JP2008169271A - 塗料用組成物 - Google Patents

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Kazuji Kageishi
一二 影石
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Abstract

【課題】ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの被塗物に対する良好な付着性、高い表面硬度と柔軟性、屈曲性を併せ持つ塗料用組成物を提供する。
【解決手段】分子鎖中に、下記構造式で示される繰り返し単位、
Figure 2008169271

を有するアクリル樹脂と、分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を併有するシラン化合物および、カチオン重合開始剤を含む塗料用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの被塗物に対する良好な付着性、高い表面硬度と柔軟性、屈曲性を併せ持つ塗料用組成物に関するものである。
ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂などを使用したプラスチック成形品は、自動車部品、テレビ筐体、洗濯機筐体、携帯電話筐体などに広く使用されている。これらの成形品は、いまや日常生活に欠かせないものとなっている。
これらの成形品は、このままでは意匠性や美観、あるいは耐候性などの耐久性にかけることから、通常は塗装が施され、製品化されている。例えば、自動車用途では、赤、青、白といったソリッドカラー、メタル色や玉虫色のメタリックなどが見られる。
一般に、プラスチック成形品は柔軟で表面硬度が低いために傷つきやすく、かつ感温性があり、気温の変化により、および熱がかかった場合には収縮、膨張の体積変化を起こしやすい。これを防止するために塗膜硬度が高いハードコートの塗装が検討されているが、プラスチックの動きに追随し強い付着性を示すハードコートはまだ開発されていない。
プラスチック製品の表面硬度を高め、合わせて耐溶剤性などの表面特性を向上するとされるコーティング用組成物が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1が提案する技術はアルコキシシリル基含有化合物の加水分解、縮合反応を利用し、プラスチック表面に硬度の高いポリシロキサン結合からなる塗膜を形成するものである。しかしながら、緻密に3次元架橋したポリシロキサンは柔軟性、屈曲性に欠け、ほとんどの場合伸縮性を有さない。したがって、特許文献1が提案する技術は、被塗物への付着性に欠け、アルコキシシリル基含有化合物の加水分解、縮合反応が進むにつれ割れ、剥がれを起こしやすくなることが推測される。また、アルコキシシリル基含有化合物の加水分解、縮合反応には高い反応温度と長時間を必要とし、一般に耐熱性が乏しいプラスチックには適さない。
アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂に、よく密着し、耐摩耗性と高い鉛筆硬度、耐摩耗性、および屈曲性を有する紫外線硬化タイプのハードコート剤組成物および成形品が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2が提案する技術は、分子側鎖にカルボキシル基と多くの(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂、および多官能低分子量ウレタンアクリレート、光重合開始剤を含むものである。特許文献2で提案されている技術は、アクリル樹脂、ウレタンアクリレートともにアクリル性官能度が通常よりも高く、きわめて硬く、脆い塗膜になることが容易に推察される。したがって、塗膜の耐衝撃性や耐寒性、耐湿熱性といった環境試験耐性が懸念される。また、官能度が高いために硬化後に硬化後の塗膜には多くの残留応力、歪みが残ることが懸念され、やはり脆くて耐久性に欠ける塗膜となることが懸念される。
特開昭48−26822号公報 特許公開2006−316249号公報
本発明は、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などの被塗物に対する良好な付着性、高い表面硬度と柔軟性、屈曲性を併せ持つ塗料用組成物に関するものである。
本発明は、下記構造式で示される繰り返し単位、
Figure 2008169271
(ただし、R1は、水素原子またはメチル基を表す。)
および下記構造式で示される繰り返し単位、
Figure 2008169271
(ただし、R2は、炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
さらに下記構造式で示される繰り返し単位
Figure 2008169271
(ただし、R3は、水素原子またはメチル基、R4は、炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
を有する数平均分子量3000〜10万のアクリル樹脂2〜50重量%と、
分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を併有する下記構造式で示されるシラン化合物を50〜98重量%含有し、
Figure 2008169271
(ただし、R5、R6は、炭素原子数1〜3個のアルキル基、xは、1〜3の整数を表す。)
および、アクリル樹脂とシラン化合物の合計量を100重量部としたとき、0.2〜20重量部のカチオン重合開始剤を含む塗料用組成物を提供するものである。
本発明の塗料用組成物は、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などのプラスチック類に強固な付着性を有し、高い表面硬度と柔軟性、屈曲性を併せ持つ塗料用組成物を提供するものである。
本発明は、分子鎖中に、下記構造式で示される繰り返し単位(以下、GMAユニットとも言う)、
Figure 2008169271
(ただし、R1は、水素原子またはメチル基を表す)
および、下記構造式で示される繰り返し単位(以下、アクリル酸エステルユニットとも言う)、
Figure 2008169271
(ただし、R2は、炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
さらに下記構造式で示される繰り返し単位(以下、水酸基ユニットとも言う)
Figure 2008169271
