JP4795592B2 - ポリマー容器およびフィルムのガスバリア特性を改善するための方法および組成物 - Google Patents

ポリマー容器およびフィルムのガスバリア特性を改善するための方法および組成物 Download PDF

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Description

【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、1999年8月12日に出願した米国特許仮出願出願番号60/148,537号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、ポリマー容器およびフィルムの、および特に熱可塑性ポリエステルポリマーから成形される食品および飲料用の容器のガスバリア性能を改良するためのポリマー組成物および方法である。より具体的には、本発明は、容器、シートまたはフィルムを形成するポリマー中に、本明細書に記載される種類のバリア向上添加剤の有効量を組み込むことにより、成形されたポリマー容器、シートおよびフィルムを通したガスの透過度を減少させるためのポリマー組成物および方法である。
【0003】
ベースポリマーに対する少量の分子状添加剤の添加は、ポリマーの逆可塑化をもたらし、それによって、そのガラス転移温度未満においてポリマーの弾性率を増大させ、ガス透過度に対するそのバリアを改善することができる。たとえば、Robesonは、ポリスルホン中のフェニル−2−ナフチルアミンの使用[Robeson, L. M.; Faucher, J. A., J. Polym. Sci., Part B 7, 35-40(1969)]、並びにポリカーボネート中およびポリ塩化ビニル中の種々のポリ塩素化された芳香族分子の使用[Robeson, L. M., Polym. Eng. Sci., 9, 277-81(1969)]を記載している。MaedaおよびPaulは、二酸化炭素の収着(およびしたがってその透過度)を低下させるためのポリフェニレンオキシド中のトリクレジルホスフェートの使用を開示している[Maeda, Y.; Paul, D. R., J. Polym. Sci., Part B: Polym. Phys. 25, 981-1003(1987)]。しかし、食品および飲料用に用いられる成形容器に現在用いられる種類のポリマー樹脂、および特に水、炭酸入清涼飲料およびビールを包装するのに用いられる射出延伸吹込成形される瓶を製造するのに用いられるポリ(エチレン)テレフタレート熱可塑性ポリエステルポリマーのガスバリア性能を改善する要求が存在する。本明細書に記載される種類の4−ヒドロキシベンゾエート類および関連する分子から選択される添加剤は、示唆されていない。
【0004】
(発明の概要)
本発明および本明細書に記載される本発明の特徴は、熱可塑性ポリマー用のある種のバリア向上添加剤の発見にある。本発明は、1つまたは複数の添加剤を含有するポリマー組成物、並びに、そのような組成物から製造される成形ポリマー製品のガス透過度を減少させる方法に関し、該製品は、一般的に容器、シートおよびフィルムから選択される。
【0005】
本方法は、
(a)式(A)(式中RはC1〜C8アルキル、ベンジル、フェニルまたはナフチルであり、Arは置換または無置換のフェニレンまたはナフチレンである);または式(AA)(式中、Mはナトリウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、または亜鉛(それらに限定されるものではない)のようなカチオンである)を有するヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸のモノエステル類と、
【0006】
【化11】
Figure 0004795592
【0007】
(b)式(B)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR1はC1〜C8アルキル、(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、ベンジル、フェニルまたはナフチルである)または式(BB)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のジエステル類と、
【0008】
【化12】
Figure 0004795592
【0009】
(c)式(C)(式中、RおよびArは上記で定義されるものである)または式(CC)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸のモノアミド類と、
【0010】
【化13】
Figure 0004795592
【0011】
(d)式(D)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR2はC1〜C8アルキル、(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、ベンジル、フェニルまたはナフチルである)または式(DD)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のジアミド類と、
【0012】
【化14】
