JP4793824B2 - 窒化物半導体層の形成方法 - Google Patents

窒化物半導体層の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は窒化物半導体層の形成方法に関し、特に無極性窒化物半導体層の形成方法の改善に関する。
III族窒化物半導体は、直接遷移型半導体であって高い発光効率を有する材料である。したがって、III族窒化物半導体を利用した発光デバイスの研究開発が盛んに行われている。そのような発光デバイスの例として、紫外光から可視光までの波長領域内で発光し得る発光ダイオード(LED)および半導体レーザ素子(LD)が存在する。
より具体的には、III族窒化物半導体としては、BN、AlN、GaN、InN、およびそれらの混晶であるAlGaN、InGaN、AlInN、AlGaInNなどが含まれる。しかし、主に商品化されている発光デバイスは、結晶学的(0001)面(いわゆるc面)に平行な主面を有するGaN層(以下、c面に平行な主面を有する層をc面層とも略称する)上に複数のIII族窒化物半導体層を積層して作製されている。ここで、III族窒化物半導体は、結晶構造として六方晶系のウルツ鉱構造を有し、分極性を有する材料である。
図1は、III族窒化物半導体の結晶構造の一例として、GaNの結晶構造を模式的な斜視図で図解している。この図において、異種原子間を結ぶ実線は最近接のGa原子とN原子との結合を表している。他方、破線は、GaNが有する六方晶構造の単位格子を表している。すなわち、結晶軸a1とa2は互いに120度の角度をなし、c軸はそれらの結晶軸a1とa2に対して垂直の関係にある。
図1におけるGaN結晶構造の図解から、c軸方向に直交するc面に平行な原子面として、Ga原子のみを含むGa原子面とN原子のみを含むN原子面とが交互に積層されていることがわかる。このような結晶構造において、Ga原子とN原子が互いに異なる電気陰性度を有し、Ga原子面はわずかにプラスに帯電し、N原子面はわずかにマイナスに帯電し、その結果としてc軸方向には自発分極が発生する。すなわち、GaN結晶はc軸方向に一軸異方性を有する分極性物質である。
さらに、GaN結晶のc面上に異種半導体層を結晶成長させてヘテロ接合を形成した場合には、格子定数差に基づいてGaN結晶に圧縮歪または引っ張り歪が生じ、GaN結晶内でc軸方向に圧電分極(ピエゾ分極)が発生する。例えば、発光素子中の多重量子井戸(MQW)発光層に含まれるc面に平行なGaN障壁層上にInGaN量子井戸層を結晶成長させた場合、GaNとInGaNとの格子定数差に起因して歪応力が生じ、c軸方向にピエゾ分極(圧電分極)が発生する。
したがって、障壁層と量子井戸層との界面には、GaN結晶とInGaN結晶との自発分極差により生じた固定電荷およびピエゾ分極により生じた固定電荷の双方が存在する。その結果、自発分極による内部電場に加えてピエゾ分極による内部電場が重畳されて、井戸層面に垂直なc軸方向に大きな分極電場が発生することになる。このような分極電場においては、InGaN中のIn組成比が大きくなるほど、自発分極に比べてピエゾ分極の影響が優勢になる。
上述のような分極電場の影響によって、c面に平行な発光層(c面発光層)を含むGaN系発光デバイスにおいては、発光効率の低下や、必要な注入電流の増大にともなう発光のピーク波長シフトなどの問題が生じる。これらの問題が生じるメカニズムとしては、分極電場に起因して量子井戸層中の電子と正孔の波動関数が空間的に分離されて発光確率が激減する量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)が考えられている。
そこで、近年では、III族窒化物半導体を利用する発光デバイスのさらなる発光効率の向上のために、分極電場の影響を回避し得る無極性面に平行なIII族窒化物半導体層(以下、無極性面に平行な層を無極性層とも略称する)を利用することが期待されている。例えば、GaN結晶の極性面であるc面に直交する無極性面である(11−20)面(いわゆるa面)または(1−100)面(いわゆるm面)上に歪量子井戸層を形成し、それによって、極性面であるGaNのc面に起因する分極電場の影響を回避する方法が検討されている。すなわち、GaN結晶のa面上またはm面上に結晶成長させられるIII族窒化物半導体層(a面層またはm面層)においては、その厚さ方向に平行な成長軸方向とc軸とが垂直になるので、その成長軸方向(厚さ方向)には分極電場が発生しない。
