図4において、12Bは制御部、13は識別部、14は位相回転部、15は三角関数発生部である。
【0064】
ここで、識別部13は、直交検波部8で得られた復調信号を所定の識別レベルで識別するものであり、位相回転部14は、この識別部13からの出力について位相回転を施すものであり、三角関数発生部15は、この位相回転部14に位相回転情報を有する三角関数情報を出力するものである。
そして、制御部12Bは、周波数弁別器11で得られた周波数偏差を最小にするように、上述の三角関数発生部15を制御するものである。
【0065】
さらに、この場合も、上述の制御部12Bは、周波数弁別器11で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成され、具体的には、周波数弁別器11で得られた周波数偏差の大きさと、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成される。
【0067】
次に、図5も本発明の原理ブロック図で、この図5において、8′は直交検波部、9は局部発振器、10はMLSE型等化器、11は周波数弁別器、12Cは制御部、16はバースト受信信号開始・終了検出部である。
ここで、直交検波部8′は、k相PSK無線通信でのバースト受信信号を局部発振器9からのローカル信号を用いて直交検波するものであり、MLSE型等化器10は、図3にて前述したものと同様に、直交検波部8で得られた復調信号を入力として、ビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施すものであり、バースト受信信号開始・終了検出部16は、バースト受信信号の開始情報と終了情報とを検出するものである。
【0068】
また、周波数弁別器11は、図3にて前述したものと同様に、MLSE型等化器10での等化前の時間的に間隔をあけた複数のデータを用いて、これらのデータのもつ周波数偏差を検出するものであり、制御部12Cは、上述のバースト受信信号開始・終了検出部16でバースト受信信号の開始が検出されると、周波数弁別器11で得られた周波数偏差を最小にするように、直交検波部8′における局部発振器9の発振周波数を制御するとともに、バースト受信信号開始・終了検出部16でバースト受信信号の終了が検出されると、そのときの周波数弁別器11の周波数偏差を保持するように、直交検波部8′における局部発振器9の発振周波数を制御するものである。
【0069】
さらに、この場合も、上述の制御部12Cは、周波数弁別器11で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成され、具体的には、周波数弁別器11で得られた周波数偏差の大きさと、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成される。
【0071】
に、図6も本発明の原理ブロック図で、この図6において、8′は直交検波部、9は局部発振器、10はMLSE型等化器、11は周波数弁別器、12Dは制御部、13は識別部、14は位相回転部、15は三角関数発生部、16はバースト受信信号開始・終了検出部である。
【0072】
ここで、直交検波部8′,局部発振器9,MLSE型等化器10及び周波数弁別器11は、それぞれ図5にて上述したものと同様のものであり、識別部13は、直交検波部8′で得られた復調信号を所定の識別レベルで識別するものであり、位相回転部14は、この識別部13からの出力について位相回転を施すものであり、三角関数発生部15は、位相回転部14に位相回転情報を有する三角関数情報を出力するものであり、バースト受信信号開始・終了検出部16は、バースト受信信号の開始情報と終了情報とを検出するものである。
【0073】
そして、制御部12Dは、上述のバースト受信信号開始・終了検出部16でバースト受信信号の開始が検出されると、周波数弁別器11で得られた周波数偏差を最小にするように、三角関数発生部15を制御するとともに、バースト受信信号開始・終了検出部16でバースト受信信号の終了が検出されると、そのときの周波数弁別器11の周波数偏差を保持するように、三角関数発生部15を制御するものである。
【0074】
さらに、この場合も、制御部12Dは、周波数弁別器11で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成され、この場合、具体的には、周波数弁別器11で得られた周波数偏差の大きさと、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成される。
【0077】
【作用】
図1にて前述したMLSE型等化器では、k相PSK無線通信での送信信号推定用レプリカと受信信号との誤差の絶対値の2乗であるブランチメトリックを得、このブランチメトリックに基づいて得られるパスメトリックについて、最も加算結果の小さい遷移を記憶しながら、最も確からしいパスを受信信号の等化出力として出力する際、レプリカ生成部1,誤差算出部2,ブランチメトリック部3,加算・比較・選択処理部4,インパルス応答演算部5,パスメモリ部6が独立した演算器を有するように構成され、且つ、インパルス応答演算部5とレプリカ生成部1との間に、データの書き込み及び読み出しを同時に行なうことができるインパルス応答メモリ部7が介装されているので、インパルス応答演算部5からの演算結果の書き込みとレプリカ生成部1へのインパルス応答演算部5からの演算結果の読み出しとを同時に行なうことができる。
【0078】
また、このとき、加算・比較・選択処理部4には、データの書き込み及び読み出しを同時に行なうことのできるパスメトリックメモリ部が設けられているので、前時点のパスメトリックの読み出しと、加算・比較・選択処理部4で選択された現時点の選択パスメトリックの書き込みとを同時に行なうことができる。
【0079】
さらに、具体的に、上述のレプリカ生成部1では、第1エンコーダによって、基準信号点の複素値がkビットアドレスより変換され、この情報を用いて、1シンボル毎にk×k種類のレプリカが1クロックサイクルで1種生成され、インパルス応答演算部5では、第2エンコーダによって、基準信号点に収束係数を掛け合わせた複素値がkビットアドレスより変換される。
【0080】
また、上述のインパルス応答メモリ部7に、DRAMを用いれば、インパルス応答演算部5からの演算結果の書き込みとレプリカ生成部1へのインパルス応答演算部5からの演算結果の読み出しとを同時に行なうことができ、加算・比較・選択処理部4に設けられるパスメトリックメモリ部を、2個のメモリで構成すれば、前時点のパスメトリックの読み出しと、現時点の選択パスメトリックの書き込みとをこれら2個のメモリの交互切替えによって実行することができる。
【0081】
さらに、この図1に示すMLSE型等化器に、誤差レジスタを設ければ、加算・比較・選択処理部4の出力を誤差アドレスとして、k×k種類の誤差からkクロック周期で所要の誤差を出力し、この誤差をインパルス応答演算部5へ出力することができ、誤差算出部2の入力側にFIFOメモリを設ければ、受信信号を一時的に保存することができる。
【0082】
次に、図2にて前述したMLSE型等化器では、k相PSK無線通信での送信信号推定用レプリカと受信信号との誤差の絶対値の2乗であるブランチメトリックを得、このブランチメトリックに基づいて得られるパスメトリックについて、最も加算結果の小さい遷移を記憶しながら、最も確からしいパスを受信信号の等化出力として出力する際、第1レプリカ生成部1A,第2レプリカ生成部1B,第1誤差算出部2A,第2誤差算出部2B,第1ブランチメトリック部3A,第2ブランチメトリック部3B,加算・比較・選択処理部4′,パスメモリ部6,第1インパルス応答演算部5A,第2インパルス応答演算部5Bがそれぞれ独立して演算を行ない、且つ、第1ブランチメトリック部3A及び第2ブランチメトリック部3Bのいずれか一方が、ブランチメトリックを所定値に固定して出力する。
【0083】
次に、図3にて前述した本発明のMLSE型等化器を用いた復調装置では、k相PSK無線通信での受信信号が、直交検波部8で局部発振器9からのローカル信号を用いて直交検波され、この直交検波部8で得られた復調信号に対して、MLSE型等化器10によって、ビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施されるが、この際、周波数弁別器11によって、MLSE型等化器10での等化前の時間的に間隔をあけた複数のデータを用いて、これらのデータのもつ周波数偏差が検出され、この周波数偏差が最小になるように、直交検波部8における局部発振器9の発振周波数が制御部12Aによって制御される。
【0084】
また、上述の制御部12Aは、周波数弁別器11で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にす、具体的には、周波数弁別器11で得られた周波数偏差の大きさと、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にする。
【0086】
次に、図4にて前述した本発明のMLSE型等化器を用いた復調装置では、k相PSK無線通信での受信信号が、直交検波部8で局部発振器9からのローカル信号を用いて直交検波され、これにより得られた復調信号は、識別部13で所定の識別レベルで識別され、位相回転部14で、三角関数発生部15からの位相回転情報を有する三角関数情報に基づいて、位相回転が施され、さらに、MLSE型等化器10によって、ビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施される。
【0087】
そして、このとき、周波数弁別器11では、MLSE型等化器10での等化前の時間的に間隔をあけた複数のデータを用いて、これらのデータのもつ周波数偏差が検出され、得られた周波数偏差が最小になるように、制御部12Bによって三角関数発生部15が制御される。
さらに、この場合も、上述の制御部12Bは、周波数弁別器11で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にす、この場合、具体的には、周波数弁別器11で得られた周波数偏差の大きさと、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にする。
【0089】
次に、図5にて前述した本発明のMLSE型等化器を用いた復調装置でも、k相PSK無線通信での受信信号が、直交検波部8で局部発振器9からのローカル信号を用いて直交検波され、この直交検波部8で得られた復調信号に対して、MLSE型等化器10によって、ビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施される。
【0090】
そして、この際、図5に示す復調装置では、周波数弁別器11によって、図3にて前述したごとく、MLSE型等化器10での等化前の時間的に間隔をあけた複数のデータを用いて、これらのデータのもつ周波数偏差が検出され、バースト受信信号開始・終了検出部16でバースト受信信号の開始が検出されると、制御部12Cによって、周波数弁別器11で得られた周波数偏差が最小になるように、直交検波部8′における局部発振器9の発振周波数が制御されるとともに、バースト受信信号開始・終了検出部16でバースト受信信号の終了が検出されると、そのときの周波数弁別器11の周波数偏差を保持するように、直交検波部8′における局部発振器9の発振周波数が制御される。
【0091】
さらに、この場合も、上述の制御部12Cは、周波数弁別器11で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にす、具体的には、周波数弁別器11で得られた周波数偏差の大きさと、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にする。
【0093】
に、図6にて前述した本発明のMLSE型等化器を用いた復調装置でも、図4にて前述したごとく、k相PSK無線通信での受信信号が、直交検波部8で局部発振器9からのローカル信号を用いて直交検波され、これにより得られた復調信号は、識別部13で所定の識別レベルで識別され、位相回転部14で、三角関数発生部15からの位相回転情報を有する三角関数情報に基づいて、位相回転が施され、さらに、MLSE型等化器10によって、ビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施される。
【0094】
そして、この際、この図6に示す復調装置では、バースト受信信号開始・終了検出部16でバースト受信信号の開始が検出されると、制御部12Dによって、周波数弁別器11で得られた周波数偏差が最小になるように、三角関数発生部15が制御されるとともに、バースト受信信号開始・終了検出部16でバースト受信信号の終了が検出されると、そのときの周波数弁別器11の周波数偏差を保持するように、三角関数発生部15が制御される。
【0095】
さらに、この場合も、上述の制御部12Dは、周波数弁別器11で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にす、この場合、具体的には、周波数弁別器11で得られた周波数偏差の大きさと、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にする。
【0098】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
(a)第1実施例の説明
図7は本発明の第1実施例としてのMLSE型等化器が適用される移動体無線通信システムの一例を示すブロック図で、この図7において、21は送信機、22は受信機であり、本実施例では、これらの送信機21及び受信機22との間でk相PSK(Phase Shift Keying)無線通信(通常、kは2以上の偶数)が行なわれるようになっている。
【0099】
このため、送信機21には、変調器23及び発振器24が設けられ、この送信器からは、送信ビット列が、発振機24からの所要の発振周波数に応じて変調器23でk相位相変調が施されて受信器22へ向けてアンテナ25から送信されるようになっている。
一方、受信機22は、各アンテナ26A,26Bで受信されるk相PSKを施された受信信号を発振機27からの所要の発振周波数に応じてそれぞれ復調する復調器28A,28Bが設けられて、いわゆるダイバーシチ受信構成となっておいる。そして、この受信機22には、さらに、本発明の要部であるMLSE型等化器29が設けられており、上述のダイバーシチ構成によってそれぞれ受信・復調された各受信信号の遅延やフェージングなどの影響がMLSE型等化器29によって等化されるようになっている。
【0100】
そして、図8は本発明の要部であるMLSE型等化器29の構成を示すブロック図で、この図8において、31A,31Bはそれぞれレプリカ生成部、32A,32Bはそれぞれ誤差計算部、33A,33Bはそれぞれブランチメトリック計算部、34はACS部(加算・比較・選択処理部)、35A,35BはそれぞれCIR計算部(インパルス応答演算部)、36はパスメモリ部、37A,37BはそれぞれDPRAM(Dual−Port RAM :インパルス応答メモリ部)、38A,38Bはそれぞれ誤差レジスタ、39A,39BはそれぞれFIFO(First−In−First−Out)メモリ、40は制御部である。
【0101】
