JP2008169327A - 接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性、耐水性などに優れた新規な接着剤組成物を提供する。
【解決手段】ビスフェノールA型エポキシ樹脂、下記構造式で示されるオキセタン化合物、
Figure 2008169327

(ただし、yは1〜3の整数を表す。)および、カチオン重合開始剤を含む接着剤組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性、耐水性などに優れた新規な接着剤組成物に関するものである。
エポキシ接着剤は機械的強度が高く、種々基材の接着性、耐熱性や耐薬品性に優れるため汎用から構造用接着剤用途まで広く使用されている。エポキシ接着剤は、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性が高いことから、一部は電子材料用接着剤として、また光学部材用接着剤としても使用されている。
また、エポキシ接着剤は、N,N―ジメチルプロピルアミンなどのアミノ化合物を硬化剤とする室温硬化(塗料、接着剤に使用されている)から、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物を硬化剤とする高温硬化タイプ(電気材料に使用されている)まで幅広い硬化特性、諸物性のコントロールが可能であり、適用範囲が広いのが特徴である。さらには、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、望ましくは、脂環式エポキシ樹脂などは、ヨードニウム塩などの酸発生剤を開始剤としてカチオン硬化され、貯蔵安定性、ポットライフ調整等が比較的容易で、短時間硬化できる塗料、接着剤などに応用されている。
エポキシ樹脂の接着剤としての優れた性能と、アクリル樹脂の粘着剤としての機能を組み合わせたいわゆるアクリル−エポキシハイブリッド型接着剤が提案されている(特許文献1参照)。本提案は、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート化合物および硬化剤としてのジアミン化合物またはビス(アミノ)アルキルピペラジンを含有する硬化性(メタ)アクリレート変性エポキシ樹脂組成物を提供するものである。特許文献1によれば、エポキシ樹脂接着剤の機械的強靱性は、そのままで耐衝撃性が改善され、自動車バンパーなどの接着剤用途として適しているとされている。本提案の狙うところは、
(1)高粘度エポキシ樹脂を低粘度の(メタ)アクリレートで希釈し、低粘度化して接着剤塗布作業性の改善を図ること、
(2)硬化過程で、エポキシ樹脂を前記ジアミン化合物などで硬化、架橋反応させるとともに、(メタ)アクリレートの重合を進めエポキシ−アクリルの相互侵入網目構造(以下IPNともいう)を形成し、強靱で耐衝撃性に優れた接着剤を得ようとするものと考えられる。特許文献1の狙いは、大変興味深いものであるが、(1)接着剤の粘度を単純に低くした場合には、接着剤粘性がニュートニアンとなり接着剤が流れ易くなって十分な接着剤層膜厚が得られない傾向があり、また被着体へのヌレ性が悪化し接着強度が不十分となる懸念がある、(2)周知の通り、ジアミン化合物、ビス(アミノ)アルキルピペラジンなどの塩基性化合物(または含N原子含有化合物)の存在下では(メタ)アクリレートはきわめて重合性が乏しく、硬化のために十分に長い時間をとったとしても(メタ)アクリレートは未反応で残る懸念が払拭できず、接着強度に重大なバラツキが出ることが予測される。さらにまた、(メタ)アクリレートは嫌気性が強く、脱気(脱酸素)が不十分な場合には、同様に接着強度発現に懸念が残ることになる。
ポリアクリレート成分と、エポキシ成分と、カチオン開始剤とを含む硬化性接着剤が提案されている(特許文献2参照)。
特許文献2に記載の接着剤は、ポリアクリレートは自己架橋することなく独自に、単独で存在する。したがって、ポリアクリレートによるエポキシへの絡み合い、エポキシの拘束、エポキシとの網目構造のバインダー力はある程度制限され、さほど強くはないことが容易に予測される。換言すれば、ポリアクリレートはずるずると歪みに引きずられ移動するだけで、本来期待されるはずのIPN効果は希薄となることが推察される。
ポリアクリレートは、エポキシとポリアクリレートが有する特定の官能基、カルボン酸、水酸基、で接合される場合がある。ポリアクリレートが有する官能基がカルボン酸の場合には、エポキシ樹脂が有するエポキシ基との反応が起こり、接着剤の本来のカチオン重合反応によらないゲル化が進行し、接着剤の貯蔵安定性が悪化するばかりか、十分な高分子化が阻害されるため機械的強度や接着力の低下を招く懸念がある。ポリアクリレートが有する官能基が水酸基の場合には、接着剤をカチオン重合で硬化する際、連鎖移動剤として働き、見かけの硬化速度、架橋は促進されるが、重合度の低下を招き、接着剤が脆くなって、構造接着剤としての機能を発揮しないことが懸念される。
紫外線や電子線の輻射線を照射することによって可とう性に優れた硬化膜を与える光硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献3参照)。特許文献3はエポキシ化ポリブタジエン、脂環式エポキシ樹脂、および光重合開始剤を必須成分とする光硬化型樹脂組成物に関する提案である。特許文献3は光硬化型樹脂の耐水性や接着性を改善することを目的としている。ただ、脂環式エポキシ樹脂を配合した場合は、一般に硬化性は優れるものの、貯蔵安定性、接着性が不十分であることが知られており、本提案もそれに類するものと考えられる。
特開昭63−215716号公報 特表2005−508435号公報 特開平8−277320号公報
本発明は、種々被着体を、低中温、かつ、短時間で接着するのに有効で、強い接着力を発揮する接着剤組成物を提供するものである。
本発明は、下記構造式で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、
Figure 2008169327
(ただし、xは0または1〜5の整数を表す。)
下記構造式で示されるオキセタン化合物、
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
および、カチオン重合開始剤を含む接着剤組成物を提供するものである。
本発明の接着剤組成物は、常温で安定であり、長いポットライフを有するため作業性に優れている。