Applied Physics Letters,Vol.81,(2002),pp.469−471および特表2005−522889号公報は、(1−102)面(いわゆるr面)に平行な主面を有するサファイア基板(以下、r面サファイア基板とも称す)上に平滑な表面を有するa面GaN層を結晶成長させる方法を開示している。その方法では、MOVPE(有機金属気相成長)によって、r面サファイア基板上に比較的低温でGaNバッファ層(低温バッファ層)を形成した後に、高温でa面GaN層を成長させる。その際に、低温GaNバッファ層の成長温度は400℃〜900℃の範囲内であり、その厚さは1〜100nmの範囲内である。
特表2005−522889号公報 Applied Physics Letters,Vol.81,(2002),pp.469−471
しかしながら、特許文献1または非特許文献1の方法によって高品質のa面窒化物半導体層を形成するためには、低温バッファ層の成長条件を厳密に管理する必要がある。より具体的には、低温バッファ層の最適な成長条件の範囲は非常に狭く、その成長温度に関して許容される変動範囲は±10℃以内であって、最適な層厚に関して許容される変動範囲は±5nm以内である。したがって、そのような低温バッファ層は、再現性および生産性の観点から問題がある。
上述のような先行技術の状況に鑑み、本発明は、サファイア基板と窒化物半導体層との間に低温バッファ層を介在させることなく、平坦で高品質の無極性窒化物半導体層を得ることを目的としている。
本発明による窒化物半導体層の形成方法では、サファイア基板の(1−102)面に平行な一主面を窒化処理し、その窒化処理された基板面上に有機金属気相成長法によって第1の窒化物半導体層および第2の窒化物半導体層を順次結晶成長させ、基板の窒化処理と第1および第2の窒化物半導体層の結晶成長とが同じ基板温度で行なわれ、有機金属気相成長法において反応室内に導入されるトリメチルガリウムガスに対するアンモニアガスの体積比は第2の窒化物半導体層の成長時に比べて第1の窒化物半導体層の成長時において大きく、第1と第2の窒化物半導体層の各々は(11−20)面に平行なGaN層であることを特徴としている。なお、第1の窒化物半導体層は、3μm以下の厚さに結晶成長させられることが好ましい。
た、第1の成長条件におけるトリメチルガリウムガスに対するアンモニアガスの体積比は、152よりも大きいことが好ましい。
以上のような本発明によれば、サファイア基板の表面を窒化処理して、その上に成長条件の異なる2段階成長を実施することによって、高品質の窒化物半導体結晶層を成長させることができる。この高品質の窒化物半導体結晶層はその上に高品質の窒化物系半導体結晶層を成長させるための下地層として利用することができ、例えば高性能の窒化物系半導体発光素子を作製するための下地層として利用することができる。
以下においては、本発明を実施するための種々の形態に関する種々の条件についてより詳細に説明する。
(2段階成長による無極性III族窒化物半導体層の形成方法)
まず、本発明の一実施形態による無極性III族窒化物半導体層の形成方法について説明する。より具体的には、常圧MOVPE(有機金属気相成長)法によって、r面サファイア基板上に無極性a面GaN層を形成する方法について説明する。本願においては、1段目のGaN層成長と2段目のGaN層成長とを連続して成長させたGaN層を「2段階成長GaN層」と称する。また、以後において特に断らない限り、GaN層とはr面サファイア基板上に成長させたa面GaN層を意味するものとする。なお、MOVPE法の結晶成長時の圧力は常圧として例示されるが、減圧下のMOVPE法をも利用し得ることは言うまでもない。MOVPE法においてGaN層を成長させるためには、周知のように、V族元素原料ガスとしてのNH3(アンモニア)、III族元素原料ガスとしてのTMGa(トリメチルガリウム)、およびキャリアガスとしてのH2ガスとN2ガスが用いられ得る。
