JPH09213325A - アルカリ二次電池 - Google Patents

アルカリ二次電池

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JPH09213325A
JPH09213325A JP8019958A JP1995896A JPH09213325A JP H09213325 A JPH09213325 A JP H09213325A JP 8019958 A JP8019958 A JP 8019958A JP 1995896 A JP1995896 A JP 1995896A JP H09213325 A JPH09213325 A JP H09213325A
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JP
Japan
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positive electrode
nickel hydroxide
tin
cobalt
nickel
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Application number
JP8019958A
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English (en)
Inventor
Makoto Wakabayashi
誠 若林
Kunihiko Miyamoto
邦彦 宮本
Tetsuya Yamane
哲哉 山根
Masayoshi Hiruma
雅義 蛭間
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FDK Twicell Co Ltd
Original Assignee
Toshiba Battery Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温使用時の充電効率を向上させることによ
り正極容量を高め、高容量で、かつ長寿命なアルカリ二
次電池を提供しようとするものである。 【構成】 粉末X線回折(2θ)における(101)面
のピークの半価幅が0.8deg以上である水酸化ニッ
ケル粒子、導電材及び結着剤を含むペーストを集電体に
充填した構造を有する正極2と、負極4と、前記正極2
と前記負極4の間に介在されたセパレータ3と、アルカ
リ電解液とを具備したアルカリ二次電池において、前記
正極2は錫を含有するか、またはコバルト及び亜鉛から
選ばれる少なくとも一方の元素と錫を含有することを特
徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ二次電池に関
し、特に水酸化ニッケルを活物質として含む正極を改良
したアルカリ二次電池に係わる。
【0002】
【従来の技術】アルカリ二次電池に組込まれる正極とし
ては、従来より焼結式正極が用いられている。前記焼結
式正極は、穿孔鋼またはニッケル網体等の二次元基板に
ニッケル粒子を焼結し、得られた多孔板の十数ミクロン
の孔にニッケル塩水溶液を含浸した後、アルカリ処理し
て前記含浸ニッケル塩を水酸化ニッケルに変化させるこ
とにより製造される。
【0003】しかしながら、前記焼結式正極はその製造
においてニッケル塩の含浸工程およびアルカリ処理工程
のような複雑な活物質含浸操作を必要とする。また、所
定量の活物質を含浸するには前記操作を通常、4〜10
回程度繰り返す必要がある。その結果、製造コストが高
くなるという問題がある。さらに、前記焼結により得ら
れたニッケル粒子焼結体は、多孔度が80%を越えると
機械的強度を維持することが困難になるため、前記活物
質の充填量を増加させることには限界があった。
【0004】このようなことから、水酸化ニッケル粒子
に導電材、結着剤および水を添加、混合してペーストを
調製し、このペーストを平均多孔度が95%以上、平均
孔径が数10μm〜数100μmのスポンジ状金属多孔
体、金属繊維マットのような3次元構造の金属多孔体に
充填して正極を製造することが検討されている。このよ
うな方法により製造された正極は、焼結式正極に対して
非焼結式正極(またはペースト式正極)と呼ばれとい
る。前記ペースト式正極は、前記金属多孔体の多孔度お
よび平均孔径が前記焼結式正極に比べて大きいために活
物質の充填が容易で、かつ充填量を増加させることがで
きる利点を有する。
【0005】このペースト式正極においては、その容量
増大という利点を生かすために充放電効率を向上させる
ことが要望されている。充放電効率の向上については特
に高温時の充電効率が課題である。従って、高温時にお
ける正極の酸素過電圧を大きくして、充電電気エネルギ
ーの一部を酸素ガスの発生に消費されないようにするこ
とが重要である。
【0006】このような課題を解決するためには遷移金
属、遷移金属化合物を添加することが焼結式正極におい
て採用されている。添加する遷移金属元素としては、一
般にカドミウム(Cd)、コバルト(Co)が広く知ら
れている。前記遷移金属元素の添加形態としては、水酸
化ニッケル粒子の内部にニッケル原子と共に固溶化させ
る方法(共沈添加法)と、水酸化ニッケル粒子と共に遷
移金属粒子または遷移金属化合物(主に酸化物や水酸化
物)粒子をペーストを調製工程の混練時に混ぜる方法
(混合添加法)が知られている。しかしながら、環境面
からの電池の成分に対する意識の高まりから、例えばニ
ッケル水素二次電池の正極に含まれる非常に僅かなカド
ミウムについても規制が強化され、カドミウム・フリー
の電池が要望されている。
【0007】そこで、カドミミウムに代えて亜鉛または
亜鉛化合物を共沈添加する方法が例えば特開平2−30
061号公報に、混合添加法が特開平3−77273号
公報にそれぞれ開示されている。しかしながら、亜鉛共
沈添加法、亜鉛混合添加法で造られた水酸化ニッケル粒
子を含む正極はカドミウム同量添加した水酸化ニッケル
