JP2008150406A - 接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】フラットパネルディスプレイ(FPD)の前面フィルターに適した透明性、耐湿熱性、耐熱性などに優れた接着剤組成物、特に、電磁波遮断シート(EMIシート)に使用される金属メッシュへの浸透性と透明化に優れた接着剤組成物を提供する。 さらに、炭素繊維やガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂、ナイロンなどのプラスチックとアルミニウム、鉄などの金属との異種材料接着に適する接着剤組成物を提供する。
【解決手段】
分子鎖中に、グリシジルメタアクリレートの繰り返し単位およびアルキル(炭素原子数4〜12個)アクリレートの繰り返し単位β−ヒドロキシアルキル(炭素原子数2〜6個)アクリレートの繰り返し単位を有する数平均分子量0.3〜20万のアクリル樹脂と、オキセタン化合物、および、カチオン重合開始剤を含む接着剤組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、フラットパネルディスプレイ(FPD)の前面フィルターに適した透明性、耐湿熱性、耐熱性などに優れた接着剤組成物に関するものである。
本発明は、さらに、炭素繊維やガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂、ナイロンなどのプラスチックとアルミニウム、鉄などの金属との異種材料接着にも適した接着剤組成物に関するものである。
アクリル樹脂は、透明性、耐光性に優れ、フラットパネルディスプレイ(FPD)用粘着剤、接着剤として着実に需要を伸ばしている。一方で、耐熱性、耐湿熱性、粘着力、接着力の保持性という点ではまだ課題が多く、完全に解決できているとは言い難いのが現状である。
PDPのフィルター本体に設けられる粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物が提案されている。(特許文献1参照)。
特許文献1が提案する粘着剤は、リワーク性(再剥離性)、耐湿熱保存性、および衝撃緩和特性に優れているとされている。提案されている技術は、組成から明らかなように、架橋密度、分子量も低く、非架橋ポリマーも多く含んでいる。また、膜厚を0.5〜2mmと設定していることからも、粘着剤というよりも基材上にのっかっている強度の小さいいわゆるゲル状物質である。このものはポリマーの凝集力が低く、基材に対する強い付着性を発揮し得ない。また、リワーク性(再剥離性)も剥離条件によってはポリマーの凝集破壊や、粘着剤層の糸引きが起こるものと考えられる。さらに、連続して高い温度環境下に置かれた場合や、ポリマーにとって有害な紫外線照射下に曝された場合に耐久性が不足するのは自明である。
電磁波シールド性を有するディスプレイ用フィルムの製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
特許文献2に示されているとおり、銅メッシュのような導電性メッシュを使用した電磁波シールドフィルムでは、電磁波シールド性はもちろんのこと、シートの透明性(可視光線透過性)はきわめて重要な性質である。市販されている導電性メッシュはより高い開口率、より高い視認性を確保するためにライン幅(10μm前後)、ライン間隔(250ミクロン前後)、ライン厚み(25μm前後)に最新の研究成果が投入されている。これらの改良研究は、画像の鮮映性や視認性を向上することにあり、すべて電磁波シールドフィルムの透明性をより高くし、ヘイズをより小さくすることにある。このためには、特許文献2に提案されている技術をもとに説明すれば、透明プラスチック上に位置する粗面化された接着剤表面での光の散乱、屈折をなくすこと、および、この粗面プロフィールをカバーする接着剤がトレースしないこと、および導電性物質(例えば銅)でできた微少な器(幾何学図形で囲まれた升)の中にまで接着剤が完璧に浸透し、器に隙間や気泡が残らないことがきわめて重要な要件となる。
接着剤表面(界面)で光が屈折、散乱されると透過光量が減少し、ヘイズ悪化の原因となる。すなわち、フィルムの透明性、鮮鋭性が損なわれる。これを改善するために、特許文献2の提案ではオーバーコートする接着剤の屈折率を規定している。
粗面プロフィールをオーバーコートする接着剤がトレースした場合には、オーバーコートする接着剤表面で光の散乱が起こり、透過光量が減少してフィルムの可視光線透過率、ヘイズ悪化する。特許文献2の提案ではオーバーコートする接着剤が特徴のない溶剤希釈された接着剤であり、粗面プロフィールを修復し、平滑な表面を形成することができない。
器に隙間や気泡が残ると、空隙部、気泡含有部で光が屈折、散乱され、フィルムの透明性が大きく損なわれる。もはやディスプレイ用としては不適切なものとなる。特許文献2の提案ではオーバーコートする接着剤が特徴のない溶剤希釈された接着剤であり、「接着剤で被覆する工程」として示されている通り、メッシュ内部にまで接着剤が浸透することはない。
特許文献2に提案されている技術では、屈折率差が小さいことが重要であるとされており、対応は、屈折をなくすことにのみに限定されている。粗面プロフィールをカバーする接着剤が粗面プロフィールをトレースしないことに関しては、接着剤が有機溶剤で希釈されて使用されるため、乾燥時の体積収縮にともない素地の凹凸をトレースすることは避けられず、全く対策がとれていない。導電性物質(例えば銅)でできた微少な器の中にまで接着剤が完璧に浸透し、器に隙間や気泡が残らないことについては、特許文献2の特許請求項1に示されているとおり、特許文献2の技術は「接着剤で被覆する工程とを含む」ものであって、導電性物質(例えば銅)でできた微少な器の中にまで接着剤が浸透していくものではない。また、特許文献2が開示する接着剤は導電性物質が形成する凹上の器内に浸透する能力を有していない。
特許文献2には、実用的な銅メッシュ(ライン幅(10μm前後)、ライン間隔(250ミクロン前後)、ライン厚み(25μm前後))に本技術を適用した結果が実施例に示されており、可視光線透過率はせいぜい70%前半でしかなく、重要要件であるヘイズに関しては全く評価されていない。可視光透過率70%程度では、ヘイズは少なくとも10以上になり、可視光線透過率と合わせ、実用性に欠ける技術であると推定される。
これは、粗面プロフィールをカバーする接着剤がトレースしないこと、導電性物質(例えば銅)でできた微少な器の中にまで接着剤が完璧に浸透し、器に隙間や気泡が残らないことに対する対策が全くなされていないためであり、屈折がなく、粗面プロフィールをカバーする接着剤が粗面プロフィールをトレースしないこと、導電性物質(例えば銅)でできた微少な器の中にまで接着剤が完璧に浸透し、器に隙間や気泡が残らないことが強く望まれていた。
非特許文献1には、既述の接着剤層圧着方法の改良技術として、導電性メッシュに透明な樹脂溶液を直接塗布、硬化させて電磁波シールドフィルムを製造する技術が開示されている。塗布技術にも様々な改善が施され、実施されていることが散見される。前記粗面プロフィールをカバーする接着剤がトレースしないこと、導電性物質(例えば銅)でできた微少な器の中にまで接着剤が完璧に浸透し、器に隙間や気泡が残らないことの対策技術の一部も含まれている。
塗布する透明樹脂としては、乾燥時の体積(原文は堆積)収縮による膜厚の減少にともなって下地の格子模様が浮き出て平面性が確保できないため、溶剤で希釈されたものは好ましくなく、無溶剤の樹脂でなければならないことが示されている。無溶剤型で流動性があり、基材に塗布できるものとしては粘度調節が比較定簡便に行えるアクリル系紫外線硬化型樹脂が上げられるが、これらはヌレ性、浸透性、レベリング性などの接着剤の塗装作業性に係わるレオロジー適性が悪く、前記圧着方式に比べ改善されたとはいえ、まだ不十分であった。例えば、メッシュコーナー部への泡付着、硬化時の残留歪みに起因する透明性のゆがみなど、十分満足できるものではなかった。
エポキシ樹脂の接着剤としての優れた性能と、アクリル樹脂の粘着剤としての機能を組み合わせたいわゆるアクリル−エポキシハイブリッド型接着剤が提案されている(特許文献3参照)。特許文献3によれば、エポキシ樹脂接着剤の機械的強靱性は、そのままで耐衝撃性が改善され、自動車バンパーなどの接着剤用途として適しているとされている。本提案の狙うところは、
(1)高粘度エポキシ樹脂を低粘度の(メタ)アクリレートで希釈し、低粘度化して接着剤塗布作業性の改善を図ること、
(2)硬化過程で、エポキシ樹脂を前記ジアミン化合物などで硬化、架橋反応させるとともに、(メタ)アクリレートの重合を進めエポキシ−アクリルの相互侵入網目構造(以下IPNともいう)を形成し、強靱で耐衝撃性に優れた接着剤を得ようとするものと考えられる。特許文献1の狙いは、大変興味深いものであるが、
(1)接着剤の粘度を単純に低くした場合には、接着剤粘性がニュートニアンとなり接着剤が流れ易くなって十分な接着剤層膜厚が得られない傾向があり、また被着体へのヌレ性が悪化し接着強度が不十分となる懸念がある、