また、本発明の接着剤組成物は、加熱硬化が可能であり、低中温の加熱でも硬化が可能であり、紫外線などの活性エネルギー線照射でも硬化が可能である。
本発明の接着剤組成物は、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィドなどのプラスチック、アルミニウム、鉄、銅、チタン合金などの金属、ガラスなどの無機物に対するぬれ性、接着性に優れている。このことから、本発明の接着剤組成物は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(例えば、炭素繊維をエポキシ樹脂で結束したプラスチック)とアルミニウム合金、チタン合金などの軽量、抗張力合金との接合に特に適しており、耐熱性、耐水性、耐塩水性などの従来の接着剤の課題であった性能を飛躍的に向上する。
本発明は、下記構造式で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、
Figure 2008169327
(ただし、xは0または1〜5の整数を表す。)
下記構造式で示されるオキセタン化合物、
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
および、カチオン重合開始剤を含む接着剤組成物を提供するものである。
本発明において、下記構造式で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、
Figure 2008169327
(ただし、xは0または1〜5の整数を表す。)
「エピコート825」、「エピコート827」、「エピコート828」、「エピコート1001」、「エピコート1002」、「エピコート1003」、「エピコート1004」(以上、ジャパンエポキシレジン社のビスフェノールA型エポキシ樹脂)などが例示される。これらのビスフェノールA型エポキシ樹脂は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい(参考文献;(1)「14705の化学商品」、化学工業日報社(2005)、p1126−p1135、(2)jER製品案内 エポキシ樹脂[online]、ジャパンエポキシレジン株式会社、平成18年12月検索、インターネット<URL:http://www.jers.co.jp/products/epoxy−jer.html#01>)。
本発明では、これらのビスフェノールA型エポキシ樹脂のなかでは、「エピコート 827」、「エピコート 828」、「エピコート 828EL」、「エピコート 828XA」、「エピコート 834」(以上、ジャパンエポキシレジン社のビスフェノールA型エポキシ樹脂)などの、常温で液状のものが推奨される。常温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂が使用されるとき、接着剤粘度が任意にコントロールされ、被着体の材質、形状に合わせ、より好ましい接着剤設計が可能となる。
本発明の接着剤組成物では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、接着剤に架橋反応性、被着体への強固な接着性を付与するために有用な原料であり、耐熱性や耐水性の向上も期待される。
本発明の接着剤組成物には、下記構造式で示されるオキセタン化合物が含まれる。
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
本発明で使用される上記構造式で示されるオキセタン化合物としては、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン(y=1の場合)などが例示される。上市されているオキセタン化合物としては、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)、「ETERNACOLL OXBP」(宇部興産社のオキセタン化合物)などが例示される。これらのオキセタン化合物は単独でも、もしくは、2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の接着剤組成物では、下記構造式で示されるオキセタン化合物は、
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂との良好な相溶性を与え、接着剤の貯蔵安定性、強靱性、低温(例えば80℃)短時間(例えば30分間)での良好な硬化性を向上する傾向が見られる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂だけの場合には、例えば、シングルラップ継ぎ手で接着剤膜厚を100μm程度にした場合には硬化不良を起こし、接着強度が全く得られない。一方で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物を含む本発明の接着剤組成物では、例えば、80℃程度の低温でも良好な硬化性を示し、強靱な接着強度を発揮する。すなわち、本発明の接着剤組成物は、薄膜接着においても接着剤の良好な硬化性により優れた接着強度を発揮し、薄膜接着だけがなしえる接着物品の寸法精度の向上と精密部品の提供を可能とする。
本発明の接着剤組成物では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、下記構造式で示されるオキセタン化合物は、
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物の使用量の合計を100重量部として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、好ましくは、10〜95重量%、より好ましくは、20〜90重量%使用されるのが望ましい。
本発明の接着剤組成物では、上記オキセタン化合物以外にも、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ−[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン化合物を混合し、使用することができる。