粒子を含む正極に比べて高温使用時における低レートの
充電効率が約15〜20%程度劣る。その結果、カドミ
ウム・フリーの正極を得ることができるものの、電池と
して組み込んだ場合に前記充放電効率の向上については
根本的に解決に至っていないのが実状である。
【0008】一方、特開平5−21064号公報にはC
d、Ca、Zn、Mg、Fe、CoおよびMnのうちの
少なくとも1種を含み、球状または球状様の粒子と非球
状粒子との混合物からなる水酸化ニッケル粒子を含有し
た正極を備え、前記正極の充電時における膨脹を抑制
し、正極の容量密度とサイクル寿命特性を向上させたア
ルカリ蓄電池が開示されている。
【0009】また、特開平6−103974号公報に
は、水酸化ニッケル粉末を主体とし、これにCoを1〜
10wt.%と少なくとも1種のA元素を1〜12w
t.%とを含有する球状の粒子集団からなる(但し、A
元素は、In、Bi、Te、Ge、Tl、Sn、Sb、
Gaの群から選んだ少なくとも1種)アルカリ蓄電池の
ペースト式正極用活物質が開示されている。このような
活物質を含む正極を備えたアルカリ蓄電池は、正極活物
質の利用率が向上され、同時に電池過充電時に生じる過
酸化ニッケルの崩壊を抑制するため、充放電サイクル寿
命と容量が向上されることが開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高温
使用時の充電効率を向上させることにより正極利用率を
高め、高容量で、かつ長寿命なアルカリ二次電池を提供
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるアルカリ
二次電池は、粉末X線回折(2θ)における(101)
面のピークの半価幅が0.8deg以上である水酸化ニ
ッケル粒子、導電材及び結着剤を含むペーストを集電体
に充填した構造を有する正極と、負極と、前記正極と前
記負極の間に介在されたセパレータと、アルカリ電解液
とを具備したアルカリ二次電池において、前記正極は錫
を含有するか、またはコバルト及び亜鉛から選ばれるす
くなくとも一方の元素と錫を含有することを特徴とする
ものである。
【0012】前記二次電池において、前記正極の錫、ま
たは錫及びコバルト、もしくは錫及び亜鉛、あるいは
錫、コバルト及び亜鉛の含有量は、前記水酸化ニッケル
に対して1〜11重量%であることが好ましい。また、
前記正極の錫の含有量は、前記水酸化ニッケルに対して
1〜6重量%にすることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるアルカリ二
次電池を図1を参照して詳細に説明する。有底円筒状の
容器1内には、正極2とセパレータ3と負極4とを積層
してスパイラル状に捲回することにより作製された電極
群5が収納されている。前記負極4は、前記電極群5の
最外周に配置されて前記容器1と電気的に接触してい
る。アルカリ電解液は、前記容器1内に収容されてい
る。中央に孔6を有する円形の第1の封口板7は、前記
容器1の上部開口部に配置されている。リング状の絶縁
性ガスケット8は、前記封口板7の周縁と前記容器1の
上部開口部内面の間に配置され、前記上部開口部を内側
に縮径するカシメ加工により前記容器1に前記封口板7
を前記ガスケット8を介して気密に固定している。正極
リード9は、一端が前記正極2に接続、他端が前記封口
板7の下面に接続されている。帽子形状をなす正極端子
10は、前記封口板7上に前記孔6を覆うように取り付
けられている。ゴム製の安全弁11は、前記封口板7と
前記正極端子10で囲まれた空間内に前記孔6を塞ぐよ
うに配置されている。中央に穴を有する絶縁材料からな
る円形の押え板12は、前記正極端子10上に前記正極
端子10の突起部がその押え板12の前記穴から突出さ
れるように配置されている。外装チューブ13は、前記
押え板12の周縁、前記容器1の側面及び前記容器1の
底部周縁を被覆している。
【0014】以下、前記負極4、正極2、セパレータ3
およびアルカリ電解液について詳細に説明する。 1)負極4 前記負極4は、例えば水素を吸蔵・放出する水素吸蔵合
金粒子を含む水素吸蔵合金負極からなる。このような負
極は、前記水素吸蔵合金粉末、導電材および結着剤を含
む組成の合剤を集電体である導電性芯体に固定化した構
造を有する。
【0015】前記負極4の合剤中に配合される水素吸蔵
合金としては、例えばLaNi5 、MmNi5 (Mmは
ミッシュメタル)、LmNi5 (LmはLaを含む希土
類元素から選ばれる少なくとも一種)、これら合金のN
iの一部をAl、Mn、Co、Ti、Cu、Zn、Z
r、Cr、Bのような元素で置換した多元素系のもの、
またはTiNi系、TiFe系のものを挙げることがで
きる。特に、一般式LmNiw Cox Mny Alz (原
子比w,x,y,zの合計値は5.00≦w+x+y+
z≦5.50である)で表される組成の水素吸蔵合金は
充放電サイクルの進行に伴う微粉化を抑制して充放電サ
イクル寿命を向上できるための好適である。前記一般式
LmNiw Cox Mny Alz の水素吸蔵合金の中で、
下記の組成を有する3つの水素吸蔵合金がより好まし
い。
【0016】一般式LmNiw Cox Mny Alz (但
し、LmはLaを含む希土類元素から選ばれる少なくと
も一種からなり、原子比w,x,y,zの値がそれぞ
れ、4.09≦w≦4.50,0.38≦x<0.4
1,0.28≦y<0.31,0.28≦z<0.31
であり、かつ前記原子比w,x,y,zの合計値が5.
10≦w+x+y+z≦5.50を示す)で表される水
素吸蔵合金。
【0017】一般式LmNiw Cox Mny Alz (但
し、LmはLaを含む希土類元素から選ばれる少なくと
も一種からなり、原子比w,x,y,zの値がそれぞ
れ、4.09≦w≦4.50,0.41≦x≦0.5
0,0.28≦y<0.31,0.28≦z<0.31
であり、かつ前記原子比w,x,y,zの合計値が5.
