JP4581478B2 - 窒化物半導体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主として、ほぼ全面に渡って低転位密度である窒化物半導体及びその成長方法に関する。
窒化物半導体は、格子定数が一致する実用的な基板が存在しないため、基板との界面で高い密度の転位が発生する。サファイア、スピネル、炭化ケイ素のような窒化物半導体と異なる異種基板の上に、転位密度の低い窒化物半導体を製造するために、窒化物半導体を基板に対して横方向に成長させる方法(以下、「横方向成長法」)が種々提案されている。
横方向成長法とは、異種基板上に、窒化物半導体が成長し易い領域(=易成長領域)と成長しにくい領域(=難成長領域)を交互につくり、易成長領域に選択的に窒化物半導体を成長させ、その窒化物半導体を難成長領域に向かって横方向に伸長させることによって転位密度の低い窒化物半導体を得る方法である。基板の難成長領域の上は、基板から窒化物半導体が成長しておらず、易成長領域にある窒化物半導体から横方向に伸びた窒化物半導体によって覆われているため、基板と窒化物半導体の界面で発生した転位が殆ど表面に現れない。その結果、横方向成長法によって形成された窒化物半導体層は、異種基板の易成長領域の上では高転位密度のままとなるが、難成長領域の上では低転位密度となる。
例えば、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.37(1998)pp.L309-L312(非特許文献1)では、サファイア基板上に成長させた窒化物ガリウム上にSiO等の保護膜を部分的に形成し、この上に窒化ガリウムを成長させている。SiO上には窒化ガリウムが直接成長しないため、SiOが形成されていない領域から窒化ガリウムが成長を開始し、その窒化ガリウムが横方向に伸長してSiOを覆うように成長する。窒化ガリウムとサファイア基板の界面で格子定数差によって発生した転位は、窒化ガリウムの成長と共に縦方向に(=基板に垂直に)転位が進行するが、SiO2保護膜上では窒化ガリウムの成長と共に横方向に(=基板に平行に)進行する。このため、SiO保護膜が形成されていない領域では表面に多量の転位が貫通しているが、SiO保護膜上では転位が表面にあまり現れない。従って、SiO保護膜上に低転位密度な窒化ガリウムを成長できる。
特開平10-312971号公報(特許文献1)では、上記方法と同様にSiO保護膜を形成した後、窒化ガリウムがSiO保護膜を覆う際にファセット面を形成するように成長させることにより、転位を斜め方向に進行させ、転位を低減する方法が提案されている。このような方法によっても、SiO保護膜上に低転位密度の窒化ガリウムを成長できる。
また、特開平11-145516号公報(以下、「特許文献2」)では、SiO保護膜を形成する代りに、シリコン基板上に成長したAlGaN層をストライプ状にエッチングしてシリコン基板を部分的に露出させ、この上に窒化ガリウムを成長させる。窒化ガリウムはシリコン基板上にはエピタキシャル成長しないため、AlGaN層をシード結晶として、窒化ガリウムが横方向にエピタキシャル成長する。したがって、特許文献1に記載された横方向成長と同様の原理により、シリコン基板の露出部分の上に低転位密度の窒化ガリウムを成長させることができる。
しかしながら、これらの横方向成長法では、いずれも通常の低温成長バッファ技術で10〜1010cm―2の高い転位密度を有する窒化物半導体層を一旦形成し、その転位を横方向に曲げることで部分的に転位密度を低減させるものであるため、ウエハの一部しか低転位密度とならない。例えば、上記従来の横方向成長基板では、ストライプ状の低転位密度領域が得られるが、その幅はせいぜい数μm〜10μm程度しかない。このため、リッジ部等の活性領域が数十μmにも及ぶ大出力用途のレーザ素子は、転位に敏感な活性領域を低転位密度領域内に形成することができず、事実上製造が困難である。また、一旦、10〜1010cm―2という高い密度の転位が発生してから、それを曲げて転位を減らそうとしているため、転位密度の低減も10〜10cm-2程度が限界であった。
そこで、同一ウエハに横方向成長法を繰り返して適用することにより、基板全面に低転位密度とすることも提案されている(特許文献3)。しかしながら、従来の横方向成長を複数回繰り返してウエハ全面を低転位密度にしようとした場合、横方向成長を繰り返す度にウエハに加わる歪みが大きくなっていくため、ウエハ中で有効に利用できる面積が狭くなるという問題があった。即ち、従来の横方向成長では、SiO2等の保護膜を特定方向にだけ形成したり(非特許文献1等)、窒化物半導体層を特定方向にだけエッチング除去する等して横方向成長をさせていたため(特許文献2等)、ウエハ全体に大きな歪みが加わり、ウエハ周辺部の窒化物半導体層はクラックや剥離によって使用ができないのが現状であった。例えば、横方向成長を2回以上繰り返すと、もとのウエハ面積の半分以下しか素子形成に有効利用できない場合もあった。
特開平10-312971号公報 特開平11-145516号公報 特開2002−033282号公報 Jpn.J.Appl.Phys.Vol.37(1998)pp.L309-L312
そこで本件発明は、歪みが少なく、かつ、ウエハ全面に渡って低転位密度である窒化物半導体及びその成長方法を提供することを目的とし、また、その窒化物半導体を用いた窒化物半導体基板又は窒化物半導体素子を提供することも目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る窒化物半導体の製造方法は、
窒化物半導体と組成が異なる異種基板上に窒化物半導体を成長させる方法であって、
前記異種基板表面に、開口部を有するフォトレジストを形成し、前記開口部内に露出した前記異種基板表面をドライエッチングすることにより、前記異種基板表面周期配列された複数の特定領域を形成し、前記フォトレジストを除去後、前記異種基板表面に、後から成長する窒化物半導体よりも低温で成長させた低温成長バッファ層を形成し、全ガス流量の1/100〜1/5の窒素源ガスを流しながら前記異種基板を昇温して前記低温成長バッファ層を部分的に分解し、前記特定領域の前記低温成長バッファ層から選択的に、発生した転位の半数以上が前記特定領域内で前記異種基板表面に平行な横方向に進行するように、第1窒化物半導体を成長させ、前記第1窒化物半導体から、前記第1窒化物半導体と同一又は異なる組成の第2窒化物半導体を成長させて前記異種基板の全面を覆い、表面における転位密度が全面に渡って107cm−2以下である窒化物半導体を得ることを特徴とする。
(用語、測定法の定義)
本件発明において、「転位密度」とは、カソードルミネッセンスによって測定されたものを指す。即ち、窒化物半導体の表面を10μmが1cmとなる倍率で観測し、任意に選択した100μmx100μm(又は10μmx100μm)の範囲内に存在する黒点を数え、その黒点数を単位平方cmあたりの数に換算して転位密度(単位は「個/cm」、省略して「cm―2」として表記)とする。尚、黒点は直径が1mm以上のものだけを数え、ある程度大きくてもコントラスト上区分できないものは1点として数える。カソードルミネセンス測定は、例えばシマズEPMA1600の付属機能によって行うことができ、測定条件は、加速電圧15kV、ビームスポット1ミクロン、10nAとする。
また、本件発明において、転位密度の表記でオーダのみを記載した場合、例えば転位密度が「10cm−2以上」といった場合、正確な転位密度の一の位を四捨五入した結果が1×10cm−2以上であるものを指す。同様に、例えば転位密度が「10cm−2以下」といった場合、正確な転位密度の一の位を四捨五入した結果が1×10cm−2以下であるものを指す。
本発明において「表面粗さ」とは、JIS B 0601-1994に規定されたものを指す。
窒化物半導体の「表面」又は「上面」とは、層状に成長された窒化物半導体の成長終了側の主面を指し、「下面」とは成長開始側の主面を指す。
「縦方向」とは、窒化物半導体層に対する法線方向を指し、「横方向」とは、窒化物半導体層の表面に平行な方向を指す。
本件発明によれば、歪みが少なく、かつ、ウエハ全面に渡って107cm−2以下である窒化物半導体を得ることができる。従って、その窒化物半導体を用いて窒化物半導体基板又は窒化物半導体素子を構成することにより、高品質の窒化物半導体基板を製造すること、及び高信頼性の窒化物半導体素子を高収率で製造することが可能になる。
以下、本件発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態1
実施の形態1では、サファイア、SiC、スピネル、シリコン等の窒化物半導体と異なる異種基板上に、一般式がInAlGa1−x−yN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で示される窒化物半導体をウエハ全面に低転位密度で成長する方法について説明する。下記に詳述するように、本実施の形態では、異種基板に前処理を行い、結晶成長の核密度を低く制御して低転位の島を周期的につくり、それを横方向に成長させることにより、略全面に渡って低転位な窒化物半導体を得る。即ち、異種基板表面への窒化物半導体の成長時に結晶の核密度を低く抑制することによって異種基板−窒化物半導体界面で発生する転位を根本的に減少させながら、本件独自の横方向成長方法を採用することにより、そのような低い核密度でも均一な製膜を可能にする。これによって、ウエハに加わる歪が少なく、ウエハ全面に渡って転位密度の低い窒化物半導体を得ることができる。
図1は、本件発明の実施の形態1に係る窒化物半導体の成長方法を模式的に示す工程図である。本実施の形態では、まず、サファイア等の異種基板10の表面を処理し、周期的なストライプ状、格子状又は点状の特定領域において異種基板10の表面状態を変質させる(図1(a)〜図1(c))。例えば、図1(a)に示すように、サファイア等の異種基板10の上にフォトレジスト11を形成し、次に図1(b)に示すように、フォトリソグラフィー等によって周期的なストライプ状、格子状又は点状の部分が除去されるようにフォトレジスト11のパターニングを行い、そのフォトレジスト11をマスクとして、異種基板10の全面にドライエッチング処理を行う。そして、図1(c)に示すように、残ったフォトレジスト11を溶剤等によってウエットエッチングすることにより、ウエットエッチングされた領域Aとドライエッチングされた領域Bとをつくる。
ここで、フォトレジスト11と異種基板10は通常反応性を有しないから、フォトレジスト11をウエットエッチングによって除去した後の領域Aは、もとの異種基板10の表面状態のままとなる一方、ドライエッチングされた後の領域Bは、ドライエッチングによって表面状態が変質している。後述するように、領域Aは窒化物半導体が相対的に成長し難い難成長領域となり、領域Bは、窒化物半導体が相対的に成長し易い易成長領域となる(=選択成長させる「特定領域」)。このため、従来の横方向成長方法と異なり、非特許文献1のようにSiO2等の保護膜を部分的に形成したり、特許文献1のように一旦形成した窒化物半導体層を部分的にエッチング除去する等しなくても、窒化物半導体層の横方向成長を行うことができる。尚、ここで、「易成長領域」、「難成長領域」とは、一方の領域(=易成長領域)が他方の領域(=難成長領域)との対比において相対的に窒化物半導体が成長し易いような、2種類の領域のことを指す。また、易成長領域は、そこから選択成長した窒化物半導体が基板全面を覆うことができれば、どのような形状でも良いが、周期的なストライプ状、格子状又は点状であることが好ましい。
