JP2018029146A - 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018029146A
JP2018029146A JP2016161037A JP2016161037A JP2018029146A JP 2018029146 A JP2018029146 A JP 2018029146A JP 2016161037 A JP2016161037 A JP 2016161037A JP 2016161037 A JP2016161037 A JP 2016161037A JP 2018029146 A JP2018029146 A JP 2018029146A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermosetting resin
resin composition
resin
layer
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016161037A
Other languages
English (en)
Inventor
忠相 遠藤
Tadasuke Endo
忠相 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP2016161037A priority Critical patent/JP2018029146A/ja
Publication of JP2018029146A publication Critical patent/JP2018029146A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)

Abstract

【課題】半導体パッケージの反りの抑制とSAP特性が両立したビルドアップ層が得られる熱硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、プリント配線基板のビルドアップ層を構成する絶縁層を形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物を85℃/85%で吸湿させたときの初期から5分後までの初期吸湿速度が0.15%/分以下であり、硬化物のDMAのtanδピークから求められるガラス転移温度が250℃以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置に関する。
これまでのプリント配線基板に用いる絶縁層を形成するための樹脂組成物においては、接続信頼性の観点から、誘電率を低く抑える様々な開発が行われてきた。この種の技術として、たとえば特許文献1に記載の樹脂組成物が挙げられる。同文献によれば、膨潤性マイカや合成ヘクトライトを使用して、100℃の沸騰水中に1時間放置した後の、樹脂組成物の硬化物の吸水率を所定値以下とすることにより、吸水による電気特性の変化を抑制でき、誘電率を低減できると記載されている(特許文献1の段落0041)。この樹脂組成物の硬化物の実施例において、上記吸湿率は1.1%以下であったが、ガラス転移温度は高くても125℃であった(特許文献1の実施例1から4)。
特開2004−176031号公報
しかしながら、近年の配線の微細化がますます進んできている。こうした開発環境を踏まえ、本発明者が検討したところ、上記文献に記載の樹脂組成物をビルドアップ層に利用した場合、半導体パッケージの反りの抑制とセミアディティブプロセス(SAP)特性の両立の点で改善の余地を有していることが判明した。
通常、微細配線形成にSAP法を用いる場合、薬液によるデスミア処理が行われている。このようなデスミア処理は、例えば、膨潤液により樹脂表面の膨潤処理を施した後、アルカリ溶液により粗化処理を行い、続いて中和処理を行う方法が利用される。
本発明者は、薬液によるデスミア処理を利用した場合において、プリント配線基板におけるビルドアップ層のSAP特性について検討したところ、詳細なメカニズムは定かではないが、デスミア処理によるビルドアップ層の膨潤の抑制とSAP特性の向上との間に強い相関関係があることを見出した。
このような相関関係に着眼して検討を進めた結果半導体パッケージの反りの抑制と、85℃/85%で吸湿させたときの初期から5分後までの初期吸湿速度という指標を利用することにより、ビルドアップ層中への膨潤液の浸透速度を評価できることが判明した。そして、この初期吸湿速度を所定値以下とすることにより、ビルドアップ層中の膨潤量を低減することができ、SAP特性を向上させることができることが分かった。
一方で、ビルドアップ層のガラス転移温度を高める観点から、ビルドアップ層である熱硬化性樹脂組成物の硬化物の架橋密度を高める手法が考えられる。
しかしながら、一般的なアミン系硬化剤やフェノール系硬化剤を用いて硬化させた場合、高架橋密度の硬化物において、高吸水性を発現する傾向があった。
これに対して、本発明者は、上記指標に基づいて、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる熱硬化性樹脂の種類を適切に選択すること等により、高いガラス転移温度を維持しつつも、初期吸湿速度を低減することができるため、半導体パッケージの反りの抑制とSAP特性とを両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
プリント配線基板のビルドアップ層を構成する絶縁層を形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、
当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物を85℃/85%で吸湿させたときの初期から5分後までの初期吸湿速度が0.15%/分以下であり、
前記硬化物のDMAのtanδピークから求められるガラス転移温度が250℃以上である、熱硬化性樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、
キャリア基材と、
前記キャリア基材上に設けられている、上記熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜と、を備える、キャリア付樹脂膜が提供される。
また本発明によれば、
上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備える、プリント配線基板が提供される。
また本発明によれば、
上記プリント配線基板と、
前記プリント配線基板の回路層上に搭載された、または前記プリント配線基板に内蔵された半導体素子と、を備える、半導体装置が提供される。
本発明によれば、半導体パッケージの反りの抑制とSAP特性が両立したビルドアップ層が得られる熱硬化性樹脂組成物、それを用いたキャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置が提供される。
本実施形態におけるキャリア付樹脂膜の構成の一例を示す断面図である。 本実施形態における半導体装置の製造プロセスの一例を示す工程断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物において、85℃/85%で吸湿させたときの初期から5分後までの初期吸湿速度が0.15%/分以下であり、当該硬化物のDMAのtanδピークから求められるガラス転移温度が250℃以上である。このような熱硬化性樹脂組成物は、プリント配線基板におけるビルドアップ層を形成するために用いられるものである。
本実施形態において、ビルドアップ層上に回路を形成する場合、配線の微細化の観点から、薬液によるデスミア処理を利用したSAP法を用いることができる。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、このようなセミアディティブプロセス用(SAP法用)の熱硬化性樹脂組成物として利用することができる。
本発明者は、薬液によるデスミア処理を利用した場合において、プリント配線基板におけるビルドアップ層のSAP特性について検討した。その結果、詳細なメカニズムは定かではないが、デスミア処理によるビルドアップ層の膨潤を抑制することにより、SAP特性の向上を向上させることができ、これらの間に強い相関関係があることが見出された。
このような相関関係について鋭意検討した結果、次のような知見が判明した。
(i)通常のデスミア処理における膨潤処理の時間は5分から10分程度であること。
(ii)膨潤液は水溶液であるため、吸湿速度を低減することにより、ビルドアップ層中への膨潤液の浸透速度を低減できること。
(iii)吸湿条件を適切に制御することにより、膨潤処理時におけるビルドアップ層の膨潤状態を評価することができること。
上記の(iii)について具体的に説明する。85℃/85%の吸湿条件を採用した場合、ビルドアップ層における吸水率について経時変化を測定した結果は、測定開始から5分後から徐々に飽和し当該吸水率の変化が小さくなることが判明した。さらに上記(i)(ii)を踏まえると、このような測定開始後から飽和するまでの、初期における吸水率の経時変化が大きい状態を指標として採用することにより、ビルドアップ層中への膨潤液の浸透速度を適切に評価できる。上記の指標を具体的に検討した結果、85℃/85%で吸湿させたときの初期から5分後までの初期吸湿速度を採用することで、膨潤処理時におけるビルドアップ層の膨潤状態を安定的に評価することができる。
さらに初期吸湿速度について鋭意検討した結果、当該初期吸湿速度を0.15%/分以下とすることにより、ビルドアップ層中の膨潤量を低減することができ、ビルドアップ層のSAP特性を向上させることができる。
これに対して、上記特許文献1に記載の吸水率は、100℃の沸騰水中に1時間放置した後の吸湿条件で測定されている。同文献に記載の吸水率の測定条件は、本実施形態のようにビルドアップ層中への膨潤液の浸透速度を評価するものではない。
一方、一般的にビルドアップ層のガラス転移温度を高める観点から、ビルドアップ層である熱硬化性樹脂組成物の硬化物の架橋密度を高める手法が考えられる。
しかしながら、エポキシ樹脂を硬化させた場合、硬化物の架橋密度が高くなるにつれて、自由体積が大きくなることや、エポキシ樹脂の開環反応で発生する2級水酸基の増加により、高吸水性を発現する傾向があった。この場合、ビルドアップ層中の膨潤量が増大し、SAP特性であるめっき密着性が低下することがあった。
これに対して、本発明者は、上記指標に基づいて、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる熱硬化性樹脂の種類を適切に選択すること等により、高いガラス転移温度を維持しつつも、上記の初期吸湿速度を低減できることを見出すに至った。
すなわち、本実施形態においては、たとえば熱硬化性樹脂組成物を構成する成分の種類や配合割合をそれぞれ適切に選択すること等により、熱硬化性樹脂組成物の硬化物において、上記初期吸湿速度および上記ガラス転移温度を所望の範囲内とすることができる。これらの中でも、たとえば、一般的なアミン系硬化剤やフェノール系硬化剤を使用しないこと、ナフタレン骨格やジシクロペンタジエン骨格などの低吸水性を示す骨格を有する熱硬化性樹脂を使用すること、多官能の熱硬化性樹脂を使用すること等が、上記初期吸湿速度および上記ガラス転移温度を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物によれば、SAP法に最適に用いることができるビルドアップ層を実現でき、このビルドアップ層の半導体パッケージの反りの抑制とSAP特性とを両立できる。本実施形態において、SAP特性とは、デスミア処理後における回路層の表面粗さが小さいこと、ビルドアップ層と回路層とのめっき密着性が高いことを示す。SAP特性を向上させることにより、高密度回路を形成することができるとともに、接続信頼性を高めることができる。
本実施形態において、プリント配線基板における絶縁層は、コア層、ビルドアップ層(層間絶縁層)、ソルダーレジスト層等のプリント配線基板を構成する絶縁性部材が挙げられる。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、これらの中でも、ビルドアップ層に用いられるものである。
