JP4791708B2 - 電子部品実装用接着性樹脂材料及びそれを用いた電子デバイス並びに該電子部品実装用接着性樹脂材料の製造方法 - Google Patents

電子部品実装用接着性樹脂材料及びそれを用いた電子デバイス並びに該電子部品実装用接着性樹脂材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子部品実装用接着性樹脂材料、それを用いた電子デバイス及び電子デバイスの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ICなどを有する電子部品を回路基板に実装し、信頼性に優れる電子デバイスを与えることのできる異方導電性を有する電子部品実装用接着性樹脂材料、それを用いて得られた信頼性に優れる電子デバイス、及び前記の接着性樹脂材料を介して、ICチップをフリップチップ方式で簡易的に回路基板に実装し、信頼性に優れる電子デバイスを製造する方法に関するものである。
近年、ICチップは、電子機器分野や情報通信機器分野などにおいて、幅広く用いられている。そして、このICチップは、電子機器や情報通信機器の小型軽量化に伴い、その回路配線を多層化して集積度を上げると共に、厚さを薄くする方向に進んでいる。
ICチップの用途として、例えばRFID(無線認証)タグやICカードが知られている。前記ICカードは、一般にICチップ及びその関連部材、例えばアンテナ、チップコンデンサー、電池、電子回路などを搭載してなる基材シートにカバーシートを積層して一体化させ、該カバーシートの表面に、各種情報を表示するための印刷、磁気ストライプ、エンボスなどの加工を施したものであって、信号記録容量が大きく、かつ高セキュリティ性を有することから、クレジットカード、自動改札、IDカード、キャッシュカード、プリペードカードなどの分野において、従来の磁気カードに代わるカードとして、開発され、実用化されている。
これらのRFIDタグやICカードなどに用いられるICチップは、一般にフリップチップ方式により、異方導電性接着材料を介して該ICチップの接続電極と、高分子フィルムからなる基板の回路の接続端子とを簡易的に固着、接続する方法によって実装されている。
フリップチップ方式による実装方法は、ICチップ側と基板側の同じ位置にパッドを形成しておき、その間をバンプや異方導電性接着材料を介して接合する方法である。
前記の異方導電性接着材料とは、エポキシ樹脂などの樹脂中に、銀などの導電性粒子を練り込んでおき、圧力を加えられた方向には電流を通すが、他の方向に対しては絶縁材となるような材料である。このような異方導電性接着材料としては、フィルム状のものとペースト状のものが知られており、各種の材料が開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
回路基板とICチップ間に、前記異方導電性接着材料を挟み、上下方向に圧と熱を同時に加えると、パッド部分は隙間が狭いために導電性粒子によって上下に導通がとれる。しかしながら、このようにしてICチップが実装されたRFIDタグやICカードなどにおいては、誤作動を引き起こしたり、記録した情報が消却されることがあるなど、好ましくない事態をしばしば招来することがあった。
特開昭62−165886号公報 特許第3505886号公報
本発明者らは、従来の異方導電性接着材料を用い、フリップチップ方式でICチップを回路基板に実装してなるRFIDタグやICカードなどにおいて、誤作動を引き起こしたり、記録した情報が消却したりする原因について検討した結果、高分子フィルムのような光線が透過しやすい回路基板にICチップを実装してなるRFIDタグやICカードにおいては、該基板を透過した光によって、誤作動を引き起こしたり、特にEP−ROMやEEP−ROMを内蔵している場合には、該光によって記録した情報が消去されることがあるという知見を得た。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、ICなどを有する電子部品を回路基板に実装し、信頼性に優れる電子デバイスを与えることのできる異方導電性を有する電子部品実装用接着性樹脂材料、それを用いて得られた信頼性に優れる電子デバイス、及び前記の接着性樹脂材料を介して、簡易的に回路基板に実装し、信頼性に優れる電子デバイスを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、熱硬化性樹脂と、特定の粒径を有する導電性粒子と遮光性微粒子を、それぞれ所定の割合で含み、かつ特定の遮光性を有する接着性樹脂材料がその目的に適合し得ること、そしてこの接着性樹脂材料を介して、ICチップをフリップチップ方式で回路基板に実装することにより、信頼性に優れる電子デバイスが得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)(A)熱硬化性樹脂、(B)平均粒径1〜20μmの導電性粒子1〜40質量%及び(C)平均粒径が前記(B)成分の平均粒径に対して0.001〜0.2倍の範囲にある遮光性微粒子0.01〜10質量%を混合することにより接着性樹脂材料を調製し、該接着性樹脂材料を加熱して硬化膜とする方法において、該硬化膜が厚さ25μmの場合に、180〜2800nmの波長域における平均光線透過率が10%以下となるものであることを特徴とする電子部品実装用接着性樹脂材料の製造方法、
