JP2015030748A - 接着剤組成物、その硬化物及び接合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 常温において素早く硬化することで部材を短時間で固定でき、その場合にも耐衝撃性に優れる接着剤組成物、その硬化物及びそれにより接合された接合体を提供する。
【解決手段】 エラストマー(A)が1〜30質量%、水酸基含有アクリル酸誘導体(B)が40〜99質量%、前記(B)以外の(メタ)アクリル系重合性単量体(C)が0〜59質量%、重合開始剤(D)及び還元剤(E)を含む接着剤組成物(ここで、各数値範囲は、前記(A)、(B)及び(C)の総量を100質量%としたときの各成分の含有割合を表す。)、この組成物を硬化してなる硬化物、並びにこの組成物により2つの被着体を接合してなる接合体。
【選択図】なし
【解決手段】 エラストマー(A)が1〜30質量%、水酸基含有アクリル酸誘導体(B)が40〜99質量%、前記(B)以外の(メタ)アクリル系重合性単量体(C)が0〜59質量%、重合開始剤(D)及び還元剤(E)を含む接着剤組成物(ここで、各数値範囲は、前記(A)、(B)及び(C)の総量を100質量%としたときの各成分の含有割合を表す。)、この組成物を硬化してなる硬化物、並びにこの組成物により2つの被着体を接合してなる接合体。
【選択図】なし
Description
本発明は、高速硬化性に優れる接着剤組成物、その硬化物及びそれにより接合された接合体に関する。
近年、工場における組立ラインにおいて、高効率化のために速硬化型の接着剤を用いることが多くなってきている。このような用途には加熱炉などの装置を用いずとも硬化可能な常温速硬化型の接着剤が適している。常温速硬化型の接着剤としては、二剤速硬化型エポキシ接着剤、シアノアクリレート系瞬間接着剤、第二世代アクリル系接着剤(以下、SGAという。)等が知られている。
二剤速硬化型エポキシ接着剤は、第一剤と第二剤を正確に計量して混合しなければ接着性能が著しく低下するので作業性が悪い。また、シアノアクリレート系瞬間接着剤は、その硬化物が硬く脆いために衝撃強度が低いので組立ラインなどで使用するには不向きである。
一方、SGAも二剤型ではあるが、第一剤と第二剤の配合比が二剤速硬化型エポキシ接着剤に比べて厳密ではなく、所定の配合比から少々外れた場合でも接着性能が大きく低下することがないので、作業性に優れている。また、SGAは衝撃強度や剥離強度が強いという利点を有する。さらに、SGAは常温で数分から数十分で硬化するため、常温速硬化型接着剤として電子部品、土木建築材料、自動車部材等の組立てにおいて使用されている。
近年、組立ラインの高効率化の観点から、上記のSGAの利点に加え、より速く硬化する高速硬化性SGAが求められている。高速硬化性を謳うSGAとして、例えば、特許文献1ではニトリルブタジエンラバーとメタアクリル系重合性単量体を用いた接着剤組成物が提案されている。また、特許文献2ではエラストマー成分と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いた接着剤組成物が提案されている。
しかし、本発明者の検討によれば、特許文献1及び2に具体的に開示されている接着剤組成物は硬化速度が十分ではないことが分かった。
本発明は、常温において素早く硬化することで部材を短時間で固定でき、その場合にも耐衝撃性に優れる接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明の要旨は(A)エラストマーが1〜30質量%、(B)水酸基含有アクリル酸誘導体が40〜99質量%、(C)(B)成分以外の(メタ)アクリル系重合性単量体が0〜59質量%、(D)重合開始剤、及び、(E)還元剤を含む接着剤組成物(ここで、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計は100質量%とする。)にある。
本発明の接着剤組成物は常温において素早く硬化することで部材を短時間で固定でき、その場合にも耐衝撃性に優れる。そのため当該組成物を用いると耐衝撃性に優れた接合体を短時間で製造することができる。
本発明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の総称であり、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の総称である。また、「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の総称であり、CH2=C(R)−C(=O)−(Rは水素原子又はメチル基)で表される官能基である。
・(A)成分
本発明の接着剤組成物(以下、本組成物という。)に含まれる(A)成分は、本組成物において粘度を調整するための成分である。また、この成分は接着剤組成物を硬化してなる硬化物(以下、本硬化物という。)の耐衝撃性を向上させるための成分である。(A)成分であるエラストマーとは、25℃でゴム弾性を有する高分子量体である。
本発明の接着剤組成物(以下、本組成物という。)に含まれる(A)成分は、本組成物において粘度を調整するための成分である。また、この成分は接着剤組成物を硬化してなる硬化物(以下、本硬化物という。)の耐衝撃性を向上させるための成分である。(A)成分であるエラストマーとは、25℃でゴム弾性を有する高分子量体である。
(A)成分としては、例えば、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムが挙げられる。これらは1種又は2種以上使用してもよい。(A)成分としては、(C)成分である(メタ)アクリル系重合性単量体との相溶性の点から、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムが好ましい。(A)成分の構造は、例えば、直鎖状、分岐鎖状、グラフト状、コア/シェル状が挙げられる。
