JP2018107157A - プリント配線基板用樹脂組成物、プリプレグ、樹脂基板、金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置 - Google Patents

プリント配線基板用樹脂組成物、プリプレグ、樹脂基板、金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置 Download PDF

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賢也 橘
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Abstract

【課題】流動性および回路成形性に優れ、低硬化収縮で微細な回路寸法を有し、かつ、高温高湿下での電気絶縁信頼性に優れるプリント配線基板を実現できるプリント配線基板用樹脂組成物、プリプレグおよび樹脂基板並びに高温高湿下での電気絶縁信頼性に優れるプリント配線基板および半導体装置を提供すること。【解決手段】本発明のプリント配線基板用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(A)と、無機充填材(B)と、下記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)とを含み、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の重量平均分子量が1万以上、20万以下であることを特徴とするプリント配線基板用樹脂組成物である。【化37】(前記式(1)において、R1、R2はそれぞれ独立に単数1以上、8以下の炭化水素基であり、p、q、およびrは各繰り返し単位のモル百分率であり、p+q+r≦100mol%である。)【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線基板用樹脂組成物、プリプレグ、樹脂基板、金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置に関する。
近年、電子機器の高機能化の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化が進んでおり、これらの電子機器に使用される半導体装置の小型化が急速に進行している。そして、半導体装置に使用されるプリント配線基板には、薄型化と高密度で微細な回路が求められている。
半導体装置は、例えば、プリント配線基板上に半導体素子を搭載することにより形成される。このようなプリント配線基板に関する技術としては、例えば、以下の特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂とフェノール樹脂、およびエポキシ基を有する重量平均分子量が20〜85万であるアクリル樹脂とを含有するプリプレグが記載されている。
特開2014−70156号公報
プリント配線基板上に半導体素子を搭載することにより形成される半導体装置については、配線間の絶縁信頼性に優れることが求められる。このような要求は、近年のプリント配線基板の配線の高密度化に伴って特に顕著となっている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の技術では、これらの樹脂組成物を用いたプリプレグの薄化や回路配線の微細化に伴い、プリント配線基板のイオンマイグレーション性や電気絶縁性等の高温高湿下での長期信頼性の要求に対して十分満足いくものではなかった。また、アクリルゴムの相分離サイズが大きい傾向があるため、回路上にプリプレグを形成する際のブリード等による銅配線密着性に懸念があった。
本発明者らが鋭意検討した結果、熱硬化性樹脂と、無機充填材と、特定の(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有させた熱硬化性樹脂組成物は、流動性および回路成形性に優れたものとなる。また、このような樹脂組成物を含むプリプレグは、折れ曲がりによる樹脂割れや樹脂剥離などが抑制される。また、このような樹脂組成物を含むプリプレグを用いたプリント配線基板においは、微細な回路寸法を有し、かつ、イオンマイグレーション性が低く、高温高湿下での電気絶縁信頼性を高めることができることが分かった。
本発明者らは上記知見を元にさらに鋭意検討した。
その結果、このような熱硬化性樹脂組成物の硬化物をプリント配線基板を構成する絶縁層に用いることにより、低CTE化に有効で、更に応力緩和による低パッケージ反りに優れるプリント配線基板を実現できることを明らかにし、本発明を完成させた。
本発明によれば、
プリント配線基板を構成する絶縁層を形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂(A)と、
無機充填材(B)と、
下記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)とを含み、
上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の重量平均分子量が1万以上、20万以下であることを特徴とするプリント配線基板用樹脂組成物が提供される。
(上記式(1)において、R1、R2はそれぞれ独立に単数1以上、8以下の炭化水素基であり、p、q、およびrは各繰り返し単位のモル百分率であり、p+q+r≦100mol%である。)
さらに、本発明によれば、
上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)は、エポキシ価が0.05eq/kg以上、0.3eq/kg以下であるプリント配線基板用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、
