図1は、本発明の一実施形態である通信システム100の概略図である。
図示するように、通信システム100は、IP−PBX110と、バックアップ装置120A、120Bと、IP端末130A〜130Fと、を備えている。
そして、IP−PBX110、および、IP端末130A、130Bは、ハブ140Aを介して第一のLAN140Aに接続されており、バックアップ装置120A、および、IP端末130C、130Dは、ハブ140Bを介して第二のLAN140Bに接続されており、バックアップ装置120B、および、IP端末130E、130Fは、ハブ140Cを介して第三のLAN140Cに接続されている。
また、これらのLANに接続されている装置は、WAN160を介して、相互に情報の送受信を行うことができるようにされている。
以上のように構成されている通信システム100では、IP端末130A〜130Fは、IP−PBX110に接続して呼制御を受けることにより、他のIP端末130A〜130Fとの間で音声による通信を行うことができるようにされている。
図2は、IP−PBX110の概略図である。
図示するように、IP−PBX110は、記憶部111と、制御部112と、スイッチ部(以下、SW部という)113と、IF制御部114A、114B、114Cと、リモート保守用IF制御部115と、を備えている。
記憶部111は、変換情報記憶部111aと、保守情報記憶部111bと、を備えている。
変換情報記憶部111aには、通信システム100に接続されているIP端末130A〜130Fで呼制御を行うためのアドレスを特定する情報と、内線を特定する情報と、使用するインターフェースを特定する情報と、が記憶される。
例えば、本実施形態においては、変換情報記憶部111aには、図3(変換情報テーブル111cの概略図)に示すような変換情報テーブル111cが記憶される。
図示するように、変換情報テーブル111cは、拠点ID欄111dと、内線番号欄111eと、IPアドレス欄111fと、IFID欄111gと、を備えている。
拠点ID欄111dには、IP端末130A〜130F又はバックアップ装置120A、120Bが接続されるLAN毎に、当該LANを一意に識別するための識別情報が格納される。ここで、本実施形態においては、第一のLANを拠点A、第二のLANを拠点B、第三のLANを拠点Cとしているが、このような態様に限定されない。
内線番号欄111eには、各拠点に接続されるIP端末130A〜130F毎の内線番号が格納される。
IPアドレス欄111fには、内線番号欄111eに格納される内線番号により特定されるIP端末130A〜130FのIPアドレスが格納される。
例えば、本実施形態においては、IP端末130A〜130F毎にグローバルIPアドレスが割り当てられており、本欄には、当該グローバルIPアドレスが格納される。
なお、IPアドレス欄111fへのIPアドレスの格納は、後述するように、IP端末130A〜130FからIP−PBX110へのログインが実行された際に行われる。
IFID欄111gには、内線番号欄111eに格納される内線番号により特定されるIP端末130A〜130FがIP−PBX110に接続する際に使用するIF制御部114Aを特定するための情報が格納される。
ここで、本実施形態においては、IP−PBX110での効率的な呼制御を行うために、各々のIF制御部114A、114B、114Cに接続(収容)することができるIP端末130A〜130Fの数が制限されている。そして、本実施形態においては、各々のIF制御部114A、114B、114CにグローバルIPアドレスが割り当てられており、IP端末130A〜130F毎に、送信先とするグローバルIPアドレスが予め定められている。
図2に戻り、保守情報記憶部111bには、バックアップ装置120A、120B毎に、各バックアップ装置120A、120BでIP端末130A〜130Fを接続するIF制御部124A、124Bを内線番号毎に特定する情報と、各バックアップ装置120A、120Bに接続するためのIPアドレスを特定する情報と、が記憶される。
例えば、本実施形態においては、図4(書き換えテーブル111iの概略図)に示すような書き換えテーブル111iと、図5(バックアップ装置テーブル111lの概略図)に示すようなバックアップ装置テーブル111lと、が記憶される。
図4に示すように、書き換えテーブル111iは、内線番号欄111jと、IFID欄111kと、を備えており、各々のバックアップ装置120A、120B毎に生成されて記憶される。
内線番号欄111jには、各バックアップ装置120A、120Bが接続されているLANに接続されているIP端末130A〜130Fの内線番号が格納される。