(2)周知の通り、ジアミン化合物、ビス(アミノ)アルキルピペラジンなどの塩基性化合物(または含N原子含有化合物)の存在下では(メタ)アクリレートはきわめて重合性が乏しく、硬化のために十分に長い時間をとったとしても(メタ)アクリレートは未反応で残る懸念が払拭できず、接着強度に重大なバラツキが出ることが予測される。
さらにまた、(メタ)アクリレートは嫌気性が強く、脱気(脱酸素)が不十分な場合には、同様に接着強度発現に懸念が残ることになる。
ポリアクリレート成分と、エポキシ成分と、カチオン開始剤とを含む硬化性接着剤が提案されている(特許文献4参照)。
特許文献4に記載の接着剤は、透明性がきわめて重視されるため、実質的にフィラーの配合は不適切である。フィラーを配合した場合には、仮にフィラーのサイズがナノレベルときわめて微少なものであったとしてもフィラーの配合量、分散方法などによらず、曇りや不透明度は避けることが困難であると思われる。その結果、接着剤の粘性(以下レオロジーともいう)を適切にコントロールすることができず、接着剤膜厚を均一に確保することが困難であると推察される。その結果部分的にでも、接着力不足を招く懸念がある。
特許文献4の提案では、ポリアクリレートは自己架橋することなく独自に、単独で存在する。したがって、ポリアクリレートによるエポキシへの絡み合い、エポキシの拘束、エポキシとの網目構造のバインダー力はある程度制限され、さほど強くはないことが容易に予測される。換言すれば、ポリアクリレートはずるずると歪みに引きずられ移動するだけで、本来期待されるはずのIPN効果は希薄となることが推察される。
ポリアクリレートは、エポキシとポリアクリレートが有する特定の官能基、カルボン酸、水酸基、で接合される場合がある。ポリアクリレートが有する官能基がカルボン酸の場合には、エポキシ樹脂が有するエポキシ基との反応が起こり、接着剤の本来のカチオン重合反応によらないゲル化が進行し、接着剤の貯蔵安定性が悪化するばかりか、十分な高分子化が阻害されるため機械的強度や接着力の低下を招く懸念がある。ポリアクリレートが有する官能基が水酸基の場合には、接着剤をカチオン重合で硬化する際、連鎖移動剤として働き、見かけの硬化速度、架橋は促進されるが、重合度の低下を招き、接着剤が脆くなって、構造接着剤としての機能を発揮しないことが懸念される。
特開2005−23133号公報 特開平10−41682号公報 特開昭63−215716号公報 特表2005−508435号公報 野村、今泉、高橋、林、日立化成テクニカルレポート No.42"PDP用電磁波シールドフィルム"、[online]、2004年1月、日立化成工業株式会社、[平成18年5月30日検索]、インターネット<URL:http://www.hitachi-chem.co.jp/japanese/report/index.html>
フラットパネルディスプレイ(FPD)の前面フィルターに適した透明性、耐湿熱性、耐熱性などに優れた接着剤組成物であり、ことさら電磁波遮断シート(EMIシート)に使用される金属メッシュへの浸透性と透明化に優れた接着剤組成物を提供する。
さらに、炭素繊維やガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂、ナイロンなどのプラスチックとアルミニウム、鉄などの金属との異種材料接着に適した接着剤組成物を提供する。
剤組成物を提供する。
本発明は、分子鎖中に、下記構造式で示される繰り返し単位、
Figure 2008150406
(ただし、R1は水素原子またはメチル基を表す。)
および下記構造式で示される繰り返し単位、
Figure 2008150406
(ただし、R2は炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
さらに下記構造式で示される繰り返し単位
Figure 2008150406
(ただし、R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
を有する数平均分子量が、3000〜20万のアクリル樹脂と、オキセタン化合物、および、カチオン重合開始剤を含む接着剤組成物を提供するものである。
本発明の接着剤組成物は、フラットパネルディスプレイ(FPD)の前面フィルターに適した透明性、耐湿熱性、耐熱性などに優れた接着剤組成物に関するものであり、ことさら電磁波遮断シート(EMIシート)に使用される金属メッシュへの浸透性と透明化に優れた接着剤組成物である。
本発明の接着剤組成物は、炭素繊維やガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂、ナイロンなどのプラスチックとアルミニウム、鉄などの金属との異種材料接着に適する接着剤組成物であり、金属の電気腐食による接着破壊を抑制する。
また、本発明の接着剤組成物は、鉄、アルミニウム、銅、マグネシウム、チタンなどの金属およびこれらの合金類、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンアロイ、ポリエチレンなどのプラスチック類、ガラス、モルタル、石英などの無機物など、幅広い基剤に適用できる。
本発明の接着剤組成物を用いた接着剤は、ことさら炭素繊維やガラス繊維で強化されたプラスチック類に好適に適用でき、炭素繊維強化プラスチックとアルミニウム合金の接合などのように、炭素繊維よりも電解質溶液中でイオンになりやすい金属と炭素繊維強化プラスチックとを接合する際に、強い接着性を示すのは当然であるが、電池の生成を抑制し金属の電気腐食を防止して、水中や塩水中のような電解質溶液中でも強力な接着性を維持し、発揮する。
本発明は、分子鎖中に、下記構造式で示される繰り返し単位、
Figure 2008150406
(ただし、R1は水素原子またはメチル基を表す。)
および下記構造式で示される繰り返し単位、
Figure 2008150406
(ただし、R2は炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
さらに下記構造式で示される繰り返し単位
Figure 2008150406
(ただし、R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
を有する数平均分子量が、3000〜20万のアクリル樹脂と、オキセタン化合物、および、カチオン重合開始剤を含む接着剤組成物である。
本発明の接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂は、例えば、下記構造式で示されるメタクリル酸グリシジル(以下、GMAとも言う)および/またはメタクリル酸メチルグリシジル(以下、M−GMAとも言う)と、
Figure 2008150406
(ただし、R1は水素原子またはメチル基を表す。)
下記構造式で示されるアクリル酸エステル単量体、
Figure 2008150406
(ただし、R2は炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
さらに下記構造式で示される水酸基含有アクリル単量体
Figure 2008150406
(ただし、R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
を、好ましくはラジカル共重合することにより製造できる。
本発明の接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂は、数平均分子量が、3000〜20万であり、好ましくは、数平均分子量が、5000〜10万、さらに好ましくは1万〜10万であるのが望ましい。
本発明の接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂は、下記構造式で示されるものが好ましい。
Figure 2008150406
(ただし、a+b+c+d+e=100であり、aは1〜30、bは60〜95、cは0〜12、dは3〜20、eは0〜10の数値を表す。また、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素原子数4〜12個のアルキル基、R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
本発明の接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂は、好ましくは、メタクリル酸グリシジル(GMA)および/またはメタクリル酸メチルグリシジル(M−GMA)、アクリル酸エステル単量体、水酸基含有アクリル単量体、下記構造式で示されるメタクリル酸エステル単量体、
Figure 2008150406
(ただし、R2は炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
および、下記構造式で示されるスチレン
Figure 2008150406
を、好ましくはラジカル共重合し製造されるものである。
本発明の接着剤組成物では、接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂の分子鎖中に、メタクリル酸グリシジル(GMA)および/またはメタクリル酸メチルグリシジル(M−GMA)が共重合された下記構造式で示される繰り返し単位(以下、オキシランユニットとも言う)