ここで、レプリカ生成部31A(第1レプリカ生成部)は、後述するCIR計算部35Aで得られる伝送路のCIR(インパルス応答)の演算結果を用いて、送信機21から送信されるk相PSK無線通信での送信信号(送信ビット列)を推定したレプリカ信号(RA X,Y,n )を生成するものである。
また、誤差計算部32A(第1誤差算出部)は、このレプリカ生成部35Aで得られたレプリカ信号と、アンテナ26Aで受信されるk相PSK無線通信での受信信号(SA:第1受信信号)とに対して減算処理を施すことによって、信号誤差(EA X,Y,n )を算出するものであり、ブランチメトリック計算部33A(第1ブランチメトリック部)は、誤差計算部32Aで得られた信号誤差(EA X,Y,n )の絶対値を2乗してブランチメトリック(|EA X,Y,n )を得るものである。
【0102】
一方、レプリカ生成部31B(第2レプリカ生成部)は、上述のレプリカ生成部31Aと同様に、後述するCIR計算部35Bで得られる伝送路のCIR(インパルス応答)の演算結果を用いて、送信機21から送信されるk相PSK無線通信での送信信号(送信ビット列)を推定したレプリカ信号(RB X,Y,n )を生成するものである。
【0103】
また、誤差計算部32B(第2誤差算出部)は、このレプリカ生成部35Bで得られたレプリカ信号と、アンテナ26Bで受信されるk相PSK無線通信での受信信号(SB:第2受信信号)とに対して減算処理を施すことによって、信号誤差(EB X,Y,n )を算出するものであり、ブランチメトリック計算部33B(第2ブランチメトリック部)は、誤差計算部32Bで得られた信号誤差(EB X,Y,n )の絶対値を2乗してブランチメトリック(|EB X,Y,n )を得るものである。
【0104】
さらに、ACS部(Add Compare Select:加算・比較・選択処理部)34は、上述の各ブランチメトリック計算部33A,33Bでそれぞれ得られたブランチメトリック(|EA X,Y,n ,|EB X,Y,n )を、順次、積算してゆくことにより得られるパスメトリック(PMX,Y,n )について、加算処理,比較処理及び選択処理を施すことにより、最も加算結果の小さい受信信号の信号点の状態遷移を選択するもので、このため、このACS部34は、加算部342,比較選択部342及びパスメトリックメモリ343を有して構成される。
【0105】
ここで、加算部342は、各ブランチメトリック計算部33A,33Bでそれぞれ得られたブランチメトリック(|EA X,Y,n ,|EB X,Y,n )にその時点までに得られたパスメトリック(PMX,Y,n−1 )を加算するものであり、比較選択部342は、この加算部342で得られる現時点でのパスメトリック(PMX,Y,n )と上述の現時点までに得られたパスメトリック(PMX,Y,n−1 )とを比較して、値の小さい方のパスメトリックを選択して、誤差アドレスとして出力するものである。
【0106】
また、パスメトリックメモリ(パスメトリックメモリ部)343は、データの書き込み及び読み出しを同時に行なうことのできるメモリで、前時点のパスメトリック(PMX,Y,n−1 )の読み出しと、比較選択部342(ACS部34)で選択された現時点の選択パスメトリック(PMX,Y,n )の書き込みとを同時に行なうことができるようになっている。
【0107】
さらに、CIR計算部35Aは、後述する誤差レジスタ38Aから上述のACS部34で得られた誤差アドレスに基づいてkクロック周期で出力される信号誤差(EA (X),Y,n )に基づき、LMS(Least−Mean−Square) などの所要のアルゴリズムで、伝送路のCIR(Channel Impulse Response :インパルス応答) を演算して、この演算結果〔CA(0) Y,n ,CA(0) X,n−1 ,CA(−1) Y,n ,CA(−1) X,n−1 〕を後述するDPRAM37Aを介してレプリカ信号(RA X,Y,n )生成用の情報として、レプリカ生成部31Aへ入力するものである。
【0108】
また、CIR計算部35Bは、後述する誤差レジスタ38Bから同じく上述のACS部34で得られた誤差アドレスに基づいてkクロック周期で出力される誤差情報に基づき、CIR計算部35Aと同様に、LMSなどの所要のアルゴリズムで、伝送路のCIRを演算して、この演算結果〔CB(0) Y,n ,CB(0) X,n−1 ,CB(−1) Y,n ,CB(−1) X,n−1 〕を各レプリカ信号(RB X,Y,n )生成用の情報として、レプリカ生成部31Bへ入力するものである。
【0109】
さらに、パスメモリ部36は、上述のACS部34で得られた誤差アドレス(処理結果)に基づいて、最もパスメトリック(PMX,Y,n )の加算結果の小さい遷移を記憶しながら、最終的に、選択された最も確からしいパス上のデータを再生して等化データとして出力するものである。
このため、このパスメモリ部36は、図11に示すように、最もパスメトリック(PMX,Y,n )の加算結果の小さい遷移のデータを記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)402,このRAM402へのデータの書き込み/読み出しを制御するパスメモリ制御部401及びこのパスメモリ制御部401から出力される等化データをデコードして出力するデコーダ(DEC)403を用いて構成され、さらに、パスメモリ制御部(PMEM−CONT) 401,RAM402は、図12及び図13に示すごとく構成される。
【0110】
また、各DPRAM37A,37Bは、データの書き込み及び読み出しを同時に行なうことができるメモリで、この図8に示すごとくそれぞれがインパルス応答演算部5とレプリカ生成部1との間に介装されることによって、各CIR計算部35A,35Bからの演算結果の書き込みと、各レプリカ生成部31A,31Bへの各CIR計算部35A,35Bからの演算結果の読み出しとが同時に行なわれるようになっている。
【0111】
さらに、各誤差レジスタ38A,38Bは、それぞれk×k種類の信号誤差(レプリカ信号と受信信号との誤差)からACS部34から受けた誤差アドレスに対応する信号誤差(EA (X),Y,n ,EB (X),Y,n )を、kクロック周期で出力し、各信号誤差をそれぞれCIR計算部35A,35Bへ出力するものである。
【0112】
また、各FIFOメモリ39A,39Bは、この図8に示すごとく各誤差計算部32A,32Bの入力側に設けられることにより、各アンテナ26A,26B(図7参照)で受信される各受信信号(SA,SB)をそれぞれ一時的に保持する入力バッファで、これらのFIFOメモリ39A,39Bによって、両受信信号から得られる誤差やブランチメトリックなどの両データの同期が取られるようになっている。また、このように、FIFOメモリ39A,39Bを用いて受信信号とMLSE型等化器29内での処理とを非同期にすることで、MLSE型等化器29内の高速クロックによる処理も可能にしている。
【0113】
さらに、制御部40は、MLSE型等化器29を構成する上述の各演算ブロックへ制御データを供給して演算処理などの動作を統括的に制御するもので、各演算ブロック間のデータの受渡しタイミング信号の発生,シンボルアドレスの発生,トレーニング,データ系列,ターミネーション処理などの各シーケンス制御を行なうようになっている。
【0114】
このような構成により、本実施例におけるMLSE型等化器29では、各レプリカ生成部31A,31B,誤差計算部32A,32B,ブランチメトリック計算部33A,33B,ACS部34,CIR計算部35A,35B及びパスメモリ部36で行なわれる演算処理が、1つのCPUやDSP(Digital Signal Processor)を用いてソフトウェアで処理されるのではなく、それぞれ独立した演算器によって処理されるようになっている。
【0115】
そして、図9は上述のレプリカ生成部31A(31B),DPRAM37A(37B)及びCIR計算部35A(35B)の詳細構成を示すブロック図で、この図9に示すように、レプリカ生成部31A(31B)は、加算器41,複素演算器(複素乗算器42,43及びエンコーダ(PLD DI/DR) 45,46を有して構成され、CIR計算部35A(35B)は、加算器47,48,複素演算器(複素乗算器49,50及びエンコーダ(PLD μDI/μDR) 51,52を有して構成される。
【0116】
ここで、レプリカ生成部31A(31B)において、各エンコーダ(第1エンコーダ)45,46は、それぞれ先行波,遅延波のシンボルアドレス(kビットアドレス)をDPRAM37A(37B)から読み込んで、このシンボルアドレスに対応する基準信号点の複素値を量子化するものであり、各複素乗算器42,43は、それぞれ各エンコーダ45,46で量子化された基準信号点の複素値と、DPRAM37A(37B)から読み出されるCIR係数とを用いて複素乗算を施すことによって、先行波,遅延波それぞれのレプリカ信号を生成するものであり、加算器41は、これらの各複素乗算器42,43で生成された先行波,遅延波それぞれのレプリカ信号を加算して出力するものである。
【0117】
これにより、このレプリカ生成部31A(31B)では、各エンコーダ45,46からの情報を用いて、受信信号1シンボル毎にk×k種類のレプリカ信号が1クロックサイクルで1種生成される。
具体的に、このレプリカ生成部31A(31B)では、基準となる理想信号点にCIR係数を掛け合わせることによって生成されるが、このCIR係数は、ACS部34より送られる(j)BITのシンボルアドレスによって後述するDPRAM37A(37B)より呼び出される。
【0118】
そして、このとき、(m)BITの量子化された理想信号点も、シンボルアドレスによって呼び出されるが、本実施例におけるMLSE型等化器29では、エンコーダ45,46によって、(i)BITのシンボルアドレスから(m)BITの量子化された理想信号点をコード化される。
ここで、上述のごとく(m)BITの量子化理想信号点を生成するには、他にリードオンリーメモリ(ROM)を用いることも考えられるが、アクセス速度の速いROMは非常に高価であるとともに、本実施例に示すMLSE型等化器29のように高速使用の回路では、アクセス時間に余裕が無くなってしまうことや、読み出しデータを同期させるためのフリップフロップ(FF)が必要になるということから、本実施例におけるMLSE型等化器29では、前述したごとくエンコーダ45,46を用いることにより高速動作を可能としているのである。
【0119】
一方、CIR計算部35A(35B)において、各エンコーダ(第2エンコーダ)51,52は、それぞれ基準信号点に収束係数を掛け合わせた複素値を誤差レジスタ38A(38B)からの誤差アドレス(kビットアドレス)より変換して量子化するものであり、各複素乗算器49,50は、それぞれ各エンコーダ51,52で得られた複素値(基準信号点×収束係数)と、誤差計算部32A(32B)から得られる誤差とに対して複素乗算を施すことによって、先行波,遅延波からCIR係数を得るものであり、各加算器47,48は、それぞれ各複素乗算器49,50で現時点での先行波,遅延波それぞれから得られた各CIR係数と、現時点までに得られていた旧CIR係数とを加算して、DPRAM37A(37B)に書き込むことによって、DPRAM37A(37B)におけるCIR係数を、順次、更新してゆくものである。
【0120】
つまり、このCIR計算部35A(35B)では、LMSなどの所定のアルゴリズムでCIR係数の更新を行なうために、基準信号点と収束係数とが必要であるので、上述のレプリカ生成部31A(31B)と同様に、基準信号点と収束係数を掛け合わせた複素値を、エンコーダ51,52によって、(j)BITのシンボルアドレスから(m)BITの量子化データに変換することで、高速動作を可能としているのである。なお、この場合のエンコーダ51,52は、書き換えの可能なもので、収束係数を変更する場合もエンコーダ51,52のデータの書き換えだけで変更できるようになっている。
【0121】
上述のごとく構成により、レプリカ生成部31A(31B)でレプリカ信号を全て生成する前に、現時点までの処理分でCIR係数の更新係数がメモリ(DPRAM37A,37B)に書き込まれる。
そして、この際、各CIR計算部35A,35Bと各レプリカ生成部31A,31BとでのCIR係数の遣り取りの際、DPRAM37A,37Bのメモリ領域を、レプリカ生成用係数呼び出し領域と更新用係数書き込み領域とに分割して、相互のメモリ領域を処理シンボル単位で入れ換えることによって、連続した動作を可能にするとともに、CIR係数が上書きされることを防いでいる。
【0122】
さらに、図10は上述のACS部34及び誤差レジスタ38A(38B)の詳細構成を示すブロック図で、この図10に示すように、まず、ACS部34は、図8にて前述したごとく加算部341,比較選択部342及びパスメトリックメモリ343からなっており、さらに、加算部341は、フリップフロップ(FF)回路344,345,347、加算器346,348からなり、比較選択部342は、フリップフロップ(FF)回路349,350,354,セレクタ351,352及びコンパレータ353からなり、パスメトリックメモリ343は、読み出しアドレスカウンタ355,書き込みアドレスカウンタ356,RAM切替カウンタ357,書き込みカウンタ358,デコーダ359,2つのランダムアクセスメモリ(RAM)361,362からなっている。
【0123】
ここで、まず、加算部341において、各FF回路344,345は、それぞれ各ブランチメトリック計算部33A,33B(図7参照)で得られるブランチメトリック(|EA X,Y,n ,|EB X,Y,n )を一旦ラッチして、供給されたクロックサイクルに応じて加算器346へ出力するものであり、加算器346は各ブランチメトリック(|EA X,Y,n ,|EB X,Y,n )を合成して加算器348へ出力するものである。
【0124】
そして、このとき、上述の各FF回路344,345へは、この図10に示すごとくそれぞれ「BRAA」信号,「BRBB」信号が供給されるようなっており、これらの「BRAA」信号,「BRBB」信号によって、加算器346へ入力されるブランチメトリックの制御が行なわれるようになっている。
つまり、例えば、「BRAA」信号によって、一方のブランチメトリック計算部33Aから出力されるブランチメトリックを、“ALL LOW”(所定値)に固定してブランチメトリックの値を「0」にすることにより、ダイバーシチ動作から単一受信動作へ切替えられるようになっているのである。
【0125】
さらに、FF回路347は、後述するパスメトリックメモリ343のRAM361又は362から出力される現時点までのパスメトリック(ブランチメトリックの積算値)を一旦ラッチして、クロックサイクルに応じて加算器348へ出力するものであり、加算器348は、上述の加算器348からの合成ブランチメトリックとFF回路347で一旦ラッチされた現時点までのパスメトリックを加算することによって、現時点でのパスメトリック(PMX,Y,n )を得るものである。
【0126】
また、比較選択部342において、各FF回路349,350は、それぞれ上述の加算部341における加算器348で得られた現時点でのパスメトリック(PMX,Y,n )を一旦ラッチして、クロックサイクルに応じてセレクタ351へ出力するものであり、各セレクタ351,352及びコンパレータ353は、この現時点でのパスメトリック(PMX,Y,n )と、この比較選択部342で前時点に得られFF回路354を通じて出力されたパスメトリックとを比較して、最も信号点の状態遷移の小さいパスメトリックを選択的に、パスメトリックメモリ343及び誤差レジスタ38A(38B)へ出力するものである。