10≦w+x+y+z≦5.50を示す)で表される水
素吸蔵合金。
【0018】一般式LmNiw Cox Mny Alz (但
し、LmはLaを含む希土類元素から選ばれる少なくと
も一種からなり、原子比w,x,y,zの値がそれぞ
れ、4.09≦w≦4.50,0.38≦x<0.4
1,0.28≦y<0.31,0.31≦z≦0.50
であり、かつ前記原子比w,x,y,zの合計値が5.
10≦w+x+y+z≦5.50を示す)で表される水
素吸蔵合金。
【0019】前記導電材としては、例えばカーボンブラ
ック、黒鉛等を挙げることができる。このような導電材
は、前記水素吸蔵合金粉末100重量部に対して0.1
〜4重量部の範囲で配合することが好ましい。
【0020】前記結着剤としては、例えばポリアクリル
酸ソーダ、ポリアクリル酸カリウムなどのポリアクリル
酸塩、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの
フッ素系樹脂、またはカルボキシメチルセルロース(C
MC)等を挙げることができる。このような結着剤は、
前記水素吸蔵合金100重量部に対して0.1〜5重量
部配合することが好ましい。
【0021】前記導電性芯体としては、例えばパンチド
メタル、エキスパンドメタル、金網等の二次元構造のも
の、発泡メタル、網状焼結金属繊維などの三次元構造の
もの等を挙げることができる。
【0022】2)正極2 前記正極2は、水酸化ニッケル粒子、導電材及び結着剤
を含むペーストを集電体に充填した構造を有する。この
ような正極2は、錫を含有するか、もしくは錫とコバル
トを含有するか、または錫と亜鉛を含有するか、あるい
は錫、コバルト及び亜鉛を含有する。
【0023】前記水酸化ニッケル粒子は、粉末X線回折
(2θ)における(101)面のピークの半価幅が0.
8deg以上である。前記半価幅を0.8deg未満に
すると、高温環境下における充電効率を改善することが
困難になる。
【0024】前記水酸化ニッケル粒子は、球状もしくは
それに近似した形状を持つことが好ましい。前記水酸化
ニッケル粒子は、平均粒径が5〜30μm、タップ密度
が1.8g/cm3 以上であることが好ましい。
【0025】前記水酸化ニッケル粒子は、比表面積が8
〜25m2 /gであることが好ましい。前記正極2のペ
ースト中に配合される導電材としては、例えば金属コバ
ルトまたは水酸化コバルト、一酸化コバルトのようなコ
バルト化合物を挙げることができる。ただし、前記金属
コバルトまたはコバルト化合物は水酸化ニッケルと共沈
されず、単に混合されている。このような導電材は、前
記水酸化ニッケル粒子に対して5〜10重量%の範囲に
することが望ましい。
【0026】前記正極2のペースト中に配合される結着
剤としては、例えば例えばカルボキシメチルセルロー
ス、ポリアクリル酸塩、及びフッ素系樹脂(例えばポリ
テトラフルオロエチレン)等を挙げることができる。こ
のような結着剤は、前記水酸化ニッケルに対して1〜5
重量%の範囲にすることが望ましい。
【0027】前記集電体としては、例えばパンチドメタ
ル、エキスパンドメタル、金網等の二次元構造のもの、
またはスポンジ状金属多孔体、金属繊維マット等の三次
元構造のものを挙げることができる。
【0028】錫、コバルト、亜鉛の正極への添加形態
は、水酸化ニッケル粒子に共沈させる方法でも水酸化ニ
ッケル粒子と共に錫化合物、コバルト化合物、亜鉛化合
物の粉末をペースト調製工程の混練時に混ぜる方法でも
良い。
【0029】前記共沈とは、水酸化ニッケル(OH−N
i−OH)のNiと異種元素(錫、コバルト及び亜鉛か
ら選ばれる少なくとも一種)が置換されることによって
前記水酸化ニッケル中にニッケル−異種元素の固溶体が
形成されることを意味する。
【0030】この異種元素が共沈された水酸化ニッケル
粒子は例えば次に示す方法により作製することができ
る。金属ニッケルと、コバルト、亜鉛及び錫から選ばれ
る1種以上の異種金属とを硫酸水溶液に溶解させ、ニッ
ケル錯イオンおよび異種金属錯イオンを生成させた後、
この溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下することによ
り異種元素が共沈された水酸化ニッケル粒子を成長させ
る。この中和過程において、前記各錯イオンを含む溶液
を対流させながら、水酸化ナトリウム水溶液に滴下する
ことにより水酸化ニッケルの結晶核の生成および結晶成
長を徐々に行わせることができる。その結果、球状もし
くはそれに近似した形状をなし、かつ気孔の少ない高密
度の水酸化ニッケル粒子を得ることが可能になる。ま
た、前記異種元素が共沈された水酸化ニッケル結晶は前
記硫酸水溶液中のニッケルおよび異種金属の錯イオンを
水酸化ナトリウム水溶液で中和する際に温度およびpH
をコントロールすることにより大きくすることができ
る。具体的には、転位温度近傍の温度(この場合40
℃)にコントロールし、弱塩基領域にpHをコントロー
ルして可能な限り中和に近い準安定領域(例えばpH1
1)にすることにより大きな水酸化ニッケル結晶を生成
することが可能になる。なお、小さな水酸化ニッケル結