(ただし、R3は、水素原子またはメチル基、R4は、炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
を有する数平均分子量0.3〜20万のアクリル樹脂2〜50重量%と、
分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を併有する下記構造式で示されるシラン化合物を50〜98重量%含有し、
Figure 2008169271
(ただし、R5、R6は、炭素原子数1〜3個のアルキル基、xは、1〜3の整数を表す。)
および、アクリル樹脂とシラン化合物の合計量を100重量部としたとき、0.2〜20重量部のカチオン重合開始剤を含む塗料用組成物である。
本発明の塗料用組成物では、アクリル樹脂は、好ましくは、下記構造式で示されるメタクリル酸グリシジルおよび/またはメタクリル酸メチルグリシジルと、
Figure 2008169271
(ただし、R7は、水素原子またはメチル基を表す)
下記構造式で示されるアクリル酸エステル単量体、
Figure 2008169271
(ただし、R8は、炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
下記構造式で示される水酸基含有アクリル単量体
Figure 2008169271
(ただし、R9は、水素原子またはメチル基、R10は、炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
およびこれらと共重合可能なアクリル単量体の共重合により製造できる。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂の分子鎖中、メタクリル酸グリシジル、および/または、メタクリル酸メチルグリシジルの共重合により導入される下記構造式で示されるGMAユニットは、
Figure 2008169271
(ただし、R1は、水素原子またはメチル基を表す)
アクリル樹脂間での架橋反応を促進し、およびアクリル樹脂とシラン化合物のエポキシ基との間で効率的に、素早く架橋反応を起こし、耐水性、耐湿熱性に優れた塗料組成物となる。また、プラスチックに限らず種々被塗物に対する付着性を向上する傾向が見られる。

GMAユニットは、塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂の分子鎖中に、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは、2〜30重量%、さらに好ましくは、3〜20重量%含有されるのが望ましい。
アクリル樹脂分子鎖中のGMAユニットの含有量が1重量%未満の場合には、塗料の硬化速度が遅くなり、また架橋が不十分で、耐水性、耐湿熱性が悪化する場合がある。アクリル樹脂分子鎖中のGMAユニットの含有量が50重量%を超える場合には、塗料の架橋が進みすぎる傾向があり、脆くなって耐衝撃性が失せられる傾向が見られる。
本発明で、塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂の分子鎖中、アクリル酸エステル単量体の共重合により導入される下記構造式で示されるアクリル酸エステルユニットは、
Figure 2008169271
(ただし、R2は、炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
アクリル樹脂に、柔軟性、強靱性を付与し、塗膜の屈曲性、伸縮性、耐衝撃性を向上する作用を有する。同時に、種々プラスチックに対する付着性を、種類を選ばず向上する傾向が見られる。
本発明で、アクリル酸エステルユニットを構成するアクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどが例示される。これらのアクリル酸エステル単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の塗料用組成物では、シラン化合物との相溶性を向上し、被塗物への付着性を向上するために、アクリル酸エステル単量体は、好ましくは、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルが推奨される。
アクリル酸エステルユニットは、アクリル樹脂分子鎖中に、好ましくは、60〜98重量%、より好ましくは、70〜98重量%、さらに好ましくは、80〜95重量%共重合されるのが望ましい。
塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂分子鎖中のアクリル酸エステルユニットの含有量が60重量%未満の場合には、塗料の強靱性がやや不足となって、塗膜の屈曲性、伸縮性、耐衝撃性が劣る傾向が見られる。塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂分子鎖中のアクリル酸エステルユニットの含有量が98重量%を超える場合には、アクリル樹脂中のエポキシ基、水酸基の含有量が不足して塗料の硬化速度が遅くなり、架橋性が不足して、耐水性、耐湿熱性が悪化する場合がある。
本発明で、塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂の分子鎖中、水酸基含有アクリル単量体の共重合により導入される下記構造式で示される水酸基含有ユニットは、
Figure 2008169271
(ただし、R3は、水素原子またはメチル基、R4は、炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
シラン化合物と相まって塗料の硬化性を向上する作用が見られる。また、アルミニウム、鉄などの金属、ガラスなどに対する付着性を向上する傾向が見られる。
本発明で、水酸基含有ユニットを構成する水酸基含有アクリル単量体としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの分子中に(メタ)アクリロイル基と水酸基を有するアクリル単量体が例示される。これらの水酸基含有アクリル単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂では、これらの水酸基含有アクリル単量体のなかでは、硬化反応性を高め、塗料に柔軟性、強靱性を付与する観点から、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルが推奨される。