【0127】
さらに、パスメトリックメモリ343において、読み出しアドレスカウンタ355は、前時点に比較選択部342で選択されたパスメトリックが書き込まれたアドレスをクロックサイクルに応じてデコーダ359を通じて出力するもので、この読み出しアドレスカウンタ355からのアドレスに対応するパスメトリックが出力されるようになっている。
【0128】
また、書き込みアドレスカウンタ356は、比較選択部342で選択されたパスメトリックを書き込むべきRAM361又はRAM362のアドレスをクロックサイクルに応じてデコーダ359を通じて出力するものであり、書き込みカウンタ358は、書き込みアドレスカウンタ356から出力されるRAM361又はRAM362のアドレスに比較選択部342で選択されたパスメトリックを書き込むカウンタ値を出力するものであり、RAM切替カウンタ357は、比較選択部342で選択された前時点のパスメトリックの読み出し,現時点のパスメトリックの書き込みを行なうRAM361又はRAM362の切替え信号を出力するものである。
【0129】
つまり、このパスメトリックメモリ343は、前時点のパスメトリックの読み出しと、現時点の選択パスメトリックの書き込みとを、RAM切替カウンタ357を用いて、2個のRAM361,362(2個のメモリ)の交互切替えによって実行するようになっているのである。
一方、この図10に示すように、誤差レジスタ38A(38B)は、k×k個の誤差から選択パスメトリックに付随する誤差、及びk個の誤差のうち何番目の誤差であるかを誤差アドレスとして、選択パスメトリックの出力と同時タイミングで出力するために、アドレスカウンタ381,シフトレジスタ382,フリップフロップ(FF)回路383,386及びセレクタ384,385で構成されている。
【0130】
ここで、アドレスカウンタ381は、誤差アドレスを出力するものであり、シフトレジスタ382は、選択用パスメトリックと選択タイミングを合わせるものであり、セレクタ384は、選択する誤差と誤差アドレスを切り換えるものであり、セレクタ385は、誤差と誤差アドレスを、ACS部34の比較選択部342におけるコンパレータ353の出力を利用して選択するものであり、FF回路386は、選択パスメトリックが選択されるのと同時に選択パスメトリックに付随した誤差とその誤差アドレスとを出力するもので、これにより、選択パスメトリックに付随した誤差とその誤差アドレスとをメモリに蓄えることなく出力することができるようになっている。
【0131】
上述のごとく構成された本実施例におけるMLSE型等化器29では、各CIR計算部35A,35Bによって、LMSなどのアルゴリズムを用いてCIR係数の更新が行なわれ、DPRAM37A,37Bによって、各CIR計算部35A,35Bと各レプリカ生成部31A,31Bとの間でCIR係数の保存,受渡しが行なわれる。
【0132】
具体的に、例えば、上述のレプリカ生成部31A(31B)では、レプリカ生成用に使用されるCIR係数がDPRAM37A(37B)より読みだされ、エンコーダ45,46によって、先行波,遅延波それぞれにおける基準信号点の複素値が量子化データに変換され、これら先行波,遅延波におけるCIR係数と量子化データに変換された基準信号点の複素値とが、それぞれ複素乗算器42,43で複素乗算されて、先行波のレプリカ信号と遅延波のレプリカ信号とが生成される。
【0133】
そして、これらの先行波,遅延波の各レプリカ信号が、加算器41で加算されてることによって、1シンボル毎にk×k種類のレプリカ信号が1クロックサイクルで1種生成される。
一方、CIR計算部35A(35B)では、時点「t」においてレプリカ生成部31A(31B)がDPRAM37A(37B)から読み出したCIR係数の記憶されたメモリ領域から、更新する時点「t−1」のCIR係数が読み出され、これにより更新されたCIR係数は、時点「t+1」でレプリカ生成部31A(31B)でCIR係数を読み出すメモリ領域に書き込まれる。
【0134】
さらに、誤差計算部38A(38B)では、受信信号とレプリカ生成部31A(31B)で生成されたレプリカ信号との誤差が算出され、FIFOメモリ39A(39B)は、受信信号を内部クロックと非同期で受け取る。ブランチメトリック計算部33A(33B)では、誤差の絶対値の2乗が求められる。
また、ACS部34では、ブランチメトリック計算部33A(33B)で得られたブランチメトリックと現時点までのパスメトリックとの加算、パスメトリックの比較選択、更新が行なわれ、誤差レジスタ38A(38B)では、k個の誤差が保存され、ACS部34によるパスメトリックの比較選択結果よりkクロック周期で、k個のうちの1つの誤差が出力される。
【0135】
さらに、ブランチメトリック計算部33A(33B)から入力されるブランチメトリック(k×k種のシリアル入力)は、ACS部34の加算部341におけるFF回路344,345を通じて加算器346で加算され合成ブランチメトリックとして加算器348へ入力される。
そして、このとき、パスメトリックメモリ343におけるRAM361もしくはRAM362から、読み出しアドレスカウンタ355及びRAM切替カウンタ357により、前時点の選択パスメトリックがk個ずつ、k回連続して、加算器348へ入力され、加算結果として選択用パスメトリックが現時点に行なわれる1つの処理サイクルでk×k個シリアルに生成されてゆく。
【0136】
そして、比較選択部342では、この選択用パスメトリックメモリk×k個の中からk個単位に1個ずつ、つまり1クロックサイクルでk個の選択パスメトリックが比較選択・選出されてゆく。
具体的には、FF回路349,350,及びセレクタ351によって、比較選択が「選択用パスメトリックの1番目と2番目、その後からは1番目と2番目の小さい方の選択用パスメトリックと3番目の選択用パスメトリック、次に1番目,2番目,3番目の内小さい選択用パスメトリックと4番目の選択用パスメトリックを選択する」と言う具合に、コンパレータ353に入るデータが切り換えられ、コンパレータ353によって比較が行なわれる。
【0137】
そして、セレクタ352から、このコンパレータ353の出力より状態遷移の小さい選択用パスメトリックが出力されることにより、最も信号点の状態遷移の小さいパスが比較・選択される。
さらに、この比較選択部342で選択されたパスメトリック(以下、選択パスメトリックという)は、書き込みアドレスカウンタ356が発生するRAM361又は362への書き込みタイミング及びRAM切替カウンタ357がRAM361,362を交互に切り替えることによって実行される書き込み/読み出しの切替えにより、1処理サイクル単位で、その選択用パスメトリック生成に用いた前パスメトリックの読み出しRAM(例えば、RAM361)とは違うもう一方のRAM(例えば、RAM362)に、選択パスメトリックがk個書き込まれてゆく。
【0138】
つまり、本実施例におけるMLSE型等化器29では、前時点での選択パスメトリックの書き込みに用いていた現時点での読み出し用のRAMと、現時点で書き込みに用いたRAMとを交互に切り換えて動作させることにより、kクロック周期でACS部の加算、比較選択パスメトリック更新の処理が行なえるのである。
【0139】
さらに、誤差レジスタ38A(38B)では、k×k個の誤差から選択パスメトリックに付随する誤差、及びk個の何番目の誤差であるかが誤差アドレスとして、選択パスメトリックの出力と同時タイミングで出力される。
具体的には、アドレスカウンタ381で誤差アドレスを発生させ、シフトレジスタ382で選択用パスメトリックと選択タイミングを合わせ、セレクタ384で選択する誤差と誤差アドレスとを切り替え、さらに、セレクタ385で、誤差と誤差アドレスとを比較選択部342のコンパレータ353の出力を利用して選択することにより、比較選択部342で選択パスメトリックが選択されるのと同時に、選択パスメトリックに付随した誤差とその誤差アドレスをメモリに蓄えることなく出力することができる。
【0140】
以下、上述のMLSE型等化器29での動作について、さらに具体的に述べる。
まず、図14は図15に示すごとく既知の系列であるトレーニングデータを用いてCIR係数を収束させてゆく場合のデータの流れを示しており、この図14に示すように、まず、各レプリカ生成部31A,31Bでは、制御部40(図8参照)より出力される既知のトレーニングデータ(S)を用いてレプリカ信号(RX,Y,n )が生成され、各誤差計算部32A,32Bでは、受信データ(トレーニングデータS)とレプリカ信号(RX,Y,n )との誤差(EX,Y,n )が算出される。
【0141】
そして、上述のごとく得られた誤差(EX,Y,n )は、この段階では、ACS部34による処理は行なわれず、また各誤差レジスタ38A,38Bによる処理も行なわれずに〔誤差レジスタ38A,38Bを単に通過(スルー)〕して、それぞれCIR計算部35A,35Bへ入力される。
さらに、このCIR計算部35A,35Bでは、制御部40より出力される既知データ〔D,D,C(−1)X,n−1 ,C(0)X,n−1 〕を基にCIR係数の更新処理が行なわれ、更新された各CIR係数は、それぞれDPRAM37A,37B(図8参照)に書き込まれる。
【0142】
そして、このとき同時に、この更新された各CIR係数は、各レプリカ計算部31A,31Bが、再度、次のレプリカ信号を生成するためのCIR係数として、それぞれDPRAM37A,37Bから読み出される。
上述のごとく動作を1サイクルとして、トレーニングデータ(S)の個数だけ処理を繰り返すことによって、CIR係数が更新・収束されてゆく。
【0143】
次に、図16は図17に示すごとくデータ系列の各パスの経路を推定する場合のデータの流れを示している。なお、この図16では、k相PSKの「k」を「k=8」とした場合のデータの流れを示している。
そして、この図16に示すように、まず、各レプリカ生成部31A,31Bでは、時点「t」の8種のシンボルと時点「t−1」での各シンボルに到達するパスのCIR係数をもとに8×8=64種のレプリカ信号が1クロック周期に連続して生成され、各誤差計算部32A,32Bでは、時点「t」の各FIFOメモリ39A,39Bからの読み出される受信信号と、8×8=64種のレプリカ信号との64種の誤差(EX,Y,n :X=0〜7,Y=0〜7)が1クロック周期に連続して算出される。
【0144】
さらに、これらの誤差信号(EX,Y,n :X=0〜7,Y=0〜7)は、順次、シリアルに、ブランチメトリック計算部33A,33Bと、誤差レジスタ38A,38Bに渡されてゆき、ブランチメトリック計算部33A,33Bでは、誤差(EX,Y,n )の絶対の2乗を計算して、順に、64種のブランチメトリック(|EX,Y,n :X=0〜7,Y=0〜7)が生成される。
【0145】
そして、上述のごとく各ブランチメトリック計算部33A,33Bで得られた64種の両ブランチメトリック(|EX,Y,n :X=0〜7,Y=0〜7)は、ACS部34の加算部341(図8,図10参照)で、前述したごとく前時点のパスメトリック(PMX,Y,n−1 )と加算され、現時点のパスメトリック(PMX,Y,n )として比較選択部342(図8,図10参照)で比較される。
【0146】
さらに、比較選択部342では、8種のパスメトリックが全て揃った時点でパスメトリック値の最も小さいものが1つ選択され、1サイクルで8種の選択パスメトリックが出力される。一方、誤差レジスタ38A,38Bでは、比較選択部342でトーナメント方式で選択されるパスメトリックの途中結果を受け取り、レジスタ内の誤差を選択信号通りに切替えることにより、8種の誤差が入力した後と比較選択部342によって最終的に選択されたパスメトリックとによって1つの選択誤差が出力される。
【0147】
また、ACS部34での選択結果(誤差アドレス)は、それぞれパスメモリ部36とCIR計算部35A,35Bに渡され、この誤差アドレスを基に、パスメモリ部36では、パスの更新処理が行なわれ、CIR計算部35A,35Bでは、誤差と誤差アドレスを基に更新されたCIR係数がDPRAM37A,37Bへ出力されてDPRAM37A,37Bに書き込まれる。
【0148】
さらに、上述のごとく更新されたCIR係数は、時点「t+1」で、レプリカ生成部31A,31Bのレプリカ生成用係数として使用される。
上述のごとく処理を1サイクルとして、データ系列の個数回処理が繰り返されることによって、図17の実線で示すごとく最もパスメトリックの加算結果の小さい遷移が、順次、決定されてゆく。
【0149】
さらに、図18はトレーニング系列を用いてレプリカ信号を生成する処理からデータ系列を用いてレプリカ信号を生成する処理へ移行する際の処理におけるデータの流れを示しており、この場合、レプリカ生成部31A,31Bでは、k(=8)クロック周期毎に、全部でk種生成されることにより、図19に示すごとくトレーニング系列の終端(TR23)の信号点「0」から実際の受信データの開始点(D0)における信号点「0〜7」へのブランチメトリック,パスメトリック演算されてゆく。なお、この場合、レプリカ生成部31A,31B以外の各部では、図16及び図17にて前述した処理と同様の処理が行なわれる。
【0150】
また、図20は受信データの終端を示すターミネーションシンボルに既知のものを用いて、パスメモリ部36に記憶されたパスを基に最も確からしいパスを選択出力する(トレースバックする)際に各部へ供給されるデータの流れを示しており、この場合も、レプリカ生成部31A,31Bでは、k(=8)クロック周期毎に、全部でk種生成され、これらレプリカ生成部31A,31B以外の各部では、図16及び図17にて前述した処理と同様の処理が行なわれる。
【0151】
そして、パスメモリ部36では、図21に示すごとく、ACS部34より出力される受信データの終端を示すターミネーションシンボル(T)の誤差アドレスを、トレースバックを開始するデータとして用いて、トレースバックが行なわれ、各パスに対応するデータが等化出力として出力されてゆく。
なお、図22〜図24はそれぞれ図11〜図13に示すごとく構成を有する上述のパスメモリ部36での動作タイミングの一例を示す図で、このうち図23はパスメモリ更新時での動作を示しており、図24はトレースバック時での動作を示している。
【0152】
また、図25はパスメモリ部36内のRAM3602(図11参照)に記憶されるシンボルデータとアドレスとの対応を示す図である。
ここで、この図25における各アドレス(000H〜007Hなど)は、図13に示す各レジスタ(DX REG,DY REG) 3631,3636によって発生される。そして、例えば、各レジスタ(DX REG,DY REG) 3631,3636によって、図26(a)に示すごとく内容のアドレスが発生されることにより、図25中、星印(★印)で示すデータがアクセスされ、この結果、図26(b)に示すごとくパスがトレースバックされる。
【0153】
なお、パスは、現在の書き込みアドレスに1つ前のシンボルのアドレスをデータとして書き込むことにより生成されるが、この場合、図13に示すレジスタ(DY REG)3636では、現在更新されるパスが到達するシンボル値と1つ前のシンボル情報が格納されるアドレスとなり、レジスタ(DX REG)3631では、1つ前のシンボル情報のアドレスになる。
【0154】