IFID欄111kには、内線番号欄111jで特定されるIP端末130A〜130Fが、当該IP端末130A〜130Fが接続されているLANに設置されているバックアップ装置120A、120Bに接続する際のIF制御部124A、124Bを特定する情報が格納されている。
なお、本実施形態においては、バックアップ装置120A、120BはIP−PBX110のIF制御部114A〜114Cよりも少ない数のIF制御部124A、124Bしか備えないことにより、各拠点の規模に応じたバックアップ装置120A、120Bを使用することができるようにされている。従って、IP−PBX110におけるIF制御部114A〜114CのIFIDと、バックアップ装置120A、120BにおけるIF制御部124A、124BのIFIDと、は一致していないため、IP端末130A〜130Fがバックアップ装置120A、120Bに接続する際のIF制御部124A、124Bを特定する情報を各バックアップ装置120A、120B毎に格納しておく。
また、図5に示すように、バックアップ装置テーブル111lは、拠点ID欄111mと、装置ID欄111nと、IPアドレス欄111oと、を備えている。
拠点ID欄111mには、バックアップ装置120A、120Bが接続される各拠点を一意に識別するための情報が格納される。
装置ID欄111nには、拠点ID欄111mで特定される拠点に接続されるバックアップ装置120A、120Bを一意に識別するための情報が格納される。
IPアドレス欄111oには、拠点ID欄111mで特定されるバックアップ装置120A、120Bに設けられているリモート保守用IF制御部125に割り当てられているグローバルIPアドレスが格納される。
図2に戻り、制御部112は、主制御部112aと、呼制御部112bと、保守制御部112cと、を備えている。
主制御部112aは、IP−PBX110全体の処理を制御する。
特に、本実施形態においては、通信ネットワーク100に接続されているIP端末130A〜130Fから当該IP端末130A〜130Fの内線番号を特定したログイン要求を受け付け、ログイン要求(REGISTER)メッセージを受け付けたIP端末130A〜130Fに接続するためのIPアドレスを、ログイン要求の送信元IPアドレスから特定して、変換情報記憶部111aに記憶されている変換情報テーブル111cのIPアドレス欄111fに格納する。
呼制御部112bは、IP−PBX110における呼制御を行う。
具体的には、通信ネットワーク100に接続されているIP端末130A〜130Fから相手先の内線番号を特定した接続要求(INVITE)を後述するIF制御部114A〜114Cを介して受信した場合に、呼制御部112bは、変換情報記憶部111aに記憶されている変換情報テーブル111cの内線番号欄111eから相手先の内線番号に対応する行を特定し、特定した行におけるIPアドレス欄111fからIPアドレスを取得して、当該行におけるIFID111gで特定されるIF制御部114A〜114CにSW部113を介して接続要求を転送し、変換情報テーブル111cから取得したIPアドレスに送信する処理を制御する。
また、呼制御部112bは、接続要求の送信先であるIP端末130A〜130Fから応答(180Ringing、200OK)を受信した場合には、SW部113を介して、当該応答を接続要求の送信元であるIF制御部114A〜114Cに転送して、転送したIF制御部114A〜114Cから接続要求の送信元であるIP端末130A〜130Fに送信する処理を制御する。
そして、呼制御部112bは、接続要求の送信元であるIP端末130A〜130Fからの受信確認(ACK)を接続要求の送信先であるIP端末130A〜130FにSW部113を介して転送することで、IP端末130A〜130F同士の通話を可能にする。
保守制御部112cは、後述するバックアップ装置120A、120Bから変換情報の取得要求があった場合、または、IF制御部114A、114B、114C若しくはリモート保守用IF制御部115でエラーを検知した場合に、変換情報記憶部111aに記憶されている変換情報テーブル111cと、保守情報記憶部111bに記憶されている書き換えテーブル111iと、を各バックアップ装置120A、120Bにリモート保守用IF制御部115又はIF制御部114A、114B、114Cを介して送信する処理を制御する。
なお、各バックアップ装置120A、120Bでは、少なくとも拠点ID欄111dと、内線番号欄111eと、に格納されている情報が取得できればバックアップを行うことができるため、変換情報テーブル111cの全体を送る代わりに、少なくとも拠点ID欄111dと、内線番号欄111eと、に格納されている情報を送信するようにしてもよい。
