JP5493833B2 - アルカリ蓄電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルカリ蓄電池とその製造方法に関する。
アルカリ蓄電池は、安全性に優れているという点からハイブリッド自動車の駆動用電源として広く用いられている。
近年、ハイブリット自動車の高性能化が一段と進み、ハイブリッド自動車で用いられるアルカリ蓄電池は、優れた高出力性能と高信頼性能を有することが求められるようになっている。
アルカリ蓄電池の高出力性能を高める方法としては、正負極の対向面積を増大化する方法が一般的である。
アルカリ蓄電池は、正負極及びセパレータを巻回して電極群を作製することによって得られるので、対向面積を増大化したアルカリ蓄電池を得るには、正負極の極板間距離を短くする等の必要があるために、電極群に高い圧力が加わるようして正負極及びセパレータを巻回する必要がある。
このため、正負極及びセパレータを巻回する際に、セパレータと負極表面との間に摩擦が生じて負極表面から塗着物の脱落等が生じ、ショート等の品質問題が発生するという問題があった。
このような問題に対処するため、負極に水素吸蔵合金電極を有するニッケル水素蓄電池においては、水素吸蔵合金電極を作製する方法として、スチレン−ブタジエン系ラテックス(SBR)を水素吸蔵合金粉末と混合したスラリーを導電性芯体に塗着し、乾燥・圧延する方法が提案されている。(特許文献1)
しかしながら、特許文献1の方法では、負極表面から塗着物の脱落等を防止できるようにするためには、SBRが、負極表面に十分に配分されるように、多量のSBRを添加したスラリーを導電性芯体に塗着する必要がある。
この場合、絶縁性を示すSBRが、負極表面だけでなく負極の内層にも多量に配分されるため、このような負極を用いたアルカリ蓄電池は高出力性能が得難いという問題があった。
一方、少量のSBRの添加でもって、負極表面から塗着物の脱落等を防止できるようにするためには、負極表面にSBR塗布する方法が考えられ、特許文献2等が提案されている。
特許文献2等の方法によれば、塗布されたSBRが、負極表面から比較的浅い領域までした浸透しないので、負極の内層に多量のSBRが配分されるという不具合がなくなるというメリットがある。
しかしながら、特許文献2のように負極表面にSBRを塗布する方法では、負極板表面にSBRを均一塗布することができず、従来の範囲を超えた対向面積を有する負極に適用した場合は、十分な効果が得られないという問題がった。
また、ハイブリット自動車などで用いられるアルカリ蓄電池には、高出性能が得られることから、希土類、ニッケル、マグネシウムを主元素としたA19構造を有する水素吸蔵合金を用いることが提案されている。(特許文献3)
19構造は、AB型構造とAB型構造の組合せで構成され、ニッケル比率を増大させた構造をとることで放電性能に優れるので、A19構造を有する水素吸蔵合金を用いたアルカリ蓄電池は、高出性能が得られる。
しかしながら、A19構造を有する水素吸蔵合金は、酸化されやすいとい課題がある。
このため、高出力性能を高めるために、正負極の対向面積の増大化を図ったアルカリ蓄電池では、負極最表面に配分される水素吸蔵合金粒子の割合が大きくなり、アルカリ電解液に晒される水素吸蔵合金の割合もが大きくなるので、こういったアルカリ蓄電池にA19構造を有する水素吸蔵合金を使用すると、耐久性が十分でないという問題があった。
特開2009-59598号公報 特開2005-158533号公報 特開2008-300108号公報
そこで、本発明では、少量のSBRの添加でもって、負極表面の強度を向上させることによって高出力性能と高信頼性能を兼ね備えるとともに、負極にA19構造を有する水素吸蔵合金を用いた場合でも耐久性に優れるアルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