(2)接着性樹脂材料が異方導電性を有し、(A)成分の熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、(B)成分の導電性粒子が、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの金属の被覆層を有する樹脂粒子の中から選ばれる少なくとも1種であり、(C)成分の遮光性微粒子が、金、銀、銅、ニッケル、チタン、鉄、炭素、酸化鉄及び酸化チタンの中から選ばれる少なくとも1種である上記(1)項に記載の電子部品実装用接着性樹脂材料の製造方法、
(3)(A)熱硬化性樹脂、(B)平均粒径5〜15μmの導電性粒子1〜40質量%及び(C)該導電性粒子と物質が異なる遮光性微粒子であり、平均粒径が前記導電性粒子の平均粒径に対して0.002〜0.1倍の範囲にある遮光性微粒子0.01〜10質量%を含む接着性樹脂材料であって、かつ、該接着性樹脂材料を、加熱して厚さ25μmの硬化膜にした場合に、180〜2800nmの波長域における平均光線透過率が10%以下であることを特徴とする電子部品実装用接着性樹脂材料、
(4)接着性樹脂材料が異方導電性を有し、(A)成分の熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、(B)成分の導電性粒子が、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの金属の被覆層を有する樹脂粒子の中から選ばれる少なくとも1種であり、(C)成分の遮光性微粒子が、金、銀、銅、ニッケル、チタン、鉄、炭素、酸化鉄及び酸化チタンの中から選ばれる少なくとも1種であって、上記(A)成分及び(B)成分から選ばれた粒子が同一物質でない上記(3)項に記載の電子部品実装用接着性樹脂材料、及び
(5)上記(3)又は(4)項に記載の接着性樹脂材料を介して、ICチップをフリップチップ方式で回路基板に実装したことを特徴とする電子デバイス、
を提供するものである。
本発明によれば、ICなどを有する電子部品を回路基板に実装し、信頼性に優れる電子デバイスを与えることのできる異方導電性を有する電子部品実装用接着性樹脂材料を提供することができる。
また、本発明によれば、前記接着性樹脂材料を介して、ICチップをフリップチップ方式で簡易的に回路基板に実装することにより、信頼性に優れる電子デバイスを提供することができる。
本発明の電子部品実装用接着性樹脂材料(以下、単に接着性樹脂材料と称すことがある。)は、(A)熱硬化性樹脂と、(B)導電性粒子と、(C)遮光性微粒子を必須成分として含む材料である。
本発明の接着性樹脂材料における(A)成分の熱硬化性樹脂に特に制限はなく、従来電子部品分野において、接着性絶縁材料の熱硬化性樹脂として使用されているものの中から任意の樹脂を適宜選択して用いることができる。このような熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂、架橋性ポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、アリル化ポリフェニレンエーテル、カルボン酸及び/又は無水カルボン酸変性ポリフェニレンエーテル)などが挙げられるが、これらの中で、特にエポキシ樹脂が好ましい。
前記エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物であり、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などを用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのエポキシ樹脂は、一般にエポキシ用硬化剤を併用することにより、硬化反応を行うことができる。なお、前記エポキシ樹脂が、分子内に硬化反応に寄与する官能基を有する場合には、該エポキシ用硬化剤を併用しなくてもよい。
エポキシ用硬化剤に特に制限はなく、従来エポキシ樹脂の硬化剤として使用されているものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このエポキシ用硬化剤としては、例えばアミン系硬化剤やフェノール系硬化剤などが好ましく用いられる。アミン系硬化剤としては、ジシアンジアミドや、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミンなどの芳香族アミン等が好ましく用いられ、フェノール系硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂などが好ましく用いられる。これらのエポキシ用硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このエポキシ用硬化剤の使用量は、前記エポキシ樹脂100質量部当たり、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜15質量部の範囲である。