水酸基含有ユニットは、アクリル樹脂分子鎖中に、好ましくは、0.5〜30重量%、より好ましくは、3〜16重量%、さらに好ましくは、5〜12重量%共重合されるのが望ましい。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂分子鎖中の水酸基含有ユニットの含有量が0.5重量%未満の場合には、塗料の硬化速度が遅くなり、付着性が悪くなる傾向が見られる。塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂分子鎖中の水酸基含有ユニットの含有量が30重量%を超える場合には、硬化後の塗料に残存する多くの未反応水酸基のため、塗膜の耐水性、耐湿熱性が悪化する傾向が見られる。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂は、メタクリル酸グリシジルおよび/またはメタクリル酸メチルグリシジル、アクリル酸エステル単量体、水酸基含有アクリル単量体の他にも、これらと共重合可能なアクリル単量体が共重合できる。共重合できるアクリル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸グリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのアクリル単量体が使用できる。これらのアクリル単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂の数平均分子量は、3000〜10万である。アクリル樹脂の数平均分子量は、好ましくは、5000〜9万、さらに好ましくは、1万〜8.5万である。塗料の付着性、屈曲性、伸縮性、耐水性等を考慮した場合、もっとも好ましい数平均分子量の範囲は、2万〜8.5万である。
本発明では、アクリル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製「HLC−8220」GPCシステム)を使用し、分子量が定められたポリスチレンスタンダード(例えば、ジーエル サイエンス社製の標準POLYSTYRENE)を分子量標準として測定した。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂の数平均分子量が、2万〜8.5万であるとき、被塗物への付着性、塗膜の屈曲性、耐衝撃性、伸縮性など諸性能にバランスがとれ、もっとも好ましい塗料が設計できる傾向がある。また同時に、塗料の貯蔵安定性が良好で、ポットライフの調整が容易となり、硬化性にも優れた塗料が設計できる傾向が見られる。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂は、好ましくは、ラジカル共重合で製造され、塊状重合、懸濁重合、分散重合、沈殿重合、溶液重合、乳化重合などいずれの重合方法で製造されても目的を達成することができる。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂は、製造されたポリマーを使っての後工程を考慮した場合には、塊状重合、分散重合、沈殿重合、溶液重合などの無溶剤系または非水溶媒系で製造されるのが望ましい。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂の製造は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス置換された重合系で実施されるのが望ましい。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂の製造は、重合温度が、好ましくは、50〜150℃、より好ましくは、60〜140℃で実施されるのが望ましい。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂の製造において、溶液重合の際溶媒として使用できる有機溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどが例示される。これらの有機溶媒は単独でも、2種類以上の混合物であってもよい。
これらの溶媒の中では、ポリマーの着色や耐熱性の低下を予防する上で、また接着剤を製造する際脱溶媒を必要とする場合には、酢酸エチル、酢酸n−プロピルのような蒸気圧が高く、連鎖移動定数の小さいものが推奨される。
ラジカル共重合し製造される際に使用される重合開始剤としては、α,α−アゾビスイソブチロニトリル、α,α−アゾビスバレロニトリルなどの有機アゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物が例示される。これらの重合開始剤は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の塗料用組成物では、接着剤の貯蔵安定性の観点から、アクリル樹脂の製造の重合開始剤としては、有機アゾ系重合開始剤が推奨される。
有機アゾ系重合開始剤の使用量は、メタクリル酸グリシジル(GMA)および/またはメタクリル酸メチルグリシジル(M−GMA)、アクリル酸エステル単量体、水酸基含有アクリル単量体、その他の共重合可能なアクリル単量体の合計量100重量部に対して、好ましくは0.05〜10.0重量%、より好ましくは0.1〜5.0重量%、さらに好ましくは0.2〜3.0重量%であるのが望ましい。
本発明の塗料用組成物に含有されるアクリル樹脂の製造において、連鎖移動剤を必要とする場合には、α−メチルスチレンダイマーなどの非メルカプタン化合物の使用が推奨される。
本発明の塗料用組成物は、分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を併有する下記構造式で示されるシラン化合物を含むものである。
Figure 2008169271
(ただし、R5、R6は、炭素原子数1〜3個のアルキル基、xは、1〜3の整数を表す。)
本発明の塗料用組成物に含有されるシラン化合物としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシランなどが例示される。これらのシラン化合物は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明では、シラン化合物は、塗料の硬化性を高め、架橋密度の高い塗膜を得るのにきわめて有効である。また、種々被塗物への付着性を向上し、塗膜を硬く脆くすることなく、塗膜の表面硬度を大きく向上する作用が見られる。