本発明のアルカリ蓄電池は、希土類元素、ニッケル、マグネシウムを主元素とするとともにA19構造相を含む水素吸蔵合金及びスチレン−ブタジエン系ラテックス(SBR)を含み、極板容量Xに対する極板面積Yの比(Y/X)が60cm/Ah以上である水素吸蔵合金負極を用いたアルカリ蓄電池であって、
前記水素吸蔵合金の粒径αが15〜25μmであり、
前記水素吸蔵合金の粒径αと前記SBRの粒径βとの比(β/α)が0.007〜0.018であり、
前記水素吸蔵合金負極に含まれるSBRが、負極の内部から表面にかけて多くなっていることを特徴としている(請求項1)。
また、本発明のアルカリ蓄電池は、 前水素吸蔵合金の真密度が8.03〜8.30g/cm3であることが好ましい(請求項2)。
また、本発明のアルカリ蓄電池は、SBRのゲル含有量が40〜75%でかつ、ガラス転移温度は−48℃〜−30℃であることが好ましい(請求項3)。
さらに、前記SBR量は前記水素吸蔵合金量に対して0.2〜0.7%であることが好ましい(請求項4)。
また、本発明のアルカリ蓄電池の製造方法は、
希土類元素、ニッケル、マグネシウムを主元素とするとともにA19構造相を含む水素吸蔵合金、スチレン−ブタジエン系ラテックス(SBR)及び溶媒を混合して含む合剤を導電性芯体に極板容量Xに対する極板面積Yの比(Y/X)が60cm/Ah以上となるように塗着し、乾燥した水素吸蔵合金負極と正極とをセパレータを介して巻回したアルカリ蓄電池の製造方法であって、
前記水素吸蔵合金の粒径αが15〜25μm以下であり、
前記水素吸蔵合金の粒径αと前記SBRの粒径βとの比(β/α)が0.007〜0.018であることを特徴としている(請求項5)。
また、本発明のアルカリ蓄電池の製造方法は、前記乾燥を遠赤外加熱による放射伝熱で行うことが好ましい(請求項6)。
本発明のアルカリ蓄電池のように、粒径が15〜25μmのA19構造相を含む水素吸蔵合金と当該水素吸蔵合金粒径との粒径比(β/α)が0.007〜0.018となるSBRを含むスラリー(合剤)を作製し、導電性芯体に塗着して乾燥させることで、スラリー中の溶媒が極板表面に移動するのに伴ってSBRも移動する。
これにより、水素吸蔵合金負極中のSBRが、導電性芯体近傍部より負極表面に多く偏在することになる。
この結果、比較的少量のSBRを添加しただけでも負極表面の強度が向上し、負極の極板容量をX、極板面積をYとしたときのY/Xが60cm/Ah以上となるような従来の範囲を超えた対向面積を有したアルカリ蓄電池を作製する場合においても、極板巻回時に負極表面から塗着物の脱落等が生じるというような問題が生じ難く、高出力性能と高信頼性能を兼ね備えたアルカリ蓄電池が得られる。
また、SBRが導電性芯体近傍部より負極表面に多く偏在した水素吸蔵合金負極は、負極表面の表面撥水度も向上するため、A19構造を有する水素吸蔵合金を用いた場合でも、水素吸蔵合金が酸化され難く、この負極を用いたアルカリ蓄電池は、耐久性が十分に優れたものとなる。この理由は、以下の通りである。
一般に、SBRは水素吸蔵合金との親和力が大きく、従来のAB型構造のように低比重の水素吸蔵合金とSBRを含むスラリーを導電性芯体に塗着して乾燥しても、水素吸蔵合金とSBRの比重差が一定の割合に達しないために、両者はスラリー中で分離せず、SBRは乾燥時のスラリー中の溶媒の移動に伴って殆ど移動しない。
しかし、希土類、ニッケル、マグネシウムを主元素としたA19構造相を含む水素吸蔵合金は、結晶構造内にMgNiからなるAB構造相を含むため、従来のAB型構造より高比重であり、この水素吸蔵合金とSBRを含むスラリーを導電性芯体に塗着して乾燥した場合、水素吸蔵合金とSBRの比重差が一定の割合以上となり、SBRは、スラリー中で水素吸蔵合金と分離しやすくなる。