SW部113は、呼制御部112bの指示に応じて、送信元のIF制御部114A、114B、114Cと、送信先のIF制御部114A、114B、114Cと、を接続するスイッチングを行う。
IF制御部114A、114B、114Cは、LANIF部114aと、障害監視部114bと、アドレス記憶部114cと、を備えている。
LANIF部114aは、LANを介して情報の送受信を行うためのインターフェースである。
障害監視部114bは、予め定められた時(定時毎、周期毎等)に、バックアップ装置120A、120Bとの間の通信における障害の有無を検知するためライフサイクルチェック用のチェックパケットを生成して、当該チェックパケットを後述するアドレス記憶部114cに記憶されているバックアップ装置120A、120BのIPアドレスにLANIF部114aを介して送信する制御を行う。
また、障害監視部114bは、チェックパケットへの応答が予め定められた時間内に受信されないときには、エラー通知を保守制御部112cに行う。
さらに、障害監視部114bは、LANIF部114aを介して、バックアップ装置120A、120Bから送信されてくるチェックパケットを受信した際に、応答パケットを生成して、LANIF部114aを介して返信する処理も制御する。
アドレス記憶部114cには、障害監視部114bで生成されたチェックパケットを送信するバックアップ装置120A、120BのIPアドレスが各々のバックアップ装置120A、120B毎に記憶される。
なお、本実施形態においては、バックアップ装置120A、120Bに設けられているIF制御部124A、124B及びリモート保守用IF制御部125に各々グローバルIPアドレスが割り当てられているため、アドレス記憶部114cには、バックアップ装置120A、120Bに割り当てられている全てのグローバルIPアドレスを記憶してもよく、また、任意のグローバルIPアドレスを格納してもよい。なお、一つのバックアップ装置120A、120Bに対して複数のグローバルIPアドレスを格納した場合には、優先的にチェックパケットを送信するアドレスを特定しておいてもよく、また、チェックパケットを送信する順番を特定しておいてもよい。
また、バックアップ装置120A、120BのIPアドレス及びポート番号については、予めIP−PBX110のオペレータが周知の入力手段を介して格納しておいてもよく、また、バックアップ装置120A、120Bより送信されてくるチェックパケットの送信元から取得するようにしてもよい。
リモート保守用IF制御部115は、LANIF部115aと、障害監視部115bと、アドレス記憶部115cと、を備えており、これらの構成については、IF制御部114A、114B、114Cと同様にされているため、説明を省略する。
以上のように構成されるIP−PBX110については、図9(コンピュータ180の概略図)に示すようなコンピュータ180により実現することが可能である。
コンピュータ180は、CPU(Central Processing Unit)181と、主メモリ182と、外部記憶装置183と、スロット184と、これらを連結するバス185と、スロット184に連結されるIF装置186と、を備えている。
そして、制御部112及びSW部113については、外部記憶装置183に記憶されている所定のプログラムを主メモリ182に読み出し、CPU181で実行することにより実現可能であり、記憶部111は、外部記憶装置183により実現可能であり、IF制御部114A〜114C及びリモート保守用IF制御部115は、IF装置186をスロット184に連結することにより実現可能である。
ここで、IF装置186については、CPU186aと、メモリ186bと、スロット用IF186cと、NIC186dと、を備えており、LANIF部114a、115aはNIC186dにより実現可能であり、障害監視部114b、115bはメモリ186bに記憶されている所定のプログラムをCPU186aで実行することにより実現可能である。なお、IF装置186は、スロット用IF186cを介してスロット184に取り付けられる。
また、上述したIP−PBX110については、コンピュータ180がプログラムを実行することにより実現されるものでなくてもよい。例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積ロジックICによりハード的に実行されるものであってもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウェア的に実行されるものであってもよい。
図6は、バックアップ装置120A、120Bの概略図である。
