JP4793710B2 - 塗料組成物および塗装物品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々被塗物に対する密着性、耐食性および傷つき性等に優れた性能を発揮する塗料組成物、および、本塗料組成物により塗装された塗装物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塗料、塗装の役割、機能は、被塗物に対する付着性(密着性)、腐食あるいは傷等からの被塗物の保護および美観の向上等であり、これらを達成するために塗料および被塗物の改善がなされつつある。
【0003】
しかしながら、多様化指向の社会情勢の中、種々変化、変遷する被塗物に対し十分に対応し追随しているとは言い難く、これらを全て満足し得る塗料、塗装方法、塗装製品は得られていないのが現状である。
【0004】
一例を挙げると、環境負荷低減が最重要課題とされ、かつデジタル革命が急速に進展している昨今、情報関連機器(例えば、携帯電話、モバイルパソコン、デジタルビデオカメラ、パソコン等)に使用される成形物の軽量化、小型化、博肉化あるいはリサイクル化を受け、これらに適用される素材は、マグネシウム合金、チタン合金、ガラスおよび/または炭素繊維で強化されたプラスチック類等の塗料設計の立場からみた場合、難接着性といわれる素材が多用されている。これらの比較的新規な素材に十分な密着性を有し、腐食、傷あるいは摩耗等から被塗物を保護し、美観の向上を達成する塗料や塗装方法はまだ見出されていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、密着性、耐食性および傷つき性等に優れた性能を発揮する新規な塗料組成物と塗装方法を提供し、さらに本塗料組成物により塗装された塗装物品を提供することにある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の塗料組成物は、側鎖に水酸基およびエポキシ基を有する特定のアクリル樹脂(A)と一分子中に、アルコキシシラン基とイミダゾール基を有するイミダゾール化合物(B)とを含有する塗料組成物である。
【0007】
本発明の塗料組成物においては、アクリル樹脂の溶解性パラメーター(sp)が8.2〜9.8であるまた、塗料組成物がさらに、一分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を有するシラン化合物を含有することが好ましい態様として含まれる。
【0008】
本発明の塗料組成物は、側鎖に水酸基およびエポキシ基を有するアクリル樹脂(A)と一分子中に、アルコキシシラン基とイミダゾール基を有するイミダゾール化合物(B)とを含有する塗料組成物である。
【0009】
本発明は、側鎖に水酸基およびエポキシ基を有する特定のアクリル樹脂と、特定のイミダゾール化合物を含有し、好ましい特定の被塗物に適用することにより、より顕著な効果と優れた特徴を発揮する。
【0010】
本発明で用いられる側鎖に水酸基およびエポキシ基を有するアクリル樹脂(A)は、水酸基含有不飽和単量体およびエポキシ基含有不飽和単量体、必要であればその他の不飽和単量体とをラジカル共重合することにより製造することができる。側鎖に水酸基およびエポキシ基を有するアクリル樹脂の製造方法は、ラジカル共重合であれば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、その他のいずれであってもよい。また、アクリル樹脂(A)の性状は、溶液状、スラリー状、乳濁状、塊状(固形状)のいずれであってもよい。
【0011】
次に、溶液重合で製造する場合の例をとり、その製造方法の一例を示す。
【0012】
トルエン、キシレン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、ブチルアルコールまたはγ−ブチルラクトン等の有機溶剤中で、水酸基含有不飽和単量体とエポキシ基含有不飽和単量体、必要であればその他の不飽和単量体を、α,α´−アゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルなどの重合開始剤を用い、重合温度30〜200℃でラジカル共重合を行なうことにより側鎖に水酸基およびエポキシ基を有するアクリル樹脂を製造することができる。この際、n−ドデシルメルカプタン等の重合度調節剤を用い分子量調節することもできる。
【0013】