次に、この異種基板10上に、結晶成長の核密度が低くなるような条件下で窒化物半導体層の成長を行う(図1(d)〜図1(f))。即ち、まず図1(d)に示すように、後から成長する窒化物半導体よりも低温、例えば900℃以下で、窒化物半導体から成る低温成長バッファ層13を成長させる。低温成長バッファ層13は、エピタキシャル成長ではなく、単に堆積成長する層であるため、領域Aと領域Bの両方にほぼ同じように成長する。そして、図1(e)に示すように窒化物半導体の結晶成長時の成長核13’の形成密度が小さくなるような条件下で窒化物半導体層の成長を行う。窒化物半導体の成長核13’の形成密度を小さくするには、例えば、窒化物半導体層の成長過程において低温成長バッファ層13の分解が促進されるような条件を採用するか、低温成長バッファ層13の形成密度を最初から下げておけば良い。このような条件で窒化物半導体を成長させると、ウエットエッチングされた領域Aでは、低温バッファ層13の分解が優先的に進んで成長核13’が殆どなくなる一方、ドライエッチングされた領域Bでは、低温バッファ層13から成長核13’への成長が優先的に進んで、低密度ながら成長核13’の形成が進む。そして、低密度の成長核13’がさらに成長して第1窒化物半導体層14が形成される。
次に、図1(f)に示すように、異種基板10の領域Bに選択的に成長した第1の窒化物半導体14を成長核として、第1の窒化物半導体14の上面及び側面から第2の窒化物半導体16を成長させる。この第2の窒化物半導体の成長は、領域A(=難成長領域)においてマクロな横方向成長となる。これにより、第1の窒化物半導体層14及び第2の窒化物半導体層16によって異種基板10の全面を覆うと共に、鏡面の表面を得ることができる。こうして、歪みが少なく、かつ、ウエハ全面に渡って転位密度が107cm−2以下である窒化物半導体を得ることができる。
本実施の形態において、歪みが少なく、かつ、ウエハ全面に渡って転位密度が107cm−2以下である窒化物半導体を得ることができるのは、次のような原理に基づく。
即ち、本実施の形態では、異種基板10表面への窒化物半導体の成長時に成長核13’を低密度に抑制することによって異種基板−窒化物半導体界面で発生する転位を根本的に減少させると共に、部分的な保護膜形成や窒化物半導体の部分エッチングといった手段を用いずに、異種基板10の表面状態の違いによって横方向成長を起こすことにより、そのような低い成長核密度を維持したままで均一な製膜を行うことを可能にしている。従って、得られた窒化物半導体は、低核密度成長と横方向成長との相乗効果によってウエハ全面に渡って低転位密度になる。また、従来の横方向成長では、十分に低い転位密度を得るために窒化物半導体の部分エッチングや部分的な保護膜形成を繰り返す結果ウエハに大きな歪みが加わっていたが、本実施の形態では、異種基板の表面状態の違いのみによって横方向成長を起こし、しかも1回の横方向成長でかなりの低転位密度に達することができるため、歪みが非常に低減された窒化物半導体を得ることができる。
本実施の形態において、ウエハの略全面に渡って転位密度を低減できる点について、さらに詳しく説明する。一般に、実用的な大きさの窒化物半導体ウエハを得ようとすれば、格子定数の異なる異種基板上に窒化物半導体を成長させる必要がある。窒化物半導体への転位発生の原因は、格子定数の異なる異種基板上に成長させる際に、成長の核となる部分に格子不整合に基づく転位が発生することによる。従って、窒化物半導体の転位密度を低減させるには、転位の発生元である結晶の成長核密度を減少させれば良い。気相成長において結晶の成長核密度を減少させるには、後に詳述するように、バッファ層や窒化物半導体の分解速度が高くなるように原料ガスの供給量や成長条件を調整すれば良い。
しかしながら、単純に結晶成長の成長核密度を減少させた場合、図2(a)に模式的に示すように、異種基板10上の結晶核13’の数が減少することによって転位密度はある程度低下するものの、ウエハ内で成長ムラが起こり、得られた窒化物半導体層14は膜厚不均一で、凹凸のある表面状態となってしまう。これは低温成長バッファ層や窒化物半導体結晶の分解速度に比して、結晶成長のための原料供給が均一に行われなくなるためと推定される。このため、得られた窒化物半導体層14の転位密度も面内でばらばらとなり、約10cm―2〜1010cm―2程度の不均一な転位密度分布となる。そこで、従来の窒化物半導体の成長においては、図2(b)に模式的に示すように、一旦、異種基板10上に結晶核13’が高密度に存在する状態で窒化物半導体を成長し、鏡面の窒化物半導体層14を得ている。この方法では、鏡面の窒化物半導体層が得られる代わりに、転位密度は10〜1010cm−2程度になる。この鏡面の窒化物半導体層に適当な横方向成長技術を適用することにより、部分的に低転位密度の領域を得ることはできる。しかしながら、この方法ではウエハの一部しか低転位密度とならず、その低転位密度領域における転位も一般に10〜10cm-2程度でしかない。
一方、本実施の形態では、図2(c)に示すように、異種基板10への成長核13’の形成密度を低く抑制することによって異種基板−窒化物半導体界面で発生する転位を根本的に減少させながら、保護膜やエッチングといった手段を用いずに、異種基板10の表面状態の違いによって異種基板上の特定領域(=領域B)にのみ選択的に窒化物半導体を成長させている。このため、図2(c)に示すように、低温成長バッファ層13や窒化物半導体自身の分解速度が速く、成長核密度が低くなる条件下においても、ドライエッチングされた領域Bから均一な膜厚で結晶成長が進行するようになる。ここで、低成長核密度を維持したまま特定領域への選択成長を起こすには、従来の横方向成長のように保護膜を部分的に形成したり、一旦成長した窒化物半導体をエッチングして異種基板を部分的に露出させるといった手段ではなく、異種基板10自身の表面状態の違いによることが好ましい。何故なら、SiOのような保護膜を部分的に形成することによって特定領域への選択成長を進行させようとした場合、窒化物半導体を減圧下で成長しないと選択成長がうまく進行しないが、減圧成長させると成長核の密度が増大し、またSiO等のマスクからの不純物が窒化物半導体に混入し易くなるからである。また、一旦成長した窒化物半導体をエッチングして異種基板を部分的に露出させる手段を採用した場合、最初に成長させる窒化物半導体が成長核密度の高い条件でしか鏡面に成長しないため、その時点で10〜1010cm−2の転位が発生してしまい、最終的にウエハ全面に渡って転位密度を10cm−2以下に抑制することができなくなってしまう。
本実施の形態によって形成された窒化物半導体は、第1の窒化物半導体14の成長核13’がまばらである結果、図3に示すように、異種基板−窒化物半導体界面での転位発生がもともと少なく、しかも第1の窒化物半導体14が領域B内で微視的な横方向成長を起こしながら成長する。ここで、「微視的な横方向成長」とは、窒化物半導体が低温成長バッファ層を介して異種基板上に直接成長している領域において、基板と低温成長バッファ層との界面で発生した転位の大部分が、基板との界面直近から横方向に曲がって進行し、基板に垂直に進行する転位となっていない状態を指す。このため、通常の横方向成長では貫通転位が多発する易成長領域(=領域B)においても低転位密度となり、最終的にウエハの略全面に渡って低転位密度の窒化物半導体を得ることができる。例えば、異種基板10から窒化物半導体が選択的に成長する易成長領域(=領域B)では、異種基板10と窒化物半導体14(又は低温成長バッファ層13)との界面近傍で10cm−2以上の転位18が発生するが、発生した転位18の略半数以上は、異種基板10との界面近傍(例えば、5μm以内)で異種基板10の表面に略平行な横方向に曲がって進行し、一部は閉ループを形成する。従って、横方向成長の易成長領域である領域Bにおいても、窒化物半導体の表面に向かう貫通転位が大きく減少し、ウエハの略全面に渡って転位密度が低減された窒化物半導体を得ることができる。
即ち、本実施の形態によって得られる窒化物半導体は、窒化物半導体と異なる組成を有する異種基板のほぼ全面に、窒化物半導体以外の異種材料を介さずに成長された窒化物半導体となる。そして、この窒化物半導体における転位発生分布は、窒化物半導体層の面方向には周期的に密度の高い部分が存在し、窒化物半導体層の厚さ方向には異種基板との界面近傍で特に密度が高くなっている。つまり、本実施の形態によって得られる窒化物半導体には、異種基板との界面近傍(例えば、界面から5μm以内)で106cm−2以上(或いは10cm―2以上)の転位が発生している転位発生領域が面方向に周期的に存在する。本件発明では、この転位発生領域に集合している転位を転位群と称する。即ち、異種基板と窒化物半導体の界面付近を面方向に見て、転位密度が局部的に大きくなっている領域があれば、その領域に含まれる転位の集合を転位群と称する。この転位群は、異種基板との界面近傍に存在し、転位群に含まれる転位が異種基板との界面近傍から横方向に曲がっている点に特徴がある。尚、転位発生領域にある転位群の全てが横方向に進行しているのではなく、一部は縦方向又は斜め方向にも進行する。しかしながら、例えば界面から5μm以内の領域で見れば、少なくとも半数以上、好ましくは2/3以上が横方向に進行しており、表面にまで貫通する転位は少ない。尚、転位発生領域にある転位群は、その転位発生領域の中で(即ち、選択成長される易成長領域の中で)横方向に進行している点が従来の横方向成長と大きく異なる。これは、転位発生領域にある転位群は、微視的な横方向成長を起こしながら形成されているからである。従来の横方向成長では、転位が横方向に進行するのは主として難成長領域中であり、易成長領域中では大部分が縦方向又は斜め方向に転位が進行する。このため、従来の横方向成長と異なり、本実施の形態によって得られる窒化物半導体の表面における転位密度は、ウエハ全面に渡って1x10cm−2以下、より好ましくは1x10cm−2以下となる。尚、この窒化物半導体によって素子形成用の窒化物半導体基板を構成できることは言うまでもない。
また、図11は、本実施の形態で得られた窒化物半導体を断面方向からTEM観察した像を示す写真である。図11に示すように、基板と窒化物半導体の界面近傍(例えば、界面から5μm以内の位置)では106cm−2以上の転位が領域B(=易成長領域)で周期的に発生しているが、発生した転位が界面の近傍から横方向に進行しており、微視的な横方向成長をしていることがわかる。このため、領域B(=易成長領域)において基板と窒化物半導体の界面で発生した転位は、窒化物半導体の表面に到達していない。従って、窒化物半導体表面では領域A(難成長領域)も領域B(易成長領域)も一様に転位密度が低くなっている。
これに対し、一般的な横方向成長法の場合、窒化物半導体が低温成長バッファ層を介して基板上に直接成長している領域(=易成長領域)では、鏡面を得るために転位が多発する高核密度成長を行う必要があり、しかも基板と低温成長バッファ層との界面で発生した転位は、大部分が基板に垂直か斜めに進行する貫通転位となっている。このため、一般的な横方向成長法では、窒化物半導体が横方向に進行する難成長領域では低転位密度となるが、易成長領域では貫通転位によって高転位密度となり、基板の全面に渡って低転位密度とすることができない。
ここで、異種基板10の周期的な特定領域をドライエッチングすることによって、その特定領域(=領域B)から窒化物半導体の選択成長が進行する理由は必ずしも明らかではないが、次のように推定される。図4(a)〜(c)は、本実施の形態における異種基板10の表面状態と、その表面における窒化物半導体の成長の様子を模式的に示す断面図である。本実施の形態において選択的にドライエッチングされた領域Bは、異種基板10の表面が僅かに削られる結果、図4(a)に示すように、フォトレジストによって保護されていた領域Aに比べて、凹状に高さが10〜500Å程度、より典型的には50〜200Å程度低くなっており、その表面粗さも大きくなっている。一般に、結晶が気相成長する際には、原料ガスの原子が結晶表面に吸着した後、結晶表面を拡散してステップに吸着されることによって結晶が成長する。領域Aよりも表面粗さが相対的に大きく、高さの低くなった領域Bでは、その表面の凹凸や領域Aとの間に形成された段差が原子を吸着するステップのような役割を果たし、成長核の形成が領域Aに比べて促進されると推定される。このような表面状態の異種基板10に窒化物半導体を成長させると、図4(b)に示すように、低温成長バッファ層13は、領域Aと領域Bの両方に堆積する。しかしながら、高温にして窒化物半導体のエピタキシャル成長を開始すると、図4(c)に示すように、領域Aでは成長核13’が徐々に小さくなっていき、最終的に殆ど見られなくなるのに対し、領域Bでは、成長核13’が徐々に大きくなり、結晶の成長が進む。特に、ドライエッチングされた領域Bと隣接する領域Aとの間の段差部で成長核13’が成長し易く、成長条件を厳しくして成長核13’の密度を減少させていくと、この段差部のみに成長核13’が形成されるようになる。