また、上記プリント配線基板としては、コア層、ビルドアップ層(層間絶縁層)、ソルダーレジスト層を有するプリント配線基板、コア層を有しないプリント配線基板、パネルパッケージプロセス(PLP)に用いられるコアレス基板、MIS(Molded Interconnect Substrate)基板等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜の硬化物は、上記ビルドアップ層に用いられるものであり、例えば、コア層を有しないプリント配線基板におけるビルドアップ層、PLPに用いられるコアレス基板のビルドアップ層、MIS基板のビルドアップ層、等に用いることもできる。このように、本実施形態の樹脂膜の硬化物は、複数の半導体パッケージを一括して作成するために利用される大面積のプリント配線基板において、当該プリント配線基板を構成するビルドアップ層にも好適に用いることができる。
本実施形態の樹脂膜の硬化物を絶縁層に利用することにより、実装温度における線膨張係数を低減できるため、大面積のパネルサイズパッケージを製造するパネルレベルプロセス中において、パネル(コアレス基板)の反りや、実装時における基板反りを抑制することができる。また、得られる半導体パッケージの反りを十分に抑制することができる。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、ビルドアップ層中の絶縁膜やプライマー層として利用することができる。
本実施形態におけるビルドアップ層が、絶縁膜およびプライマー層の2層を含むことができる。この場合、プライマー層の下地層となる絶縁膜に、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を使用することができる。これにより、プライマー層側からデスミア処理されたときに、下地層におけるデスミア耐性を向上させることができるので、ビルドアップ層のSAP特性を一層向上させることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、熱硬化性樹脂と、無機充填材と、を含むことができる。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、めっきプロセス用のプライマー層に用いることができる。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、めっき層の下地となる絶縁膜に用いることができる。
(熱硬化性樹脂)
上記熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂を含有してもよい。
本実施形態におけるエポキシ樹脂としては、下記に示す第1エポキシ樹脂と、第1エポキシとは異なる種である第2エポキシ樹脂が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記第1エポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂等の多官能ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、第1エポキシ樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格、ナフタレン骨格、ナフチレン骨格などの低吸水性を示す骨格を有するエポキシ樹脂と、これらの骨格を有する多官能エポキシ樹脂と、を含むことが好ましい。
上記第2エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4'−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4'−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4'−シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上とそれらのプレポリマーとを併用してもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱化学社製の「エピコート828EL」および「YL980」等を用いることができる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、三菱化学社製の「jER806H」および「YL983U」、DIC社製の「EPICLON 830S」等を用いることができる。2官能ナフタレン型エポキシ樹脂としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」および「HP4032SS」等を用いることができる。4官能ナフタレン型エポキシ樹脂としては、DIC社製の「HP4700」および「HP4710」等を用いることができる。ナフトール型エポキシ樹脂としては、新日鐵化学社製の「ESN−475V」、日本化薬社製の「NC7000L」等を用いることができる。アラルキル型エポキシ樹脂としては、日本化薬社製の「NC3000」、「NC3000H」、「NC3000L」、「NC3000S」、「NC3000S−H」、「NC3100」、新日鐵化学社製の「ESN−170」、および「ESN−480」等を用いることができる。ビフェニル型エポキシ樹脂としては、三菱化学社製の「YX4000」、「YX4000H」、「YX4000HK」および「YL6121」等を用いることができる。アントラセン型エポキシ樹脂としては、三菱化学社製の「YX8800」等を用いることができる。ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂としては、DIC社製の「HP6000」、「EXA−7310」、「EXA−7311」、「EXA−7311L」および「EXA7311−G3」等を用いることができる。
エポキシ樹脂の含有量の下限値は、熱硬化性樹脂組成物全体(溶媒を除く全固形分)100重量%に対して、3重量%以上が好ましく、4重量%以上がより好ましく、5重量%以上がさらに好ましい。エポキシ樹脂の含有量が上記下限値以上であると、ハンドリング性が向上し、樹脂膜を形成するのが容易となる。一方、エポキシ樹脂の含有量の上限値は、熱硬化性樹脂組成物全体(溶媒を除く全固形分)に対して、特に限定されないが、例えば、60重量%以下が好ましく、45重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。エポキシ樹脂の含有量が上記上限値以下であると、得られるプリント配線基板の強度や難燃性が向上したり、プリント配線基板の線膨張係数が低下し、反りの低減効果が向上したりする場合がある。
なお、熱硬化性樹脂組成物の全固形分とは、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる溶剤を除く成分全体を指す。以下、本明細書において同様である。
例えば、プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも、第1エポキシ樹脂を含有してもよく、第1エポキシ樹脂および第2エポキシ樹脂を含有してもよい。
また、絶縁膜形成用の熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも、第1エポキシ樹脂を含有してもよく、第1エポキシ樹脂および第2エポキシ樹脂を含有してもよい。それぞれの第1エポキシ樹脂や第2エポキシ樹脂は、互いに同種でも異なっていてもよい。
(無機充填材)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、無機充填材を含むことができる。
上記無機充填材としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。
これらの中でも、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、シリカが特に好ましい。無機充填材としては、これらの中の1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記無機充填材の平均粒子径の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.01μm以上としてもよく、0.05μm以上としてもよい。これにより、上記熱硬化性樹脂のワニスの粘度が高くなるのを抑制でき、絶縁層作製時の作業性を向上させることができる。また、無機充填材の平均粒子径の上限値は、特に限定されないが、例えば、5.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.0μm以下がさらに好ましい。これにより、上記熱硬化性樹脂のワニス中における無機充填材の沈降等の現象を抑制でき、より均一な樹脂膜を得ることができる。また、プリント配線基板の回路寸法L/Sが20μm/20μmを下回る際には、配線間の絶縁性への影響を抑制することができる。
本実施形態において、無機充填材の平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA−500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)を平均粒子径とすることができる。
また、無機充填材は、特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いてもよいし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いてもよい。さらに平均粒子径が単分散および/または多分散の無機充填材を1種類または2種類以上で併用してもよい。
上記無機充填材はシリカ粒子を含むことが好ましい。シリカ粒子は球状であってもよい。上記シリカ粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、5.0μm以下としてもよく、0.1μm以上4.0μm以下としてもよく、0.2μm以上2.0μm以下としてもよい。これにより、無機充填材の充填性をさらに向上させることができる。
無機充填材の含有量の下限値は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、特に限定されないが、例えば、50重量%以上が好ましく、55重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。これにより、樹脂膜の硬化物を特に低熱膨張、低吸水とすることができる。また、半導体パッケージの反りを抑制することができる。一方で、無機充填材の含有量の上限値は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、特に限定されないが、例えば、90重量%以下としてもよく、85重量%以下としてもよく、80重量%以下としてもよい。これにより、樹脂膜の硬化物の加工性を向上させることができる。
(シアネート樹脂)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、シアネート樹脂をさらに含むことができる。
シアネート樹脂は、分子内にシアネート基(−O−CN)を有する樹脂であり、シアネート基を分子内に2個以上を有する樹脂を用いることができる。このようなシアネート樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類やナフトール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
シアネート樹脂を用いることにより、樹脂膜の硬化物の線膨張係数を小さくすることができる。さらに、樹脂膜の硬化物の電気特性(低誘電率、低誘電正接)、機械強度等を高めることができる。