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ−[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン化合物は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ−[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン化合物として上市されているものとしては、「アロンオキセタン OXT−101」(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン)、「アロンオキセタン OXT−211」(3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン)、「アロンオキセタン OXT−221」(ジ−[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル)(以上、東亞合成社のオキセタン化合物)などが例示される。3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ−[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン化合物は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ−[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン化合物は、下記構造式で示されるオキセタン化合物
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
との合計量を100重量部として、好ましくは、0.5〜80重量%、より好ましくは、2〜50重量%、さらに好ましくは、5〜20重量%使用されるのが望ましい。本発明の接着剤組成物では、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ−[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン化合物が混合使用されることにより、接着剤組成物が強固になったり、あるいは柔軟になり伸び率が向上する場合がある。
本発明では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物とは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物の使用量の合計を100重量部として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、好ましくは、20〜95重量%、より好ましくは、30〜90重量%、さらに好ましくは、40〜90重量%使用されるのが望ましい。ここで、オキセタン化合物とは、下記構造式で示されるオキセタン化合物
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
と、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ−[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン化合物の両方のオキセタン化合物の混合物を示す。
本発明の接着剤組成物は、好ましくは、さらに、下記構造式のラジカル重合性単量体から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体を含むものである。
Figure 2008169327
Figure 2008169327
(ただし、R1は、水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 2008169327
(ただし、R2は、水素原子またはメチル基、R3は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。)
本発明では、これらのラジカル重合性単量体としては、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが例示される。これらのラジカル重合性単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の接着剤組成物では、これらのラジカル重合性単量体のなかでは、下記構造式で示されるグリシジルエーテル基を有するラジカル重合性単量体または脂環式エポキシ基を有するラジカル重合性単量体が推奨され、接着剤に特に優れた硬化性、強靱性、耐衝撃性が発揮される傾向が見られる。
Figure 2008169327
Figure 2008169327
(ただし、R2は水素原子またはメチル基、R3は炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。)
本発明では、これらのグリシジルエーテル基を有するラジカル重合性単量体または脂環式エポキシ基を有するラジカル重合性単量体としては、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが例示される。これらのラジカル重合性単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の接着剤組成物は、少なくとも1種のラジカル重合性単量体を含むものであることが好ましい。本発明の接着剤組成物では、ラジカル重合性単量体が使用された場合には、接着剤が硬化反応を起こす際、接着剤組成物に含まれるビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基、オキセタン化合物のオキセタニル基とともに、ラジカル重合性単量体のオキシラン基が、好ましくは、カチオン重合で共重合し、強靱な接着剤を提供する。これにより、本発明の接着剤組成物は、強靱で耐衝撃性、強固な接着力を発揮する。
本発明の接着剤組成物では、ラジカル重合性単量体を使用する場合には、さらに、例えば、第二の反応を実行することが可能である。すなわち、ラジカル重合性単量体のラジカル重合性を有するビニル基および/またはアクリロイル基は、ラジカル重合性を有するビニル基および/またはアクリロイル基単独で、ラジカル共重合により高分子量化することができ、エポキシ樹脂、オキセタン化合物で形成される強靱な接着剤相とともに、アクリルポリマーで補強されたIPN構造(相互侵入高分子網目構造;IPN)の形成が可能となる。
本発明の接着剤組成物では、ラジカル重合性単量体を使用する場合には、オキシラン基、オキセタニル基の反応により形成された本来の接着剤相と、全く独立して、本来の接着剤相と共有結合により強固に結合した、アクリルポリマー相を有することが可能となる。