このように本実施の形態では、異種基板10の表面状態を部分的に変化させることによって窒化物半導体の横方向成長を行っているが、これには、前述の歪み低減効果に加えて、窒化物半導体の汚染やダメージを防止できるという利点がある。即ち、従来の横方向成長法によって得た窒化物半導体は、汚染や窒化物半導体へのダメージのために高い結晶品質を安定して得ることが困難であった。例えば、非特許文献1及び特許文献1に開示された方法を用いた場合、SiO膜をエッチングによってパターニングする際に、下地の窒化ガリウム層にダメージが残り、最終的に得られる窒化ガリウム層の結晶品質を低下させる。また、SiO保護膜が窒化ガリウムの成長中にある程度分解するため、窒化物半導体に汚染が発生し易かった。また、特許文献2に開示された方法を用いた場合にも、基板上にシード結晶となるAlGaN層を成長した後、一旦成長炉から取り出してAlGaN層のエッチングを行い、再び成長炉に投入して窒化物半導体を成長させる必要があるため、成長炉から取出してエッチングをする際に汚染が発生し易かった。これに対し、本件実施の形態にように、異種基板10の表面状態を部分的に変化させることによって窒化物半導体の横方向成長を起こした場合には、汚染やダメージの原因となる保護膜形成や窒化物半導体エッチングを行う必要がないため、高品質の窒化物半導体を成長することが可能となる。
さらに、特に本実施の形態のように異種基板10の表面状態を部分的に変化させることによって窒化物半導体の横方向成長を行った場合、従来の横方向成長に比べて工程が大幅に簡略化される利点もある。即ち、従来の横方向成長では、窒化物半導体の選択成長を実現するために複雑な前工程を経る必要があった。例えば、非特許文献1や特許文献1に開示された横方向成長法では、窒化物半導体の選択成長を行う前に、一旦、窒化物半導体のエピタキシャル成長を行い、それからSiO保護膜を全面に製膜し、フォトレジストを所定形状にパターニングした後、フォトレジストをマスクとしてSiOをパターニングする必要がある。特許文献2に開示された横方向成長法では、窒化物半導体の選択成長を行う前に、一旦、窒化物半導体のエピタキシャル成長を行い、それからフォトレジストを所定形状にパターニングした後、フォトレジストをマスクとして窒化物半導体をパターニングする必要がある。さらに、従来の横方向成長では1回で転位密度を十分に低減することが難しいため、横方向成長を2回以上繰り返す場合も多いが、その場合には工程が一層複雑となり、最終的な窒化物半導体層を得るために数週間を必要とする場合もあった。
これに対し、本実施の形態のように異種基板10の表面状態を部分的に変化させることによって窒化物半導体の横方向成長を行う場合、選択成長の前に窒化物半導体のエピタキシャル成長を行う必要がないため、前工程が大幅に簡略化される。しかも、前工程を行った後、成長核密度の低い条件で窒化物半導体のエピタキシャル成長を行うことができるため、1回の横方向成長で転位密度を十分に低減することができる。このため、例えば本実施の形態のようにフォトレジストをマスクとしたドライエッチングによって異種基板10の表面状態を部分的に変化させた場合には、ウエハ全体に低転位密度である窒化物半導体を数日で得ることも可能となる。
尚、本実施の形態のように異種基板10の表面状態を部分的に変化させることによって窒化物半導体の横方向成長を行う場合、従来の横方向成長とは逆に、難成長領域である領域Aの面積を、易成長領域である領域Bと同等又はより狭くすることが望ましい。即ち、従来の横方向成長では、難成長領域のみが低転位密度となるため、低転位密度領域をできるだけ広くとるために、難成長領域を易成長領域よりも広くとるのが通常であった。これに対し、本実施の形態のような横方向成長法によれば、易成長領域と難成長領域の両方において低転位となるため、難成長領域を易成長領域よりも広げる必要がない。むしろ、難成長領域が広すぎると、難成長領域において意図せぬ成長核の発生が起こりやすくなり、転位が増加する傾向にある。また、難成長領域が広すぎる場合、窒化物半導体を平坦にしにくくなるという問題も生じる。従って、本実施の形態のような横方向成長法では、領域A(=難成長領域)の領域B(=易成長領域)に対する面積比を1倍以下、より好ましくは1/2倍以下とすることが望ましい。
次に、窒化物半導体の成長核13’を低密度に抑制しながらエピタキシャル成長を行う方法について説明する。本実施の形態における窒化物半導体の成長方法を概説すれば、次のようになる。窒化物半導体と組成が異なる異種基板10上に、原料ガスとして、少なくとも、ガリウム源又はアルミニウム源のガスと窒素源のガスとを用いて、気相成長法によって窒化物半導体を成長させる方法であって、
工程(A)− 異種基板10上に、窒化物半導体が相対的に成長し易い易成長領域(=領域B)と成長しにくい難成長領域(=領域A)とを周期的に交互に形成する工程
(図1(a)〜図1(c))
工程(B)− 異種基板10に低温バッファ層13を成長する工程(図1(d))
工程(C)− 異種基板10を低温バッファ層13の成長温度よりも高温に昇温する工程工程(D)− 第1窒化物半導体14を易成長領域内(=領域B)に成長させる工程
(図1(e)〜図1(f))、
工程(E)− 易成長領域(=領域B)に成長した第1窒化物半導体14から、第2窒化物半導体16を難成長領域(=領域A)を覆うように横方向に伸長させる工程
(図1(f))
ここでは、上記工程(D)において、窒化物半導体の成長核13’を低密度に抑制しながら第1窒化物半導体14のエピタキシャル成長を行う具体的な方法について説明する。
窒化物半導体の成長核13’を低密度に抑制しながら第1窒化物半導体14のエピタキシャル成長を行うには、下記のいくつかの方法が考えられる。
(1)低温成長バッファ成長後の基板昇温過程(=工程(C))において、分解防止用の窒素源ガスの流量を低下させることにより、昇温中の低温成長バッファ層の分解を促進する、つまり、工程(D)において、窒化物半導体が微視的な横成長をする程度に、工程(C)において、前記基板昇温時の窒素源ガス流量を抑制する。例えば、工程(C)において、基板昇温時の前記窒素源ガスの流量を全ガス流量の1/100〜1/5とする。
(2)窒化物半導体層の成長過程(=工程(D))において、窒素源ガスの流量を低下させることにより、第1の窒化物半導体成長中の低温成長バッファ層の分解を促進する。つまり、工程(D)において、前記窒化物半導体が微視的な横成長をする程度に、前記窒化物半導体成長時の窒素源ガス流量を抑制する。例えば、工程(D)において、窒化物半導体成長時の窒素源ガス流量を全ガス流量の1/50〜1/5とする。
(3)工程(D)において窒化物半導体が微視的な横成長をする程度に、工程(B)において、低温バッファ層の成長密度を抑制する。例えば、低温成長バッファ層の成長過程(=工程(B))において、低温成長バッファ層の成長温度を上げる、原料ガスの流量を下げる、成長時間を短くする等により、低温成長バッファ層の形成密度を低下させる。
尚、上記(1)及び(2)の方法において、窒素源ガスの流量を下げることによって低温成長バッファの分解が促進されるのは、低温成長バッファを構成している窒化物半導体は、金属成分よりも窒素成分の方が脱離し易いため、高温に昇温する過程で窒素源ガスの流量を下げることにより低温成長バッファ層の分解が促進されるからである。尚、この方法は、窒化ガリウムから成る低温成長バッファ層のみならず、InAlGa1−x−yN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で表される窒化物半導体一般から成る低温成長バッファ層に適用できる。
これらの方法を用いることにより、窒化物半導体の成長核である低温成長バッファ層の形成密度が下がり、窒化物半導体の成長核13’が低密度に抑制された状態でエピタキシャル成長が進行し、第1窒化物半導体14が微視的な横方向成長を起こしながら成長するようになる。上記(1)から(3)の方法は、いずれか1つを用いても良いし、複数を組合せても良い。いずれの方法を採用した場合であっても、その具体的な条件は、窒化物半導体が微視的な横方向成長を起こすように定める必要がある。
窒化物半導体の成長核13’を低密度に抑制しながらエピタキシャル成長を行う方法について、図面を参照しながら、さらに詳細に説明する。図5は、異種基板上に窒化物半導体をエピタキシャル成長する場合の一般的な成長温度プロファイルを示すグラフである。図5に示すように、一般的には、(i)時間t〜tにおいて、基板温度をT℃まで上昇/下降させてサーマルクリーニングを行った後、(ii)時間t〜tにおいて、ガリウム源ガスと窒素源ガスを流しながら基板温度T℃で低温成長バッファ層の成長を行い、(iii)時間t〜tにおいて、低温成長バッファ層の分解防止用に窒素源ガスを流しながら、基板温度をT℃からT℃まで上昇させ、(iv)時間t以降において、ガリウム源ガスと窒素源ガスを流しながら第1の窒化物半導体層を成長させる。
上記工程(D)においては、基本的に図5と同様の成長温度プロファイルが適用できるが、時間t〜tにおいて行うサーマルクリーニングは省略するか、サーマルクリーニングの温度条件Tを低温(例えば、900℃以下)にして行うことが好ましい。これは、サーマルクリーニングを行うことにより、異種基板10の表面状態に変化が生じてしまうからである。さて、窒化物半導体の成長核13’を低密度に抑制しながらエピタキシャル成長を行うには、第1の窒化物半導体14が成長する際の低温成長バッファ層13の形成密度を低下させる等すれば良い。例えば、図5に示した一連の過程において、低温成長バッファ層の分解が促進されるような条件を採用するか、低温成長バッファ層の形成密度を最初から下げておくことにより、第1の窒化物半導体が成長する際の低温成長バッファ層の形成密度を低下させることができる。
これには、上述の通り、(1)〜(3)の3つの方法が考えられる。即ち、
(1)上記(iii)の基板の昇温過程において、分解防止用の窒素源ガスの流量を低下させることにより、昇温中の低温成長バッファ層の分解を促進する、
(2)上記(iv)の第1窒化物半導体層の成長過程において、窒素源ガスの流量を低下させることにより、第1の窒化物半導体成長中の低温成長バッファ層の分解を促進する、
(3)上記(ii)の低温成長バッファ層の成長過程において、成長温度Tを上げる、ガリウム源ガス及び窒素源ガスの流量を下げる、成長時間(t〜t)を短くする等により、低温成長バッファ層の形成密度を低下させる。
これらの方法によって、第1の窒化物半導体14が低核密度で成長し、微視的な横方向成長が促進される。
上記(1)から(3)の方法は、いずれか1つを用いても良いし、複数を組合せても良い。いずれの方法を採用した場合であっても、その具体的な条件は、第1の窒化物半導体が微視的な横方向成長を起こすように定める必要がある。例えば、上記(ii)の低温成長バッファ層の成長過程において、低温成長バッファ層の形成密度を低下させる場合(=上記(3)の方法)、成長温度Tを900℃以上とするか、成長時間(t〜t)を30秒〜15分とすることが望ましい。
これらの方法を用いることにより、第1の窒化物半導体14の成長核(=低温成長バッファ層)がまばらになり、第1の窒化物半導体14が異種基板10の領域B(=易成長領域)内で微視的な横方向成長を起こしながら成長するようになる。
次に、図1(a)〜(f)に示した各工程について、好ましい材料や条件を詳述する。
