JP4795556B2 - 二次電池負極用バインダー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はニッケル水素二次電池負極用バインダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
ニッケル水素二次電池は同一サイズのニッケルカドミウム二次電池と比較して、カドミウムを使用しない点で環境にクリーンであり、さらに放電容量が大きく電子機器をより長時間駆動させることが可能な優れた特徴を有している。またニッケル水素二次電池はリチウムイオン二次電池と比較した場合は、重量エネルギー密度では劣るものの、体積エネルギー密度はほぼ同等であり、安価に供給されることから、近年の小型携帯電子機器等の駆動電源として重要性が増している。
【0003】
ニッケル水素二次電池はニッケル化合物を正極活物質とした正極と、負極活物質である水素を低圧力において可逆的に吸蔵・放出することが可能な水素吸蔵合金を主とする負極から構成されている。
【0004】
このニッケル水素二次電池の負極の製造方法としては、これまで以下のものが提案されている。
(1)水素吸蔵合金粉末を導電性粉末とともに焼結して電極とする方法。
(2)水素吸蔵合金粉末をバインダーを使用せずに三次元金属多孔体に充填して電極とする方法。
(3)水素吸蔵合金粉末をバインダーによって導電性支持体に保持させて電極とする方法。
これらの方法の中で(1)の焼結方法は焼結時に水素吸蔵合金表面が酸化されて不導体化し、電極の導電率が下がり、放電電圧の低下を招くという不都合がある。また、(2)の方法は、三次元金属多孔体が高価であることに加えて、電極容量に寄与しない部分が多くなるため電池容量を十分大きく出来ないという問題がある。上述した中ではバインダーを用いる(3)の方法が、電極性能、製造作業性およびコスト面で優れた負極の製造方法である。
【0005】
バインダーを用いる(3)の方法については、はじめに所定粒径の水素吸蔵合金粉末と、所定粒径の導電剤粉末、所定量の増粘剤水溶液、バインダー、他添加剤等を加えて全体を混練して合剤スラリーを調製する。その後この合剤スラリーを導電性支持体に塗着したのち乾燥し、更に例えばロール圧延を行って所定の厚みに調整して、所定形状に裁断することにより水素吸蔵合金粉末を含む合剤を担持したニッケル水素二次電池負極(水素吸蔵合金電極)が製造されている。このなかで、バインダーは最終的な電極の性能に大きな影響を与えている。
【0006】
このバインダーについては、従来はポリフッ化ビニリデン(PVDF)をはじめとしたフッ素系のポリマーが用いられていたが、フッ素系ポリマーに替わってスチレン−ブタジエン系共重合ラテックス(以下、共重合体ラテックスという)を用いることにより、二次電池の放置中の自己放電を抑制しオープン電圧の低下が抑止される(特開平10−247492号公報)など、本分野において共重合体ラテックスは優れた性能を発揮することが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ニッケル水素二次電池の負極製造に際して水素吸蔵合金粉末をバインダーによって導電性支持体に保持させて電極を製造する場合は、水素吸蔵合金粉末を導電性支持体に強固に保持させる必要がある。共重合体ラテックスはこれまでのフッ素系ポリマーと比較して水素吸蔵合金粉末、導電剤粉末や集電体などの負極材料と優れた接着性能を示すが、近年の電池製造技術、周辺材料の進歩を鑑みると、共重合体ラテックスの更なる性能向上によるニッケル水素二次電池負極性能の向上が期待されていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の共重合体ラテックスをバインダーとして使用することにより、上記課題が解決されることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は脂肪族共役ジエン系単量体20〜60重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体30〜79重量%からなる単量体合計100重量部に対しα−メチルスチレンダイマー0.6〜3.0重量部の存在下で乳化重合して得られた共重合体ラテックスからなり、かつ該共重合体ラテックス中に残留するα−メチルスチレンダイマー量が該共重合体ラテックスの固形分に対して400〜3000ppmであることを特徴とするニッケル水素二次電池負極用バインダーを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0010】
本発明における共重合体ラテックスは、脂肪族共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体を乳化重合して得られるものである。
【0011】
脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特に1,3−ブタジエンが好ましい。
【0012】
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸(無水物)等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。
【0013】
これらと共重合可能な他の単量体としては、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられ、これらは1種または2種以上用いることができる。
【0014】
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にスチレンが好ましい。
【0015】
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましい。
【0016】
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にメチルメタクリレートが好ましい。
【0017】
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にβ−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
【0018】
不飽和カルボン酸アミド単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリルアミドが好ましい。
