JP4797306B2 - アゾレーキ顔料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷用インキ調製時のフラッシング性向上と当該インキの乳化量が少なく、印刷機上で過乳化となりにくい優れた乳化適性とを有する平版印刷用インキを提供できるアゾレーキ顔料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性媒体中の有機顔料を油媒体に移行させる操作をフラッシングと呼び、このフラッシング性を向上させる方法として、顔料自体のロジン類処理がある。この様なロジン類処理を、アゾ顔料に適用する場合の方法としては、例えばフェノール類又はナフトール類に水溶性一価金属塩溶液(いわゆるロジンソープ)を添加し、これと芳香族アミン類のジアゾニウム塩成分を含む懸濁液とをカップリング反応させてアゾ染料を形成させた後、或いはアゾ染料の形成後に前記水溶性一価金属塩溶液(いわゆるロジンソープ)を添加した後、塩化カルシウム等のレーキ用金属塩を添加してアゾ染料と接触するロジン類を水難溶性又は水不溶性の多価金属塩としてアゾ顔料の表面に析出させる、アゾレーキ顔料の製造方法が記載されている(特開平10−73963号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のロジン類処理方法では、アゾレーキ顔料の顔料表面の疎水性を高くする事ができず、こうして得られたアゾレーキ顔料水ペーストのフラッシング性の向上効果は、不充分であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は、上記実用に鑑みて鋭意検討した結果、ロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液と芳香族アミン類のジアゾニウム塩成分を含む懸濁液とを、直接接触させるか、或いは又、水に注入してカップリング反応を行い、更にレーキ化を行う事により、従来のロジン類処理方法に比べて、アゾレーキ顔料の顔料表面の疎水性を高くすることができ、これらの方法で得た顔料水ペーストを用いると平版印刷用インキ調製時のフラッシング性が飛躍的に向上すること、当該インキの乳化量が少なく印刷機上で過乳化になりにくい優れた乳化適性を有する平版印刷用インキが提供できることを見い出し本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、以下(1)〜(2)のロジン類の多価金属塩処理されたアゾレーキ顔料の製造方法を提供することを目的とする。
(1)ロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液と芳香族アミン類のジアゾニウム塩成分を含む懸濁液とを、直接接触させカップリング反応を行い、更にレーキ化を行う事を特徴とするロジン類の多価金属塩処理アゾレーキ顔料の製造方法。
(2)ロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液と芳香族アミン類のジアゾニウム塩成分を含む懸濁液とを、水に注入してカップリング反応を行い、更にレーキ化を行う事を特徴とするロジン類の多価金属塩処理アゾレーキ顔料の製造方法。
上記(1)と(2)の方法のうち、(2)の方法のほうが、前記した主たる改良効果に加えてより球形度が高い、流動性等の良い顔料粒子が得られる、より優れた方法である。
【0006】
本発明におけるロジン類の多価金属塩とは、公知慣用のロジン類、例えばアビエチン酸を主成分とするロジン、不均化ロジン、部分水素添加ロジン、完全水素添加ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、重合ロジンと二価、三価または四価の多価金属類、例えばCa、Ba、Sr、Al、Zn等の塩(無機化合物)とを接触させる事により水難溶性又は水不溶性化した多価金属塩を意味する。なかでも、ロジン類の多価金属塩がCa塩によるものがフラッシング性の改良効果が高い点で好ましい。具体的には、ロジン類の多価金属塩は、上述ロジン類の水溶性一価金属塩溶液であるNa又はK塩溶液と、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等に代表される無機塩(無機化合物)とを接触させる事により得られる。
【0007】
ロジン類と無機塩(無機化合物)との接触方法は、特に限定されないが、ロジン類の多価金属塩を微細な粒子として系内に存在させる事が、例えば顔料水ペーストの様なウエット顔料のフラッシング性、乾燥顔料粉末の様なパウダー顔料の分散性を改良する効果が高い。この点から、ロジン類と無機塩(無機化合物)との接触は、ロジン類成分が0.1〜10重量%の希薄溶液状態、好ましくは、1〜5重量%の希薄溶液状態で、無機塩(無機化合物)と接触させる事が好ましく、接触時の混合速度を高めるため、高速攪拌条件下での接触が特に好ましい。さらに好ましくは、ロジン類の多価金属塩の懸濁液をビーズミル等の分散機を使用して更に微細化させる事が推奨される。