さらに、この水素吸蔵合金の粒径が25μm以下であって、SBR粒子との粒径比(β/α)が0.007〜0.018という特定の条件を満たす場合、負極乾燥時にスラリー中の溶媒の移動に伴ってSBRが移動することが可能となる。
以上のようにして、SBRが負極表面に移動し、負極表面に偏在することになる。
これに対し、SBR粒子との粒径比(β/α)が0.007〜0.018であっても、水素吸蔵合金の粒径が25μmを超える場合、SBRは、乾燥時のスラリー中の溶媒の移動伴って殆ど移動しない。
一方、水素吸蔵合金の粒径が25μm以下であっても、水素吸蔵合金粒径とSBRとの粒径比(β/α)が0.007未満の場合、合金粒径に対しSBR粒径が小さすぎるので、電極内部でSBRの凝集が生じる。このため、SBRは、乾燥時のスラリー中の溶媒の移動伴って殆ど移動しない。また、水素吸蔵合金粒径とSBRとの粒径比が0.018以上の場合、合金粒径に対しSBR粒径が大きすぎる。このため、SBRは、乾燥時のスラリー中の溶媒の移動伴って殆ど移動しない。
また、本発明の効果は、SBRのゲル含量を40〜75%とし、ガラス転移温度を−48〜−30℃とした場合に特に高められる。
これに対し、SBRのゲル含量が75%以上であると、SBRの結着性が強すぎ、乾燥時に電極内部でSBRの凝集が生じて電極表面への移動が若干減少するので、負極表面のSBRの偏在量が少する。
一方、ゲル含量が40%以下では、SBRと合金の結着性が弱いため、負極表面の強度が若干減少する。
さらに、本発明の効果は、SBRのガラス転移温度を−48℃〜−30℃とした場合に特に高められる。SBRのガラス転移温度が−48℃を下回ると、負極表面に偏在したSBRの流動性が若干高い状態となり、SBRのガラス転移温度が−30℃を上回ると負極表面に偏在したSBRの流動性が若干低い状態となって、いずれの場合も負極表面の強度が若干減少する。
またさらに、本発明の効果は、SBR量が、水素吸蔵合金量に対して0.2〜0.7質量%である場合に特に高められる。SBR量が、水素吸蔵合金量に対して0.2質量%を下回ると、負極表面の強度が若干減少する。SBR量が、水素吸蔵合金量に対して0.7質量%を上回ると、SBRが抵抗成分となるので、出力性能が若干低下する。
また本発明のアルカリ蓄電池の製造方法においては、遠赤外加熱によって、負極の乾燥を行うこと、負極の表面と内部を同時加熱すすることができるので、SBRの負極表面への移動が制限され難くなる。これに対し、熱風などの対流伝熱によって負極の乾燥を行うと、負極表面から乾燥が始まるので、SBRの負極表面への移動が制限され、負極表面へのSBRの偏在量が減少する。
本発明のアルカリ蓄電池を模式的に示す断面図である。
ついで、本発明の実施の形態を以下に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
1.水素吸蔵合金
金属元素を所定のモル比となるように混合した後、これらの混合物をアルゴンガス雰囲気の高周波誘導炉に投入して溶解させ、これを金型に注入して急冷し、表1に示す組成を有する鋳塊状態の水素吸蔵合金A〜Eを作製した。
ついで、鋳塊状態の各水素吸蔵合金A〜Eについて、それらの融点よりも低い所定温度で所定時間、熱処理を行った。
この後、これら鋳塊状態の各水素吸蔵合金を粗粉砕した後、不活性ガス雰囲気中で機械的に粉砕して、水素吸蔵合金粉末A〜Eを作製した。