図示するように、バックアップ装置120A、120Bは、記憶部121と、制御部122と、スイッチ部(以下、SW部という)123と、IF制御部124A、124Bと、リモート保守用IF制御部125と、を備えている。
ここで、本実施形態におけるバックアップ装置120A、120Bは、当該バックアップ装置120A、120Bが接続されている拠点からIP−PBX110への通信に障害が生じた場合に、当該拠点内におけるIP端末130A〜130F間の通信を可能にするために使用されるものである。
記憶部121は、変換情報記憶部121aを備えている。
変換情報記憶部121aには、IP−PBX110から送信されてきた変換情報テーブル111c(図3参照)が変換情報テーブル121bとして記憶される。
ここで、本実施形態においては、IP−PBX110から送信されてきた変換情報テーブル111cを変換情報記憶部121aに記憶するようにしているため、図7(変換情報テーブル121bの概略図)に示すように、変換情報テーブル121bは、IP−PBX110における変換情報テーブル111cと同様に、拠点ID欄121cと、内線番号欄121dと、IPアドレス欄121eと、IFID欄121fと、を備えている。
ここで、拠点ID欄121c及び内線番号欄121dについては、IP−PBX110から送信されてきた変換情報テーブル111cに格納されている情報をそのまま使用するため、説明を省略する。
IPアドレス欄121eには、内線番号欄111eに格納される内線番号により特定されるIP端末130A〜130Fに接続するためのIPアドレスが格納される。
そして、本実施形態においては、バックアップ装置120A、120Bが接続されている拠点からIP−PBX110への通信に障害が生じた場合に、当該拠点内におけるIP端末130A〜130Fからのログイン要求(REGISTER)を受け付け、当該ログイン要求で使用された送信元のグローバルIPアドレスに置き換えて本欄121eに格納する。
IFID欄121fには、内線番号欄121dに格納される内線番号により特定されるIP端末130A〜130Fがバックアップ装置120A、120Bに接続する際に使用するIF制御部124A、124Bを特定するための情報が格納される。
ここで、本実施形態においては、IP−PBX110から送信されてきた書き換えテーブル111iに従って、当該書き換えテーブル111iの内線番号欄111jに格納されている内線番号に対応する内線番号が内線番号欄121dに格納されている行のIFID欄121gに、書き換えテーブル111iのIFID欄111kに格納されているIFIDが格納される。
図6に戻り、制御部122は、主制御部122aと、呼制御部122bと、バックアップ制御部(以下、BU制御部という)122cと、を備えている。
主制御部122aは、バックアップ装置120A、120B全体の処理を制御する。
特に、本実施形態においては、IP−PBX110との間の通信に障害が生じた場合に、バックアップ装置120A、120Bが接続されているLANに接続されているIP端末130A〜130Fから当該IP端末130A〜130Fの内線番号を特定したログイン要求を受け付け、ログイン要求を受け付けたIP端末130A〜130FのグローバルIPアドレスを、ログイン要求に含まれている送信元IPアドレスから特定して、変換情報記憶部121aに記憶されている変換情報テーブル121bのIPアドレス欄121eにいわゆる上書きして格納する。
なお、本実施形態におけるバックアップ装置120A、120Bは、バックアップ装置120A、120Bが接続されているLANに接続されているIP端末130A〜130F間の呼制御しか行わないため、主制御部122aは、変換情報記憶部121aに記憶されている変換情報テーブル121bのソート処理を行い、バックアップ装置120A、120Bが属する拠点に対応する行を検索の行いやすい位置、例えば、変換情報テーブル121bの先頭位置から並び替えることが望ましい。
呼制御部122bは、IP−PBX110との間の通信に障害が生じた場合に、バックアップ装置120A、120Bが接続されているLANに接続されているIP端末130A〜130F間の呼制御を行う。
具体的には、バックアップ装置120A、120Bが接続されているLANに接続されているIP端末130A〜130Fから相手先の内線番号を特定した接続要求(INVITE)を後述するIF制御部124A、124Bを介して受信した場合に、呼制御部122bは、変換情報記憶部121aに記憶されている変換情報テーブル121bの内線番号欄121dから相手先の内線番号に対応する行を特定し、特定した行におけるIPアドレス欄121eからグローバルIPアドレスを取得して、当該行におけるIFID121fで特定されるIF制御部124A、124BにSW部123を介して接続要求(INVITE)を転送し、変換情報テーブル121bから取得したグローバルIPアドレスに送信する処理を制御する。