Figure 0004795592
【0013】
(e)式(E)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR3はC1〜C8アルキル、C1〜C8ジアルキル(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、ベンジル、フェニルまたはナフチルである)または式(EE)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のエステルアミド類と
【0014】
【化15】
Figure 0004795592
【0015】
からなる群から選択される、有効量のバリア向上添加剤またはバリア向上添加剤の混合物をポリマー中に組み込むことを含む。本明細書において用いられる際に、有効量、すなわちバリア向上添加剤の好ましい範囲は、ポリマー製品を構成するベースポリマーの0.1質量%から20質量%までである。
【0016】
本明細書中に記載される1つまたは複数のバリア向上添加剤を含有するポリマー製品、および特に押出成形されるフィルムまたは射出延伸吹込成形されるポリエステル(たとえば、PET)ボトルは、バリア向上添加剤を含有しない対応するポリマー性品との比較において、ASTM D3985に従って測定される際に著しく減少した酸素および二酸化炭素透過度、並びにASTM F1249にしたがって測定される際に著しく減少した水蒸気透過度を示す。
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明は、製品を形成するベースポリマーに約0.1質量%から約20質量%までの本明細書中に記載される種類のバリア向上添加剤を組み込むことにより、成形ポリマー容器およびフィルムの酸素、水蒸気および二酸化炭素(CO2)透過度値を著しく減少させることができることの発見にある。
【0018】
均一な物理的配合物、すなわち混合物は、ベースポリマーと、望ましい濃度の1つまたは複数のバリア向上添加剤とを含んで調製される。本発明に関して本明細書で用いられる際に、術語「組成物」が物理的配合物すなわち混合物を意味することを意図している。たとえばポリエステルのような水感受性ベースポリマーは、好ましくは、当業者に知られているように空気または窒素気流下または減圧下で加熱することにより徹底的に乾燥されるべきである。次に、混合物を加熱し、そしてベースポリマーを溶融させ、およびベースポリマーマトリクス内部の添加剤または添加剤の混合物の充分な混合を提供するのに充分な高温において押出または成形される。PETを用いる例としては、そのような溶融温度は255℃から300℃までの範囲で変動する。そのように製造される組成物は、実質的にその(それらの)本来の分子状形態にあるバリア向上添加剤(またはそのような添加剤の混合物)を含む;すなわち、少量のバリア向上添加剤のみが、エステル交換または存在する官能基に典型的な他の反応機構により、ベースポリマーと反応することが観察された。比較的低い温度および比較的短い加工滞留時間を有する条件下でポリマー組成物を調製および押出または成形し、それによってバリア向上添加剤がベースポリマーと反応する機会を最小限にすることが好ましい。本発明にしたがって製造されるポリマー容器およびフィルムの望ましい機械的特性に関する最高の性能は、約10%以下のガスバリア向上添加剤がベースポリマーと反応したときに達成される。ベースポリマーと本発明の範囲内のガスバリア向上添加剤の任意の反応の結果として、出発物のベースポリマーの分子量が減少する可能性がある。
【0019】
本発明を実施するために最も適当であることが見いだされたガスバリア向上添加剤は、
(a)式(A)(式中RはC1〜C8アルキル、ベンジル、フェニルまたはナフチルであり、Arは置換または無置換のフェニレンまたはナフチレンである);または式(AA)(式中、Mはナトリウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、または亜鉛(それらに限定されるものではない)のようなカチオンである)を有するヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸のモノエステル類と、
【0020】
【化16】
Figure 0004795592
【0021】
(b)式(B)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR1はC1〜C8アルキル、(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、ベンジル、フェニルまたはナフチルである)または式(BB)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のジエステル類と、
【0022】
【化17】
Figure 0004795592
【0023】
(c)式(C)(式中、RおよびArは上記で定義されるものである)または式(CC)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸のモノアミド類と、
【0024】
【化18】
Figure 0004795592
【0025】