【0019】
さらに、上記単量体の他に、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等、通常の乳化重合において使用される単量体は何れも使用可能である。
【0020】
上記重合性単量体組成は、脂肪族共役ジエン系単量体20〜60重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体30〜79重量%からなる。
【0021】
脂肪族共役ジエン系単量体が20重量%未満では本発明の共重合体ラテックスをバインダーとして含む負極合剤ペーストを集電体に塗布した際に合剤と集電体との十分な接着性が得られず、また60重量%を超えると負極合剤ペーストを集電体に塗布して電池負極を製造した際に電極の耐電解液性が低下する問題が見られるので好ましくない。好ましくは30〜55重量%である。
【0022】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体が1重量%未満では共重合体ラテックス自身および電極組成物の安定性が劣る可能性があり、また10重量%を超えるとラテックスの粘度が高くなり、共重合体ラテックス自身の取り扱い上の問題を生じる可能性があるため好ましくない。好ましくは1〜7重量%である。
【0023】
共重合可能な他の単量体が30重量%未満では本発明の共重合体ラテックスをバインダーとして含む負極合剤ペーストを集電体に塗布して電池負極を製造した際に負極の耐電解液性が低下し、また79重量%を超えると負極合剤ペーストを集電体に塗布した際に負極合剤と集電体との接着性が劣り好ましくない。好ましくは38〜69重量%である。
【0024】
本発明で使用されるα−メチルスチレンダイマーには、異性体として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンおよび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンがあるが、本発明にて使用されるα−メチルスチレンダイマーとしては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの含有量が60重量%以上、特に80重量%以上であることが好ましい。
【0025】
また、上記単量体の乳化重合に際して存在させるα−メチルスチレンダイマーは全使用単量体100重量部に対して0.6〜3.0重量部である。0.6重量部未満では、本発明の共重合体ラテックスをバインダーとして含む負極合剤と集電体との十分な接着性が得られず、また3.0重量部を超えると本発明の共重合体ラテックスをバインダーとして含む負極合剤ペーストを集電体に塗布してニッケル水素二次電池負極を製造した際に負極の耐電解液性が低下する問題が見られるため好ましくない。
また、本発明の共重合体ラテックス中に残留するα−メチルスチレンダイマーの量は、該ラテックスの固形分に対して400〜3000ppmであることが必要である。好ましくは500〜2500ppmであり、さらに好ましくは600〜2000ppmである。α−メチルスチレンダイマーの残留量が400ppm以下では、本発明の共重合体ラテックスをバインダーとして含む負極合剤と集電体との十分な接着性が得られず、残留量が3000ppm以上では本発明の共重合体ラテックスをバインダーとして含む負極合剤ペーストを集電体に塗布して電池負極を製造した際に負極の耐電解液性が低下する問題が見られる。
なお、残留α−メチルスチレンダイマーについては、共重合体ラテックスの重合時に使用する量およびその添加方法、共重合体ラテックスの単量体組成およびその添加方法、重合温度、さらには重合後の熟成温度および熟成時間等により適宜調整することができる。
【0026】
また、本発明においてはα−メチルスチレンダイマーと共に以下の連鎖移動剤を使用することも可能である。
それらの連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。
これらの連鎖移動剤の量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0〜5重量部にて使用される。
【0027】
本発明において、共重合体ラテックスを乳化重合して得る際に、通常の乳化剤が用いられる。乳化剤としては高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が1種又は2種以上で用いられる。
また、本発明においては開始剤として、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の水溶性開始剤、レドックス系開始剤あるいは、過酸化ベンゾイル等の油溶性開始剤が使用できる。
【0028】
共重合体ラテックスの重合にあたっては、単量体ならびにその他の成分の添加方法については特に制限するものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れでも採用することができ、また、本発明においては、一段重合、二段重合又は多段階重合等何れも採用することができる。
また、上記共重合体ラテックスの数平均粒子径には特に制限はないが、好ましくは50〜250nm、さらに好ましくは70〜200nmである。
【0029】
ニッケル水素二次電池の負極製造に際して、本発明のバインダーとともに使用される水素吸蔵合金については、ニッケル水素二次電池用として用いられるものであれば特に制限無く使用可能である。水素吸蔵合金の具体例を挙げるとLaNi系合金、MmNi系合金(Mmはミッシュメタルの略)、ZrNi2系合金、TiNi系合金などである。これら水素吸蔵合金は、コスト低減、酸化防止、微粉化防止、サイクル寿命改善、耐食性向上、耐アルカリ腐食性改善、初期容量改善、ガス発生抑制、水素解離平衡圧低下、高容量化、高寿命化などを目的として主合金成分金属の一部を他金属原子へ置換、合金の表面処理などの手法とあわせて、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。水素吸蔵合金の形状としては、通常機械的に粉砕、或いは水素ガスの吸蔵・放出により微紛化した平均粒径10〜50μm程度の粉末が用いられる。
【0030】
また、ニッケル水素二次電池の負極製造に際して、本発明のバインダーとともに使用される他の導電剤、集電体、増粘剤、撥水剤、他添加剤などの合剤・負極材料についても、ニッケル水素二次電池用として用いられるものであれば特に制限無く使用可能である。