また、呼制御部122bは、接続要求(INVITE)の送信先であるIP端末130A〜130Fから応答(180Ringing、200OK)を受信した場合には、SW部123を介して、当該応答を接続要求(INVITE)の送信元であるIF制御部124A、124Bに転送して、転送したIF制御部124A、124Bから接続要求(INVITE)の送信元であるIP端末130A〜130Fに送信する処理を制御する。
そして、呼制御部122bは、接続要求(INVITE)の送信元であるIP端末130A〜130FからのACKを接続要求(INVITE)の送信先であるIP端末130A〜130FにSW部123を介して転送することで、IP端末130A〜130F同士の通話を可能にする。
BU制御部122cは、予め定められた時(定時毎、周期毎等)に、リモート保守用IF制御部125を介して、IP−PBX110に変換情報の取得要求を送信して、その応答として、IP−PBX110から変換情報テーブル111cが送信されてきた場合に、受信した変換情報テーブル111cを変換情報記憶部121aに記憶する処理を制御する。
また、BU制御部122cは、IF制御部124A、124Bでエラーを検知したときに、呼制御部122bに処理を開始するための指令を出す。なお、当該指令を受けた呼制御部122bでは、呼制御を開始する。
SW部123は、呼制御部122bの指示により、送信元のIF制御部124A、124Bと、送信先のIF制御部124A、124Bと、を接続するスイッチングを行う。
IF制御部124A、124Bは、LANIF部124aと、障害監視部124bと、アドレス記憶部124cと、を備えている。
ここで、本実施形態においては、各バックアップ装置120A、120Bが接続されている拠点の規模、即ち、当該拠点に接続されるIP端末130A〜130Fを接続(収容)する数に応じたIF制御部124A、124Bを準備すれば足りるため、IF制御部124A、124Bの数は、IP−PBX110におけるIF制御部114A〜114Cの数よりも少なくてよく、特に、接続するIP端末130A〜130Fの数が比較的少ない拠点を多数設ける場合に、コストや保守の手間を大幅に削減することができる。
LANIF部124aは、LANを介して情報の送受信を行うためのインターフェースである。
障害監視部124bは、予め定められた時(定時毎、周期毎等)に、IP−PBX110との間における障害の有無を検知するためライフサイクルチェック用のチェックパケットを生成して、LANIF部124aを介して、後述するアドレス記憶部124cに記憶されているIP−PBX110のIPアドレスに当該チェックパケットを送信する処理を制御する。
また、障害監視部124bは、チェックパケットへの応答が予め定められた時間内に受信されないときには、エラー通知をBU制御部122cに行う。
さらに、障害監視部124bは、LANIF部124aを介して、IP−PBX110から送信されてくるチェックパケットを受信した際に、応答パケットを生成して、LANIF部124aを介して返信する処理も制御する。
アドレス記憶部124cには、障害監視部124bで生成されたチェックパケットを送信するIP−PBX110に送信するためのIPアドレスが記憶される。
なお、本実施形態においては、IP−PBX110に設けられているIF制御部114A〜114C及びリモート保守用IF制御部115に各々グローバルIPアドレスが割り当てられているため、アドレス記憶部124cには、IP−PBX110に割り当てられている全てのグローバルIPアドレスを記憶してもよく、また、任意のグローバルIPアドレスを格納してもよい。なお、複数のグローバルIPアドレスを格納した場合には、優先的にチェックパケットを送信するアドレスを特定しておいてもよく、また、チェックパケットを送信する順番を特定しておいてもよい。
ここで、IP−PBX110に送信するためのIPアドレスについては、予めバックアップ装置120A、120Bのオペレータが周知の入力手段を介して格納しておいてもよく、また、IP−PBX110より送信されてくるチェックパケットから取得するようにしてもよい。
リモート保守用IF制御部125は、LANIF部125aと、障害監視部125bと、アドレス記憶部125cと、を備えており、IF制御部124A、124Bと同様に構成されているため、説明を省略する。
以上のように構成されるバックアップ装置120A、120Bについては、図9に示すようなコンピュータ180により実現することが可能である。
