JP4795503B2 - 加工装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬い基礎構造を加工するため、ハウジングと、工具を動作させる駆動モータと、前記駆動モータを経て前記ハウジングの一部の周囲に延在する冷却チャンネルと、加圧冷却媒体を供給する冷却媒体供給源と、前記冷却チャンネルに接続した冷却媒体導管と、少なくとも前記冷却チャンネルと前記工具との間を接続する冷却媒体流出導管とを具えた加工装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
硬い基礎構造に穴又は貫通孔を形成するためには、ダイヤモンド粒子を有する工具を設けたドリル装置又は切削装置を使用する。基礎構造の硬さ、又は形成した穴又は切断部の深さにより、作業効率の異なる装置を使用しなければならない。特に、極めて高い作業効率で穿孔作業又は切削作業を行うには、駆動モータの領域、及び駆動モータ又は装置全体の制御を行う電子機器部の領域で、極めて高温となり、装置の制御に乱れを生ずることがある。高温は、例えば、少なくとも１個の電子機器部からなる装置制御を行う電子構成部の領域での蓄熱、周囲の温度上昇、粉塵が堆積することによる、若しくは粉塵堆積で換気孔が完全に塞がることによる電子機器部の不十分な換気等により生じ、従って、電子機器部には冷たい外気が到達しなくなる。
【０００３】
硬い基礎構造の加工では、駆動モータの領域で発生する熱を放熱するドリル装置については、ドイツ国特許公開第４３３０５２０号に記載されており、このドリル装置は駆動モータをドリル工具に連結し、駆動モータの周囲のハウジング部分に冷却チャンネルを導入し、この冷却導管を螺旋状にして穿孔方向とは反対側の入口から駆動モータの全体にわたり穿孔方向側の出口まで延在させている。外部冷却媒体供給源から冷却媒体を加圧し、また冷却媒体導管によって入口まで供給される冷却媒体は冷却チャンネルを流れる。冷却チャンネルの出口から導出する冷却媒体流出導管をドリル工具まで延在させる。冷却媒体流出導管によりドリル工具に供給される冷却媒体はドリル工具を冷却するとともに、穿孔した孔から穿孔屑を洗い流す。或る用途では例えば、工具に達する冷却媒体の量を少なくしなければならないことがある。このような場合、冷却チャンネルの冷却媒体流出導管を冷却媒体供給源に接続する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このドイツ国特許公開第４３３０５２０号に記載のドリル装置では、駆動モータのみが冷却媒体によって冷却される。従って、駆動モータを制御する電子機器部の領域では、温度が急上昇し、装置を制御する上で支障を招くことがある。
【０００５】
従って、本発明の目的は、電子機器部、装置の高負荷状況、周囲の温度が高い状況、及び周囲が極めてほこりっぽい状況でも最適に冷却を行うことができる硬い基礎構造を加工する装置を得るにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明加工装置は、前記冷却媒体導管に冷却装置を連結し、この冷却装置を少なくとも電子機器部に連結し、前記冷却装置を熱伝導特性の優れた少なくとも１個の基体により構成し、この基体上に電子機器部を配置し、前記基体は、前記冷却媒体供給源と前記冷却チャンネルとの間に位置する冷却媒体導管のチャンネル部分を有する構成とし、流れ監視モニタを前記冷却装置における前記冷却媒体導管のチャンネル部分に冷却媒体が流れているかをチェックし、冷却媒体導管内に冷却媒体が流れているとき、電子機器部は、この電子機器部から外部電源の電流を駆動モータに供給し、駆動モータを起動させ、冷却媒体導管内に冷却媒体が流れていないときは、外部電源の電流が電子機器部から駆動モータには転送されないよう制御する構成としたことを特徴とする。
【０００７】
本発明の好適な構成によれば、電子機器部に連係動作する冷却装置に冷却媒体導管を通過させ、冷却媒体供給源から加圧した冷却媒体を先ず冷却装置に供給し、次いで駆動モータの冷却チャンネルに供給するようにする。