以上のように本発明の第1実施例としてのMLSE型等化器29によれば、各レプリカ生成部31A,31B,誤差算出部32A,32B,ブランチメトリック計算部33A,33B,ACS部34,CIR計算部35A,35B,パスメモリ部36が独立した演算器を有するように構成され、且つ、CIR計算部35A,35Bとレプリカ生成部31A,31Bとの間に、データの書き込み及び読み出しを同時に行なうことができるDPRAM37A,37Bが介装されているので、CIR計算部35A,35Bからの演算結果の書き込みとレプリカ生成部31A,31BへのCIR計算部35A,35Bからの演算結果の読み出しとを同時に行なうことができ、これにより、極めて簡素な構成で、高速に受信信号の等化処理を行なえるという利点がある。
【0155】
また、ACS部34にも、データの書き込み及び読み出しを同時に行なうことのできるパスメトリックメモリ343が設けられているので、前時点のパスメトリックの読み出しと、ACS部34で選択された現時点の選択パスメトリックの書き込みとを同時に行なうことができる。
従って、全てのパスメトリックが揃わなくても、連続的にパスメトリックを用いた演算処理が可能になり、これにより等化処理を極めて高速に行なうことができるようになる。
【0156】
さらに、レプリカ生成部31A,31Bでは、エンコーダ45,46(図9参照)によって、基準信号点の複素値がkビットアドレスより変換され、この情報を用いて、1シンボル毎にk×k種類のレプリカ信号が1クロックサイクルで1種生成されるので、極めて簡素な構成で、且つ、高速にレプリカ信号を生成することができる。
【0157】
また、CIR計算部35A,35Bでは、エンコーダ51,52(図9参照)によって、基準信号点に収束係数を掛け合わせた複素値がkビットアドレスより変換されるので、極めて簡素な構成で、CIR係数の更新に必要なデータ(基準信号点×収束係数)得られるとともに、高速にCIR係数の更新処理を行なうことができる。
【0158】
さらに、ACS部34のパスメトリックメモリ343を、図10に前述したごとく2個のRAM361,362を用いて構成して、前時点のパスメトリックの読み出しと、現時点の選択パスメトリックの書き込みとをこれら2個のRAM361,362の交互切替えによって実行することができるので、極めて高速に、パスメトリックの加算・比較・選択処理を行なうことができる。
【0159】
また、各誤差レジスタ38A,38Bでは、ACS部34の出力を誤差アドレスとして、k×k種類の誤差からkクロック周期で所要の誤差を出力し、この誤差をCIR計算部35A,35Bへ出力することができるので、誤差をACS部34でのパスメトリックの選択と同一速度,タイミングで出力することができ、これにより、極めて高速に誤差を選択して出力することができる。
【0160】
さらに、誤差計算部32A,32Bの入力側に、それぞれFIFOメモリ39A,39Bを設けて、受信信号を一時的に保存することによって、両受信信号から得られる誤差やブランチメトリックなどの両データの同期が取られる。従って、MLSE型等化器29内での等化処理を受信信号に対して非同期に行なうことが可能になり、これにより高速クロックを用いて等化処理を行なうことができるようになる。
【0161】
また、本実施例におけるMLSE型等化器29によれば、図10にて前述したごとく「BRAA」信号,「BRBB」信号によって、ブランチメトリック計算部33A,33Bのいずれか一方のブランチメトリックを“ALL LOW”に固定してブランチメトリックの値を「0」に固定することができるので、図7に示すごとくダイバーシチ構成の受信機だけでなく、単一受信構成の受信機にも、極めて容易に適用することができるようになる。
【0162】
(b)第2実施例の説明
図27は本発明の第2実施例としてのMLSE型等化器を用いた復調装置の構成を示すブロック図で、この図27において、61はRF(高周波)信号用のミキサ、62は局部発振器、63はバンドパスフィルタ(BPF)、64はAGCアンプ(Automatic Gain Control AMP)、65は直交検波部、68,69はそれぞれベースバンド信号用のアンプ(AMP)、70,71はそれぞれローパスフィルタ(LPF)、72,73はそれぞれA/D変換器である。
【0163】
また、74は複素演算器(複素乗算器、75はMLSE型等化器、76はクロック再生部、79は遅延回路、80は周波数弁別器、81はローパスフィルタ(LPF)、82は発振器(NCO)である。
ここで、ミキサ61は、局部発振器62からの所定の周波数を受けて、RF受信信号をIF信号にダウンコンバートするものであり、バンドパスフィルタ63は、ミキサ61から出力されるIF信号の高周波成分などの不要波を除去するものであり、AGCアンプ64は、ミキサ61で得られたIF信号のゲインを自動制御して、直交検波部65への入力信号を適正に保つものである。
【0164】
また、直交検波部65は、ミキサ61でダウンコンバートされることによって得られたIF受信信号(本実施例でも、第1実施例と同様に、k相PSK無線通信での受信信号とする)を、後述する局部発振器655からのLo信号(ローカル信号)を用いて直交検波するもので、この図27に示すごとく、ハイブリッド(H)651,ミキサ652,653,直交ハイブリッド(H)654及び電圧制御型の局部発振器(Lo XO) 655を有して構成される。
【0165】
ここで、ハイブリッド(H)651は、IF信号を分波してIch信号,Qch信号として出力するものであり、各ミキサ652,653は、局部発振器655からのLo信号を用いてIch,Qchの各IF信号をそれぞれベースバンド信号にダウンコンバートするものであり、直交ハイブリッド(H)654は、局部発振器655の出力を互いに90°位相の異なる信号に分岐するものであり、局部発振器(Lo XO) 655は、各ミキサ652,653でのダウンコンバート用の発振周波数信号を供給するものである。
【0166】
また、各アンプ68,69は、それぞれ直交検波部65で得られたIch,Qchの各ベースバンド信号を、後述する各A/D変換器72,73でのA/D変換の際に必要な信号レベルまで増幅するものであり、各ローパスフィルタ70,71は、それぞれIch,Qchのベースバンド信号の不要成分を除去するものであり、各A/D変換器(識別部)72,73は、後述するクロック再生部76で再生されるA/D変換用クロックに応じて、各Ich,Qchのベースバンド信号を所要のレベルでA/D変換して、Ich,Qchのディジタル復調信号を得るものである。
【0167】
さらに、複素演算器(位相回転部)74は、各A/D変換器72,73からの出力について複素演算処理を施すことによって、ディジタルで位相回転を施すものであり、MLSE型等化器75は、第1実施例にて前述したものと同様のもので、各A/D変換器72,73で得られたIch,Qchのディジタル復調信号を入力として、第1実施例にて前述したごとくビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施すことによって、受信信号の等化を行なうものである。
【0168】
また、クロック再生部76は、各A/D変換器72,73でのA/D変換タイミングを示すA/D変換用クロックを、Ich,Qchの各ベースバンド信号から再生するもので、この図27に示すように、乗算器761,762,加算器763,位相比較器(P.D:Phase Detector)764,ループフィルタ(Loop Filter) 765及びクロック再生用の電圧制御型の発振器(CLK VCO) 766を有して構成される。
【0169】
ここで、各乗算器761,762は、それぞれIch,Qchベースバンド信号について自乗を施すものであり、加算器763は、各乗算器761,762で自乗を施されたIch,Qchベースバンド信号を加算するものであり、これらの各乗算器761,762及び加算器763によって、各Ich,Qchベースバンド信号の位相が検出されるようになっている。
【0170】
そして、位相比較器764は、上述の加算器763で得られたIch,Qchベースバンド信号の位相と、過去に発振器766から各A/D変換器312,313へ供給されたA/D変換用クロックの位相とを比較して、その位相差分を後述する発振器766の発振周波数を制御するための位相制御情報として出力するものである。
【0171】
また、ループフィルタ765は、この位相比較器764の出力の不要成分を除去するものであり、発振器766は、ループフィルタ765を介して入力される位相比較器764で得られた位相制御情報に応じて発振周波数を調整して、A/D変換用クロックを各A/D変換器312,313及び位相比較器320へ供給するものである。
【0172】
すなわち、これら位相比較器764,ループフィルタ765及び発振器766からなる回路は、いわゆるPLL(Phase−Locked−Loop) 回路であり、このPLL回路によって、このクロック再生部76で再生されるA/D変換用クロックが、常に、各A/D変換器72,73での最適なA/D変換タイミングに追従できるようになっているのである。
【0173】
さらに、周波数弁別器80は、遅延回路79によって時間的に間隔をあけた、MLSE型等化器75での等化前のIch,Qch信号(複数のデータ)を用いて、各Ich,Qch信号のもつ周波数偏差を検出するものであり、ローパスフィルタ81は、周波数弁別器80の出力を積分するものであり、発振器(三角関数発生部)82は、複素乗算器74に位相回転情報を有する三角関数情報を出力するものである。
【0174】
そして、図28は上述の周波数弁別器80の構成を示すブロック図であり、この図28に示すように、周波数弁別器80は、角度偏差算出部801及び周波数偏差算出部802で構成される。
ここで、角度偏差算出部801は、入力される現時点での最新の各Ich,Qch信号の理想信号点からの角度偏差θnew を算出するもので、本実施例では、この角度偏差θnew は次式により得られる。
【0175】
θnew =tan−1(Q/I)・・・(3)
また、周波数偏差算出部802は、この角度偏差算出部801で最新の各Ich,Qch信号から得られた角度偏差θnew と、遅延回路(τ)79で遅延された過去の角度偏差θold とから各Ich,Qch信号の周波数偏差Δfを算出するもので、本実施例では、遅延回路79での遅延時間をΔTとして、この周波数偏差Δfが次式から得られる。
【0176】
Δf=(θold −θnew )/ΔT・・・(4)
なお、この図28に示す周波数弁別器80は、図29に示す周波数弁別器80′のごとく、上述の角度偏差算出部801と同様の角度偏差算出部801A,801Bを用いて構成しても、これらの各角度偏差算出部801A,801Bで、それぞれ最新の角度偏差θnew と過去の角度偏差θold とを得ることができるので、周波数偏差算出部802によって、同様に、周波数偏差Δfを式(4)から得ることができる。
【0177】
さらに、図30は上述のローパスフィルタ81及び発振器(NCO)82の構成を示すブロック図で、この図30に示すごとくローパスフィルタ81は加算器811及び遅延素子(T)82で構成され、発振器82は加算器821,遅延素子(T)822及びサイン(sin)波,コサイン(cos)波の三角関数情報を発生する三角関数発生メモリ823で構成される。
【0178】
これにより、ローパスフィルタ81では、周波数弁別器80(80′)で得られた周波数偏差Δfが遅延素子812で順次遅延され加算器811で加算されることによって積分されて、発振器82へ出力される。
一方、発振器823でも、同様に加算器821及び822によってローパスフィルタ81からの出力が積分され、このように積分された周波数偏差Δfに応じて、三角関数発生メモリ823からサイン(sin),コサイン(cos)の係数が発生されるようになっている。
【0179】
さらに、図31は複素演算器74の構成を示すブロック図であるが、この図31に示すように、本実施例における複素演算器74は、5つの乗算器741〜745及び2つの加算器746,747を有して構成されている。
ここで、乗算器741は、A/D変換器72(図27参照)からのI(i)ch信号と、図30にて上述した発振器82で発生したコサイン波(cosθ)とを乗算するものであり、乗算器741は、A/D変換器73(図27参照)からのQ(q)ch信号と、発振器82で発生したサイン波(sinθ)とを乗算するものであり、加算器746は、これらの乗算器741,742の出力を加算するものである。
【0180】
さらに、乗算器743は、A/D変換器72からのI(i)ch信号と、乗算器744の出力とを乗算するものであり、乗算器744は、sinθに「−1」を乗算した−sinθを乗算器743へ出力するものであり、乗算器745は、Q(q)ch信号とcosθとを乗算するものであり、加算器746は、この乗算器745の出力と乗算器743の出力とを加算するものである。
【0181】
つまり、この複素演算器74は、各A/D変換器72,73で得られたIch,Qchの各ディジタル復調信号の入力値をそれぞれ「i」,「q」とし、発振器82で得られる三角関数情報(sinθ,cosθ)を用いて、
I=icosθ+qsinθ・・・・(5)
Q=−isinθ+qcosθ・・・(6)
という演算を行なうことにより、各A/D変換器72,73からのIch,Qch信号について位相回転を施して、周波数弁別器80で得られたIch,Qch信号の周波数偏差Δfを最小にするようになっているのである。
【0182】
さらに、図32は図27にて前述したMLSE型等化器75の構成を示すブロック図で、この図32に示すように、本実施例におけるMLSE型等化器75は、それぞれ第1実施例にて前述したものと同様のレプリカ生成部31A,誤差計算部32A,ブランチメトリック計算部33A,加算部341,比較選択部342及びパスメトリックメモリ343からなるACS部34,CIR計算部35A,パスメモリ部36,DPRAM37A,誤差レジスタ38A,FIFOメモリ39A,制御部40を有して構成される。
【0183】
そして、本実施例でも、上述のレプリカ生成部31Aは、図33に示すように、加算器41,複素乗算器42,43及びエンコーダ45,46を用いて構成され、CIR計算部35Aは、加算器47,48,複素乗算器49,50及びエンコーダ51,52を用いて構成される。
さらに、ACS部34及び誤差レジスタ38Aも、第1実施例と同様に、図34に示すごとく構成されるが、本実施例では、第1実施例にて前述したようなダイバーシチ受信は行なわないので、加算部341がフリップフロップ(FF)回路344,347及び加算器348のみで構成されている。
【0184】
また、上述のパスメモリ部36も、第1実施例にて前述したもの同様のもので、図35に示すごとくパスメモリ制御部401,RAM402及びデコーダ(DEC)403を有して構成される。
そして、このMLSE型等化器75でも、レプリカ生成部31Aで生成されるレプリカ信号と各A/D変換器72,73からのディジタル復調信号との誤差を誤差算出部32Aで算出し、この誤差の絶対値の2乗をブランチメトリック計算部33Aとってブランチメトリックを得、さらにこのブランチメトリックの積算値であるパスメトリックの加算結果の最も小さい信号点の遷移をパスメモリ部36に記憶しながら最も確からしいパスを等化出力として出力するようになっている。
【0185】
上述のごとく構成された本実施例におけるMLSE型等化器を用いた復調装置では、RF受信信号がミキサ61でIF信号にダウンコンバートされ、直交検波部65で直交検波を施されることによりIch,Qchベースバンド信号が得られる。そして、このように直交検波部65で得られた各Ich,Qchベースバンド信号は、各A/D変換器72,73で、クロック再生部76から供給されるA/D変換用クロックに応じて、所要のA/D変換レベルでA/D変換されて、それぞれディジタル信号に変換され、複素演算器74へ出力される。
