JP4497828B2 - ニッケル−水素蓄電池および組電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−水素蓄電池に係り、特に、水酸化ニッケルを主体とする正極活物質に亜鉛とコバルトが添加された正極と、マンガンを含有する水素吸蔵合金を有する負極と、これらの正極と負極を隔離するセパレータを備えたニッケル−水素蓄電池、およびこのニッケル−水素蓄電池を用いた組電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、二次電池(蓄電池)の用途が拡大して、携帯電話、ノートパソコン、電動工具、電動自転車、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)など広範囲にわたって用いられるようになった。このうち、特に、電動工具、電動自転車、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)などの高出力が求められる機器の電源としては、ニッケル−水素蓄電池やニッケル−カドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池が用いられている。
【0003】
ところで、携帯電話、ノートパソコン、電動工具等の用途においては、最も重視される電池特性は放電容量であって、高容量で、かつ長期にわたって高容量が維持できることが要求されている。そして、これらの用途においては、通常、過充電域まで充電されることが多い。この場合、本来の正極充電活物質であるβ−NiOOHが、過充電により、更に充電されて電極の膨化を招来するγ−NiOOHが生成する。電極が膨化すると、電解液が膨化した正極に取り込まれることでセパレータ中に含まれる電解液量が少なくなり、セパレータでのイオン拡散能が不十分になって放電性が悪化することとなる。
【0004】
また、過充電されると、過充電時に正極から発生する酸素ガスによって、負極活物質である水素吸蔵合金が酸化されて、水素吸蔵合金の表面に稀土類元素の水酸化物が形成され、水素吸蔵合金の表面での電気化学反応が阻害されるため放電性が悪化する。また、封口体の作動圧を超えるまでに電池の内部ガス圧が上昇した場合には、電解液がガスとなって電池系外へ放出され、電解液が枯渇し、放電性が悪化する。このようなメカニズムにより、主として過充電行為が原因となって電池特性の低下が進行する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、新たな二次電池の用途となるHEV用やEV用等の車両駆動用の動力源として用いられる電池においては、自動車に搭載される性質上、10年以上の車両耐用年数に見合うだけの高い電池寿命が求められる。電池寿命を決定づける特性として、出力特性や自己放電特性が挙げられ、これらの特性が長期間にわたって高く維持できることが要求されている。そして、このようなHEVやEV用途に用いられる電池の特徴としては、過充電や完全放電がされることがなく、中間的な充電状態を維持できるように充放電制御がなされる。
【0006】
このため、携帯電話、ノートパソコン、電動工具などの用途においては支配的であった、過充電行為を原因とした正極膨化や電解液の枯渇化、あるいは負極反応性阻害等による劣化の進行は支配的ではなくなり、逆に、従来の用途ではほとんど問題にはならなかった要因が、電池特性の低下に対して支配的な影響を及ぼすことが明らかになった。そこで、本発明者らが電池特性の低下に対して支配的な影響を及ぼす原因を調査したところ、セパレータ中に析出するコバルト、亜鉛、マンガンの析出量と、出力特性や自己放電特性の低下の間に高い相関があることを見出した。
【0007】
これは、正極に含まれる亜鉛やコバルト、また、負極活物質である水素吸蔵合金中のマンガンは、充放電サイクルの経過に伴って、アルカリ電解液中に極僅かながらも徐々に溶出するようになる。アルカリ電解液中に溶出した亜鉛やコバルトあるいはマンガンは、その一部がセパレータ上に析出する。より詳しくは、セパレータ上の正極側ではコバルト−マンガン化合物が正極と接触した状態で析出し、負極側では亜鉛−マンガン化合物が析出する。そして、これらの析出物の析出量が増加するに伴って、実質上の正、負極間の距離が短くなる。
【0008】