ついで、Cu−Kα管をX線源とするX線回折測定装置を用いる粉末X線回折法で水素吸蔵合金粉末A〜Eの結晶構造の同定を行った。この場合、スキャンスピード1°/min、管電圧40kV、管電流300mA、スキャンステップ1°、測定角度20〜50θ/degでX線回折測定を行った。
結晶構造の各構造比率の算出においては、A19型構造はPrCo19型構造とSmCo19型構造とし、A型構造はCeNi型構造とGdCo19型構造とし、AB型構造はLaNi型構造とし、AB型構造はPuNiとし、NIMS(National Institutefor Materials Science)データベースの各回折強度ピークをもとに、得られたプロファイルの42〜44°の最強強度値との比較強度比によって、各構造比率を算出した。また、鋳塊状態の各水素吸蔵合金A〜Eについて、真密度を測定した。水素吸蔵合金粉末A〜Eの結晶構造の構造比率及び真密度については、表1に示す。

Figure 0005493833
表1から明らかなように、希土類、ニッケル、マグネシウムを主元素としたA19構造相を含む水素吸蔵合金は、A19の構造比率が大きくなる程、真密度が大きくなることが分かる。尚、以下の実施の形態においては、水素吸蔵合金粉末A及びCを用いて水素吸蔵負極を作製した。
2.水素吸蔵合金負極
水素吸蔵合金負極11は、以下のようにして作製した。
まず、各水素吸蔵合金の鋳塊A及びCを粗粉砕した後、不活性ガス雰囲気中で機械的に粉砕して、体積累積頻度50%での粒径(D50)が表2に示す通りとなる水素吸蔵合金粉末A及びCを準備した。
ついで水素吸蔵合金粉末A及びCと水溶性結着剤、熱可塑性エラストマー及び炭素系導電剤を混合・混練して水素吸蔵合金スラリーを作製した。
水溶性結着剤としては、0.1質量%のCMC(カルボキシメチルセルロース)と水(あるいは純水)とからなるものを使用した。炭素系導電剤としては、ケッチェンブラック使用した。熱可塑性エラストマーとしては、スチレンブタジエンラテックス(SBR)を使用した。使用したSBRの粒径(合金粒径に対する比β/α)、ゲル含量、ガラス転移温度及び添加量を表2に示す。
ここで、SBRのゲル含量及びガラス転移温度は以下のようにして制御される。SBRは、主にスチレンとブタジエンを主成分とし、メチルメタクリレートなどの第三成分からなる共重合体で構成され、カルボキシ変性を行うことができる。ゲル含量はカルボキシ変性の種類・程度、重合時間及び重合温度等により制御することができる。一方、ガラス転移温度は、ガラス転移温度が高いスチレンと、ガラス転移温度が低いブタジエンの配合比を変えることにより制御することができる。
ついで、上述のようにして作製した合金スラリーを負極用導電性芯体(ニッケルメッキを施した軟鋼材製の多孔性基板(パンチングメタル))に所定の充填密度(例えば、5.0g/cm)となるように塗着、表2に示すように遠赤外線又は熱風加熱により乾燥させた後、所定の厚みになるように圧延した。
この後、極板容量Xに対する極板面積Yの比(Y/X)が60cm/Ahとなるように切断し水素吸蔵合金負極11(D1〜D24)をそれぞれ作製した。
Figure 0005493833
3.ニッケル正極
ニッケル正極12は、以下のようにして作製した。
まず、多孔度が約85%の多孔性ニッケル焼結基板を比重が1.75の硝酸ニッケルと硝酸コバルトの混合水溶液に浸漬して、多孔性ニッケル焼結基板の細孔内にニッケル塩およびコバルト塩を保持させた。この後、この多孔性ニッケル焼結基板を25質量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液中に浸漬して、ニッケル塩およびコバルト塩をそれぞれ水酸化ニッケルおよび水酸化コバルトに転換させた。