また、エポキシ用硬化促進剤を併用することもできる。エポキシ用硬化促進剤に特に制限はなく、従来エポキシ用硬化促進剤として使用されているものの中から、任意の化合物を適宜用いることができる。このエポキシ用硬化促進剤としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベシジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、三フッ化ホウ素アミン錯体、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどを例示することができる。これらのエポキシ用硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このエポキシ用硬化促進剤の使用量は、前記エポキシ樹脂100質量部当たり、通常0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜25質量部の範囲である。
当該接着性樹脂材料における(B)成分の導電性粒子としては、平均粒径が1〜20μmの範囲にあるものが用いられる。平均粒径が上記範囲にあれば、良好な異方導電性及び接着性を有する樹脂材料を得ることができる。好ましい平均粒径は5〜15μmの範囲である。
当該接着性樹脂材料中の導電性粒子の含有量は1〜40質量%の範囲で選定される。該導電性粒子の含有量が1質量%以上であれば、良好な導電性が得られ、また40質量%以下であれば、接着性も良好である。好ましい含有量は5〜35質量%であり、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。
この導電性粒子としては、導電性を有する粒子であればよく、特に制限されず、例えば金、銀、銅、ニッケル、あるいはこれらの金属の被覆層を有する樹脂粒子などを挙げることができる。前記金属の被覆層を有する樹脂粒子における母体樹脂粒子としては、例えばエチレン、プロピレン、スチレン、(メタ)アクリル酸エステルなどの単官能ビニル化合物と、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレートなどの多官能ビニル化合物との共重合体、硬化ポリウレタン樹脂、硬化エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの粒子が挙げられる。
前記樹脂粒子に、金、銀、銅、ニッケルなどの導電性金属を被覆する方法に特に制限はなく、従来公知の方法、例えば無電解メッキ法、スパッタリング法、真空蒸着法などを用いて、上記導電性金属の被覆層を設けることができる。
本発明においては、この(B)成分の導電性微粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該接着性樹脂材料における(C)成分の遮光性微粒子としては、平均粒径が、前記(B)成分の導電性粒子の平均粒径に対して、0.001〜0.2倍の範囲にあるものが用いられる。該遮光性微粒子の平均粒径が上記の範囲にあれば、良好な異方導電性及び接着性を損なうことなく、良好な遮光性を発揮する。この遮光性微粒子の好ましい平均粒径は、前記導電性粒子の平均粒径に対して、0.002〜0.1倍であり、特に0.005〜0.05倍の範囲が好ましい。
当該接着性樹脂材料中の遮光性微粒子の含有量は0.01〜10質量%の範囲で選定される。この含有量が上記の範囲にあれば、良好な異方導電性及び接着性を損なうことなく、良好な遮光性を発揮する。好ましい含有量は0.1〜8質量%であり、特に0.5〜6質量%の範囲が好ましい。
この遮光性微粒子としては、遮光性を有する微粒子であればよく、特に制限されず、例えば金、銀、銅、ニッケル、チタン、鉄などの金属、あるいは炭素、酸化鉄及び酸化チタンなどを用いることができる。これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の接着性樹脂材料は、厚さ25μmの硬化膜において、180〜2800nmの波長域における平均光線透過率が10%以下である。この平均光線透過率が10%を超えると十分な遮光性が得られず、当該接着性樹脂材料を介して、高分子フィルムを用いた回路基板にICチップを実装し、RFIDタグやICカードを作製した場合、該回路基板を透過する光によって、上記RFIDタグやICカードが誤作動を起こしやすく、また記録した情報が消去されることがある。前記平均光線透過率の好ましい値は5%以下である。なお、この平均光線透過率は、以下に示す方法により測定した値である。
<平均光線透過率の測定>