シアネート樹脂は、例えば、ノボラック型シアネート樹脂;ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂;ナフトールアラルキル型フェノール樹脂と、ハロゲン化シアンとの反応で得られるナフトールアラルキル型シアネート樹脂;ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂;ビフェニルアルキル型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でもノボラック型シアネート樹脂、ナフトールアラルキル型シアネート樹脂が好ましく、ノボラック型シアネート樹脂がより好ましい。ノボラック型シアネート樹脂を用いることにより、樹脂膜の硬化物の架橋密度が増加し、耐熱性が向上する。
この理由としては、ノボラック型シアネート樹脂は、硬化反応後にトリアジン環を形成することが挙げられる。さらに、ノボラック型シアネート樹脂は、その構造上ベンゼン環の割合が高く、炭化しやすいためと考えられる。また、ノボラック型シアネート樹脂を含む樹脂膜の硬化物は優れた剛性を有する。よって、樹脂膜の硬化物の耐熱性をより一層向上できる。
ノボラック型シアネート樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で示されるフェノールノボラック型シアネート樹脂を使用することができる。
Figure 2018029146
一般式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂の平均繰り返し単位nは任意の整数である。平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。平均繰り返し単位nが上記下限値以上であると、ノボラック型シアネート樹脂の耐熱性が向上し、加熱時に低量体が脱離、揮発することを抑制できる。また、平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、10以下が好ましく、7以下がより好ましい。nが上記上限値以下であると、溶融粘度が高くなるのを抑制でき、樹脂膜の成形性を向上させることができる。
また、シアネート樹脂としては、下記一般式(II)で表わされるナフトールアラルキル型シアネート樹脂も好適に用いられる。下記一般式(II)で表わされるナフトールアラルキル型シアネート樹脂は、例えば、α−ナフトールあるいはβ−ナフトール等のナフトール類とp−キシリレングリコール、α,α'−ジメトキシ−p−キシレン、1,4−ジ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン等との反応により得られるナフトールアラルキル型フェノール樹脂とハロゲン化シアンとを縮合させて得られるものである。一般式(II)の繰り返し単位nは10以下の整数であることが好ましい。繰り返し単位nが10以下であると、より均一な樹脂膜を得ることができる。また、合成時に分子内重合が起こりにくく、水洗時の分液性が向上し、収量の低下を防止できる傾向がある。
Figure 2018029146
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、nは1以上10以下の整数を示す。)
また、シアネート樹脂は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーとを併用してもよい。
シアネート樹脂の含有量の下限値は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、たとえば、1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましく、3重量%以上がさらに好ましい。これにより、樹脂膜の硬化物の低線膨張化、高弾性率化を図ることができる。一方、シアネート樹脂の含有量の上限値は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、特に限定されないが、例えば、30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましい。これにより、耐熱性や耐湿性を向上させることができる。また、シアネート樹脂の含有量が上記範囲内であると、樹脂膜の硬化物の貯蔵弾性率E'をより一層向上させることができる。
(フェノキシ樹脂)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、フェノキシ樹脂を含有してもよい。
上記フェノキシ樹脂は、特に限定はされないが、例えば、ビスフェノールA骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールF骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールM(4,4'−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール)骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールP(4,4'−(1,4)−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール)骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールZ(4,4'−シクロヘキシィジエンビスフェノール)骨格を有するフェノキシ樹脂等ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ノボラック骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂、フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノキシ樹脂、ノルボルネン骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。またフェノキシ樹脂として、これら中の骨格を複数種類有した構造を用いることもできるし、それぞれの骨格の比率が異なるフェノキシ樹脂を用いることができる。さらに異なる骨格のフェノキシ樹脂を複数種類用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有するフェノキシ樹脂を複数種類用いたり、それらのプレポリマーを併用したりすることもできる。
(硬化促進剤)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、硬化促進剤を含んでもよい。これにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。硬化促進剤としては、熱硬化性樹脂の硬化反応を促進させるものを用いることができ、その種類は特に限定されない。本実施形態においては、硬化促進剤として、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸、およびオニウム塩化合物から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、硬化性をより効果的に向上させる観点からは、オニウム塩化合物を含むことがより好ましい。
硬化促進剤として用いられるオニウム塩化合物は、特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2018029146
(上記一般式(2)中、Pはリン原子、R、R、RおよびRは、それぞれ、置換もしくは無置換の芳香環または複素環を有する有機基、あるいは置換もしくは無置換の脂肪族基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。Aは分子外に放出しうるプロトンを少なくとも1個以上分子内に有するn(n≧1)価のプロトン供与体のアニオン、またはその錯アニオンを示す)
硬化促進剤の含有量の下限値は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、たとえば、0.01重量%以上としてもよく、好ましくは0.05重量%以上としてもよい。硬化促進剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化性をより効果的に向上させることができる。一方、硬化促進剤の含有量の上限値は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、2.5重量%以下としてもよく、好ましくは1重量%以下としてもよい。硬化促進剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の保存性を向上させることができる。
(カップリング剤)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤は熱硬化性樹脂組成物の調製時に直接添加してもよいし、無機充填材にあらかじめ添加しておいてもよい。カップリング剤の使用により無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を向上させることができる。したがって、カップリング剤を使用することは好ましく、樹脂膜の硬化物の耐熱性を改良することができる。また、カップリング剤を用いることにより、銅箔との密着性を向上させることができる。さらに、吸湿耐性を向上できるので、湿度環境下においても、銅箔との密着性を維持することができる。
カップリング剤としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。本実施形態において、カップリング剤はシランカップリング剤を含有してもよい。
これにより、無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を高くすることができ、樹脂膜の硬化物の耐熱性をより向上させることができる。
シランカップリング剤としては、各種のものを用いることができるが、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−6−(アミノヘキシル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ベンゼンジメタナン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうちの一種または二種以上を組み合せて用いることができる。これらのうちエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシランが好ましく、アミノシランとしては、1級アミノシラン又はアニリノシランがより好ましい。
カップリング剤の含有量は、無機充填材の比表面積に対して適切に調整することができる。このようなカップリング剤の含有量の下限値は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、0.01重量%以上としてもよく、好ましくは0.05重量%以上としてもよい。カップリング剤の含有量が上記下限値以上であると、無機充填材を十分に被覆することができ、樹脂膜の硬化物の耐熱性を向上させることができる。一方、カップリング剤の含有量の上限値は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、3重量%以下としてもよく、好ましくは1.5重量%以下としてもよい。カップリング剤の含有量が上記上限値以下であると、反応に影響を与えるのを抑制でき、樹脂膜の硬化物の曲げ強度等の低下を抑制することができる。
(熱可塑性樹脂)
本実施形態のプライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含有してもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。金属層との密着性をより一層向上できる観点から、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂およびポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される1種または2種以上が好ましく、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、およびポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される1種または2種以上が特に好ましい。