(d)式(D)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR2はC1〜C8アルキル、(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、ベンジル、フェニルまたはナフチルである)または式(DD)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のジアミド類と、
【0026】
【化19】
Figure 0004795592
【0027】
(e)式(E)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR3はC1〜C8アルキル、C1〜C8ジアルキル(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、ベンジル、フェニルまたはナフチルである)または式(EE)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のエステルアミド類と
【0028】
【化20】
Figure 0004795592
【0029】
からなる群から選択される。
【0030】
上記で定義されるバリア向上添加剤は、商業的供給業者から入手することもできるし、あるいは確立された手順を用いてそれらを合成することもできる。
【0031】
本発明を実施する際に用いるのに最も適当なベースポリマーは、熱可塑性ホモポリマー、コポリマー(ブロックおよびランダムの双方)、およびそれら熱可塑性ポリマーの混合物を含む。最も適当なものは、ポリエステルホモポリマーおよびコポリマーである。適当なポリエステルベースポリマーの中でも、1つまたは複数の有機二酸(またはそれらの対応するエステル類)および1つまたは複数のジオール類とから誘導される構造単位を含有するようなポリマーである。該有機二酸(またはそれらの対応するエステル類)は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸類、ヒドロキシ安息香酸類、ヒドロキシナフトエ酸類、シクロヘキサンジカルボン酸類、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、およびたとえばそれらジカルボン酸のジメチル、ジエチルもしくはジプロピルエステル類または酸塩化物類のようなそれらの誘導体からなる群から選択される。該ジオール類は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ナフタレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ヒドロキノン、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、レゾルシノール、およびアルキレンオキシドとジオール類またはポリオール類の反応生成物であるより長鎖のジオール類およびポリオール類からなる群から選択される。
【0032】
本発明の好ましい実施形態において、ポリエステルベースポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、それは、約2モル%から約5モル%までのイソフタレート単位で修飾されたPETポリマーを含む。そのように修飾されたPETは、「ボトルグレード」樹脂として知られ、およびMelinar(登録商標)Laser+ポリエチレンテレフタレートブランドの樹脂(E. I. du Pont de Nemours and Company, Wilmington, DE)として商業的に入手可能である。本発明を説明するのにこれ以後用いられる際には、術語PETは商業的に入手可能な「ボトルグレード」ポリエステル樹脂を意味する。
【0033】
(フィルムおよび容器の試料の調製)
フィルム試料は、本発明から得ることが可能な改善されたガスバリア特性を示す。そのようなフィルム試料は、ベースポリマーと前述されたものの中から選択される添加剤との物理的配合物から生成され、および該試料は、圧縮成形されるか、あるいは典型的には0.38mmのギャップを有するスリットダイ、急冷ロールおよび減圧ポートを前部バレルセクション上に有し、用いられるポリマー組成に依存してバレル、アダプタおよびダイの温度が240℃〜275℃に設定される共回転型2軸スクリュー押出機を用いて押出し注型された。2軸スクリュー押出機を用いて調製される試料に関して、熱電対を用いて溶融温度を測定した。溶融温度は、典型的には設定温度より約15℃〜20℃高い温度であった。言及されるようにいくつかの例において、配合スクリューに代えてライン内に静止ミキサーが取り付けられる移送ラインを、スリットダイと共に用いてもよい。フィルムは、典型的には厚さ0.05〜0.25mmであった。引き続いて、厚いフィルムを、別に記載がない限り90℃、9000%/分において、Long延伸機を用いて、3.5倍×3.5倍まで同時に2軸延伸した。
【0034】
ボトルを作製するために、約265℃に設定されるバレル温度および約30秒の全サイクルタイムを有するNissei ASB 50単一ステージ射出延伸吹込成形機を用いて、26gの予成形品を射出成形した。予成形品は、5秒の吹き込み時間を用いて、直ちに500mLの円形の底が付いたボトルへと膨らまされた。全ての他の圧力、時間および温度設定点は、商業的に入手可能なPETボトル樹脂に関して典型的なものであった。