上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の含有量が、上記プリント配線基板用樹脂組成物の無機充填材(B)を除く全固形分100質量%に対し、1.0質量%以上、80質量%以下であるプリント配線基板用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、
上記無機充填材(B)がタルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、および水酸化マグネシウムから選択される少なくとも一種であるプリント配線基板用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、
上記無機充填材(B)の含有量が、上記プリント配線基板用樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、50質量%以上、75質量%以下であるプリント配線基板用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、
上記無機充填材(B)が予めアミノ系、エポキシ系、チオール系の群から選択される少なくとも一種のシランカップリング剤で表面処理されたものであるプリント配線基板用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、
上記熱硬化性樹脂(A)は、下記式(2)により示される化合物、下記式(3)により示される化合物、下記式(4)により示される化合物、下記式(5)により示される化合物、下記式(6)により示される化合物、下記式(7)により示される化合物、下記式(8)により示される化合物、および下記式(9)により示される化合物から選択される少なくとも一種を含むプリント配線基板用樹脂組成物が提供される。
(上記式(2)において、AおよびBは、それぞれ独立に、置換又は非置換の芳香族環を表す。nは繰返し単位を表し、1以上、10以下の整数である。)
(上記式(9)において、nは繰返し単位を表し、1以上、10以下の整数である。)
さらに、本発明によれば、
上記プリント配線基板用樹脂組成物を繊維基材に含浸してなるプリプレグが提供される。
さらに、本発明によれば、
当該プリプレグを200℃で2時間加熱処理して得られる硬化物の、動的粘弾性測定(昇温速度5℃/min、周波数1Hz)により測定されるtanδピークが、−50℃から350℃の温度範囲に2つ以上あり、
上記tanδピークの少なくとも1つが、−50℃から150℃の温度範囲にあるプリプレグが提供される。
さらに、本発明によれば、
当該プリプレグを200℃で、2時間加熱処理して得られる硬化物の250℃での貯蔵弾性率E'250に対する30℃での貯蔵弾性率E'30の比(E'30/E'250)が、1.1超、3.0未満であるプリプレグが提供される。
さらに、本発明によれば、
上記プリプレグの硬化物を含む樹脂基板が提供される。
さらに、本発明によれば、
上記プリプレグの硬化物または上記プリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の硬化物の片面または両面に金属箔が設けられている金属張積層板が提供される。
さらに、本発明によれば、
上記樹脂基板または上記金属張積層板を回路加工して得られるものであり、少なくとも1層の回路層が設けられているプリント配線基板が提供される。
さらに、本発明によれば、
上記プリント配線基板の上記回路層上に半導体素子を搭載した半導体装置が提供される。
本発明によれば、流動性および回路成形性に優れ、低硬化収縮で微細な回路寸法を有し、かつ、高温高湿下での電気絶縁信頼性に優れるプリント配線基板を実現できるプリント配線基板用樹脂組成物、プリプレグおよび樹脂基板並びに高温高湿下での電気絶縁信頼性に優れるプリント配線基板および半導体装置を提供できる。
本実施形態における金属張積層板の構成の一例を示す断面図である。 本実施形態におけるプリント配線基板の構成の一例を示す断面図である。 本実施形態におけるプリント配線基板の構成の一例を示す断面図である。 本実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。 本実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。なお、文中の数字の間にある「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
以下、プリント配線基板用樹脂組成物(P)(以下、樹脂組成物(P)とも呼ぶ。)、プリプレグ、樹脂基板、金属張積層板200、プリント配線基板300、および半導体装置400について詳細に説明する。
はじめに、本実施形態における樹脂組成物(P)について説明する。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は、プリント配線基板を構成する絶縁層を形成するために用いられるものである。プリント配線基板を構成する絶縁層としては、例えば、コア、ビルドアップ層、ソルダーレジスト層などにおける絶縁層が挙げられる。
樹脂組成物(P)は、例えば、溶剤を含むワニス状とすることができる。
一方で、樹脂組成物(P)は、フィルム状であってもよい。この場合、例えば、ワニス状の樹脂組成物(P)を塗布して得られる樹脂膜に対し溶剤除去処理を行うことにより、フィルム状の樹脂組成物(P)を得ることができる。なお、フィルム状の樹脂組成物(P)は、キャリア基材上に積層されてキャリア付樹脂膜を構成することができる。
樹脂組成物(P)は、熱硬化性樹脂(A)と、無機充填材(B)と、下記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)とを含む。そして、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の重量平均分子量が1万以上、20万以下である。