上記熱可塑性樹脂として、これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上とそれらのプレポリマーとを併用してもよい。
(ゴム粒子)
本実施形態のプライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物は、ゴム粒子を含有してもよい。
上記ゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子、シリコーン粒子などが挙げられる。
上記コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N(商品名、ガンツ化成社製)、メタブレンKW−4426(商品名、三菱レイヨン社製)が挙げられる。架橋アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER−91(平均粒子径0.5μm、JSR社製)などが挙げられる。
上記架橋スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK−500(平均粒子径0.5μm、JSR社製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒子径0.1μm)、W450A(平均粒子径0.2μm)(三菱レイヨン社製)などが挙げられる。
上記シリコーン粒子は、オルガノポリシロキサンで形成されたゴム弾性微粒子であればとくに限定されず、例えば、シリコーンゴム(オルガノポリシロキサン架橋エラストマー)そのものからなる微粒子、および二次元架橋主体のシリコーンからなるコア部を三次元架橋型主体のシリコーンで被覆したコアシェル構造粒子などが挙げられる。シリコーンゴム微粒子としては、KMP−605、KMP−600、KMP−597、KMP−594(信越化学社製)、トレフィルE−500、トレフィルE−600(東レ・ダウコーニング社製)などの市販品を用いることができる。
上記ゴム粒子の添加量はとくに限定されないが、プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100重量%としたとき、0.1重量%以上5重量%以下が好ましく、0.5重量%以上3.0重量%以下がより好ましい。
(添加剤)
なお、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、緑、赤、青、黄、および黒等の染料、黒色顔料等の顔料、色素からなる群から選択される一種以上を含む着色剤、低応力剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤等の上記の成分以外の添加剤を含んでもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料としては、カオリン、合成酸化鉄赤、カドミウム黄、ニッケルチタン黄、ストロンチウム黄、含水酸化クロム、酸化クロム、アルミ酸コバルト、合成ウルトラマリン青等の無機顔料、フタロシアニン等の多環顔料、アゾ顔料等が挙げられる。
染料としては、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、キサンテン、ジケトピロロピロール、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、インジゴイド、オキサジン、キナクリドン、ベンツイミダゾロン、ビオランスロン、フタロシアニン、アゾメチン等が挙げられる。
本実施形態の絶縁膜形成用の熱硬化性樹脂組成物は、上記熱硬化性樹脂および上記無機充填材を含有することができる。上記熱硬化性樹脂として第1エポキシ樹脂を用いてもよい。また、絶縁膜形成用の熱硬化性樹脂組成物は、上記シアネート樹脂または上記フェノキシ樹脂をさらに含有することができる。なお、絶縁膜形成用の熱硬化性樹脂組成物は、上記硬化促進剤または上記カップリング剤をさらに含有してもよい。
本実施形態のプライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物は、上記熱硬化性樹脂および上記無機充填材を含有することができる。また、プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物は、上記シアネート樹脂や上記フェノキシ樹脂をさらに含有することができる。また、プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂またはゴム粒子をさらに含有してもよい。なお、プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物は、上記硬化促進剤または上記カップリング剤をさらに含有してもよい。
本実施形態において、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物は、溶剤を含むことができる。
上記溶剤としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN−メチルピロリドン等の有機溶剤が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物がワニス状である場合において、熱硬化性樹脂組成物の固形分含有量は、たとえば30重量%以上80重量%以下としてもよく、より好ましくは40重量%以上70重量%以下としてもよい。これにより、作業性や成膜性に非常に優れた熱硬化性樹脂組成物が得られる。
ワニス状の熱硬化性樹脂組成物は、上述の各成分を、たとえば、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いて溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより調製することができる。
次いで、本実施形態の樹脂膜について説明する。
本実施形態の樹脂膜は、ワニス状である上記熱硬化性樹脂組成物をフィルム化することにより得ることができる。例えば、本実施形態の樹脂膜は、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物を塗布して得られた塗布膜に対して、溶剤を除去することにより得ることができる。このような樹脂膜においては、溶剤含有率が樹脂膜全体に対して5重量%以下とすることができる。本実施形態において、たとえば100℃〜150℃、1分〜5分の条件で溶剤を除去する工程を実施してもよい。これにより、熱硬化性樹脂を含む樹脂膜の硬化が進行することを抑制しつつ、十分に溶剤を除去することが可能となる。
本実施形態の樹脂膜は、繊維基材を内部に含むことができ、上記熱硬化性樹脂組成物を当該繊維基材に含浸してなるものであってもよい。
本実施形態において、熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させる方法としては、特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂組成物を溶剤に溶かして樹脂ワニスを調製し、繊維基材を上記樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより上記樹脂ワニスを繊維基材に塗布する方法、スプレーにより上記樹脂ワニスを繊維基材に吹き付ける方法、熱硬化性樹脂組成物からなる上記樹脂膜で繊維基材の両面をラミネートする方法等が挙げられる。
上記繊維基材としては、例えば、ガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維基材、あるいはガラス以外の無機化合物を成分とする繊布又は不繊布等の無機繊維基材、芳香族ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の有機繊維で構成される有機繊維基材等が挙げられる。これら基材の中でも強度の点でガラス織布に代表されるガラス繊維基材を用いると、プリント配線基板の機械的強度、耐熱性を良好なものとすることができる。
繊維基材の厚みは、とくに限定されないが、好ましくは5μm以上150μm以下であり、より好ましくは10μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは12μm以上90μm以下である。このような厚みを有する繊維基材を用いることにより、プリプレグ製造時のハンドリング性がさらに向上できる。
繊維基材の厚みが上記上限値以下であると、繊維基材中の熱硬化性樹脂組成物の含浸性が向上し、ストランドボイドや絶縁信頼性の低下の発生を抑制することができる。また炭酸ガス、UV、エキシマ等のレーザーによるスルーホールの形成を容易にすることができる。また、繊維基材の厚みが上記下限値以上であると、繊維基材やプリプレグの強度を向上させることができる。その結果、ハンドリング性が向上できたり、プリプレグの作製が容易となったり、樹脂基板の反りを抑制できたりする。
上記ガラス繊維基材として、例えば、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラス、UTガラス、Lガラス、HPガラスおよび石英ガラスから選ばれる一種または二種以上のガラスにより形成されたガラス繊維基材が好適に用いられる。
(キャリア付き樹脂膜)
次いで、本実施形態のキャリア付樹脂膜について説明する。
図1(a)は、本実施形態におけるキャリア付樹脂膜10の構成の一例を示す断面図である。
本実施形態のキャリア付樹脂膜10は、図1(a)に示すように、キャリア基材40と、キャリア基材40上に設けられている、めっきプロセス用のプライマー層30、および、めっき層の下地となる絶縁膜20を備えることができる。キャリア付樹脂膜10において、プライマー層30または絶縁膜20の少なくとも一方が、上記熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜で構成されることが好ましい。これにより、樹脂膜のハンドリング性を向上させることができる。
また、本実施形態のキャリア付樹脂膜12は、図1(b)に示すように、キャリア基材40と、キャリア基材40上に形成された上記熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜と、を備えることができる。当該樹脂膜は、めっき層の下地となる絶縁膜20として用いることができる。
キャリア付樹脂膜10,12は、巻き取り可能なロール形状でも、矩形形状などの枚葉形状であってもよい。
本実施形態において、キャリア基材40としては、例えば、高分子フィルムや金属箔などを用いることができる。当該高分子フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、シリコーンシート等の離型紙、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。当該金属箔としては、特に限定されないが、例えば、銅および\または銅系合金、アルミおよび\またはアルミ系合金、鉄および\または鉄系合金、銀および\または銀系合金、金および金系合金、亜鉛および亜鉛系合金、ニッケルおよびニッケル系合金、錫および錫系合金などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートで構成されるシートが安価および剥離強度の調節が簡便なため最も好ましい。これにより、上記キャリア付樹脂膜10から、適度な強度で剥離することが容易となる。
上記樹脂膜の厚みの下限値は、特に限定されないが、例えば、1μm以上でもよく、3μm以上でもよく、5μm以上でもよい。これにより、樹脂膜10の機械強度を高めることができる。一方、樹脂膜10の厚みの上限値は、特に限定されないが、例えば、500μm以下としてもよく、300μm以下としてもよく、100μm以下としてもよい。これにより、半導体装置の薄層化を図ることができる。上記樹脂膜の厚みとしては、絶縁膜20の厚みでもよく、絶縁膜20およびプライマー層30の合計厚みでもよい。