【0035】
以下の機械設定を有する6オンス射出成形機を用いて、厚さ1/8インチの引張試験片を成形した:バレル温度:255℃、型温度:20℃/20℃、サイクルタイム:20秒/20秒、射出圧力:5.5MPa、RAM速度:高速、スクリュー速度:60rpm、および背圧:345kPa。
【0036】
(分析手順)
(NMR分光分析)
1H NMRのための試料は、130℃のテトラクロロエタン−d2中に溶解させた。スペクトルは、500MHzにおいて、120℃で得た。
【0037】
(熱分析)
示差走査熱分析のデータを、TA Instrument熱量計で2゜/分にて得た。
【0038】
(透過度)
酸素透過度値(OPV)は、それぞれの試料に関して、ASTM手順D3985に従い、30℃、50%RHにて、Modern Controls, Inc製Ox-Tran1000装置にて測定した。二酸化炭素透過度は、25℃および0%RHにおいて、同じくModern Controls, Inc製Permatran CIV装置にて測定した。水蒸気透過度は、37℃〜38℃、100%RHにおいて、同じくModern Controls, Inc製Permatran-W600装置にて、ASTM手順F1249にしたがって測定した。
【0039】
(固有粘度)
20℃において、塩化メチレンおよびトリフルオロ酢酸の1:1(重量による)混合物中ポリマーまたはポリマー配合物の0.4質量%溶液から、固有粘度値を測定した。
【0040】
(実施例)
(実施例1)
バリア添加剤に加えて、ベースポリマーとして商業的に入手可能なPET樹脂(Melinar(登録商標)Laser+PETブランドの樹脂)を含むフィルムを、以下のような種々の方法により調製し:溶融圧縮(M)、スリットダイを通した押出配合(E)、およびスリットダイ中への移送ライン混合(T)、および以下の表中に示した。組成を第1表中に示す。押出後に、フィルムを、90℃および9000%/分の速度において3.5倍×3.5倍まで同時2軸延伸した。酸素透過度値(OPV)を、30℃、50%相対湿度においてASTM手順D3985に従って測定した。樹脂中の添加剤の質量%を、NMRにて分析した:そのような分析が可能でない場合には、公称値(すなわち樹脂中に当初混合される量)を記載した。それぞれの場合において、非延伸のフィルムおよび延伸フィルムの両方において、本発明にしたがうバリア向上添加剤を含有したフィルムにおいて、OPVは典型的なPET値(対照値、第1表)よりも低かった。OPVの単位は、cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧である。
【0041】
【表1】
Figure 0004795592
【0042】
* 調製方法:E=押出配合され、次にスリットダイを通した押出によりフィルムを作製する;M=溶融圧縮されたフィルム;T=静止ミキサーを有する移送ライン、次にスリットダイを通した押出によりフィルムを作製する。
** 非延伸のPETフィルムに関して、対照OPVは7つの異なる試料の値の平均であり、それぞれ2回実施し、標準偏差は0.49である。延伸フィルムについて、対照OPVは27個の異なる試料の値の平均であり、それぞれ2回実施し、標準偏差は0.41である。
【0043】
(実施例2)
ゼロまたは公称値2質量%の4−ヒドロキシ安息香酸メチルのナトリウム塩を含有する商業的に入手可能なPET樹脂(Melinar(登録商標)Laser+ブランドPET樹脂)から、2軸スクリュー押出機を用いてフィルムを調製した。注型されたままのフィルムおよび2軸延伸されたフィルムの両方に関して、実施例1と同様に酸素透過度を測定した。フィルムは、9000%/分、100℃において3.5倍×3.5倍まで延伸された。添加剤のない延伸PETフィルムに関する6.56に対して、添加剤を含有し、延伸された延伸フィルムのOPVは、5.18cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧であった:したがって、添加剤は、酸素バリア性能に関して26.6%の改善を生じさせた。
【0044】
(実施例3)
ゼロおよび公称値3質量%の4−ヒドロキシ安息香酸メチル('MHB')を含有するポリ(プロピレンテレフタレート)('3GT')フィルムを、2軸スクリュー押出機および240℃のバレル設定を用いて調製した。MHBを含有しないおよび公称値3質量%のMHBを含有するフィルムを、それぞれ55℃および53℃において3倍×3倍に延伸した。MHBを含有する3GTフィルムの酸素透過度値は、注型されたままのフィルムにおいて8.56および延伸フィルムにおいて5.30の3GT対照OPV値に対して、注型フィルムにおいて4.72cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧、および延伸フィルムにおいて3.59cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧であった。注型されたままのフィルムに関して3.50および延伸フィルムに関して2.24の3GT対照値に対して、MHBを含有する注型されたままのフィルムに関して38℃における水蒸気透過度は、2.22g-ミル/100平方インチ−24時間であり、および延伸フィルムに関して1.95g-ミル/100平方インチ−24時間であった。