この際だった効果、作用は、シラン化合物が有するエポキシ基とアルコキシシラン基が、塗料が硬化反応を起こす際、各々独立して反応し、各々の官能基が有する期待機能を余すことなく引き出すためと考えられる。すなわち、エポキシ基は、アクリル樹脂とともに架橋反応にあずかり強靱で耐衝撃性、屈曲性、伸縮性の高い塗膜を与え、さらには耐水性、耐湿熱性を向上する。アルコキシシラン基は、カチオン重合開始剤の存在下に、熱または光の作用により、独立して反応し、塗膜表面に硬く傷つきにくいポリシロキサン層を形成する。また、さらに言えば、本発明では、塗料の硬化反応、架橋反応は、カチオン重合機構で進行すると推定され、それがために架橋点はそのほとんどがエーテル結合となると考えられる。このためシラン化合物の配合により架橋密度が高くなり、塗膜が強靱で表面硬度が高くなっても、塗膜は決して脆くならず、柔軟で伸縮性に富んだ塗膜となると考えられる。
本発明の塗料用組成物では、アクリル樹脂とシラン化合物とは、アクリル樹脂2〜50重量%、シラン化合物50〜98重量%の割合で使用される。本発明の塗料用組成物では、好ましくは、アクリル樹脂5〜40重量%、シラン化合物60〜95重量%の割合で使用される。
シラン化合物の使用量が50重量%未満の場合には、塗料の硬化性が悪くなり、塗膜硬度が十分に高くならない。シラン化合物の使用量が98重量%を超える場合には、塗料の被塗物に対するヌレ性が悪化し、良好な外観を有する塗膜形成が困難となる。また、塗膜がぼろぼろと崩れやすくなる現象が見られる。
本発明の塗料用組成物では、塗膜の硬化反応、架橋を進めるために、カチオン重合開始剤が使用される。
本発明では、カチオン重合開始剤として、好ましくは、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などが例示される。カチオン重合開始剤として、上市されているものとしては、「AMERICURE(BF4)」(以上、ACC社のジアゾニウム塩)、「ULTRASET(BF4,PF6)」(以上、旭電化工業社のジアゾニウム塩)、「UVEシリーズ」(以上、GE社のヨードニウム塩)、「Photoinitiator2074((C6F6)4B)」(以上、ローヌ・プーラン社のヨードニウム塩)、「CYRACURE UVI-6974」、「CYRACURE UVI-6990」(以上、UCC社のスルホニウム塩)、「UVI−508」、「UVI−509」(以上、GE社のスルホニウム塩)、「OPTOMER SP-150」、「OPTOMER SP-170」(旭電化工業社のスルホニウム塩)、「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」(以上、三新化学工業社のスルホニウム塩)、「IRUGACURE 261」(チバガイギー社のメタロセン化合物)などが例示される。これらのカチオン重合開始剤は、単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の塗料用組成物では、これらカチオン重合開始剤のなかでは、塗料用組成物の貯蔵安定性、ポットライフ、硬化性の観点からスルホニウム塩が推奨される。スルホニウム塩のなかでは、下記構造式で示されるものが、より望ましい。
Figure 2008169271
(ただし、R11、R12、R13は、炭素原子数1〜12個のアルキル基を表す。)
Figure 2008169271
(ただし、R11、R12、R13は炭素原子数1〜12個のアルキル基を表す。)
Figure 2008169271
Figure 2008169271
Figure 2008169271
Figure 2008169271
これらのスルホニウム塩としては、メチルフェニルジメチルスルホニウムのヘキサフルオロアンチモン塩、エチルフェニルジメチルスルホニウムのヘキサフルオロアンチモン塩、メチルフェニルジメチルスルホニウムのヘキサフルオロホスフェート塩などが例示される。これらのスルホニウム塩は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
上市されているスルホニウム塩としては、「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」(以上、三新化学工業社の製品)、「UVI−6990」、「UVI−6992」、「UVI−6974」(以上、ユニオンカーバイド社の製品)、「アデカオプトマーSP−150」、「アデカオプトマーSP−170」、「アデカオプトンCP−66」、「アデカオプトンCP−77」(以上、旭電化工業社の製品)などが例示される。
一般的に、下記構造式で示されるスルホニウム塩は、熱硬化性に優れている。これらのスルホニウム塩としては、上市されているものとして「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」(以上、三新化学工業社の製品)などが例示される。
Figure 2008169271
(ただし、R11、R12、R13は、炭素原子数1〜12個のアルキル基を表す。)
Figure 2008169271
(ただし、R11、R12、R13は炭素原子数1〜12個のアルキル基を表す。)
また、下記構造式で示されるスルホニウム塩は、光硬化性に優れている。これらのスルホニウム塩としては、上市されているものとして「UVI−6990」、「UVI−6992」、「UVI−6974」(以上、ユニオンカーバイド社の製品)などが例示される。
Figure 2008169271
Figure 2008169271
Figure 2008169271
Figure 2008169271
本発明の塗料用組成物は、好ましくは、これらの熱硬化性に寄与が大きいスルホニウム塩と光硬化性に寄与が大きいスルホニウム塩とを併用することが推奨される。塗装ラインで加熱キュア(プレキュア)と光キュア(ポストキュア)を併用することが可能となり、塗料の硬化性反応性が改善、向上し、塗装作業性が大きく改善される。また、塗料の硬化性が向上することにより、屈曲性、耐衝撃性などの塗膜の機械的性質、耐水性、耐湿熱性などの化学的性質が向上する傾向が見られる。
本発明の塗料用組成物では、カチオン重合開始剤は、アクリル樹脂とシラン化合物の合計量100重量部に対して、0.2〜20重量%使用され、好ましくは、0.5〜10重量%、さらに好ましくは0.8〜5重量%使用されるのが望ましい。
カチオン重合開始剤の使用量が0.2重量%未満の場合には、硬化反応性が十分でなく、硬化不良を起こす。塗膜がべたつき、機械的強度や被塗物への付着性が発揮されない。スルホニウム塩の使用量が20重量%を超える場合には、硬化が急速に起こり、塗膜の低分子量化や歪みの発生、残留応力の発生が起こりやすくなり、付着性の悪化、耐衝撃性の低下が起こりやすくなる。また、被塗物がポリエステルフィルムなどのフィルム塗装では、カール性が悪化し、塗装フィルムが巻き込む。