このため、正極で酸化、負極で還元され、自己放電反応の担体となるN化合物等のレドックスシャトル物質の正、負極間移動が容易になって、自己放電量が増大するようになる。また、これらの析出物は、直接、充放電反応に関与する活物質ではないため、大電流の充放電に対しては充放電反応の阻害物質となる。この阻害物質は通電時においては抵抗成分となるため、析出物の析出量が増加するに伴って出力特性が低下することとなる。このようなメカニズムで出力特性や自己放電特性が低下し、いずれかが実使用上の許容範囲を超えた時点で電池寿命となることが分かった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、セパレータに析出する亜鉛量、コバルト量およびマンガン量を規制することにより、高出力特性と、低自己放電率を長期間にわたって維持できるニッケル−水素蓄電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は水酸化ニッケルを主体とする正極活物質に亜鉛とコバルトが添加された正極と、マンガンを含有する水素吸蔵合金を有する負極と、これらの正極と負極を隔離するセパレータを備えたニッケル−水素蓄電池の複数個が直列接続された組電池であって、ニッケル−水素蓄電池は、正極の質量に対して1.5質量%以上で、4.0質量%以下の亜鉛と、正極の質量に対して0.5質量%以上で、3.0質量%以下のコバルトが添加された正極と、水素吸蔵合金の質量に対して2.0質量%以上で、5.0質量%以下のマンガンが添加された負極とを備え、このニッケル−水素蓄電池の複数個が直列接続されているとともに、これらの複数個のニッケル−水素蓄電池の充放電を制御する部分充放電制御手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
この場合、正極中の亜鉛の添加量が4.0質量%を越えるようになると、セパレータ上へのZnの析出量が0.4質量%を越えるようになって、サイクル後の自己放電特性が大きく低下するようになる。また、正極中の亜鉛の添加量が1.5質量%よりも少なくなると、過充電に晒されなくても正極が膨化しやすくなる。このため電池の内部抵抗が上昇して、出力特性が低下するようになる。このことから、正極中への亜鉛の添加量は、正極の質量に対して1.5質量%以上で、4.0質量%以下とするのが望ましい。
【0013】
また、正極中のコバルトの添加量が3.0質量%を越えるようになると、セパレータ上へのコバルトの析出量も0.5質量%を越えるようになって、サイクル後の自己放電特性が大きく低下するようになる。一方、正極中のコバルトの添加量が0.5質量%よりも少なくなると、正極の導電性が低下することにより、電池の内部抵抗が上昇して、出力特性が低下するようになる。このため、正極中に添加されたコバルト量は、正極の質量に対して0.5質量%以上で、3.0質量%以下とするのが望ましい。
【0014】
さらに、水素吸蔵合金中のマンガンの含有量が5.0質量%を越えるようになると、セパレータ上へのマンガンの析出量も4.0質量%を越えるようになって自己放電量が増大する。逆に、水素吸蔵合金中のマンガンの含有量が2.0質量%よりも少なくなると、正極から溶出したコバルトが金属状態でセパレータ上へ析出して、正極と負極が直接接触するようになって、自己放電特性が極端に低下するようになる。このため、水素吸蔵合金中に含有されたマンガン量は、該負水素吸蔵合金の質量に対して2.0質量%以上で、5.0質量%以下とするのが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0016】
1.焼結式ニッケル正極の作製
多孔性ニッケル焼結基板を硝酸ニッケルと硝酸コバルトと硝酸亜鉛の混合水溶液(含浸液)に浸漬して、多孔性ニッケル焼結基板の細孔内に硝酸ニッケル、硝酸コバルトおよび硝酸亜鉛を保持させた。この後、この多孔性ニッケル焼結基板を25wt%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液中に浸漬して、硝酸ニッケル、硝酸コバルトおよび硝酸亜鉛をそれぞれ水酸化ニッケル、水酸化コバルトおよび水酸化亜鉛に転換させた。
【0017】
ついで、充分に水洗してアルカリ溶液を除去した後、乾燥を行って、多孔性ニッケル焼結基板の細孔内に水酸化ニッケルを主成分とする活物質を充填した。このような活物質充填操作を所定回数(例えば6回)繰り返して、多孔性焼結基板の細孔内に水酸化ニッケルを主体とする活物質の充填密度が2.5g/cm3になるように充填した。この後、室温で乾燥させた後、所定の寸法に切断して焼結式ニッケル正極a1〜a5,x1〜x5をそれぞれ作製した。
【0018】
ここで、含浸液の組成を調製して、正極全体の質量に対して、亜鉛の添加量が2.5質量%で、コバルトの添加量が1.8質量%となるように調製した焼結式ニッケル正極を正極a1とした。同様に、亜鉛の添加量が1.5質量%で、コバルトの添加量が0.5質量%となるように調製したものを正極a2とし、亜鉛の添加量が1.5質量%で、コバルトの添加量が3.0質量%となるように調製したものを正極a3とし、亜鉛の添加量が4.0質量%で、コバルトの添加量が0.5質量%となるように調製したものを正極a4とし、亜鉛の添加量が4.0質量%で、コバルトの添加量が3.0質量%となるように調製したものを正極a5とした。