【0045】
(実施例4)
245℃における2軸スクリュー押出しにより、PET(IV 0.86)とMHBの配合物を調製した。濃厚物である得られる配向物は、0.86dL/gのIVを有し、およびNMR分析により6.9%のMHBを含有した。該配合物を減圧下100℃において終夜にわたって乾燥し、そして標準的な市販PETボトル樹脂(IV 0.83dL/g、150℃において6時間にわたり乾燥される)と組み合わせた。次に、26gの試料予成形品を、約265℃のバレル温度およびおよそ30秒の全サイクルタイムを用いるNissei ASB 50単一ステージ射出延伸吹込成形機を用いて射出成形した。5秒の吹き込み時間を用いて、予成形品は直ちに500mLの円形の底が付いたボトルへと膨らまされた。全ての他の圧力、時間および温度設定点は、商業的に入手可能なPETボトル樹脂に関して典型的なものであった。標準的PETボトル樹脂(IV 0.83dL/g、150℃において6時間にわたり乾燥される)のみから作製されるボトルの対照群を、同一の条件下で調製した。1.97質量%の4−ヒドロキシ安息香酸メチル('MHB')を含有するボトルから切り出されるパネルの酸素透過度値は、対照PETボトルのパネルの5.73に対して、3.69cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧であると測定された。二酸化炭素透過度値は、MHBを有するボトルに関して9.65cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧であり、対照パネルに関して14.62であった。
【0046】
(実施例5)
4質量%のMXD-6 6007ナイロン(Mitsubishi Gas Chemical Corp.)および公称値3質量%のMHBを含有する商業的に入手可能なPETのフィルムを、PET対照フィルムと共に押出した。実施例1におけるように、それらフィルムを3.5倍×3.5倍に2軸延伸した。それら添加剤を含有するフィルムのOPVは、7.14の対照フィルムのOPVに対して、2.59cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧であった。
【0047】
(実施例6)
触媒であるブチルスタナン酸を有するHBAとエチレングリコールの化学量論量混合物の反応により、p−ヒドロキシ安息香酸('HBA')のジエステル(R1=CH2CH2である式Bに相当する)を合成した。0および4.55質量%のこのジエステルを含有するPETフィルムを、実施例1におけるように、押出しそして次に延伸した。ジエステルを含有するフィルムのOPVは、3.93cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧であり、およびジエステルを持たないPETフィルムのOPVは、7.32cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧であった。
【0048】
(実施例7)
ベンジルアミンとMHBの反応により、HBAのベンズアミド(R=フェニルである式Cに相当する)を合成した。公称値3質量%のこのベンズアミドを含有し、および実施例1におけるように延伸された、押出されたPETフィルムは、6.94のOPVを有するPET対照フィルムに対して、5.00cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧のOPVを示した。
【0049】
(実施例8)
エチレンジアミンと4−アセトキシベンゾイルクロリドの反応および引き続くアセテート基の塩基性加水分解により、HBAのジアミド(R1=CH2CH2である式Dに相当する)を合成した。公称値3質量%のこのジアミドを含有し、よび実施例1におけるように延伸された、押出されたPETフィルムは、5.46cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧のOPVを示し、一方、PET対照フィルムは、7.79のOPVを示した。
【0050】
(実施例9)
ジフェニルエーテル中、触媒であるブチルスタナン酸を有するHBAとトリエチレングリコールとの化学量論量混合物から、HBAとトリエチレングリコールとのジエステルを合成した。6.49質量%(NMRにより測定される)のこのジエステルを含有するPETフィルムを、実施例1におけるように押出および延伸した。このフィルムのOPVは4.0cc-ミル/100平方インチ−24時間−気圧であり、一方、PET対照フィルムは7.04のOPVを示した。
【0051】
(実施例10)
97質量%の乾燥PET樹脂(Melinar(登録商標)Laser+ブランドPET樹脂)と3質量%の4−ヒドロキシ安息香酸メチルとの配合物を、徹底的に混合し、および6オンス射出成形機のホッパに加えた。以下の機械セットアップを用いて、標準的な厚さ1/8インチの引張試験片を成形した:バレル温度255℃、型温度:20℃/20℃、サイクルタイム:20秒/20秒、射出圧:5.5MPa、RAM速度:高速、スクリュー速度:60rpm、および背圧:345kPa。19℃の1:1 TFA:CH2Cl2中0.4%溶液を用いて、それら試験片の中央から切り出された部分における、固有粘度を測定した。0.73dL/gのI.V.を有する同一条件下で成形された対照PET樹脂試料に対して、I.V.は0.73dL/gであった。