【0186】
さらに、複素演算器74では、図31にて前述したごとく、発振器82からの三角関数情報(sinθ,cosθ)を用いて、式(5),式(6)の演算を行なうことにより、各A/D変換器72,73からのIch,Qchディジタル復調信号について、位相回転が施される。
この結果、各Ich,Qchディジタル復調信号は、その周波数偏差が最小にされてMLSE型等化器75へ出力され、MLSE型等化器75では、ビタビアルゴリズムを用いて最尤系列推定が施されて、受信信号が伝送路(空間)から受けた遅延やフェージングなどが等化される。
【0187】
ところで、上述の複素演算器74へ供給される三角関数情報(sinθ,cosθ)は、周波数弁別器80(80′)及び発振器82によって得られるのだが、以下、この三角関数情報(sinθ,cosθ)を得る動作について詳述する。
まず、周波数弁別器80では、LMSE型等化器75での等化前のIch,Qch信号を、遅延回路79で、ΔTだけ遅延させることによって、時間的に間隔をあけたIch,Qch信号のデータを用いて、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差が検出される。
【0188】
具体的には、図28(又は図29)に示すごとく角度偏差算出部801で、式(3)の演算を行なうことによって、現時点での最新の角度偏差θnew が得られ、この最新の角度偏差θnew と、遅延回路79で時間ΔTだけ遅延させた過去の角度偏差θold とを用いて、周波数偏差算出部802で、式(4)の演算が行なわれることによって、Ich,Qch信号の周波数偏差Δfが得られる。
【0189】
そして、この周波数偏差Δfは、図30にて前述したごとくLPF81によって積分されたのち、発振器82の三角関数発生メモリ823へ入力され、これにより、この周波数偏差Δfに基づいて、三角関数発生メモリ823からIch,Qch信号の周波数偏差Δfを最小にする位相回転情報をもった三角関数情報(sinθ,cosθ)が発生され、これが複素演算器74に供給される。
【0190】
なお、このとき、周波数弁別器80(80′)では、得られた周波数偏差Δfに応じて、遅延回路79での遅延時間ΔTを可変にすることによって、この周波数偏差Δfを検出する際の角度偏差θnew ,θold (検出データ)の時間間隔ΔTを可変にすることができる。
具体的には、例えば、周波数偏差Δfが大きい場合は、時間間隔ΔTを短くし、逆に周波数偏差Δfが小さい場合は、時間間隔ΔTを長くするといった具合に、得られた周波数偏差Δfの大きさと、この周波数偏差Δfを検出する際の角度偏差θnew ,θold の時間間隔ΔTとが反比例するように時間間隔ΔTを可変にする。
【0191】
これにより、周波数偏差算出部802で得られた周波数偏差Δfが大きい場合は、より短い時間間隔ΔTで式(4)による演算が行なわれ、周波数偏差Δfが小さい場合は、より長い時間間隔ΔTで式(4)による演算が行なわれ、この結果、常に、正確な位相偏差Δfを安定して検出することができるようになる。
以上のように、本発明の第2実施例としてのMLSE型等化器を用いた復調装置によれば、LMSE型等化器75での等化前のIch,Qch信号のもつ周波数偏差Δfを周波数弁別器80で検出し、この周波数偏差Δfに基づいて、発振器82の三角関数発生メモリ823が、この周波数偏差Δfを最小にする位相回転情報をもった三角関数情報(sinθ,cosθ)を複素演算器74に供給することにより、複素演算器74でIch,Qch信号のもつ周波数偏差を最小にすることができるので、受信信号の受けたフェージングなどの影響によってキャリア同期が外れることを防ぐことができ、これにより、極めて効果的に、キャリア同期が外れたときのような急峻な周波数飛びを防止して正確に受信信号を復調することができるようになる。
【0192】
また、フェージングがない状態では、着信レベル対ビットエラーレート(BER)特性を十分に確保できるとともに、フェージングがある状態でも、MLSE型等化器75による等化動作により十分な伝送品質を保つことができる。
これは、MLSE型等化器75によって、伝送路の状態によってどのような干渉波の影響が受信データに起こるかを、最尤系列推定を用いて予測して、その特性を周波数圧縮を行なったベースバンド信号にトラッキングさせることができるからである。
【0193】
なお、本実施例におけるMLSE型等化器75を用いた復調装置は、いずれも単一のRF信号を受信してこの受信信号を復調する場合の構成であるが、本発明のMLSE型等化器を用いた復調装置は、いわゆるダイバーシチ受信構成で複数のRF信号を受信して合成した受信信号を復調する構成としてもよい。そして、この場合は、MLSE型等化器75は、第1実施例にて前述したごとくブランチメトリックを合成する構成を有するMLSE型等化器29が用いられる。
【0194】
また、本実施例におけるMLSE型等化器75を用いた復調装置では、MLSE型等化器75に、他のMLSE型等化器を用いてもよい。
(b−1)第2実施例の第1変形例の説明
図36は本発明の第2実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置の第1変形例を示すブロック図で、この図36において、図27に示す符号と同一符号が指す部分はそれぞれ図27にて前述したものと同様のものであるが、この図36に示す復調装置は、図27にて前述した復調装置に比して、制御部83と周波数弁別器80Aとが設けられている点が異なる。
【0195】
ここで、制御部83は、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報に応じ、後述する周波数弁別器80Aで検出された周波数偏差(周波数偏差)Δfまたは周波数偏差無し(Δf=0:所定の固定周波数偏差)の情報のいずれかを選択的に用いることにより、発振器(三角関数発生部)82を制御するものである。
【0196】
具体的に、この制御部83は、受信信号からMLSE型等化器75のためのトレーニングデータの開始などを示す初期ユニークワード(UW)情報がとれるまでは、周波数弁別器80Aで検出された周波数偏差Δfを用いて、発振器(三角関数発生部)82を制御するとともに、受信信号から初期UW情報がとれると、その後は、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所定値以上の場合は、周波数弁別器80Aで検出された周波数偏差Δfを用いて、発振器82を制御する一方、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所定値より小さい場合は、周波数偏差Δf=0という所定の固定周波数偏差を用いて、発振器82を制御するようになっている。
【0197】
また、周波数弁別器80Aは、図27にて前述した周波数弁別器80と同様に、遅延回路79によって時間的にΔTだけ間隔をあけた、MLSE型等化器75での等化前のIch,Qch信号を用いて、各Ich,Qch信号のもつ周波数偏差Δfを検出するとともに、制御部83の制御に応じて、検出した周波数偏差Δf又はΔf=0のいずれかを選択的に出力するものである。
【0198】
このため、本変形例における周波数弁別器80Aは、図37に示すように、図28にて前述したものとそれぞれ同様の角度偏差算出部801及び周波数偏差算出部802に加えて、固定周波数偏差部803及びセレクタ(SEL)804で構成される。
ここで、固定周波数偏差部803は、固定の周波数偏差Δf=0を出力するものであり、セレクタ(SEL)804は、この固定周波数偏差部803からの周波数偏差Δf=0と周波数偏差算出部802で得られる周波数偏差Δfとを制御部83の制御に応じて選択的に出力するものである。
【0199】
なお、本変形例においても、この周波数弁別器80Aは、図29にて前述したごとく位相偏差算出部801と同様の位相偏差算出部801A,801Bを用いて構成しても、周波数偏差Δfを検出することができる。
上述のごとく構成された本変形例におけるMLSE型等化器75を用いた復調装置でも、図27〜図35を用いて前述したごとく、MLSE型等化器75での等化前の各Ich,Qch信号から周波数弁別器80Aの角度偏差算出部801によって、現時点の最新の角度偏差θnew が算出され、この角度偏差θnew と、遅延回路79で遅延された過去の角度偏差θold とを用いて、周波数偏差算出部802によって、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差Δfが検出される。
【0200】
そして、本変形例における復調装置では、受信信号から初期UW情報がとれるまでは、制御部83によってセレクタ804が制御されて、周波数弁別器80Aで検出された周波数偏差Δfが選択され、この周波数偏差Δfを用いて、各A/D変換器72,73からのIch,Qch信号がもつ周波数偏差を最小にする位相回転情報をもった三角関数情報(sinθ,cosθ)を複素演算器74に供給するよう発振器82が制御される。
【0201】
また、受信信号から初期UW情報がとれると、その後、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所定値以上の場合は、同様に、制御部83によってセレクタ804が制御されて、周波数弁別器80Aで検出された周波数偏差Δfが選択され、この周波数偏差Δfを用いて、上述のごとく発振器82が制御される一方、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所定値より小さい場合は、制御部83によってセレクタ804が制御されて、固定周波数偏差部803からの周波数偏差Δf=0という所定の固定周波数偏差が選択され、この周波数偏差Δf=0を用いて、発振器82が制御される。
【0202】
つまり、MLSE型等化器75による受信信号の等化が十分でない初期の段階などにおいては、周波数弁別器80Aで検出される周波数偏差Δfを用いて、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差が最小となるように発振器82を制御し、MLSE型等化器75による受信信号の等化が十分な場合には、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差は十分小さく周波数偏差を調整する必要がないものとして、固定の周波数偏差Δf=0を用いて発振器82を制御しているのである。
【0203】
従って、図28にて前述した周波数弁別器80(80′)に固定周波数偏差部803及びセレクタ804を加えるという周波数弁別器80Aの簡素な構成にもかかわらず、MLSE型等化器75で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報に応じて、周波数弁別器80Aで得られる周波数偏差Δfを最小にするよう制御することができるので、極めて効果的に、キャリア同期が外れたときのような急峻な周波数飛びを防止して受信信号を正確に復調することができるとともに、十分な伝送品質を保つことができる。
【0204】
(b−2)第2実施例の第2変形例の説明
図38は本発明の第2実施例としてのMLSE型等化器を用いた復調装置の第2変形例を示すブロック図で、この図39においても、図27中に示す符号と同一符号を付したものはそれぞれ図27にて前述したものと同様のものであるが、この図39に示す復調装置は、図27にて前述した復調装置に比して、直交検波部65の局部発振器655の代わりに電圧制御型の局部発振器(Lo VCO)655′が用いられ、複素演算器74が省かれ、積分器(LPF)84及びD/A変換器85が設けられている点が異なる。
【0205】
すなわち、この図38に示す復調装置は、MLSE型等化器75の等化前のIch,Qchの各ディジタル復調信号から周波数弁別器80で得られるディジタル量の周波数偏差ΔfをLPF84及びD/A変換器85によってアナログ量に変換して直交検波部65の局部発振器655′に供給することにより、直交検波部65でIch,Qchベースバンド信号を得る際に、Ich,Qch信号がもつ周波数偏差を、最小となるように制御するようになっているのである。
【0206】
これにより、本変形例におけるMLSE型等化器を用いた復調装置でも、LMSE型等化器75での等化前のIch,Qch信号のもつ周波数偏差Δfを周波数弁別器80で検出し、このディジタル量の周波数偏差ΔfをD/A変換器85によってD/A変換してアナログ量に変換して、直交検波部65の局部発振器655′に供給することにより、この周波数偏差Δfを最小にするように直交検波部65の局部発振器655′の発振周波数を制御することができるので、受信信号の受けたフェージングなどの影響によってキャリア同期が外れることを防ぐことができ、これにより、極めて効果的に、キャリア同期が外れたときのような急峻な周波数飛びを防止して正確に受信信号を復調することができるとともに、十分な伝送品質を保つことができる。
【0207】
(b−3)第2実施例の第3変形例の説明
図39は本発明の第2実施例としてのMLSE型等化器を用いた復調装置の第3変形例を示すブロック図であるが、この図39において、図38中に示す符号と同一符号を付すものはそれぞれ図38にて前述したものと同様のものであるが、この図39に示す復調装置は、図38に示す復調装置に比して、第1変形例において図36にて前述したものと同様の制御部83が設けられている点が異なる。
【0208】
すなわち、この図39に示す復調装置は、図36にて前述した復調装置を、第2変形例と同様に、周波数弁別器80Aで得られるIch,Qch信号がもつディジタル量の周波数偏差Δfを、LPF84及びD/A変換器85を通じてアナログ量に変換して、直交検波部65の局部発振器655′へ供給するように構成したものである。
【0209】
これにより、本変形例におけるMLSE型等化器を用いた復調装置では、受信信号から初期UW情報が検出されるまでの間と、初期UW情報が検出されMLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所要量以上の間(MLSE型等化器75による受信信号の等化が十分でない初期の段階など)とにおいては、図37にて前述したごとく制御部83によってセレクタ804が制御されて、周波数偏差算出部802で検出されるIch,Qch信号がもつ周波数偏差(ディジタル量)Δfが選択され、これがD/A変換器85でアナログ量に変換されて、直交検波部65の局部発振器655′へ供給されることにより、周波数弁別器80Aで検出されたIch,Qch信号がもつ周波数偏差Δfを最小にするように、直交検波部65の局部発振器655′が制御される。
【0210】
一方、初期UW情報が検出された後、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所要量以下の場合(MLSE型等化器75による受信信号の等化が十分な場合など)には、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差Δfは十分小さく周波数偏差Δfを調整する必要がないものとして、制御部83によってセレクタ804が制御されて、固定周波数偏差部803からの固定の周波数偏差Δf=0が選択される。
【0211】
そして、この周波数弁別器80Aの周波数偏差算出部802で得られた周波数偏差これがD/A変換器85でアナログ量に変換されて、直交検波部65の局部発振器655′へ供給されることによって、この所要量以下の周波数偏差Δfが保持されるように、直交検波部65の局部発振器655′の発振周波数が制御される。
