JP2015174885A - 接着剤組成物及び接合体 - Google Patents

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和行 岡
Kazuyuki Oka
和行 岡
葉山 康司
Yasushi Hayama
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Abstract

【課題】 常温で短時間に部材を固定でき、その後の加熱によってより強固に部材を接着できる接着剤組成物を提供する。また、強固に接着された接合体を提供する。【解決手段】 グリシジル基を2つ以上含有し、(メタ)アクリロイル基を含まない化合物(A)、グリシジル基を1つ以上有する(メタ)アクリレート(B)、グリシジル基を含まない(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)、エポキシ樹脂硬化剤(D)、有機過酸化物(E)及び(E)成分を分解してラジカルを発生させることのできる還元剤(F)を含む接着剤組成物であり、前記(A)、(B)及び(C)成分の総量に対して、前記(A)成分が1〜70質量%、前記(B)成分が0.1〜30質量%、前記(C)成分が1〜70質量%である接着剤組成物、並びに2つの部材を前記接着剤組成物の硬化物を介して接合されている接合体。【選択図】 なし

Description

本発明は、接着剤組成物及び2つの部材が当該接着剤組成によって接合された接合体に関する。
近年、工場において部材を接合する工程を含む生産ラインでは、溶接で接合していた作業を効率化のために構造用接着剤を用いて接合することが多くなってきている。このような構造用接着剤としては、エポキシ系接着剤、第二世代アクリル系接着剤(以下、SGA)等が知られている。
エポキシ系接着剤は、接着力が高いという特長を有するが、接着に必要な時間が長いという問題がある。一方、SGAは、短時間で接着できるという特長を有するが、接着力が低いという問題がある。そのため、短時間で接着でき、接着強度が高い接着剤が望まれている。
このような接着剤として、特許文献1では、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤及び有機過酸化物からなるA剤と分子内に重合可能なエチレン性二重結合を1つ以上有する単量体を含むB剤からなる接着剤組成物が提案されている。この接着剤組成物は常温で重合硬化した後に加熱硬化する方法で接着を行う。また、特許文献2では、エポキシ樹脂とグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを含む接着剤組成物が提案されている。この接着剤組成物は加熱硬化する方法で接着を行う。
特開平5−105862号公報 特開2008−214620号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている接着剤組成物は加熱硬化後の接着力が不十分である。また、特許文献2に開示されている接着剤組成物は常温での硬化性が不十分で接着に時間がかかるという問題があった。
本発明は、常温で短時間に部材を固定でき、その後の加熱によってより強固に部材を接着できる接着剤組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、当該接着剤組成物を用いて強固に接着された接合体を提供することを目的とする。なお、常温とは接着剤分野で一般に解されているように接着を行う作業環境の室温近辺の温度のことである。
本発明の第1は、グリシジル基を2つ以上含有し、(メタ)アクリロイル基を含まない化合物(A)、グリシジル基を1つ以上有する(メタ)アクリレート(B)、グリシジル基を含まない(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)、エポキシ樹脂硬化剤(D)、有機過酸化物(E)及び(E)成分を分解してラジカルを発生させることのできる還元剤(F)を含む接着剤組成物であり、
前記(A)、(B)及び(C)成分の総量に対して、前記(A)成分が1〜70質量%、前記(B)成分が0.1〜30質量%、前記(C)成分が1〜70質量%である接着剤組成物(以下、本接着剤組成物)である。
前記接着剤組成物は、次の第一剤と第二剤からなる二剤混合型接着剤の両剤を混合して得られたものが好ましい。
第一剤:前記(E)成分を含み、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分を任意に含む単体又は組成物。
第二剤:前記(F)成分を含み、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分を任意に含む単体又は組成物。
ただし、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分は、前記第一剤及び第二剤の少なくとも一方に含まれる。
本発明の第2は、2つの部材が接着剤組成物の硬化物を介して接合されている接合体である。前記接着剤組成物の硬化物は、前記第一剤及び第二剤を混合して得られたものであることが好ましい。さらに前記接合体は、2つの部材を前記第一剤及び第二剤を混合して得られた接着剤組成物の硬化物を介して接合された後、当該硬化物を加熱して得られたものであることが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、常温で短時間に部材を固定でき、その後の加熱によってより強固に部材を接着できる。また、当該接着剤組成物を用いると、強固に接着された接合体を得ることができる。
実施例で部材固定時間を測定する際に2つの試験片を貼り合せて作成する接合体の模式図
本発明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び/又は「メタクリル」を示し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を示す。また、「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基」及び/又は「メタクリロイル基」を示し、CH=C(R)−C(=O)−(Rは水素原子又はメチル基)で表される官能基である。