まず、図1(a)において、異種基板10は、窒化物半導体と異なる異種基板であることが好ましく、例えば、C面、R面、及びA面のいずれかを主面とするサファイア、スピネル(MgAl)のような絶縁性基板、SiC(6H、4H、3C)、ZnS、ZnO、GaAs、Si、及び窒化物半導体と格子接合する酸化物基板等を用いることができる。これらの基板にはオフ角が形成されていると結晶の品質が良くなり好ましい。また、フォトレジスト膜11は、一般的な半導体工業で用いられるもので良く、異種基板10の材質に応じて適宜材料を選択すれば良い。また、フォトレジスト膜11は必ずしもフォトレジストである必要はなく、図1(b)のドライエッチング時に異種基板10の表面を保護でき、何らかの方法でパターニングできる材料であれば、フォトレジスト11に代えることができる。
次に、図1(b)において、フォトレジスト11のパターニングは、半導体工業で一般的なフォトリソグラフィーによって行うことが好ましいが、フォトレジスト11を所定のストライプ状、格子状又は点状に除去してパターニングできる方法であれば、他のどのような手段を用いても良い。また、図1(b)においてドライエッチングは、異種基板10の表面状態を変化させ得るものであれば良く、反応性イオンエッチング(RIE)、ICP、反応性イオンビームエッチング(RIBE)、電子サイクロトロンエッチング(ECR)、アッシャー等の各種方法を用いることができる。尚、異種基板10の表面状態をドライエッチングと同様に変化させることができる手段であれば、ドライエッチング以外の手法を用いることもできる。
次に、図1(d)において、異種基板10の上に成長させる低温成長バッファ層13は、基板10と第1の窒化物半導体14の間の格子定数不整を緩和するための層であり、基板10の領域Aに残った反応層が分解しない程度の低温で、好ましくは900℃以下、より好ましくは700℃以下の温度で成長させることが望ましい。低温成長バッファ層13の組成は特に限定されないが、InAlGa1−x−yN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、より好ましくはAlGa1−xN(0≦X≦1)を用いることが望ましい。また、低温成長バッファ層13の膜厚は、10Å以上0.5μm以下であることが好ましい。尚、異種基板10の格子定数が成長させる窒化物半導体に近い場合には、低温成長バッファ層13の成長は省略しても良い。低温成長バッファ層13の成長を省略する場合であっても、窒化物半導体の成長核13’を低密度に抑制しながら第1窒化物半導体14のエピタキシャル成長を行う条件は基本的に変わらない。即ち、上述した(1)〜(3)の方法のうち、(1)及び(2)を採用することによって成長核13’を低密度に抑制しながらエピタキシャル成長を行うことができる。尚、この場合には、分解防止用の窒素源ガスの流量を低下させることにより、昇温中の成長核の分解を促進することになる。
次に、図1(e)〜(f)において、第1の窒化物半導体14は、低温成長バッファ層よりも高温で、好ましくは900℃以上で成長させる。成長温度の上限は、第1の窒化物半導体14自身の分解温度以下であれば、特に限定されない。また、第1の窒化物半導体14は、アンドープの窒化物半導体、及びSi、Ge、SnおよびS等のn型不純物をドープした窒化物半導体、その他にMgやZn等のp型不純物をドープした窒化物半導体、又はn型不純物とp型不純物とを同時ドーピングした窒化物半導体を用いることができる。第1の窒化物半導体14は、一般式InAlGa1−x−yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)によって表される組成を有することが好ましい。また、第1の窒化物半導体14は、必ずしも単一の層である必要はなく、組成の異なる複数の層が積層されたものであっても良い。
次に、図1(f)において、第2の窒化物半導体16は、第1の窒化物半導体14と異なる組成であっても良いが、好ましくは第1の窒化物半導体14と略同一組成とする。また、第2の窒化物半導体16の成長条件は特に限定されないが、第1の窒化物半導体14と同様の条件で成長させることが好ましい。第1の窒化物半導体14と第2の窒化物半導体16の成長条件を略同一とすることにより、第1の窒化物半導体14と第2の窒化物半導体16の間で結晶軸のずれが発生することを防止でき、その結果、第2の窒化物半導体同士の接合部分での転位の発生が抑制される。また、低温成長バッファ層の成長から第2の窒化物半導体16の成長までは同一成長炉内で連続的に行い、途中で成長炉から取出すことによる窒化物半導体への汚染発生を防止することが好ましい。
また、本実施の形態では、第2の窒化物半導体16を成長させ、隣接した第1の窒化物半導体14から横方向に伸長した第2の窒化物半導体16同士を互いに接合し、異種基板10の全面を平坦に覆うようにするが、第1の窒化物半導体14と第2の窒化物半導体16とのトータル膜厚が5μm以上であれば、表面が平坦な窒化物半導体基板を形成することでできる。また、第2の窒化物半導体16の横方向成長が促進されるような成長条件を採用することにより、より薄い膜厚で基板10の全面を平坦に覆うことができる。例えば、V族(窒素)原料とIII族原料との比であるV/III比を小さくする、又はMgを5×1019cm以上の高濃度ドープさせる等の成長条件を採用することにより、窒化物半導体のトータル膜厚が3μm以下であっても平坦な窒化物半導体層を得ることができる。
実施の形態2
本実施の形態では、さらに転位密度を低減するため、異種基板10の表面に対して斜めの成長面(=ファセット面)を形成するように第1の窒化物半導体14を成長させる。第1の窒化物半導体14がファセット面を形成するように成長することにより、実施の形態1において微視的な横成長では抑制しれなかった貫通転位をファセット面の方向に曲げ、表面における転位密度を一層減少させることができる。その他の点は、実施の形態1と同様である。
図6(a)〜(d)は、本実施の形態における窒化物半導体の成長方法を模式的に示す工程図である。図6(a)に至るまでの工程、即ち、図1(a)〜(d)に相当する異種基板の前処理工程は、実施の形態1と同様であるので図面と説明を省略している。それらの工程の後、図6(a)に示すように、第1の窒化物半導体14を成長核13が低密度となる条件でエピタキシャル成長させる。上記前処理工程の条件及び第1窒化物半導体14の成長条件は、基本的に実施の形態1と同様であるが、その一部がファセット面を形成するように変更されている。
第1の窒化物半導体14にファセット面が形成されるようにするには、いくつかの方法が挙げられる。一つの方法は、異種基板の前処理工程において、易成長領域(=領域B)の方向を異種基板の結晶軸に対して特定の方向に設定することである。例えば、C面を主面とし、A面をオリフラ面とするサファイア等の六方晶基板を異種基板10とした場合、通常であれがオリフラ面に垂直か、垂直からやや傾けた方向(例えば、0.2〜0.5°)に易成長領域(=領域B)を形成するが、ファセット面を形成する場合には、オリフラ面に略平行になるように易成長領域(=領域B)を形成する。これによって、第1の窒化物半導体14の成長条件によらず、ファセット面を形成することが可能になる。また、ファセット面を形成する別の方法は、第1の窒化物半導体14の成長温度を下げることである。第1の窒化物半導体14は、その組成に応じて1000〜1200℃程度の高温で成長されるのが通常であるが、その成長温度を下げていくことによってファセット面が形成され易くなる。例えば、通常の成長温度よりも50℃以上、より好ましくは100℃程度低温で成長させれば、ファセット面を確実に形成することができる。
このような条件で第1の窒化物半導体14を成長することにより、図6(b)及び(c)に示すように、ファセット面14aを形成しながら第1の窒化物半導体が成長することになり、以下に説明するように、表面に向かう貫通転位が実施の形態1よりも減少する。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、低核密度の条件で第1の窒化物半導体14を成長するため、第1の窒化物半導体14内で微視的な横方向成長が起こり、異種基板10と第1の窒化物半導体14の界面で発生した転位の大半が基板との界面近傍から横方向に曲がって進行する。しかしながら、微視的な横方向成長によって曲がりきらない転位が残るところ、その転位は実施の形態1と異なり、ファセット形成に特有の分布を示すようになる。即ち、領域B(=易成長領域)にファセット形成しながら選択成長した第1の窒化物半導体14の断面形状は、異種基板と領域Bの長手方向とに直交する断面から見て、領域Bを底辺として、ファセット面を斜辺とする三角形(又は裁頭された三角形)になる。基本的に転位は結晶の成長方向に進行するため、微視的な横方向成長によって曲がりきらなかった第1の窒化物半導体内の転位は、この三角形の斜辺又は頂点(裁頭された三角形の場合は仮想の頂点)に向かって進行する。三角形の斜辺や頂点に向かう転位は、図6(d)に示すように、閉ループを作る等して最終的な窒化物半導体表面に現れにくくなる。従って、実施の形態1に比べて、表面における転位密度が一層低減された窒化物半導体を得ることができる。
図6(c)において、隣接する第1の窒化物半導体14同士が互いに接合し、第1の窒化物半導体14によって異種基板10の略全面が覆われるまで、第1の窒化物半導体14の成長を続けることが好ましい。これは、第2の窒化物半導体16が成長する際に異種基板10の表面が露出していると、その露出部を基点として表面に向かう貫通転位が発生し易くなるからである。
そして、図6(d)に示すように、第1の窒化物半導体14の成長後、第2の窒化物半導体16を成長させることにより、平坦で鏡面の表面を持つ窒化物半導体を得ることができる。ここで第2の窒化物半導体16によって第1の窒化物半導体14のファセット面を平坦に埋めるためには、第2の窒化物半導体16を成長させる際のV/III比をやや小さくし、やや減圧にすることが好ましい。例えば、第2の窒化物半導体16の成長を、温度1150℃、V/III比を900程度、400torrから常圧といった条件で行うことができる。
このようにして得られた窒化物半導体によって、窒化物半導体基板を構成することができる。この窒化物半導体基板は、図6(d)に示すように、特有の転位分布を示す。この転位分布は、微視的な横方向成長による転位群が形成されている点は実施の形態1と同様である。即ち、異種基板との界面近傍(例えば、界面から5μm以内)で106cm−2以上(或いは10cm―2以上)の転位が発生している転位発生領域が面方向に周期的に存在し、この転位発生領域にある転位群は、異種基板との界面近傍に存在し、異種基板との界面近傍から横方向に曲がっている。例えば界面から5μm以内の領域で見れば、少なくとも半数以上、好ましくは2/3以上が横方向に進行している。
しかしながら、本実施の形態では、転位発生領域内で横方向に曲がらなかった転位をファセット形成によって特定方向に曲げている点が実施の形態1の場合と異なる。即ち、転位発生領域にある転位群のうち、横方向に曲がらなかったものは、結晶の成長に従って縦方向又は斜め方向に進行するが、ファセット形成している場合には、ファセット面又はファセット面同士の交線に向かって進行するようになる。このファセット面は、第1窒化物半導体14の成長面であるから、第1窒化物半導体14を選択成長させるストライプ状の領域(=領域B)に直交する断面において、その領域を底辺中央に持つ2等辺三角形を仮想すれば、三角形の斜辺がファセット面に相当するようになる。尚、仮想する2等辺三角形の斜辺がどのような角度を有するかは、成長させる第1窒化物半導体がどのファセット面を持つかによって自ずと決まる。従って、本実施の形態によって得られる窒化物半導体は、異種基板10表面の周期的な領域Bにおいて、異種基板10との界面から5μm以内の領域に比較的多数(例えば、10cm−2以上)の転位が集合した転位群を有すると共に、その領域にある転位の少なくとも半数以上、より好ましくは2/3以上が微視的な横成長によって異種基板表面に略平行な横方向に進行しており、横方向に曲がらなかった転位が、一部は領域Bを底辺中央に含む三角形の斜辺に向かって進行し、他の一部は領域Bを底辺中央に含む三角形頂点に向かって進行するようになる。このような転位分布を持つ窒化物半導体基板は、実施の形態1と同様に歪みが少なく、略全面に渡って実施の形態1よりも一層少ない転位密度を示す。即ち、本実施の形態によって得られる窒化物半導体の表面における転位密度は、ウエハ全面に渡って少なくとも1×10cm−2以下、好ましくは1×10cm−2以下、さらに好ましくは5×10cm−2以下となる。