水酸基含有不飽和単量体としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、シクロヘキサンジメタノールのモノアクリレート、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、シクロヘキサンジメタノールのモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)クリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)クリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)クリレート等の一分子中に水酸基とラジカル重合性不飽和結合を有するものを例示することができる。該水酸基含有不飽和単量体は、単独でももしくは2種類以上の混合物であってもよい。
【0014】
水酸基含有不飽和単量体は、アクリル樹脂(A)の水酸基価が5〜120mgKOHとなるように共重合される。アクリル樹脂(A)の水酸基価は、好ましくは20〜80mgKOHとなるように共重合される。
【0015】
また、エポキシ基含有不飽和単量体としては、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等の一分子中にエポキシ基とラジカル重合性不飽和結合を有するものを例示することができる。該エポキシ基含有不飽和単量体は、単独でももしくは2種類以上の混合物であってもよい。
【0016】
エポキシ基含有不飽和単量体含有不飽和単量体は、アクリル樹脂(A)のエポキシ当量が200〜8000となるように共重合される。アクリル樹脂(A)のエポキシ当量は、好ましくは450〜3500となるように共重合される。
【0017】
その他の不飽和単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ステアリル、トリフルオロエチルメタクリレート等のアルキル基の炭素原子数が1〜24個の(メタ)アクリル酸(フルオロ)アルキルエステル、2−〔2´−ヒドロキシ−5´−(メタクリロオキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール2−〔2´−ヒドロキシ−5´−(メタクリロオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性不飽和単量体(R−UVA)、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの光安定性不飽和単量体(R−HALS)、N−ブトキシメチルアクリルアミド、アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、n−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有不飽和単量体、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の反応性シリル基含有不飽和単量体、スチレン、酢酸ビニル、ビニルトルエンなどのビニル基含有不飽和単量体、およびポリメタクリル酸メチルマクロマー、ポリスチレンマクロマー等のポリマー末端にビニル性不飽和二重結合を有するマクロモノマー(これらのマクロモノマーはポリマー鎖中に水酸基、アルコキシシラン基、エポキシ基等の官能基を有していてもよい)等を例示することができる。これらのその他の不飽和単量体は、単独であってももしくは2種類以上の混合物であってもよい。
【0018】
該その他の不飽和単量体の中では、被塗物への密着性改善、向上および塗膜外観の向上の点で、ポリメタクリル酸メチルマクロマーやポリスチレンマクロマーが特に好適に使用される。この目的のためマクロモノマーは、アクリル樹脂(A)に0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%共重合されることが望ましい。マクロモノマーの共重合量が0.01重量%未満では、共重合による効果発現がかんばしくない場合がある。また、マクロモノマーの共重合量が10重量%を超える場合には、塗料の耐溶剤性がやや悪化したり、塗装作業性が悪くなる場合がある。
【0019】
製造されるアクリル樹脂の数平均分子量(Mn)(GPCを使用し、標準ポリスチレン換算で求められる分子量)(ただし溶液重合の場合にのみ適用できる)は、2000〜100000であり、好ましくは5000〜50000である。
【0020】