上記プライマー層30の膜厚の下限値は、例えば、1μm以上であり、好ましくは2μm以上である。これにより、絶縁信頼性を向上させることができる。一方、上記プライマー層30の膜厚の上限値は、例えば、10μm以下であり、好ましくは8μm以下である。これにより、プリント配線基板の薄層化を実現できる。また、プライマー層30の膜厚を上記範囲内とすることにより、ビルドアップ層における絶縁層の特性を失うことなく薄膜化に対応したプリント配線基板を得ることができる。
上記絶縁膜20の膜厚の下限値は、例えば、5μm以上であり、好ましくは10μm以上である。これにより、絶縁信頼性を向上させることができる。一方、上記絶縁膜20の膜厚の上限値は、例えば、50μm以下であり、好ましくは40μm以下である。これにより、プリント配線基板の薄層化を実現できる。また、絶縁膜20の膜厚を上記範囲内とすることにより、プリント配線基板を製造する際に、内層回路の凹凸を充填して成形することができるとともに、好適なビルドアップ層の絶縁樹脂層厚みを確保することができる。
キャリア基材40の厚みは、特に限定されないが、例えば、10〜100μmとしてもよく、10〜70μmとしてもよい。これにより、キャリア付樹脂膜10を製造する際の取り扱い性が良好となり好ましい。
本実施形態のキャリア付樹脂膜10の樹脂膜は、単層でも多層でもよく、1種または2種以上の膜で構成されていてもよい。当該樹脂シートが多層の場合、同種で構成されてもよく、異種で構成されてもよい。また、キャリア付樹脂膜10は、樹脂膜10上の最外層側に、保護膜を有していてもよい。
本実施形態の樹脂膜の特性について説明する。
本実施形態の樹脂膜は、上記熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜である。当該樹脂膜の硬化膜は、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成される。上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物である硬化膜は、プリント配線基板のビルドアップ層を構成する絶縁層として用いることができる。
本実施形態において、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物を85℃/85%で吸湿させたときの初期から5分後までの初期吸湿速度の上限値としては、0.15%/分以下であり、好ましくは0.14%/分以下であり、より好ましくは0.13%/分以下である。これにより、ビルドアップ層のSAP特性を向上させることができる。たとえば、デスミア処理後におけるめっき密着性を向上させることができる。一方、上記初期吸湿速度の下限値としては、特に限定されないが、例えば、0.01%/分以上としてもよい。
本実施形態において、初期吸湿速度の測定方法としては、次のような手法を用いることができる。
まず、厚み30μmの樹脂膜(ただし、樹脂膜は繊維基材を含んでもよい)を4枚重ね、銅箔を用いてホットプレスを用いて200℃、8kgf/mmのプレス条件で、2時間加熱加圧し、樹脂膜を硬化させ、次いで、得られた硬化物の銅箔をエッチングにより除去し、樹脂硬化物を得る。
得られた樹脂硬化物からを6mm角に5枚切り出してサンプルとし、85℃の乾燥機内に2時間放置した後のサンプルの初期重量Aを測定し、その後、85℃、湿度85%の槽内に当該サンプルを配置し、サンプルの重量Bを経時的に計測することにより、吸水率の時間変化を算出する。
ここで、サンプルの吸水率(%)は以下の式で示される。
吸水率[%]:((B−A)/A)×100×(100/(100−X))
A:85℃の乾燥機内に2時間放置した後の重量(mg)
B:85℃、湿度85%の槽内に、所定時間放置した後の重量(mg)
X:サンプル(100重量%)中の無機充填材の重量%(%)
そして、サンプルの初期吸湿速度は、0分経過後の吸水率に対する5分経過後の吸水率の平均速度とする。
初期吸湿速度[%/分]:((5分後の吸水率%)−(0分後の吸水率%))/5分
また、本実施形態において、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物のDMAのtanδピークから求められるガラス転移温度の下限値は、250℃以上であり、好ましくは255℃以上であり、さらに好ましくは260℃以上である。これにより、耐熱性に優れた樹脂膜の硬化膜が得られる。また、熱履歴が加えられたときでも、半導体パッケージの反りを低減させることができる。一方で、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度の上限値は、特に限定されないが、例えば、400℃以下としてもよい。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物の硬化物の、30℃から150℃の範囲において算出した平面方向(XY方向)の平均線膨張係数(αa)の上限値は、例えば、40ppm/℃以下であり、好ましくは30ppm/℃以下であり、より好ましくは25ppm/℃以下である。これにより、半導体パッケージの反りを低減させることができる。一方、上記平均線膨張係数(αa)の下限値は、特に限定されないが、例えば、1ppm/℃以上であってもよい。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物の硬化物の、150℃から250℃の範囲において算出した平面方向(XY方向)の平均線膨張係数(αb)の上限値は、例えば、60ppm/℃以下であり、好ましくは50ppm/℃以下であり、より好ましくは45ppm/℃以下である。これにより、リフロー時における半導体パッケージの反りを低減させることができる。一方、上記平均線膨張係数(αb)の下限値は、特に限定されないが、例えば、1ppm/℃以上であってもよい。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の硬化物において、30℃から150℃の範囲において算出した平均線膨張係数(αa)に対する、150℃から250℃の範囲において算出した平均線膨張係数(αb)の線膨張係数比(αb/αa)の上限値は、例えば、2.5以下であり、好ましくは2.3以下であり、より好ましくは2.0以下である。これにより、リフロー時における半導体パッケージの反りを軽減することができる。一方、上記線膨張係数比の下限値は、特に限定されないが、例えば、1.1以上としてもよい。上記平均線膨張係数(αb)および平均線膨張係数(αb)は、上記線膨張係数比(αb/αa)の数値範囲を満たすように適切に選択することができる。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜のBステージ状態の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をηとしたとき、ηの上限値は、例えば、2000Pa・s以下であり、好ましくは1000Pa・s以下であり、より好ましくは600Pa・s以下である。これにより、上記樹脂膜による回路埋め込み性を向上させることができる。一方、上記ηの下限値は、特に限定されないが、例えば、1Pa・s以上であり、50Pa・s以上としてもよく、100Pa・s以上としてもよい。これにより、成膜された樹脂膜の平坦性を向上させることができる。また、樹脂膜の取り扱い性を向上させることができる。
本実施形態においては、たとえば熱硬化性樹脂組成物を構成する成分の種類や配合割合をそれぞれ適切に選択すること等により、熱硬化性樹脂組成物の上記初期吸湿速度、上記ガラス転移温度、上記平均線膨張係数、上記複素動的粘度を所望の範囲内とすることができる。これらの中でも、たとえば、一般的なアミン系硬化剤やフェノール系硬化剤を使用しないこと、ナフタレン骨格やジシクロペンタジエン骨格などの低吸水性を示す骨格を有する熱硬化性樹脂を使用すること、多官能の熱硬化性樹脂を使用すること、シアネート樹脂を使用すること等が、上記初期吸湿速度、上記ガラス転移温度、上記平均線膨張係数、上記複素動的粘度を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
(プリント配線基板)
本実施形態のプリント配線基板は、上記の樹脂膜の硬化物(熱硬化性樹脂組成物の硬化物)で構成された絶縁層を備えるものである。
本実施形態において、樹脂膜の硬化物は、例えば、通常のプリント配線基板のビルドアップ層、コア層を有しないプリント配線基板におけるビルドアップ層、PLPに用いられるコアレス基板のビルドアップ層、MIS基板のビルドアップ層等に用いることができる。このようなビルドアップ層を構成する絶縁層は、複数の半導体パッケージを一括して作成するために利用させる大面積のプリント配線基板において、当該プリント配線基板を構成するビルドアップ層にも好適に用いることができる。
また、本実施形態において、絶縁膜形成用の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜において、ガラス繊維を含浸する構成とすることができる。このような樹脂膜をビルドアップ層に用いた半導体パッケージにおいても、樹脂膜の硬化物の線膨張係数を低くすることができるので、パッケージ反りを十分に抑制することができる。
(半導体パッケージ)
図2は、本実施形態の半導体パッケージ200の製造工程の一例を示す工程断面図である。
本実施形態の半導体装置(半導体パッケージ200)は、プリント配線基板と、プリント配線基板の回路層上に搭載された、またはプリント配線基板に内蔵された半導体素子240と、を備えることができる。
以下、本実施形態の半導体パッケージ200の製造工程の概要について説明する。
まず、図2(a)に示すように、絶縁層102、ビアホール104および金属層108を備えるコア層100を準備する。絶縁層102にはビアホール104が形成されている。ビアホール104には、金属層(ビア)が埋設されている。当該金属層は、無電解金属めっき膜106で覆われていてもよい。絶縁層102の表面に形成された金属層108(所定の回路パターンを有する回路層)は、ビアホール104に形成されたビアと電気的に接続する。図2(a)には、金属層108は、コア層100の一面上に形成されているが、両面に形成されていてもよい。
続いて、コア層100の一面上に金属層108を埋め込むように、上記熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜を形成する。当該樹脂膜として、絶縁膜20およびプライマー層30の複数層を用いることができる。また、当該樹脂膜として、絶縁膜20のみの単層を用いてもよい。
続いて、プライマー層30上に無電解金属めっき膜202を形成する。無電解めっき法の例を説明する。例えば、下地層のプライマー層30の表面上に触媒核を付与する。この触媒核としては、特に限定されないが、例えば、貴金属イオンやパラジウムコロイドを用いることができる。引き続き、この触媒核を核として、無電解めっき処理により、無電解金属めっき膜202を形成する。無電解めっきには、例えば、硫酸銅、ホルマリン、錯化剤、水酸化ナトリウム等を含むものを用いることができる。なお、無電解めっき後に、100〜250℃の加熱処理を施し、めっき被膜を安定化させるができる。
続いて、図2(b)に示すように、無電解金属めっき膜202上に所定の開口パターン(開口部206)を有するレジスト204を形成する(図6(e))。この開口パターンは、例えば回路パターンに相当する。レジスト204としては、特に限定されず、公知の材料を用いることができるが、液状およびドライフィルムを用いることができる。微細配線形成の場合には、レジスト204としては、感光性ドライフィルム等を用いることができる。感光性ドライフィルムを用いた一例を説明する。例えば、無電解金属めっき膜202上に感光性ドライフィルムを積層し、非回路形成領域を露光して光硬化させ、未露光部を現像液で溶解、除去する。硬化した感光性ドライフィルムを残存させることにより、レジスト204を形成する。