【0008】
本発明で用いる前記懸濁液中のロジン類の多価金属塩の平均粒径は0.01〜10μmである事が好ましく、さらに好ましくは、0.01〜2μm、最も好ましくは0.01〜1μmである。本発明で用いる前記懸濁液を調製するのに、必要であれば、有機溶媒中で得られたロジン類の多価金属塩を水で希釈して水性懸濁液とする事も可能である。
【0009】
ロジン類の多価金属塩の水性懸濁液の使用量は、ロジン類の多価金属塩として、得るべきアゾレーキ顔料に対して3重量%〜20重量%相当量、好ましくは、4重量%〜15重量%相当量である。ロジン類の多価金属塩がこの範囲であると、フラッシング性の改良効果が大きく、着色力も大きくなる傾向がある。特に、4〜9重量%相当量であると、平版印刷用インキとして使用した場合、印刷時に使用する湿し水に対する耐性、例えば耐ブリード性が向上する。
【0010】
アゾレーキ顔料としては、フェノール類又はナフトール類を含有する液と、芳香族アミン類のジアゾニウム塩成分を含む懸濁液とを用い、カップリング反応と金属塩類によるレーキ化を行うことで製造されるものであれば良い。ここでレーキ化とは、一般に水に可溶性の種々な色素を金属塩類又はその他の沈殿剤で水に不溶性の微粒子として沈殿させて顔料をつくる工程をいう。
【0011】
本発明で用いる水性懸濁液成分としては、公知慣用のフェノール類又はナフトール類(以下、水性懸濁液中に含まれるフェノール類又はナフトール類をカップラーと称す)が使用できるが、例えば2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、β−ナフトール等が挙げられる。また、前記の誘導体、例えば、低級アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子で置換された化合物であっても良い。
【0012】
上記成分から対応する水性懸濁液を得るには、公知慣用の方法がいずれも採用できるが、例えばフェノール類や、ナフトール類を温水に分散させてアルカリ性として溶解させれば良い。液性をアルカリ性とするには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が使用できる。
【0013】
一方、本発明で用いるジアゾニウム塩成分としては、公知慣用の芳香族アミン類のジアゾニウム塩(以下、ジアゾニウム塩と称す)が使用できる。芳香族アミン類としては、可溶性基を有するものが好ましく、例えば4−アミノトルエン−3−スルホン酸(p−トルイジン−m−スルホン酸:4B酸)、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸(2B酸)、3−アミノ−6−クロロトルエン−4−スルホン酸(C酸)、2−アミノナフタレン−1−スルホン酸(トビアス酸)等が例示される
【0014】
上記成分から対応するジアゾニウム塩成分を含む懸濁液を得るには、公知慣用の方法がいずれも採用できる。例えば芳香族アミン類を酸性かつ0℃〜5℃とし、攪拌下に亜硝酸塩水溶液を加えてジアゾ化する様にすれば良い。液性を酸性とするには塩酸や硫酸等の無機酸が、亜硝酸塩としては亜硝酸ナトリウム等が使用できる。
【0015】
本発明において、好適なカップラー成分と、ジアゾニウム塩成分との組合せ(好適なアゾレーキ顔料)は、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸(2B酸)と2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸との組合せ(バリウムレーキされたものはC.I.ピグメントレッド48:1、カルシウムレーキされたものは同48:2、ストロンチウムレーキされたものは同48:3)、3−アミノ−6−クロロトルエン−4−スルホン酸(C酸)と2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸との組合せ(カルシウムレーキされたものは同52:1)、4−アミノトルエン−3−スルホン酸(4B酸)と2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸との組合せ(カルシウムレーキされたものは同57:1)等があげられる。中でも、環境面で優れる塩素不含のアゾレーキ顔料であるが、顔料表面の親水性が高くフラッシング性が劣っているC.I.ピグメント57:1のフラッシング速度の改良効果が高い。
【0016】
ロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液は、カップラーを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリに溶解させる事により得られるアルカリ性のカップラー溶液と、ロジン類の多価金属塩とを混合する事により得られる。
【0017】
ロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液に、ジアゾニウム塩を直接接触させてカップリング反応を行う方法としては、▲1▼攪拌状態にあるロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液に、ジアゾニウム塩を添加する方法、▲2▼攪拌状態にあるジアゾニウム塩に、ロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液を添加する方法がある。
【0018】
ロジン類の多価金属塩は、ジアゾニウム塩のような酸性溶液中では、分解する傾向があり、フラッシング性の改良効果は、▲2▼より▲1▼のほうが高い。すなわち、本発明において、ロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液に、ジアゾニウム塩を直接接触させてカップリング反応を行う方法としては、攪拌状態にあるロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液に、ジアゾニウム塩を添加する方法が好ましい。なかでも、液温が−2℃〜10℃に調整されたカップラー成分に、10分から60分かけてジアゾニウム塩成分を添加するのが好ましい。こうして、ロジン類の多価金属塩で処理されたアゾ染料の懸濁液が得られる。
【0019】
アゾ染料のレーキ化は、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等に代表される無機塩(無機化合物)とを接触させる事により得られる。この多価金属塩としては、ロジン類の多価金属塩を調製する際に用いた前記無機塩(無機化合物)をいずれも用いることが出来る。この多価金属塩は、水溶液としてレーキ化に用いることが出来る。この多価金属塩を構成する多価金属類と水溶液としてレーキ化に用いる多価金属類とは異なってもよいし、同じであってもよい。好ましくは同じであった方がよい。レーキ化に用いるこの多価金属塩の使用量は、アゾ染料1モルに対して二価金属塩の場合は1〜2モルである。
【0020】
レーキ化に用いるロジン類の多価金属塩で処理されたアゾ染料の懸濁液の液性を、アルカリ性、中でもpH9〜14、特に好ましくは12.5〜14とすることは、系内のアゾ染料のレーキ化の速度を適当なものとし、粒子形態を整えながら必要な粒子径の顔料粒子を得ることが出来るので好ましい。
【0021】
こうしてレーキ化により得られた、ロジン類の多価金属塩処理されたアゾレーキ顔料を含む懸濁液は、そのままアゾレーキ顔料として使用することも出来るが、顔料の粒子形態を整えるため、さらに、温度70〜90℃にて30分〜2時間熟成することが好ましい。
【0022】
熟成を行う際に、ロジン類の多価金属塩で処理されたアゾレーキ顔料を含む懸濁液の液性を酸性〜アルカリ性に調製することが出来るが、液性をpH11〜14で熟成を行うと、前記したのと同様に粒子形態を整える効果があるので好ましい。この熟成時のアゾ顔料懸濁液のpHは、レーキ化に用いるロジン類の多価金属塩で処理されたアゾ染料の懸濁液のpHよりも高くなる様に調節する事が好ましい。
【0023】
熟成を行ったロジン類の多価金属塩処理されたアゾレーキ顔料を含む懸濁液は、さらに濾過、洗浄し、圧搾程度を調節することにより、所望の顔料分を含む顔料水ペーストやスラリーを得ることが出来る。必要ならば、これらの操作を繰り返して行い精製することも可能である。
【0024】
尚、洗浄に当たっては、中性の冷水〜温水、弱アルカリ性水または弱酸性水を用いることが出来る。
【0025】
本発明の製造方法で得られる顔料水ペーストは、アゾレーキ顔料と水とを含有するものである。
【0026】
本発明の製造方法で得られる顔料水ペースト中のアゾレーキ顔料の量は、顔料水ペーストの取り扱いの簡便さから規定できる。これを平版印刷用インキを調製することを想定して説明すると、顔料水ペースト中のアゾレーキ顔料の量が少なく、水が多量に含まれていると顔料水ペーストが液状化し、運搬およびフラッシュニーダー等の練肉機械への仕込みが難しくなり好ましくない。また、顔料水ペースト中のアゾレーキ顔料の量が多いと、顔料水ペーストが堅くなり、フラッシュニーダー等の負荷がかかる事になるため好ましくない。
【0027】