【0019】
また、亜鉛の添加量が2.5質量%で、コバルトの添加量が1.7質量%となるように調製したものを正極x1とし、亜鉛の添加量が2.5質量%で、コバルトの添加量が3.5質量%となるように調製したものを正極x2とし、亜鉛の添加量が4.5質量%で、コバルトの添加量が1.8質量%となるように調製したものを正極x3とし、亜鉛の添加量が2.5質量%で、コバルトの添加量が0.2質量%となるように調製したものを正極x4とし、亜鉛の添加量が1.0質量%で、コバルトの添加量が1.8質量%となるように調製したものを正極x5とした。
【0020】
2.水素吸蔵合金負極の作製
一方、ミッシュメタル(Mm)、ニッケル(Ni:純度99.9%)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、およびマンガン(Mn)を混合した後、この混合物をアルゴンガス雰囲気の高周波誘導炉で誘導加熱して合金溶湯とした。この合金溶湯を公知の方法で鋳型に流し込み、冷却して、組成式がMmNiaCobAlcMnd(但し、a,b,c,dは比率を表す数値)で表される水素吸蔵合金のインゴットを作製した。
【0021】
この水素吸蔵合金インゴットを機械的粉砕法により、所定の平均粒子径(例えば、60μm)になるまで粉砕して、水素吸蔵合金粉末とした。ついで、得られた水素吸蔵合金粉末100質量部に対して、結着剤としてポリビニルピロリドン(PVP)と、ポリエチレンオキサイド(PEO)を混合して水素吸蔵合金ペーストを作製した。この水素吸蔵合金ペーストをパンチングメタルからなる芯体の両面に塗布し、室温で乾燥させた後、所定の厚みに圧延し、所定の寸法に切断して水素吸蔵合金負極b1〜b3,y1,y2をそれぞれ作製した。
【0022】
ここで、水素吸蔵合金中のマンガン(Mn)の含有量が2.6質量%となるように調製した水素吸蔵合金を用いて作製した水素吸蔵合金負極を負極b1とした。同様に、Mnの含有量が、2.0質量%となるように調製した合金を用いて作製したものを負極b2とし、5.0質量%となるように調製した合金を用いて作製したものを負極b3とした。また、6.0質量%となるように調製した合金を用いて作製したものを負極y1とし、1.3質量%となるように調製した合金を用いて作製したものを負極y2とした。
【0023】
3.ニッケル−水素蓄電池の作製
ついで、上述のようにして作製した焼結式ニッケル正極a1〜a5,x1〜x5と、水素吸蔵合金負極b1〜b3,y1,y2とを用意した。この後、親水性を付与したポリプロピレン製不織布からなるセパレータを間にして、正極a1〜a5,x1〜x5と負極b1〜b3,y1,y2をぞれぞれ配置した。ついで、渦巻状に巻回して渦巻状電極群をそれぞれ作製した。これらを外装缶内に挿入した後、各電極群の負極から延出する負極リードを負極集電体を介して外装缶に接続するとともに、正極から延出する正極リードを正極集電体を介して封口体に設けられた正極蓋に接続した。
【0024】
この後、外装缶内に電解液(例えば、KOH,LiOH,NaOHからなり7mol/lとなるアルカリ水溶液)を注入し、更に外装缶の開口部を封口体により封止して、公称容量が6000mAhのニッケル−水素蓄電池A〜Pをそれぞれ作製した。この後、これらの各電池A〜Pに200%の充電を行った後、24時間高温熟成し、ついで放置し、放電させるというサイクルを4サイクル繰り返して活性化した。
【0025】
ここで、正極a1と負極b1を用いたものを電池Aとした。同様に、正極a2と負極b2を用いたものを電池Bとし、正極a2と負極b3を用いたものを電池Cとし、正極a3と負極b2を用いたものを電池Dとし、正極a3と負極b3を用いたものを電池Eとした。また、正極a4と負極b2を用いたものを電池Fとし、正極a4と負極b3を用いたものを電池Gとし、正極a5と負極b2を用いたものを電池Hとし、正極a5と負極b3を用いたものを電池Iとした。
【0026】
また、正極x1と負極y1を用いたものを電池Jとし、正極x1と負極y2を用いたものを電池Kとした。また、正極a1と負極b1を用い、上述の活性化サイクルを8サイクル繰り返したものを電池Lとした。さらに、正極x2と負極b1を用いたものを電池Mとし、正極x3と負極b1を用いたものを電池Nとし、正極x4と負極b1を用いたものを電池Oとし、正極x5と負極b1を用いたものを電池Pとした。
【0027】
4.試験
(1)サイクル試験後のZn,Co,Mn量の測定