続いて、図2(c)に示すように、少なくともレジスト204の開口パターン内部かつ無電解金属めっき膜202上に、電気めっき処理により、電解金属めっき層208を形成する。電気めっきとしては、特に限定されないが、通常のプリント配線基板で用いられる公知の方法を使用することができ、例えば、硫酸銅等のめっき液中に浸漬させた状態で、めっき液に電流を流す等の方法を使用することができる。電解金属めっき層208は単層でもよく多層構造を有していてもよい。電解金属めっき層208の材料としては、特に限定されないが、例えば、銅、銅合金、42合金、ニッケル、鉄、クロム、タングステン、金、半田のいずれか1種以上を用いることができる。
続いて、図2(d)に示すように、アルカリ性剥離液や硫酸または市販のレジスト剥離液等を用いて、レジスト204を除去する。
続いて、図2(e)に示すように、電解金属めっき層208が形成されている領域以外領域(開口部210)における無電解金属めっき膜202を除去する。すなわち、電解金属めっき層208をマスクとして、下層の無電解金属めっき膜202を選択的に除去する。例えば、ソフトエッチング(フラッシュエッチング)等を用いることにより、無電解金属めっき膜202を除去することができる。ここで、ソフトエッチング処理は、例えば、硫酸および過酸化水素を含むエッチング液を用いたエッチングにより行うことができる。これにより、所定のパターンを有する金属層220を形成することができる。金属層220は、無電解金属めっき膜202および電解金属めっき層208で構成される。
さらに、コア層100および上記ビルドアップ層で構成されるプリント配線基板上に、必要に応じてビルドアップ層を積層して、セミアディティブプロセスにより層間接続および回路形成する工程を繰り返すことにより、多層にすることができる。
以上により、本実施形態のプリント配線基板が得られる。
続いて、図2(f)に示すように、得られたプリント配線基板上に、必要に応じてビルドアップ層を積層して、セミアディティブプロセスにより層間接続および回路形成する工程を繰り返す。そして、必要に応じて、ソルダーレジスト層230をプリント配線基板の両面又は片面に積層する。
ソルダーレジスト層230の形成方法は、特に限定されないが、例えば、ドライフィルムタイプのソルダーレジストをラミネートし、露光、および現像により形成する方法、または液状レジストを印刷したものを露光、および現像することにより形成する方法によりなされる。
続いて、リフロー処理を行なうことによって、半導体素子240を配線パターンの一部である接続端子上に、半田バンプ250を介して固着させる。その後、半導体素子240、および半田バンプ250等を封止材層260で覆うように封止する。
以上により、図2(f)に示す、半導体パッケージ200が得られる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(熱硬化性樹脂組成物の調製)
実験1〜7について、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニスP)を調整した。
まず、表1に示す固形分割合で各成分を溶解または分散させ、メチルエチルケトンで不揮発分70重量%となるように調整し、高速撹拌装置を用い撹拌して樹脂ワニスPを調製した。
なお、表1における各成分の配合割合を示す数値は、熱硬化性樹脂組成物の固形分全体に対する各成分の配合割合(重量%)を示している。
表1における各成分の原料の詳細は下記のとおりである。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂1:4官能ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON HP−4710)
熱硬化性樹脂2:ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC社製、HP−6000)
熱硬化性樹脂3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製、HP−7200L)
熱硬化性樹脂4:ナフタレン骨格変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、HP−5000)
熱硬化性樹脂5:多官能ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製、HP−4770)
熱硬化性樹脂6:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000、日本化薬社製)
熱硬化性樹脂7:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON、830S)
(シアネート樹脂)
シアネート樹脂1:フェノールノボラック型シアネート樹脂(LONZA社製、Primaset、PT−30)
(フェノキシ樹脂)
フェノキシ樹脂1:フェノキシ樹脂(三菱化学社製、YX6900)
(無機充填材)
無機充填材1:球状シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)
(カップリング剤)
カップリング剤1:エポキシシランカップリング剤(GE東芝シリコーン株式会社製、A−187)
(硬化促進剤)
硬化促進剤1:上記した式(2)に該当するオニウム塩化合物のリン系触媒(住友ベークライト社製、C05−MB)
Figure 2018029146
(キャリア付き樹脂膜1:プライマー層および絶縁膜付き2層樹脂シートの製造)
まず、水酸基を含有するポリアミド樹脂(日本化薬社製、BPAM01)30重量部、平均粒径100nm以下のシリカとして球状シリカスラリー(アドマテックス社製、SX009、平均粒径50nm)15重量部、エポキシ樹脂としてHP−5000(DIC社製)35重量部、シアネートエステル樹脂としてフェノールノボラック型シアネート樹脂(LONZA社製、Primaset PT−30)19.4重量部、カップリング剤としてエポキシシランカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.1重量部、硬化触媒としてイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.5重量部を高速攪拌装置を用いてジメチルアセトアミドとメチルエチルケトンの混合溶媒で60分攪拌し、固形分30%の基材と接するプライマー層形成用熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニスA)を調製した。
得られた樹脂ワニスAを、厚み38μmのPETフィルムの片面に、コンマコーター装置を用いて乾燥後のプライマー層の厚さが3μmとなるように塗工し、これを160℃の乾燥装置で3分間乾燥し、プライマー層を形成した。
次に、プライマー層の上面に、さらにコンマコーター装置を用いて乾燥後の樹脂層の厚みの総和が30μmとなるように、得られた樹脂ワニスPを塗工し、これを160℃の乾燥装置で3分間乾燥して、PETフィルム上に、プライマー層および絶縁膜が積層された2層樹脂シート(キャリア付き樹脂膜1)を得た。
(キャリア付き樹脂膜2:プリプレグ付きPETフィルムの製造)
繊維基材としてガラス織布(ユニチカ社製、E01S、厚さ14μm、坪量10g/m2)を用いた。
まず、上記の樹脂ワニスAをPETフィルム上に厚み3μmで塗工した樹脂シートと、上記の樹脂ワニスPをPETフィルム上に厚み23μmで塗工した樹脂シートを用意し、ガラス織布の両面に2種の樹脂シートをガラス織布の幅方向の中心に位置するように、それぞれ1枚ずつ重ね合わせ、真空プレスで、80℃で15分、圧力0.8MPaの条件で、厚さ30μmのプリプレグ付きPETフィルム(キャリア付き樹脂膜2)を得た。
(キャリア付き樹脂膜3:絶縁膜付き単層樹脂シートの製造)
厚み38μmのPETフィルムの片面に、コンマコーター装置を用いて乾燥後の絶縁膜の厚みが30μmとなるように、得られた樹脂ワニスPを塗工し、これを160℃の乾燥装置で3分間乾燥して、PETフィルム上に、絶縁層が積層された単層樹脂シート(キャリア付き樹脂膜3)を得た。
(キャリア付き樹脂膜4:プリプレグ付きPETフィルムの製造)
繊維基材としてガラス織布(ユニチカ社製、E01S、厚さ14μm、坪量10g/m2)を用いた。
まず、上記の樹脂ワニスPをPETフィルム上に厚み3μmで塗工した樹脂シートと、上記の樹脂ワニスPをPETフィルム上に厚み23μmで塗工した樹脂シートを用意し、ガラス織布の両面に2種の樹脂シートをガラス織布の幅方向の中心に位置するように、それぞれ1枚ずつ重ね合わせ、真空プレスで、80℃で15分、圧力0.8MPaの条件で、厚さ30μmのプリプレグ付きPETフィルム(キャリア付き樹脂膜4)を得た。
(プリント配線板1)
2ステージビルドアップラミネーター(ニチゴー・モートン社製 CVP300)を用いて、厚さ30μmの2層樹脂シート(キャリア付き樹脂膜1)から積層体を製造した。具体的には、厚み100μmのELC−4785TH−G(住友ベークライト社製、銅箔12μm)を用いて、ドリル機で所定のところを開孔して、無電解めっきにより、導通を図り、銅箔をエッチングして回路形成面を有する残銅60%のコア層を作製した。また、キャリア付き樹脂膜1の樹脂膜(2層樹脂シート)を枚葉にカットし、上記CVP300にセットして上記コア層に仮付けし、真空ラミネーター内で120℃、0.7MPa、30秒間真空ラミネーションをおこなった。
その後、ニチゴー・モートン社製CPV300が備えるホットプレス装置を用いて、100℃、0.6MPa、60秒間ホットプレスして平滑化した。
その後、PETフィルムを剥離した後、熱風乾燥装置に、得られた積層体を160℃、60分間入れ、ビルドアップ用プリプレグの熱硬化性樹脂の硬化反応をおこなった。
つぎに、得られた積層板に炭酸レーザーによりビア孔を形成した。ビア内および、樹脂層表面を、60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に20分浸漬後、中和して粗化処理をおこなった。
これを脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅めっき皮膜を約0.5μm形成し、レジストを形成し、無電解銅めっき皮膜を給電層としてパターン電気めっき銅20μm形成させ、回路加工を施した。つぎに、熱風乾燥装置にて200℃で60分間アニール処理を行った後、フラッシュエッチングで給電層を除去した。次いで、ソルダーレジスト層を形成し、半導体素子搭載パッドなどが露出するように開口部を形成した。最後に、ソルダーレジスト層から露出した回路層上へ、無電解ニッケルめっき層3μmと、さらにその上へ、無電解金めっき層0.1μmとからなるめっき層を形成し、得られた基板を50mm×50mmサイズに切断し、プリント配線板1を得た。
(プリント配線板2)
上記のプリント配線板1の製造工程において、2層樹脂シート(キャリア付き樹脂膜1)に代えて、プリプレグ付きPETフィルム(キャリア付き樹脂膜2)を使用し、真空ラミネーター内で120℃、0.7MPa、30秒間真空ラミネーションを行った点以外は、同様にして、プリント配線板2を得た。
(プリント配線板3)
上記のプリント配線板1の製造工程において、2層樹脂シート(キャリア付き樹脂膜1)に代えて、単層樹脂シート(キャリア付き樹脂膜3)を使用した点以外は、同様にして、プリント配線板3を得た。
(プリント配線板4)
上記のプリント配線板1の製造工程において、2層樹脂シート(キャリア付き樹脂膜1)に代えて、プリプレグ付きPETフィルム(キャリア付き樹脂膜4)を使用し、真空ラミネーター内で120℃、0.7MPa、30秒間真空ラミネーションを行った点以外は、同様にして、プリント配線板4を得た。
(プリント配線基板の製造方法)
上記で得られたプリント配線板にソルダーレジスト層を形成し、半導体素子搭載パッドなどが露出するように炭酸レーザーにより開口を形成した。
最後に、ソルダーレジスト層から露出した回路層上へ、無電解ニッケルめっき層3μmと、さらにその上へ、無電解金めっき層0.1μmとからなるめっき層を形成し、得られた基板を50mm×50mmサイズに切断し、半導体パッケージ用の回路基板(プリント配線基板)を得た。