試料の接着性樹脂材料を、ガラスプレート上に硬化厚さが25μmとなるように塗布したのち、160℃の加熱炉に2時間投入して硬化フィルムを得、この硬化フィルムについて、島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計「UV−3100PC」を用い、180〜2800nm波長域の平均光線透過率を測定する。
本発明の接着性樹脂材料には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ難燃性化合物を含有させることができる。この難燃性化合物としては、臭素含有化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物などを用いることができるが、ハロゲンフリーのものが好ましく、例えば縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体などが好ましく用いられる。
本発明の接着性樹脂材料は、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び必要に応じて用いられる各種添加成分を混合することにより調製することができる。
当該接着性樹脂材料は、異方導電性を有し、ICなどを有する電子部品を回路基板に実装するのに用いることができる。使用形態としては、ペースト状、フィルム状のいずれであってもよい。フィルム状で用いる場合には、離型処理されたキャリアフィルム上に、当該接着性樹脂材料をそのまま又は適当な有機溶媒で希釈して塗工し、乾燥処理して未硬化フィルムを形成したのち、該キャリアフィルムから剥離することにより、フィルム状接着性樹脂材料を得ることができる。適当な有機溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メトキシプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、酢酸エチル、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミドなど、及びこれらの混合溶媒を用いることができる。
当該接着性樹脂材料を用いて、電子部品を回路基板に実装する方法として、本発明においては、フリップチップ方式(ICチップなどを裏返して直接取り付ける方式)を採用することができる。
本発明はまた、当該接着性樹脂材料を用い、電子部品を回路基板に実装してなる電子デバイス、及び当該接着性樹脂材料を介して、ICチップをフリップチップ方式で回路基板に実装することを特徴とする電子デバイスの製造方法をも提供する。
本発明の電子デバイスとしては、例えばRFIDタグやICカードなどを挙げることができる。
本発明の電子デバイス及びその製造方法において用いられる回路基板の形態としては特に制限はなく、その用途に応じて適宜選択される。例えば、回路基板がICカードに用いられるものである場合には、一般に絶縁性シート上にアンテナコイルと、ICチップなどの電子部品を搭載するための導電性薄膜からなる回路パターンとを有するものが用いられる。
上記絶縁性シートの種類としては、絶縁性であれば特に制限はなく、従来ICカード用の回路基板の絶縁性シートとして慣用されているものの中から、適宜選択して用いることができる。この絶縁性シートとしては、例えば紙や木質系材料、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などの合成樹脂などからなる絶縁性シートが挙げられるが、これらの中で、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートからなる可撓性シートが好ましい。また、絶縁性シートの厚さとしては、通常10〜500μm程度のものが用いられ、好ましくは25〜250μmのものが用いられる。
絶縁性シート上に、アンテナコイルを形成させる方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法、例えば絶縁被覆を施した導線を巻回してなる平板状の巻線コイルを埋め込む方法、導電性ペーストをシルクスクリーン印刷法などにより絶縁性シート表面に塗布し、アンテナコイルを形成させる方法、絶縁性シート表面に導電性薄膜を設け、リソグラフィー技術を用いるエッチング加工によりアンテナコイルを形成させる方法などを用いることができる。また、絶縁性シート上に導電性薄膜からなる回路パターンを形成させる方法としては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば絶縁性シート上に、銅箔又はアルミニウム箔などの導電性金属箔を貼着するか、あるいは蒸着や金属溶射などにより、銅薄膜又はアルミニウム薄膜などの導電性金属薄膜を設けたのち、例えばリソグラフィー技術を用いるエッチング加工により回路パターンを形成してもよいし、絶縁性シート上に、導電性ペーストをシルクスクリーン印刷法などにより塗布し、回路パターンを形成してもよい。