晶を生成するには大きな結晶に成長する前に反応を停止
させればよい。
【0031】前記異種元素(錫もしくは錫とコバルトま
たは錫と亜鉛、あるいは錫、コバルト及び亜鉛)は、水
酸化ニッケルに対して1〜11重量%の範囲内で正極2
に含有されていることが好ましい。これは次のような理
由によるものである。含有量を1重量%未満にすると、
高温使用時における充電効率を改善することが困難にな
る恐れがある。一方、含有量が11重量%を越えると、
正極活物質である水酸化ニッケルの量が不足し、正極容
量の低下を招く恐れがある。
【0032】錫のみを含有する正極2においては、錫の
含有量が増加するに従って高温時における充電効率が向
上されるが、前記含有量が水酸化ニッケルの6重量%を
越えると飽和に達する。このため、水酸化ニッケル量の
減少を抑える観点から錫の含有量は1〜6重量%の範囲
にすることが好ましい。
【0033】一方、コバルト及び亜鉛から選ばれる少な
くとも一方の元素と錫とを含む正極2において、錫の含
有量は、それぞれ水酸化ニッケルに対して1〜6重量%
にすることが好ましい。これは次のような理由によるも
のである。錫の含有量を1重量%未満にすると、高温使
用時における充電効率を改善することが困難になる恐れ
がある。一方、錫の含有量が6重量%を越えるのは、6
重量%で錫による充電効率改善の効果が飽和に達するた
め、好ましくない。
【0034】また、このような正極2において、亜鉛及
び/またはコバルトの含有量は、水酸化ニッケルに対し
て1.0〜5重量%にすることが好ましい。これは次の
ような理由によるものである。亜鉛及び/またはコバル
トの含有量を1.0重量%未満にすると、高温使用時に
おける充電効率を改善することが困難になる恐れがあ
る。一方、亜鉛及び/またはコバルトの含有量が5重量
%を越えると、充電効率が飽和されるため、好ましくな
い。また、これらの元素を共沈法で正極に添加する場
合、ニッケル以外の金属元素の含有により水酸化ニッケ
ルの純度が低下して正極容量が低下する恐れがある。
【0035】特に、前記正極2は、錫の水酸化ニッケル
に対する含有量を1〜6重量%にし、亜鉛および/また
はコバルトの水酸化ニッケルに対する含有量を1〜5重
量%にし、かつ総量を水酸化ニッケルに対して3〜8重
量%にすることが好ましい。
【0036】前記正極2は、例えば以下に説明する方法
によって作製することができる。 (1)錫単独か、もしくはコバルト及び亜鉛から選ばれ
る少なくとも一方の元素と錫が共沈された水酸化ニッケ
ル粒子、前記導電材を前記結着剤と共に水の存在下で混
練してペーストを調製し、このペーストを前記集電体に
充填、乾燥した後、必要に応じてローラプレスすること
により製造される。
【0037】(2)水酸化ニッケル粒子と、錫化合物の
粉末単独か、もしくはコバルト化合物及び亜鉛化合物か
ら選ばれる少なくとも一方の粉末及び錫化合物の粉末
と、前記導電材と、前記結着剤を水の存在下で混練して
ペーストを調製し、このペーストを前記集電体に充填、
乾燥した後、必要に応じてローラプレスすることにより
製造される。
【0038】前記錫化合物としては、金属錫、水酸化錫
(Sn(OH)2 )、酸化錫(SnO)、二酸化錫(S
nO2 )等を挙げることができる。前記コバルト化合物
としては、金属コバルト、酸化コバルト(CoO)、水
酸化コバルト{Co(OH)2 }、四酸化三コバルト
(Co34 )等を挙げることができる。
【0039】前記亜鉛化合物としては、金属亜鉛、酸化
亜鉛(ZnO)、水酸化亜鉛{Zn(OH)2 }等を挙
げることができる。 (3)コバルト及び/又は亜鉛が共沈された水酸化ニッ
ケル粒子と、錫化合物の粉末と、前記導電材を前記結着
剤と共に水の存在下で混練してペーストを調製し、この
ペーストを前記集電体に充填、乾燥した後、必要に応じ
てローラプレスすることにより製造される。
【0040】前記錫化合物としては、前述したのと同様
なものを挙げることができる。 (4)錫が共沈された水酸化ニッケル粒子と、コバルト
化合物粉末及び/又は亜鉛化合物粉末と、前記導電材
と、前記結着剤を水の存在下で混練してペーストを調製
し、このペーストを前記集電体に充填、乾燥した後、必
要に応じてローラプレスすることにより製造される。
【0041】前記コバルト化合物及び亜鉛化合物として
は、前述したのと同様なものを挙げることができる。 3)セパレータ3 前記セパレータ3としては、例えばポリプロピレン不織
布、ナイロン不織布、ポリプロピレン繊維とナイロン繊
維を混繊した不織布等からなるものを挙げることができ
る。特に、表面が親水化処理されたポリプロピレン不織
布はセパレータ3として好適である。前記セパレータ3
は、厚さが100〜200μmのものを用いることが好
ましい。
【0042】4)アルカリ電解液 前記アルカリ電解液としては、例えば水酸化ナトリウム
(NaOH)と水酸化リチウム(LiOH)の混合液、
水酸化カリウム(KOH)とLiOHの混合液、又はN
aOH、KOH及びLiOHの混合液等を用いることが
できる。
【0043】なお、前述した図1では負極4および正極