実施の形態3
本実施の形態では、実施形態1又は2で得られた窒化物半導体上に、さらに窒化物半導体を厚膜成長させ、異種基板10を除去することによって窒化物半導体のみから成る窒化物半導体基板を得る。窒化物半導体のみから成る窒化物半導体基板は、窒化物半導体素子を構成する場合に基板裏面に電極形成を行うことができるため有利である。また、窒化物半導体の厚膜成長時に転位を収束させることで、さらに転位欠陥を低減した窒化物半導体基板とすることができる。通常、非特許文献1や特許文献1に記載された横方向成長させた窒化物半導体上に、窒化物半導体を厚膜成長すれば、結晶軸のチルトの影響を受けて厚膜成長後の表面が平坦にならない。しかし、本実施の形態に係る窒化物半導体では、結晶軸のチルトや横方向成長による応力がなく、さらに窒化物半導体同士の接合部に段差がないため、厚膜成長させた後もクラックが無く、表面が平坦かつ鏡面となる。
本実施の形態において厚膜に成長させる窒化物半導体は、実施の形態1又は2における第2の窒化物半導体16でも良いし、異なる窒化物半導体でも良い。窒化物半導体の厚膜成長は、種々の気相成長法で行うことができる。尚、サファイア等の異種基板上に200μm以上の窒化物半導体(GaN等)を積むとクラックが発生する。従って、200μm以上の厚膜の窒化物半導体を成長させる場合は、200μm以下、好ましくは150μm以下の窒化物半導体を成長させたところで異種基板を剥離し、その後で残りの膜厚分の窒化物半導体を成長させることが好ましい。
まず、ハライド気相成長法(以下、「HVPE法」)で行う場合、例えば、GaNであれば、HClガスとGa金属が反応することでGaClやGaClを形成し、Ga塩化物がアンモニアと反応することで300μm以上の厚膜を容易に形成することができる。但し、HVPE法で成長を行った場合、窒化物半導体内に微量の塩素が残る。
また、HVPE法に代えて、有機金属気相成長法(以下、「MOCVD法」)を高速で行うことによって窒化物半導体の厚膜を形成しても良い。一般にMOCVD法は成長速度が遅く、厚膜形成に不向きとされているが、III族元素の原料ガスを大量に供給することによって高速での成長が可能となる。例えば、GaNを成長させる場合であれば、III族のリウム源としてトリメチルガリウムを、V族の窒素源としてアンモニアを供給するのが一般的であるが、アンモニアは通常の供給量のまま、トリメチルガリウムを大量に供給することによって高速でのMOCVD成長が可能となる。V族(窒素)原料とIII族原料との比であるV/III比(原料ガスの単位流量あたりのモル比)で言えば、通常のMOCVD法が約790〜2200程度であるところを、高速に成長させる場合は150〜300程度に設定すれば良い。高速のMOCVD法であれば、50μm以上の厚膜も容易に形成することができる。
尚、高速のMOCVD法によって窒化物半導体の厚膜を形成することには、HVPE法で同様の膜厚を成長した場合に比べて、異種基板と窒化物半導体の間に存在する応力を緩和して、ウエハの反りを抑制できるという利点がある。この理由は定かではないが、高速のMOCVD法において窒化物半導体内に生じる内部クラックが応力を緩和していると推定される。即ち、高速のMOCVD法によって窒化物半導体層を厚膜に成長した場合、窒化物半導体を蛍光顕微鏡等で観察すると、窒化物半導体層の内側に特有の内部クラックが観察される。この内部クラックが発生することによって、異種基板と窒化物半導体の間に生じた応力が緩和されたものと推定される。尚、この内部クラックは転位の連続したものであるが、窒化物半導体結晶の表面ではなく、窒化物半導体層の内部に存在している。従って、窒化物半導体の表面における転位密度を低下させることはない。
また、内部クラックを通常のMOCVD法で意図的につくることもできる。例えば、厚膜の窒化物半導体(GaN等)の成長途中に、2000Å〜2μm(好ましくは5000Å〜1μm)程度の薄膜で、約0.01〜0.2(好ましくは0.01〜0.1)の混晶比でAlを含む窒化物半導体(AlGaN等)を少なくとも1層介在させると内部クラックを意図的に発生させることができる。これにより窒化物半導体に加わる応力を緩和し、反りを抑制することができる。尚、このAlを含む介在層はMOCVD法で形成することが好ましい。また、Alを含む介在層は、HVPEで成長した厚膜の途中に介在させても良いし、高速MOCVD法で成長させた厚膜の途中に介在させても良い。
また、厚膜の形成手段として、高速のMOCVD法とHVPE法を組み合わせても良い。その場合、MOCVD法による厚膜成長を先に行い、その後でHVPE法による厚膜成長を行うことが好ましい。これはMOCVD法で成長された窒化物半導体は塩素等の不純物を含まず、結晶性も良いため、それを下地としてHVPE法で厚膜成長を行う方が全体としての結晶性が良くなるからである。この場合、MOCVD法で製膜した後、異種基板を剥離し、その後でHVPE法による製膜を行うことがクラック防止の観点から好ましい。
窒化物半導体を厚膜成長させた後、異種基板10を剥離するには、研磨やレーザ照射等の手段を用いることができる。ここでレーザ照射による剥離とは、異種基板10側から窒化物半導体の吸収端よりも短波長のレーザ光を照射することにより、異種基板−窒化物半導体界面付近の窒化物半導体を熱分解させる手法である。尚、本実施の形態のように異種基板を除去する場合、窒化物半導体をGaNとすれば、異種基板除去時に割れ等が発生しにくく、窒化物半導体のみから成る単体基板を容易に形成することができる。
尚、本実施の形態において異種基板を除去した後の窒化物半導体基板は、当然ながら実施の形態1又は2における窒化物半導体で見られた転位分布と同様の転位分布を示す。即ち、実施の形態1のようにファセット面を形成しない場合であれば、窒化物半導体基板の下面近傍に周期的に散在する複数の転位群を有し、転位群に含まれる転位の略半数以上が、窒化物半導体基板の下面に略平行な横方向に進行しており、窒化物半導体基板の上面における転位密度が略全面に渡って107cm−2以下となる。また、実施の形態2のようにファセット面を形成すれば、窒化物半導体基板に直交する断面(かつ、転位群の配列方向、即ち易成長領域の配列方向に平行な断面)から見て、転位群に含まれる転位のうち窒化物半導体下面に略平行な横方向に進行しなかったものが、一部は転位群を底辺中央に含む三角形の二等辺三角形の斜辺に向かって進行し、他の一部は同じ三角形の頂点に向かって進行する。
実施の形態4
本実施の形態では、実施の形態1において異種基板の前処理方法を、別の手法に変える。その他の点は、実施の形態1と同様である。本実施の形態では、異種基板の前処理として、次のような手法を用いる。
即ち、窒化物半導体と組成が異なる異種基板上に、異種基板及び窒化物半導体と組成が異なる異種材料膜を、異種基板表面が周期的に露出するように形成する第1工程と、異種材料膜を化学的方法によって除去する第2工程とを有する処理方法。
この前処理によれば、第1工程において露出していた基板部分が易成長領域となり、第2工程において異種材料膜が除去された基板部分が難成長領域となる。従って、この前処理を行った異種基板上で窒化物半導体の成長を行えば、第1工程において露出していた基板部分から選択的に第1の窒化物半導体が成長する(第3工程)。そして、この第1の窒化物半導体から、第2の窒化物半導体を横方向に伸長させることにより、ウエハ全面に低転位密度である窒化物半導体を得ることができる(第4工程)。
即ち、本実施の形態では、基板上に異種材料膜を周期パターンに製膜した後、化学的に除去することにより、基板上に表面状態の異なる2種類の領域を作り(第1工程〜第2工程)、その表面状態の違いを利用して、一方の領域にのみ窒化ガリウムを選択的に成長させる(第3工程〜第4工程)。基板表面のうち、異種材料膜を製膜した後に、その異種材料膜をウエットエッチング等の方法によって化学的に除去した領域は、窒化物半導体が成長しにくい表面状態となるため、それ以外の領域に窒化物半導体を選択的に成長させることができる。そして、窒化物半導体の成長が進むと、異種材料膜を化学的に除去した領域に向かって横方向に窒化物半導体が成長する。従って、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、保護膜の部分形成や窒化物半導体の部分エッチングを行うことなく、窒化物半導体の横方向成長を起こすことができる。よって、従来の横方向成長の問題点であった窒化物半導体の汚染やダメージを解消することができる。
尚、異種材料膜を製膜後、化学的に除去した領域において、窒化物半導体の成長が抑制されるのは、基板表面に数分子層程度のごく薄い反応層が残るためと推定される。この反応層は、異種材料膜と基板表面との反応によって生成し、ウエットエッチング等の化学的手段では除去されないが、ドライエッチングや熱分解といった物理的手段によって除去することができる。従って、第1工程において、基板のほぼ全面に異種材料膜を形成した後、異種材料膜の一部をドライエッチング等によって反応層を含めて除去することにより、基板表面を周期的に露出させても良い。尚、この反応層は、保護膜と異種基板との反応で形成されるものであり、異種基板及び窒化物半導体とは異なる元素を含む。例えば、保護膜が、Si,Ti,Zr等の酸化物や窒化物であれば、反応層にはSi,Ti,Zr等が含まれる。
本実施の形態について、図面を参照しながら、さらに詳細に説明する。図7(a)〜(f)は、本実施の形態に係る窒化物半導体の製造方法を示す概略断面図である。
まず、図7(a)に示すように、異種基板10のほぼ全面に異種材料膜12を形成する(=工程(a))。異種材料膜12は、異種基板10と異なる組成を有し、異種基板10の表面で少なくとも1分子層が化学結合するものが好ましく、例えば、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、窒化酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)等の酸化物、窒化物、又は金属膜を用いることができる。
また、異種材料膜12は、異種材料膜12と基板10の界面に数〜数10分子層程度のごく薄い反応層が形成されるように、化学的に活性な状態で基板10上に形成されることが好ましい。例えば、プラズマを利用した方法によって製膜を行うことにより、異種材料膜12を化学的に活性にすることができる。プラズマを利用した製膜法としては、プラズマCVD法やECRスパッタ法等が挙げられる。プラズマCVD法は、原料ガスをプラズマによって励起し、原子あるいは分子のラジカルをつくり出して、活性な粒子間の反応により薄膜を堆積する方法である。ECRスパッタ法は、プラズマ生成室で電子サイクロトロン共鳴(ECR)を起こし、プラズマ室から発散する磁界に沿って導き出されたプラズマにより、DCまたはRFを印加したターゲットをスパッタリングして試料室の基板上に薄膜を成膜する技術であり、プラズマ生成室と試料室との間にリング状ターゲットを設置する。
また、異種材料膜は、プラズマを利用しないCVD、スパッタリング、及び蒸着法によって製膜しても良い。その場合は、異種材料膜12の製膜後に、異種材料膜12と基板の間に化学結合が生じる程度のエネルギー(少なくとも1分子層の異種材料膜12が基板10表面で化学結合できるエネルギー)をアニール等によって与えることが好ましい。
次に、図7(b)に示すように、異種材料膜12の一部を、基板10との界面に生じた反応層を含めて完全に除去し、周期的なパターンを形成する(=工程(b))。異種材料膜12の周期的なパターンは、後から成長する窒化物半導体が平坦に埋まるものであればパターン形状を問わないが、特に、ストライプ状、島状又は格子状にすることが好ましい。異種材料膜12の一部を完全に除去するためには、ドライエッチングにより行うことが好ましい。その代わりに、ウエットエッチングやリフトオフ等の方法によって異種材料膜12を除去した後に、ドライエッチングを行っても良い。また、ウエットエッチングやリフトオフ等の方法によって異種材料膜12を除去した後、界面に生じた反応層が分解する程度の温度に加熱しても良い。