例えば、制御部122及びSW部123については、外部記憶装置183に記憶されている所定のプログラムを主メモリ182に読み出し、CPU181で実行することにより実現可能であり、記憶部121は、外部記憶装置183により実現可能であり、IF制御部124A、124B及びリモート保守用IF制御部125は、IF装置186をスロット184に連結することにより実現可能である。
ここで、IF装置186については、CPU186aと、メモリ186bと、スロット用IF186cと、NIC186dと、を備えており、LANIF部124a、125aはNIC186dにより実現可能であり、障害監視部124b、125bはメモリ186bに記憶されている所定のプログラムをCPU186aで実行することにより実現可能である。なお、IF装置186は、スロット用IF186cを介してスロット184に取り付けられる。
また、上述したバックアップ装置120A、120Bについては、コンピュータ180がプログラムを実行することにより実現されるものでなくてもよい。例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積ロジックICによりハード的に実行されるものであってもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウェア的に実行されるものであってもよい。
図8は、IP端末130A〜130Fの概略図である。
図示するように、IP端末130A〜130Fは、音声処理部131と、RTP(Real Time Protocol)処理部132と、記憶部133と、呼制御部134と、ダイヤル制御部135と、障害監視部136と、LANIF部137と、ハンドセット138と、ダイヤル139と、を備えている。
音声処理部131は、ハンドセット138のマイク(図示せず)を介して入力された音声に対してサンプリング及び符号化を行い、音声信号としてRTP処理部132に送る。
また、音声処理部131は、RTP処理部132から送られてきた音声信号を復号化して、ハンドセット138のスピーカ(図示せず)に送る。
RTP処理部132は、RTPに従った処理を行う。
例えば、RTP処理部132は、音声処理部131から送られてきた音声信号をRTPパケット化し、このRTPパケットを、呼制御部134より通知されたIPアドレスを宛先としてLANIF部137へ送る。
また、RTP処理部132は、LANインターフェース部137より送られたRTPパケットから音声信号を復元し、これを音声処理部131に送る。
記憶部133には、第一の送信先としてIP−PBX110に送信するためのグローバルIPアドレス(自身であるIP端末130A〜130Fが接続を許可されているIF制御部114A〜114CのグローバルIPアドレス)が記憶されており、第二の送信先として自身であるIP端末130A〜130Fが接続されている拠点に設置されているバックアップ装置120A、120BのグローバルIPアドレス(自身であるIP端末130A〜130Fが接続を許可されているIF制御部124A、124BのグローバルIPアドレス)が記憶される。
呼制御部134は、呼制御を行う。
例えば、呼制御部134は、IP端末130A〜130Fのユーザからダイヤル139を介して送信先の内線番号が入力された場合には、入力された送信先の内線番号をダイヤル制御部135から受け取り、受け取った内線番号を格納した接続要求(INVITE)メッセージを生成し、LANIF部137を介してIP−PBX110(IP−PBX110との間の通信に障害が生じた場合にはバックアップ装置120A、120B)に送信する。
また、呼制御部134は、IP−PBX110(IP−PBX110との間の通信に障害が生じた場合にはバックアップ装置120A、120B)から、LANIF部137を介して、リクエストメッセージを受け取った場合には、IP−PBX110(IP−PBX110との間の通信に障害が生じた場合にはバックアップ装置120A、120B)に対して、レスポンスメッセージを送信する。
さらに、呼制御部134は、自身であるIP端末130A〜130Fの内線番号を格納したログイン(REGISTER)メッセージを、LANIF部137を介して、IP−PBX110(IP−PBX110との間の通信に障害が生じた場合にはバックアップ装置120A、120B)に対して送信する。
ダイヤル制御部135は、ダイヤル139から入力される信号の制御を行う。
障害監視部136は、予め定められた時(定時毎、周期毎等)に、IP−PBX110との間における障害の有無を検知するためライフサイクルチェック用のチェックパケットを生成して、LANIF部137を介して、IP−PBX110のグローバルIPアドレスに当該チェックパケットを送信する制御を行う。