図2は、サファイア基板の単位格子を模式的な斜視図で図解している。この図中でハッチングが施された面が、サファイア結晶のr面を表している。このr面に平行な主面を有するr面サファイア基板上に、本発明にしたがってGaN層を結晶成長させれば、無極性のa面GaN層を成長させることができる。
図3の模式的斜視図においては、r面サファイア基板102上に成長するa面GaN層101の結晶軸方向[0001]GaN、[1−100]GaN、および[11−20]GaNとそのサファイア基板の結晶軸方向[0001]Sapphireとの関係が図解されている。r面サファイア基板の主面に関する面加工精度は、r面に対するずれ角が±2°以下の範囲内であることが望まれる。
図4の模式的グラフは、本発明においてMOVPE法によってa面GaN層を結晶成長させる温度プロファイルの一例を示している。すなわち、このグラフの横軸は成長時間を表し、縦軸は成長温度を表している。このグラフの下部において横軸に沿って挿入されているタイミングチャートは、原料ガスであるTMGaとNH3およびキャリアガスであるH2ガスをそれぞれ供給するタイミングを示している。すなわち、それらのタイミングチャートの高レベルはガスの供給を表し、低レベルはガスの供給の停止を表している。なお、図4においてはキャリアガスに含まれ得るN2ガスの供給に関するタイミングチャートが示されていないが、キャリアガスはGaN層成長過程のいずれの時点においてN2ガスを含んでいてもよい。
a面GaN層を結晶成長させる具体的例示として、図4に示されているように、まずMOVPE反応室内において基板温度を室温から1150℃まで昇温させる。基板温度が1150℃に安定した後に反応室内へH2ガスの供給を開始して、H2ガス雰囲気中においてサファイア基板の表面を10分間で熱クリーニングする。次に、NH3ガスの供給を開始して、サファイア基板の表面を窒化処理する。この窒化処理中において、例えば基板温度は1150℃、処理時間は10分間、そしてNH3ガスの供給量は1分間に5L(L/min)であることが好ましい。
サファイア基板の窒化処理の終了後に、TMGaの供給を開始して、例えば1.1μmの厚さを有する1段目のa面GaN層を結晶成長させる。この結晶成長の際のMOVPEにおいて、例えば基板温度は1150℃、TMGaの供給量は毎分250マイクロモル(μmol/min)、NH3ガスの供給量は7.5L/min、そしてV族元素/III族元素(以下、V/IIIと略称する)の供給モル比は1339であることが好ましい。なお、本発明において、1段目のGaN層の成長条件におけるNH3供給量が2段目のGaN層の成長条件に比べて多いという特徴があるので、1段目のGaN層を「高V/III−GaN層」とも称して、2段目のGaN層に比べて特徴的に識別可能とする。
1段目のGaN層の成長後に、引き続いて2段目のGaN層の成長を行う。この2段目のGaN層の成長条件は、NH3供給量を0.85L/minの小さな値に変更すること以外では1段目のGaN層の成長条件と同じである。すなわち、2段目のGaN層の成長時において、基板温度は1150℃、TMGaの供給量は250μmol/min、V/III供給モル比は152である。本明細書においては、2段目のGaN層を「低V/III−GaN層」とも称して、1段目のGaN層に比べて特徴的に識別可能とする。なお、2段目のGaN層は、例えば10μmの厚さに成長させる。
2段目のGaN層の成長が終了すれば、TMGaと水素ガスの供給を停止して、N2ガスとNH3ガスの混合雰囲気中で基板温度の降下を開始させる。基板温度が500℃まで下がった時点でNH3の供給を停止し、N2ガス雰囲気中で基板を室温まで降温させる。
なお、1段目のGaN層の成長から2段目のGaN層の成長に移る際のNH3供給量の変更では、瞬時に減少させてもよいし、徐々に減少させてもよい。また、以上の説明では2段階成長が例示されたが、NH3供給量を多段階に分割して減少させるように変更をしてもよい。さらに、1段目と2段目のGaN層の成長を一周期として、2周期以上のGaN層の成長を行えば、さらに表面の平坦性および結晶性が向上したa面GaN層が得られる。