このような理由から、顔料水ペースト中のアゾレーキ顔料の比率は、顔料水ペーストに対して20重量%〜60重量%、好ましくは、25重量%〜50重量%、最も好ましくは、30重量%〜40重量%である。
【0028】
また、圧搾を充分に行った上で、顔料粒子形態が変化しない様に、湿潤した顔料分を加熱乾燥したり、懸濁液をスプレードライヤー、フリーズドライヤー等で、乾燥することにより、パウダー顔料を得ることが出来る。本発明の製造方法で得られるパウダー顔料は、水分を全く含まないか水分を2重量%以下しか含まない状態まで乾燥したものである。
【0029】
さらに必要ならば、乾燥によってランプ状となった顔料を解す目的で、解砕や粉砕を行うことも出来るし、粒子径分布を制御するために分級することも出来る。
【0030】
本発明において、ロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液とジアゾニウム塩成分を含む懸濁液とを、直接接触させてカップリング反応を行う方法の他に、両者を水に注入してカップリング反応を行い、更にレーキ化を行う方法があり、例えば次の通り実施することが出来る。
【0031】
(1)ロジン類の多価金属塩とカップラー成分を含む水性懸濁液全量とジアゾニウム塩成分を含む懸濁液全量とを各々別個に複数に分割し、分割された個々の両成分の見掛け注入モル比が一定となる様に、分割された水性懸濁液と懸濁液とを「交互に」水に注入して両成分全量をカップリング反応を行い、更にレーキ化を行う方法。
(2)ロジン類の多価金属塩とカップラー成分を含む水性懸濁液全量とジアゾニウム塩成分を含む懸濁液全量とを、両成分の見掛け注入モル比が一定となる様に、少しずつ水性懸濁液と懸濁液とを「連続的に」水に注入して両成分全量をカップリング反応を行い、更にレーキ化を行う方法。
【0032】
さらに上記(1)及び(2)の各カップリング反応に関しては、順に、具体的に次の様にして行うことが出来る。
(A)バッチ式攪拌槽内に水を入れ、この攪拌下に、ロジン類の多価金属塩とカップラー成分を含む水性懸濁液とジアゾニウム塩成分を含む懸濁液とを別々の注入管を通して、交互に供給する方法において、下記▲1▼、▲2▼を交互に繰り返す方法。
▲1▼ロジン類の多価金属塩とカップラー成分を含む水性懸濁液全量のうちの一部を注入管を通して供給する操作。
▲2▼ジアゾニウム塩成分を含む懸濁液全量のうちの一部を注入管を通して供給する操作。
(B)バッチ式攪拌槽内に水を入れ、この攪拌下に、ロジン類の多価金属塩とカップラー成分を含む水性懸濁液とジアゾニウム塩成分を含む懸濁液とを別々の注入管を通して連続的に供給する方法。
【0033】
カップラーとジアゾニウム塩とをカップリング反応させる事により得られるアゾ染料は、高速撹拌装置が付いた分散機で混合攪拌すると、アゾ染料同士が凝集する傾向が若干あるため、上記(A)および(B)の方法が推奨される。
【0034】
なお、上記(A)の方法において、カップラー成分の一部およびジアゾニウム塩成分の一部とは、バッチ式攪拌機槽内に供給されるべき水性懸濁液のカップラー成分全量の一部および懸濁液のジアゾニウム塩成分全量の一部を意味する。いずれの成分にせよ、その全量を幾つかに分割した結果である一部は、その分割数が大きくなるほど、より好ましい粒子形態を与える寄与が大きくなる。
【0035】
上記いずれの製造方法においても、カップラーとジアゾニウム塩とのカップリング反応時における仕込みモル比は、カップラー:ジアゾニウム塩=1:1で良いが、ややカップラーが過剰の範囲、なかでも1.0〜1.2:1の範囲とするのが好ましい。水性懸濁液と懸濁液の注入速度は、カップラーとジアゾニウム塩の仕込みモル比が上記範囲となる様に調節するのが好ましい。
【0036】
また上記いずれの製造方法においても、最初に水と接触させるのは、カップラーであることが好ましい。
【0037】
染料粒子形成の場となる水に、ロジン類の多価金属塩とカップラー成分を含む水性懸濁液とジアゾニウム塩成分を含む懸濁液とを注入してカップリング反応させる際の各液温度は、いずれも−2℃〜10℃である事が好ましい。こうして、ロジン類の多価金属塩で処理されたアゾ染料の懸濁液が得られる。
【0038】
アゾ染料のレーキ化は、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等に代表される無機塩(無機化合物)とを接触させる事により得られる。この多価金属塩としては、ロジン類の多価金属塩を調製する際に用いた前記無機塩(無機化合物)をいずれも用いることが出来る。この多価金属塩は、水溶液としてレーキ化に用いることが出来る。この多価金属塩を構成する多価金属類と水溶液としてレーキ化に用いる多価金属類とは異なってもよいし、同じであってもよい。好ましくは同じであった方がよい。レーキ化に用いるこの多価金属塩の使用量は、アゾ染料1モルに対して二価金属塩の場合は1〜2モルである。