そして、障害監視部136は、チェックパケットへの応答が予め定められた時間内に受信されないときには、エラー通知を呼制御部134に行い、当該エラー通知を受けた呼制御部134は、ログイン(REGISTER)メッセージを、LANIF部137を介して、バックアップ装置120A、120Bに送信する。
ログイン制御部136は、登録処理を行う。
例えば、ログイン制御部136は、自身であるIP端末130A〜130Fの内線番号を格納したログイン(REGISTER)メッセージを、LANIF部137を介して、IP−PBX110(IP−PBX110との間の通信に障害が生じた場合にはバックアップ装置120A、120B)に対して送信する。
LANIF部137は、LANを介して情報の送受信を行うためのインターフェースである。
図10は、以上のように構成される通信システム100において、通信に障害が発生した際における処理を示すシーケンス図である。
ここで、図10は、図1の拠点Bにおける処理を例にして説明するが、他の拠点についても同様な処理が行われる。
まず、バックアップ装置120Aの障害監視部124bは、LANIF部124aを介して、IP−PBX110に対してチェックパケットを送信する(S10)。
チェックパケットを受信したIP−PBX110では、障害監視部114bが応答パケットを生成して、LANIF部114aを介してバックアップ装置120Aに返信する(S11)。
バックアップ装置120Aは、予め定められた時間内にIP−PBX110からの応答パケットを受信した際には、障害監視部114bはそのまま待機する。
そして、バックアップ装置120AのBU制御部122cは、予め定められた時間が経過した場合には、リモート保守用IF制御部125を介して、IP−PBX110に対して、変換情報の取得要求を送信する(S12)。
変換情報の取得要求を受信したIP−PBX110では、保守制御部112cが、変換情報記憶部111aに記憶されている変換情報テーブル111cと、保守情報記憶部111bに記憶されている書き換えテーブル111iと、を取得し、リモート保守用IF制御部115を介してバックアップ装置120Aに返信する(S13)。
変換情報を受信したバックアップ装置120Aでは、変換情報テーブル111cのIFID欄111hに格納されているデータを、受信した書き換えテーブル111iに格納されているデータに書き換えて変換情報テーブル121bとして、変換情報記憶部121aに記憶する(S14)。
そして、予め定められた期間が経過することで、バックアップ装置120Aの障害監視部124bは、LANIF部124aを介して、IP−PBX110に対して再びチェックパケットを送信する(S15)。
ここで、この時、WAN160において障害が発生し、IP−PBX110から予め定められた期間内に応答パケットを受信しなかった場合には、バックアップ装置120Aの障害監視部124bは、エラー通知をBU制御部122cに行い、BU制御部122cは、呼制御部122bに処理を開始する指令を出し、呼制御部122bは処理を開始する(S16)。
また、IP端末130Cの障害監視部136も、定期的にIP−PBX110にチェックパケットを送信しており(S17)、WAN160に障害が生じている場合には、応答パケットを所定の期間内に受信することができないため、呼制御部134を介して、内線番号を特定して、バックアップ装置120Aにログイン要求(REGISTER)メッセージを送信する(S18)。
ログイン要求(REGISTER)メッセージを受信したバックアップ装置120Aでは、当該メッセージで特定された内線番号が格納されている変換情報テーブル121bの行におけるIPアドレス欄121eに、当該メッセージの送信元のIPアドレスを書き換えて格納する(S19)。
さらに、IP端末130Dの障害監視部136も、定期的にIP−PBX110にチェックパケットを送信しており(S20)、WAN160に障害が生じている場合には、応答パケットを所定の期間内に受信することができないため、呼制御部134を介して、内線番号を特定して、バックアップ装置120Aにログイン要求(REGISTER)メッセージを送信する(S21)。
ログイン要求(REGISTER)メッセージを受信したバックアップ装置120Aでは、当該メッセージで特定された内線番号が格納されている変換情報テーブル121bの行におけるIPアドレス欄121e及びポート番号欄121fに、当該メッセージの送信元のIPアドレスを書き換えて格納する(S22)。
以上のような処理を行うことにより、バックアップ装置120Aは、自身が接続されている拠点内における呼制御を行うことができるようになる。