さらに、本発明では、アクリル樹脂(A)の溶解性パラメーター(sp値;本発明ではSmallの方法により算出)(参考文献:(1)「塗料用合成樹脂入門」、北岡協三著、p23−p31、高分子刊行会(1986)、(2)P.A.Small;J.Appl.Chem.,3,71(1953))が8.2〜9.8、好ましくは8.3〜9.2、より好ましくは8.5〜9.0である。このとき、種々基材に対する密着性と耐溶剤性などのバランスがとれ、良好な外観を有する塗膜が得られる傾向にある。sp値が8.2未満の場合には、種々被塗物への密着性を同時に満足することが困難となる。特に、マグネシウム合金、アルミニウム合金、ステンレス、チタン合金等の金属、およびニッケルやクロム等によりメッキされた製品等の金属類に対する密着性がやや低下する傾向にある。また、sp値が9.8を超える場合には、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン(NY)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS)/ポリカーボネート(PC)アロイ等のプラスチック類および該プラスチック類のガラス繊維および/または炭素繊維強化物に対する密着性がやや低下する。
【0021】
ここで、本発明で適用したsp値の算出例、これにより算出した代表的な(メタ)アクリル酸エステル単量体のsp値を示す。
【0022】
(1)溶解性パラメーターsp値の算出方法例
ここでは、メタクリル酸メチル(比重0.944)につき算出例を示す。前記参考文献(1)「塗料用合成樹脂入門」、北岡協三著、p23−p31、高分子刊行会(1986)、表2−8、表2−9より、メタクリル酸メチルを構成する各結合のFは、
Figure 0004793710
となる。したがって、溶解性パラメーターsp=0.944×947/100=8.94となる。
【0023】
(2)本計算法により求めた代表的な単量体のsp値例
メタクリル酸メチル 9.47
メタクリル酸n−ブチル 8.49
メタクリル酸 9.82
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 9.62
メタクリル酸グリシジル 8.30
アクリル酸n−ブチル 8.60
アクリル酸 10.4
アクリル酸2−ヒドロキシエチル 10.0
スチレン 7.42
(3)共重合体のsp値
本発明では、共重合体のsp値を以下の式により算出した。すなわち、共重合体中の各単量体のモル分率Xi、各単量体の溶解性パラメーターspiから、下記式により共重合体のsp値を算出した。
共重合体のsp=Σ((spi)×(Xi)/100)
一例を挙げれば、メタクリル酸メチル50モル%、メタクリル酸n−ブチル50モル%の共重合体では、
Figure 0004793710
を得る。
【0024】
一分子中に、アルコキシシラン基とイミダゾール基を有するイミダゾール化合物(B)としては、2−〔3−(3−トリメトキシシリルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ−プロピル〕イミダゾール、1−(3−トリメトキシシリルプロピル)イミダゾール、1−(3−トリエトキシシリルプロピル)イミダゾール、1−アセチル−2−(3−トリメトキシシリルプロピル)イミダゾール、2−(3−トリメトキシシリルプロピル)イミダゾール、およびこれらの加水分解物、縮合物(2量体、3量体、オリゴマー、ポリマー等)が例示できる。該イミダゾール化合物(B)は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
【0025】
該イミダゾール化合物(B)は、アクリル樹脂(A)に対して、0.005〜50重量%、好ましくは0.01〜40重量%、より好ましくは0.05〜20重量%配合されることが望ましい。該イミダゾール化合物(B)の配合量が0.005重量%未満の場合には、塗料の硬化性が悪化する場合があり、耐水性、耐薬品性が低下する傾向にある。また、該イミダゾール化合物(B)の配合量が50重量%を超える場合には、塗料の貯蔵安定性、ポットライフがやや悪くなり、塗装作業性が悪化する傾向にある。
【0026】
該イミダゾール化合物(B)は、一分子中にアルコキシシラン基とイミダゾール基を併有するイミダゾール化合物である。一分子中にアルコキシシラン基とイミダゾール基を併有するイミダゾール化合物としては、例えば、2−〔3−(3−トリメトキシシリルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ−プロピル〕イミダゾール、1−(3−トリメトキシシリルプロピル)イミダゾール、1−(3−トリエトキシシリルプロピル)イミダゾール、1−アセチル−2−(3−トリメトキシシリルプロピル)イミダゾール、2−(3−トリメトキシシリルプロピル)イミダゾール、およびこれらの加水分解物、縮合物(2量体、3量体、オリゴマー、ポリマー等)等を例示することができ、例えば、特開平6−177535号公報や特開2000−154349号公報等に例示されている方法で製造することができる。該一分子中にアルコキシシラン基とイミダゾール基を併有するイミダゾール化合物(B)は、単独でももしくは2種類以上の混合物であってもよい。
【0027】