ついで、充分に水洗してアルカリ溶液を除去した後、乾燥を行って、多孔性ニッケル焼結基板の細孔内に水酸化ニッケルを主成分とする活物質を充填した。このような活物質充填操作を所定回数(例えば6回)繰り返して、多孔性焼結基板の細孔内に水酸化ニッケルを主体とする活物質の充填密度が2.5g/cmになるように充填した。この後、室温で乾燥させた後、所定の寸法に切断してニッケル正極12を作製した。
4.ニッケル−水素蓄電池
ニッケル−水素蓄電池10は、以下のようにして作製した。
まず、上述のように作製された水素吸蔵合金負極11とニッケル正極12とを用い、これらの間に、スルフォン化処理されたポリプロピレン繊維を含む不織布からなるセパレータ13(目付け52g/m)を介在させて渦巻状に巻回して渦巻状電極群を作製した。
なお、このようにして作製された渦巻状電極群の下部には水素吸蔵合金負極11の芯体露出部11cが露出しており、その上部にはニッケル正極12の芯体露出部12cが露出している。ついで、得られた渦巻状電極群の下端面に露出する芯体露出部11cに負極集電体14を溶接するとともに、渦巻状電極群の上端面に露出するニッケル正極12の芯体露出部12cの上に正極集電体15を溶接して、電極体とした。
ついで、得られた電極体を鉄にニッケルメッキを施した有底筒状の外装缶(底面の外面は負極外部端子となる)16内に収納した後、負極集電体14を外装缶16の内底面に溶接した。一方、正極集電体15より延出する集電リード部15aに正極端子を兼ねるとともに外周部に絶縁ガスケット18が装着された封口体17の底部を構成する封口板17aに溶接した。なお、封口体17には正極キャップ17bが設けられていて、この正極キャップ17b内に所定の圧力になると変形する弁体17cとスプリング17dよりなる圧力弁が配置されている。
ついで、外装缶16の上部外周部に環状溝部16aを形成した後、電解液を注液し、外装缶16の上部に形成された環状溝部16aの上に封口体17の外周部に装着された絶縁ガスケット18を載置した。この後、外装缶16の開口端縁16bをかしめ、外装缶16内に30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液からなるアルカリ電解液を電池容量あたり2.5g/Ah注入した。
ついで、上述のようにして作製したニッケル−水素蓄電池10を電池電圧が放置時ピーク電圧の60%になるまで放置した後、25℃の温度雰囲気で、1Itの充電々流でSOC120%まで充電し、25℃の温度雰囲気で1時間休止する。ついで、70℃の温度雰囲気で24時間放置した後、45℃の温度雰囲気で、1Itの放電々流で電池電圧が0.3Vになるまで放電させるサイクルを2サイクル繰り返した。
以上のようにして、実施例1〜実施例12及び比較例1〜比較例3のニッケル−水素蓄電池10を作製した。
5.特性試験
(1)水素吸蔵合金負極表面強度の評価
水素吸蔵合金負極表面に目付けが52g/m2のセパレータを載せ、所定の荷重を水素吸蔵負極とセパレータに付加しながらセパレータ引っ張りながら負極表面上を滑らせた。この時のセパレータの単位面積当たりに付着する水素吸蔵合金粒子量を測定し、比較例1を100とした時の相対値を表3に結果を示した。
Figure 0005493833

表3から明らかなように、AB型の水素吸蔵合金を使用した比較例1の水素吸蔵合金負極や、水素吸蔵合金とSBR粒子との粒径比(β/α)が0.0060の比較例2の水素吸蔵合金負極や、水素吸蔵合金の粒径が50μmである比較例3の水素吸蔵合金電極は、合金付着量の相対値が98〜102であるのに対し、希土類元素、ニッケル、マグネシウムを主元素とするとともにA19構造相を含む水素吸蔵合金を使用し、水素吸蔵合金の粒径が25μm以下で、水素吸蔵合金とSBR粒子との粒径比(β/α)が0.007〜0.018である実施例1〜実施例2の水素吸蔵合金負極は、合金付着量の相対値が65〜72と低く抑えられている。