尚、工程(a)及び(b)に代えて、適当なマスクを用いることにより、周期的なパターンに異種材料膜12を形成しても良い。例えば、基板10の表面の一部領域をレジスト等の適当なマスクによって覆った状態で異種材料膜12を成長させることにより、周期的なパターンに異種材料膜12を形成することができる。この場合、基板10とマスクが反応層を形成しないようにすることが好ましく、また、マスク除去後の基板10の表面を、ドライエッチングによって清浄化しておくことが好ましい。
次に、図7(c)に示すように、残った異種材料膜12を、界面に生じたごく薄い反応層(図示せず)が残るような条件で除去する(=工程(c))。例えば、ウエットエッチングによって異種材料膜12を除去することにより、界面に生じたごく薄い反応層だけを残すことができる。ウエットエッチングの条件は、異種材料膜12の組成に応じて適宜選択すれば良い。例えば、異種材料膜12がSiOから成る場合には、バッファードフッ酸(BHF)によってウエットエッチングを行うことができる。このようにして、基板10は、見かけ上は表面が全面に露出しているが、表面状態の異なる2種類の領域が交互に配列された状態となる。即ち、基板10の表面には、異種材料膜12が界面に生じた反応層を残して除去された領域Aと、界面に生じた反応層を含めて完全に除去された領域Bとが周期的に交互に存在することになる。後述するように、領域Aは、窒化物半導体が成長しにくい難成長領域となり、領域Bは、窒化物半導体が成長し易い易成長領域となる。
次に、図7(d)に示すように、基板10の上に、低温成長バッファ層13を成長後、基板10の温度を昇温し、窒化物半導体14を成長させる(=工程(d))。これにより、みかけ上は基板10の全面が露出しているにも拘わらず、領域Bにのみ第1の窒化物半導体14が成長する。このような選択的な成長が起こる技術的機構は詳細には明らかではないが、次のように推定される。即ち、低温成長バッファ層の成長後に基板10を高温に昇温すると、領域Aに残存していた反応層が熱分解して低温成長バッファ層13が領域Aから除去され、領域Aにおける第1の窒化物半導体14の成長が阻害される。このため、領域Aは窒化物半導体が成長しにくい難成長領域となり、領域Bは窒化物半導体が成長し易い易成長領域となる。また、上記工程(b)において、ドライエッチングによって異種材料膜12を除去した場合には、その部分が図4の領域Bと同様の状態になる。従って、工程(b)においてドライエッチングによって異種材料膜1を除去すれば、領域Aに形成された反応層の効果に加えて、領域Bにおける表面粗さと段差の効果が発揮され、第1の窒化物半導体14の選択成長性が一層高まる。
低温成長バッファを成長後の基板の昇温過程は、領域Aに残った界面の反応膜が分解するような条件で、かつ、領域Bの低温成長バッファ層が完全に分解しない温度とする。具体的には、雰囲気温度を900℃以上として、低温成長バッファの分解防止用にNH3を0.1リットル/min以上入れることが好ましい。以上の条件より、領域Aに残った反応膜が除去される。尚、反応膜の分解は、300℃程度の低温でも時間をかければ進行させることができる。
以下、図7(e)〜(f)に示す工程は、実施の形態1の図1(f)に示した工程と同様であるため、説明を省略する。
このようにして成長させた窒化物半導体は、実施の形態1と同様に、歪みが少なく、ウエハ全面に渡って10cm―2以下の低転位密度となる。尚、本実施の形態で得られる窒化物半導体は、実施の形態1と同様の転位分布を有しているが、本実施の形態に特徴的であるのは、転位群同士の間で異種基板との界面近傍に反応層に由来する元素(Si,Ti,Zr等)が残存することである。また尚、ここでは、実施の形態1について異種基板の前処理法を変えることについて説明したが、実施の形態2又は3において本実施の形態と同様の前処理方法を採用しても良いことは言うまでもない。
尚、参考的に言えば、本実施に形態で説明した異種基板の前処理方法は、窒化物半導体の選択成長性が高いため、低核密度条件ではなく、通常の条件で窒化物半導体を成長させてもマクロな横方向成長をさせることができる。このように成長した第2の窒化物半導体16は、マクロな横方向成長法の原理により、領域A(=難成長領域)において転位密度が低くなる。例えば、CL(カソード・ルミネッセンス)法により測定した窒化物半導体の表面における単位面積あたりの転位欠陥は、図7(f)に示したA領域(=難成長領域)では、1×10個/cm以下、より好ましい条件では5×10個/cm以下となる。一方、B領域(易成長領域)では、縦方向に進む貫通転位が残るため、転位数は1×10〜1×1010個/cm程度となる。尚、低核密度条件を用いない場合、領域A(=難成長領域)の面積占有率が高くなるようにすることが好ましく、領域A(=難成長領域)の領域B(=易成長領域)に対する面積比は1〜10倍、より好ましくは1〜5倍とすることが望ましい。
実施の形態5
本実施の形態では、実施の形態4において、さらに異種材料膜から露出した領域(=領域A:難成長領域)の基板を部分的に除去することにより、異種基板の表面に0.1μm以上の比較的大きな段差を形成する。異種基板表面に段差を形成し、領域A(=難成長領域)の高さを領域B(=易成長領域)よりも下げておくことにより、窒化物半導体が横方向に成長する際の異種基板10と窒化物半導体の干渉が防止できる。また、異種基板10に形成された溝が、基板と窒化物半導体の間の空洞となるので、基板の反りが緩和される。さらに、基板に形成された溝により、窒化物半導体の低転位領域の認識も容易となる。その他の点は、実施の形態4と同様である。
図8(a)〜(e)及び図9(a)〜(b)は、本実施の形態に係る窒化物半導体の製造方法を示す概略断面図である。
まず、図8(a)に示すように、異種基板10上に保護膜20を成膜する。保護膜20は、異種基板10に溝部を形成するためのマスクとなる。また保護膜20は、後から形成する異種材料膜12よりもエッチングレートより早い材質から成り、後に基板の凸部面上の異種材料膜12を除去するためにある。例えば、異種材料膜として窒化ケイ素(Si)を用いた場合、保護膜20として酸化ケイ素(SiO)等を用いることができる。
次に、図8(b)に示すように、保護膜20を所定の形状にパターニングした後、保護膜20をマスクとして、反応性イオンエッチング(RIE)、ICP、反応性イオンビームエッチング(RIBE)、電子サイクロトロンエッチング(ECR)、アッシャー等のドライエッチング装置により異種基板10に溝部を形成する。保護膜20のパターン形状は、実施の形態4における周期パターンと同様に、ストライプ状、格子状、円形又は多角形の島状等とすることができる。
オリフラ面がA面であるサファイア基板上において保護膜20をストライプ状にパターニングする場合、オリフラ面の垂直軸に対して左右どちらかにずらして保護膜20をパターニングしてもよい。具体的には、このオリフラ面の垂直軸に対して左右にθ=0°〜5°、好ましくはθ=0.01°〜0.5°の範囲とすることで、後に窒化物半導体を成長させた際の表面をより平坦化させることができる。また、溝部(凹部)の深さが0.1μm以上、溝部(凹部)の幅が1〜100μm、凸部の幅が1〜100μm、凹部幅/凹部深さの比が150以下とすることが好ましい。
次に、図8(c)に示すように、基板10上に異種材料膜12を成長させる。異種材料膜12は、実施の形態4で説明した材料の中から、保護膜20よりもエッチングレートが遅いものを選定する。また、異種材料膜12は、基板10の溝部表面において、少なくとも1分子層以上の反応層を形成するように成長させる。
次に、図8(d)に示すように、前記保護膜20をウェットエッチング等で選択的に除去することにより、基板10の溝部上にのみ異種材料膜12を残す。保護膜20は、異種材料膜12よりもエッチングレートが早いため、基板の凸部上の異種材料膜12は保護膜20と共に除去される。尚、異種材料膜12は、基板の溝部側面にも成膜されている方が好ましいが、必ずしも成膜されていなくとも良い。
尚、この工程の後、基板10の表面をドライエッチングしてもよい。これによって、基板10の凸部上の保護膜20を完全に除去することができる。この場合、保護膜20は成膜時に基板表面で化学結合していてもよいため、異種材料膜と同様の条件で成膜することも可能である。
次に、図8(e)に示すように、バッファードフッ酸(BHF)等でエッチングを続けることにより、異種材料膜12を、基板10との界面に生じた反応層が残るように除去する。このようにして、基板10は、見かけ上は表面が全面に露出しているが、表面状態の異なる2種類の領域が交互に配列された状態となる。即ち、基板10の表面には、異種材料膜12が界面に生じた反応層を残して除去された溝部と、界面に生じた反応層等が残っていない凸部とが周期的に交互に存在することになる。
次に、図9(a)に示すように、基板10の上に、低温成長バッファ層13を成長後、基板10の温度を昇温し、窒化物半導体14を成長させる(=工程(d))。これにより、みかけ上は基板10の全面が露出しているにも拘わらず、凸部にのみ第1の窒化物半導体14が成長する。
次に、図9(b)に示すように、窒化物半導体14を横方向に成長させることで表面が平坦化した窒化物半導体を形成する。溝部には成長核となる低温成長バッファ層が殆どないため、溝部から窒化物半導体14が成長した場合でも成長速度は遅く溝部を埋めるほどの成長はできない。そのため、基板溝部には前記空洞が形成される。尚、低温成長バッファ層13と窒化物半導体14の間に異なる組成の窒化物半導体を単層又は複数層(超格子層を含む)で成長させてもよい。
実施の形態6
実施の形態1〜5で説明した窒化物半導体は、いずれも窒化物半導体素子を形成するための窒化物半導体基板として使用することが可能である。この窒化物半導体基板として用いれば、窒化物半導体レーザのように転位密度に敏感な素子であっても、基板上の自由な位置に形成することが可能となる。また、窒化物半導体LEDのように活性領域が大面積となる素子であっても、活性領域内の全体に渡って低転位密度とできるため、高出力かつ長寿命の素子とすることができる。特に、実施の形態3で説明した窒化物半導体単体から成る窒化物半導体基板は、従来の横方向成長によって得られる窒化物半導体基板よりも歪みが小さいため、素子形成に使用できる有効面積が広く、またへき開性も良好である。従って、1枚の基板からより多数の窒化物半導体素子を製造することができる。また、基板が持つ歪みが小さい結果、より長寿命の窒化物半導体素子を製造することができる。
図10は、実施の形態1〜5で得られた窒化物半導体101の上に、窒化物半導体レーザ素子を形成した例を示す概略断面図である。尚、窒化物半導体基板101上にn側クラッド層203を成長させる構成を示すが、半導体基板101とn側クラッド層203との間に低温成長バッファ層201、中間層202、クラック防止層203を介して半導体層としてもよい。
(n側クラッド層203)
窒化物半導体基板101の上に、1050℃でTMA(トリメチルアルミニウム)、TMG、アンモニア、シランガスを用い、Siを1×1019/cm3ドープしたAl0.03Ga0.97Nよりなる層を膜厚2μmで成長させる。なお、このn側クラッド層は超格子構造とすることもできる。
(n側光ガイド層204)
続いて、シランガスを止め、1050℃でアンドープGaNよりなるn側光ガイド層を0.175μmの膜厚で成長させる。このn側光ガイド層にn型不純物をドープしても良い。
(活性層205)
次に、温度を800℃にして、SiドープIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層を140Åの膜厚で成長させ、続いて同一温度で、アンドープIn0.07Ga0.93Nよりなる井戸層を70Åの膜厚で成長させる。障壁層と井戸層とを2回交互に積層し、最後に障壁層で終わり、総膜厚560Åの多重量子井戸構造(MQW)の活性層を成長させる。
(p側キャップ層206)