[(A)成分]
(A)成分は、グリシジル基を2つ以上含有し、(メタ)アクリロイル基を含まない化合物で、本接着剤組成物の加熱により硬化し得る成分である。(A)成分は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、及びビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;環状脂肪族エポキシ樹脂;並びにポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂等が挙げられる。接着性の点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。(A)成分としては、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、二種類以上の化合物を併用してもよい。(A)成分は配合が容易になるので液状であることが望ましい。
(A)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の総量に対して1〜70質量%であり、30〜55質量%が好ましい。(A)成分の配合量は多いほど本接着剤組成物の熱硬化性が良好となり、少ないほど本接着剤組成物の粘度が低下するので取扱い易くなる。
[(B)成分]
(B)成分は、グリシジル基を1つ以上有する(メタ)アクリレートで、本接着剤組成物を硬化させたときに(A)成分と(C)成分の間で化学的に結合し、強固なネットワーク構造を形成することにより、本接着剤組成物の硬化物の靭性を高めるための成分である。(B)成分としては、グリシジル(メタ)アクリレートや4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシ樹脂アクリル酸付加物などの(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの内、本接着剤組成物の硬化性の点からアクリレートが好ましく、さらに接着性の点から4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルが好ましい。(B)成分としては、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、二種類以上の化合物を併用してもよい。
(B)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の総量に対して0.1〜30質量%であり、1〜20質量%が好ましい。(B)成分の配合量をこのような範囲内にすることで、硬化性が良好な接着剤組成物が得られる。
[(C)成分]
(C)成分はグリシジル基を含まない(メタ)アクリロイル基含有化合物で、(E)成分と(F)成分の混合により発生するラジカルによって硬化する成分である。
(C)成分としては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;2−エチルヘキシルジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール変性(メタ)アクリレート;フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール変性(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート;アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のヘテロ環構造を有する(メタ)アクリル酸誘導体;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシラン;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物等のリン酸エステル系重合性単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系重合性単量体等が挙げられる。
(C)成分としては、接着性の点から、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
(C)成分としては、硬化時間の点から、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基含有アクリレート;2−(メタ)アクリロイルオシエチルアシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物等のリン酸エステル系重合性単量体が好ましい。
(C)成分としては、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、二種類以上の化合物を併用してもよい。
(C)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の総量に対して1〜70質量%であり、30〜55質量%が好ましい。(C)成分の配合量は、多いほど常温での硬化速度が速くなり、少ないほど接着性能が良好となる傾向がある。
[(D)成分]
(D)成分は、エポキシ樹脂硬化剤であり、(A)成分を硬化させるための硬化剤である。ここでは、共硬化剤及び硬化促進剤も(D)成分に含める。