本発明の接着剤組成物では、ラジカル重合性単量体を使用する場合には、好ましくは、アクリルポリマー相は架橋構造を付与することも、非架橋構造であることも可能である。アクリルポリマー相が非架橋構造をとる場合には、接着剤が高い耐衝撃性、グリーンストレングスを有する高弾性体となって、大荷重による負荷が断続的に繰り返される部位の接着剤としてきわめて大きい接着力と耐久性を発揮する傾向が見られ、適している。アクリルポリマー相が架橋構造をとる場合には、接着剤は硬く強靱なものとなり、接着剤によるトルク伝達性の向上、接着物品の寸法安定性の向上、耐熱性の改善などが見られ、瞬間的に強力な荷重による負荷が繰り返される部位に適したものとなる。
本発明の接着剤組成物は、好ましくは、下記構造式のラジカル重合性単量体から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体
Figure 2008169327
Figure 2008169327
(ただし、R1は、水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 2008169327
(ただし、R2は、水素原子またはメチル基、R3は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。)
を含むことにより、より一層すぐれた接着力を示す。
本発明では、上記のラジカル重合性単量体は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物の合計量を100重量部として、好ましくは、0.02〜80重量部、より好ましくは2〜60重量部、さらに好ましくは、5〜60重量部使用されるのが望ましい。ラジカル重合性単量体の使用量が、0.02重量部未満の場合には、接着剤の強靱化作用、耐衝撃性の付与効果が発揮されにくくなる傾向が見られる。ラジカル重合性単量体の使用量が80重量部を超える場合には、接着剤が寒天状に崩壊しやすくなる傾向が見られ、接着強度が失せられる場合がある。ここで、オキセタン化合物とは、下記構造式で示されるオキセタン化合物
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
を単独で使用する場合は、下記構造式で示されるオキセタン化合物
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
をしめす。また、上記の構造式で示されるオキセタン化合物と、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ−[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン化合物の混合物を使用する場合は、両方のオキセタン化合物の混合物を示す。
本発明の接着剤組成物では、ラジカル重合性単量体を使用する場合には、好ましくは、性単量体を介して接着剤にアクリルポリマー相を組み込むために、ラジカル重合性単量体が有する不飽和二重結合とラジカル共重合可能なアクリル単量体、多官能アクリルモノマー、アクリルオリゴマーなどのラジカル重合性化合物を使用することが推奨される。
本発明の接着剤組成物で使用されるラジカル重合性化合物としては、好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、などの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有アクリル単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有アクリル単量体、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン基含有アクリル単量体、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの多官能アクリルモノマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタンアクリレートオリゴマーなどのアクリルオリゴマーなどが例示される。これらのラジカル重合性化合物は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明では、これらのラジカル重合性化合物は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物の合計量を100重量部として、好ましくは、1〜200重量部、より好ましくは、5〜150重量部、さらに好ましくは、20〜100重量部使用されるのが推奨される。これらのラジカル重合性化合物の使用量が1〜200重量部の場合には、アクリルポリマーが組み込まれることによる接着剤の改質効果、強靱性の向上、耐衝撃性の向上、耐熱性の向上などが特に大きく、接着剤が硬化する際の体積収縮が小さいので、接着剤の強度がなく、接着剤の引張り強度、剪断接着力が高い。ここで、オキセタン化合物とは、下記構造式で示されるオキセタン化合物
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
を単独で使用する場合は、下記構造式で示されるオキセタン化合物
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
をしめす。また、上記の構造式で示されるオキセタン化合物と、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ−[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン化合物の混合物を使用する場合は、両方のオキセタン化合物の混合物を示す。
本発明の接着剤組成物では、ラジカル重合性単量体を使用する場合には、ラジカル重合性化合物のラジカル重合をスムースに進めるために、好ましくは、ラジカル重合開始剤が使用される。本発明では、ラジカル重合開始剤として、好ましくは、過酸化ベンゾイル、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物、α,α−アゾビスイソブチロニトリルなどの有機アゾ化合物、ベンゾインイソプロピルエーテルなどの光重合開始剤が推奨される。これらのラジカル重合開始剤は、単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明では、これらのラジカル重合開始剤は、ラジカル重合性化合物の合計量100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.2〜8重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部使用されるのが望ましい。