【０００８】
更に、本発明の好適な実施例においては、冷却装置は熱伝動特性の優れた材料により構成した少なくともとも１個の基体とし、この基体に電子機器部を配置する。基体は例えば、アルミニウムにより構成し、冷却媒体が流れるようにした貫通孔を形成し、この電子機器部から発生した熱が基体から周囲に放出されるようにする。
【０００９】
コンパクトで操作が容易な装置にするためには、装置のハウジング内に冷却装置を配置すると好適である。冷却媒体供給導管の一部に駆動モータの冷却チャンネルを接続する。
【００１０】
冷却媒体供給源、冷却媒体供給導管、冷却装置、冷却チャンネル、及び冷却媒体流出チャンネルよりなる冷却システム全体に冷却媒体が流れているかいなかを確認するため、冷却装置に流れ監視モニタを設けると好適である。
【００１１】
電子機器部は高温に影響されやすいため、電子機器部により制御される駆動モータが駆動状態になり、従って、電子機器部が極めて高い温度になる前に冷却媒体が電子機器部に連結した基体を通過するようにしなければならない。このため電子機器部を流れ監視モニタと連係動作するようにすると好適である。流れ監視モニタは、例えば、スイッチの末端のばねの力に抗して加圧流体の流れで移動する磁気スイッチにより動作するものとし、この磁気スイッチにおいて、冷却システムでの冷却媒体の循環量の信号を電子機器部に送る。この信号が電子機器部に送られると、駆動モータの運転が開始される。磁気スイッチの信号がないと、冷却システムに冷却媒体が流れておらず、冷却装置も冷却されていないことを意味する。
【００１２】
装置が駆動されていないときに駆動モータの冷却チャンネルから冷却媒体が流出するのを防止するため、冷却装置を遮断弁と連係動作するようにし、駆動モータへの冷却媒体の供給を制御すると好適である。
【００１３】
冷却媒体流出導管を通過する冷却媒体を工具又は冷却供給源に送給することができるようにするため、冷却媒体流出導管に切替え可能な分配器から２個の更に他の互いに分離した冷却媒体流出導管に冷却媒体が流れるようにし、これらの他の冷却媒体流出導管のうちの第１冷却媒体流出導管に工具を接続し、第２冷却媒体流出導管に冷却媒体供給源を接続する。
【００１４】
冷却媒体の一部を工具にまた他の一部を冷却媒体供給源に、好適にはほぼ５０％の割合で送給することができるようにするため、第１の切替え位置では第１冷却媒体流出導管を経て冷却媒体の全体を工具に送給し、第２の切替え位置では第２冷却媒体流出導管を経て冷却媒体の全体を冷却媒体供給源に送給し、第２の切替え位置で工具並びに冷却媒体供給源の双方に冷却媒体を送給するようにすると好適である。
【００１５】
付近の給水網から冷却媒体としてきれいな水の供給を受けられない現場で装置を使用することができるようにするため、冷却媒体供給源は、例えば、冷却媒体タンク、冷却装置、浄化装置又はフィルタ装置、及びポンプよりなる冷却媒体リサイクル装置により構成し、加圧した冷却媒体を冷却チャンネルに供給することができるようにすると好適である。
【００１６】
作業者による装置の取り扱いを容易にするため、冷却媒体リサイクル装置はハウジングから分離して配置すると好適である。
【００１７】
【発明の実施の形態】
次に、図面につき本発明の好適な実施の形態を説明する。
【００１８】
本発明装置によれば、基礎構造を加工するため、例えばハウジング２と、駆動モータ１と、ドリル装置の工具スピンドル４に配置した工具５と、ハウジング２から離れて配置した冷却媒体浄化装置の形式の冷却媒体供給源６とを有するドリル装置に、ハウジング２の駆動モータ１を取り巻く部分を有する冷却チャンネル３を経て加圧冷却媒体を供給することができる。冷却媒体供給源６は、例えば、局部的な給水網とすることもでき、この給水網から冷却媒体として加圧したきれいな水を取り込むことができるようにすることもできる。破線で示した冷却チャンネル３は、例えば、入口領域１８及び出口領域で環状に形成し、互いに平行に延在しかつ互いに離れた室を形成し、ハウジング２の内壁を経て一方の環状室から他方の環状室に延在するようにする。駆動モータ１のロータ及び他の主要部は図面を簡単にするため図示しない。