【0052】
対照的に、1.97質量%のMHBを含有し、および予備配合されたMHB/PET濃厚物から調製される実施例4のボトルのI.V.は0.464dL/gであり、対照PETボトルのI.V.は0.76dL/gであった。本実施例は、適切な加工条件の選択により、ポリマー組成物の分子量(I.V.により立証される)の劣化を回避できることを例示する。
【0053】
(実施例11)
0〜3.46質量%のMHBを含有するLaser+ PETフィルムを、押出し配合により調製した。これらの内2つを、実施例1におけるように2軸延伸した。38℃、100%相対湿度における水蒸気透過度(g-ミル/100平方インチ−24時間)を、以下の表にまとめる。
【0054】
【表2】
Figure 0004795592
【0055】
(実施例12)
0または公称値5質量%のp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピル(PHB)を含有するLexan(登録商標)134rポリカーボネート、Ultem(登録商標)1000ポリエーテルイミド(両方ともGeneral Electricにより製造される)、およびRadel(登録商標)ポリエーテルスルホン(Boedeker Plastics, Inc.により製造される)を、それぞれ260℃、270℃および270℃において溶融圧縮した。30℃における酸素透過度(OPV)を以下の表にまとめる。
【0056】
【表3】
Figure 0004795592
【0057】
(実施例13)
0〜3.85%のMHBを含有する、米国特許第5,959,066号にしたがって調製される組成が7.4%ポリ(イソソルビドテレフタレート)−co−92.6%ポリ(エチレンテレフタレート)の共重合体のフィルムを、押出し配合により調製し、次に90℃(0%MHBについては95℃)、9000%/分において3.5倍×3.5倍に2軸延伸した。酸素透過度を以下の表にまとめる。
【0058】
【表4】
Figure 0004795592

Claims (5)

  1. ポリマー容器、シートまたはフィルムのガス透過度を減少させる方法であって、前記容器、シートまたはフィルムを形成するポリマー中にバリア向上添加剤またはバリア向上添加剤の混合物を組み込む工程を備え、該工程は、最初に前記ポリマーと1つまたは複数のバリア向上添加剤との物理的混合物を形成し、該混合物を、該ポリマーが溶融するのに十分な高温であり、かつ該添加物が実質的に本来の分子状形態を維持するのに十分な低さである温度に加熱し、容器、シートまたはフィルムを形成することによって実施され、
    該ポリマーは、熱可塑性ポリエステルホモポリマー、熱可塑性ポリエステルランダムまたはブロックコポリマー、および前記ホモポリマーおよび前記コポリマーの配合物からなる群から選択され、
    前記バリア向上添加物またはバリア向上添加剤の混合物は、前記ポリマーとバリア向上添加剤またはバリア向上添加剤の混合物との総重量の0.1〜20重量%の範囲内の総濃度で存在し、
    前記バリア向上添加剤またはバリア向上添加剤の混合物は、
    (a)式(A)(式中RはC1〜C8アルキル、ベンジル、フェニルまたはナフチルであり、Arは置換または無置換のフェニレンまたはナフチレンである);または式(AA)(式中、Mはナトリウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、および亜鉛からなる群から選択されるカチオンである)を有するヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸のモノエステル類と、
    Figure 0004795592
    (b)式(B)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR1はC1〜C8 アルキレン、(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、メチレンフェニレン、フェニレンまたはナフチレンである)または式(BB)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のジエステル類と、
    Figure 0004795592
    (c)式(C)(式中、RおよびArは上記で定義されるものである)または式(CC)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸のモノアミド類と、
    Figure 0004795592
    (d)式(D)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR2はC1〜C8 アルキレン、(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、メチレンフェニレン、フェニレンまたはナフチレンである)または式(DD)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のジアミド類と、
    Figure 0004795592