Figure 2008150406
(ただし、R1は水素原子またはメチル基を表す。)
を有している。オキシランユニットは、アクリル樹脂に硬化性を付与し、3次元架橋化を促進する。本発明の接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂は、3次元架橋構造をとることで、接着力が向上し、また、強靱で、耐熱性、耐湿熱性等に優れた接着剤組成物となる。
オキシランユニットは、アクリル樹脂中に、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは3〜25重量%、さらに好ましくは5〜18重量%含まれるのが望ましい。
アクリル樹脂中のオキシランユニットの含有量が1重量%未満の場合には、接着剤の硬化、3次元架橋化が十分でなく、接着性、耐湿熱性が不十分となる傾向が見られる場合がある。アクリル樹脂中のオキシランユニットの含有量が30重量%を超える場合には、接着剤が架橋により硬くなりすぎる傾向が見られ、脆くなる場合がある。
本発明では、接着剤組成物中に含有されるアクリル樹脂の分子鎖中に、アクリル酸エステル単量体が共重合された下記構造式で示される繰り返し単位(以下、アクリル酸エステルユニットともいう)を有している。
Figure 2008150406
(ただし、R2は炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
アクリル酸エステルユニットは、アクリル樹脂中に、好ましくは60〜95重量%、より好ましくは70〜95重量%、さらに好ましくは80〜95重量%含まれるのが望ましい。
アクリル樹脂中のアクリル酸エステルユニットの含有量が60重量%未満の場合には、接着剤の強靱性がやや不足となって、耐衝撃性が劣る傾向が見られる。また、粘着性が不足気味となり、粘着性があるために期待される接着力向上がやや損なわれる場合がある。アクリル樹脂中のアクリル酸エステルユニットも含有量が95重量%を超える場合には、アクリル樹脂中のエポキシ基、水酸基含有量が不足して接着剤の架橋密度が不足する傾向にあり、接着剤の凝集力が不足して接着強度が低下する場合が見られる場合がある。また、架橋が不足するため耐ガソリン性などの耐油性が悪くなる傾向が見られる場合がある。
ここで、アクリル酸エステルユニットを構成するアクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどが例示される。これらのアクリル酸エステル単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明では、オキセタン化合物やシラン化合物、エポキシ樹脂などとの相溶性を向上し、接着性を向上するために、アクリル酸エステルユニットを構成するアクリル酸エステル単量体は、好ましくは、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルが推奨される。
本発明の接着剤組成物では、接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂中のアクリル酸エステルユニットは、アクリル樹脂に、柔軟性、強靱性を付与し、接着剤の耐衝撃性を向上する作用を有する。また、接着剤に粘着性を付与する作用があり、この作用がより強い接着力を発揮するためにきわめて有効に作用する傾向が見られる。
本発明の接着剤組成物では、接着剤組成物中に含有されるアクリル樹脂の分子鎖中に、水酸基含有アクリル単量体が共重合された下記構造式で示される繰り返し単位(以下、水酸基ユニットユニットともいう)を有している。
Figure 2008150406
(ただし、R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
水酸基ユニットは、アクリル樹脂中に、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは3〜16重量%、さらに好ましくは5〜12重量%含まれるのが望ましい。アクリル樹脂中の水酸基ユニットの含有量が3重量%未満の場合には、薄膜時に接着剤の十分な硬化性が得られず、硬化不良を起こし、接着強度が発現されない場合がある。アクリル樹脂中の水酸基ユニットの含有量が20重量%を超える場合には、硬化後の接着剤に残存する多くの水酸基のため、接着剤の耐湿熱性、耐水性、耐塩水性が悪化する場合がある。
本発明の接着剤組成物では、接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂中の水酸基ユニットを構成する水酸基含有アクリル単量体としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレートなどの分子中に(メタ)アクリロイル基と水酸基を有するアクリル単量体が例示される。これらの水酸基含有アクリル単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明では、これらの水酸基含有アクリル単量体のなかでは、硬化反応性を高め、接着剤に柔軟性、強靱性を付与する観点から、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルが推奨される。
本発明の接着剤組成物では、接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂中の水酸基ユニットは、被着体、特に、金属、ガラスなどに対する接着性を向上する作用が見られる。またより顕著な作用は、アクリル樹脂が有する官能基が、メタクリル酸グリシジル(GMA)、メタクリル酸メチルグリシジル(M−GMA)のエポキシ基だけの場合に比較し、接着剤の硬化性を改善、向上することである。接着剤の硬化不良を防止して、硬化速度を高め、接着性を向上する傾向が見られる。この作用は、接着剤膜厚が50μm以下のような薄膜化が要求される場合、また、エポキシ樹脂をマトリックスとする炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPとも言う)と金属との接着などに見られる導電性物質同士の接着の際、顕著で優れた効果が発揮される。水酸基含有アクリル単量体の共重合量により、接着剤膜厚が30μm程度の薄膜であっても十分な硬化性、接着強度が発揮される。
本発明では、好ましくは、メタクリル酸エステル単量体が共重合される。メタクリル酸エステル単量体としては、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどが例示される。これらのメタクリル酸エステル単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の接着剤組成物では、メタクリル酸エステル単量体のなかでは、接着剤に強靱性、耐光性、耐湿熱性を付与するためにメタクリル酸2−エチルヘキシルが推奨される。
メタクリル酸エステル単量体は、好ましくは、0〜12重量%、より好ましくは、2〜10重量%、さらに好ましくは、3〜8重量%共重合されるのが望ましい。メタクリル酸エステル単量体の共重合量が12重量%を超える場合には、アクリル樹脂のガラス転移温度が高くなって粘着性、接着性が悪化する場合が見られる。
本発明の接着剤組成物では、もっとも好ましくは、メタクリル酸2−エチルヘキシルを3〜8重量%共重合する場合であり、耐光性、耐湿熱性が優れたものとなる傾向が見られる。
本発明の接着剤組成物では、接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂は、好ましくは、スチレンが共重合される。スチレンは、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0.2〜8重量%、さらに好ましくは0.3〜5重量%共重合されるのが望ましい。
本発明の接着剤組成物では、接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂に、スチレンを共重合することにより、接着剤の粘度低下がはかれる傾向が見られ、作業性が向上する。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)用途で使用した場合には、透明性が向上し、全光線透過率、ヘイズが改善される傾向が見られる。
スチレンの共重合量が10重量%を超える場合には、接着剤の耐光性が悪化し、膜が黄変する場合がある。高度な透明性と非着色性が要求される光学用途では不適切な場合がある。
本発明の接着剤組成物では、アクリル樹脂の数平均分子量は、3000〜20万であり、好ましくは、5000〜10万、さらに好ましくは、1万〜8万である。接着剤の接着性、強靱性、ハンドリングを考慮した場合、もっとも好ましい数平均分子量の範囲は、2〜8万である。
本発明では、アクリル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製「HLC−8220」GPCシステム)を使用し、分子量が定められたポリスチレンスタンダード(例えば、ジーエル サイエンス社製の標準POLYSTYRENE)を分子量標準として測定した。
