JP2011074175A - 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線および半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)シアネート樹脂、および(B)アルミニウム錯体を必須成分とすること特徴とするシアネート樹脂組成物である。
【選択図】 なし
Description
特に薄型化の場合、基板自体の剛性が低いため、リフローで部品を接続する際に反りが問題となる。そのため、用いられる樹脂組成物の熱膨張率を下げ、ガラス転移温度を上昇させる方法が様々検討されている。
[1](A)シアネート樹脂、および(B)アルミニウム錯体を必須成分とすることを特徴とするシアネート樹脂組成物。
[2]前記(B)アルミニウム錯体は、3価のアルミニウム錯体である[1]項に記載のシアネート樹脂組成物。
[3]前記(B)アルミニウム錯体は、3価のアルミニウムアセトナート錯体である[1]または[2]項に記載のシアネート樹脂組成物。
[4]前記シアネート樹脂組成物は、さらに(C)エポキシ樹脂を含むものである[1]ないし[3]項のいずれかに記載のシアネート樹脂組成物。
[5]前記シアネート樹脂組成物は、さらに(D)無機充填材を含むものである[1]ないし[4]項のいずれかに記載のシアネート樹脂組成物。
[6]前記[1]ないし[5]項のいずれかに記載のシアネート樹脂組成物を基材に含浸させてなるプリプレグ。
[7][6]項に記載のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を有する積層板。
[8]前記[1]ないし[5]項のいずれかに記載のシアネート樹脂組成物よりなる絶縁層をフィルム上、又は金属箔上に形成してなる樹脂シート。
[9][6]項に記載のプリプレグ、[7]項に記載の積層板、および[8]項に記載の樹脂シートからなる群より選ばれる少なくとも1つを用いて作製されるプリント配線板。
[10][9]項に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
また、本発明のシアネート樹脂組成物は、優れた絶縁性を有することから、例えばプリント配線板の絶縁層に用いることができる。
さらに本願発明のシアネート樹脂組成物は、低線膨張であり、耐熱性、及び導体回路との密着性に優れることから、半導体装置のインターポーザとして用いることができる。
インターポーザは、マザーボードと同様に、半導体パッケージを実装する基板として用いても良いが、マザーボードと異なる特有の使用方法としては、パッケージ基板又はモジュール基板として用いられる。
このことによりプリント配線板等に用いられた場合、導体回路との密着性に優れる。
さらに、前記シアネート樹脂組成物は、(D)無機充填材を含んでいても良い。このことにより更に硬化物の熱膨張率を下げることができ、また弾性率を高くすることもできる。
・
前記プレポリマーは、通常、前記シアネート樹脂を加熱反応などにより、例えば3量化することで得られるものであり、樹脂組成物の成形性、流動性を調整するために好ましく使用されるものである。
前記プレポリマーは、特に限定されないが、例えば3量化率が20〜50重量%のプレポリマーを用いた場合、良好な成形性、流動性を発現できる。
これらの中でも、アセチルアセトナートが好ましい。
これら(C)エポキシ樹脂の中でも特に、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、吸湿半田耐熱性が向上し、ガラス転移温度が高くなる。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えばGPCで測定することができる。
本発明のプリプレグで用いる基材としては、例えばガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維基材、あるいはガラス以外の無機化合物を成分とする繊布又は不繊布等の無機繊維基材、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の有機繊維で構成される有機繊維基材等が挙げられる。これら基材の中でも強度、吸水率の点でガラス織布に代表されるガラス繊維基材が好ましい。
前記樹脂ワニス中の固形分は、特に限定されないが、前記シアネート樹脂組成物の固形分40〜85重量%が好ましく、特に65〜80重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの基材への含浸性を更に向上できる。
前記基材に前記シアネート樹脂組成物を含浸させ、所定温度、例えば80〜200℃で乾燥させることによりプリプレグを得ることができる。
前記シアネート樹脂組成物を用いた樹脂シートは、前記樹脂ワニスからなる絶縁層をキャリアフィルム、又は金属箔上に形成することにより得られる。
前記キャリアフィルムは、キャリアフィルムに絶縁層を形成するため、取扱いが容易であるものを選択することが好ましい。また、樹脂シートの絶縁層を内層回路基板面に積層後、キャリアフィルムを剥離することから、内層回路基板に積層後、剥離が容易であるものであることが好ましい。したがって、前記キャリアフィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂フィルムなどを用いることが好ましい。これらキャリアフィルムの中でも、ポリエステルで構成されるフィルムが最も好ましい。これにより、絶縁層から適度な強度で剥離することが容易となる。
また、プリプレグを2枚以上積層することもできる。プリプレグ2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。尚、積層板に用いる金属箔あるいはキャリアフィルムは、前記樹脂シートに用いるものを用いることができる。