2の間にセパレータ3を介在して渦巻状に捲回し、有底
円筒状の容器1内に収納したが、複数の負極および複数
の正極の間にセパレータをそれぞれ介在して積層物と
し、この積層物を有底矩形筒状の容器内に収納してもよ
い。
【0044】本発明に係わるアルカリ二次電池は、粉末
X線回折(2θ)における(101)面のピークの半価
幅が0.8deg以上である水酸化ニッケル粒子と、導
電材と、結着剤とを含むペーストが集電体に充填された
構造を有すると共に、錫を含有するか、またはコバルト
及び亜鉛から選ばれる少なくとも一方の元素と錫を含有
する正極を備える。このような二次電池は、高温使用に
おける充電効率を向上することができるため、正極の利
用率を向上することができ、高容量化と長寿命化を達成
することができる。前記構成の正極によって高温使用時
の充電効率が改善できる理由は明らかではないが、次の
ようなメカニズムによるものと考えられる。
【0045】酸素過電圧とは、通常、下記式(1)、式
(2)の2つの反応が起こる電位の差を意味する。 Ni(OH)2 +OH- →NiOOH+H2 O+e- (1) OH- →1/2 H2 O+1/4 O2 +e- (2) 同じレート、同じ深度で充電を行う際、充電効率を高め
るためには前記式(1)の反応電位を可能な限り下げ、
一方前記式(2)の反応電位を可能な限り上げて前記式
(1)の反応、つまりオキシ水酸化ニッケルを生成する
反応に充電電気エネルギーが可能な限り費やされるよう
にすればよい。換言すれば、酸素過電圧を大きくすれば
よい。
【0046】粉末X線回折(2θ)における(101)
面のピークの半価幅が0.8deg以上である水酸化ニ
ッケル粒子は、前述した式(1)の反応電位(逆方向の
反応についても同様)を下げ、その反応を起こし易くす
ることができる。
【0047】すなわち、一般的に正極における充放電プ
ロセスは水酸化ニッケル粒子内部の層間をプロトン(H
+ )が拡散するプロセスと、このプロトンを外部回路か
ら出入れする電子(e- )と金属多孔体−導電材を介し
て電気的に中和するプロセスの2つに分けられると考え
られている。
【0048】粉末X線回折(2θ)における(101)
面のピーク半価幅が大きければ大きいほど、結晶が歪ん
でいるといえる。前記ピーク半価幅が0.8deg以上
である水酸化ニッケル粒子は、結晶歪が大きいため、そ
の内部のプロトン拡散をスムーズに行うことができ、前
記式(1)の反応電位を下げることができる。また、結
晶歪を判断する尺度としては、勿論、(101)面に限
らず、(001)面、(100)面の半価幅を用いるこ
とができる。
【0049】一方、錫を含む正極は、前記式(1)の反
応電位を下げることができる。従って、粉末X線回折
(2θ)における(101)面のピーク半価幅が特定の
値である水酸化ニッケル粒子と、錫を含む正極を備えた
アルカリ二次電池は、高温雰囲気で充電する際の酸素過
電圧を大きくすることができるため、高温使用における
充電効率を向上することができる。その結果、前記二次
電池は、正極の利用率を向上することができるため、放
電容量および充放電サイクル寿命を改善することができ
る。
【0050】この特定の半価幅を持つ水酸化ニッケル粒
子及び錫を含む正極に更にコバルトを含有させると、前
記式(1)の反応電位を更に下げることができ、同時に
前記式(2)の反応電位を上げることができるため、前
記酸素過電圧を増大させることができる。従って、正極
の高温使用時の充電効率が大幅に向上され、放電容量及
びサイクル特性が飛躍的に改善されたアルカリ二次電池
を提供することができる。
【0051】また、前記半価幅を持つ水酸化ニッケル粒
子と錫を含む正極に更に亜鉛を含有させると、前記式
(2)の反応電位を上げることができるため、前記酸素
過電圧を増大させることができる。このため、正極の高
温使用時の充電効率が大幅に向上され、放電容量及びサ
イクル特性が飛躍的に改善されたアルカリ二次電池を提
供することができる。
【0052】また、前記半価幅を持つ水酸化ニッケル粒
子と錫を含む正極に亜鉛及びコバルトを含有させると、
正極の高温使用時の充電効率を飛躍的に改善することが
できるため、放電容量及びサイクル特性を更に向上する
ことができる。
【0053】前記半価幅を持つ水酸化ニッケル粒子及び
錫か、もしくは錫の他にコバルト及び亜鉛のいずれか一
方か、または両者を含む正極を備えたアルカリ二次電池
において、前記水酸化ニッケル粒子の平均粒径を5〜3
0μm、その比表面積を8〜25m2 /gにすることに
よって、電導性および反応性を改善して前述した充放電
プロセスにおける後者のプロトン(H+ )と電子(e
- )の中和プロセスを円滑に進行させることができ、利
用率を向上することができる。
【0054】さらに、そのタップ密度が1.8g/cm
3 以上で、球状もしくはこれに近似した形状の水酸化ニ
ッケル粒子を用いることによって、集電体へのペースト
の充填量を多量にしかも均一にでき、高容量にすること
ができ、電池間の容量ばらつきを解消できると共に、充
放電時における電流集中を解消できる。その結果、サイ