(上記式(1)において、R1、R2はそれぞれ独立に単数1以上、8以下の炭化水素基であり、p、q、およびrは各繰り返し単位のモル百分率であり、p+q+r≦100mol%である。)
樹脂組成物(P)により形成される絶縁層は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の分散サイズが小さいため、流動性および回路形成性に優れ、ブリードの抑制や低イオンマイグレーション性に優れる。そのため、得られるプリント配線基板の絶縁層の板厚精度に優れるため、パッケージ基板として反りにくく、歩留まりや、高温高湿下の電気絶縁性を高めることができると考えられる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)は上記式(1)により示され、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル由来の繰返し単位を含む重合体である。(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)は、分子中に異なる複数の(メタ)アクリル酸エステル由来の繰返し単位を含む。R1、R2における炭素数1以上、8以下の炭化水素基としては、特に限定されないが、アルキル基又は置換アルキル基(すなわち、アルキル基のいずれかの水素原子がその他の官能基で置換されたもの)が挙げられる。アルキル基である場合は、直鎖状でもよいし、分岐を有していてもよいし、また、脂環式アルキル基であってもよい。その他、上記置換基は芳香族であってもよい。
1、R2における炭素数は、1以上、8以下であればよいが、1以上、7以下であることが好ましく、1以上、3以下であることがより好ましい。このような炭素数を有するアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチル基等が挙げられる。
上記式(1)中、下記式(1p)および下記式(1q)で表わされる繰り返し単位の具体例としては、特に限定されないが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸ベンジル等の芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸2−トリフルオロエチル等の(メタ)アクリル酸の(フルオロ)アルキルエステル;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリセリンのモノ(メタ)アクリル酸エステル等の分子中に水酸基を有する水酸基含有アクリル単量体;メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等の分子中にエポキシ基を有するアクリル単量体;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等の分子中にアリル基を有するアリル基含有アクリル単量体;γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の分子中に加水分解性シリル基を有するシラン基含有アクリル単量体;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収性基を有する紫外線吸収性アクリル単量体等が挙げられる。
上記式(1)中、下記式(1r)で表わされる繰り返し単位は、側鎖にエポキシ基を有する。それにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)に、エポキシ樹脂及び硬化剤の少なくともいずれかとの反応性を付与することができ、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)が、熱硬化性樹脂の硬化系構造に組み込まれるため、耐熱性、相溶性、耐薬品性等の向上を図ることが期待できる。
上記式(1)中、p+q+r≦100mol%である。すなわち、上記式(1)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)は、上記式(1p)、式(1q)、式(1r)で表わされる繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでも良い。そのような繰り返し単位としては、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン、エチレン、プロピレン、イソブテン等のオレフィンなどのビニル系モノマーが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)は、上記式(1p)、式(1q)、式(1r)で表わされる繰り返し単位以外の繰り返し単位として、ニトリル基を有する繰り返し単位を含まないものであることが好ましい。これにより、高温高湿化での電気信頼性の低下を、より抑制することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)は、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合などの重合方法で得ることができる。上記重合方法では、ラジカル開始剤を用いることができる。ラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)等のアゾ化合物、ジクミルパーオキシド、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、安息香酸t−ブチル等の有機過酸化物、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩などが挙げられる。重合開始剤は、単量体混合物の100質量部に対して0.01〜10質量部で使用される。分子量調節剤として、スチレンダイマーなど適宜添加することができる。上記重合反応は、0〜180℃の範囲で適宜選択できる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)を構成する繰り返し単位は、ランダムに配列していてもよいし(すなわち、ランダム共重合体であってもよい)、同種の繰り返し単位ごとにブロックとなって構成される、いわゆるブロック共重合体であってもよい。また、アクリル酸エステル共重合体は、本発明の効果が阻害されない程度であれば、分岐を有したグラフト共重合体であってもよいし、架橋体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)は、例えば、所定の単量体をラジカル重合させることで得ることができるが、このような製造方法に限定されるものではない。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の重量平均分子量は、1万以上、20万以下であり、特に好ましくは、1万以上、15万以下である。これにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)と熱硬化性樹脂との相溶性が上がり、より均一に効果系に組み込まれるため、さらに応力緩和能の効果を高めることができる。更には、プリプレグにした時に、無機充填剤を配合しても流動性を確保することができ、成形性に優れる。なお、ここでいう重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミネーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算して測定された値のことをいう。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)のエポキシ価は、特に限定されないが、0.05eq/kg以上、0.3eq/kg以下であることが好ましく、特に好ましくは、0.10eq/kg以上、0.25eq/kg以下である。(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)のエポキシ価が、上記下限値未満である場合、相分離サイズが大きくなるため、ブリードが発生したり、耐熱性が低下したりする恐れがある。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)のエポキシ価が、上記上限値より大きい場合には、相分離サイズが小さくなるため、耐薬品性や耐熱性が低下する恐れがある。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)からなる低応力化剤は、有機溶媒に可溶であって、上記プリント配線基板用樹脂組成物の他の成分と有機溶媒中で混合し、樹脂ワニスを調製したとき、溶媒に可溶な他の樹脂成分と均一に交じり合うものである。(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)は固体状のものをワニス調製時に溶媒に溶解して使用しても、予め有機溶媒に溶解した液状のものとして使用してもよい。このように、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)が溶媒に溶解して他の樹脂成分と均一に交じり合うことで、応力緩和能を高めることができ、また、加熱成形時における流動状態において樹脂成分とフィラーとの分離を抑制しやすくなると考えられる。上記有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤などが例示され、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)としては、例えば、商標名「テイサンレジン」(ナガセケミテックス株式会社)として上市されている。テイサンレジンとしては、例えば、「PMS−13−7」(Mw:10×104、エポキシ価:0.16eq/kg、エポキシ変性アクリル樹脂、ナガセケムテックス株式会社製)、「PMS−14−1」(Mw:10×104、エポキシ価:0.21eq/kg、エポキシ変性アクリル樹脂、ナガセケムテックス株式会社製)、「PMS−14−17」(Mw:10×104、エポキシ価:0.12eq/kg、エポキシ変性アクリル樹脂、ナガセケムテックス株式会社製)、「PMS−14−18」(Mw:10×104、エポキシ価:0.12eq/kg、エポキシ変性アクリル樹脂、ナガセケムテックス株式会社製)等の市販品を使用することもできる。
樹脂組成物(P)中に含まれる(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物(P)の上記無機充填材(B)を除く全固形分(すなわち、溶媒および無機充填材を除く有機成分)を100質量%としたとき、1質量%以上、80質量%以下が好ましく、5質量%以上、60質量%以下がより好ましく、10質量%以上、50質量%以下が特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の含有量が上記範囲内であると、得られるプリプレグの硬化物や樹脂基板において、反りを抑制するために必要な剛性を維持しながら、応力をより一層緩和させたり、回路層等の他の部材との密着性をより一層向上させたりすることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は、必須成分として熱硬化性樹脂(A)を含んでいる。これにより、得られるプリプレグの硬化物や樹脂基板の貯蔵弾性率E'を向上させることができる。さらに、得られる絶縁層301の線膨張係数を小さくすることができる。