アクリル樹脂の数平均分子量が、3000より小さい場合には、接着剤が脆くなる傾向が見られ、耐衝撃性が悪化する。アクリル樹脂の数平均分子量が、20万を超える場合には、接着剤の強靱性、耐衝撃性などの機械的性質が飛躍的に改善、向上される傾向が見られるものの、接着剤がゲル状となる傾向があり、ハンドリングが悪化する。また、アクリル樹脂の凝集力が強くなりすぎて、粘着性が低下し、接着性が悪化する。
アクリル樹脂の数平均分子量が2〜8万であるとき、被着体への粘着性、接着性、耐衝撃性など諸性能にバランスがとれ、もっとも好ましい接着剤が設計できる。また同時に、接着剤の貯蔵安定性に良好で、ポットライフの調整が容易で、硬化性にも優れた接着剤が設計できる。
本発明の接着剤組成物では、アクリル樹脂は、好ましくは、ラジカル共重合で製造され、塊状重合、懸濁重合、分散重合、沈殿重合、溶液重合、乳化重合などいずれの重合方法で製造されても目的を達成することができる。
製造されたポリマーを使っての後工程を考慮した場合には、本発明の接着剤組成物において、アクリル樹脂は、好ましくは、塊状重合、分散重合、沈殿重合、溶液重合などの無溶剤系または非水溶媒系で実施されるのが望ましい。
本発明では、アクリル樹脂の製造は、重合温度が、好ましくは、50〜150℃、より好ましくは、60〜140℃で実施されるのが望ましい。
本発明の接着剤組成物では、接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂を溶液重合する場合、溶媒として使用できる有機溶媒としては、好ましくは、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、などが例示される。これらの有機溶媒は単独でも、2種類以上の混合物であってもよい。
本発明では、これらの溶媒の中では、アクリル樹脂の着色や耐熱性の低下を予防する上で、また接着剤を製造する際脱溶媒を必要とする場合には、酢酸エチル、酢酸n−プロピルのような蒸気圧が高く、連鎖移動定数の小さいものが推奨される。
また、アクリル樹脂の着色を防止するため、本発明の接着剤組成物では、接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂の重合反応は、好ましくは窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下に実施されるのが望ましい。重合系の酸素濃度は5vol%以下とすることが望ましい。
本発明の接着剤組成物では、好ましくは、接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂は、上記の通りラジカル共重合し、製造されるのが望ましい。製造の際使用される重合開始剤としては、α,α−アゾビスイソブチロニトリル、α,α−アゾビスバレロニトリルなどの有機アゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物が例示される。これらの重合開始剤は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明では、接着剤の貯蔵安定性の観点から、重合開始剤としては、好ましくは、有機アゾ系重合開始剤が推奨される。有機アゾ系重合開始剤の使用量は、共重合するアクリル単量体の合計100重量部に対して、好ましくは0.05〜10.0重量%、より好ましくは0.1〜5.0重量%、さらに好ましくは0.2〜3.0重量%であるのが望ましい。
本発明の接着剤組成物では、溶液重合の場合を例にとれば、接着剤組成物に含有されるアクリル樹脂の製造は、以下のように例示される。
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた1リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸エチル360gを仕込む。
窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度を酸素濃度計「XO−326ALA」(新コスモス電機(株)の酸素濃度計)で測定し、酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認する。
還流温度(78〜82℃)に昇温を行い、以後重合反応中は還流状態を維持する。
メタクリル酸グリシジル(GMA)/メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)/アクリル酸n−ブチル(BA)/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)(=5/3/84/8(重量%))のアクリル単量体混合物400gにα,α−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.5gを溶解し、この混合溶液をフラスコ内に2時間で等速添加する。
添加終了後、1時間毎に2回、酢酸エチル20gとα,α−アゾビスイソブチロニトリル0.2gのスラリーを添加し、さらに3時間重合を行ってアクリル樹脂を製造する。
これにより、加熱残分(JIS K 5400(1997))約50%、数平均分子量約2.8万のアクリル樹脂が製造される。
本発明の接着剤組成物は、オキセタン化合物を含有する。オキセタン化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、ジ〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタンなどが例示される。これらのオキセタン化合物は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
オキセタン化合物は、好ましくは、アクリル樹脂の反応性希釈剤として作用し、硬化反応の際、アクリル樹脂と反応、架橋して、強靱で透明性の高い接着剤を提供する。
本発明では、好ましくは、オキセタン化合物として、下記構造式で示されるいずれか少なくとも1種のオキセタン化合物を含むことが推奨される。
Figure 2008150406
Figure 2008150406
(ただし、nは1〜3の整数を表す。)
接着剤組成物が、上記構造式で示されるオキセタン化合物を含有するとき、貯蔵安定性、硬化性に優れ、透明性の高い、強靱な接着剤が製造される傾向が見られる。また、接着剤がフラットパネルディスプレイ(FPD)用として使用されるとき、基体フィルムのポリカーボネート、ポリエステルなどの透明フィルムへの接着性が一段と優れたものとなる。
これらのオキセタン化合物で上市されているものとしては、「アロンオキセタン OXT−101」、「アロンオキセタン OXT−121」、「アロンオキセタン OXT−221」、「アロンオキセタン OXT−211」(以上、東亞合成社のオキセタン化合物)などが例示される。
オキセタン化合物は、アクリル樹脂とオキセタン化合物との合計量を100重量部として、好ましくは2〜80重量%、より好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは8〜70重量%配合されるのが望ましい。オキセタン化合物の使用量が2重量%未満の場合には、接着剤の粘度が高くなり、作業性が悪化する場合がある。また、接着剤の硬化性、架橋性がやや悪化する傾向が見られる。オキセタン化合物の使用量が80重量%を超える場合には、アクリル樹脂の接着、粘着におよぼす効果が薄れ、接着性が悪化する傾向が見られる。
本発明の接着剤組成物は、カチオン重合開始剤を含有する。カチオン重合開始剤としては、好ましくはジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などが例示される。上市されているものとしては、「AMERICURE(BF4)」(以上、ACC社のジアゾニウム塩)、「ULTRASET(BF4,PF6)」(以上、旭電化工業社のジアゾニウム塩)、「UVEシリーズ」(以上、GE社のヨードニウム塩)、「Photoinitiator2074((C6F6)4B)」(以上、ローヌ・プーラン社のヨードニウム塩)、「CYRACURE UVI-6974」、「CYRACURE UVI-6990」(以上、UCC社のスルホニウム塩)、「UVI−508」、「UVI−509」(以上、GE社のスルホニウム塩)、「OPTOMER SP-150」、「OPTOMER SP-170」(旭電化工業社のスルホニウム塩)、「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」(以上、三新化学工業社のスルホニウム塩)、「IRUGACURE 261」(チバガイギー社のメタロセン化合物)などが例示される。これらのカチオン重合開始剤は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明では、これらカチオン重合開始剤のなかでは、接着剤の貯蔵安定性、ポットライフ、硬化性の観点から、スルホニウム塩が推奨される。さらに、スルホニウム塩のなかでは、下記構造式で示されるものが、より望ましい。
Figure 2008150406