(2段階成長GaN層の特性)
本発明にしたがって形成した2段階成長GaN層の表面は、きわめて平坦でありかつ鏡面のように平滑であり得る。より具体的には、光学顕微鏡による観察からもその表面の高度な平坦性が確認でき、その表面にはピットおよびクラックの発生がみられない。さらに、原子間力顕微鏡(AFM)測定によるその表面の自乗平均粗さ(Rms)は、縦10μmで横10μmの測定領域において5nm以下であり得て、原子レベルでも極めて平坦であることが確認され得る。
結晶性の評価では、X線回折(XRD)による解析において、a面GaN層の(11−20)面反射に関するロッキングカーブの半値全幅が例えば480arcsec程度に小さくなり得る。もちろん、X線回折ピークの半値全幅が小さいほど、結晶性が良好であることを表している。なお、このX線測定の際のX線入射方向は、a面GaN層の<0001>方向(いわゆるc軸方向)に平行である。
なお、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察の結果では、サファイア基板と2段階成長GaN層との界面には多数の小さな空隙が存在していることを認識することができる。
(1段目GaN層の厚さと2段階成長GaN層の表面モフォロジとの関係)
以下において、1段目の高V/III−GaN層の厚さと2段階成長GaN層の表面モフォロジとの関係について調査した結果を説明する。
この調査において、2段階成長GaN層の形成は、図4に関連した前述の成長条件にて行われた。ただし、1段目に成長する高V/III−GaN層の厚さがそれぞれ0.05μm、0.1μm、0.5μm、1.1μm、3.0μm、および5.0μmに変化させられた6種のサンプルが作製された。さらに、図4に類似した図5に示す条件にしたがって、高V/III−GaN層を成長させずに(その厚さが0μmに相当)、低V/III−GaNだけを成長させたサンプルも作製した(便宜上、このサンプルにおけるa面GaN層も2段階成長GaN層と称することとする)。すなわち、1段目の高V/III−GaN層の厚(厚さ0も含む)が異なる合計7種のサンプルを作製し、それらのサンプルにおいて成長させられた2段階成長GaN層の表面モフォロジが相互に比較された。
ここで、2段階成長GaN層の表面の平坦性を評価する指標として、サファイア基板面の全表面積に対する平坦なa面GaN層が成長した面積の割合を「平坦なGaN面の面積占有率」と定義する。その面積占有率は、光学顕微鏡像の測定から算出され得る。
図6のグラフは、1段目GaN層の厚さ[μm]と2段階成長GaN層の平坦なGaN面の面積占有率[%]との関係を示している。このグラフからわかるように、1段目GaN層を省略した場合(その厚さ0の場合)に比べて、1段目GaN層を含む2段階成長GaN層の平坦なGaN面の面積占有率は、1段目GaN層の厚さがいずれの場合においても増加している。特に、1段目GaN層の厚さが0.05から0.5μmの範囲においては、平坦なGaN面の面積占有率が顕著に増加している。また、1段目GaN層の厚さが0.5μmから3μmの範囲においては、平坦なGaN面の面積占有率が99%以上であり、広範囲に平坦な表面が得られる。他方、1段目GaN層の厚さが5μmのとき、平坦なGaN面の面積占有率は98%であり、その面積占有率に僅かな減少がみられる。
以上から、1段目GaN層を挿入することによって、その層厚にかかわらず、平坦なGaN面の面積占有率が改善されることがわかる。なお、1段目GaN層の結晶成長の時間と費用を考慮すれば、図6からわかるように、1段目GaN層の厚さは3μm以下であることが好ましい。
(1段目GaN層の厚さと2段階成長GaN層の結晶性との関係)
次に、1段目の高V/III−GaN層の厚さと2段階成長GaN層の結晶性との関係を調べた結果について説明する。