熱硬化性樹脂(A)としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、熱硬化性樹脂(A)は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4'−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4'−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4'−シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリヒドロキシフェノニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、これらの中の一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよく、一種類または二種類以上とそれらのプレポリマーとを併用してもよい。
前記熱硬化性樹脂(A)は、エポキシ樹脂の中でも、特に下記式(2)〜(9)により示されるエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
(上記式(2)において、AおよびBは、それぞれ独立に、置換又は非置換の香族環を表す。nは繰返し単位を表し、1以上、10以下の整数である。)
(上記式(9)において、nは繰返し単位を表し、1以上、10以下の整数である。)
上記式(2)および(9)において、nはそれぞれ独立に、0以上、10以下の整数であり、0以上、6以下の整数であることが好ましく、0以上、4以下の整数であるのがより好ましく、0以上、3以下の整数であるのが特に好ましい。
上記式(2)において、AおよびBは、それぞれ独立に、置換又は非置換の芳香族環を表す。芳香族環状としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレイン、インダセン、ターフェニル、アセナフチレン、フェナレン等が挙げられる。
AおよびBで表わされる芳香族環は、1つでもよいし、2つ以上でもよく、2つ以上の場合、これら芳香族環は、同一でも異なっていてもよい。また、上記芳香族環は、単環構造および多環構造のいずれでもよい。
非置換の芳香族環とは、芳香族環のみからなるものであり、置換の芳香族環とは、芳香族環の芳香族炭化水素基が置換基を有するものである。芳香族炭化水素基が置換基を有するとは、芳香族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基により置換されたことをいう。置換基としては、例えば、グリシジルエーテル基を含む有機基やアルキル基が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、鎖状のアルキル基であることが好ましい。また、その炭素数は1以上、10以下であることが好ましく、1以上、6以下であることがより好ましく、1以上、4以下であることが特に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。
上記式(2)により示されるエポキシ樹脂の好ましい具体例としては、例えば、下記式(10)〜(15)により示されるエポキシ樹脂が挙げられる。
上記式(10)〜(15)において、nは0以上、10以下の整数であり、0以上、6以下の整数であることが好ましく、0以上、4以下の整数であるのがより好ましく、0以上、
3以下の整数であるのが特に好ましい。
尚、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱化学社製の「エピコート828EL」、「YL6810」および「YL980」等を用いることができる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、三菱化学社製の「jER806H」および「YL983U」、DIC社製の「EPICLON 830S」等を用いることができる。上記式(3)で表される2官能ナフタレン型エポキシ樹脂としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」および「HP4032SS」等を用いることができる。上記式(6)で表される4官能ナフタレン型エポキシ樹脂としては、DIC社製の「HP4700」および「HP4710」等を用いることができる。上記式(12)〜(15)で表されるナフトール型エポキシ樹脂としては、日本化薬社製の「NC7000L」、「NC7300L」等、新日鐵化学社製の「ESN−475V」「ESN−375」等を用いることができる。上記式(10)で表されるアラルキル型エポキシ樹脂としては、日本化薬社製の「NC3000」、「NC3000H」、「NC3000L」、「NC3000S」、「NC3000S−H」、「NC3100」、新日鐵化学社製の「ESN−170」、および「ESN−480」等を用いることができる。ビフェニル型エポキシ樹脂としては、三菱化学社製の「YX4000」、「YX4000H」、「YX4000HK」および「YL6121」等を用いることができる。アントラセン型エポキシ樹脂としては、三菱化学社製の「YX8800」等を用いることができる。上記式(7)、(8)で表されるナフチレンエーテル型エポキシ樹脂としては、DIC社製の「HP6000」、「EXA−7310」、「EXA−7311」、「EXA−7311L」および「EXA7311−G3」等を用いることができる。上記式(9)で表わされるトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、三菱化学社製の「jER1032H60」等を用いることができる。
これらエポキシ樹脂(A)の中でも特にアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、およびトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、樹脂基板の吸湿半田耐熱性および難燃性をさらに向上させることができる。