(D)成分としては、ジシアンジアミド、オルト−トリルビグアニド、フェニルビグアニド、パラ−クロロフェニルビグアニド、エチレンビスビグアニド塩酸塩、ウラリルビグアニド塩酸塩、フェニルビグアニドオキサレート等のジシアンジアミド系化合物;無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物;三フッ化ホウ素−アミン錯体;ベンジルメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチルテトラミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の三級アミン類;1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−メチルトリアゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノメチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)等のウレア化合物等が挙げられる。
本接着剤組成物の貯蔵安定性の点で潜在性硬化剤が好ましく、さらに硬化性の点からジシアンジアミド、オルト−トリルビグアニド、フェニルビグアニド、パラ−クロロフェニルビグアニド、エチレンビスビグアニド塩酸塩、ウラリルビグアニド塩酸塩、フェニルビグアニドオキサレート等のジシアンジアミド系と3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)等のウレア化合物がより好ましい。
硬化促進剤は表面が樹脂被覆されているマイクロカプセル型を用いることができる。
(D)成分としては、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、硬化剤と共硬化剤又は硬化促進剤との組み合わせなど二種類以上の化合物を併用してもよい。
(D)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の総量100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。(D)成分の配合量は、多いほど本接着剤組成物の加熱硬化の速度が速くなり、少ないほど貯蔵安定性が高くなる傾向がある。
[(E)成分]
(E)成分は有機過酸化物で、(F)成分と反応してラジカルを発生させ、(C)成分を硬化させる。(E)成分としては、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル、パーカーボネート等が挙げられる。本接着剤組成物の常温での硬化速度の点から、クメンハイドロパーオキサイドが好ましい。(E)成分としては、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、二種類以上の化合物を併用してもよい。
(E)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の総量100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部がより好ましい。(E)成分の配合量は、多いほど本接着剤組成物の硬化性が良好となり、少ないほど貯蔵安定性が良好となる。
[(F)成分]
(F)成分は(E)成分を分解してラジカルを発生させることができる還元剤であり、硬化促進剤とも呼ばれるものである。好ましい(F)成分としては、遷移金属塩、チオ尿素化合物、3級アミン化合物が挙げられる。
遷移金属塩の具体例としては、バナジルアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
チオ尿素化合物の具体例としては、チオ尿素、エチレンチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジプロピルチオ尿素、N,N’−ジ−n−ブチルチオ尿素、N,N’−ジラウリルチオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、1−ベンゾイル−2−チオ尿素等が挙げられる。
3級アミン化合物としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン;p−トルイジン、m−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン等のN,N−置換−p−トルイジン;4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド等の4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド;トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族アミン;ピリジン、フェニルモルホリン、ピペリジン等の環状アミン等が挙げられる。
(F)成分としては、反応性の点から遷移金属塩がより好ましく、バナジルアセチルアセトネートが特に好ましい。
(F)成分としては、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、二種類以上の化合物を併用してもよい。
(F)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の総量100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。(F)成分の含有量は、多いほど本接着剤組成物の硬化性が良好となり、少ないほど貯蔵安定性が良好となる。
[その他の成分]
本接着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(A)〜(F)以外の成分(以下、その他の成分)を含んでもよい。その他の成分の具体例としては、(B)成分、(C)成分以外のラジカル重合性化合物;酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、消泡剤、重合禁止剤、無機微粒子等の各種添加剤が挙げられる。
また、本接着剤組成物の粘度とその硬化物の耐衝撃性を調整する目的で、その他の成分としてエラストマーを加えても良い。エラストマーとは、常温でゴム弾性を有する高分子量体であり、例えば、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムが挙げられる。エラストマーの構造は、特に限定はされないが、直鎖状、分岐鎖状、グラフト状、コア/シェル状が挙げられる。エラストマーとしては、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、二種類以上の化合物を併用してもよい。
