JP5241188B2 - アルカリ蓄電池システム - Google Patents
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Description
本発明の水素吸蔵合金負極11はパンチングメタルからなる負極芯体に水素吸蔵合金スラリーが充填されて形成されている。この場合、まず、一般式がLnl-xMgxNiy-a-bAlaMb(式中、LnはYを含む希土類元素から選択される少なくとも1種の元素で、MはCo,Mn,Znから選択される少なくとも1種の元素であり、0.1≦x≦0.2、3.8≦y≦3.9、0.1≦a≦0.3、0≦b≦0.2)で表されるようにNd,Mg,Ni,Al,Coなどの金属元素を所定のモル比となるように混合する。ついで、これらの混合物をアルゴンガス雰囲気の高周波誘導炉に投入して溶解させた後、合金鋳塊になるように溶湯急冷して、水素吸蔵合金を得る。
m)を測定する。その後、水素吸蔵合金の融点(Tm)よりも30℃だけ低い温度(Ta=Tm−30℃)で所定時間(この場合は10時間)の熱処理を行って、得られた水素吸蔵合金がA5B19型構造となるように調整し、これらを水素吸蔵合金α,β,γとした。
ここで、熱処理後の各水素吸蔵合金α〜γの組成を高周波プラズマ分光法(ICP)によって分析したところ、水素吸蔵合金αは組成式がNd0.9Mg0.1Ni3.2Al0.2Co0.1(希土類を含むA成分が1.0モルで、Niを含むB成分が3.5モルで、それらの化学量論比B/Aが3.5となる)で表されることが分かった。
そして、得られた水素吸蔵合金スラリーa,b,cをパンチングメタル(ニッケルメッキ鋼板製)からなる負極芯体の両面に塗着した後、室温で乾燥させ、所定の充填密度になるように圧延した後、所定の寸法(例えば、80cm×5cm)に裁断することにより水素吸蔵合金負極11(a1,b1,c1およびa2,b2,c2)が作製される。
一方、ニッケル正極12は、基板となるニッケル焼結基板の多孔内に所定量の水酸化ニッケルと水酸化コバルトと水酸化亜鉛とが充填されて形成されている。
この場合、ニッケル焼結基板は、まず、例えば、ニッケル粉末に、増粘剤となるメチルセルロース(MC)と高分子中空微小球体(例えば、孔径が60μmのもの)と水とを混合、混練してニッケルスラリーが作製されている。ついで、ニッケルめっき鋼板からなるパンチングメタルの両面にニッケルスラリーを塗着した後、還元性雰囲気中で1000℃で加熱して、塗着されている増粘剤や高分子中空微小球体を消失させるとともにニッケル粉末同士を焼結することにより作製されている。
ついで、上述のようにして作製される水素吸蔵合金負極11(a1,b1,c1およびa2,b2,c2)と、ニッケル正極12とを用い、これらの間に、目付が55g/cm2のポリオレフィン製不織布からなるセパレータ13を介在させて渦巻状に巻回することにより渦巻状電極群が作製される。なお、このようにして作製される渦巻状電極群の下部には水素吸蔵合金負極11の芯体露出部11cが露出しており、その上部にはニッケル正極12の芯体露出部12cが露出している。ついで、得られた渦巻状電極群の下端面に露出する芯体露出部11cに負極集電体14を溶接するとともに、渦巻状電極群の上端面に露出するニッケル正極12の芯体露出部12cの上に正極集電体15を溶接して、電極体が作製される。
(1)低温出力試験
ついで、各電池A1,B1,C1,A2,B2,C2について、電池容量に対して1Itの充電電流で電池容量の50%まで充電(SOC(State Of Charge:充電深度)が50%となるように30分の充電)した。この後、電池表面温度が−10℃になるまで冷却した後、1It充電→2It放電→2It充電→4It放電→3It充電→6It放電→4It充電→8It放電→5It充電→10It放電の順で充放電を繰り返した。
さらに、ニッケル正極との容量比が1.7で合金の化学量論比が3.9の水素吸蔵合金負極c2を用いた電池C2においては、合金の化学量論比が増大したことに伴い、電池A2、電池B2よりも更に−10℃出力比の向上が確認された。これは化学量論比が3.9の水素吸蔵合金においてはNiリッチな反応活性点が顕著に増加するためと考えられる。