本発明の接着剤組成物は、カチオン重合開始剤を含有する。カチオン重合開始剤としては、好ましくは、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などが例示される。上市されているものとしては、「AMERICURE(BF4)」(以上、ACC社のジアゾニウム塩)、「ULTRASET(BF4,PF6)」(以上、旭電化工業社のジアゾニウム塩)、「UVEシリーズ」(以上、GE社のヨードニウム塩)、「Photoinitiator2074((C6F6)4B)」(以上、ローヌ・プーラン社のヨードニウム塩)、「CYRACURE UVI-6974」、「CYRACURE UVI-6990」(以上、UCC社のスルホニウム塩)、「UVI−508」、「UVI−509」(以上、GE社のスルホニウム塩)、「OPTOMER SP-150」、「OPTOMER SP-170」(旭電化工業社のスルホニウム塩)、「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」
(以上、三新化学工業社のスルホニウム塩)、「IRUGACURE 261」(チバガイギー社のメタロセン化合物)などが例示される。これらのカチオン重合開始剤は、単独でも、2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の接着剤組成物では、これらカチオン重合開始剤のなかでは、接着剤の貯蔵安定性、ポットライフ、硬化性の観点から、好ましくは、スルホニウム塩が推奨される。本発明の接着剤組成物に使用されるスルホニウム塩としては、下記構造式で示されるスルホニウム塩などが例示される。
Figure 2008169327
(ただし、R1、R2、R3は炭素原子数1〜12個のアルキル基を表す。)
Figure 2008169327
(ただし、R1、R2、R3は炭素原子数1〜12個のアルキル基を表す。)
Figure 2008169327
Figure 2008169327
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Figure 2008169327
これらのスルホニウム塩としては、メチルフェニルジメチルスルホニウムのヘキサフルオロアンチモン塩、エチルフェニルジメチルスルホニウムのヘキサフルオロアンチモン塩、メチルフェニルジメチルスルホニウムのヘキサフルオロホスフェート塩などが例示される。これらのスルホニウム塩は、単独でも、2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の接着剤組成物に使用されるスルホニム塩で上市されているスルホニウム塩としては、好ましくは、「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」(以上、三新化学工業社の製品)、「UVI−6990」、「UVI−6992」、「UVI−6974」(以上、ユニオンカーバイド社の製品)、「アデカオプトマーSP−150」、「アデカオプトマーSP−170」、「アデカオプトンCP−66」、「アデカオプトンCP−77」(以上、旭電化工業社の製品)、「IRGACURE 261」(チバガイギー社の製品)などが例示される。
本発明の接着剤組成物では、好ましくは、「サンエイドSI−15」、「サンエイドSI−30」「サンエイドSI−45」、「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」(以上、三新化学工業社の製品)などの特に熱硬化性に重点を置き設計されたカチオン重合開始剤が推奨される。
本発明の接着剤組成物では、「サンエイドSI−15」、「サンエイドSI−30」「サンエイドSI−45」、「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」(以上、三新化学工業社の製品)などのスルホニウム塩は、主として熱カチオン硬化反応に寄与し、接着剤組成物に十分に長いポットライフと、シャープな硬化特性を付与する。本発明の接着剤組成物では、スルホニウム塩は、特に、60℃以下、30分以内の低温短時間接着において、その機能を余すことなく発揮する。
本発明では、「サンエイドSI−15」、「サンエイドSI−30」「サンエイドSI−45」、「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」(以上、三新化学工業社の製品)などのスルホニウム塩が使用されるとき、接着剤に低温速硬化性が、より一層付与される傾向が見られ、熱変形温度の低いポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリプロピレン、炭素繊維強化プラスチックなどに特に好適に使用される。また、上記スルホニウム塩を使用することで、低温速硬化性が発揮されるだけでなく、硬化後の接着剤に未反応モノマー、オリゴマーの残存が少なくなる傾向が見られ、接着剤のゲル分率向上、アセトン抽出物低減と相まって接着剤の耐水性、耐塩水性、その他の耐薬品性が向上する傾向が見られる。さらに、熱硬化と光硬化を組み合わせることも可能であり、より機械的強度、化学的性質に優れた接着剤組成物の設計が可能となる場合が見られる。
本発明の接着剤組成物では、カチオン重合開始剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物の合計100重量部に対して、0.2〜10重量部、好ましくは0.3〜8重量部、より好ましくは0.5〜6重量部使用されるのが望ましい。カチオン重合開始剤の使用量が0.2重量部未満の場合には、硬化反応速度が遅く、十分な接着強度が発現されない場合が見られる。カチオン重合開始剤の使用量が10重量部を超える場合には、接着剤のポットライフが短くなり、ハンドリングが困難となる場合がある。また、接着剤が急速に硬化反応を起こす傾向が見られ、歪み、残留応力の発生により、接着性、耐衝撃性が悪化する場合がある。ここで、オキセタン化合物とは、下記構造式で示されるオキセタン化合物
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
を単独で使用する場合は、下記構造式で示されるオキセタン化合物
Figure 2008169327
(ただし、yは1〜3の整数を表す。)