【0039】
レーキ化に用いるロジン類の多価金属塩で処理されたアゾ染料の懸濁液の液性を、アルカリ性、中でもpH9〜14、特に好ましくは12.5〜14とすることは、系内のアゾ染料のレーキ化の速度を適当なものとし、粒子形態を整えながら必要な粒子径の顔料粒子を得ることが出来るので好ましい。
【0040】
こうしてレーキ化により得られた、ロジン類の多価金属塩処理されたアゾレーキ顔料を含む懸濁液は、そのままアゾレーキ顔料として使用することも出来るが、顔料の粒子形態を整えるため、さらに、温度70〜90℃にて30分〜2時間熟成することが好ましい。
【0041】
熟成を行う際に、ロジン類の多価金属塩処理されたアゾレーキ顔料を含む懸濁液の液性を酸性〜アルカリ性に調製することが出来るが、液性をpH11〜14で熟成を行うと、前記したのと同様に粒子形態を整える効果があるので好ましい。この熟成時のアゾ顔料懸濁液のpHは、レーキ化に用いるロジン類の多価金属塩で処理されたアゾ染料の懸濁液のpHよりも高くなる様に調節する事が好ましい。
【0042】
熟成を行ったロジン類の多価金属塩処理されたアゾレーキ顔料を含む懸濁液は、さらに濾過、洗浄し、圧搾程度を調節することにより、所望の顔料分を含む顔料水ペーストやスラリーを得ることが出来る。必要ならば、これらの操作を繰り返して行い精製することも可能である。
【0043】
尚、洗浄に当たっては、中性の冷水〜温水、弱アルカリ性水または弱酸性水を用いることが出来る。
【0044】
本発明の製造方法で得られる顔料水ペーストは、アゾレーキ顔料と水とを含有するものである。
【0045】
本発明の製造方法で得られる顔料水ペースト中のアゾレーキ顔料の量は、顔料水ペーストの取り扱いの簡便さから規定できる。これを平版印刷用インキを調製することを想定して説明すると、顔料水ペースト中のアゾレーキ顔料の量が少なく、水が多量に含まれていると顔料水ペーストが液状化し、運搬およびフラッシュニーダー等の練肉機械への仕込みが難しくなり好ましくない。また、顔料水ペースト中のアゾレーキ顔料の量が多いと、顔料水ペーストが堅くなり、フラッシュニーダー等の負荷がかかる事になるため好ましくない。
【0046】
このような理由から、顔料水ペースト中のアゾレーキ顔料の比率は、顔料水ペーストに対して20重量%〜60重量%、好ましくは、25重量%〜50重量%、最も好ましくは、30重量%〜40重量%である。
【0047】
また、圧搾を充分に行った上で、顔料粒子形態が変化しない様に、湿潤した顔料分を加熱乾燥したり、懸濁液をスプレードライヤー、フリーズドライヤー等で、乾燥することにより、パウダー顔料を得ることが出来る。本発明の製造方法で得られるパウダー顔料は、水分を全く含まないか水分を2重量%以下しか含まない状態まで乾燥したものである。
【0048】
さらに必要ならば、乾燥によってランプ状となった顔料を解す目的で、解砕や粉砕を行うことも出来るし、粒子径分布を制御するために分級することも出来る。
【0049】
本発明の製造方法を経由して得た顔料水ペーストやパウダー顔料は、公知慣用のアゾレーキ顔料の用途にいずれも使用できる。本発明のアゾレーキ顔料は、例えば印刷インキ、塗料、プラスチックス、文具、化粧品、或いはインクジェット記録用インキ、静電荷像現像用トナー、カラーフィルター等の様な先端技術用途にも使用出来る。
【0050】
印刷用インキは、樹脂と溶剤とからなるビヒクル(ワニス)に顔料を分散させる事により生産される。顔料を分散させる方法には、▲1▼3本ロールやビーズミルに代表される分散機を使用して、水を除去したパウダー顔料をビヒクルに分散させる方法、▲2▼ニーダーフラッシャーに代表される分散機を使用して、水を含有する顔料水ペーストとビヒクルとを混練して、顔料をビヒクルに移行させて水を遊離させる方法により分散させる方法(フラッシング法)とがある。
【0051】
本発明で得られるアゾレーキ顔料は、顔料水ペーストとして平版印刷用インキに、パウダー顔料として平版印刷用インキやグラビア印刷用インキに特に好適に用いることが出来る。
【0052】
本発明のアゾレーキ顔料を平版印刷用インキの調製時に使用した場合、フラッシング性向上と当該インキの乳化量が少なく、印刷機上で過乳化になりにくい優れた乳化適性とを有するインキを作る事ができる。
【0053】
本発明のアゾレーキ顔料を含む顔料水ペーストは、樹脂を含む印刷用インキビヒクルとフラッシュニーダーや押し出し機、連続式混練機等の混練機で混練されて平版印刷用インキに使用することができる。詳しくは、アゾレーキ顔料を含有する顔料水ペーストと前記ビヒクルとを混練して、アゾレーキ顔料を前記ビヒクルに移行させて水を遊離、除去した後、アゾレーキ顔料とビヒクルとからなる混合物に残存する水を減圧脱水により取り除いて平版印刷用インキが生産できる。