以上のことから、水素吸蔵合金負極の表面強度を向上させるには、希土類元素、ニッケル、マグネシウムを主元素とするとともにA19構造相を含む水素吸蔵合金を使用し、水素吸蔵合金の粒径αが15〜25μmであり、水素吸蔵合金の粒径αと前記SBRの粒径βとの比(β/α)が0.007〜0.018であることが必要といえる。
また、SBRのゲル含量が95%である実施例3や、SBRのゲル含量が30%である実施例7は、合金付着量の相対値が81〜82と若干上昇する。これに対し、SBRのゲル含量が40〜75%である、実施例1、実施例2、実施例4、実施例5及び実施例6(SBR添加量0.5質量%)は、合金付着量の相対値が49〜72と低く抑えられていることがわかる。
また、SBRのガラス転移温度を−48〜−30℃とした実施例4、実施例5及び実施例6は、合金付着量の相対値が49〜58と低く抑えられていることがわかる。
以上のことから、SBRのゲル含量が40〜75%でかつ、ガラス転移温度は−48℃〜−30℃であることが好ましいといえる。
また、熱風加熱により乾燥した実施例11の合金付着量の相対値は、93%であるのに対し、遠赤外線加熱により乾燥した実施例1の合金付着量の相対値は、82%である。
以上のことから、水素吸蔵合金負極の乾燥は、遠赤外線加熱により行うのが好ましいといえる。
(2)出力特性評価
出力特性評価を以下のようにして行った。
まず、上述のようにして活性化した実施例1、実施例9及び実施例10のニッケル−水素蓄電池10と、比較例1及び比較例4のニッケル−水素蓄電池10を25℃の温度雰囲気で1Itの充電電流でSOC50%まで充電した後、25℃の温度雰囲気で1時間休止させた。
ついで、−10℃の温度雰囲気で、任意の充電レートで20秒間充電させた後、−10℃の温度雰囲気で30分間休止させた。この後、−10℃の温度雰囲気で、任意の放電レートで10秒間放電させた後、25℃の温度雰囲気で30分間休止させた。このような−10℃の温度雰囲気で、任意の充電レートでの20秒間充電、30分の休止、任意の放電レートで10秒間放電、25℃の温度雰囲気での30分の休止を繰り返した。
この場合、任意の充電レートは、0.8It→1.7It→2.5It→3.3It→4.2Itの順で充電電流を増加させ、任意の放電レートは、1.7It→3.3It→5.0It→6.7It→8.3Itの順で放電電流を増加させるようにして、0.8It充電→1.7It放電→1.7It充電→3.3It放電→2.5It充電→5.0It放電→3.3It充電→6.7It放電→4.2It充電→8.3It放電の充放電処理を行った。このとき、各放電レートで10秒間経過時点での各電池の電池電圧(V)を放電レート毎に測定した。
ついで、測定した10秒間経過時点での各電池の電池電圧(V)を放電レート毎の放電電流値に対して2次元プロットし、電池電圧と放電電流値の関係を示す近似曲線を求め、近似曲線における0.9V時の放電電流値を出力特性として求めた。
上述のようにして求めた出力特性を表2に示す。なお、表2においては、比較例1の電池を基準(100)とし、これとの相対値で示している。
Figure 0005493833
表4から明らかなように、A19構造相を含まない従来のAB型構造の水素吸蔵合金を使用した比較例1の出力特性が100であるのに対し、希土類元素、ニッケル、マグネシウムを主元素とするとともにA19構造相を含む水素吸蔵合金を使用した実施例1の出力特性は、108と大きく向上している。
ただし、SBRの添加量の増加に伴い出力特性が低下するので、SBRの添加量は0.7質量%以下とするのが好ましいことがわかる。
(3)水素吸蔵合金の耐食性評価