例えば、ここでは、IP端末130CからIP端末130Dに内線番号により電話をかける場合を例に説明すると、まず、IP端末130Cのオペレータは、ダイヤル139を介して送信先であるIP端末130Dの内線番号を入力する。このような入力を受け付けたIP端末130Cでは、呼制御部134が、受け取った内線番号を格納したINVITEメッセージを生成し、LANIF部137を介してバックアップ装置120Aに送信する(S23)。
そして、INVITEメッセージを受信したバックアップ装置120Aでは、受信したINVITEメッセージから内線番号を特定し、特定した内線番号に対応する内線番号が格納されている変換情報テーブル121bの行を特定し、特定した行におけるIPアドレス欄121eからIPアドレスを取得して、当該行におけるIFID121fで特定されるIF制御部124A、124BにSW部123を介してINVITEメッセージを転送し(S24)、変換情報テーブル111cから特定したIPアドレスを宛先として送信する(S25)。
このようなINVITEメッセージを受信したIP端末130Dでは、呼制御部134が呼び出し応答(180Ringing)メッセージをバックアップ装置120Aに返信し(S26)、バックアップ装置120Aでは、SW部123を介して、IP端末130Cに当該呼び出し応答(180Ringing)メッセージを転送する(S27)。
そして、IP端末130Dのオペレータが、所定の処理を行うことで電話に応答した場合には、呼制御部134が成功応答(200OK)メッセージをバックアップ装置120Aに返信し(S28)、バックアップ装置120Aでは、SW部123を介して、IP端末130Cに当該成功応答(200OK)メッセージを転送する(S29)。
そして、IP端末130Cにおいて、成功応答(200OK)メッセージに対して受信確認(ACK)メッセージをバックアップ装置120Aに返信し(S30)、バックアップ装置120Aでは、SW部123を介して、IP端末130Dに当該受信確認(ACK)メッセージを転送することで(S31)、通話が開始される(S32)。
以上のように、本実施形態においては、拠点の規模に応じて、IF制御部114A〜114Cの数を減らすことができるため、バックアップ装置120A、120Bのコスト負担及び保守負担を減らすことができる。
以上に記載した実施形態においては、拠点の数を拠点A〜Cの三つにしているが、このような数に限定されるわけではなく、任意の数の拠点を設けることが可能である。また、各拠点に接続されるIP端末130A〜130Fの数についても任意の数を接続することが可能である。
また、以上に記載した実施形態においては、SIP(Session Initiation Protocol)による呼制御を行っているが、このような態様に限定されず他のプロトコルを用いることも可能である。
さらに、以上に記載した実施形態においては、IP−PBX110における呼制御部112bが、変換情報記憶部111aに記憶されている変換情報テーブル111cで、内線番号とIPアドレスの変換を行っているが、このような態様に限定されない。
例えば、変換情報記憶部111aに、図11(変換テーブル111c’の概略図)に示すような変換テーブル111c’を記憶しておき、呼制御部112bでは、内線番号からIFIDを特定して、特定したIFIDで識別されるIF制御部114AにSW部113を介して内線番号とメッセージを転送し、転送されたIF制御部114A〜114Cにおいて内線番号からIPアドレスの変換を行うようにすることも可能である。
このような場合には、IF制御部114A〜114Cにも呼制御部を設けておき、アドレス記憶部114cに、例えば、図12(変換テーブル114dの概略図)に示すような変換テーブル114dを記憶しておけばよい。なお、図12に示すような変換テーブル114dは、IP端末130A〜130Fからのログイン要求を受信した際にIPアドレスを受信して格納するようにすればよい。
また、例えば、図13(通信システム100の変形例を示す概略図)に示すように、各拠点内ではプライベートIPアドレスを用い、ルータ150を介してWANに接続するようにしている場合には、各装置で使用するプライベートIPアドレス及びポート番号を固定し、ルータにおいてもWAN側におけるグローバルIPアドレス及びポート番号と、LAN側のプライベートIPアドレス及びポート番号と、を固定的に変換するいわゆる静的NAT結合の技術を使用すればよい。
なお、この場合には、各装置に記憶するアドレス情報についてもIPアドレスとポート番号とをセットにして記憶しておけばよい。
また、以上に記載した実施形態においては、書き換えテーブル111iをIP−PBX110から受信しているが、このような態様に特定されず、自装置で使用する書き換えテーブル111iをバックアップ装置120A、120Bの記憶部111に予め記憶しておいてもよい。