図7のグラフの横軸は1段目GaN層の厚さ[μm]を表し、縦軸は2段階成長後GaN層の(11−20)面反射のロッキングカーブの半値全幅(FWHM)を表している。前述のように、この半値全幅の値が小さいほど結晶性がよいことを意味する。この場合のX線の入射方向も、a面GaN層の<0001>方向(すなわちc軸方向)に平行である。このグラフにおいて、1段目GaN層を省略した(厚さ0の)場合に比べれば、1段目GaN層含む2段階成長GaN層のFWHMがいずれの場合にも減少している。すなわち、1段目GaN層を成長させることによって、2段階成長GaN層の結晶性が向上することがわかる。
図7のグラフをさらに詳細に検討すれば、1段目GaN層の厚さが0.05μmから1.1μmの範囲内にある場合において、FWHMが顕著に減少している。また、1段目GaN層の厚さが1.1μmから3μmの範囲内にある場合においては、FWHMが一定である。他方、1段目GaN層の厚さを約3μmからさらに増大させれば、FWHMはわずかに増加することがわかる。
以上から、1段目GaN層を挿入することにより、その層厚にかかわらず2段階成長GaN層の結晶性が改善されることがわかる。ただし、1段目GaN層の結晶成長の時間と費用を考慮すれば、平坦なGaN面の面積占有率を向上させかつ結晶性のよい2段階成長GaN層を得るためには、1段目GaN層の厚さが3μm以下の範囲内であることが好ましいことがわかる。
(1段目GaN層成長時のV/IIIモル比と2段階成長GaN層の結晶性との関係)
以下においては、1段目GaN層の成長時のV/IIIモル比と2段階成長GaN層の結晶性との関係について調査した結果を説明する。
この調査における結晶成長条件は、1段目GaN層の成長においてV/IIIモル比を種々に変更したことを除けば、図4に関連した前述の成長条件と同様である。すなわち、サファイア基板の窒化処理時間は10分である。1段目GaN層の成長条件に関しては、V/IIIモル比が1339、732、および313である3種類において、それぞれに厚さが0.1μm、0.5μm、1.1μm、3.0μm、および5.0μmに変更されたサンプルが作製された。V/IIIモル比が1339、732、および313である場合のNH3供給量は、それぞれ7.5、4.1、および1.75L/minであり、それらのいずれの場合にもTMGa供給量は250μmol/minである。
他方、2段目GaN層の成長条件に関しては、基板温度が1150℃、TMGaの供給量が250μmol/min、V/III供給モル比が152であり、1段目の成長条件に拘わらず一定に設定された。また、いずれの場合にも、2段目GaN層は10μmの厚さに成長させられた。
図8のグラフは、図6と同様に、1段目GaN層の厚さ[μm]と平坦なGaN面の面積占有率[%]との関係を示している。このグラフにおいて、実線、点線、および一点鎖線の曲線は、1段目GaN層の成長条件におけるV/IIIモル比がそれぞれ1339、732、および313である3種類の場合の結果を示している。
図8におけるV/IIIモル比が1339の場合の結果(実線の曲線)は、図6の結果と同一である。他方、図8からわかるように、V/IIIモル比が732の場合(点線の曲線)では、1段目GaN層のいずれの厚さにおいても、V/IIIモル比が1339の場合の平坦なGaN面の面積占有率を上回る結果が得られていない。また、V/IIIモル比が313の場合(一点鎖線の曲線)でも同様に、V/IIIモル比が1339および732の場合の平坦なGaN面の面積占有率を上回る結果は得られていない。すなわち、平坦なGaN面の面積占有率がもっとも大きくなるのは、1段目GaN層の成長時のV/IIIモル比が1339の場合であり、V/IIIモル比を小さくするほど平坦なGaN面の面積占有率が小さくなることがわかる。したがって、1段目GaN層の成長条件におけるV/IIIモル比はできるだけ大きい方が好ましく、少なくとも2段目GaN層の成長時のV/III供給モル比(本調査では152)よりも大きいことが好ましい。
(1段目GaN層の表面モフォロジ)
以下においては、1段目に成長させる高V/III−GaN層の表面モフォロジに関して、SEMによって調査した結果について説明する。