    (e)式(E)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR3はC1〜C8 アルキレン、(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、メチレンフェニレンフェニレンまたはナフチレンである)または式(EE)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のエステルアミド類と
    Figure 0004795592
    からなる群から選択されることを特徴とするポリマー容器、シートまたはフィルムのガス透過度を減少させる方法。
  2. (1)熱可塑性ポリエステルホモポリマー、熱可塑性ポリエステルランダムもしくはブロックコポリマー、上記ホモポリマーおよびコポリマーの配合物または配合物類、ポリカーボネート類、ポリエーテルイミド類、およびポリエーテルスルホン類から選択されるベースポリマーと、(2)バリア向上添加剤またはバリア向上添加剤の混合物とを含むポリマー組成物であって、
    前記バリア向上添加物またはバリア向上添加剤の混合物は、前記ポリマー組成物中に、前記ポリマー組成物の0.1〜20重量%の範囲内の総濃度で存在し、
    前記バリア向上添加物またはバリア向上添加剤の混合物は、
    (a)式(AA)(式中RはC1〜C8アルキル、ベンジル、フェニルまたはナフチルであり、Arは置換または無置換のフェニレンまたはナフチレンであり、Mはナトリウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、および亜鉛からなる群から選択されるカチオンである)を有するヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸のモノエステル類と、
    Figure 0004795592
    (b)式(B)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR1はC1〜C8 アルキレン、(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、メチレンフェニレンフェニレンまたはナフチレンである)または式(BB)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のジエステル類と、
    Figure 0004795592
    (c)式(C)(式中、RおよびArは上記で定義されるものである)または式(CC)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸のモノアミド類と、
    Figure 0004795592
    (d)式(D)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR2はC1〜C8アルキル、(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、ベンジル、フェニルまたはナフチルである)または式(DD)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のジアミド類と、
    Figure 0004795592
    (e)式(E)(式中、Arは上記で定義されるものであり、およびR3はC1〜C8 アルキレン、(CH2CH2O)kCH2CH2(kは1以上)、メチレンフェニレンフェニレンまたはナフチレンである)または式(EE)(式中、Mは上記で定義されるものである)を有するヒドロキシ安息香酸のエステルアミド類と
    Figure 0004795592
    からなる群から選択されることを特徴とするポリマー組成物。
  3. ポリエステルホモポリマーまたはコポリマーは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸およびそれらジカルボン酸のジメチル、ジエチルまたはジプロピルエステルまたは酸塩化物であるそれらの誘導体からなる群から選択される1つまたは複数の有機二酸またはそれらの対応するエステル類と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ナフタレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ヒドロキノン、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、レゾルシノール、およびアルキレンオキシドとジオールまたはポリオールの反応生成物である長鎖ジオールおよびポリオールからなる群から選択される1つまたは複数のジオールとから誘導される構造単位を含有することを特徴とする請求項2に記載のポリマー組成物。
  4. 該ポリエステルホモポリマーまたはコポリマーは、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項3に記載のポリマー組成物。
  5. 請求項2に記載の組成物から形成されるシート、フィルムまたは容器であることを特徴とする工業製品。
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