本発明において、該イミダゾール化合物(B)を使用するとき、被塗物への密着性、被塗物の防食性および塗料の硬化性が向上するばかりでなく、塗膜の耐候性、下地不良隠蔽性が改善される傾向にある。該イミダゾール化合物(B)は、アクリル樹脂(A)に対して、0.005〜50重量%、好ましくは0.01〜40重量%、より好ましくは0.05〜20重量%配合されることが望ましい。該イミダゾール化合物(B)の配合量が0.005重量%未満の場合には、塗料の硬化性が悪化する場合があり、耐水性と耐薬品性が低下する傾向にある。また、該イミダゾール化合物(B)の配合量が50重量%を超える場合には、塗料の貯蔵安定性、ポットライフがやや悪くなり、塗装作業性が悪化する傾向にある。
【0028】
該一分子中にアルコキシシラン基とイミダゾール基を併有するイミダゾール化合物(B)は、側鎖に水酸基およびエポキシ基を有するアクリル樹脂(A)の水酸基およびエポキシ基と相互に補完しあい、塗料の主体がアクリル樹脂(A)であるがために、優れた塗料の硬化性、被塗物への密着性、美麗な塗装外観およびきわめて良好な耐傷つき性、耐候性を与える。これらの優れた諸性能と効果は、塗料の主体がアクリル樹脂(A)でなければとうてい到達し得ないものであり、一分子中にアルコキシシラン基とイミダゾール基を併有するイミダゾール化合物(B)が配合されることによりより強調され、向上する。
【0029】
さらに、本発明では、これらの優れた諸性能は、一分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を有するシラン化合物(C)が配合されるとき、より確実、一段と優れたものとなる。特に、この優れた諸性能は、被塗物がマグネシウム合金、アルミニウム合金、ステンレス、チタン合金等の金属、およびニッケルやクロム等によりメッキされた製品等の難接着性金属類、および、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン(NY)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS)/ポリカーボネート(PC)アロイ等のプラスチック類および該プラスチック類のガラス繊維および/または炭素繊維強化物であるとき顕著に発現される傾向にある。
【0030】
本発明で用いられる一分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を有するシラン化合物(C)としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を例示することができる。該一分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を有するシラン化合物(C)は、単独でももしくは2種類以上の混合物であってもよい。
【0031】
該一分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を有するシラン化合物(C)は、塗料固形分中に0.01〜98重量%、好ましくは2〜85重量%、より好ましくは5〜65重量%配合されるのが望ましい。該シラン化合物(C)の配合量が0.01重量%未満の場合には、被塗物、特に金属類への密着性がやや悪化する傾向がある。また、該シラン化合物(C)の配合量が98重量%を超える場合には、塗料の乾燥、硬化性が悪化する場合があり、また塗装、乾燥する際に湿度の影響を受けやすくなり、密着性がばらつくことがある。
【0032】
一分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を有するシラン化合物(C)は、アルコキシシラン基が被塗物との間で強固な相互関係を形成し(マグネシウム合金、アルミニウム合金の場合には、イオン結合または共有結合を形成するものと考えられる)、密着性、耐水性、耐食性および防錆性を向上させるだけでなく、エポキシ基が塗料基体との反応により塗膜中に化学結合により取り込まれ、被塗物と塗料が一体となるため、密着性、耐水性、耐食性および防錆性が一段と向上し、長期にわたり維持されるものと考えられる。
【0033】
本発明の好ましい塗料形態の一つは、側鎖に水酸基およびエポキシ基を有するアクリル樹脂(A)と、イミダゾール化合物(B)、および、必要であればさらにシラン化合物(C)を含有することである。これらが均一になるように混合できれば、どのような製造方法で作製してもよい。
【0034】
また、本発明の塗料組成物には、さらに必要であれば、酸化チタン、炭酸カルシウム、雲母、アルミニウム、カーボンブラックなどの顔料類、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、メチルイソブチルケトンなどの有機溶剤類、沈殿防止剤、レベリング剤、スリップ防止剤、消泡剤、防かび剤、防藻剤、防錆剤などの種々塗料添加剤、その他の塗料に配合される樹脂類、可塑剤、添加剤、酸化防止剤(フェノール系または燐酸系が好ましく使用できる)、光安定剤(塩基定数(PKb)が8以上のヒンダードアミン系(HALS)が好ましく使用できる)などを配合することができる。