(ただし、R5、R6、R7は炭素原子数1〜12個のアルキル基を表す。)
Figure 2008150406
(ただし、R5、R6、R7は炭素原子数1〜12個のアルキル基を表す。)
Figure 2008150406
Figure 2008150406
Figure 2008150406
Figure 2008150406
これらのスルホニウム塩としては、メチルフェニルジメチルスルホニウムのヘキサフルオロアンチモン塩、エチルフェニルジメチルスルホニウムのヘキサフルオロアンチモン塩、メチルフェニルジメチルスルホニウムのヘキサフルオロホスフェート塩などが例示される。これらのスルホニウム塩は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
上市されているスルホニウム塩としては、「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」(以上、三新化学工業社の製品)、「UVI−6990」、「UVI−6992」、「UVI−6974」(以上、ユニオンカーバイド社の製品)、「アデカオプトマーSP−150」、「アデカオプトマーSP−170」、「アデカオプトンCP−66」、「アデカオプトンCP−77」(以上、旭電化工業社の製品)などが例示される。
スルホニウム塩は、アクリル樹脂とオキセタン化合物の合計量100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜8重量%、さらに好ましくは0.8〜5重量%使用されるのが望ましい。
スルホニウム塩の使用量が0.1重量%未満の場合には、硬化反応性が十分でなく、硬化不良を起こす場合がある。スルホニウム塩の使用量が10重量%を超える場合には、硬化が急速に起こり、低分子量化や接着剤に歪み、残留応力の発生が起こりやすくなる傾向が見られ、接着性の悪化、耐衝撃性の低下が起こりやすくなる傾向が見られる。
本発明の接着剤組成物は、好ましくは、分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を併有する下記構造式で示されるシラン化合物を含む。
Figure 2008150406
(ただし、R8、R9は炭素原子数1〜3個のアルキル基、xは1〜3の整数を表す。)
シラン化合物としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシランなどが例示される。これらのシラン化合物は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
シラン化合物は、アクリル樹脂、オキセタン化合物の合計量100重量部に対して、好ましくは、0.5〜500重量%、より好ましくは、2〜480重量%、さらに好ましくは、5〜450重量%使用されるのが望ましい。
シラン化合物の使用量がアクリル樹脂、オキセタン化合物の合計量100重量部に対して、0.5重量%未満の場合には、接着性、耐熱性がやや不足する傾向が見られる場合がある。シラン化合物の使用量がアクリル樹脂、オキセタン化合物の合計量100重量部に対して、500重量%を超える場合には、接着剤が流れやすく十分な接着層厚みを確保することが困難となる傾向があり、また接着剤の硬化速度が遅くなる傾向が見られ、硬化不良を起こす場合が見られる場合がある。
本発明の接着剤組成物では、シラン化合物は、接着力を大きく改善、向上する作用がある。特に、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とアルミニウム、鉄、チタンなどの金属を接合する際、剪断接着力や耐衝撃性を大きく改善する。シラン化合物をアクリル樹脂、オキセタン化合物の合計量100重量部に対して、5〜100重量%使用したとき、接着力が向上するのはもちろんであるが、被着体であるCFRPとアルミニウム、鉄などの金属の間で電池を形成するのを抑制し、電気腐食を抑制し、電気腐食による接着破壊を防止する効果がある。この機能により、CFRPとアルミニウム、鉄などの金属が接合された製品を水や水蒸気、塩水などの電解質溶液に接触する環境下に暴露しても接着強度が低下することなく、接着信頼性が大きく向上する。
シラン化合物は、また、フラットパネルディスプレイ(FPD)のガラス基板に対する適度な粘着性、リワーク性を付与するためにも有効である。シラン化合物が使用されたとき、60℃、90%RHという厳しい条件下で実施される耐湿熱性が改善される。
本発明の接着剤組成物は、カチオン重合反応で硬化、架橋し、強力な接着性、耐衝撃性、耐熱性などに優れた性能を発揮する。
カチオン重合は、重合活性が非常に高い一方で、通常、例えば、水分、アルコールなどの極性溶媒、光安定剤(HALS)などの塩基性物質などが存在すれば、これらの不純物がたとえ微量であったとしても、重合反応がきわめて大きく妨害されるか、あるいは全く重合が進行しないことが多い。さらに、薄膜接着では、これら不純物の影響と相まって硬化不良を起こしやすく、接着不具合を起こしやすい。接着剤業界で、優れた性能が認められながらも、カチオン硬化型接着剤が大きく普及しない要因がここにあると考えられる。
一方で、カチオン重合は、反応性を制御(貯蔵条件下では安定であり、硬化条件下ではシャープな反応活性を示す処方の開発)し、不純物管理を適正化(濃度管理または不純物による影響を無視できる組成の開発)すれば、接着剤組成物の貯蔵安定性とシャープな硬化性を両立可能であると考えられる。同時に、カチオン重合反応による緻密な架橋が可能であり、接着剤の性能向上、優れた性能発現が可能であると考えられる。
本発明者らは、この相矛盾する難解な課題を解決するために鋭意検討を行った結果、接着剤組成物を、分子鎖中に、下記構造式で示される繰り返し単位、
Figure 2008150406
(ただし、R1は水素原子またはメチル基を表す。)
および下記構造式で示される繰り返し単位、
Figure 2008150406
(ただし、R2は炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
さらに下記構造式で示される繰り返し単位
Figure 2008150406
(ただし、R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
を有する数平均分子量0.3〜20万のアクリル樹脂と、
オキセタン化合物、および、カチオン重合開始剤を含む接着剤組成物とすることで、この課題が解決されることを見出した。
接着剤組成物を構成するこれらの要素が各々独立して、または相互に補完しあって、貯蔵安定性とシャープな硬化性が同時に達成され、また、接着剤の性能向上、優れた性能発現が可能となった。
本発明の接着剤組成物は、上記構成要素が必須要件であり、これらの一つがかけても性能を発現することができない。特に、被着体と被着体とを、例えば接着剤膜厚が20μm程度の薄膜でシングルラップ接着するような場合には、きわめて重要な要件である。接着剤組成物が上記構成要素をすべて満足している場合には、接着剤は十分に硬化、架橋反応を起こし、強靱な接着物品が製造される。一方、上記要件が満たされない場合には、接着剤は硬化不良を起こし、接着強度は発現されない。
本発明の接着剤組成物では、接着性の改善や強度アップのため、エポキシ樹脂を配合する場合には、アクリル樹脂と相溶性のよいエポキシ樹脂を選択するのが望ましい。
エポキシ樹脂を配合する場合、好ましいものとしては、硬度や、強度アップのためにノボラックフェノール型多官能エポキシ樹脂の配合が推奨される。ノボラックフェノール型多官能エポキシ樹脂の上市されているものとしては、「エピコート154」、「エピコート157」(以上、ジャパンエポキシレジン社のエポキシ樹脂)などが例示される。
本発明では、接着剤組成物の製造は、以下のように例示される。
〔接着剤組成物の製造例〕
真空脱溶媒可能な5Lプラネタリーミキサーに製造例のアクリル樹脂1.6kgを仕込み、80℃に加温しながら真空下で脱溶媒を行う。加熱残分が98%以上になった時点で、40℃まで冷却を行い、オキセタン化合物(例えば、「OXT−101」(東亞合成社のオキセタン化合物)200gを仕込み、均一になるまで攪拌を行う(アクリル樹脂/オキセタン化合物=80/20重量比)。
さらに、スルホニウム塩(例えば、「サンエイド 80L」(三新化学工業社のスルホニウム塩)20gを仕込み、均一になるまで攪拌を行う(スルホニウム塩は(アクリル樹脂+オキセタン化合物)の2phr)。以上により接着剤組成物が製造される。
以下、実施例を持って本発明を詳細に説明する。なお、実施例、比較例中、特に断りがなければ組成比は重量比を表す。また、各種試験および評価は、以下に従い行った。
(1)数平均分子量は、標準ポリスチレンを分子量標準として、GPCにより測定した。
(2)加熱残分(%)は、JIS K 5400(1997)に準拠し測定した。
(3)全光線透過率は、JIS K7361(2003)に準拠し、ヘイズメーター「DH 2000」(日本電色工業社製)で測定した。
(4)ヘイズは、JIS K7105(2003)に準拠し、ヘイズメーター「NDH 2000」(日本電色工業社製)で測定した。