(半導体パッケージの作製)
半導体パッケージは、得られたプリント配線基板上に半田バンプを有する半導体素子(TEGチップ、サイズ10mm×10mm、厚み0.1mm)を、フリップチップボンダー装置により、加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、その後、液状封止樹脂を硬化させることで半導体パッケージを得た。尚、液状封止樹脂は、温度150℃、120分の条件で硬化させた。上記半導体素子の半田バンプは、Sn/Pb組成の共晶で形成されたものを用いた。最後に14mm×14mmのサイズにルーターで個片化し、半導体パッケージを得た。
上記実験1〜7の熱硬化性樹脂組成物を用いて、表2,3に示すように、実施例および比較例のキャリア付き樹脂膜、プリント配線基板、半導体パッケージを作成した。これらについて、下記の評価を行った。評価結果について、表2,3に示す。
Figure 2018029146
Figure 2018029146
(最低溶融粘度)
次のようにして最低複素動的粘度(複素粘度の極小値)を測定した。まず、上記キャリア付き樹脂膜1〜4の作製に基づいて、30μmの樹脂厚みを有する樹脂膜(ただし、キャリア付き樹脂膜2,4の作成に基づいて得られた樹脂膜はガラス織布を含む)が、PETフィルム上に形成された樹脂シートを得た。次いで、得られた樹脂シートから、キャリア基材であるPETフィルムを剥離した樹脂膜(フィルム)を5枚重ね合わせて、総膜厚150μmの測定サンプルを準備した。次いで、この測定サンプルに対し、動的粘弾性測定装置(Anton Paar社製、装置名Physica MCR−301)を用いて、下記の条件で複素動的粘度の測定をおこなった。得られた測定結果から、50〜150℃における最低複素動的粘度(Pa・sec)を算出した。
周波数:62.83rad/sec
測定温度:50〜200℃
昇温速度:3℃/min
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:10mm
荷重(ノーマルフォース):0N(一定)
ストレイン:0.3%
測定雰囲気:空気
(硬化物)
次のようにしてガラス転移温度、初期吸湿速度、平均線膨張係数を測定するサンプルを作製した。上記キャリア付き樹脂膜1〜4の、厚み30μmの樹脂膜(ただし、キャリア付き樹脂膜2,4の樹脂膜はガラス織布を含む)を4枚重ね、銅箔を用いてホットプレスを用いて200℃、8kgf/mmのプレス条件で、2時間加熱加圧し、樹脂膜を硬化させた。次いで、得られた硬化物の銅箔をエッチングにより除去し、サンプルとして樹脂硬化物を製造した。
(ガラス転移温度(Tg))
得られた樹脂硬化物から6mm×25mmの試験片を作製した。この試験片に対し、昇温速度5℃/min、周波数1Hzで動的粘弾性測定をおこなった。ガラス転移温度の測定は、動的粘弾性測定(TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置DMA Q800)で行った。ここで、ガラス転移温度は、損失正接tanδが最大値を示す温度とした。
(初期吸湿速度)
得られた樹脂硬化物からを6mm角に5枚切り出してサンプルとし、85℃の乾燥機内に2時間放置した後のサンプルの初期重量Aを測定し、その後、85℃、湿度85%の槽内に当該サンプルを配置し、サンプルの重量Bを経時的に計測することにより、吸水率の時間変化を算出した。
ここで、サンプルの吸水率(%)は以下の式で示される。
吸水率[%]:((B−A)/A)×100×(100/(100−X))
A:85℃の乾燥機内に2時間放置した後の重量(mg)
B:85℃、湿度85%の槽内に、所定時間放置した後の重量(mg)
X:サンプル(100重量%)中の無機充填材の重量%(%)
そして、サンプルの初期吸湿速度は、0分経過後の吸水率に対する5分経過後の吸水率の平均速度とした。
初期吸湿速度[%/分]:((5分後の吸水率%)−(0分後の吸水率%))/5分
(平均線膨張係数)
得られた樹脂硬化物から4mm×20mmの試験片を作製した。この試験片について、熱機械分析装置TMA(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて、温度範囲30〜250℃、昇温速度10℃/min、荷重10g、引張モードの条件で熱機械分析(TMA)を2サイクル測定した。この結果から、30℃から150℃の範囲における平面方向(XY方向)の線膨張係数(CTE)の平均値αa、150℃から250℃の範囲における平面方向(XY方向)の線膨張係数(CTE)の平均値αb、αb/αaを算出した。なお、線膨脹係数は、2サイクル目の値を採用した。
(ピール強度、表面粗さRa)
得られたプリント配線版1〜4を用いて、JIS C−6481:1996に準拠して、上述の表面処理後の23℃におけるピール強度を測定した。
また、上述の粗化処理(80℃の過マンガン酸カリウム水溶液に20分浸漬後、中和した)後の表面粗さ(Ra)を、レーザー顕微鏡(KEYENCE社製、VK−8510、条件;PITCH0.02μm、RUNmodeカラー超深度)を用いて測定した。Raは、10点測定し、10点の平均値とした。
(細線加工性評価)
得られたプリント配線基板においてL/S=12/12μmの微細回路パターンを形成した後のプリント配線基板について、レーザー顕微鏡で細線の外観検査及び導通チェックにより評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:形状、導通ともに問題なし
○:ショート、配線切れはなく、実質上問題ない
×:ショート、配線切れあり
(回路埋め込み性)
線幅/線間/厚み=20μm/20μm/10μmである回路層を有する回路基板上に、上記キャリア付き樹脂膜1〜4の、厚み30μmの樹脂膜(ただし、キャリア付き樹脂膜2,4の樹脂膜はガラス織布を含む)を2ステージビルドアップラミネーター(ニチゴー・モートン社製 CVP300)を用いて、CVP300にセットして上記回路基板上に仮付けし、真空ラミネーター内で120℃、0.7MPa、30秒間真空ラミネーションをおこなった。
得られたビルドアップ層を有する回路基板の断面を観察し、線間の樹脂の埋め込み性を以下の基準にて評価した。
◎:良好樹脂が隙間なく、埋め込まれている
○:実質上問題なし2μm未満の微小な円形ボイド
△:実質上使用不可2μm以上のボイド
×:使用不可埋め込み不良
(平坦化)
上記埋め込み性を評価した基板を、ニチゴー・モートン社製CPV300が備えるホットプレス装置を用いて、100℃、0.6MPa、60秒間ホットプレスして平坦化した。
平坦化後、箱形乾燥機で160℃、60分間処理して、上記の樹脂膜を硬化した。
硬化後の積層体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、隣接した、銅配線の有る部分と無い部分との厚み差を測定した。n=10で厚み差を測定し、平均0.6μm未満のものを合格で○とし、平均0.6μm以上のものを不合格で×とした。
(半導体パッケージの反り)
得られた半導体パッケージ用の回路基板の260℃での反りを温度可変レーザー三次元測定機(日立テクノロジーアンドサービス社製、形式LS220−MT100MT50)を用いて評価した。上記測定機のサンプルチャンバーに半導体素子面を下にして設置し、高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値を反り量とした。評価基準は以下の通りである。
◎:反り量が230μm未満
〇:反り量が230μm以上280μm未満
△:反り量が280μm以上320μm未満
×:反り量が320μm以上
実験1〜3の熱硬化性樹脂組成物は、プリント配線基板のビルドアップ層を構成する絶縁層を形成するために用いられるものであり、半導体パッケージの反りの抑制とSAP特性が両立したビルドアップ層が得られることが分かった。一方で、実験4〜7の熱硬化性樹脂組成物は、半導体パッケージの反りの抑制とSAP特性が両立したビルドアップ層が得られないことが分かった。
なお、上記キャリア付き樹脂膜2の製造工程を用いて、実験5の熱硬化性樹脂組成物をガラス織布に含浸してなる樹脂膜を作製し、前述の方法に従って当該樹脂膜から得られた樹脂硬化物について評価した結果、比較例2と同様に、ピール強度が低くなりSAP特性が低下すること、平坦性も不合格になりラミネート成形性も低下することが分かった。
以上、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
10 キャリア付樹脂膜
12 キャリア付樹脂膜
20 絶縁膜
30 プライマー層
40 キャリア基材
100 コア層
102 絶縁層
104 ビアホール
106 無電解金属めっき膜
108 金属層
200 半導体パッケージ
202 無電解金属めっき膜
204 レジスト
206 開口部
208 電解金属めっき層
210 開口部
220 金属層
230 ソルダーレジスト層
240 半導体素子
250 半田バンプ
260 封止材層

Claims (18)

  1. プリント配線基板のビルドアップ層を構成する絶縁層を形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物を85℃/85%で吸湿させたときの初期から5分後までの初期吸湿速度が0.15%/分以下であり、
    前記硬化物のDMAのtanδピークから求められるガラス転移温度が250℃以上である、熱硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜のBステージ状態の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をηとしたとき、ηが、1Pa・s以上2000Pa・s以下である、熱硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物の、150℃から250℃の範囲において算出した平均線膨張係数が、1ppm/℃以上60ppm/℃以下である、熱硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物において、30℃から150℃の範囲において算出した平均線膨張係数に対する、150℃から250℃の範囲において算出した平均線膨張係数の線膨張係数比が、1.1以上2.5以下である、熱硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物が、
    熱硬化性樹脂と、
    無機充填材と、を含む、熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項5に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記無機充填材の含有量が、当該熱硬化性樹脂組成物全体に対して50重量%以上90重量%以下である、熱硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物が、フェノキシ樹脂をさらに含む、熱硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物が、シアネート樹脂をさらに含む、熱硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    めっきプロセス用のプライマー層に用いる、熱硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    めっき層の下地となる絶縁膜に用いる、熱硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    セミアディティブプロセス用の熱硬化性樹脂組成物。
  12. キャリア基材と、
    前記キャリア基材上に設けられている、請求項1から11のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜と、を備える、キャリア付樹脂膜。