【0035】
本発明の塗料組成物の塗装方法としては、スプレー塗装、ロールコート塗装および静電塗装などの一般的な塗装方法を適用することができる。
【0036】
本発明の塗料組成物が適用できる被塗物としては、マグネシウム合金、アルミニウム合金、ステンレス、チタン合金、鉄(含合金)、銅(含合金)等の金属、およびニッケルやクロム等によりメッキされた製品等の金属類、および、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン(NY)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS)/ポリカーボネート(PC)アロイ等のプラスチック類および該プラスチック類のガラス繊維および/または炭素繊維強化物等を例示することができる。
【0037】
本発明の塗料組成物が適用される塗装物品としては、携帯電話、PC(パソコン)、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の情報処理機器に多用されている軽量、高強度の筐体を例示することができる。なかでも、携帯電話、モバイルパソコン、デジタルビデオカメラ等の移動型情報機器端末に使用される筐体、その他の部品が好適である。
【0038】
以下に、実施例で本発明の実施態様を説明する。なお、特に断りがなければ、数値は重量%を表すものとする。
【0039】
【実施例】
参考例1) トルエン(TOL)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)(=60/40)を溶剤とし、重合開始剤にα,α´−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用い、重合温度90℃で、メタクリル酸メチル(MMA)/アクリル酸ブチル(BA)/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)/グリシジルメタクリレート(GMA)(=60/15/15/10)の組成を有するアクリル樹脂(A−1)を製造した。得られたアクリル樹脂(A−1)は、固形分50%、水酸基価64.7mgKOH、エポキシ当量1420、数平均分子量(Mn)22000、sp8.93であった。上記のアクリル樹脂(A−1)に、2−メチルイミダゾール(MI)をアクリル樹脂(A−1)の固形分100重量部に対しMIを2重量部(2PHR)配合し、実施例1の塗料組成物を製造した。さらに、これにイソプロパノール/アノン/PM/TOL(=30/30/20/20)からなる希釈溶剤(SOL)を、フォードカップNo.4での粘度が15秒(25℃)になるよう加え、均一になるよう混合し、塗装試験用の塗料1を作製した。
【0040】
(実施例
参考例1で、不飽和単量体組成をMMA/HEMA/GMA(=75/15/10)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂(A−2)を製造した。得られたアクリル樹脂(A−2)は、固形分45%、水酸基価64.7mgKOH、エポキシ当量1420、Mn23000、sp8.98であった。上記のアクリル樹脂(A−2)に「IA−100A」(アルコキシシラン基とイミダゾール基を併有するイミダゾールシラン化合物、日鉱マテリアルズ(株)製)を0.5PHR、「マーリン・マグナパール1100」(パール顔料、The Mearl Corporation製)を8PHR配合し、実施例2の塗料組成物を製造した。さらに、これに希釈溶剤(SOL)を、フォードカップNo.4での粘度が15秒(25℃)になるように加え、均一になるように混合し、塗装試験用の塗料2を作製した。
【0041】
(実施例
実施例のアクリル樹脂(A−2)に「IA−100A」を、0.5PHR、「SH−6040」(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)を25PHR、「マーリン・マグナパール1100」を15PHR配合し、実施例の塗料組成物を製造した。さらに、これに希釈溶剤(SOL)を、フォードカップNo.4での粘度が15秒(25℃)になるように加え、均一になるように混合し、塗装試験用の塗料3を作製した。
【0042】
(実施例