(5)耐湿熱性は、ガラス板(FL2.0、日本板硝子製)に貼合した試験サンプルを温度60±2℃、湿度90±5%の雰囲気下に、100時間、200時間、300時間、400時間、500時間保持した後、全光線透過率、ヘイズを、試験前後で比較、評価した。
(6)粘着性(N/25mm)は、JIS Z0237(2003)に準拠し、ガラス板(FL2.0、日本板硝子製)に貼合した試験サンプルを、180°ピール、剥離速度300mm/min.で測定した。
(7)付着性は、JIS K5400(1997)に準拠し、碁盤目試験により評価した。
(8)屈曲性は、JIS K5400(1997)に準拠し、耐屈曲試験により評価した。
(9)塗膜硬度は、JIS K5400(1997)に準拠し、鉛筆引っ掻き抵抗試験により評価した。
(10)接着試験
1)初期接着試験
a)テストピースの作製
接着剤をA−2017Pアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚50μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、特に断りがない場合は120℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力を測定した。
b)試験方法
A−2017Pアルミニウム板(サイズ;長さ50mm、幅25mm、厚さ2mm)を使用し、JIS K 6850(1999)(剛性被着材の引張剪断接着強さ試験方法)に準拠して行った。引張り速度は1.0mm/min.で行い、特に断りがない限り試験温度は23℃とした。
2)耐水試験
(10)−1)(a)で作製したテストピースを80℃温水中に72時間浸漬した。この後、(10)−1)(b)に従い接着性試験を行った。
〔アクリル樹脂の製造例〕
アクリル樹脂(1)の製造例
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた1リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸エチル360gを仕込んだ。窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度を酸素濃度計「XO−326ALA」(新コスモス電機(株)の酸素濃度計)で測定し、酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認した。
昇温を開始し、還流温度(78〜82℃)まで30分間で昇温した。以後、製造中はこの温度を保持した。
アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(=5/82/5/8)の単量体混合物400gにα,α´−アゾビスイソブチロニトリル4.8gを溶解した混合溶液を2時間でフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、2時間目、3時間目に、α,α´−アゾビスイソブチロニトリル0.4g、酢酸エチル20gの混合液を添加し、さらに2時間重合を続けてアクリル樹脂(1)を製造した。
アクリル樹脂(1)の加熱残分は、50.2%、数平均分子量は、3.8万であった。
アクリル樹脂(2)の製造例
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた1リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸エチル360gを仕込んだ。窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度を酸素濃度計「XO−326ALA」(新コスモス電機(株)の酸素濃度計)で測定し、酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認した。
昇温を開始し、還流温度(78〜82℃)まで30分間で昇温した。以後、製造中はこの温度を保持した。
メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/スチレン(=3/81/5/8/3)の単量体混合物400gにα,α´−アゾビスイソブチロニトリル6.0gを溶解した混合溶液を2時間でフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、2時間目、3時間目に、α,α´−アゾビスイソブチロニトリル0.4g、酢酸エチル20gの混合液を添加し、さらに2時間重合を続けてアクリル樹脂(2)を製造した。
アクリル樹脂(2)は、加熱残分50.3%、数平均分子量3.3万であった。
アクリル樹脂(3)の製造例 窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた1リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸エチル360gを仕込んだ。窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度を酸素濃度計「XO−326ALA」(新コスモス電機(株)の酸素濃度計)で測定し、酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認した。
昇温を開始し、還流温度(78〜82℃)まで30分間で昇温した。以後、製造中はこの温度を保持した。
メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸グリシジル(=3/92/5)の単量体混合物400gにα,α´−アゾビスイソブチロニトリル4.8gを溶解した混合溶液を2時間でフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、2時間目、3時間目に、α,α´−アゾビスイソブチロニトリル0.4g、酢酸エチル20gの混合液を添加し、さらに2時間重合を続けて水酸基含有アクリル単量体を含まないアクリル樹脂(3)を製造した。
アクリル樹脂(3)は加熱残分50.2%、数平均分子量4.2万であった。
アクリル樹脂(4)の製造例
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた1リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸エチル360gを仕込んだ。窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度を酸素濃度計「XO−326ALA」(新コスモス電機(株)の酸素濃度計)で測定し、酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認した。
昇温を開始し、還流温度(78〜82℃)まで30分間で昇温した。以後、製造中はこの温度を保持した。
メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(=3/89/8)の単量体混合物400gにα,α´−アゾビスイソブチロニトリル6.0gを溶解した混合溶液を2時間でフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、2時間目、3時間目に、α,α´−アゾビスイソブチロニトリル0.4g、酢酸エチル20gの混合液を添加し、さらに2時間重合を続けてメタクリル酸グリシジル(GMA)またはメタクリル酸メチルグリシジル(M−GMA)を含まないアクリル樹脂(4)を製造した。
アクリル樹脂(4)は加熱残分50.3%、数平均分子量3.3万であった。
実施例1
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(1)1200gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(1)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(1)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタンOXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)400g(アクリル樹脂(1)/オキセタン化合物=60/40)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに「サンエイド 80L」(三新化学工業製のスルホニウム塩系カチオン硬化触媒)を2phr添加し、さらに30分間攪拌を継続して接着剤(1)を製造した。
(接着剤硬化物の引張り試験)
接着剤(1)を膜厚が2mmになるようシート状に塗りのばし、120℃で1時間、加熱硬化させた。この硬化した接着剤のフィルムを3号ダンベルでカットし、引張り試験を行った。試験結果を表1に示した。
(接着性の評価)
(1)初期接着力の評価
接着剤(1)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚50μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、120℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い、剪断接着力を測定した。