樹脂組成物(P)中に含まれる熱硬化性樹脂(A)の含有量は、その目的に応じて適宜調整されれば良く、特に限定されないが、樹脂組成物(P)の上記無機充填材(B)を除く全固形分(すなわち、溶媒および無機充填材を除く有機成分)を100質量%としたとき、20質量%以上、99質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、40質量%以上、95質量%以下、特に好ましくは、50質量部以上、90質量部以下である。熱硬化性樹脂(A)の含有量が上記下限値以上であると、ハンドリング性が向上し、プリプレグを形成するのが容易となる。熱硬化性樹脂(A)の含有量が上記上限値以下であると、得られるプリント配線基板の強度や難燃性が向上したり、プリント配線基板の線膨張係数が低下し、反りの低減効果が向上したりする場合がある。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は、必須成分として無機充填材(B)を含んでいる。これにより、得られるプリプレグの硬化物や樹脂基板の貯蔵弾性率E'を向上させることができる。さらに、得られる絶縁層301の線膨張係数を小さくすることができる。
無機充填材(B)としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。
これらの中でも、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、シリカが特に好ましい。無機充填材(B)としては、これらの中の一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
無機充填材(B)の平均粒子径は、特に限定されないが、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましい。無機充填材(B)の平均粒子径が上記下限値以上であると、ワニスの粘度が高くなるのを抑制でき、プリプレグの作製時の作業性を向上させることができる。また、無機充填材(B)の平均粒子径は、特に限定されないが、5.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.0μm以下がさらに好ましい。無機充填材(B)の平均粒子径が上記上限値以下であると、ワニス中で無機充填材(B)の沈降等の現象を抑制でき、より均一な樹脂層を得ることができる。また、プリント配線基板の回路寸法L/Sが20/20μmを下回る際には、配線間の絶縁性に影響を与えるのを抑制することができる。
無機充填材(B)の平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA−500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)を平均粒子径とすることができる。
また、無機充填材(B)の形状やサイズは、特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いてもよいし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いてもよい。さらに平均粒子径が単分散および/または多分散の無機充填材を一種類または二種類以上で併用してもよい。また、無機充填剤(B)の高充填化、高流動化の観点から、例えば平均粒子径1μm以上の無機充填剤と平均粒子径1μm未満、特に好ましくは、平均粒子径0.3μm以下の異なる無機充填剤を組合せることが好ましい。これら、無機充填剤は、アルコキシシランなどのカップリング剤等により予め表面処理されていることが好ましい。
無機充填材(B)の形状は、燐片状や針状などのように異方性がある形状である場合、高剛性化、および低CTE化に有利となる。
無機充填材(B)はシリカ粒子が好ましく、平均粒子径5.0μm以下のシリカ粒子が好ましく、平均粒子径0.1μm以上、4.0μm以下のシリカ粒子がより好ましく、0.2μm以上、2.0μm以下のシリカ粒子が特に好ましい。これにより、無機充填材(B)の充填性をさらに向上させることができる。
樹脂組成物(P)中に含まれる無機充填材(B)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物(P)の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、40.0質量%以上、85.0質量%以下が好ましく、50.0質量%以上、75.0質量%以下がより好ましい。無機充填材(B)の含有量が上記範囲内であると、得られるプリプレグの硬化物や樹脂基板をより低応力化、低熱膨張、低吸水とすることができる。
このほか、必要に応じて、樹脂組成物(P)には硬化促進剤、カップリング剤を適宜配合することができる。
硬化促進剤としては、特に限定されず、例えば、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩を有する化合物、イミダゾール系化合物等が挙げられ、これらのうちの一種または二種以上を組み合せて用いることができる。これらの中でもイミダゾール系化合物が好ましい。イミダゾール系化合物は、特に優れた触媒としての機能を有するものであることから、ビスマレイミド化合物(A)と、ベンゾオキサジン化合物(D)との重合反応をより確実に促進させることができる。