クル寿命を向上することができる。
【0055】
【実施例】以下、好ましい本発明の実施例を詳細に説明
する。 実施例1 まず、金属ニッケル(Ni)を硫酸水溶液に溶解させ
て、ニッケル錯イオンが生成された溶液を調製した。つ
づいて、これら溶液を水酸化ナトリウム水溶液にそれぞ
れ滴下することにより水酸化ニッケル粒子を得た。この
中和過程において、前記水酸化ナトリウム水溶液に対流
を起こさせて水酸化ニッケル結晶を徐々に成長させ、か
つ温度およびpHをコントロールした。
【0056】得られた水酸化ニッケル粒子は、球状をな
し、かつ気孔の少ない高密度を有していた。また、前記
各水酸化ニッケル粒子は平均粒径が10μm、タップ密
度が2.2g/cm3 で、比表面積が18.0m2 /g
であった。
【0057】なお、前記平均粒径は得られた水酸化ニッ
ケル粒子をレーザ法により粒度分布を測定し、その累積
の50%から求めた。前記タップ密度は、SEISHIN CO,L
TDの商品名;SEISHIN TAPDENSER KYT 3000を使用し、そ
の容器(容量;20cm3 )内に得られた水酸化ニッケ
ル粒子を充填した後、200回のタッピングを行って測
定することにより求めた。前記比表面積は、窒素BET
吸着法により測定して求めた。
【0058】さらに、水酸化ニッケル粒子について粉末
X線回折(2θ)における(101)面の回折ピークの
半価幅を測定した。その結果、半価幅が0.9degで
あった。
【0059】次いで、前記水酸化ニッケル粒子100重
量部に、一酸化コバルト5.5重量部と、二酸化錫(S
nO2 )を前記水酸化ニッケルに対して1重量%、3重
量%、6重量%、10重量%になるように添加し、これ
らをカルボキシルメチルセルロース(結着剤)および純
水と共に混練してすることにより4種のペーストを調製
した。つづいて、これらペーストを多孔度96%、平均
孔径200μmのニッケルメッキ金属多孔体に充填した
後、乾燥することにより4種のニッケル正極を作製し
た。
【0060】また、市販のMm(ミッシュ・メタル;希
土類元素の混合物)、Ni、Co、Mn、Alを重量比
でそれぞれ4.0:0.4:0.3:0.3の割合にな
るように秤量した後、高周波溶解炉で溶解し、その溶湯
を冷却することによりMmNi4.0 Co0.4 Mn0.3
0.3 の組成からなる合金インゴットを作製した。つづ
いて、前記合金インゴットを機械粉砕し、篩分けするこ
とにより粒径50μm以下の水素吸蔵合金粉末とした。
ひきつづき、この水素吸蔵合金粉末にカルボキシメチル
セルロース、カーボンおよびを水を加えてペーストを調
製した。その後、前記ペーストをパンチドメタルに塗布
し、乾燥し、成形することにより負極を作製した。
【0061】得られた正極および負極の間に親水処理し
たポリプロピレン不織布からなるセパレータを配置し、
渦巻状の電極群を作製した。これら電極群を金属容器に
収納した後、水酸化カリウム、水酸化リチウムおよび水
酸化ナトリウムからなる電解液を前記容器内に収容し、
金属蓋体等の各部材を用いて前述した図1に示す構造の
4種のニッケル水素二次電池を組み立てた。 実施例2 まず、金属ニッケル(Ni)、金属コバルト(Co)を
硫酸水溶液に溶解させて、ニッケル錯イオンおよびコバ
ルト錯イオンが生成された溶液を調製した。つづいて、
これら溶液を水酸化ナトリウム水溶液にそれぞれ滴下す
ることにより水酸化ニッケル粒子を得た。この中和過程
において、前記水酸化ナトリウム水溶液に対流を起こさ
せて水酸化ニッケル結晶を徐々に成長させ、かつ温度お
よびpHをコントロールした。
【0062】上記手法によってコバルトが水酸化ニッケ
ルに対して0.5重量%、1重量%、2重量%、5重量
%の割合で共沈された4種類の水酸化ニッケル粒子を作
製した。得られた各水酸化ニッケル粒子は、球状をな
し、かつ気孔の少ない高密度を有していた。また、前記
各水酸化ニッケル粒子は平均粒径が10μm、タップ密
度が2.2g/cm3 で、比表面積が18.0m2 /g
であった。なお、平均粒径、タップ密度および比表面積
は前述したのと同様な方法によって測定した。
【0063】さらに、各水酸化ニッケル粒子について粉
末X線回折(2θ)における(101)面の回折ピーク
の半価幅を測定した。その結果、いずれの水酸化ニッケ
ル粒子も半価幅が0.9degであった。
【0064】次いで、前記4種のコバルト共沈水酸化ニ
ッケル粒子100重量部に、一酸化コバルト5.5重量
部と、二酸化錫(SnO2 )を前記水酸化ニッケルに対
して1重量%、3重量%、6重量%、10重量%になる
ようにそれぞれ添加し、これらをカルボキシルメチルセ
ルロース(結着剤)および純水と共に混練してすること
により16種のペーストを調製した。つづいて、これら
ペーストを多孔度96%、平均孔径200μmのニッケ
ルメッキ金属多孔体に充填した後、乾燥することにより
16種のニッケル正極を作製した。
【0065】得られた各正極と、実施例1と同様な負極
の間に実施例1と同様なセパレータを介在し、渦巻状の
電極群を作製した。前記電極群と実施例1と同様な組成