【0054】
尚、本発明アゾレーキ顔料を含む顔料水ペーストを用いて平版印刷用インキを調製するに当たっては、この顔料水ペーストに必要に応じて、第一〜三級の各種有機アミンを添加することができる。
【0055】
一方、本発明のアゾレーキ顔料を含むパウダー顔料は、印刷用インキビヒクルとフラッシュニーダーや、三本ロール、二本ロール、押し出し機、連続式混練機等の混練機で混練されて平版印刷用インキに使用することができる。
【0056】
平版印刷用インキに使用するビヒクルは、ロジン変成フェノール樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂等の樹脂と、アマニ油、桐油、大豆油等の植物油と、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマティック、ナフテン、α−オレフィン等の石油系溶剤からなるものが使用できる。
【0057】
しかしながら、地球環境問題への関心の高まり、すなわち、石油に依存しない社会の構築を目指すとの観点および、生物分解性の高い物質を使用し生物濃縮や環境残留期間が短い物質を選択するとの観点から、平版印刷用インキに使用するビヒクルには、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマティック、ナフテン、α−オレフィン等の石油系溶剤を使用する事が避けられつつある。したがって、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマティック、ナフテン、α−オレフィン等の石油系溶剤を含む事なく、ロジン変成フェノール樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂等の樹脂と、植物油、特に大豆油とからなる平版印刷用インキ用ビヒクルを使用する事が好ましい。
【0058】
尚、平版印刷を行う際には、さらに乾燥剤(ドライヤー)を含めて着色硬化皮膜を得ることが出来る。この際のドライヤーとしては、公知慣用のもの、例えばナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン等の金属石鹸を用いることが出来る。一方、ビヒクルとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの様な一官能単量体やジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの様な多官能単量体を用い、光重合開始剤を併用することによって、紫外線硬化型とすることも出来る。尚、平版印刷用インキには、更に各種ワックス、皮張り防止剤等を添加することも出来る。
【0059】
本発明のアゾレーキ顔料の製造方法は、以下に説明する機構に基づきフラッシング性が向上すると考えられる。
【0060】
即ち、その製造プロセスの面から、アゾレーキ顔料の疎水性を高くする効果があるロジン類の多価金属塩が、反応に用いる液媒体中で、不溶性または難溶性の微細な粒子として析出するため、アゾレーキ顔料の表面を効率的に覆う事ができる。
【0061】
また、アゾレーキ顔料の疎水性を高くする効果があるロジン類の多価金属塩が、ジアゾカップリング反応直後の凝集状態にないアゾ染料と接触するため、アゾ染料とロジン類の多価金属塩との分布が均一となる。このため、レーキ化工程において、ロジン類の多価金属塩がアゾレーキ顔料の表面を効率的に覆う事ができる。しかも、ロジン類の多価金属塩の大部分がアゾレーキ顔料に強固に吸着している結果、単なるフリーのロジン類の多価金属塩の粒子の含有率は少なくなるので、アゾレーキ顔料の顔料表面の疎水性を高くする効果を妨げない。したがって、平版印刷用インキ調製時、例えばフラッシング工程において、ロジン類の多価金属塩を添加してもフラッシング性を改良することはできない。
【0062】
本発明のアゾレーキ顔料は、顔料水ペーストまたはパウダー顔料として使用すると、ロジン類の多価金属塩による表面処理が効率よくなされているので、凝集性が小さく、乳化量の上昇を招くような表面処理剤を添加する必要がない。また、乳化量が少ないゆえ印刷機上で過乳化となりにくい。更に、フラッシング法により、顔料を容易に分散でき、着色力の高い平版印刷用インキを得る事ができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。以下、特に断りがない限り、すべての温度は摂氏で、「部」および「%」は質量基準とする。
【0064】
実施例1
4−アミノトルエン−3−スルホン酸20部を水300部に分散後、20%塩酸22部を加え、氷を加えて、0℃に保ちながら30%亜硝酸ソーダ水溶液25.1部を滴下し、ジアゾニウム塩懸濁液を得た。