本組成物における(A)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計に対して1〜30質量%であり、5〜25質量%が好ましい。(A)成分の配合量は多いほど本硬化物の耐衝撃性が高くなり、少ないほど本組成物の粘度が低下するので作業性が良好となる。
・(B)成分
本組成物に含まれる(B)成分は、本組成物に高速硬化性を付与するための成分である。(B)成分である水酸基含有アクリル酸誘導体とは、CH2=C(H)COOX(Xは水酸基を含む基)で表されるアクリル酸エステルである。
本組成物に含まれる(B)成分は、本組成物に高速硬化性を付与するための成分である。(B)成分である水酸基含有アクリル酸誘導体とは、CH2=C(H)COOX(Xは水酸基を含む基)で表されるアクリル酸エステルである。
(B)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、および、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートが挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用してもよい。(B)成分としては、本組成物の高速硬化性の点から2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
本組成物における(B)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計に対して40〜99質量%であり、45〜70質量%が好ましい。(B)成分の配合量は多いほど高速硬化性が向上し、少ないほど他の成分の特徴が顕著になる。
・(C)成分
(C)成分は(B)成分以外の(メタ)アクリル系重合性単量体、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、(B)成分以外のアクリル酸誘導体、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミド誘導体及びメタクリルアミド誘導体等である。本組成物において(C)成分は任意成分であり、本組成物の粘度を調整するための成分である。
(C)成分は(B)成分以外の(メタ)アクリル系重合性単量体、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、(B)成分以外のアクリル酸誘導体、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミド誘導体及びメタクリルアミド誘導体等である。本組成物において(C)成分は任意成分であり、本組成物の粘度を調整するための成分である。
(C)成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基含有メタクリレート;2−エチルヘキシルジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール変性(メタ)アクリレート;フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール変性(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のヘテロ環構造を有する(メタ)アクリル酸誘導体;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシラン;2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物等のリン酸エステル系重合性単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系重合性単量体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
(C)成分としては、(A)、(B)成分との相溶性の点から、(メタ)アクリル酸やメチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基含有メタクリレートが好ましく、接着強度の点から、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基含有メタクリレート;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシラン;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物等のリン酸エステル系重合性単量体が好ましい。
本組成物における(C)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計に対して0〜59質量%であり、0〜45質量%が好ましい。(C)成分の配合量は多いほど粘度が低下するので作業性が良好となり、少ないほど高速硬化性が向上する傾向がある。
本組成物に含まれるアクリル酸誘導体及びアクリル酸の総量は、高速硬化性の観点から多いほど好ましく、(B)成分及び(C)成分の総量に対して90質量%以上がより好ましい。ここでアクリル酸誘導体とは、(C)成分に該当する(B)成分以外のアクリル酸誘導体及び(B)成分を意味する。
・(D)成分