本発明の塗料用組成物は、好ましくは、オキセタン化合物を含むことができる。オキセタン化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}オキセタン、ジ〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル、フェノールノボラックオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタンなどが例示される。これらのオキセタン化合物は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
オキセタン化合物は、塗料用組成物の粘度を塗装に適した粘度に調節するための反応性希釈剤として有用な化合物である。また、塗膜に緻密な架橋構造を形成し、塗膜の耐水性、耐湿熱性を向上する傾向が見られる。ここで、塗膜の架橋は主としてエーテル結合で形成されるため、架橋密度が高くなっても塗膜は脆くならず、塗膜硬度が高く、かつ耐衝撃性、屈曲性に優れた塗膜を形成できる。
本発明の塗料用組成物では、オキセタン化合物は、アクリル樹脂とオキセタン化合物の合計量を100重量部として、好ましくは、2〜80重量%、より好ましくは、5〜60重量%、さらに好ましくは10〜60重量%使用されるのが望ましい。オキセタン化合物の使用量がアクリル樹脂に対して2重量%未満の場合には、塗膜の架橋密度が低くなり、耐水性、耐湿熱性が悪化する場合がある。オキセタン化合物の使用量がアクリル樹脂に対して80重量%を超える場合には、塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、塗膜の伸縮性が低下する傾向が見られる。
本発明の塗料用組成物では、オキセタン化合物として、好ましくは、下記構造式で示されるものが推奨される。
Figure 2008169271
Figure 2008169271
(ただし、nは1〜3の整数を表す。)
Figure 2008169271
これらのオキセタン化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}オキセタン、フェノールノボラックオキセタンなどが例示される。これらのオキセタン化合物は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の塗料用組成物においては、これらのオキセタン化合物は、塗料の硬化反応性を高め、被塗物への付着性を向上し、硬度の高い塗膜と、塗膜の屈曲性、伸縮性、耐衝撃性を両立する傾向が見られる。ことさら、フェノールノボラックオキセタンは塗膜硬度を高める作用が顕著である。
本発明の塗料用組成物製造の一例を挙げる。
溶液重合で作製されたアクリル樹脂の所定量を真空脱溶媒可能なプラネタリーミキサーに仕込み、真空下で、アクリル樹脂の加熱残分(JIS K5400(1997)に従う)が98%以上になるまでアクリル樹脂の脱溶媒を行う。
次いで、真空引きを停止し、所定量のオキセタン化合物、シラン化合物を仕込み、均一になるまで攪拌、混合する。
この後、カチオン重合開始剤、例えば、スルホニウム塩化合物、を仕込み、均一になるまで攪拌、混合して塗料用組成物を製造する。なお、カチオン重合開始剤は塗料用組成物を含む塗料の塗装直前に配合してもかまわない。
本発明の塗料用組成物を含む塗料は、スプレー塗装、フローコート、コイルコーティングなど種々塗装方法で使用できる。適用できる被塗物は、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂などのプラスチック、アルミニウム合金、鉄、マグネシウム合金、チタン合金などの金属、ガラス、サイディングボードなどの無機物などが例示される。
また、本発明の塗料用組成物は、レベリング剤、消泡剤、顔料分散剤、チキソトロピー付与剤、ヌレ剤などの塗料添加剤、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの顔料、他の塗料配合物も支障なく配合できる。
以下、実施例を持って本発明を詳細に説明する。
なお、実施例、比較例中、特に断りがなければ組成比は重量比を表す。
(1)数平均分子量は標準ポリスチレンを分子量標準として、GPCにより測定した。
(2)加熱残分はJIS K 5400−1997に準拠し測定した。
(3)全光線透過率はJIS K7361(2003)に準拠し、ヘイズメーター「NDH 2000」(日本電色工業社製)で測定した。
(4)ヘイズはJIS K7105(2003)に準拠し、ヘイズメーター「NDH 2000」(日本電色工業社製)で測定した。
(5)付着性は、JIS K5400(1997)に準拠し、碁盤目試験により評価した。
(6)屈曲性は、JIS K5400(1997)に準拠し、耐屈曲試験により評価した。
(7)塗膜硬度は、JIS K5400(1997)に準拠し、鉛筆引っ掻き抵抗試験により評価した。
(8)耐水性は、JIS K5400(1997)に準拠し、ポリエステルフィルムに塗装された試験片を用いて、50℃イオン交換水中で72時間試験を行った。塗膜の外観変化(変色、ふくれ、剥がれ)、付着性を評価した。
〔アクリル樹脂の製造例〕
アクリル樹脂(1)の製造例
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた1リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸エチル360gを仕込んだ。窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度を酸素濃度計「XO−326ALA」(新コスモス電機(株)の酸素濃度計)で測定し、酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認した。
昇温を開始し、還流温度まで30分間で昇温した。以後、製造中はこの温度を保持した。
アクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(=76/12/12)の単量体混合物400gに2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.8gを溶解した混合溶液を3時間でフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、2時間目、3時間目に、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4g、酢酸エチル20gの混合液を添加し、さらに2時間重合を続けてアクリル樹脂(1)を製造した。
アクリル樹脂(1)の加熱残分は、50.2%、数平均分子量は、2.1万であった。
アクリル樹脂(2)の製造例