【0212】
従って、この場合も、図38に示す周波数弁別器80に固定周波数偏差部803及びセレクタ804を加えたという周波数弁別器80Aの簡素な構成にもかかわらず、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報に応じて、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差を最小にするように制御することができるので、極めて効果的に、常に、キャリア同期が外れたときのような急峻な周波数飛びを防止して正確に受信信号を復調することができるとともに、十分な伝送品質を保つことができる。
【0213】
(c)第3実施例の説明
図40は本発明の第3実施例としてのMLSE型等化器を用いた復調装置の構成を示すブロック図であるが、この図40に示す復調装置は、図27にて前述したものとそれぞれ同様のAGCアンプ64,直交検波部65,アンプ68,69,ローパスフィルタ(FIL)70,71,A/D変換器72,73,複素演算器(位相回転部)74,MLSE型等化器75,クロック(CLK)再生部76,ローパスフィルタ(LPF)81及び発振器(NCO:三角関数発生部)82に加えて、ユニークワード(UW)検出部86,パラレル/シリアルデータ変換部(P/S変換部)87及び周波数偏差(Δf)検出部88を用いて構成されている。
【0214】
なお、本実施例の復調装置は、k相無線通信でのバースト受信信号を復調する場合を想定しており、このため、本実施例における直交検波部65は、主に、このバースト受信信号を局部発振器655からのローカル信号を用いて直交検波を施すようになっている。
ここで、ユニークワード検出部(バースト受信信号開始・終了検出部)86は、受信信号のデータ中、バースト受信信号の開始と終了とを示すユニークワード(UW)を検出して、これに応じてSTART/STOP信号を出力するものであり、周波数偏差検出部(周波数弁別器)88は、第2実施例にて前述した周波数弁別器80と同様に、遅延回路79によって時間的に間隔をあけた、MLSE型等化器75での等化前のIch,Qch信号(複数のデータ)を用いて、各Ich,Qch信号のもつ周波数偏差を検出するものである。なお、P/S変換部87は、MLSE型等化器75が各A/D変換器72,73でそれぞれA/D変換されて得られたIch,Qchディジタル復調信号を入力として、ビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施すことによって得られたパラレルデータ(等化データ)をシリアルに変換して出力するものである。
【0215】
そして、図41は上述の周波数偏差検出部88の構成を示すブロック図であるが、この図41に示すように、この周波数偏差検出部88は、第2実施例において図37により前述したものと同様の角度偏差算出部801,遅延回路79,周波数偏差算出部802,セレクタ(SEL)804及び固定周波数偏差部(Δf=0)を用いて構成される。なお、この場合も、この周波数偏差検出部88は、第2実施例において図29にて前述した周波数弁別器80′のごとく、角度偏差算出部801A,801Bを用いて構成することができる。
【0216】
そして、本実施例における復調装置でも、第2実施例と同様に、MLSE型等化器75での等化前のIch,Qch信号を用いて、各Ich,Qch信号のもつ周波数偏差Δfが周波数偏差検出部88で検出されるが、UW検出部86でバースト受信信号の開始が検出されると、START信号が周波数偏差検出部88のセレクタ804へ出力される。
【0217】
これにより、周波数偏差検出部88では、セレクタ804によって周波数偏差算出部802で得られた周波数偏差Δfが選択されて、この周波数偏差検出部88で得られた周波数偏差Δfが最小になるように、複素演算器74へ位相回転情報をもった三角関数情報(sinθ,cosθ)を供給する発振器82が制御される。
【0218】
その後、UW検出部86でバースト受信信号の終了が検出されると(実際には、バースト受信信号の開始が検出されてからのある所定の時間が経過したとき)、STOP信号が周波数偏差検出部88のセレクタ804へ出力され、これにより、セレクタ804では、そのときの周波数偏差検出部88の周波数偏差を保持するように、固定周波数偏差部803からの周波数偏差Δf=0が選択されて、次のバースト受信信号が検出されるまで、発振器82から出力される三角関数情報(sinθ,cosθ)の値が固定になるよう制御される。
【0219】
上述のごとく動作をバースト受信信号毎に繰り返すことによって、バースト受信信号の復調が行なわれる。
また、本実施例でも、周波数偏差検出部88では、得られた周波数偏差Δfに応じて、遅延回路79での遅延時間ΔTを可変にすることによって、この周波数偏差Δfを検出する際の角度偏差θnew ,θold (検出データ)の時間間隔ΔTを可変にすることができる。
【0220】
具体的には、例えば、周波数偏差Δfが大きい場合は、時間間隔ΔTを短くし、逆に周波数偏差Δfが小さい場合は、時間間隔ΔTを長くするといった具合に、得られた周波数偏差Δfの大きさと、この周波数偏差Δfを検出する際の角度偏差θnew ,θold の時間間隔ΔTとが反比例するように時間間隔ΔTを可変にしている。
【0221】
これにより、周波数偏差算出部802で得られた周波数偏差Δfが大きい場合は、より短い時間間隔ΔTで式(4)による演算が行なわれ、周波数偏差Δfが小さい場合は、より長い時間間隔ΔTで式(4)による演算が行なわれ、この結果、常に、正確な位相ずれ情報Δfを安定して検出することができるようになる。
【0222】
以上のように本発明の第3実施例としてのMLSE型等化器75を用いた復調装置によれば、バースト受信信号を復調するに際しても、極めて簡素な構成で、Ich,Qch信号がもつ周波数偏差Δfを最小にするように、複素演算器74へ位相回転情報をもった三角関数情報(sinθ,cosθ)を供給する発振器82を制御することができるので、受信信号の受けたフェージングなどの影響によってキャリア同期が外れることを防ぐことができ、これにより、極めて正確に、バースト受信信号の復調を行なうことができる。
【0223】
また、符号間干渉の影響に対してすぐれた特性を持つMLSE型等化器75の使用が可能であるため、遅延検波方式を用いた復調装置に比して、大幅に回線品質を向上させることができるとともに、シンボルのクロックレートの高速化や多相位変調などの実現にも大いに寄与する。
なお、本実施例におけるMLSE型等化器75を用いた復調装置は、単一のRF信号を受信してこの受信信号を復調する場合の構成であるが、本発明のMLSE型等化器を用いた復調装置は、いわゆるダイバーシチ受信構成で複数のRF信号を受信して合成した受信信号を復調する構成としてもよい。そして、この場合も、MLSE型等化器75には、第1実施例にて前述したごとくブランチメトリックを合成する構成を有するMLSE型等化器29が用いられる。
【0224】
また、本実施例におけるMLSE型等化器75を用いた復調装置では、MLSE型等化器75に、他のMLSE型等化器を用いてもよい。
また、上述のMLSE型等化器を用いた復調装置は、基地局で次々に受信する子局が切り替わり、子局ごとに受信信号のもつ周波数偏差が異なる場合にも対応できるよう、バースト受信信号終了時に、周波数偏差検出部88の入力情報または出力情報を子局毎に複数組記憶する記憶部を設けて、それぞれ異なる複数の周波数偏差が複数存在する場合などでも、それぞれの周波数偏差を最小にするように制御して、正確に複数のデータを復調するように構成することもできる。
【0225】
(c−1)第3実施例の第1変形例の説明
図42は本発明の第3実施例としてのMLSE型等化器を用いた復調装置の第1変形例を示すブロック図で、この図42において、図40中に示す符号と同一符号を付したものはそれぞれ図40にて前述したものと同様のものであるが、この図42示す復調装置は、図40にて前述した復調装置に比して、制御部89が設けられる点が異なる。
【0226】
ここで、この制御部89は、第2実施例において図36及び図37にて前述した制御部83と同様に、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報に応じ、周波数偏差検出部(周波数弁別器)88で検出された周波数偏差Δfまたは所定の固定周波数偏差Δf=0のいずれかを選択的に用いることにより、周波数偏差検出部88を通じて、発振器(三角関数発生部)82を制御するものである。
【0227】
具体的に、この制御部89は、本実施例でも、受信信号から初期UW情報がとれるまでは、周波数偏差検出部88で検出された周波数偏差Δfを用いて、発振器82を制御するとともに、受信信号から初期UW情報がとれると、その後、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所定値以上の場合は、周波数偏差検出部88で検出された周波数偏差Δfを用いて、発振器82を制御する一方、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所定値より小さい場合は、所定の固定周波数偏差Δf=0を用いて、発振器82を制御するようになっている。
【0228】
これにより、この図42に示すMLSE型等化器を用いた復調装置では、UW検出部86で受信信号から初期UW情報が検出されると、START信号が制御部89へ出力され、制御部89はこのSTART信号を受けると、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所定値以上の場合は、周波数偏差検出部88で検出される周波数偏差Δfを用いて発振器82が制御されるよう周波数偏差検出部88のセレクタ804を制御する。
【0229】
そして、このセレクタ804からは周波数偏差算出部802で算出された周波数偏差Δfが出力され、これが、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差を最小にする位相回転情報をもった三角関数情報(sinθ,cosθ)を複素演算器74に出力する発振器82へ供給されて、発振器82が制御される。
一方、UW検出部86で受信信号から初期UW情報が検出され、START信号が制御部89へ出力された後、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所定値より小さい場合、制御部83は周波数偏差検出部88の固定周波数偏差部803からの周波数偏差Δf=0を用いて発振器82が制御されるようセレクタ804を制御する。
【0230】
これにより、周波数偏差検出部88からは固定の周波数偏差Δf=0が出力され、これがLPF81を通じて発振器82へ供給されることにより、前時点で周波数偏差検出部88で検出された周波数偏差Δfを用いての発振器82の制御が維持される。
つまり、本変形例における復調装置でも、第2実施例の第1変形例にて前述した復調装置と同様に、MLSE型等化器75による受信信号の等化が十分でない初期の段階などにおいては、周波数偏差検出部88で検出される周波数偏差Δfを用いて、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差が最小となるように発振器82を制御し、MLSE型等化器75による受信信号の等化が十分な場合には、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差は十分小さく周波数偏差を調整する必要がないものとして、固定の周波数偏差Δf=0により前時点での周波数偏差Δfを用いて発振器82を制御することができるのである。
【0231】
従って、図28にて前述した周波数弁別器80(80′)に固定周波数偏差部803及びセレクタ804を加えるという周波数弁別器80Aの簡素な構成にもかかわらず、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報に応じて、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差Δfを最小にするように、発振器82を制御することができるので、より正確に、バースト受信信号の復調を行なうことができるようになる。
【0232】
また、符号間干渉の影響に対してすぐれた特性を持つMLSE型等化器75を用いるため、遅延検波方式を用いた復調装置に比して、大幅に回線品質を向上させることができるとともに、シンボルのクロックレートの高速化や多相位変調などの実現にも大いに寄与する。
(c−2)第3実施例の第2変形例の説明
図43は本発明の第3実施例としてのMLSE型等化器を用いた復調装置の第2変形例を示すブロック図で、この図43においても、図40中に示す符号と同一符号付したものはそれぞれ図40にて前述したものであるが、この図43に示す復調装置は、図40にて前述した復調装置に比して、積分器(LPF)84及びD/A変換器85が設けられ、複素演算器74が省かれる点が異なる。
【0233】
すなわち、この図43に示す復調装置は、MLSE型等化器75の等化前のIch,Qchの各ディジタル復調信号から周波数偏差検出部(周波数弁別器)88で得られるディジタル量の周波数偏差ΔfをLPF84及びD/A変換器85によってアナログ量に変換して、直交検波部65の局部発振器655に供給することにより、直交検波部65でIch,Qchベースバンド信号を得る際に、Ich,Qch信号がもつ周波数偏差Δfを、最小にするように制御できるようになっているのである。
【0234】
これにより、本変形例におけるMLSE型等化器を用いた復調装置でも、MLSE型等化器75での等化前のIch,Qch信号を用いて、各Ich,Qch信号のもつ周波数偏差Δfが周波数偏差検出部88で検出されるが、UW検出部86でバースト受信信号の開始が検出されると、START信号が周波数偏差検出部88のセレクタ804へ出力される。
【0235】
そして、周波数偏差検出部88では、セレクタ804によって周波数偏差算出部802で得られた周波数偏差Δfが選択されて、これがLPF84及びD/A変換器85でアナログ量に変換されて、直交検波部65の局部発振器655へ供給され、この周波数偏差Δfに応じて、局部発振器655の発振周波数が制御される。
【0236】
その後、UW検出部86でバースト受信信号の終了が検出されると(実際には、バースト受信信号の開始が検出されてからのある所定の時間が経過したとき)、STOP信号が周波数偏差検出部88のセレクタ804へ出力され、これにより、セレクタ804では、そのときの周波数偏差検出部88の周波数偏差を保持するように、固定周波数偏差部803からの周波数偏差Δf=0が選択されて、次のバースト受信信号が検出されるまで、局部発振器655の発振周波数が固定になるよう制御される。
【0237】
上述のごとく動作をバースト受信信号毎に繰り返すことによって、バースト受信信号の復調が行なわれる。
このように、本変形例におけるMLSE型等化器75を用いた復調装置でも、LMSE型等化器75での等化前のIch,Qch信号のもつ周波数偏差Δfを周波数偏差検出部88で検出し、UW検出部86でバースト受信信号の開始/終了を示すUW情報が検出された際に出力されるSTART/STOP信号に応じて、この周波数偏差ΔfをD/A変換器85によってD/A変換してアナログ量に変換して、直交検波部65の局部発振器655に供給することにより、この周波数偏差Δfを最小にするように局部発振器655の発振周波数を制御することができるので、バースト受信信号の受けたフェージングなどの影響によってキャリア同期が外れることを防ぐことができ、これにより、極めて正確に、バースト受信信号の復調を行なうことができるとともに、十分な伝送品質を保つことができる。