本組成物に含まれる(D)成分は、本接着剤組成物の硬化剤であり、(E)成分と反応してラジカルを発生する。(D)成分としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル、パーカーボネート挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用することができる。本組成物の硬化速度の点から、クメンハイドロパーオキサイドが好ましい。
本組成物に含まれる(D)成分は、本接着剤組成物の硬化剤であり、(E)成分と反応してラジカルを発生する。(D)成分としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル、パーカーボネート挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用することができる。本組成物の硬化速度の点から、クメンハイドロパーオキサイドが好ましい。
本組成物における(D)成分の含有量は、(A)〜(C)成分の合計量を100質量部としたとき、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部がさらに好ましい。(D)成分の含有量は多いほど硬化速度が速くなり、少ないほど(D)成分を含む第一剤の貯蔵安定性が良好となる。
・(E)成分
本組成物に含まれる(E)成分は、本接着剤組成物の硬化促進剤であり、(D)成分と反応してラジカルを発生する。(E)成分としては、例えば、遷移金属塩、チオ尿素化合物が挙げられる。遷移金属塩の具体例としては、バナジルアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルトが挙げられる。チオ尿素化合物の具体例としては、チオ尿素、エチレンチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジプロピルチオ尿素、N,N’−ジ−n−ブチルチオ尿素、N,N’−ジラウリルチオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、1−ベンゾイル−2−チオ尿素が挙げられる。反応性の点から、遷移金属塩が好ましく、バナジルアセチルアセトネートがより好ましい。
本組成物に含まれる(E)成分は、本接着剤組成物の硬化促進剤であり、(D)成分と反応してラジカルを発生する。(E)成分としては、例えば、遷移金属塩、チオ尿素化合物が挙げられる。遷移金属塩の具体例としては、バナジルアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルトが挙げられる。チオ尿素化合物の具体例としては、チオ尿素、エチレンチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジプロピルチオ尿素、N,N’−ジ−n−ブチルチオ尿素、N,N’−ジラウリルチオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、1−ベンゾイル−2−チオ尿素が挙げられる。反応性の点から、遷移金属塩が好ましく、バナジルアセチルアセトネートがより好ましい。
本組成物における(E)成分の含有量は、(A)〜(C)成分の合計量を100質量部としたとき、0.05〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部がさらに好ましい。(E)成分の含有量は多いほど硬化速度が速くなり、少ないほど(E)成分を含む第二剤の貯蔵安定性が良好となる。
・その他の成分
本組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)〜(E)成分以外のその他の成分(以下、その他の成分という。)を含んでもよい。その他の成分の具体例としては、ビニル系モノマー等のアクリル系以外のラジカル重合性単量体;酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、消泡剤、重合禁止剤、無機微粒子等の各種添加剤が挙げられる。
本組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)〜(E)成分以外のその他の成分(以下、その他の成分という。)を含んでもよい。その他の成分の具体例としては、ビニル系モノマー等のアクリル系以外のラジカル重合性単量体;酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、消泡剤、重合禁止剤、無機微粒子等の各種添加剤が挙げられる。
その他の成分としては、本硬化物の強度向上のために、加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤((D)成分以外の過酸化物、アゾ化合物等)、紫外線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等)を加えてもよい。
その他の成分としては、硬化時間を短縮するために、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジイソプロピル−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン等の第3級アミン化合物を加えてもよい。
その他の成分の含有量は、特に限定されないが、(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。その他の成分の含有量は多すぎると、本組成物の常温における高速硬化性、本硬化物の衝撃強度、本組成物を用いた接合体の耐衝撃性が損なわれる場合がある。
・接着剤組成物