イミダゾール系化合物としては、特に限定されず、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノメチル−2−メチル−イミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等が挙げられ、これらのうちの一種または二種以上を組み合せて用いることができる。これらの中でも、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、および2−エチル−4−メチルイミダゾールであることが好ましい。これらの化合物を用いることにより、マレイミド化合物(A)と、ベンゾオキサジン化合物(D)の反応がより促進され、成形加工性が向上するとともに、得られる硬化物の耐熱性が向上するという利点が得られる。
ホスフィン化合物としては、エチルホスフィン、プロピルホスフィンのようなアルキルホスフィン、フェニルホスフィン等の1級ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィンのようなジアルキルホスフィン、ジフェニルホスフィン、メチルフェニルホスフィン、エチルフェニルホスフィン等の2級ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィンのようなトリアルキルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、アルキルジフェニルホスフィン、ジアルキルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリ−p−スチリルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリ−4−メチルフェニルホスフィン、トリ−4−メトキシフェニルホスフィン、トリ−2−シアノエチルホスフィン等の3級ホスフィン等が挙げられる。これらの中でも、3級ホスフィンが好ましく使用される。
また、ホスホニウム塩を有する化合物としては、テトラフェニルホスホニウム塩、アルキルトリフェニルホスホニウム塩等を有する化合物が挙げられ、具体的には、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−メチルフェニルボレート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。
硬化促進剤の含有量は、熱硬化性樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)との合計100質量部に対し、0.01質量部以上、5.0質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上、3.0質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上、1.5質量部以下であることが特に好ましい。硬化促進剤の含有量をかかる範囲内に設定することにより、樹脂組成物(P)から得られる硬化物の耐熱性をより優れたものとすることができる。
さらに、樹脂組成物(P)は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤は樹脂組成物(P)の調製時に直接添加してもよいし、無機充填材(B)にあらかじめ添加しておいてもよい。カップリング剤の使用により、繊維基材または無機充填材(B)と各樹脂との界面の濡れ性を向上させることができる。したがって、カップリング剤を使用することは好ましく、得られるプリプレグの硬化物や樹脂基板の耐熱性を改良することができる。
カップリング剤としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
これにより、繊維基材または無機充填材(B)と各樹脂との界面の濡れ性を高くすることができ、得られるプリプレグの硬化物や樹脂基板の耐熱性をより向上させることができる。
シランカップリング剤としては、各種のものを用いることができるが、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−6−(アミノヘキシル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ベンゼンジメタナン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうちの一種または二種以上を組み合せて用いることができる。これらのうちエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシランが好ましく、アミノシランとしては、1級アミノシラン又はアニリノシランがより好ましい。
カップリング剤の添加量は、無機充填材(B)の比表面積に依存するので特に限定されないが、樹脂組成物(P)の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、0.01質量%以上、1質量%以下が好ましく、0.05質量%以上、0.5質量%以下がより好ましい。
カップリング剤の含有量が上記下限値以上であると、無機充填材(B)を十分に被覆することができ、得られるプリプレグの硬化物や樹脂基板の耐熱性を向上させることができる。また、カップリング剤の含有量が上記上限値以下であると、反応に影響を与えるのを抑制でき、得られるプリプレグの硬化物や樹脂基板の曲げ強度等の低下を抑制することができる。
さらに、樹脂組成物(P)には、本発明の目的を損なわない範囲で、硬化促進剤、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤等の上記成分以外の添加物を添加してもよい。
顔料としては、カオリン、合成酸化鉄赤、カドミウム黄、ニッケルチタン黄、ストロンチウム黄、含水酸化クロム、酸化クロム、アルミ酸コバルト、合成ウルトラマリン青等の無機顔料、フタロシアニン等の多環顔料、アゾ顔料等が挙げられる。
染料としては、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、キサンテン、ジケトピロロピロール、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、インジゴイド、オキサジン、キナクリドン、ベンツイミダゾロン、ビオランスロン、フタロシアニン、アゾメチン等が挙げられる。