【0238】
(c−3)第3実施例の第3変形例の説明
図44は本発明の第3実施例としてのMLSE型等化器を用いた復調装置の第3変形例を示すブロック図で、この図44において、図43中に示す符号と同一符号を付したものはそれぞれ図43にて前述したものと同様のものであるが、この図44に示す復調装置は、図43にて前述した復調装置に比して、第1変形例において図42にて前述したものと同様の制御部89が設けられる点が異なる。
【0239】
すなわち、この図44に示す復調装置は、本実施例の第1変形例において図42により前述した復調装置において、周波数弁別器80Aで得られるIch,Qch信号がもつディジタル量の周波数偏差Δfを、LPF84及びD/A変換器85を通じてアナログ量に変換して、直交検波部65の局部発振器655へ供給できるように構成したものである。
【0240】
これにより、本変形例におけるMLSE型等化器を用いた復調装置でも、UW検出部86で受信信号から初期UW情報が検出されると、START信号が制御部89へ出力され、制御部89はこのSTART信号を受けると、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所定値以上の場合は、周波数偏差検出部88で検出される周波数偏差Δfを用いて発振器82が制御されるよう周波数偏差検出部88のセレクタ804(図41参照)を制御する。
【0241】
そして、このセレクタ804からは周波数偏差算出部802で算出された周波数偏差Δfが出力され、これが、LPF84及びD/A変換器85によってでディジタル量からアナログ量に変換されて直交検波部65の局部発振器655に供給され、これに応じて、局部発振器655の発振周波数が制御されて、Ich,Qchがもつ周波数偏差Δfが最小となるように制御される。
【0242】
一方、UW検出部86で受信信号から初期UW情報が検出され、START信号が制御部89へ出力された後、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報が所定値より小さい場合、制御部83は周波数偏差検出部88の固定周波数偏差部803からの周波数偏差Δf=0を用いて発振器82が制御されるようセレクタ804を制御する。
【0243】
これにより、周波数偏差検出部88からは固定の周波数偏差Δf=0が出力され、これが、同様に、LPF84及びD/A変換器85によってでディジタル量からアナログ量に変換されて直交検波部65の局部発振器655に供給されることにより、局部発振器655の発振周波数が、前時点において周波数偏差検出部88で検出された周波数偏差Δfを用いて制御された発振周波数に維持される。
【0244】
つまり、本変形例における復調装置でも、第2実施例の第1変形例にて前述した復調装置と同様に、MLSE型等化器75による受信信号の等化が十分でない初期の段階などにおいては、周波数偏差検出部88で検出される周波数偏差Δfを用いて、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差が最小となるように直交検波部65における局部発振器655の発振周波数を制御し、MLSE型等化器75による受信信号の等化が十分な場合には、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差Δfは十分小さくこの偏差を調整する必要がないものとして、固定の周波数偏差Δf=0により前時点での周波数偏差Δfを用いて制御された発振周波数に局部発振器655の発振周波数が維持することができるのである。
【0245】
従って、常に、極めて効果的に、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差Δfを最小にすることができ、また、MLSE型等化器75内で得られる先行波情報と遅延波情報との偏差情報に応じて、Ich,Qch信号のもつ周波数偏差Δfを最小にするように、発振器82を制御することができるので、さらに正確に、バースト受信信号の復調を行なうことができる。
【0246】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の関連技術であるMLSE型等化器によれば、レプリカ生成部,誤差算出部,ブランチメトリック部,加算・比較・選択部,インパルス応答演算部,パスメモリ部が独立した演算器を有するように構成され、且つ、インパルス応答演算部とレプリカ生成部との間に、データの書き込み及び読み出しを同時に行なうことのできるインパルス応答メモリ部が介装されているので、インパルス応答演算部からの演算結果の書き込みとレプリカ生成部へのインパルス応答演算部からの演算結果の読み出しとを同時に行なうことができ、これにより、極めて簡素な構成で、高速に受信信号の等化処理を行なえるという利点がある。
【0247】
さらに、具体的に、上述のレプリカ生成部では、第1エンコーダによって、基準信号点の複素値がkビットアドレスより変換され、この情報を用いて、1シンボル毎にk×k種類のレプリカが1クロックサイクルで1種生成されるので、極めて簡素な構成で、且つ、高速にレプリカを生成することができるようになる。
【0248】
また、インパルス応答演算部では、第2エンコーダによって、基準信号点に収束係数を掛け合わせた複素値がkビットアドレスより変換されるので、極めて簡素な構成で、インパルス応答演算部での演算に必要なデータ(基準信号点×収束係数)得られるとともに、インパルス応答演算部での演算処理を高速に行なうことができるようになる。
【0249】
また、上述のインパルス応答メモリ部に、DRAMを用いれば、極めて簡素な構成で、インパルス応答演算部からの演算結果の書き込みとレプリカ生成部へのインパルス応答演算部からの演算結果の読み出しとを高速に行なうことができる。
【0250】
さらに、加算・比較・選択処理部に設けられるパスメトリックメモリ部を、2個のメモリで構成すれば、前時点のパスメトリックの読み出しと、現時点の選択パスメトリックの書き込みとをこれら2個のメモリの交互切替えによって実行することができるので、パスメトリックについての加算処理・比較処理・選択処理を、極めて高速に行なうことができる。
【0251】
さらに、誤差レジスタにより、加算・比較・選択処理部の出力を誤差アドレスとして、k×k種類の誤差からkクロック周期で所要の誤差を出力し、この誤差をインパルス応答演算部へ出力することができるので、誤差算出部で得られた誤差を加算・比較・選択処理部でのパスメトリックについての加算処理・比較処理・選択処理と同一速度,タイミングで出力することができ、これにより、極めて高速に誤差を選択して出力することができる。
【0252】
また、FIFOメモリによって、誤差算出部の入力側で受信信号を一時的に保存することができるので、MLSE型等化器内での処理を受信信号に対して非同期に行なうことが可能になり、これにより高速クロックを用いて高速処理を行なうことができるようになる。
さらに、本発明のMLSE型等化器によれば、第1レプリカ生成部,第2レプリカ生成部,第1誤差算出部,第2誤差算出部,第1ブランチメトリック部,第2ブランチメトリック部,加算・比較・選択処理部,パスメモリ部,第1インパルス応答演算部,第2インパルス応答演算部がそれぞれ独立して演算を行なうので、この場合も、極めて簡素な構成で、高速に受信信号の等化処理を行なえるという利点があるとともに、第1ブランチメトリック部及び第2ブランチメトリック部のいずれか一方のブランチメトリックを所定値に固定して出力するので、極めて容易に、第1ブランチメトリック部又は第2ブランチメトリック部のブランチメトリックのみを用いて処理を行なうこともできるようになる。
【0253】
また、本発明のMLSE型等化器を用いた復調装置によれば、周波数弁別器によって、MLSE型等化器での等化前の時間的に間隔をあけた複数のデータを用いて、これらのデータのもつ周波数偏差を検出し、この周波数偏差を最小にするように、直交検波部における局部発振器の発振周波数を制御することができるので、受信信号の受けたフェージングなどの影響によって周波数偏差が大きくなり過ぎてキャリア同期が外れることを防ぐことができ、これにより、極めて効果的に、キャリア同期が外れたときのような急峻な周波数飛びを防止して正確に受信信号を復調することができるという利点がある。
【0254】
また、上述の制御部は、周波数弁別器で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にすることができる、具体的には、周波数弁別器で得られた周波数偏差の大きさと、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にすることができるので、常に、正確な位相偏差を安定して検出することができるようになる。
【0256】
さらに、本発明のMLSE型等化器を用いた復調装置によれば、MLSE型等化器での等化前の複数のデータのもつ周波数偏差を周波数弁別器で検出し、この周波数偏差を用いて、この周波数偏差を最小にする位相回転情報をもった三角関数情報を複素演算器に供給する三角関数発生部が制御されるので、MLSE型等化器での等化前の複数のデータのもつ周波数偏差を最小にすることができ、極めて効果的に、急峻な周波数飛びなどを防止して正確に受信信号を復調することができるようになる。
【0257】
さらに、この場合も、上述の制御部は、周波数弁別器で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にする、具体的には、周波数弁別器で得られた周波数偏差の大きさと、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にすることができるので、常に、正確な位相偏差を安定して検出することができるようになる。
【0259】
さらに、本発明のMLSE型等化器を用いた復調装置によれば、バースト受信信号開始・終了検出部でバースト受信信号の終了が検出されると、そのときの周波数弁別器の周波数偏差を保持するように、直交検波部における局部発振器の発振周波数を制御することができるので、バースト受信信号を復調するに際しても、極めて簡素な構成で、MLSE型等化器での等化前の複数のデータのもつ周波数偏差を最小にするように、直交検波部における局部発振器を制御することができるので、受信信号の受けたフェージングなどの影響によって周波数偏差が大きくなりキャリア同期が外れることを防ぎ、極めて正確に、バースト受信信号の復調を行なうことができるようになる。また、先行波,遅延波による符号間干渉の影響に対してすぐれた特性を持つMLSE型等化器を使用するため、遅延検波方式を用いた復調装置に比して、大幅に回線品質を向上させることができるとともに、受信信号データのクロックレートの高速化や多相位変調などの実現にも大いに寄与する。
【0260】
さらに、この場合も、周波数弁別器で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にする、具体的には、周波数弁別器で得られた周波数偏差の大きさと、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にすることができるので、常に、正確な位相偏差を安定して検出することができるようになる。
【0263】
また、本発明のMLSE型等化器を用いた復調装置によれば、バースト受信信号開始・終了検出部でバースト受信信号の開始が検出されると、周波数弁別器で得られた周波数偏差が最小になるように、三角関数発生部を制御するとともに、バースト受信信号開始・終了検出部でバースト受信信号の終了が検出されると、そのときの周波数弁別器の周波数偏差を保持するように、三角関数発生部を制御することができるので、この場合も、バースト受信信号を復調するに際しても、極めて簡素な構成で、MLSE型等化器での等化前の複数のデータのもつ周波数偏差を最小にするように、直交検波部における局部発振器を制御することができるので、受信信号の受けたフェージングなどの影響によって周波数偏差が大きくなりキャリア同期が外れることを防ぎ、極めて正確に、バースト受信信号の復調を行なうことができるようになる。また、先行波,遅延波による符号間干渉の影響に対してすぐれた特性を持つMLSE型等化器を使用するため、遅延検波方式を用いた復調装置に比して、大幅に回線品質を向上させることができるとともに、受信信号データのクロックレートの高速化や多相位変調などの実現にも大いに寄与する。
【0266】
さらに、この場合も、周波数弁別器で得られた周波数偏差に応じて、この周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にする、具体的には、周波数弁別器で得られた周波数偏差の大きさと、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にすることができるので、常に、正確な位相偏差を安定して検出することができるようになる
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の関連技術を示すブロック図である。
【図2】発明の関連技術を示すブロック図である。
【図3】発明の原理ブロック図である。
【図4】発明の原理ブロック図である。
【図5】発明の原理ブロック図である。
【図6】発明の原理ブロック図である。
【図7】本発明の第1実施例としてのMLSE型等化器が適用される移動体無線通信システムの一例を示すブロック図である。
【図8】第1実施例におけるMLSE型等化器の構成を示すブロック図である。
【図9】第1実施例のMLSE型等化器におけるレプリカ生成部,DPRAM,CIR計算部の構成を示すブロック図である。
【図10】第1実施例のMLSE型等化器におけるACS部及び誤差レジスタの構成を示すブロック図である。
【図11】第1実施例のMLSE型等化器におけるパスメモリ部の構成を示すブロック図である。
【図12】第1実施例のMLSE型等化器におけるパスメモリ部の構成を示すブロック図である。
【図13】第1実施例のMLSE型等化器におけるパスメモリ部の構成を示すブロック図である。
【図14】第1実施例のMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図15】第1実施例のMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図16】第1実施例のMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図17】第1実施例のMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図18】第1実施例のMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図19】第1実施例のMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図20】第1実施例のMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図21】第1実施例のMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図22】第1実施例のMLSE型等化器におけるパスメモリ部の動作を説明するための図である。