【００１９】
工具スピンドル４は駆動モータ１の駆動軸の一部により構成する。しかし、この工具スピンドルは駆動モータ１と工具５との間に配置した伝動装置の一部として構成することもできる。工具５は図示しない差し込み端部により工具スピンドル４に連結可能にし、この差し込み端部に穿孔方向側に隣接する支持体を設け、この支持体の穿孔方向側の遊端に切り刃セグメントを設け、この切り刃セグメントはダイヤモンド粒子を装備する。冷却媒体供給源６は、例えば、冷却媒体タンク、冷却装置、浄化装置又は冷却媒体フィルタ、及びポンプよりなる冷却媒体リサイクル装置として構成し、加圧流体を冷却チャンネル３に送給する。ただし、冷却媒体タンク、冷却装置、浄化装置又はフィルタ、及びポンプは図示しない。
【００２０】
冷却媒体供給源６から導出し、冷却チャンネル３の入口１８に達する冷却媒体導管７は、装置のハウジング２に内蔵した冷却装置８に配置し、この冷却装置８には電子機器部１９を連結する。冷却装置８は基体９により構成し、この基体９は熱伝導特性のよい材料により構成する。基体９にチャンネルを貫通させ、冷却媒体供給源６から冷却チャンネル３に冷却媒体が流れるときこの基体９内のチャンネルを通過するようにする。良好な熱伝導特性のため、電子機器部１９の領域で発生した熱は基体９によって吸収され、基体９で冷たい冷却媒体による冷却を受ける。
【００２１】
流れ監視モニタ１４、駆動モータ１及び操作スイッチ１５は装置を制御するよう作用する電子機器部１９に接続する。外部電源に接続した操作スイッチ１５により電子機器部１９に電流を供給することができる。この電子機器部１９によって例えば、駆動モータ１及び冷却媒体供給源６を制御する。
【００２２】
電子機器部１９は高温及び温度変動に左右されやすい。このため冷却は必要不可欠であり、駆動モータの起動前の或る時点から予め冷却を行っておく。このような冷却を行うには、操作スイッチ１５の動作の際に先ず流れ監視モニタ１４により冷却媒体導管７に冷却媒体が流れているか否かをチェックする。冷却媒体が流れていると、次の段階として操作スイッチ１５を経て外部電源の電流を電子機器部１９に、またこの電子機器部から駆動モータ１に供給し、駆動モータ１が起動する。冷却媒体導管７内に冷却媒体が流れていないときは、電子機器部１９は外部電源の電流を駆動モータ１には転送しない。
【００２３】
冷却チャンネル３の出口と工具５又は冷却供給源６との間に冷却媒体流出導管１３を配置し、この冷却媒体流出導管１３に切替え可能な分配器１０を設ける。この分配器１０から、工具５に至る第１冷却流出導管１１及び冷却媒体供給源６に至る第２冷却媒体流出導管１２を導出させる。冷却媒体の配分は、切替え可能な分配器１０の内部でＩ，II, III の段階で行うことができる。第１の切替え位置Ｉでは、冷却媒体の全体を工具５に至る第１冷却媒体流出導管に供給する。第２の切替え位置IIでは冷却媒体の全体を冷却媒体供給源６に至る第２冷却媒体流出導管に供給する。第３の切替え位置III では冷却媒体の一部を工具５に至る第１冷却媒体流出導管１１に、また冷却媒体の残りの部分を冷却媒体供給源６に至る第２冷却媒体流出導管１２に供給する。
【００２４】
切替え可能な分配器１０の切替え状態Ｉで、駆動モータ１が水平に対して大きく傾いて冷却媒体供給源６及び冷却媒体供給源６のポンプが流れないとき、冷却媒体が工具５から逆流するのを防止するため、ハウジング２に一体の遮断弁１６が電子機器部１９により電気的に動作することができるようにする。更に、例えば、遮断弁１６は操作スイッチ１５によって機械的又は電気的に動作するようにすることもできる。
【００２５】
硬い基礎構造の加工をするための本発明装置は、例えば、流体冷却式の駆動モータ及び２個の送りモータを有する壁鋸とすることもでき、壁鋸の長手方向移動のための第１送りモータ及び回動アームを有する第２送りモータとの連係動作させ、回動アームに大きな表面の切り刃ブレードの形式の工具を設け、この切り刃ブレードの周囲にダイヤモンド粒子を配置した複数個の切り刃セグメントを周囲に設ける。冷却媒体供給源から供給される冷却媒体は、例えば、駆動モータの冷却チャンネルに流す前に、双方の送りモータを冷却するにも使用することができる。