この調査においては、図4に類似した図9の模式的グラフに示す常圧MOVPE条件によって、厚さ1μmの高V/III−GaN層がr面サファイア基板上に形成された。その成長時において、基板温度は1150℃、TMGa供給量は250μmol/min、NH3供給量は7.5L/min、V/IIIモル比は1339、そしてキャリアガスはH2ガスとN2ガスであった。
得られた高V/III−GaN層の表面は、目視おいて白濁していた。また、SEMによる表面観察において、サファイア基板上には多数の凹凸状のGaN結晶成長核が発生していることがわかった。
(2段階成長GaN層のSEM断面観察)
2段階成長後のa面GaN層のSEMによる断面観察おいて、サファイア基板と2段階成長GaN層との界面には多数の微小空隙が存在していることがわかった。この微小空隙の存在によってそこでサファイア基板中の転位が終端し、その結果として2段階成長GaN層の結晶性が向上すると考えられる。また、サファイア基板とGaN層との熱膨張係数差により生じる歪応力もそれらの微小空隙によって低減され得るので、その結果として2段階成長GaN層中のクラックの発生も抑制され得ると考えられる。
なお、以上の説明ではa面GaN層について説明されたが、窒化物半導体層における無極性面にはa面のほかにm面もあり、半極性面には{11−22}面や{10−11}面などもある。望まれる場合には、本発明はa面以外の無極性面や半極性面の窒化物系半導体層の成長にも適用することができる。
従来では、高品質の窒化物半導体層を形成するためには、サファイア基板上の低温バッファ層の成長条件を厳密に管理する必要があった。しかし、以上のような本発明によれば、従来の低温バッファ層を必要とすることなく、サファイア基板表面を窒化処理しかつ窒化物系半導体層の成長条件におけるV/IIIモル比を成長途中で変更することによって、平坦で高品質な窒化物半導体層を得ることができ、その高品質の窒化物半導体層の再現性および生産性が向上する。
GaNの結晶構造を示す模式的斜視図である。 サファイアの結晶構造を示す模式的斜視図である。 r面サファイア基板とその上に成長するGaN層との結晶方位関係を示す模式的斜視図である。 本発明によるGaN層の2段階成長に適用されるMOVPE条件の一例を示す模式的グラフである。 高V/III−GaN層を省略して低V/III−GaN層のみを成長させる場合に適用されるMOVPE条件の一例を示す模式的グラフである。 1段目GaN層の厚さと平坦なGaN面の面積占有率との関係を示すグラフである。 1段目GaN層の厚さとX線回折ピークの半値全幅との関係を示すグラフである。 1段目GaN層の厚さと平坦なGaN面の面積占有率との関係を示すグラフである。 高V/III−GaN層のみを成長させる場合のMOVPE条件の一例を示す模式的グラフである。
符号の説明
101 r面サファイア基板上に成長させられるa面GaN層、102 r面サファイア基板。

Claims (3)

  1. サファイア基板の(1−102)面に平行な一主面を窒化処理し、
    前記窒化処理された前記主面上に有機金属気相成長法によって第1の窒化物半導体層および第2の窒化物半導体層を順次結晶成長させ
    前記基板の窒化処理と前記第1および第2の窒化物半導体層の結晶成長とが同じ基板温度で行なわれ、
    前記有機金属気相成長法において反応室内に導入されるトリメチルガリウムガスに対するアンモニアガスの体積比は、前記第2の窒化物半導体層の成長時に比べて前記第1の窒化物半導体層の成長時において大きく、
    前記第1と第2の窒化物半導体層の各々は(11−20)面に平行なGaN層であることを特徴とする窒化物半導体層の形成方法。
  2. 前記第1の窒化物半導体層は3μm以下の厚さに結晶成長させられることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体層の形成方法。
  3. 前記第1の窒化物半導体層の成長におけるトリメチルガリウムガスに対するアンモニアガスの体積比は152よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体層の形成方法。
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