ついで、上述のように活性化した各電池A〜Pを、45℃の温度雰囲気中で、SOC(State Of Charge :充電状態)が20〜80%の範囲内に維持されるように制御を行いながら、50Aの間欠充放電を3ヶ月間繰り返して行った。このような間欠充放電試験を行った後、各電池A〜Pを解体して、正極、セパレータおよび水素吸蔵合金負極に含まれる元素をIPC−MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer)により分析して求めると、下記の表1に示すような結果が得られた。
【0028】
なお、正極およびセパレータについては、電池から摘出した後、30分間純水で洗浄し、乾燥したものを切り出して分析に供した。また、水素吸蔵合金については、電池から摘出した負極からスクレーパで剥離し、純水中でのホモジナイザー洗浄にて糊剤成分を取り除いたものを分析に供した。また、セパレータ中のCo,Mn量は溶解過程を経て析出した化合物量と、単にセパレータ上負極側表面に付着した合金粉末を区別するため、検出されたMn量から合金粉末由来のCo,Mn量を算出し、総量から差し引いた値とした。
【0029】
【表1】
【0030】
(2)電池特性試験
ついで、上述のように活性化した各電池A〜Pを、25℃の温度雰囲気で、6000mA(1ItmA)の充電電流で電池容量の50%まで充電した。この後、40A放電→40A充電→80A放電→80A充電→120A放電→120A充電→160A放電→160A充電の順で、それぞれ10分間の休止を挟みながら10秒間通電した。そして、10秒目の電池電圧を放電電流に対してプロットして最小二乗法にて直線近似し、直線の傾きを電池抵抗(mΩ)として出力特性の指標として初期出力特性(mΩ)およびサイクル後出力特性(mΩ)として求めると、下記の表2に示すような結果が得られた。
【0031】
更に、上述のように活性化した各電池A〜Pを、25℃の温度雰囲気で、6000mA(1ItmA)の充電電流で電池容量の80%まで充電し、3時間の休止を挟んで、6000mA(1ItmA)の放電電流で電池電圧が0.9Vに至るまで放電させた。この放電において、6000mA(1ItmA)の放電電流で、電池電圧が1.0Vに達するまでの容量を基準容量とした。
【0032】
ついで、再び、25℃の温度雰囲気で、6000mA(1ItmA)の充電電流で電池容量の80%まで充電した後、45℃の温度雰囲気で、1週間放置した。その後、25℃の温度雰囲気で6000mA(1ItmA)の放電電流で電池電圧が1.0Vに達するまでの容量を放置後容量とした。基準容量に対する放置後容量の百分率を自己放電特性の指標として初期自己放電特性(%)およびサイクル後自己放電特性(%)として求めると、下記の表2に示すような結果が得られた。
【0033】
【表2】
【0034】
上記表1および表2の結果から明らかなように、セパレータの質量に対して、セパレータ上に析出する亜鉛量、コバルト量、マンガン量が、それぞれ0.4質量%以下、0.5質量%以下、4.0質量%以下である電池A〜電池Iにおいては、自己放電特性および出力特性の両方が初期、サイクル後ともに良好であることが分かる。これに対して、電池J〜電池Nにおいては、サイクル後に自己放電特性が低下しており、電池O,Pにおいては、サイクル後に出力特性が低下していることが分かる。
【0035】
これは、電池Jにおいては、水素吸蔵合金中のMnの含有量が6.0質量%と過剰なために、セパレータ上へのMnの析出量も5.0質量%と多くなった。このため、実質上の正、負極間の距離が短くなり、自己放電反応の担体となるレドックスシャトル物質の正、負極間の移動が容易になって、自己放電量が増大したと考えられる。また、電池Kにおいては、電池Jとは逆に、水素吸蔵合金中のMnの含有量が1.3質量%と過少であるため、正極から溶出したCoが金属状態でセパレータ上へ析出して、正極と負極が直接接触するようになって、サイクル後に激しく自己放電特性が低下したと考えられる。
【0036】
また、電池Lにおいては、活性化処理において活性化の進行が過剰であるため、セパレータ上へのZn,Co,Mnの析出量(Znは0.5質量%で、Coは0.6質量%で、Mnは3.8質量%)が増加して、サイクル後の出力特性および自己放電特性がともに低下したと考えられる。
【0037】
また、電池Mにおいては、正極中のCoの添加量が3.5質量%と過剰であるため、セパレータ上へのCoの析出量が0.6質量%と増加して、サイクル後の自己放電特性が大きく低下したと考えられる。また、電池Nにおいては、正極中のZnの添加量が4.5質量%と過剰であるため、セパレータ上へのZnの析出量が0.5質量%と増加して、サイクル後の自己放電特性が大きく低下したと考えられる。
【0038】