  13. 請求項12に記載のキャリア付樹脂膜であって、
    前記キャリア基材と、めっきプロセス用のプライマー層と、めっき層の下地となる絶縁膜と、を備え、
    前記プライマー層または前記絶縁膜の少なくとも一方が、前記樹脂膜で構成される、キャリア付樹脂膜。
  14. 請求項13に記載のキャリア付樹脂膜であって、
    前記プライマー層の膜厚は、1μm以上10μm以下である、キャリア付樹脂膜。
  15. 請求項13または14に記載のキャリア付樹脂膜であって、
    前記絶縁膜の膜厚は、5μm以上50μm以下である、キャリア付樹脂膜。
  16. 請求項13から15のいずれか1項に記載のキャリア付樹脂膜であって、
    前記絶縁膜はガラス繊維を含む、キャリア付樹脂膜。
  17. 請求項1から11のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備える、プリント配線基板。
  18. 請求項17に記載のプリント配線基板と、
    前記プリント配線基板の回路層上に搭載された、または前記プリント配線基板に内蔵された半導体素子と、を備える、半導体装置。
JP2016161037A 2016-08-19 2016-08-19 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置 Pending JP2018029146A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016161037A JP2018029146A (ja) 2016-08-19 2016-08-19 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016161037A JP2018029146A (ja) 2016-08-19 2016-08-19 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018029146A true JP2018029146A (ja) 2018-02-22

Family

ID=61249204

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016161037A Pending JP2018029146A (ja) 2016-08-19 2016-08-19 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018029146A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019178198A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 住友ベークライト株式会社 熱硬化性樹脂組成物、コアレス基板、プリント配線基板、および半導体装置
JP2020084147A (ja) * 2018-11-30 2020-06-04 日立化成株式会社 Frp前駆体、frp、積層板、金属張積層板、プリント配線板及び半導体パッケージ並びにfrp前駆体の製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006291125A (ja) * 2005-04-14 2006-10-26 Hitachi Ltd 新規共重合体、樹脂組成物、その硬化物及び電子部品
JP2011074175A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Sumitomo Bakelite Co Ltd 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線および半導体装置
JP2012236908A (ja) * 2011-05-11 2012-12-06 Hitachi Chemical Co Ltd 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板
KR20150037568A (ko) * 2013-09-30 2015-04-08 주식회사 엘지화학 반도체 패키지용 열경화성 수지 조성물과 이를 이용한 프리프레그 및 금속박 적층판
JP2015080882A (ja) * 2013-10-22 2015-04-27 住友ベークライト株式会社 金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置
JP2015089622A (ja) * 2013-11-05 2015-05-11 住友ベークライト株式会社 金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006291125A (ja) * 2005-04-14 2006-10-26 Hitachi Ltd 新規共重合体、樹脂組成物、その硬化物及び電子部品
JP2011074175A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Sumitomo Bakelite Co Ltd 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線および半導体装置
JP2012236908A (ja) * 2011-05-11 2012-12-06 Hitachi Chemical Co Ltd 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板
KR20150037568A (ko) * 2013-09-30 2015-04-08 주식회사 엘지화학 반도체 패키지용 열경화성 수지 조성물과 이를 이용한 프리프레그 및 금속박 적층판
JP2015080882A (ja) * 2013-10-22 2015-04-27 住友ベークライト株式会社 金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置
JP2015089622A (ja) * 2013-11-05 2015-05-11 住友ベークライト株式会社 金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019178198A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 住友ベークライト株式会社 熱硬化性樹脂組成物、コアレス基板、プリント配線基板、および半導体装置
JP2020084147A (ja) * 2018-11-30 2020-06-04 日立化成株式会社 Frp前駆体、frp、積層板、金属張積層板、プリント配線板及び半導体パッケージ並びにfrp前駆体の製造方法
JP7434707B2 (ja) 2018-11-30 2024-02-21 株式会社レゾナック Frp前駆体、frp、積層板、金属張積層板、プリント配線板及び半導体パッケージ並びにfrp前駆体の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7258453B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリプレグ、プリント配線基板および半導体装置
JP7119290B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリプレグ、プリント配線基板および半導体装置
JP6217165B2 (ja) プライマー層付きプリプレグ、プライマー層付き金属箔、金属張積層板、プリント配線基板、半導体パッケージおよび半導体装置
JP7028165B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置
TWI494337B (zh) 電路基板用環氧樹脂組成物,預浸體,積層板,樹脂片,印刷佈線板用積層基材,印刷佈線板及半導體裝置
US8465837B2 (en) Epoxy resin composition, prepreg, laminate board, multilayer printed wiring board, semiconductor device, insulating resin sheet, and process for manufacturing multilayer printed wiring board
JP2016196549A (ja) プリント配線基板用樹脂組成物、プリプレグ、樹脂基板、金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置
TW201700565A (zh) 預浸體、樹脂基板、金屬覆蓋積層板、印刷佈線基板及半導體裝置
WO2012140908A1 (ja) 積層板、回路基板、および半導体パッケージ
JP2016196548A (ja) プリント配線基板用樹脂組成物、プリプレグ、樹脂基板、金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置
KR102582537B1 (ko) 프린트 배선판의 제조 방법, 반도체 장치의 제조 방법
JP6083127B2 (ja) 積層板、ビルドアップ層付き積層板、回路基板、半導体パッケージおよび積層板の製造方法
JP6480650B2 (ja) 金属張積層板、プリント配線基板、半導体パッケージ、半導体装置および金属張積層板の製造方法
JP2016196557A (ja) プリント配線基板用樹脂組成物、プリプレグ、樹脂基板、金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置
JP2018029146A (ja) 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置
JP2020132646A (ja) 樹脂組成物、それを用いたキャリア付樹脂膜、プリプレグ、積層板、プリント配線基板および半導体装置
JP2018107157A (ja) プリント配線基板用樹脂組成物、プリプレグ、樹脂基板、金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置
JP2017183227A (ja) 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置
JP2017084949A (ja) 回路基板用樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板、回路基板、および半導体パッケージ
JP6819067B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置
JP7342358B2 (ja) 樹脂組成物、それを用いたキャリア付樹脂膜、プリプレグ、積層板、プリント配線基板および半導体装置
JP7098881B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリプレグ、プリント配線基板および半導体装置
JP2018174250A (ja) 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリプレグ、プリント配線基板および半導体装置
JP7305975B2 (ja) 樹脂組成物、それを用いたキャリア付樹脂膜、プリプレグ、積層板、プリント配線基板および半導体装置
JP2013006328A (ja) 積層板、回路基板、および半導体パッケージ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190710

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200625

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200901

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210323