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた1リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸エチル360gを仕込んだ。窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度を酸素濃度計「XO−326ALA」(新コスモス電機(株)の酸素濃度計)で測定し、酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認した。
昇温を開始し、還流温度まで30分間で昇温した。以後、製造中はこの温度を保持した。
メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(=10/65/15/10)の単量体混合物400gに2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.8gを溶解した混合溶液を3時間でフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、2時間目、3時間目に、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4g、酢酸エチル20gの混合液を添加し、さらに2時間重合を続けてアクリル樹脂(2)を製造した。
アクリル樹脂(2)は、加熱残分50.3%、数平均分子量2.2万であった。
アクリル樹脂(3)の製造例
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた1リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸エチル360gを仕込んだ。窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度を酸素濃度計「XO−326ALA」(新コスモス電機(株)の酸素濃度計)で測定し、酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認した。
昇温を開始し、還流温度まで30分間で昇温した。以後、製造中はこの温度を保持した。
メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸グリシジル(=10/75/15)の単量体混合物400gに2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.8gを溶解した混合溶液を3時間でフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、2時間目、3時間目に、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4g、酢酸エチル20gの混合液を添加し、さらに2時間重合を続けて水酸基含有アクリル単量体を含まないアクリル樹脂(3)を製造した。
アクリル樹脂(3)は、加熱残分50.2%、数平均分子量2.3万であった。
アクリル樹脂(4)の製造例
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた1リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸エチル360gを仕込んだ。窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度を酸素濃度計「XO−326ALA」(新コスモス電機(株)の酸素濃度計)で測定し、酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認した。
昇温を開始し、還流温度まで30分間で昇温した。以後、製造中はこの温度を保持した。
メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(=10/82/8)の単量体混合物400gに2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.8gを溶解した混合溶液を3時間でフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、2時間目、3時間目に、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4g、酢酸エチル20gの混合液を添加し、さらに2時間重合を続けてメタクリル酸グリシジルを含まないアクリル樹脂(4)を製造した。
アクリル樹脂(4)は加熱残分50.3%、数平均分子量2.2万であった。
実施例1
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(1)400gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(1)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(1)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン800g(アクリル樹脂/シラン化合物=20/80)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに、「UVI−6992」(ダウケミカル日本社製スルホニウム塩)を20g((アクリル樹脂+シラン化合物)/スルホニウム塩=100/2)仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行い紫外線硬化型塗料(1)を製造した。
塗料(1)を「ルミラー T−60−250」(東レ社製ポリエステルフィルム)に膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥した後、紫外線照射(照射量500mJ/cm)を行ってポリエステルフィルム上に紫外線硬化型塗料(1)の塗膜を形成した(試験片1)。
試験片1を使用し、全光線透過率測定、ヘイズ測定、付着性、屈曲性、塗膜硬度、耐水性の試験を行った。試験結果を表1に示した。
実施例2