水素吸蔵合金の耐食性評価は、以下のようにして行った。
まず、作製された状態の実施例1及び比較例1のニッケル−水素蓄電池10から、水素吸蔵合金を取り出し、水素吸蔵合金に含まれる酸素濃度を測定し水素吸蔵合金の耐食性とした。上述のようにして求めた耐食性を表5に示す。なお、表5においては、比較例1の電池を基準(100)とし、これとの相対値で示している。
この結果、A19構造を有する水素吸蔵合金を使用した実施例1は、酸化されやすい水素吸蔵合金を含んでいるのも係らず、従来のAB型構造の水素吸蔵合金を使用した比較例1より、水素吸蔵合金の耐食性が向上していることが分かる。
Figure 0005493833
(4)水素吸蔵合金負極中のSBR分布評価
各実施例及び比較例の水素吸蔵合金負極の切断面をOsO蒸気に晒し、切断面上に配置されているSBRにOsを蒸着させた。ついで、EPMAにてOsの分布状況を確認した。
この結果、各実施例の水素吸蔵合金負極は、SBRが導電性芯体近傍部より負極表面に多く偏在していることを確認した。一方、各比較例の水素吸蔵合金負極については、このような傾向は認められなかった。
11…水素吸蔵合金負極、11a…負極用導電性芯体、11b…活物質層、11c…芯体露出部、12…ニッケル正極、12c…芯体露出部、13…セパレータ、14…負極集電体、15…正極集電体、15a…正極用リード、16…外装缶、16a…環状溝部、16b…開口端縁、17…封口体、17a…封口板、17b…正極キャップ、17c…弁板、17d…スプリング、18…絶縁ガスケット

Claims (6)

  1. 希土類元素、ニッケル、マグネシウムを主元素とするとともにA19構造相を含む水素吸蔵合金及びスチレン−ブタジエン系ラテックス(SBR)を含み、極板容量Xに対する極板面積Yの比(Y/X)が60cm/Ah以上である水素吸蔵合金負極を用いたアルカリ蓄電池であって、
    前記水素吸蔵合金の粒径αが15〜25μmであり、
    前記水素吸蔵合金の粒径αと前記SBRの粒径βとの比(β/α)が0.007〜0.018であり、
    前記水素吸蔵合金負極に含まれるSBRが、負極の内部から表面にかけて多くなっていることを特徴とするアルカリ蓄電池。
  2. 前記水素吸蔵合金の真密度が、8.03〜8.30g/cmであることを特徴とする請求項1のアルカリ蓄電池。
  3. 前記SBRのゲル含有量が40〜75%でかつ、ガラス転移温度は−48℃〜−30℃であることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載のアルカリ蓄電池。
  4. 前記SBRの量が、前記水素吸蔵合金量に対して0.2〜0.7質量%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のアルカリ蓄電池。
  5. 希土類元素、ニッケル、マグネシウムを主元素とするとともにA19構造相を含む水素吸蔵合金、スチレン−ブタジエン系ラテックス(SBR)及び溶媒を混合して含む合剤を導電性芯体に極板容量Xに対する極板面積Yの比(Y/X)が60cm/Ah以上となるように塗着し、乾燥した水素吸蔵合金負極と正極とをセパレータを介して巻回したアルカリ蓄電池の製造方法であって、
    前記水素吸蔵合金の粒径αが15〜25μm以下であり、
    前記水素吸蔵合金の粒径αと前記SBRの粒径βとの比(β/α)が0.007〜0.018であることを特徴とするアルカリ蓄電池の製造方法。
  6. 前記乾燥を遠赤外加熱による放射伝熱で行うことを特徴とする請求項5に記載のアルカリ蓄電池の製造方法。
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