ついで、これらの各電池A1,B1,C1,A2,B2,C2の部分充放電サイクル試験と完全充放電サイクル試験とからなる耐久性試験を以下のようにして行った。
a.部分充放電サイクル試験
まず、これらの各電池A1,B1,C1,A2,B2,C2において、10Itの充電電流にてSOC(State Of Charge:充電深度)が80%となる電圧まで充電した後、10Itの放電電流にてSOCが20%となる電圧まで放電させるという充放電サイクルを繰り返す部分充放電サイクル試験を行った。そして、このような部分充放電サイクルを放電電気量が10kAhとなるまで繰り返した。
一方、これらの各電池A1,B1,C1,A2,B2,C2において、室温(約25℃)で、それぞれ1Itの充電々流で充電し、満充電に達した後、電池電圧が10mV低下(−ΔV=10mV)した時点で充電を1時間休止させた後、1Itの放電電流で終止電圧が0.9Vになるまで放電させるという充放電サイクルを繰り返す完全充放電サイクル試験を行った。そして、このような完全充放電サイクルを放電電気量が10kAhとなるまで繰り返した。
ところが、部分充放電サイクルを行うときには、ニッケル正極の容量との容量比が1.2(電池システムA11)になると、化学量論比が3.5(電池A1)になると、耐久性はこれらの電池A2,B2,C2と同等であるが、−10℃出力比が低下することが分かる。このことは、化学量論比が3.5の水素吸蔵合金を用いる場合は、水素吸蔵合金の質量を低減させると低温出力特性が低下することを意味している。
そして、ハイブリッド自動車や電気自動車などのような車輌関係の用途に用いる場合には、このようなニッケル−水素蓄電池の複数個を用いて組電池にするとともに、この組電池が部分充放電サイクルを繰り返して行えるように部分充放電制御が可能な充放電制御手段を設ける必要がある。
この場合、部分充放電制御としては、上述したように充電深度(SOC)が20%相当の電圧に達すると放電を停止して充電を開始し、充電深度(SOC)が80%相当の電圧に達すると充電を停止して放電を開始するようになされるのが好ましい。
Claims (4)
- ニッケルを含む水素吸蔵合金を負極活物質とする水素吸蔵合金負極と水酸化ニッケルを主正極活物質とするニッケル正極とセパレータとからなる電極群をアルカリ電解液とともに外装缶内に備えたアルカリ蓄電池を有するアルカリ蓄電池システムであって、
前記水素吸蔵合金は少なくともA5B19型構造の結晶構造を有し、かつ該A5B19型構造のA成分に対するB成分のモル比となる化学量論比(B/A)が3.8以上であるとともに、部分充放電制御するようになされており、
前記部分充放電制御は、充電深度(SOC)が10%〜95%相当の電圧範囲でのみ充放電されるように制御されていることを特徴とするアルカリ蓄電池システム。 - 前記水素吸蔵合金は、一般式がLnl-xMgxNiy-a-bAlaMb(式中、LnはYを含
む希土類元素から選択される少なくとも1種の元素で、MはCo,Mn,Znから選択される少なくとも1種の元素であり、0.1≦x≦0.2、3.8≦y≦3.9、0.1≦a≦0.3、0≦b≦0.2)で表されることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ蓄電池システム。 - 前記ニッケル正極の容量Xに対する前記水素吸蔵合金負極の容量Yの比率となる容量比Z(=Y/X)が1.2以下(1.0<Z≦1.2)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルカリ蓄電池システム。
- 前記部分充放電制御は、充電深度(SOC)が20%相当の電圧に達すると放電を停止して充電を開始し、充電深度(SOC)が80%相当の電圧に達すると充電を停止して放電を開始するようになされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のアルカリ蓄電池システム。
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