さらに、本接着剤組成物の硬化物の強度をより高めるために、(E)成分以外の過酸化物、アゾ化合物等の熱重合開始剤;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の光重合開始剤等の重合開始剤を加えてもよい。
その他の成分の含有量は、(A)〜(C)成分の総量100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
本接着剤組成物は、例えば、(E)成分と(F)成分とが別になるように各成分を二剤に振り分けて配合した二剤混合型接着剤の両剤を混合して得られる。ここでは、(E)成分が含まれる方を第一剤、(F)成分が含まれる方を第二剤と言うことにする。
つまり、第一剤は、(E)成分を含み、(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分を任意に含む単体又は組成物であり、第二剤は、(F)成分を含み、(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分を任意に含む単体又は組成物である。ただし、(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分は、第一剤及び第二剤の少なくとも一方に含まれる。
第一剤と第二剤の各成分の振り分け方の具体例としては、(A)〜(E)成分を含む第一剤と、(A)〜(C)成分及び(F)成分を含む第二剤に分ける方法、(A)〜(E)成分を含む第一剤と、(F)成分を含む第二剤に分ける方法、(D)及び(E)成分を含む第一剤と、(A)〜(C)成分及び(F)成分を含む第二剤に分ける方法、(A)、(B)、(D)及び(E)成分を含む第一剤と、(C)及び(F)成分を含む第二剤に分ける方法が挙げられる。
本接着剤組成物が、(A)、(B)、(D)及び(E)成分を含む第一剤と、(C)及び(F)成分を含む第二剤とからなる場合、第一剤の製造方法としては、(A)と(B)成分を加熱及び混合して液を均一にした後に、常温まで冷却し、さらに(D)と(E)成分を加えて混合する方法が例示できる。また、第二剤の製造方法としては、(C)成分を加熱及び混合して液を均一にした後に、常温まで冷却し、さらに(F)成分を加えて混合する方法が例示できる。
本発明の接合体は、2つの部材を請求項1又は2に記載の接着剤組成物の硬化物を介して接合されている接合体である。当該硬化物は、例えば、上記の第一剤と第二剤を混合して重合反応を起こすことで得られる。本発明の接合体は、(1)第一剤と第二剤を混合したものを一方の部材に塗布して、他方の部材と貼り合せる方法、(2)一方の部材に第一剤を、他方の部材に第二剤をそれぞれ塗布し、両部材の塗布面同士を貼り合わせる方法や、(3)第一剤を両方の部材に塗布し、それらの塗布面に第二剤を滴下して両部材の塗布面同士を貼り合せる方法又はこの方法で第一剤と第二剤を逆にする方法等で製造することができる。(1)の方法では、例えば、先端で二剤を混合できるような構造を有する二剤型接着剤塗布機を用いることができる。
本接着剤組成物を用いて常温で部材を貼り合せると、(E)成分と(F)成分が反応してラジカルが発生し、ラジカル重合性を有する(B)成分及び(C)成分が重合して本接着剤組成物が硬化する。本接着剤組成物ではこの重合硬化が短時間に起こるので、部材同士を短時間で接着することができる。(D)成分が潜在性硬化剤の場合、このようにして得られた本発明の接合体の本接着剤組成物の硬化物をさらに加熱すると、潜在性硬化剤が活性化するので、グリシジル基を有する(A)成分及び(B)成分の付加重合が起こり、部材同士をより強固に接着できる。
以下、本発明を実施例により説明する。以下において、「部」は「質量部」を意味する。実施例及び、比較例における常温での部材固定時間と加熱後せん断接着強さの評価は、以下の方法で実施した。
・部材固定時間
試験片としてSUS304製の板(1.6×25×100mm、50g)を2枚用意し、試験片の両方に第二剤0.5gを試験片短辺端部から25mm以内の領域に塗布し、そこに第一剤0.5gを滴下する。その後、被着面積が25mm×25mmとなるように2つの試験片を図1のように貼り合せる。貼り合せ部をクリップで5秒間圧着し、その後クリップを外して接合体を作成した。接合体の一方の試験片を持って接合体の長軸方向が鉛直になるように持ち上げる。そのとき、下側になった他方の試験片が自重でズレ落ちれば、圧着時間を5秒延ばす以外は上記と同様にして接合体を作製して再度試験を実施する。以降、下側の試験片がズレ落ちなくなるまでこの試験を繰り返し、下側の試験片がズレ落ちなくなったときの圧着時間を部材固定時間として、以下の基準で評価した。
○:部材固定時間が60秒未満で良好
×:部材固定時間が60秒以上で不良
・加熱後せん断接着強さ
部材固定時間の評価において最後に作成した接合体、すなわち下側の試験片がズレ落ちなくなったときの接合体を140℃の加熱炉中で30分間養生する。その後、加熱炉から取り出し、23℃環境下で1日静置して23℃まで冷却する。冷却された接合体の引張せん断接着力(単位:N)を引張試験機を用いて測定する。得られた引張せん断接着力を被着面積で除して、加熱後せん断接着強さ(単位:MPa)を算出し、以下の基準で評価した。
○:5MPa以上で良好
×:5MPa未満で不良
[実施例1]