(2)耐水試験後接着力の評価
(1)で作製したテストピースを80℃温水中に72時間浸漬した。この後、(1)と同様に接着性試験を行った。
接着性の試験結果を表1に示した。
実施例2
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(1)1200gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(1)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(1)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタンOXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)400g、「エポリードPB−3600」(ダイセル化学工業社製のエポキシ化ポリブタジエン)200g(アクリル樹脂(1)/オキセタン化合物(=60/40))/エポキシ化ポリブタジエン=100/20)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに「サンエイド 80L」(三新化学工業製のスルホニウム塩系カチオン硬化触媒)を2phr添加し、さらに30分間攪拌を継続して接着剤(2)を製造した。
(接着剤硬化物の引張り試験)
接着剤(2)を膜厚が2mmになるようシート状に塗りのばし、120℃で1時間、加熱硬化させた。この硬化した接着剤のフィルムを3号ダンベルでカットし、引張り試験を行った。試験結果を表1に示した。
(接着性の評価)
(1)初期接着力の評価
接着剤(2)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚50μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、120℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力を測定した。
(2)耐水試験後接着力の評価
(1)で作製したテストピースを80℃温水中に72時間浸漬した。この後、(1)と同様に接着性試験を行った。
接着性の試験結果を表1に示した。
実施例3
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(2)1200gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(1)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(1)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタンOXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)400g、「エポリードPB−3600」(ダイセル化学工業社製エポキシ化ポリブタジエン)200g(アクリル樹脂(1)/オキセタン化合物(=60/40))/エポキシ化ポリブタジエン=100/20)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに「サンエイド 80L」(三新化学工業製のスルホニウム塩系カチオン硬化触媒)を2phr添加し、さらに30分間攪拌を継続して接着剤(2)を製造した。
(接着剤硬化物の引張り試験)
接着剤(3)を膜厚が2mmになるようシート状に塗りのばし、120℃で1時間、加熱硬化させた。この硬化した接着剤のフィルムを3号ダンベルでカットし、引張り試験を行った。
試験結果を表1に示した。
(接着性の評価)
(1)初期接着力の評価
接着剤(3)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚50μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、120℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力を測定した。
(2)耐水試験後接着力の評価
(1)で作製したテストピースを80℃温水中に72時間浸漬した。この後、(1)と同様に接着性試験を行った。
接着性の試験結果を表1に示した。
Figure 2008150406
実施例4
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(2)1200gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(2)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(2)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタンOXT−101」(東亞合成社のオキセタン化合物)400g(アクリル樹脂(2)/オキセタン化合物=60/40)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シラン化合物)200g((アクリル樹脂(2)+オキセタン化合物)/シラン化合物=100/20)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに「サンエイド 80L」(三新化学工業製のスルホニウム塩系カチオン硬化触媒)を2phr添加し、さらに30分間攪拌を継続して接着剤(4)を製造した。
接着剤(4)を、プラズマディスプレイパネル用電磁波シールド銅メッシュ(以下、銅メッシュとも言う)(銅メッシュのライン幅20μm、ライン間隔290μm、ライン厚み5μm)(PETフィルム上に金属メッシュが設けられたもの、例えば、「クリアラスEMI」(住友大阪セメント製のプラズマディスプレイ用電磁波シールドメッシュ))に乾燥膜厚が25μmとなるようバーコーターで塗布し、120℃で1分間乾燥した後、紫外線照射(照射量1500mJ/cm)を行って電磁波遮断シート(以下、EMIシートとも言う)を作製した。このものの、全光線透過率は83.0%、ヘイズは2.4であった。接着剤(4)が塗布されたEMIシートはディスプレイ用フィルムとして高い透明性を有していた。
作製したEMIシートを用い、粘着性および耐湿熱性を試験した。結果を表2に示した。
「デジタルマイクロスコープ KH−3000VD」(マルトー(株)のCCDカメラ型デジタル顕微鏡)により、銅メッシュへの粘着剤(4)の浸透状態、気泡の有無、接着剤表面の平滑性を観察したところ、接着剤(4)はメッシュの隅々まで浸透しており、気泡は観察されなかった。また、接着剤表面は平滑であった。銅メッシュによる凹凸プロフィールを完全に修復していた。接着剤(4)は銅メッシュへの浸透性と接着剤の表面平滑性に優れていた。
実施例5
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(2)1000gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(2)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(2)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタンOXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)500g(アクリル樹脂(2)/オキセタン化合物=50/50)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに「サンエイド 80L」(三新化学工業製のスルホニウム塩系カチオン硬化触媒)を2phr添加し、さらに30分間攪拌を継続して接着剤(4)を製造した。
接着剤(5)を、プラズマディスプレイパネル用電磁波シールド銅メッシュ(以下、銅メッシュとも言う)(銅メッシュのライン幅20μm、ライン間隔290μm、ライン厚み5μm)(PETフィルム上に金属メッシュが設けられたもの、例えば、「クリアラスEMI」(住友大阪セメント製のプラズマディスプレイ用電磁波シールドメッシュ))に乾燥膜厚が25μmとなるようバーコーターで塗布し、120℃で1分間乾燥した後、紫外線照射(照射量1500mJ/cm)を行って電磁波遮断シート(EMIシート)を作製した。このものの、全光線透過率は82.0%、ヘイズは2.1であった。接着剤(5)が塗布されたEMIシートはディスプレイ用フィルムとして高い透明性を有していた。
作製したEMIシートを用い、粘着性および耐湿熱性を試験した。結果を表2に示した。
「デジタルマイクロスコープ KH−3000VD」(マルトー(株)のCCDカメラ型デジタル顕微鏡)により、銅メッシュへの粘着剤(5)の浸透状態、気泡の有無、接着剤表面の平滑性を観察したところ、接着剤(5)はメッシュの隅々まで浸透しており、気泡は観察されなかった。また、接着剤表面は平滑であった。銅メッシュによる凹凸プロフィールを完全に修復していた。接着剤(5)は銅メッシュへの浸透性と接着剤の表面平滑性に優れていた。