【0031】
本発明の共重合体ラテックス、水素吸蔵合金粉末、導電剤粉末、増粘剤、撥水剤、他添加剤からなる負極用合剤スラリーを集電体に塗布する方法としてはリバースロール法、コンマバー法、グラビヤ法、エアーナイフ法など任意のコーターヘッドを用いることができ、また乾燥方法としては放置乾燥や、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できる。
【0032】
さらに、本発明のバインダーを用いて作った負極を用いてニッケル水素二次電池を製造する際に使用される正極活物質、正極用バインダー、集電体、セパレーター、電解液、端子、絶縁体、電池容器等については既存のものが特に制限無く使用可能である。また最終的な電池形態についても、制限無く円筒形ニッケル水素二次電池、角形ニッケル水素二次電池のどちらにも使用することができる。さらに、本発明の共重合体ラテックスを正極用バインダーとして使用することも可能である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を変更しない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は重量基準によるものである。また実施例における諸物性の評価は次の方法に拠った。
【0034】
数平均粒子径測定
共重合体ラテックスの数平均粒子径は動的光散乱法により測定した。尚、測定に際しては、LPA−3000/3100(大塚電子製)を使用した。
【0035】
共重合体ラテックスの作成
耐圧性の重合反応機に、純水125部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8部、過硫酸カリウム1.2部を仕込み、十分攪拌した後、表1に示す1段目の各単量体およびα−メチルスチレンダイマー1.4部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を加えて75℃で重合を開始した。1.5時間後に重合温度を73℃に下げて保ち、表1に示す2段目の各単量体および過硫酸カリウム0.5部、純水10部を2時間にわたって連続的に添加した後、表1に示す3段目の各単量体及び純水5部を4時間にわたって連続的に添加した。さらに温度を75℃に上げて5時間保った後、重合を終了した。
次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックス(a)を得た。
また、表1に示す条件を変更する以外は共重合体ラテックス(a)と同様な方法にて、共重合体ラテックス(b)〜(g)を得た。尚、共重合体ラテックス(a)、(b)及び(g)は3段重合にて、共重合体ラテックス(c)、(d)、(e)および(f)は2段重合により作成した。
【0036】
合剤スラリーの作成
水素吸蔵合金粉末LaNi4.5Al0.5 100部と導電剤カーボニルニッケル5部を使用し増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを2重量部、共重合体ラテックス(a)5部とを全固形分が50%となるように適量の水を加えて混練し表1記載の実施例1の負極用合剤スラリーを調製した。同様にして、表1記載された共重合体ラテックス(b)〜(c)を用いて実施例2〜3の電池電極用組成物を、また共重合体ラテックス(d)〜(g)を用いて比較例1〜4の合剤スラリーを作成した。
【0037】
[実施例1〜3、比較例1〜4]
各々の合剤スラリーを集電体となる厚さ15μm、開口率38%の軟鉄製ニッケルメッキパンチングシートの両面に塗布し、120℃で5分乾燥し、熱プレスで圧縮成型して実施例1〜3および、比較例1〜4の負極をそれぞれ作成した。これらの評価内容については以下のとおりである。また、評価結果については表1に示した。
【0038】
結着性
上記負極の表面にナイフを用いて、合剤層から集電体に達する深さまでの切り込みを2mm間隔で縦横それぞれ6本入れて碁盤目の切り込みを作った。この切り込みに粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、活物質の脱落の程度を目視判定で5点(脱落なし)から1点(完全に脱落)として評価した。
【0039】
耐電解液性
上記と同様にして碁盤目の切り込みを入れた負極を、7NのKOHと1NのLiOHからなる40℃の電解液中に12時間浸けて取り出し、負極表面の状態を目視判定で5点(変化なし)から1点(完全に脱落)として評価した。
【0040】
サイクル性
これらの実施例1〜3、比較例1〜4の各負極を、活物質に水酸化ニッケル粉末を用いた非焼結式ニッケル正極およびスルホン化処理したポリプロピレンの不織布からなるセパレータと組合せ、捲回して巻回体とし、この巻回体を負極端子を兼ねた円筒型電池缶に収納し、電池缶と負極、正極端子と正極をリード端子により接続し、電池缶内に7NのKOHと1NのLiOHからなる電解液を満たした後、正極端子を備えた電池蓋をガスケットを介してかしめて円筒型電池を作成した。
充放電率0.2Cで充放電を10回反復して活性化処理を行った後、1C の定電流で1 .5時間充電し、1 時間休止後、1C の定電流で1.0V まで放電する充放電サイクルを繰返して放電容量が初期の60 %となった時点のサイクル数を計測した。
【0041】
【表1】
Figure 0004795556
【0042】
【発明の効果】
本発明の共重合体ラテックスをニッケル水素二次電池負極用バインダーとして使用することにより、負極合剤の集電体への付着が良好でかつ耐電解液性に優れたニッケル水素二次電池負極が得られ、また電池に組み立てた際にサイクル性に優れた二次電池を得ることができるものである。

Claims (1)

  1. 脂肪族共役ジエン系単量体20〜60重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体30〜79重量%からなる単量体合計100重量部に対しα−メチルスチレンダイマー0.6〜3.0重量部の存在下で乳化重合して得られた共重合体ラテックスからなり、かつ該共重合体ラテックス中に残留するα−メチルスチレンダイマー量が該共重合体ラテックスの固形分に対して400〜3000ppmであることを特徴とするニッケル水素二次電池負極用バインダー。
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