をしめす。また、上記の構造式で示されるオキセタン化合物と、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ−[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン化合物の混合物を使用する場合は、両方のオキセタン化合物の混合物を示す。
本発明の接着剤組成物は、タルク、ベントナイト、モンモリロナイト、アルミナ、ケイ石粉、ガラス粉、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、グラスウール、炭素繊維などの補強、充填用フィラー類などを配合することができる。
配合されるフィラー(例えば、微粒子シリカなど)は、接着剤にチキソトロピー性を付与し作業性を向上し、あるいは架橋、補強点となり接着力を向上する場合がある。本発明の接着剤組成物は、カチオン反応で硬化反応が行われるため、配合されるフィラーとしては、表面電荷が中性〜酸性領域にあるものが推奨される。フィラーとしては、好ましくは、pHが3〜6程度のものが推奨される。
本発明の接着剤組成物は、液状の場合は、液状で被着体に塗布し、加熱硬化させ、接着物品を得ることができる。
また、本発明の接着剤組成物は、接着剤組成物を剥離可能な保護フィルム上に塗布し、Bステージを経た後、これを被着体に圧着した後、加熱硬化し接着物品を得ることもできる。接着剤組成物を剥離可能な保護フィルム上に塗布し、硬化させる場合は、好ましくは、10〜120℃で、好ましくは、10秒〜10分加熱し、Bステージ化させる。
さらにまた、被着体が光学フィルムなどの可視または紫外光線に対し透明性を有するものである場合には、本発明の接着剤組成物は、接着剤組成物を塗布した後に、可視光線または紫外線照射を行って接着物品を得ることができる。
本発明の接着剤組成物を用いた接着剤は、自動車、バイク、自転車部品用(構造)接着剤として、ゴルフクラブ、釣り竿などのレジャー、スポーツ用品用接着剤として、船舶、航空機用構造接着剤として、透明性の高い光学フィルム用として、その他、接着強度、接着剤の機械的性質、強靱性、耐水性などの耐薬品性が要求される用途に好適に適用されるものである。
以下、実施例を持って本発明を詳細に説明する。なお、実施例、比較例中、特に断りがなければ組成比は重量比を表す。また、接着の試験は以下に従い、実施した。
(1)接着試験
a)テストピースの作製 接着剤をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚100μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、特に断りがない場合は80℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力を測定した。
b)試験方法 A−2017Pアルミニウム板(サイズ;長さ50mm、幅25mm、厚さ2mm)を使用し、JIS K 6850(1999)(剛性被着材の引張剪断接着強さ試験方法)に準拠して行った。引張り速度は1.0mm/min.で行い、特に断りがない限り試験温度は23℃とした。
c)耐水性 (1)のa項で作製されたテストピースを1週間23℃で養生した後、80℃温水中に72時間浸漬した後、(1)のb項に従い接着試験を行った。
(2)接着剤の強伸度
a)テストピースの作製 接着剤をテフロン製型枠に膜厚2mm、型枠形状3号ダンベルに鋳込み、特に断りがない限り80℃で1時間加熱硬化させた。このテストピースを用い引っ張り試験を行った。
b)接着剤の引張り試験は、JIS K 7113(1995)(プラスチックの引張試験方法)に準拠して行った。引張り速度は300mm/min.とし、23℃で実施した。
実施例1
5Lプラネタリーミキサーに「エピコート 828」(ジャパンエポキシレジン社のビスフェノールA型エポキシ樹脂)800g、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)200gを仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った(ビスフェノールA型エポキシ樹脂/オキセタン化合物=80/20)。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物の混合物に、「サンエイド SI−60L」(三新化学工業社製のスルホニウム塩系カチオン硬化触媒)を20g添加し((ビスフェノールA型エポキシ樹脂+オキセタン化合物)/スルホニウム塩=100/2)、均一になるまでさらに攪拌、混合を行って接着剤(1)を製造した。
接着剤(1)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚100μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、80℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力の測定と耐水性試験を行った。
また、接着剤(1)を2mm厚に3号ダンベルテンプレートに鋳込み、80℃で1時間加熱硬化させたテストピースを用い引っ張り試験を行った。
試験結果を表1に示した。
実施例2
5Lプラネタリーミキサーに「エピコート 828」(ジャパンエポキシレジン社のビスフェノールA型エポキシ樹脂)800g、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)100g、「アロンオキセタン OXT−101」(東亞合成社のオキセタン化合物)100gを仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った(ビスフェノールA型エポキシ樹脂/オキセタン化合物=80/20)(「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)/「アロンオキセタン OXT−101」(東亞合成社のオキセタン化合物)=50/50)。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物の混合物に、「サンエイド SI−60L」(三新化学工業社製のスルホニウム塩系カチオン重合開始剤)を20g添加し((ビスフェノールA型エポキシ樹脂+オキセタン化合物)/スルホニウム塩=100/2)、均一になるまでさらに攪拌、混合を行って接着剤(2)を製造した。