前記加熱する温度は、特に限定されないが、150〜240℃が好ましく、特に180〜220℃が好ましい。
また、前記加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、特に2.5〜4MPaが好ましい。
具体的には、前記樹脂シート、またはプリプレグと内層回路基板とを合わせて、真空加圧式ラミネーター装置などを用いて真空加熱加圧成形させる。その後、熱風乾燥装置等で加熱硬化させることにより内層回路基板上に絶縁層を形成することができる。
ここで加熱加圧成形する条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度60〜160℃、圧力0.2〜3MPaで実施することができる。また、加熱硬化させる条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、時間30〜120分間で実施することができる。
ここで加熱加圧成形する条件としては、特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、圧力1〜4MPaで実施することができる。
次に、絶縁層に、炭酸レーザー装置を用いて開口部を設け、電解銅めっきにより絶縁層表面に外層回路形成を行い、外層回路と内層回路との導通を図る。なお、外層回路には、半導体素子を実装するための接続用電極部を設ける。
その後、最外層にソルダーレジストを形成し、露光・現像により半導体素子が実装できるよう接続用電極部を露出させ、ニッケル金メッキ処理を施し、所定の大きさに切断し、多層プリント配線板を得ることができる。
半導体装置は、上述した方法にて製造されたプリント配線板に半導体素子を実装し、製造することができる。半導体素子の実装方法、封止方法は特に限定されない。例えば、半導体素子と多層プリント配線板とを用い、フリップチップボンダーなどを用いて多層プリント配線板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプの位置合わせを行う。その後、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、多層プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。そして、多層プリント配線板と半導体素子との間に液状封止樹脂を充填し、硬化させることで半導体装置を得ることができる。
1.樹脂ワニスの調製
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)22.0重量%、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製 N−690)13.0重量%、無機充填剤として球状シリカ(平均粒子径1μm)65.0重量%、トリス(アセチルアセトナ−ト)アルミニウム0.11重量%に固形分が78%となるようにメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンと混合し、樹脂ワニスを得た。
上記により調製した樹脂ワニスを基材に含浸して、150℃で5分間乾燥させて、0.1mmのプリプレグを得た。
上記により作成したプリプレグの両面に厚み12μmの銅箔(三井金属製3EC−M3VLP)を重ねあわせて、220℃、3MPaで加熱加圧成型し、0.1mmの銅箔を両面に有する積層板を得た。
積層板の厚みは、0.4mmであった。
前記で得られた積層板に、0.1mmのドリルビットを用いてスルーホール加工を行った後、メッキによりスルーホールを充填した。さらに、両面をエッチングにより回路形成し、内層回路基板として用いた。前記内層回路基板の表裏に、前記で得られたプリプレグを重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaにて真空加熱加圧成形させた。これを、熱風乾燥装置にて170℃で60分間加熱し硬化させて、積層体を得た。
最後に回路表面にソルダーレジスト(太陽インキ社製PSR4000/AUS308)を厚さ20μm形成しプリント配線板を得た。
半導体装置の製造に用いるプリント配線板は、前記で得られたプリント配線板であって、半導体素子の半田バンプ配列に相当するニッケル金メッキ処理が施された接続用電極部を配したものを50mm×50mmの大きさに切断し使用した。半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.8mm)は、Sn/Pb組成の共晶で形成された半田バンプを有し、半導体素子の回路保護膜はポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製CRC−8300)で形成されたものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、多層プリント配線板上に加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂の硬化条件は、温度150℃、120分の条件であった。
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムを0.15重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムを0.06重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムの代わりにトリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムを0.14重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムの代わりにアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムを0.13重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムの代わりにトリス(8−キノリラト)アルミニウムを0.16重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