のアルカリ電解液を金属容器内に収納した後、金属蓋体
等の各部材を用いて前述した図1に示す構造の16種の
ニッケル水素二次電池を組み立てた。 実施例3 まず、金属ニッケル(Ni)、金属亜鉛(Zn)を硫酸
水溶液に溶解させて、ニッケル錯イオンおよび亜鉛錯イ
オンが生成された溶液を調製した。つづいて、これら溶
液を水酸化ナトリウム水溶液にそれぞれ滴下することに
より水酸化ニッケル粒子を得た。この中和過程におい
て、前記水酸化ナトリウム水溶液に対流を起こさせて水
酸化ニッケル結晶を徐々に成長させ、かつ温度およびp
Hをコントロールした。
【0066】上記手法によって亜鉛が水酸化ニッケルに
対して1重量%、2重量%、5重量%の割合で共沈され
た3種類の水酸化ニッケル粒子を作製した。得られた各
水酸化ニッケル粒子は、球状をなし、かつ気孔の少ない
高密度を有していた。また、前記各水酸化ニッケル粒子
は平均粒径が10μm、タップ密度が2.2g/cm3
で、比表面積が18.0m2 /gであった。なお、平均
粒径、タップ密度および比表面積は前述したのと同様な
方法によって測定した。
【0067】さらに、各水酸化ニッケル粒子について粉
末X線回折(2θ)における(101)面の回折ピーク
の半価幅を測定した。その結果、いずれの水酸化ニッケ
ル粒子も半価幅が0.9degであった。
【0068】次いで、前記3種の亜鉛共沈水酸化ニッケ
ル粒子100重量部に、一酸化コバルト5.5重量部
と、二酸化錫(SnO2 )を前記水酸化ニッケルに対し
て1重量%、3重量%、6重量%、10重量%になるよ
うにそれぞれ添加し、これらをカルボキシルメチルセル
ロース(結着剤)および純水と共に混練してすることに
より12種のペーストを調製した。つづいて、これらペ
ーストを多孔度96%、平均孔径200μmのニッケル
メッキ金属多孔体に充填した後、乾燥することにより1
2種のニッケル正極を作製した。
【0069】得られた各正極と、実施例1と同様な負極
の間に実施例1と同様なセパレータを介在し、渦巻状の
電極群を作製した。前記電極群と実施例1と同様な組成
のアルカリ電解液を金属容器内に収納した後、金属蓋体
等の各部材を用いて前述した図1に示す構造の12種の
ニッケル水素二次電池を組み立てた。 実施例4 まず、金属ニッケル(Ni)、金属亜鉛(Zn)及び金
属コバルト(Co)を硫酸水溶液に溶解させて、ニッケ
ル錯イオン、コバルト錯イオンおよび亜鉛錯イオンが生
成された溶液を調製した。つづいて、これら溶液を水酸
化ナトリウム水溶液にそれぞれ滴下することにより水酸
化ニッケル粒子を得た。この中和過程において、前記水
酸化ナトリウム水溶液に対流を起こさせて水酸化ニッケ
ル結晶を徐々に成長させ、かつ温度およびpHをコント
ロールした。
【0070】上記手法によって亜鉛が水酸化ニッケルに
対して2重量%の割合で共沈されると共にコバルトが水
酸化ニッケルに対して2重量%の割合で共沈された水酸
化ニッケル粒子を作製した。得られた水酸化ニッケル粒
子は、球状をなし、かつ気孔の少ない高密度を有してい
た。また、前記水酸化ニッケル粒子は平均粒径が10μ
m、タップ密度が2.2g/cm3 で、比表面積が1
8.0m2 /gであった。なお、平均粒径、タップ密度
および比表面積は前述したのと同様な方法によって測定
した。
【0071】さらに、前記水酸化ニッケル粒子について
粉末X線回折(2θ)における(101)面の回折ピー
クの半価幅を測定した。その結果、いずれの水酸化ニッ
ケル粒子も半価幅が0.9degであった。
【0072】次いで、前記亜鉛及びコバルト共沈水酸化
ニッケル粒子100重量部に、一酸化コバルト5.5重
量部と、二酸化錫(SnO2 )を前記水酸化ニッケルに
対して1重量%、3重量%、6重量%、10重量%にな
るようにそれぞれ添加し、これらをカルボキシルメチル
セルロース(結着剤)および純水と共に混練してするこ
とにより4種のペーストを調製した。つづいて、これら
ペーストを多孔度96%、平均孔径200μmのニッケ
ルメッキ金属多孔体に充填した後、乾燥することにより
4種のニッケル正極を作製した。
【0073】得られた各正極と、実施例1と同様な負極
の間に実施例1と同様なセパレータを介在し、渦巻状の
電極群を作製した。前記電極群と実施例1と同様な組成
のアルカリ電解液を金属容器内に収納した後、金属蓋体
等の各部材を用いて前述した図1に示す構造の4種のニ
ッケル水素二次電池を組み立てた。 比較例 実施例2と同様な手法によって亜鉛およびコバルトがそ
れぞれ水酸化ニッケルに対して5重量%および1重量%
の割合で共沈された水酸化ニッケル粒子を作製し、酸化
錫を添加せずに正極を作製したこと以外は、実施例2と
同様な方法により前述した図1に示す構造のニッケル水
素二次電池を組み立てた。
【0074】得られた実施例1〜3および比較例の37
種の二次電池について、25℃、15時間のエージング
を行い、0.1CmAの電気量で15時間充電し、30
分間の休止をおいて1.0CmA/1.0Vのカットの
放電して初充放電を行った。
【0075】初充放電が施された二次電池を25℃下で
1.0CmAの電流で120%の深度まで充電し、1.