接着剤(2)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚100μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、80℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力の測定と耐水性試験を行った。
また、接着剤(2)を2mm厚に3号ダンベルテンプレートに鋳込み、80℃で1時間加熱硬化させたテストピースを用い引っ張り試験を行った。
試験結果を表1に示した。
実施例3
5Lプラネタリーミキサーに「エピコート 828」(ジャパンエポキシレジン社のビスフェノールA型エポキシ樹脂)800g、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)200gを仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った(ビスフェノールA型エポキシ樹脂/オキセタン化合物=80/20)。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物の混合物に、「サンエイド SI−45」(三新化学工業社製のスルホニウム塩系カチオン重合開始剤)を20g添加し((ビスフェノールA型エポキシ樹脂+オキセタン化合物)/スルホニウム塩=100/2)、均一になるまでさらに攪拌、混合を行って接着剤(3)を製造した。
接着剤(3)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚100μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、60℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力の測定と耐水性試験を行った。
また、接着剤(3)を2mm厚に3号ダンベルテンプレートに鋳込み、60℃で1時間加熱硬化させたテストピースを用い引っ張り試験を行った。
試験結果を表1に示した。
実施例4
5Lプラネタリーミキサーに「エピコート 828」(ジャパンエポキシレジン社のビスフェノールA型エポキシ樹脂)800g、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)200g、ビニルベンジルグリシジルエーテル(VBGE)50gを仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った(ビスフェノールA型エポキシ樹脂/オキセタン化合物=80/20)((ビスフェノールA型エポキシ樹脂/オキセタン化合物)/VBGE=100/5)。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物、ビニルベンジルグリシジルエーテル(VBGE)の混合物に「サンエイド SI−45」(三新化学工業社製のスルホニウム塩系カチオン重合開始剤)を20g添加し((ビスフェノールA型エポキシ樹脂+オキセタン化合物)/スルホニウム塩=100/2)、均一になるまでさらに攪拌、混合を行って接着剤(4)を製造した。
接着剤(4)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚100μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、60℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力の測定と耐水性試験を行った。
また、接着剤(4)を2mm厚に3号ダンベルテンプレートに鋳込み、60℃で1時間加熱硬化させたテストピースを用い引っ張り試験を行った。
試験結果を表1に示した。
実施例5
5Lプラネタリーミキサーに「エピコート 828」(ジャパンエポキシレジン社のビスフェノールA型エポキシ樹脂)800g、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)200g、ビニルベンジルグリシジルエーテル(VBGE)50gを仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った(ビスフェノールA型エポキシ樹脂/オキセタン化合物=80/20)((ビスフェノールA型エポキシ樹脂/オキセタン化合物)/VBGE=100/5)。さらに、アクリル酸2ーエチルヘキシル(EHA)200g、「サイポマー β−CEA」10g(ローヌ・プーラン社のカルボキシル基含有アクリル単量体)を仕込み、均一になるまで、攪拌、混合を行った((ビスフェノールA型エポキシ樹脂/オキセタン化合物)/(EHA+「β−CEA」)=100/21)。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物、ビニルベンジルグリシジルエーテル(VBGE)、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)の混合物に、「サンエイド SI−60」(三新化学工業社製のスルホニウム塩系カチオン重合開始剤)を20g((ビスフェノールA型エポキシ樹脂+オキセタン化合物)/スルホニウム塩=100/2)、過酸化ベンゾイル4g(アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)の2%)を添加し、均一になるまでさらに攪拌、混合を行って接着剤(5)を製造した。
接着剤(5)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚100μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、80℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力の測定と耐水性試験を行った。
また、接着剤(5)を2mm厚に3号ダンベルテンプレートに鋳込み、80℃で1時間加熱硬化させたテストピースを用い引っ張り試験を行った。
試験結果を表1に示した。
実施例6