本組成物は、(D)成分を含み(E)成分を含まない第一剤と(E)成分を含み(D)成分を含まない第二剤を混合して得られる。このような混合は、通常は接着直前に行われる。第一剤と第二剤は混合してから被着体に塗布してもよいが、本組成物は硬化速度が速いことから、第一剤を一方の被着体に塗布し、第二剤をもう一方の被着体に塗布して、第一剤と第二剤が混ざるように両者を圧着することが好ましい。
本組成物は、(D)成分を含み(E)成分を含まない第一剤と(E)成分を含み(D)成分を含まない第二剤を混合して得られる。このような混合は、通常は接着直前に行われる。第一剤と第二剤は混合してから被着体に塗布してもよいが、本組成物は硬化速度が速いことから、第一剤を一方の被着体に塗布し、第二剤をもう一方の被着体に塗布して、第一剤と第二剤が混ざるように両者を圧着することが好ましい。
第一剤と第二剤の組み合わせの具体例としては、(A)〜(C)成分の混合物に(D)成分を加えた第一剤と、(A)〜(C)成分の混合物に(E)成分を加えた第二剤との二剤型、(A)〜(C)成分の混合物に(D)成分を加えた第一剤と、(E)成分からなる第二剤との二剤型、(D)成分からなる第一剤と、(A)〜(C)成分の混合物に(E)成分が溶解した第二剤との二剤型が挙げられる。
本組成物の製造方法としては、(A)〜(C)成分を加熱混合することで相溶した後に、常温まで冷却し、第一剤に(D)成分、第二剤に(E)成分を混合する手法や、(A)〜(C)成分をプラネタリーミキサー等でせん断力を加えることで相溶した後、第一剤に(D)成分、第二剤に(E)成分を配合し、常温で混合する手法等が挙げられる。
本硬化物は、二剤を混合し、重合反応を起こすことにより得られる。また、本発明の接合体は、第一剤、第二剤を混合したものを被着体に塗布する接着方法や、第一剤、第二剤を別々に塗布した被着体を貼り合わせる接着方法などで得られる。また、先端で二剤を混合できるような構造を有する2剤型接着剤塗布機を用いることもできる。
本硬化物は、二剤を混合し、重合反応を起こすことにより得られる。また、本発明の接合体は、第一剤、第二剤を混合したものを被着体に塗布する接着方法や、第一剤、第二剤を別々に塗布した被着体を貼り合わせる接着方法などで得られる。また、先端で二剤を混合できるような構造を有する2剤型接着剤塗布機を用いることもできる。
以下、本発明を実施例により説明する。以下において、「部」は「質量部」を意味する。実施例及び比較例における高速硬化性と耐衝撃性の評価は、以下の方法で実施した。
(部材固定時間)
被着体である2枚のSPCC−SD(寸法:100mm×25mm×1.6mm)の一方に第一剤、他方に第二剤を、それぞれ被着体短辺端部から25mm以内の領域に等量塗布する。その後、被着面積が25mm×25mmとなるように各被着体の塗布面を、非塗布面が塗布面をはさんで相対するようにして重ねあわせ5秒間圧着して接合体を得る。その後すぐに片方の被着体を持って接合体の長軸方向が鉛直になるように持ち上げて、下側の被着体が自重でズレなくなるまでの時間を部材固定時間とし、以下の基準で評価した。なお、部材固定時間とは被着体同士を重ね合わせた時点を始期として計測した時間である。
良好(○):部材固定時間が30秒未満。
不良(×):部材固定時間が30秒以上。
被着体である2枚のSPCC−SD(寸法:100mm×25mm×1.6mm)の一方に第一剤、他方に第二剤を、それぞれ被着体短辺端部から25mm以内の領域に等量塗布する。その後、被着面積が25mm×25mmとなるように各被着体の塗布面を、非塗布面が塗布面をはさんで相対するようにして重ねあわせ5秒間圧着して接合体を得る。その後すぐに片方の被着体を持って接合体の長軸方向が鉛直になるように持ち上げて、下側の被着体が自重でズレなくなるまでの時間を部材固定時間とし、以下の基準で評価した。なお、部材固定時間とは被着体同士を重ね合わせた時点を始期として計測した時間である。
良好(○):部材固定時間が30秒未満。
不良(×):部材固定時間が30秒以上。
(耐衝撃時間)
部材固定時間の評価と同様にして得られた接合体の短辺が地面に接するように接合体を鉛直に立てて固定し、0.1kgの分銅を0.51mの高さから接合体の上端の短辺に衝突するように落下させる試験を、被着体同士を重ね合わせた時点から10秒後に実施した。このとき分銅の衝突による衝撃で被着体が剥がれ落ちなければ10秒を耐衝撃時間とし、剥がれ落ちれば接合体を製作し直して重ね合わせた時点から衝撃を加えるまでの時間を10秒長くして同様の試験を行うことを繰り返した。このようにして測定した耐衝撃時間を以下の基準で評価した。
良好(○):耐衝撃時間が60秒未満。
不良(×):耐衝撃時間が60秒以上。
部材固定時間の評価と同様にして得られた接合体の短辺が地面に接するように接合体を鉛直に立てて固定し、0.1kgの分銅を0.51mの高さから接合体の上端の短辺に衝突するように落下させる試験を、被着体同士を重ね合わせた時点から10秒後に実施した。このとき分銅の衝突による衝撃で被着体が剥がれ落ちなければ10秒を耐衝撃時間とし、剥がれ落ちれば接合体を製作し直して重ね合わせた時点から衝撃を加えるまでの時間を10秒長くして同様の試験を行うことを繰り返した。このようにして測定した耐衝撃時間を以下の基準で評価した。
良好(○):耐衝撃時間が60秒未満。
不良(×):耐衝撃時間が60秒以上。
[実施例1]
第一剤の製造:加熱冷却可能な反応容器に、(B)成分である2−ヒドロキシプロピルアクリレート50部、(C)成分である2−エチルヘキシルアクリレート30部、重合禁止剤であるBHT0.2部を加え、反応容器内の液を攪拌しながら、反応容器内に(A)成分であるMUX−IRを20部添加した。内容物を攪拌しながら徐々に加熱し、(A)成分が完全に溶解したことを確認した後、常温まで冷却し、(D)成分であるクメンハイドロパーオキサイド(化薬アクゾ(株)製、商品名:カヤクメンH)を5部加えた。(D)成分を攪拌して溶解し、第一剤を得た。