【図23】第1実施例のMLSE型等化器におけるパスメモリ部の動作を説明するための図である。
【図24】第1実施例のMLSE型等化器におけるパスメモリ部の動作を説明するための図である。
【図25】第1実施例のMLSE型等化器におけるパスメモリ部の動作を説明するための図である。
【図26】(a),(b)はそれぞれ第1実施例のMLSE型等化器におけるパスメモリ部の動作を説明するための図である。
【図27】本発明の第2実施例としてのMLSE型等化器を用いた復調装置の構成を示すブロック図である。
【図28】第2実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置における周波数弁別器の構成を示すブロック図である。
【図29】第2実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置における周波数弁別器の他の構成を示すブロック図である。
【図30】第2実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置におけるローパスフィルタ及び発振器(NCO)の構成を示すブロック図である。
【図31】第2実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置における複素演算器の構成を示すブロック図である。
【図32】第2実施例のMLSE型等化器の構成を示すブロック図である。
【図33】第2実施例のMLSE型等化器におけるレプリカ生成部,DPRAM,CIR計算部の構成を示すブロック図である。
【図34】第2実施例のMLSE型等化器におけるACS部及び誤差レジスタの構成を示すブロック図である。
【図35】第2実施例のMLSE型等化器におけるパスメモリ部の構成を示すブロック図である。
【図36】第2実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置の第1変形例を示すブロック図である。
【図37】第2実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置の第1変形例における周波数弁別器の構成を示すブロック図である。
【図38】第2実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置の第2変形例を示すブロック図である。
【図39】第2実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置の第3変形例を示すブロック図である。
【図40】本発明の第3実施例としてのMLSE型等化器を用いた復調装置の構成を示すブロック図である。
【図41】第3実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置における周波数偏差検出部の構成を示すブロック図である。
【図42】第3実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置の第1変形例を示すブロック図である。
【図43】第3実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置の第2変形例を示すブロック図である。
【図44】第3実施例のMLSE型等化器を用いた復調装置の第3変形例を示すブロック図である。
【図45】一般的なMLSE型等化器の構成を示すブロック図である。
【図46】一般的なMLSE型等化器の構成を示すブロック図である。
【図47】一般的なMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図48】(a),(b)はそれぞれ一般的なMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図49】一般的なMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図50】一般的なMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図51】一般的なMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図52】(a)〜(c)はそれぞれ一般的なMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図53】(a),(b)はそれぞれ一般的なMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図54】一般的なMLSE型等化器の動作を説明するための図である。
【図55】一般的なMLSE型等化器を用いた復調装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 レプリカ生成部
1A 第1レプリカ生成部
1B 第2レプリカ生成部
2 誤差算出部
2A 第1誤差算出部
2B 第2誤差算出部
3 ブランチメトリック部
3A 第1ブランチメトリック部
3B 第2ブランチメトリック部
4,4′ 加算・比較・選択処理部
5 インパルス応答演算部
5A 第1インパルス応答演算部
5B 第2インパルス応答演算部
6 パスメモリ部
8 直交検波部
9 局部発振器
10,29 MLSE型等化器
11 周波数弁別器
12A〜12D,40 制御部
13 識別部
14 位相回転部
15 三角関数発生部
16 バースト受信信号開始・終了検出部
21 送信機
22 受信機
23,28A,28B 変調器
24,27 発振器
25,26A,26B アンテナ
31A レプリカ生成部(第1レプリカ生成部)
31B レプリカ生成部(第2レプリカ生成部)
32A 誤差計算部(第1誤差算出部)
32B 誤差計算部(第2誤差算出部)
33A ブランチメトリック計算部(第1ブランチメトリック部)
33B ブランチメトリック計算部(第2ブランチメトリック部)
34 ACS(Add Compare Select)部(加算・比較・選択処理部)
35A CIR(Channel Impulse Response)計算部(第1インパルス応答演算部)
35B CIR計算部(第2インパルス応答演算部)
36 パスメモリ部
37A,37B DPRAM(Dual-Port RAM:インパルス応答メモリ部)
38A,38B 誤差レジスタ
39A,39B FIFO(First-In-First-Out)メモリ
41,47,48,346,348 加算器
42,43,49,50 複素演算器(複素乗算器)
45,46 エンコーダ(PLD DI,PLD DR: 第1エンコーダ)
51,52 エンコーダ(PLD μDI,PLD μDR: 第2エンコーダ)
61,652,653 ミキサ(MIX)
62,655′ 局部発振器(Lo VCO)
63 バンドパスフィルタ(BPF)
64 AGCアンプ(Automatic Gain Control AMP)
65 直交検波部
68,69 アンプ(AMP)
70,71 ローパスフィルタ(LPF)
72,73 A/D変換器
74 複素演算器(複素乗算器)
75 MLSE型等化器
76 クロック再生部
79 遅延回路(τ)
80,80′,80A 周波数弁別器
81 ローパスフィルタ(LPF)
82 発振器(NCO)
83 制御部
84 積分器(LPF)
85 D/A変換器
86 ユニークワード(UW)検出部
87 パラレル/シリアルデータ変換部(P/S変換部)
88 周波数偏差検出部(周波数弁別器)
341 加算部
342 比較選択部
343 パスメトリックメモリ
344,345,347,349,350,354,383,386 フリップフロップ(FF)回路
351,352,384,385 セレクタ
353 コンパレータ
355 読み出しアドレスカウンタ
356 書き込みアドレスカウンタ
357 RAM切替カウンタ
358 書き込みカウンタ
359,360 デコーダ
361,362 ランダムアクセスメモリ(RAM)
381 アドレスカウンタ
382 シフトレジスタ
401 パスメモリ制御部(PMEM-CONT)
402 ランダムアクセスメモリ(RAM)
403 デコーダ
,404〜408,421,423〜428,430 フリップフロップ回路(DQ)
409,414,418,422,429 インバータ(INV)
410,411,438 ANDゲート
412,415,419 NANDゲート
413,415,434,437,439 フリップフロップ回路(DFF)
431 レジスタ(DY-REG)
432 カウンタ(10BIT COUNT)
433 多重化回路(2−1MUX)
436 レジスタ(DX-REG)
440 3ステート回路
651,654 ハイブリッド(H,HYB)
655 局部発振器(Lo XO,LOCAL)
761,762,741〜745 乗算器
746,747,763,811,821 加算器
764 位相比較器(P.D:Phase-Locked-Loop)
765 ループフィルタ(Loop Filter)
766 クロック再生用発振器(CLK VCO)
801,801A,801B 角度偏差算出部
802 周波数偏差算出部
803 固定周波数偏差部
804 セレクタ(SEL)
812,822 遅延素子
823 三角関数発生メモリ

Claims (8)

  1. k相PSK無線通信での受信信号を局部発振器からのローカル信号を用いて直交検波する直交検波部と、
    該直交検波部で得られた復調信号を入力として、ビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施すMLSE型等化器とをそなえ、
    該MLSE型等化器での等化前の時間的に間隔をあけた複数のデータを用いて、該データのもつ周波数偏差を検出する周波数弁別器と、
    該周波数弁別器で得られた周波数偏差を最小にするように、該直交検波部における該局部発振器の発振周波数を制御する制御部とが設けられるとともに、
    該制御部が、該周波数弁別器で得られた周波数偏差に応じて、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成されていることを特徴とする、MLSE型等化器を用いた復調装置
  2. 該制御部が、該周波数弁別器で得られた周波数偏差の大きさと、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成されていることを特徴とする請求項記載のMLSE型等化器を用いた復調装置
  3. k相PSK無線通信での受信信号を局部発振器からのローカル信号を用いて直交検波する直交検波部と、
    該直交検波部で得られた復調信号を所定の識別レベルで識別する識別部と、
    該識別部からの出力について、位相回転を施す位相回転部と、
    該位相回転部に位相回転情報を有する三角関数情報を出力する三角関数発生部と、
    該識別部後の復調信号を入力として、ビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施すMLSE型等化器とをそなえ、
    該MLSE型等化器での等化前の時間的に間隔をあけた複数のデータを用いて、該データのもつ周波数偏差を検出する周波数弁別器と、
    該周波数弁別器で得られた周波数偏差を最小にするように、該三角関数発生部を制御する制御部とが設けられるとともに、
    該制御部が、該周波数弁別器で得られた周波数偏差に応じて、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成されていることを特徴とする、MLSE型等化器を用いた復調装置
  4. 該制御部が、該周波数弁別器で得られた周波数偏差の大きさと、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成されていることを特徴とする請求項記載のMLSE型等化器を用いた復調装置
  5. k相PSK無線通信でのバースト受信信号を局部発振器からのローカル信号を用いて直交検波する直交検波部と、
    該直交検波部で得られた復調信号を入力として、ビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施すMLSE型等化器とをそなえ、
    該バースト受信信号の開始情報と終了情報とを検出するバースト受信信号開始・終了検出部と、
    該MLSE型等化器での等化前の時間的に間隔をあけた複数のデータを用いて、該データのもつ周波数偏差を検出する周波数弁別器と、
    該バースト受信信号開始・終了検出部で該バースト受信信号の開始が検出されると、該周波数弁別器で得られた周波数偏差を最小にするように、該直交検波部における該局部発振器の発振周波数を制御するとともに、該バースト受信信号開始・終了検出部で該バースト受信信号の終了が検出されると、そのときの該周波数弁別器の周波数偏差を保持するように、該直交検波部における該局部発振器の発振周波数を制御する制御部とが設けられるとともに、
    該制御部が、該周波数弁別器で得られた周波数偏差に応じて、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成されていることを特徴とする、MLSE型等化器を用いた復調装置
  6. 該制御部が、該周波数弁別器で得られた周波数偏差の大きさと、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成されていることを特徴とする請求項記載のMLSE型等化器を用いた復調装置
  7. k相PSK無線通信でのバースト受信信号を局部発振器からのローカル信号を用いて直交検波する直交検波部と、
    該直交検波部で得られた復調信号を所定の識別レベルで識別する識別部と、
    該識別部からの出力について、位相回転を施す位相回転部と、
    該位相回転部に位相回転情報を有する三角関数情報を出力する三角関数発生部と、
    該識別部後の復調信号を入力として、ビタビアルゴリズムを用いて、最尤系列推定を施すMLSE型等化器とをそなえ、
    該バースト受信信号の開始情報と終了情報とを検出するバースト受信信号開始・終了検出部と、
    該MLSE型等化器での等化前の時間的に間隔をあけた複数のデータを用いて、該データのもつ周波数偏差を検出する周波数弁別器と、
    該バースト受信信号開始・終了検出部で該バースト受信信号の開始が検出されると、該周波数弁別器で得られた周波数偏差を最小にするように、該三角関数発生部を制御するとともに、該バースト受信信号開始・終了検出部で該バースト受信信号の終了が検出されると、そのときの該周波数弁別器の周波数偏差を保持するように、該三角関数発生部を制御する制御部とが設けられるとともに、
    該制御部が、該周波数弁別器で得られた周波数偏差に応じて、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成されていることを特徴とする、MLSE型等化器を用いた復調装置
  8. 該制御部が、該周波数弁別器で得られた周波数偏差の大きさと、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔とが反比例するように、該周波数偏差を検出する際の検出データの時間間隔を可変にするよう構成されていることを特徴とする請求項記載のMLSE型等化器を用いた復調装置
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