参考例1で、不飽和単量体組成を、MMA/HEMA/GMA/「アロンマクロマーAA−6」(ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー、東亞合成化学工業(株)製)(=70/15/10/5)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂(A−3)を製造した。得られたアクリル樹脂(A−3)は、固形分45%、水酸基価64.7mgKOH、エポキシ当量1420、Mn23000、sp8.98であった。上記のアクリル樹脂(A−3)に、「IA−100A」を0.5PHR、「SH−6040」を25PHR、「マーリン・マグナパール1100」を15PHR配合し、実施例の塗料組成物を製造した。さらに、これに希釈溶剤(SOL)を、フォードカップNo.4での粘度が15秒(25℃)になるように加え、均一になるように混合し、塗装試験用の塗料4を作製した。
【0043】
(比較例1)
参考例1で、不飽和単量体組成を、MMA/BA/HEMA/GMA/スチレン(=10/15/15/10/50)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂(A−4)を製造した。得られたアクリル樹脂(A−4)に、MIを2PHR配合し、比較例1の塗料組成物を製造した。さらに、これに希釈溶剤(SOL)を、フォードカップNo.4での粘度が15秒(25℃)になるように加え、均一になるように混合し、塗装試験用の塗料5を作製した。
【0044】
(比較例2)
アクリル樹脂(A−3)に、「SH−6040」を25PHR、「マーリン・マグナパール1100」を15PHR配合し、比較例2の塗料組成物を製造した。さらに、これに希釈溶剤(SOL)を、フォードカップNo.4での粘度が15秒(25℃)になるように加え、均一になるように混合し、塗装試験用の塗料6を作製した。
【0045】
上記の参考例、実施例および比較例で作製された各塗料を使用し、塗装試験を実施した。結果を表1に示す。評価は以下にしたがい実施した。
【0046】
<塗装および試験用塗板の作製>
上記の参考例、実施例および比較例の各塗料を、(1)AZ91Dマグネシウム合金(ダイキャスト成形品)をバレル研磨したもの(Mg−1)、(2)AZ91Dマグネシウム合金(ダイキャスト成形品)をショットブラスト研磨したもの(Mg−2)、(3)「トレリナA630T30」(炭素繊維強化ポリフェニレンスルフィド、東レ(株)製)(CF−PPS)の各基材に塗膜厚が25μmとなるように塗布し、100℃で20分間焼付け乾燥した。これを試験用塗板とした。
【0047】
<塗板の評価>
密着性: JIS K 5400碁盤目法に従い実施した。100/100を合格(○)、100/100であるがカット部にやや剥離が見られるものも合格(△)、それ以外は不合格(×)とした。
【0048】
耐水性: 塗板を50℃温水中に7日間浸漬した後、室温で乾燥、塗膜外観変化と耐水性後の密着性を評価した。
【0049】
塗膜外観:ふくれ、剥がれ等が見られず、初期と外観変化がないものを合格(○)とし、それ以外は不合格(×)とした。密着性:前記密着性試験にしたがい実施した。
【0050】
塗膜硬度:JIS K 5400鉛筆硬度試験にしたがい実施した。表中には鉛筆硬度を記述した。本発明では2H以上を合格とした。
【0051】
【表1】
Figure 0004793710
【0052】
【発明の効果】
本発明の塗料組成物は、特定組成のアクリル樹脂(A)に特定のイミダゾール基を有する化合物を配合したものであり、さらに必要に応じ特定のシラン化合物を配合することにより、種々基材、ことさら情報処理分野に適用される難接着性基材とされるマグネシウム合金、およびガラス繊維および/または炭素繊維で強化されたプラスチック等への密着性に優れ、かつ得られた塗膜の耐水性、耐傷つき性などが優れたものとなる。

Claims (4)

  1. 側鎖に水酸基およびエポキシ基を有するアクリル樹脂(A)と一分子中に、アルコキシシラン基とイミダゾール基を有するイミダゾール化合物(B)とを含有する塗料組成物であって、アクリル樹脂(A)の溶解性パラメーター(sp)が、8.2〜9.8、水酸基価が、5〜120mgKOH、エポキシ当量が、200〜8000、数平均分子量(Mn)が、2000〜100000である塗料組成物。
  2. 塗料組成物がさらに、一分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を有するシラン化合物を含有するものである請求項記載の塗料組成物。
  3. 請求項1または2に記載の塗料組成物を被塗物に塗布してなる塗装物品。
  4. 被塗物が、マグネシウム合金、またはガラス繊維および/または炭素繊維で強化されたプラスチックである請求項記載の塗装物品。
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