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(1)400gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(1)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(1)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社製のオキセタン化合物)50g(アクリル樹脂/オキセタン化合物=80/20)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。さらにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン800g(アクリル樹脂/シラン化合物=20/80)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに、「UVI−6992」(ダウケミカル日本社製スルホニウム塩)を20g((アクリル樹脂+シラン化合物)/スルホニウム塩=100/2)仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行い紫外線硬化型塗料(2)を製造した。
塗料(2)を「ルミラー T−60−250」(東レ社製ポリエステルフィルム)に膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥した後、紫外線照射(照射量500mJ/cm)を行ってポリエステルフィルム上に紫外線硬化型塗料(2)の塗膜を形成した(試験片2)。
試験片2を使用し、全光線透過率測定、ヘイズ測定、付着性、屈曲性、塗膜硬度、耐水性の試験を行った。試験結果を表1に示した。
実施例3
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(1)400gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(1)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(1)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタン OXT−101」(東亞合成社製のオキセタン化合物)50g(アクリル樹脂/オキセタン化合物=80/20)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。さらにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン800g(アクリル樹脂/シラン化合物=20/80)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに、「サンエイド SI−80L」(三新化学工業社製スルホニウム塩)を20g((アクリル樹脂+シラン化合物)/スルホニウム塩=100/2)仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行い熱・紫外線硬化型塗料(3)を製造した。
塗料(3)を「ルミラー T−60−250」(東レ社製ポリエステルフィルム)に膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗布し、120℃で1分間乾燥した後、紫外線照射(照射量500mJ/cm)を行ってポリエステルフィルム上に紫外線硬化型塗料(3)の塗膜を形成した(試験片3)。
試験片3を使用し、全光線透過率測定、ヘイズ測定、付着性、屈曲性、塗膜硬度、耐水性の試験を行った。試験結果を表1に示した。
実施例4
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(2)400gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(2)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(2)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社製のオキセタン化合物)50g(アクリル樹脂/オキセタン化合物=80/20)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。さらにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン800g(アクリル樹脂/シラン化合物=20/80)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに、「UVI−6992」(ダウケミカル日本社製スルホニウム塩)を20g((アクリル樹脂+シラン化合物)/スルホニウム塩=100/2)仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行い紫外線硬化型塗料(4)を製造した。
塗料(4)を「ルミラー T−60−250」(東レ社製ポリエステルフィルム)に膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥した後、紫外線照射(照射量500mJ/cm)を行ってポリエステルフィルム上に紫外線硬化型塗料(4)の塗膜を形成した(試験片4)。
試験片4を使用し、全光線透過率測定、ヘイズ測定、付着性、屈曲性、塗膜硬度、耐水性の試験を行った。試験結果を表1に示した。
実施例5
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(2)400gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(2)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(2)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社製のオキセタン化合物)200g(アクリル樹脂/オキセタン化合物=50/50)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。さらに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン800g(アクリル樹脂/シラン化合物=20/80)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに、「UVI−6992」(ダウケミカル日本社製スルホニウム塩)を40g((アクリル樹脂+シラン化合物)/スルホニウム塩=100/4)仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行い紫外線硬化型塗料(5)を製造した。