冷却器を備えた反応容器に、(A)成分として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、商品名:JER828)70部、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名:メタブレンP1900)を15部、(B)成分として、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(日本化成(株)製、商品名:4−HBAGE)15部、重合禁止剤として、BHTを0.2部加え、反応容器内の液を60℃まで昇温し、攪拌した。液が均一になったことを確認した後、常温まで冷却し、(D)成分として、ジシアンジアミド(三菱化学(株)製、商品名:Dicy15)5部とトルエンビス(ジメチルウレア)(ピイティアイ・ジャパン(株)製、商品名オミキュア24)5部を加え、さらに(E)成分として、クメンハイドロパーオキサイド(化薬アクゾ(株)製、商品名:カヤクメンH)を5部加えた。(D)、(E)成分を常温にてホモディスパーで撹拌し、第一剤を得た。
冷却器を備えた反応容器にアクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン(株)製、商品名:Nipol1041)10部、(C)成分として2−ヒドロキシプロピルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、2−HPA)65部、2−エチルヘキシルアクリレート(三菱化学(株)製、2−EHA)30部、重合禁止剤として、BHT0.2部を加え、反応容器内の液を60℃まで昇温し、攪拌した。液が均一になったことを確認した後、常温まで冷却し、(C)成分として、リン酸エステル含有モノマー(日本化薬(株)製、商品名:KAYAMERPM−21)を5部、(F)成分として、バナジルアセチルアセトネート(新興化学工業(株)製)を1.5部加え、攪拌溶解し、第二剤を得た。
得られた第一剤と第二剤を用いて、部材固定時間と加熱後せん断接着強さを測定した。表1に第一剤、第二剤及び接着剤組成物の組成、並びに評価結果を示した。
[実施例2〜13及び比較例1〜2]
第一剤、第二剤及び接着剤組成物の組成を表1〜3に示す組成とした以外は実施例1と同様にして、第一剤、第二剤及び接着剤組成物、並びに接合体を製造し、評価結果を表1〜3に示した。
表1〜3中の語句は、以下の化合物を示す。
JER828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、商品名:JER828)
P1900:グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名:メタブレンP1900)
HBAGE:4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル
GMA:グリシジルメタクリレート
UVAC1561:エポキシ樹脂アクリル酸付加物(ダイセルオルネクス(株)製)
2−HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
リン酸エステル含有モノマー:2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(日本化薬(株)製、商品名:KAYAMERPM−21)
Dicy15:ジシアンジアミド(三菱化学(株)製)
オミキュア24:トルエンビス(ジメチルウレア)(ピイティアイ・ジャパン(株)製)
アミキュアMY−24:エポキシ樹脂−アミン化合物付加物(味の素(株)製)
BPO:ベンゾイルパーオキサイド(化薬アクゾ(株)製、商品名:BPO−50)
DMPT:N,N−ジメチル−p−トルイジン((株)三星化学研究所製)
NBR:アクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン(株)製、商品名:Nipol1041)
BHT:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(本州化学(株)製、商品名:H−BHT)
1:試験片
2:貼り合せ部
10:接合体

Claims (5)

  1. グリシジル基を2つ以上含有し、(メタ)アクリロイル基を含まない化合物(A)、グリシジル基を1つ以上有する(メタ)アクリレート(B)、グリシジル基を含まない(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)、エポキシ樹脂硬化剤(D)、有機過酸化物(E)及び(E)成分を分解してラジカルを発生させることのできる還元剤(F)を含む接着剤組成物であり、
    前記(A)、(B)及び(C)成分の総量に対して、前記(A)成分が1〜70質量%、前記(B)成分が0.1〜30質量%、前記(C)成分が1〜70質量%である接着剤組成物。
  2. 前記接着剤組成物が、次の第一剤と第二剤からなる二剤混合型接着剤の両剤を混合して得られたものである、請求項1記載の接着剤組成物。
    第一剤:前記(E)成分を含み、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分を任意に含む単体又は組成物。
    第二剤:前記(F)成分を含み、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分を任意に含む単体又は組成物。
    ただし、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分は、前記第一剤及び第二剤の少なくとも一方に含まれる。
  3. 2つの部材を請求項1又は2に記載の接着剤組成物の硬化物を介して接合されている接合体。
  4. 前記接着剤組成物の硬化物が、請求項2に記載の第一剤及び第二剤を混合して得られたものである請求項3に記載の接合体。
  5. 前記接合体が、2つの部材を請求項2に記載の第一剤及び第二剤を混合して得られた接着剤組成物の硬化物を介して接合された後、当該硬化物を加熱して得られたものである請求項4に記載の接合体。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021029045A1 (ja) * 2019-08-14 2021-02-18 昭和電工マテリアルズ株式会社 接着剤セット、構造体及びその製造方法

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