上記アンテナコイルや回路パターンを、導電性ペーストを用いる印刷法で形成させる場合、該導電性ペーストとしては、銀粉末などの金属粒子、バインダー樹脂、可塑剤、溶剤などを含有するものであり、特にバインダー樹脂として、基材シートと同種の樹脂を用いたものが、基材シートと同様な特性(熱膨張係数、収縮率など)を有するので好ましい。
本発明においては、このような回路基板に、ICチップ及び必要に応じて用いられるチップコンデンサーなどの電子部品を実装する。その実装方法としては、異方導電性を有する当該接着性樹脂材料を用い、フリップチップ方式により、実装する方法が採用される。
このようにして回路基板に実装されたICチップの少なくとも片面に、樹脂硬化層からなる保護層を形成させる。この保護層は、ICチップの上面及び回路基板の裏面のいずれにも形成させることができるが、一般には、ICチップ上面に形成される。
上記保護層を形成させる方法としては、例えばまず、該ICチップの少なくとも片面に、一般的には、ICチップの上面に、基材とその一方の面に設けられた硬化性樹脂層とからなる接着シートを、上記硬化性樹脂層が接するように圧着する。次に、そのままか、あるいは基材を剥離したのち、該硬化性樹脂層を、例えば加熱硬化させることにより、保護層を形成させる。基材を剥離せずにそのまま硬化させた場合には、硬化後に該基材を剥離する。このようにして、ICチップの上面に保護層を形成することができる。
図1は、ICチップを回路基板にフリップチップ方式で実装してなる電子デバイスの1例を示す模式図である。回路基板1側のパッド5aと、ICチップ2側のパッド5bを対向させ、該パッド5aと5b間に、当該接着性樹脂材料3を挟み、上から圧と熱を同時に加えることにより、該接着性樹脂材料3が硬化すると共に、パッド5aと5bの隙間が狭いために導電性粒子4によって上下に導通がとれる。なお、符号6は保護層である。
当該接着性樹脂材料3を、パッド5aと5b間に挟む方法としては、例えばペースト状の接着性樹脂材料を、回路基板1側のパッド5a上に塗布する方法、あるいはフィルム状の接着性樹脂材料を回路基板1側のパッド5aと、ICチップ2側のパッド5b間に介挿する方法などを用いることができる。
このようにして作製された本発明の電子デバイス、例えばRFIDタグやICカードは、誤作動や、記録された情報の消去などが抑制され、信頼性の高いものである。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られたRFIDタグの性能は、以下に示す方法により評価した。
(1)基本通信可能距離
RFIDタグ20枚を、マランツ社製「I−code−1」評価キットによって、該評価キットのアンテナからの平均通信距離を測定した。
(2)光照射時の通信可能距離
RFIDタグに、回路基板側から、60Wの白色灯を30cmの間隔をあけ、光線照射しながら、上記(1)と同様の測定方法によって、平均通信可能距離を測定した。
また、各例で得られた接着性樹脂材料の平均光線透過率は、明細書本文に記載されている方法に従って測定した。
実施例1
(1)接着性樹脂材料の調製
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂[油化シェルエポキシ社製、商品名「エピコート828」、エポキシ当量184〜194g/eq]30質量部と、グリシジルアミン型エポキシ樹脂[油化シェルエポキシ社製、商品名「エピコート630」、エポキシ当量90〜105g/eq]15質量部と、ノボラック型エポキシ樹脂[日本化薬社製、商品名「EOCN−102S」、エポキシ当量205〜217g/eq]5質量部とのエポキシ樹脂混合物を用い、これにエポキシ用硬化剤としてジシアンジアミド5質量部及びエポキシ用硬化促進剤として1,2−ジメチルイミダゾール10質量部を加え、均質に混合してエポキシ樹脂組成物とした。
次に、このエポキシ樹脂組成物77質量部と、平均粒径12μmのニッケル粒子からなる導電性粒子20質量部と平均粒径40nmの炭素粉末からなる遮光性微粒子A3質量部を混合し、接着性樹脂材料を調製した。
(2)RFIDタグの作製
横20mm、縦50mm、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、厚さ10μmのウレタン系接着剤層を介して、厚さ35μmの銅箔を貼合してなる基板を用い、200μmの線幅で11回周のコイル回路を形成した。