塗料(4)を「ルミラー T−60−250」(東レ社製ポリエステルフィルム)に膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥した後、紫外線照射(照射量500mJ/cm)を行ってポリエステルフィルム上に紫外線硬化型塗料(4)の塗膜を形成した(試験片5)。
試験片5を使用し、全光線透過率測定、ヘイズ測定、付着性、屈曲性、塗膜硬度、耐水性の試験を行った。試験結果を表1に示した。
Figure 2008169271
塗料(1)〜(5)は、塗膜の透明性に優れ、一般に難付着性被塗物とされるポリエステルへの付着性が良好であった。また、高い塗膜硬度を有しながら、屈曲性が良好であり折り曲げや、湾曲した素材への貼り付けなど被塗物の2次加工によっても塗膜の割れ、剥がれが起こりにくいことを示している。同時に、耐水性も良好であり、環境変化にも耐えうる塗膜であることが示された。
比較例1
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(3)400gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(3)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(3)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社製のオキセタン化合物)50g(アクリル樹脂/オキセタン化合物=80/20)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。さらにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン800g(アクリル樹脂/シラン化合物=20/80)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに、「UVI−6992」(ダウケミカル日本社製スルホニウム塩)を20g((アクリル樹脂+シラン化合物)/スルホニウム塩=100/2)仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行い紫外線硬化型塗料(6)を製造した。
塗料(6)を「ルミラー T−60−250」(東レ社製ポリエステルフィルム)に膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥した後、紫外線照射(照射量500mJ/cm)を行ってポリエステルフィルム上に紫外線硬化型塗料(6)の塗膜を形成した(試験片6)。
試験片6を使用し、全光線透過率測定、ヘイズ測定、付着性、屈曲性、塗膜硬度、耐水性の試験を行った。試験結果を表2に示した。
比較例2
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(4)400gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(4)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(4)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社製のオキセタン化合物)50g(アクリル樹脂/オキセタン化合物=80/20)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。さらにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン800g(アクリル樹脂/シラン化合物=20/80)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに、「UVI−6992」(ダウケミカル日本社製スルホニウム塩)を20g((アクリル樹脂+シラン化合物)/スルホニウム塩=100/2)仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行い紫外線硬化型塗料(7)を製造した。
塗料(7)を「ルミラー T−60−250」(東レ社製ポリエステルフィルム)に膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥した後、紫外線照射(照射量500mJ/cm)を行ってポリエステルフィルム上に紫外線硬化型塗料(7)の塗膜を形成した(試験片7)。
試験片7を使用し、全光線透過率測定、ヘイズ測定、付着性、屈曲性、塗膜硬度、耐水性の試験を行った。試験結果を表2に示した。
Figure 2008169271
塗料(6)、塗料(7)は、塗料の硬化性が十分でなく、塗膜硬度が低いものとなった。また、付着性も悪かった。特に、メタクリル酸グリシジル(GMA)が共重合されていないアクリル樹脂を使用している塗料(7)でこの傾向が顕著となった。硬化性の悪さは耐水性にも悪影響を及ぼし、ふくれやはがれが発生した。

Claims (3)

  1. 分子鎖中に、下記構造式で示される繰り返し単位、
    Figure 2008169271
    (ただし、R1は、水素原子またはメチル基を表す。)
    および、下記構造式で示される繰り返し単位、
    Figure 2008169271
    (ただし、R2は、炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
    さらに、下記構造式で示される繰り返し単位
    Figure 2008169271
    (ただし、R3は、水素原子またはメチル基、R4は、炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
    を有する数平均分子量3000〜10万のアクリル樹脂2〜50重量%と、
    分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を併有する下記構造式で示されるシラン化合物を50〜98重量%含有し、
    Figure 2008169271
    (ただし、R5、R6は、炭素原子数1〜3個のアルキル基、xは、1〜3の整数を表す。)
    および、アクリル樹脂とシラン化合物の合計量を100重量部としたとき、0.2〜20重量部のカチオン重合開始剤を含む塗料用組成物。
  2. 塗料組成物が、カチオン重合開始剤としてスルホニウム塩を含む請求項1に記載の塗料用組成物。
  3. さらに、塗料用組成物が、オキセタン化合物を含む請求項1または2のいずれかに記載の塗料用組成物。
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