次に、温度を1050℃に上げ、TMG、TMA、アンモニア、Cp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、p側光ガイド層よりもバンドギャップエネルギーが大きい、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型Al0.25Ga0.75Nよりなるp側キャップ層を100Åの膜厚で成長させる。該p側キャップ層は省略可能である。
(p側光ガイド層207)
続いてCp2Mg、TMAを止め、1050℃で、バンドギャップエネルギーがp側キャップ層10よりも小さい、アンドープGaNよりなるp側光ガイド層を0.14μmの膜厚で成長させる。
(p側クラッド層208)
続いて、1050℃でアンドープAl0.10Ga0.90Nよりなる層を25Åの膜厚で成長させ、続いてCp2Mg、TMAを止め、アンドープGaNよりなる層を25Åの膜厚で成長させ、総膜厚0.4μmの超格子層よりなるp側クラッド層を成長させる。
(p側コンタクト層209)
最後に、1050℃で、p側クラッド層の上に、Mgを1×1020/cmドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層を150Åの膜厚で成長させる。
以上のようにして窒化物半導体を成長させたウェハーを反応容器から取り出し、最上層のp側コンタクト層の表面にSiO2よりなる保護膜を形成して、RIE(反応性イオンエッチング)を用いSiCl4ガスによりエッチングする。以上よりn側クラッド層を露出させる。
次にp側コンタクト層の表面にストライプ状のSiOよりなる保護膜を形成して、RIE(反応性イオンエッチング)を用いてSiCl4ガスによりエッチングする。以上によりストライプ状の導波路領域であるリッジ部を形成する。次に前記リッジ部の側面をZrO2から成る埋込層220で保護する。
次に導波路領域のリッジ部の端面近傍で該リッジから離間した位置にフォトリソグラフィー技術を用いて複数の六角形状の開口部を有するレジストパターンを形成し、RIE(反応性イオンエッチング)を用いてSiClガスによりn側クラッド層に達するまでエッチングする。以上よりp側コンタクト層の表面に六角形状の凹部110を形成することができる。該凹部は直径が2μm、深さが0.5μmであって、リッジ部の左右に5個ずつ、合計10個形成する。5個の凹部の配置は共振面側から3個、2個と形成する。
次に、p側コンタクト層209及び埋込層220の上の表面にNi(100Å)/Au(1500Å)よりなるp電極230を形成する。p電極を形成した後、Si酸化膜(SiO2)からなる保護膜240をp電極の上及び埋込膜220の上及び半導体層200の側面に0.5μmの膜厚で、スパッタリング成膜により形成する。p電極230を形成した後に600℃でオーミックアニールを行う。
次に、保護膜で覆われていない露出しているp電極230上に連続して、Ni(1000Å)/Ti(1000Å)/Au(8000Å)で形成し、pパッド電極250を形成する。
その後、窒化物半導体基板の第2の主面にはV(100Å)/Pt(2000Å)/Au(3000Å)よりなるn電極210を形成する。
n電極とp電極及びpパッド電極とを形成したウェハー状の窒化物半導体基板の第1の主面側に凹部溝を形成する。該凹部溝は深さを10μmとする。また共振面と平行方向に50μm、垂直方向に15μmの幅とする。次に、前記凹部溝を劈開補助線として窒化物半導体基板のn電極の形成面側からバー状に劈開し、劈開面(1−100面、六角柱状の結晶の側面に相当する面=M面)を共振面とする。
次に共振器面にSiO2とTiO2よりなる誘電体多層膜を形成し、最後にp電極に平行な方向で、バーをチップ化することで半導体レーザ素子とする。なお共振器長は300〜1000μmとする。ここで窒化物半導体レーザ素子の共振面側の左右の角には凹部溝を有する。該凹部溝は深さを10μmであって、共振面と平行方向に30μm、垂直方向に10μmの幅である。
このレーザ素子をヒートシンクに設置し、p電極をワイヤーボンディングして、室温でレーザ発振を試みたところ、発振波長400〜420nm、閾値電流密度2.9kA/cm2において室温で良好な連続発振を示す。更に、共振面を劈開により形成しても、劈開傷がなく、光出力がCW80mW、動作温度が70℃の状態で寿命が1万時間と、特に寿命特性の良いレーザ素子を再現性良く製造することができる
実施の形態7
本実施の形態では、実施形態1〜5で形成した窒化物半導体を窒化物半導体基板として、その上に窒化物半導体発光ダイオードを形成することを説明する。
実施の形態1〜5で形成した窒化物半導体の場合、基板全面が均一に低転位となっているため、チップ面積の大きな発光ダイオードであっても、発光領域内を全て低転位とすることができる。
まず、実施の形態1から5で形成した窒化物半導体の上に不純物ノンドープAlGa1−xN(0≦X<1)層を3μm以下の膜厚で成長させる。その上に、n型コンタクト層としてn型不純物をドープしたAlGa1−xN(0≦X<1)を3〜5μm程度で成長させる。その上にアンドープGaN/n型不純物ドープGaN/アンドープGaNから成る変調ドープ層をトータル膜厚5000Å以下、好ましくは3500Å程度で成長させる。その上にInGaNとGaN砥から成る超格子層を5〜15ペア、好ましくは7〜10ペアの範囲内でトータル膜厚1000Å以下で成長させる。その上に活性層として多重又は単一量子井戸構造でInGa1−xN(0≦X<1)のペアで積層させる。ここで障壁層及び/又は井戸層はn型不純物(Si等)がドープされている。次に、前記活性層上に超格子構造から成るp型クラッド層を形成する。p型クラッド層はInGa1−xN(0≦X<1)とAlGa1−xN(0≦X<1)とのペアであって、膜厚はそれぞれ数十Å程度であって、少なくとも一方にp型不純物(Mg等)がドープされている。またラストクラッド層はAlGa1−xN(0≦X<1)が2000Å程度で積層されており、トータル膜厚は2500Å以下とする。その上にはpコンタクト層としてp型不純物ドープのGaN層が1000Å程度で成長させる。以上よりIF20mAでVf3.5V以下、出力5mW以上のLED素子を得ることができる。
尚、実施の形態5で形成した窒化物半導体の上にLED素子を形成した場合、基板の段差溝部が空洞であるため、乱反射による光取り出し効率が空洞無しLEDに比べて1.2倍以上よい。また、基板側を光取り出し面としたフリップチップ構造のLEDにおいても光取り出し効率が1.2倍以上となる。
上記実施の形態1乃至7では、窒化物半導体を主として有機金属化学気相成長法(=MOCVD法)によって成長させることを前提として説明したが、上記説明した原理はHVPE(ハライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)、MOVPE(有機金属気相成長法)等にも適用することができる。
以下に本発明の実施例を示すが本発明はこれに限定されない。
[実施例1]
本実施例では、本発明の実施の形態1に係る窒化物半導体の具体例について説明する。
まず、C面を主面とし、オリフラ面をA面とするサファイア基板を異種基板10として用い、スピンコータを用い膜厚1.6μmでポジ型のフォトレジスト11を製膜する(図1(a))。次に、フォトレジスト11を露光、現像して、幅10μm、間隔10μmのストライプ状にパターニングする。ストライプの方向は、オリフラ面に垂直とする。そして、160℃で20〜30分間プリベークした後、サファイア基板10の全面をICP装置でエッチングガスとしてCHFを133sscとOを6ssc流しながら5分間ドライエッチングした(図1(b))。
ここでフォトレジスト11によって覆われていた部分が難成長領域(領域A)となり、フォトレジスト11の開口部を通じてドライエッチングに曝された部分が易成長領域(領域B)となる。そしてフォトレジスト11を、リン酸/硫酸混合液で190℃、5分間処理し全てエッチング除去する(図1(c))。尚、リン酸/硫酸混合液に代えて、硫酸加水を用いても良い。
次に、MOCVD装置を用いて連続反応を行う。まず、前記基板10を反応炉に移し、雰囲気温度を500℃とし、キャリアガスに水素を用い、原料ガスとしてアンモニアを0.36mol/min、TMG(トリメチルガリウム)を35.6μmol/minで流すことにより、サファイア基板10上にGaNよりなる低温成長バッファ層13を200オングストロームの膜厚で成長させる。
その後、MOCVD装置内において、アンモニアの流量を0.04mol/minまで下げ、更に温度を1150℃に昇温する。さらに、雰囲気温度を1150℃とし、キャリアガスを水素、原料ガスにはアンモニアを0.04mol/min、TMG(トリメチルガリウム)を162μmol/min流し、GaNより成る第1の窒化物半導体層14を形成する(図1(d))。
さらに、成長条件を同一に保ったまま、第1の窒化物半導体層14(B領域)を成長核としたラテラル成長でGaNより成る第2の窒化物半導体層16を形成する。
以上より得られた窒化物半導体基板は、サファイア基板上のGaN層のトータル膜厚が30μmであり、表面は鏡面であり、表面における単位面積あたりの転位数が全面に渡って4×10個/cm以下である窒化物半導体基板を得ることができる。
[実施例2]
本実施例では、本発明の実施の形態2に係る窒化物半導体の具体例について説明する。本実施例では、実施例1においてオリフラ面に垂直であったフォトレジスト11のストライプ方向をオリフラ面に平行とする。その他の点は、実施例1と同様にしてGaNより成る第1の窒化物半導体14を成長する。第1の窒化物半導体層14は、(11−01)ファセット面(又は(11−02))を形成しながら成長する。第1の窒化物半導体層14がC面サファイア基板10の全面を覆うまで成長を続けた後、雰囲気温度を1150℃とし、キャリアガスを水素、原料ガスにはアンモニアを0.21mol/min、TMG(トリメチルガリウム)を226.8μmol/min流し、GaNより成る第2の窒化物半導体層16を形成する。以上より得られた窒化物半導体基板はサファイア基板上のGaN層のトータル膜厚が30μmであり、表面は鏡面であり、表面における単位面積あたりの転位数が全面に渡って3×10個/cm以下である窒化物半導体基板を得ることができる。
[実施例3]
本実施例では、本発明の実施の形態3に係る窒化物半導体の具体例について説明する。本実施例は、GaNより成る第1の窒化物半導体層14を成長するまでは実施例2と同様である。その後、雰囲気温度を1180℃とし、キャリアガスを水素、原料ガスにはアンモニアを0.18mol/min、TMG(トリメチルガリウム)を774μmol/min流し、GaNより成る第2の窒化物半導体層16を膜厚120μmで形成する(高速MOCVD)。そして、サファイア基板10の裏面よりエキシマレーザ光を照射して、サファイア基板10を剥離する。図12は、本実施例における窒化物半導体の表面をカソードルミネセンスによって観察した写真である。図12に示すように、窒化物半導体基板の表面は鏡面であり、表面における単位面積あたりの転位数が全面に渡って1×10個/cm以下であった。
[実施例4]
本実施例では、GaNより成る第2の窒化物半導体層16をMOCVD法ではなく、HVPE法で成長する。その他の点は実施例3と同様である。そして、サファイア基板10の裏面よりエキシマレーザ光を照射して、サファイア基板10を剥離する。以上より得られた窒化物半導体基板は、GaN単体から成り、直径が約40mm、トータル膜厚が100μmであった。窒化物半導体基板の表面は鏡面であり、表面における単位面積あたりの転位数が全面に渡って2×10個/cm以下であった。
[実施例5]
本実施例では、フォトレジスト11を露光、現像して幅10μm、間隔30μmのストライプ状部分が残るようにパターニングする(ドライエッチングする易成長領域の幅を30μmに広げる)。その他の点は、実施例3と同様である。得られた窒化物半導体基板は、GaN単体から成り、直径が40mm、トータル膜厚が100μmであった。図13は、本実施例における窒化物半導体の表面をカソードルミネッセンスによって観察した写真である。図13に示すように、窒化物半導体基板の表面は鏡面であり、表面における単位面積あたりの転位数が全面に渡って9×10個/cm以下であった。