0CmA/1.0Vのカットの放電を行った。この時の
放電容量を25℃の基準値とした。その後、60℃下で
1.0CmAの電流で120%の深度まで充電し、25
℃下で1.0CmA/1.0Vのカットの放電を行い、
その放電容量の前記基準値に対する比率を求め、これを
充電効率とした。その結果を比較例の充電効率を100
として図2に示す。
【0076】図2から明らかなように、粉末X線回折
(2θ)における(101)面の回折ピークの半価幅が
0.8deg以上である水酸化ニッケルと、錫か、錫の
他に亜鉛およびコバルトのいずれか一方か、または両者
を含む正極を備えた二次電池は、高温使用における充電
効率を改善できることがわかる。特に、3重量%以上の
錫及び2.0〜5.0重量%のコバルト(もしくは亜
鉛)を含む正極を備えた二次電池と、3重量%以上の錫
と2重量%の亜鉛と2重量%のコバルトを含む正極を備
えた二次電池は、高温使用における充電効率を大幅に改
善できることがわかる。 実施例5 まず、金属ニッケル(Ni)および金属コバルト(C
o)を硫酸水溶液に溶解させて、ニッケル錯イオンおよ
びコバルト錯イオンが生成された4種の溶液を調製し
た。つづいて、これら溶液を水酸化ナトリウム水溶液に
それぞれ滴下した。この中和過程において、前記水酸化
ナトリウム水溶液に対流を起こさせ、かつpH、錯イオ
ン濃度および中和浴温度をコントロールして結晶成長速
度を変えることによって、形状が球状、平均粒径が10
μm、タップ密度が2.2g/cm3、比表面積が1
8.0m2 /gで、水酸化ニッケルに対して1.5重量
%のコバルトが共沈された構造を有する4種の水酸化ニ
ッケル粒子を製造した。
【0077】得られた4種のコバルト共沈水酸化ニッケ
ル粒子A、B、C、Dについて、粉末X線回折分析装置
(島津製作所製商品名;XD−3A、管球はCu・K
α)を用いて粉末X線回折(2θ)における(101)
面相当38.7゜付近のピークの半価幅を測定した。そ
の結果、半価幅はそれぞれ0.4deg、0.6de
g、0.8deg、1.0degであった。なお、X線
粉末回折チャートの一例を図3に示す。
【0078】前記水酸化ニッケル粒子を用いた以外、実
施例1と同様で前述した図1に示す構造のニッケル水素
二次電池を組み立て、同様にエージング、初充放電を行
った後、前述したのと同様な方法によって60℃におけ
る充電効率を求め、その結果を図4に示す。
【0079】図4から明らかなように、粉末X線回折
(2θ)における(101)面の半価幅が0.8deg
以上のコバルト共沈水酸化ニッケル粒子C、Dおよび錫
を含む正極を備えたアルカリ二次電池は、高温(60
℃)使用における充電効率が80%を越え、高温使用時
の充電効率が優れていることがわかる。また、正極活物
質として前記半価幅が0.8deg未満のコバルト共沈
水酸化ニッケル粒子A、Bを用いると、コバルトおよび
錫を含有していても高温使用における充電効率が低いこ
とがわかる。
【0080】従って、粉末X線回折(2θ)における
(101)面の半価幅が0.8deg以上の水酸化ニッ
ケル粒子と錫を含む正極を備えたアルカリ二次電池か、
あるいは前記水酸化ニッケル粒子と錫の他にコバルトお
よび亜鉛から選ばれるいずれか一方か、または両方の元
素を含む正極を備えたアルカリ二次電池は、高温使用に
おける充電効率を改善することができるため、前記正極
の利用率を向上することができ、高い放電容量と優れた
充放電サイクル特性を実現することができる。
【0081】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によればカ
ドミウム・フリーの正極を備え、高温時の充電効率の向
上を達成し、正極利用率が高く、長寿命なアルカリ二次
電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるニッケル水素二次電池を示す部
分分解斜視図。
【図2】本発明の実施例1〜4のニッケル水素二次電池
における正極中の異種元素の含有量と高温時の充電効率
の関係を示す特性図。
【図3】本発明に用いる水酸化ニッケル粒子のX線粉末
回折チャートの一例を示す特性図。
【図4】本発明の実施例5のニッケル水素二次電池にお
ける半価幅と高温時の充電効率の関係を示す特性図。
【符号の説明】
1…容器、2…正極、3…セパレータ、4…負極、5…
電極群、7…封口板、8…絶縁性ガスケット、10…正
極端子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蛭間 雅義 東京都品川区南品川3丁目4番10号 東芝 電池株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末X線回折(2θ)における(10
    1)面のピークの半価幅が0.8deg以上である水酸
    化ニッケル粒子、導電材及び結着剤を含むペーストを集
    電体に充填した構造を有する正極と、負極と、前記正極
    と前記負極の間に介在されたセパレータと、アルカリ電
    解液とを具備したアルカリ二次電池において、前記正極
    は錫を含有するか、またはコバルト及び亜鉛から選ばれ
    る少なくとも一方の元素と錫を含有することを特徴とす
    るアルカリ二次電池。
  2. 【請求項2】 前記正極の錫の含有量か、または錫及び
    コバルトの含有量か、あるいは錫及び亜鉛の含有量か、
    もしくは錫、コバルト及び亜鉛の含有量は、前記水酸化
    ニッケルに対して1〜11重量%であることを特徴とす
    る請求項1記載のアルカリ二次電池。
  3. 【請求項3】 前記正極の錫の含有量は、前記水酸化ニ
    ッケルに対して1〜6重量%であることを特徴とする請
    求項1記載のアルカリ二次電池。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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