2,2'−ビス(4−シアナトフェニル)イソプロピリデン(ハンツマン株式会社製、B−40S、3量化率40%)22.0重量%、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製 N−690)13.0重量%、無機充填剤として球状シリカ(平均粒子径1μm)65.0重量%、トリス(アセチルアセトナ−ト)アルミニウム0.06重量%に固形分が78%となるようにメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンと混合し、樹脂ワニスを得た。
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムの代わりにトリス(アセチルアセトナート)コバルト(III)を0.12重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムの代わりにビス(アセチルアセトナート)亜鉛(II)を0.09重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムの代わりに塩化アルミニウムを0.11重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムの代わりに2−フェニルイミダゾール(日本合成化学社製)を0.09重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
前記評価は、以下の方法により行った。
前記で得られた両面に銅箔を有する積層板の銅箔を全面エッチングし、所定のサイズの試料を切り出し、DMA装置(TAインスツルメント社製DMA2980)を用いて5℃/分の割合で昇温しながら、周波数1Hzの歪みを与えて動的粘弾性の測定を行った。ガラス転移温度は、tanδが最大値を示す温度とした。
得られた積層板を50mm×50mmにグラインダーソーでカットした後、エッチングにより銅箔を1/4だけ残した試料を作製し、JIS C 6481に準拠して測定した。測定は、121℃、100%、2時間、PCT吸湿処理を行った後に、288℃の半田槽に30秒間浸漬した後で外観の異常の有無を調べた。
吸水率は、得られた積層板を50mm×50mmにグラインダーソーでカットした後、全面をエッチングしたサンプルで、JIS C 6481に準拠して測定した。測定は、130℃、2時間オーブン中で乾燥させた後の重量を測定し、121℃、100%、2時間吸湿処理を行った後に重量を測定し、その差を吸湿量として、吸水率を求めた。
前記実施例、及び比較例で得られた厚さ0.4mmの両面銅張積層板から100mm×20mmの試験片を作製し、23℃におけるピール強度を測定した。
尚、ピール強度の測定は、JIS C 6481に準拠して行った。
反応率は、DSC装置(TAインスツルメント社製示差走査熱量測定DSC2920)を用い測定することにより求めた。
未反応のシアネート樹脂組成物と、シアネート樹脂組成物の硬化物の双方についてDSCの反応による発熱ピークの面積を比較することにより、次式(I)により求めた。なお、測定は昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下で行った。
反応率(%)=(1−シアネート樹脂組成物の硬化物の反応ピークの面積/未反応のシアネート樹脂組成物の反応ピーク面積)×100(I)
ここで、未反応のシアネート樹脂組成物の硬化物の発熱ピークは、本発明の実施例および比較例の樹脂組成物からなるワニスを基材に含浸し、40℃で10分風乾後、40℃、1kPaの真空下、1時間で、溶剤を除去したものを試料として、DSC測定を行った際に得られた発熱ピークである。
シアネート樹脂組成物の硬化物の発熱ピークは、前記実施例および比較例の両面銅張積層板の銅箔をエッチングし、表面より樹脂を削り取ったものを試料としてDSC測定を行った際の発熱ピークである。
Claims (10)
- (A)シアネート樹脂、および(B)アルミニウム錯体を必須成分とすることを特徴とするシアネート樹脂組成物。
- 前記(B)アルミニウム錯体は、3価のアルミニウム錯体である請求項1に記載のシアネート樹脂組成物。
- 前記(B)アルミニウム錯体は、3価のアルミニウムアセトナート錯体である請求項1、または2に記載のシアネート樹脂組成物。
- 前記シアネート樹脂組成物は、さらに(C)エポキシ樹脂を含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載のシアネート樹脂組成物。
- 前記シアネート樹脂組成物は、さらに(D)無機充填材を含むものである(1)ないし(4)のいずれかに記載のシアネート樹脂組成物。
- 前記請求項1ないし5のいずれかに記載のシアネート樹脂組成物を基材に含浸させてなるプリプレグ。
- 請求項1に記載のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を有する積層板。
- 前記請求項1ないし5のいずれかに記載のシアネート樹脂組成物よりなる絶縁層をフィルム上、又は金属箔上に形成してなる樹脂シート。
- 請求項6に記載のプリプレグ、請求項7に記載の積層板、および請求項8に記載の樹脂シートからなる群より選ばれる少なくとも1つを用いて作製されるプリント配線板。
- 請求項9に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
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