[実施例6]
本実施例では、本発明の実施の形態4に係る窒化物半導体基板の具体例について説明する。
まず、C面を主面とし、オリフラ面をA面とするサファイア基板10を用い、プラズマCVD装置を用い、圧力20Pa、RFを80W、SiHを5sccm、NOを200sccm、温度を360℃としてSiOから成る保護膜20を膜厚0.1μmで成膜する(図7(a))。次に、保護膜20をプラズマエッチングによって2μm幅で2μm間隔の短冊状にエッチングしてサファイア基板10を露出させる(パターン幅がA領域2μm、B領域2μm、図7(b))。
次に前記保護膜20をA領域において反応層(図示されていない)のみとするために、BHFによってウェットエッチングを行う。この時、エッチングレートはSiOを0.3μm/minでエッチングするものとする。以上より、基板上面において保護膜がない状態に見える(図7(c))。
次に、MOCVD装置を用いて連続反応を行う。まず、前記基板10を反応炉に移し、装置内の雰囲気温度を1140℃とし、キャリアガスに水素を用いて10分間待機する。その後、雰囲気温度を530℃とし、キャリアガスに水素を用い、原料ガスとしてアンモニアを0.18mol/min、TMG(トリメチルガリウム)を9.7μm/minで流すことにより、サファイア基板10上にGaNよりなる低温成長バッファ層13を120オングストロームの膜厚で成長させる。
その後、MOCVD装置内において、アンモニアの流量を0.04mol/minまで下げ、更に温度を1160℃まで昇温する。さらに、雰囲気温度を1160℃とし、キャリアガスを水素、原料ガスにはアンモニアを0.04mol/min、TMG(トリメチルガリウム)を43.7mol/min流し、第1の窒化物半導体層14を形成する(図7(d))。
さらに、成長条件を同一に保ったまま、第1の窒化物半導体層14(B領域)を成長核としたラテラル成長で第2の窒化物半導体層15を形成する。
以上より得られた窒化物半導体基板は窒化物半導体のトータル膜厚が32.5μmであった。表面は鏡面であり、表面における単位面積あたりの転位数が6.3×10個/cm以下である窒化物半導体基板を得ることができた。
[実施例7]
実施例6において、前記基板10を反応炉に移し、装置内の雰囲気温度を1140℃とし、キャリアガスに水素を用いて待機時間を1分とする。さらに、低温成長バッファ層13を上記と同一条件で膜厚165Åとする。また、その後の雰囲気温度を1170℃とする以外は同条件とすることで、表面における単位面積あたりの転位数が同レベルでトータル膜厚が17.8μmである窒化物半導体基板を得ることができた。
[実施例8]
実施例6において、窒化物半導体の成長条件にシランガスを加える他は、実施例7と同様に成長させる。得られる窒化物半導体基板は低転位欠陥であってSiドープのn型窒化物半導体基板を得ることができる。
[実施例9]
実施例6において、基板にSiCを用いる他は、実施例7と同様に窒化物半導体を成長させる。得られる窒化物半導体基板は実施例1とほぼ同様の作用効果を有する窒化物半導体基板となる。
[参考例1]
本参考例では、実施の形態5に係る成長方法において、低核密度の成長条件ではなく、通常の成長条件を適用した具体例について説明する。まず、C面を主面とし、オリフラ面をA面とするサファイア基板10を用い、プラズマCVD装置を用い、圧力20Pa、RFを80W、SiHを5sccm、NOを200sccm、温度を360℃としてSiO2から成る保護膜20を膜厚1.5μmで成膜する(図8(a))。次に、保護膜20をプラズマエッチングして、パターン幅をA領域14μm、B領域6μmとなるように形成後、サファイア基板のエッチングも行い段差を形成する。前記基板の溝部は幅14μm、深さ0.3μmで形成する(図8(b))。この時、基板の凸部面上には保護膜20が残っている。
次にECR装置を用い、SiNから成る異種材料膜12をサファイア基板10上に膜厚0.4μmで成膜する(図8(c))。Arを20sccm、N2を5sccm、RFを500W、マイクロ波500W、ターゲットをSi、温度を常温とする。尚、SiNではなく、SiOから成る異種材料膜12をプラズマCVD法で製膜する場合は、圧力20Pa、RFを120W、SiH4を5sccm、N2Oを200sccm、温度を360℃とする。
次にBHFを用いてウェットエッチングを40分間行い、保護膜SiO20を選択的に除去する(図8(d))。ここで保護膜20上の異種材料膜12も除去される。さらに、基板の凸部面上の保護膜を完全に除去するために前記基板表面をドライエッチングする。以上より、基板の凸部面を露出するが、凸部の上面が祖面化される。
次にサファイア基板10の溝部に成膜された異種材料膜12をBHFで3時間ウェットエッチングする。以上より溝部にはサファイア基板10との界面で1分子層が化学結合した反応膜を残し、かつ凸部上面は露出面となったサファイア基板を形成できる(図8(e))。
次に、MOCVD装置を用い、連続反応を行う。装置内の雰囲気温度を550℃とし、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアとTMG(トリメチルガリウム)とを用い、サファイア基板10上にGaNよりなる低温成長バッファ層13を200オングストロームの膜厚で成長させる。さらに、連続反応でMOCVD装置内の雰囲気温度を1060℃とし、その後、雰囲気温度を1070℃、キャリアガスを水素、原料ガスにアンモニアとTMG(トリメチルガリウム)とを用いて、GaNよりなる第1の窒化物半導体14を成長させる。第1の窒化物半導体14は低温成長バッファ層13を成長核としてラテラル成長させる(図9(a))。さらにラテラル成長を続けることで第1の窒化物半導体14同士が接合して、窒化物半導体層を膜厚7μmで形成する(図9(b))。
以上より得られた窒化物半導体基板は窒化物半導体のトータル膜厚が7μmであり、表面は鏡面かつ平坦化しておりチルトがなく、領域Aの表面における単位面積あたりの転位数が1×10個/cm以下の窒化物半導体基板となる。
[参考例2]
参考例1において、第1の窒化物半導体の成長条件に10ppmの濃度のシランガスを5cc加える。その他は、参考例1と同様に成長させる。得られる窒化物半導体基板は低転位欠陥であってSiを2×1018cmドープしたn型窒化物半導体基板を得ることができる。
[比較例1]
C面を主面とし、オリフラ面をA面とするサファイア基板1を用い、MOCVD法により、温度を510℃、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアとTMG(トリメチルガリウム)とを用い、サファイア基板1上にGaNよりなるバッファ層を200オングストロームの膜厚で成長させる。
バッファ層成長後、TMGのみ止めて、温度を1050℃まで上昇させ、1050℃になったら、原料ガスにTMG、アンモニア、シランガスを用い、アンドープGaNを2.5μmの膜厚で成長させる。
そのアンドープGaNの上にCVD法によりSiOよりなる保護膜を0.5μmの膜厚で成膜し、ストライプ状のフォトマスクを形成し、エッチングによりストライプ幅14μm、窓部6μmのSiOよりなる保護膜を形成する。なお、この保護膜のストライプ方向はサファイアA面に対して垂直な方向とする。
次に、MOCVD法により、減圧条件で温度を1050℃にして、原料ガスにTMG、アンモニア、シランガス、CpMg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、GaNよりなる窒化物半導体を15μmの膜厚で成長させる。
図14は、得られた窒化物半導体の表面をCL(カソードルミネセンス)により観測した写真である。保護膜の窓部上部に多数の転位が見られる。保護膜が形成されていた上部での転位密度は約6×10cm−2であった。
図1(a)〜(f)は、実施の形態1における窒化物半導体の製造工程を模式的に示す断面図である。 図2(a)〜(c)は、窒化物半導体の成長形態と核密度の関係を説明するための模式図である。 図3は、実施の形態1における窒化物半導体の断面を示す模式図である。 図4(a)〜(c)は、異種基板表面に窒化物半導体が成長する過程を詳細に示す模式図である。 図5は、窒化物半導体を成長する際の温度プロファイルを示すグラフである。 図6(a)〜(d)は、実施の形態2における窒化物半導体の製造工程を模式的に示す断面図である。 図7(a)〜(f)は、実施の形態4における窒化物半導体の製造工程を模式的に示す断面図である。 図8(a)〜(e)は、実施の形態5における窒化物半導体の製造工程を模式的に示す断面図である。 図9(a)〜(b)は、図8(e)の続きの工程を模式的に示す断面図である。 図10は、実施の形態6で製造される窒化物半導体レーザを示す模式断面図である。 図11は、実施の形態1における窒化物半導体基板の断面を撮影したTEM写真である。 図12は、実施例3における窒化物半導体基板表面のカソードルミネッセンス像を示す写真である。 図13は、実施例5における窒化物半導体基板表面のカソードルミネッセンス像を示す写真である。 図14は、比較例1における窒化物半導体基板表面のカソードルミネッセンス像を示す写真である。
符号の説明
10 基板、
12 異種材料膜、
13 低温成長バッファ層、
14 第1の窒化物半導体層、
16 第2の窒化物半導体層、
18 転位、
20、保護膜

Claims (6)

  1. 窒化物半導体と組成が異なる異種基板上に窒化物半導体を成長させる窒化物半導体の製造方法であって、
    前記異種基板表面に、開口部を有するフォトレジストを形成し、
    前記開口部内に露出した前記異種基板表面をドライエッチングすることにより、前記異種基板表面に周期配列された複数の特定領域を形成し、
    前記フォトレジストを除去後、前記異種基板表面に、後から成長する窒化物半導体よりも低温で成長させた低温成長バッファ層を形成し、
    全ガス流量の1/100〜1/5の窒素源ガスを流しながら前記異種基板を昇温して前記低温成長バッファ層を部分的に分解し、
    前記特定領域の前記低温成長バッファ層から選択的に、発生した転位の半数以上が前記特定領域内で前記異種基板表面に平行な横方向に進行するように、第1窒化物半導体を成長させ、
    前記第1窒化物半導体から、前記第1窒化物半導体と同一又は異なる組成の第2窒化物半導体を成長させて前記異種基板の全面を覆い、
    表面における転位密度が全面に渡って107cm−2以下である窒化物半導体を得ることを特徴とする窒化物半導体の製造方法。
  2. 前記第1窒化物半導体を、前記異種基板表面に対して傾斜した成長面を有するように成長させることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体の製造方法。
  3. 前記特定領域における前記異種基板表面の表面粗さを、それ以外の領域の表面粗さよりも大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物半導体の製造方法。
  4. 前記特定領域における前記異種基板表面の平均高さを、それ以外の領域の平均高さよりも低くすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化物半導体の製造方法。
  5. 前記窒化物半導体の成長後、前記異種基板を剥離することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の窒化物半導体の製造方法。
  6. 前記異種基板が、サファイア、炭化ケイ素、スピネル、シリコンから成る群から選択された1種であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の窒化物半導体の製造方法。
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