不均化ロジンのカリウム塩溶液(不均化ロジンとしての純分25%)28.5部(アゾレーキ顔料に対し約14重量%相当量)を水500部に添加した。攪拌状態にある不均化ロジンのカリウム塩の希釈液に、塩化カルシウム(純分72%)1.82部を含む水溶液を添加し、不均化ロジンのカルシウム塩を含有する懸濁液を得た。この塩の平均粒径は、8μmであった(懸濁液A)。
2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸20.6部を60℃の温水380部に分散後、48%苛性ソーダ水溶液20.1部を加えてカップラー溶液を得た。
不均化ロジンのカルシウム塩を含有する懸濁液(懸濁液A)にカップラー溶液を添加し、カップラー液(カップラー成分)とした。
カップラー液(カップラー成分)を0℃まで冷却後、攪拌しながら上記ジアゾニウム塩懸濁液を30分間かけて滴下した。0〜3℃で60分間攪拌してカップリング反応を終了させ、染料懸濁液を得た。
塩化カルシウム(純分72%)20.18部を水90部に溶解した水溶液を加え、60分間攪拌してレーキ化を終了させた。レーキ化反応終了後、30℃で60分間加熱しつつ攪拌し、不均化ロジンのカルシウム塩処理されたカルシウム(以下、Ca)レーキアゾ顔料(C.I.ピグメントレッド57:1)の水中懸濁液を得た。その後、60℃まで加熱し、60分間攪拌した。塩酸にてpHを7.6に調整後、濾過、水洗、圧搾して、含水率65%の顔料水ペースト1を得た。
【0065】
比較例1
4−アミノトルエン−3−スルホン酸20部を水300部に分散後、20%塩酸22部を加え、氷を加えて、0℃に保ちながら30%亜硝酸ソーダ水溶液25.1部を滴下し、ジアゾニウム塩懸濁液を得た。
2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸20.6部を60℃の温水880部に分散後、48%苛性ソーダ水溶液20.1部を加えてカップラー溶液を得た。
カップラー溶液を0℃まで冷却後、攪拌しながら上記ジアゾニウム塩懸濁液を30分間かけて滴下した。0〜3℃で60分間攪拌してカップリング反応を終了させ、染料懸濁液を得た。
染料懸濁液に不均化ロジンのカリウム塩溶液(不均化ロジンとしての純分25%)28.5部(アゾレーキ顔料に対し約14重量%相当量)を添加し、30分間攪拌した。
塩化カルシウム(純分72%)22部を水90部に溶解した水溶液を加え、60分間攪拌してレーキ化を終了させた。レーキ化反応終了後、30℃で60分間加熱しつつ攪拌し、不均化ロジンのカリウム処理されたCaレーキアゾ顔料(C.I.ピグメントレッド57:1)の水中懸濁液を得た。その後、60℃まで加熱し、60分間攪拌した。塩酸にてpHを7.6に調整後、濾過、水洗、圧搾して、含水率66%の顔料水ペースト2を得た。
【0066】
比較例2
4−アミノトルエン−3−スルホン酸20部を水300部に分散後、20%塩酸22部を加え、氷を加えて、0℃に保ちながら30%亜硝酸ソーダ水溶液25.1部を滴下し、ジアゾニウム塩懸濁液を得た。
2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸20.6部を60℃の温水880部に分散後、48%苛性ソーダ水溶液20.1部と、不均化ロジンのカリウム塩溶液(不均化ロジンとしての純分25%)28.5部(アゾレーキ顔料に対し約14重量%相当量)を加えてカップラー溶液を得た。
カップラー溶液を0℃まで冷却後、攪拌しながら上記ジアゾニウム塩懸濁液を30分間かけて滴下した。0〜3℃で60分間攪拌してカップリング反応を終了させ、染料懸濁液を得た。
塩化カルシウム(純分72%)22部を水90部に溶解した水溶液を加え、60分間攪拌してレーキ化を終了させた。レーキ化反応終了後、30℃で60分間加熱しつつ攪拌し、不均化ロジンのカリウム塩処理されたCaレーキアゾ顔料(C.I.ピグメントレッド57:1)の水中懸濁液を得た。その後、60℃まで加熱し、60分間攪拌した。塩酸にてpHを7.6に調整後、濾過、水洗、圧搾して、含水率66%の顔料水ペースト3を得た。
【0067】
比較例3
4−アミノトルエン−3−スルホン酸20部を水300部に分散後、20%塩酸22部を加え、氷を加えて、0℃に保ちながら30%亜硝酸ソーダ水溶液25.1部を滴下し、60分攪拌後、さらに塩化カルシウム(純分72%)22部を水90部に溶解した水溶液を加え、ジアゾニウム塩懸濁液を得た。
2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸20.6部を60℃の温水880部に分散後、48%苛性ソーダ水溶液20.1部と、不均化ロジンのカリウム塩溶液(不均化ロジンとしての純分25%)28.5部(アゾレーキ顔料に対し約14重量%相当量)を加えてカップラー溶液を得た。