Figure 2008150406
接着剤(4)、接着剤(5)は良好な透明性と、耐湿熱性、およびガラス基板へのリワーク性のある適度な粘着性を有していた。
実施例6
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(2)600gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(2)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(2)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタンOXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)200g(アクリル樹脂(2)/オキセタン化合物=60/40)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シラン化合物)2000g((アクリル樹脂(2)+オキセタン化合物)/シラン化合物=100/400)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに「サンエイド 80L」(三新化学工業製のスルホニウム塩系カチオン硬化触媒)を2phr添加し、さらに30分間攪拌を継続して接着剤(6)を製造した。
接着剤(6)を、「ルミラー T−60−250」(東レ社製ポリエステルフィルム)に膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗布し、120℃で1分間乾燥した後、紫外線照射(照射量1500mJ/cm)を行ってポリエステルフィルム上に接着剤(6)の塗膜を形成した。
接着剤(6)が塗布されたフィルムの全光線透過率は、92.0%、ヘイズは0.8で、透明性に優れていた。
接着剤(6)のポリエステルフィルムに対する付着性は、100/100で良好であり、屈曲性は1mm合格、鉛筆硬度は2H〜3Hであった。
接着剤(6)の塗膜は、ポリエステルフィルムに良好な接着性を有し、非常に硬い塗膜でありながら、優れた折り曲げ性(=加工性)を有するものであった。
比較例1
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(3)1200gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(3)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(1)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタンOXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)400g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シラン化合物)200g(アクリル樹脂(3)/オキセタン化合物(=60/40))/シラン化合物=100/20)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに「サンエイド 80L」(三新化学工業製のスルホニウム塩系カチオン硬化触媒)を2phr添加し、さらに30分間攪拌を継続して接着剤(7)を製造した。
(接着剤硬化物の引張り試験)
接着剤(7)を膜厚が2mmになるようシート状に塗りのばし、120℃で1時間、加熱硬化させた。この硬化した接着剤のフィルムを3号ダンベルでカットし引張り試験を行った。試験結果を表3に示した。
(接着性の評価)
(1)初期接着力の評価
接着剤(7)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚50μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、120℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力を測定した。
(2)耐水試験後接着力の評価
(1)で作製したテストピースを80℃温水中に72時間浸漬した。この後、(1)と同様に接着性試験を行った。
接着性の試験結果を表3に示した。
比較例2
溶剤回収トラップが設けられた真空ラインに接続した5Lプラネタリーミキサーにアクリル樹脂(4)1200gを仕込み、攪拌しながら、1300Paに減圧し、アクリル樹脂(4)が含有する溶剤をトラップ中に回収した。アクリル樹脂(1)の加熱残分98%以上となった時点で真空引きを停止した。
攪拌を継続したまま、「アロンオキセタンOXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)400g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シラン化合物)200g(アクリル樹脂(1)/オキセタン化合物(=60/40))/シラン化合物=100/20)を仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った。
これに「サンエイド 80L」(三新化学工業製のスルホニウム塩系カチオン硬化触媒)を2phr添加し、さらに30分間攪拌を継続して接着剤(8)を製造した。
(接着剤硬化物の引張り試験)
接着剤(8)を膜厚が2mmになるようシート状に塗りのばし、120℃で1時間、加熱硬化させた。この硬化した接着剤のフィルムを3号ダンベルでカットし引張り試験を行った。試験結果を表3に示した。
(接着性の評価)
(1)初期接着力の評価
接着剤(8)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚50μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、120℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力を測定した。
(2)耐水試験後接着力の評価
(1)で作製したテストピースを80℃温水中に72時間浸漬した。この後、(1)と同様に接着性試験を行った。
接着性の試験結果を表3に示した。
Figure 2008150406
水酸基含有アクリル単量体が共重合されていないアクリル樹脂(3)を用いた接着剤7はアルミニウム−アルミニウムの薄膜シングルラップ接着では接着剤が硬化しなかった。メタクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸メチルグリシジルが共重合されていないアクリル樹脂(4)を用いた接着剤(8)は、接着剤が硬化しなかった。

Claims (5)

  1. 分子鎖中に、下記構造式で示される繰り返し単位、
    Figure 2008150406
    (ただし、R1は水素原子またはメチル基を表す。)
    および下記構造式で示される繰り返し単位、
    Figure 2008150406
    (ただし、R2は炭素原子数4〜12個のアルキル基を表す。)
    さらに下記構造式で示される繰り返し単位
    Figure 2008150406
    (ただし、R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
    を有する数平均分子量が、3000〜20万のアクリル樹脂と、
    オキセタン化合物、および、カチオン重合開始剤を含む接着剤組成物。
  2. 請求項1に記載のアクリル樹脂が下記構造式で示されるアクリル樹脂である請求項1に記載の接着剤組成物。
    Figure 2008150406
    (ただし、a+b+c+d+e=100であり、aは1〜30、bは60〜95、cは0〜12、dは3〜20、eは0〜10の数値を表す。また、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素原子数4〜12個のアルキル基、R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素原子数2〜6個のアルキル基を表す。)
  3. 下記構造式で示されるオキセタン化合物のいずれか少なくとも1種を含む請求項1または2に記載の接着剤組成物。
    Figure 2008150406
    Figure 2008150406
    (ただし、nは1〜3の整数を表す。)
  4. カチオン重合開始剤がスルホニウム塩である請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物。
  5. さらに、分子中にエポキシ基とアルコキシシラン基を併有するシラン化合物を含む請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
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