この回路基板に、フィリップ社製「I−code−1」RFID−ICを、九州松下社製「FB30T−M」フリップチップ実装機を用いて、上記(1)で得た接着性樹脂材料を実装部位に塗布し、実装を行った。なお、接着性樹脂材料の塗出量は、面積により管理し、0.4mm2の面積で塗布を行った。接着性樹脂材料の加熱温度はチップ下180℃、ICチップへの圧力は1.96Nとし、15分間の加圧・加熱時間で実装を行い、RFIDタグを作製した。評価結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1における接着性樹脂材料の調製を、エポキシ樹脂組成物79質量部と、ニッケル粒子からなる導電性粒子20質量部と、炭素粉末からなる遮光性微粒子A1質量部を混合して行った以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。評価結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1における接着性樹脂材料の調製を、エポキシ樹脂組成物77質量部と、ニッケル粒子からなる導電性粒子20質量部と、平均粒径200nmのチタン、酸化チタン焼結物からなる遮光性微粒子B3質量部を混合して行った以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。評価結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1における接着性樹脂材料の調製を、エポキシ樹脂組成物80質量部と、ニッケル粒子からなる導電性粒子20質量部を混合して行った以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。評価結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1における接着性樹脂材料の調製を、エポキシ樹脂組成物77質量部と、ニッケル粒子からなる導電性粒子20質量部と、平均粒径400nmのシリカ粉末C3質量部を混合して行った以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。評価結果を第1表に示す。
Figure 0004791708
第1表から分かるように、実施例のRFIDタグは、光照射時の通信可能距離が、基本通信可能距離とほとんど変わらないが、比較例のRFIDタグは、いずれも光照射時の通信可能距離が0cmである。
本発明の電子部品実装用接着性樹脂材料は、異方導電性を有し、ICなどを有する電子部品を回路基板に実装するのに用いられ、信頼性に優れる電子デバイス、例えばRFIDタグやICカードなどを与えることができる。特にフリップチップ方式の実装用として好適に用いられる。
ICチップを回路基板にフリップチップ方式で実装してなる電子デバイスの1例を示す模式図である。
符号の説明
1 回路基板
2 ICチップ
3 接着性樹脂材料
4 導電性粒子
5a、5b パッド
6 保護層

Claims (5)

  1. (A)熱硬化性樹脂、(B)平均粒径1〜20μmの導電性粒子1〜40質量%及び(C)平均粒径が前記(B)成分の平均粒径に対して0.001〜0.2倍の範囲にある遮光性微粒子0.01〜10質量%を混合することにより接着性樹脂材料を調製し、該接着性樹脂材料を加熱して硬化膜とする方法において、該硬化膜が厚さ25μmの場合に、180〜2800nmの波長域における平均光線透過率が10%以下となるものであることを特徴とする電子部品実装用接着性樹脂材料の製造方法。
  2. 接着性樹脂材料が異方導電性を有し、(A)成分の熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、(B)成分の導電性粒子が、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの金属の被覆層を有する樹脂粒子の中から選ばれる少なくとも1種であり、(C)成分の遮光性微粒子が、金、銀、銅、ニッケル、チタン、鉄、炭素、酸化鉄及び酸化チタンの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の電子部品実装用接着性樹脂材料の製造方法。
  3. (A)熱硬化性樹脂、(B)平均粒径5〜15μmの導電性粒子1〜40質量%及び(C)該導電性粒子と物質が異なる遮光性微粒子であり、平均粒径が前記導電性粒子の平均粒径に対して0.002〜0.1倍の範囲にある遮光性微粒子0.01〜10質量%を含む接着性樹脂材料であって、かつ、該接着性樹脂材料を、加熱して厚さ25μmの硬化膜にした場合に、180〜2800nmの波長域における平均光線透過率が10%以下であることを特徴とする電子部品実装用接着性樹脂材料。
  4. 接着性樹脂材料が異方導電性を有し、(A)成分の熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、(B)成分の導電性粒子が、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの金属の被覆層を有する樹脂粒子の中から選ばれる少なくとも1種であり、(C)成分の遮光性微粒子が、金、銀、銅、ニッケル、チタン、鉄、炭素、酸化鉄及び酸化チタンの中から選ばれる少なくとも1種であって、上記(A)成分及び(B)成分から選ばれた粒子が同一物質でない請求項3に記載の電子部品実装用接着性樹脂材料。
  5. 請求項3又は4に記載の接着性樹脂材料を介して、ICチップをフリップチップ方式で回路基板に実装したことを特徴とする電子デバイス。
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