5Lプラネタリーミキサーに「エピコート 828」(ジャパンエポキシレジン社のビスフェノールA型エポキシ樹脂)800g、「アロンオキセタン OXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)200g、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(ECMA)50gを仕込み、均一になるまで攪拌、混合を行った(ビスフェノールA型エポキシ樹脂/オキセタン化合物=80/20)((ビスフェノールA型エポキシ樹脂/オキセタン化合物)/ECMA=100/5)。さらに、ジシクロペンテニルオキシメタクリレート(DCPMA)200gを仕込み、均一になるまで、攪拌、混合を行った((ビスフェノールA型エポキシ樹脂/オキセタン化合物)/DCPMA=100/20)。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキセタン化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(ECMA)、ジシクロペンテニルオキシメタクリレート(DCPMA)の混合物に、「サンエイド SI−60」(三新化学工業社製のスルホニウム塩系カチオン重合開始剤)を20g((ビスフェノールA型エポキシ樹脂+オキセタン化合物)/スルホニウム塩=100/2)、過酸化ベンゾイル4g(ジシクロペンテニルオキシメタクリレート(DCPMA)の2%)を添加し、均一になるまでさらに攪拌、混合を行って接着剤(6)を製造した。
接着剤(6)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚100μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、80℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力の測定と耐水性試験を行った。
また、接着剤(6)を2mm厚に3号ダンベルテンプレートに鋳込み、80℃で1時間加熱硬化させたテストピースを用い引っ張り試験を行った。
試験結果を表1に示した。
Figure 2008169327
接着剤1〜6は、全て、機械的強度、接着強度、耐水性試験後の接着強度において良好な結果が得られた。接着剤2は、「アロンオキセタン OXT−101」(東亞合成社のオキセタン化合物)を混合使用したことにより柔軟性が増し、伸び率の向上が見られた。接着剤3では、低温(60℃)で硬化反応を行った結果、カチオン重合特有の副反応が押さえられ、機械的強度、伸び率ともに改善された結果となった。接着剤4は、ビニルベンジルグリシジルエーテルだけを配合した場合のデータである。これだけでも、伸び率が上昇し、接着剤が強靱化されたことが伺われる。接着剤5は、接着剤4を、さらに柔らかいポリアクリル酸2−エチルヘキシルでIPN化した結果であり、伸び率が大きく向上し柔軟で機械的強度、接着力ともに十分な結果となった。接着剤5は、逆に、接着剤4を硬いポリジシクロペンタニルオキシメタクリレートでIPN化した結果であり、IPN化により、きわめて高い機械的強度、伸び率、接着力を示した。
比較例1
5Lプラネタリーミキサーに「エピコート 828」(ジャパンエポキシレジン社のビスフェノールA型エポキシ樹脂)1000g、「サンエイド SI−60L」(三新化学工業社製のスルホニウム塩系カチオン重合開始剤)を20g添加し(ビスフェノールA型エポキシ樹脂/スルホニウム塩=100/2)、均一になるまでさらに攪拌、混合を行って接着剤(7)を製造した。
接着剤(7)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚100μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、80℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力の測定と耐水性試験を行った。
また、接着剤(7)を2mm厚に3号ダンベルテンプレートに鋳込み、80℃で1時間加熱硬化させたテストピースを用い引っ張り試験を行った。
試験結果を表2に示した。
比較例2
5Lプラネタリーミキサーに「アロンオキセタンOXT−121」(東亞合成社のオキセタン化合物)1000g、「サンエイド SI−80L」(三新化学工業社製のスルホニウム塩系カチオン重合開始剤)を20g添加し(オキセタン化合物/スルホニウム塩=100/2)、均一になるまでさらに攪拌、混合を行って接着剤(8)を製造した。
接着剤(8)をアルミニウム板に均一に塗布し(膜厚100μm、塗布面積25mm×25mm)、さらに別のアルミニウム板を接着剤表面に圧着し、80℃で1時間、加熱硬化させた。このテストピースを用い剪断接着力の測定と耐水性試験を行った。
また、接着剤(8)を2mm厚に3号ダンベルテンプレートに鋳込み、80℃で1時間加熱硬化させたテストピースを用い引っ張り試験を行った。
試験結果を表2に示した。
Figure 2008169327
オキセタン化合物を含まない接着剤(7)は、薄膜での硬化性に欠け、接着力を示さなかった。また、オキセタン化合物だけの接着剤(8)は、簡単に被着体から剥離し、接着性は不十分なものであった。

Claims (3)

  1. 下記構造式で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、
    Figure 2008169327
    (ただし、xは0または1〜5の整数を表す。)
    下記構造式で示されるオキセタン化合物、
    Figure 2008169327
    (ただし、yは、1〜3の整数を表す。)
    および、カチオン重合開始剤を含む接着剤組成物。
  2. 接着剤組成物が、さらに、下記構造式のラジカル重合性単量体から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体
    Figure 2008169327
    Figure 2008169327
    (ただし、R1は、水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 2008169327
    (ただし、R2は、水素原子またはメチル基、R3は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。)
    を含む請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. カチオン重合開始剤がスルホニウム塩である請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物。
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