カップラー溶液を0℃まで冷却後、攪拌しながら上記ジアゾニウム塩懸濁液を30分間かけて滴下した。0〜3℃で60分間攪拌してカップリング反応とレーキ化反応を同時に終了させた。
反応終了後、30℃で60分間加熱しつつ攪拌し、不均化ロジンのカリウム塩処理されたCaレーキアゾ顔料(C.I.ピグメントレッド57:1)の水中懸濁液を得た。その後、60℃まで加熱し、60分間攪拌した。塩酸にてpHを7.6に調整後、濾過、水洗、圧搾して、含水率65%の顔料水ペースト4を得た。
【0068】
実施例2
実施例1において、平均粒径が8μmであった不均化ロジンのカルシウム塩を含有する懸濁液(懸濁液A)を、スラリー濃度約1.5%、流量8L/h、内温30℃、内圧1Bar、ビーズ充填率90%、パス回数1回の分散条件でダイノーミル(KDL−Special型)に通して、平均粒径が0.9μmに微細化した不均化ロジンのカルシウム塩を含有する懸濁液(懸濁液B)を使用すること以外は、実施例1と同様にして、含水率67%の顔料水ペースト5を得た。
【0069】
(インキ試験1)
実施例1、比較例1、比較例2、比較例3、実施例2で得られた顔料の平版印刷用インキ試験を実施した。
平版印刷用インキ用ビヒクル(ロジン変性フェノール樹脂を含有し、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマティック、ナフテン、α−オレフィン等の石油系溶剤を含有しない液媒体)200部と、90℃での乾燥固形分100部相当の顔料水ペーストを1Lフラッシャーに仕込み、1Lフラッシャーを稼働し、60℃でフラッシングを行った。
顔料水ペーストを1Lニーダーに仕込み、1Lニーダーを稼働し始めてから、顔料水ペースト中より透明なフラッシング排水が遊離するまでの時間をフラッシング時間として記録した。このフラッシング時間が短い顔料水ペーストをフラッシング性が優れた顔料水ペーストであると判定する。
生じたフラッシング排水を除去した後、100℃、70mmHgで1時間の減圧加熱脱水を実施した。室温まで冷却後、ビヒクル84.6部を添加して平版印刷インキ用ベースインキを作製した。
さらに、3本ロールを使用して、このベースインキ66部をビヒクル34部とともに練肉分散し、模擬平版印刷用インキ(ドライヤーを含める前の平版印刷用インキ)を調整した。
【0070】
(フラッシング時間の計測1)
実施例1、比較例1、比較例2、比較例3、実施例2で得られた顔料を使用して平版印刷用インキ用ベースインキを作製する際のフラッシング時間を表1に示す。
【0071】
(乳化試験)
前記模擬平版印刷用インキを用いて乳化試験を行った。試験法としては、平版インキ50部と蒸留水50部とをデューク乳化試験機(Duke乳化試験機:INK-WATER EMULSIFICATION TESTER ,DUKE CUSTOM SYSTEMS INC. MODEL D-10)に仕込み、混合した。混合開始15分後、乳化せずに遊離している水の量を測定し、乳化した水の量を計算した。
乳化した水の量が少ない平版印刷用インキを与える顔料水ペーストを、乳化適性が優れた顔料水ペーストであると判定する。
【0072】
(インキ評価結果1)
実施例1、比較例1、比較例2、比較例3、実施例2で得られた顔料を使用して作製した、前記模擬平版印刷用インキを用いて、乳化量の測定を行った。表1に試験結果を示す。
【0073】
【表1】
表 1
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、ロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液と芳香族アミンのジアゾニウム塩成分を含む懸濁液とを、直接接触させるか、或いは又、水に注入してカップリング反応を行い、更にレーキ化を行う事により、従来のロジン類処理方法に比べて、アゾレーキ顔料の顔料表面の疎水性を高くする事ができ、平版印刷用インキ調製時のフラッシング性向上と、低乳化量ゆえ印刷機上で過乳化となりにくい優れた乳化適性とを有する平版印刷用インキを提供できるアゾレーキ顔料の製造方法を提供する。
Claims (3)
- ロジン類の多価金属塩とフェノール類又はナフトール類を含有する水性懸濁液と芳香族アミン類のジアゾニウム塩成分を含む懸濁液とを、直接接触させてカップリング反応を行い、更にレーキ化を行う事を特徴とするロジン類の多価金属塩処理アゾレーキ顔料の製造方法。
- ロジン類の多価金属塩が、ロジン類のカルシウム塩である請求項1記載の製造方法。
- アゾレーキ顔料が、C.I.Pigment Red 57:1である請求項1または2のいずれか記載の製造方法。
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