第一剤の製造:加熱冷却可能な反応容器に、(B)成分である2−ヒドロキシプロピルアクリレート50部、(C)成分である2−エチルヘキシルアクリレート30部、重合禁止剤であるBHT0.2部を加え、反応容器内の液を攪拌しながら、反応容器内に(A)成分であるMUX−IRを20部添加した。内容物を攪拌しながら徐々に加熱し、(A)成分が完全に溶解したことを確認した後、常温まで冷却し、(D)成分であるクメンハイドロパーオキサイド(化薬アクゾ(株)製、商品名:カヤクメンH)を5部加えた。(D)成分を攪拌して溶解し、第一剤を得た。
第二剤の製造:加熱冷却可能な反応容器に、(B)成分である2−ヒドロキシプロピルアクリレート48部、(C)成分である2−エチルヘキシルアクリレート28部、重合禁止剤であるBHT0.2部を加え、反応容器内の液を攪拌しながら、反応容器内に(A)成分であるMUX−IRを19部添加した。内容物を攪拌しながら徐々に加熱し、(A)成分が完全に溶解したことを確認した後、常温まで冷却し、さらに(C)成分であるリン酸エステル含有モノマーを5部、(E)成分として、バナジルアセチルアセトネート(新興化学工業(株)製)を1.5部加え、攪拌して溶解し、第二剤を得た。
このようにして製造した第一剤及び第二剤について、部材固定時間及び耐衝撃時間を評価し、結果を表1に示した。表1に第一剤、第二剤並びに第一剤と第二剤から得られる接着剤組成物の組成を示した。
[実施例2〜9および比較例1〜2]
第一剤、第二剤及び本組成物の組成を表1又は表2に示す組成とした以外は実施例1と同様にして、部材固定時間と耐衝撃時間を評価した。結果を表1及び表2に示した。
第一剤、第二剤及び本組成物の組成を表1又は表2に示す組成とした以外は実施例1と同様にして、部材固定時間と耐衝撃時間を評価した。結果を表1及び表2に示した。
実施例欄で使用した略語の意味は以下の通りである。
MUX−IR:n−ブチルアクリレート・ブタジエン・メチルメタクリレート等を共重して成るコアシェル型重合体(ユーエムジー・エービーエス(株)製、商品名:MUX−IR)
SX−006:シリコーン・アクリル複合ゴム(三菱レイヨン(株)製、商品名:SX−006)
C−201:(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名:C−201)
NBR:アクリロニトリルブタジエンゴム(JSR(株)製、商品名:JSR260S)
リン酸エステル含有モノマー:2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(日本化薬(株)製、商品名:KAYAMER PM−21)
BHT:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(本州化学(株)製、商品名:H−BHT)
MUX−IR:n−ブチルアクリレート・ブタジエン・メチルメタクリレート等を共重して成るコアシェル型重合体(ユーエムジー・エービーエス(株)製、商品名:MUX−IR)
SX−006:シリコーン・アクリル複合ゴム(三菱レイヨン(株)製、商品名:SX−006)
C−201:(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名:C−201)
NBR:アクリロニトリルブタジエンゴム(JSR(株)製、商品名:JSR260S)
リン酸エステル含有モノマー:2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(日本化薬(株)製、商品名:KAYAMER PM−21)
BHT:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(本州化学(株)製、商品名:H−BHT)
Claims (4)
- エラストマー(A)が1〜30質量%、
水酸基含有アクリル酸誘導体(B)が40〜99質量%、
前記(B)以外の(メタ)アクリル系重合性単量体(C)が0〜59質量%、
重合開始剤(D)及び
還元剤(E)を含む接着剤組成物。
(ここで、各数値範囲は、前記(A)、(B)及び(C)の総量を100質量%としたときの各成分の含有割合を表す。) - アクリル酸誘導体及びアクリル酸の含有量が前記(B)及び(C)の総量に対して90質量%以上である請求項1に記載の接着剤組成物。
- 請求項1又は2に記載の接着剤組成物を硬化してなる硬化物。
- 請求項1又は2に記載の接着剤組成物により2つの被着体を接合してなる接合体。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018012754A (ja) * | 2016-07-19 | 2018-01-25 | デンカ株式会社 | 接着剤組成物 |
JP2020026507A (ja) * | 2018-08-16 | 2020-02-20 | 三菱ケミカル株式会社 | 二剤型アクリル系接着剤組成物、それにより接合された接合体 |
WO2023054234A1 (ja) * | 2021-09-29 | 2023-04-06 | デンカ株式会社 | 組成物、接着剤及び接合体 |
-
2013
- 2013-07-31 JP JP2013159075A patent/JP2015030748A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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