【００２６】
装置のハウジング２の内部の冷却装置８の領域において、例えば、図示しない温度センサを配置し、駆動モータ１への外部電源の電流を遮断したり、又は、特に、装置及び壁鋸の取り扱いのために、送りモータの送り速度を減少させたりすることができるようにする。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明装置の好適な実施例の説明図である。
【符号の説明】
１ 駆動モータ
２ ハウジング
３ 冷却チャンネル
４ 工具スピンドル
５ 工具
６ 冷却媒体供給源
７ 冷却媒体導管
８ 冷却装置
９ 基体
10 分配器
11 第１冷却流出導管
12 第２冷却媒体流出導管
13 冷却流出導管
14 監視モニタ
15 操作スイッチ
16 遮断弁
18 入口領域
19 電子機器部

Claims (7)

1. 硬い基礎構造を加工するため、ハウジング（２）と、前記ハウジング（２）内に配置した駆動モータ（１）と、前記駆動モータ（１）により駆動されて動作する工具（５）と、前記駆動モータ（１）を経て前記ハウジング（２）の一部の周囲に延在する冷却チャンネル（３）と、加圧冷却媒体を供給する冷却媒体供給源（６）と、前記冷却チャンネル（３）に接続した冷却媒体導管（７）と、少なくとも前記冷却チャンネル（３）と前記工具（５）との間を接続する冷却媒体流出導管（１３）とを具えた加工装置において、前記冷却媒体導管（７）に冷却装置（８）を連結し、この冷却装置（８）を少なくとも電子機器部（１９）に連結し、前記冷却装置（８）を熱伝導特性の優れた少なくとも１個の基体（９）により構成し、この基体（９）上に電子機器部（１９）を配置し、前記基体（９）は、前記冷却媒体供給源（６）と前記冷却チャンネル（３）との間に位置する冷却媒体導管（７）のチャンネル部分を有する構成とし、流れ監視モニタ（１４）を前記冷却装置（８）における前記冷却媒体導管（７）のチャンネル部分に冷却媒体が流れているかをチェックし、冷却媒体導管（７）内に冷却媒体が流れているとき、電子機器部（１９）は、この電子機器部から外部電源の電流を駆動モータ（１）に供給し、駆動モータ（１）を起動させ、冷却媒体導管（７）内に冷却媒体が流れていないときは、外部電源の電流が電子機器部（１９）から駆動モータ（１）には転送されないよう制御する構成としたことを特徴とする加工装置。
2. 前記冷却装置（８）を前記ハウジング（２）内に配置した請求項１記載の加工装置。
3. 遮断弁（１６）を前記冷却装置（８）における前記冷却媒体導管（７）の部分に設け、前記冷却媒体供給源（６）から駆動モータ（１）への冷却媒体の供給を制御するようにした請求項１または２に記載の加工装置。
4. 駆動モータ（１）から導出される冷却媒体流出導管（１３）に切替え可能な分配器（１０）及びこの分配器から導出する他の２個の冷却媒体流出導管（１１，１２）を設け、第１冷却媒体流出導管（１１）を前記工具（５）に接続し、第２冷却媒体流出導管（１２）を冷却媒体供給源（６）に接続した請求項１乃至３のうちのいずれか一項に記載の加工装置。
5. 前記切替え可能な分配器（１０）は３個の切替え位置(I,II,III)を有し、第１切替え位置（Ｉ）では第１冷却媒体流出導管（１１）から前記工具（５）に冷却媒体全体を送給し、第２切替え位置（II）では第２冷却媒体流出導管（１２）から冷却媒体供給源（６）に冷却媒体全体を送給し、第３切替え位置（III)では前記工具（５）及び冷却媒体供給源（６）の双方に冷却媒体を送給するようにした請求項４記載の加工装置。
6. 前記冷却媒体供給源（６）を冷却媒体浄化装置により構成した請求項１乃至５のうちのいずれか一項に記載の加工装置。
7. 冷却媒体浄化装置を前記ハウジング（２）から切り離して配置した請求項６記載の加工装置。

Images