さらに、電池Oにおいては、正極中のCoの添加量が0.2質量%と過少であるため、正極の導電性が低下することにより、電池の内部抵抗が上昇して、出力特性が低下したと考えられる。また、電池Pにおいては、正極中のZnの添加量が1.0質量%と過少であるため、たとえ過充電に晒されなくても正極が膨化するようになる。このため電池の内部抵抗が上昇して、出力特性が低下したと考えられる。
【0039】
これらに対して、部分充放電という特殊な充放電を行った場合、正極に添加されるCo量およびZn量、および水素吸蔵合金に含有されるMn量を、電池A〜電池Iのような範囲になるようにすると、セパレータの正極側表面に析出するCo−Mn酸化物、負極側の表面に析出するZn−Mn酸化物の析出量が減少することとなる。なお、部分充放電を行わない場合は、他の劣化モードが優先して起こるため、部分充放電を行った時のように特異な析出物による不具合が生じる前に電池寿命を迎えることとなる。
【0040】
以上のことから、セパレータに析出するZn量およびCo量はセパレータの質量に対して、それぞれ0.4質量%以下、0.5質量%以下となるように正極中にZnおよびCoを添加し、セパレータに析出するMn量がセパレータの質量に対して0.4質量%以下になるように水素吸蔵合金中にMnを含有させるのが望ましいということができる。具体的には、Zn量に関しては、正極の質量に対して1.5質量%以上で、4.0質量%以下とし、Co量に関しては、正極の質量に対して0.5質量%以上で、3.0質量%以下とし、Mn量に関しては、水素吸蔵合金の質量に対して2.0質量%以上で、5.0質量%以下とするのが好ましい。
【0041】
5.組電池
ついで、上述のようにして作製された電池A〜Iを用いて、これらを120個直列接続するとともに、これらにSOC(State Of Charge :充電状態)を制御できる部分充放電制御回路を接続して、それぞれ組電池を作製した。そして、SOCが20〜80%の範囲内に維持されるように制御を行ったところ、組電池内のいずれの電池も完全放電、満充電されることが無く、他の劣化モードの発生も認められなかった。
【0042】
このことから、本発明の電池A〜Iを用いて組電池を構成すれば、高出力特性と、低自己放電率を長期間にわたって維持できるニッケル−水素蓄電池よりなる組電池を提供することが可能となる。この場合、電池固有もしくは組電池内での配置位置による電池温度差による容量のばらつきによって、一部の電池が完全放電もしくは満充電されないようにするためには、SOCを40〜60%に制限するように制御することがより好ましい。
【0043】
【発明の効果】
上述したように、本発明においては、正極中に添加された亜鉛量を正極の質量に対して1.5質量%以上で、4.0質量%以下となるように規制して、セパレータ上への亜鉛の析出量が0.4質量%以下になるように規制している。また、正極中に添加されたコバルト量を正極の質量に対して0.5質量%以上で、3.0質量%以下となるように規制して、セパレータ上へのコバルトの析出量が0.5質量%以下になるように規制している。さらに、水素吸蔵合金中に含有されたマンガン量を負水素吸蔵合金の質量に対して2.0質量%以上で、5.0質量%以下となるように規制して、セパレータ上へのマンガンの析出量が4.0質量%以下になるように規制している。これにより、初期より出力特性・自己放電特性が高く、かつ長期間に渡って両特性の維持性に優れたニッケル水素電池を提供することが可能となる。
Claims (2)
- 水酸化ニッケルを主体とする正極活物質に亜鉛とコバルトが添加された正極と、マンガンを含有する水素吸蔵合金を有する負極と、これらの正極と負極を隔離するセパレータを備えたニッケル−水素蓄電池の複数個が直列接続された組電池であって、
前記ニッケル−水素蓄電池は、正極の質量に対して1.5質量%以上で、4.0質量%以下の亜鉛と、正極の質量に対して0.5質量%以上で、3.0質量%以下のコバルトが添加された正極と、水素吸蔵合金の質量に対して2.0質量%以上で、5.0質量%以下のマンガンが添加された負極とを備え、
前記ニッケル−水素蓄電池の複数個が直列接続されているとともに、これらの複数個のニッケル−水素蓄電池の充放電を制御する部分充放電制御手段を備えたことを特徴とする組電池。 - 前記部分充放電制御手段はSOC(State Of Charge)が20〜80%の範囲に維持されるように制御することを特徴とする請求項1に記載の組電池。
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JPH09213325A (ja) * | 1996-02-06 | 1997-08-15 | Toshiba Battery Co Ltd | アルカリ二次電池 |
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