樹脂組成物(P)は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、N−メチルピロリドン等の有機溶媒中で、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、自転公転式分散方式等の各種混合機を用いて溶解、混合、撹拌して樹脂ワニス(I)とすることができる。
樹脂ワニス(I)の固形分は、特に限定されないが、40質量%以上、80質量%以下が好ましく、特に50質量%以上、70質量%以下が好ましい。これにより、樹脂ワニス(I)の繊維基材への含浸性をさらに向上させることができる。
以上の樹脂組成物(P)において、各成分の割合は、例えば、以下のようである。
樹脂組成物(P)の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、好ましくは、熱硬化性樹脂(A)の割合が1.0質量%以上、25.0質量%以下であり、無機充填材(B)の割合が50.0質量%以上、85.0質量%以下であり、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の割合が0.5質量%以上、15.0質量%以下であり、より好ましくは、熱硬化性樹脂(A)の割合が5.0質量%以上、20.0質量%以下であり、無機充填材(B)の割合が60.0質量%以上、80.0質量%以下であり、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の割合が1.0質量%以上、10.0質量%以下である。
次に、本実施形態におけるプリプレグについて説明する。
プリプレグは、プリント配線基板の絶縁層を形成するために用いられるものである。プリプレグは、例えば、本実施形態における樹脂組成物(P)を繊維基材に含浸させ、その後、半硬化させて得られるシート状の材料である。
また、樹脂基板は、プリント配線基板の絶縁層を形成するために用いられる。
ここで、樹脂基板はプリプレグの硬化物を含むものであり、例えば、プリプレグを加熱硬化することによって得ることができる。
プリプレグは、例えば、プリント配線基板を構成するビルドアップ層中の絶縁層やコア層中の絶縁層を形成するために用いることができる。
プリプレグをプリント配線基板を構成するコア層中の絶縁層を形成するために用いる場合は、例えば、2枚以上のプリプレグを重ね、得られた積層体を加熱硬化することによりコア層用の絶縁層とすることもできる。
プリプレグの厚さは、例えば、5μm以上、70μm以下である。プリプレグの厚さが上記範囲内であると、機械的強度および生産性のバランスが特に優れ、薄型のプリント配線基板に適した樹脂基板を得ることができる。
また、半導体パッケージの反りを抑制する観点から、プリプレグを、例えば、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形して得られる硬化物または樹脂基板の、動的粘弾性測定(昇温速度5℃/min、周波数1Hz)により測定されるtanδピークが、−50℃から350℃の温度範囲に2つ以上あり、上記−50℃から350℃の温度範囲にあるtanδピークの少なくとも1つが、−50℃から150℃の温度範囲にあることが好ましく、−50℃から100℃の温度範囲にあることがより好ましく、−50℃から50℃の温度範囲にあることがさらに好ましい。
上記硬化物または樹脂基板において、動的粘弾性測定(昇温速度5℃/min、周波数1Hz)により測定される、tanδピークが存在する温度が上記範囲を満たすと、得られるプリント配線基板の応力緩和作用が高まり、実装時のプリント配線基板の反りをより一層低減できる。その結果、得られる半導体装置について、半導体素子のプリント配線基板に対する位置ずれをより一層抑制でき、半導体素子とプリント配線基板との間の接続信頼性をより一層高めることができる。
このようなガラス転移温度を達成するためには、熱硬化性樹脂(A)、無機充填材(B)、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)、繊維基材、硬化促進剤等の種類や配合量、プリプレグの製造方法等をそれぞれ適切に制御することが重要である。
また、プリプレグを用いて得られるプリント配線基板の剛性や耐熱性、応力緩和能のバランスをより一層向上させる観点から、プリプレグを、例えば、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形して得られる硬化物または樹脂基板の30℃での貯蔵弾性率E'30が、好ましくは5GPa以上であり、さらに好ましくは8GPa以上である。上限値については、特に限定されるものではないが、例えば、20GPa以下とすることができる。
上記硬化物または樹脂基板において、30℃での貯蔵弾性率E'30が上記範囲を満たすと、得られるプリント配線基板の剛性や耐熱性、応力緩和能の性能バランスが向上し、実装時のプリント配線基板の反りをより一層低減できる。その結果、得られる半導体装置について、半導体素子のプリント配線基板に対する位置ずれをより一層抑制でき、半導体素子とプリント配線基板との間の接続信頼性をより一層高めることができる。
また、プリプレグを用いて得られるプリント配線基板の剛性や耐熱性、応力緩和能のバランスをより一層向上させる観点から、プリプレグを、例えば、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形して得られる硬化物または樹脂基板の250℃での貯蔵弾性率E'250に対する30℃での貯蔵弾性率E'30の比(E'30/E'250)が、1.1超、3.0未満であることが好ましい。
上記硬化物または樹脂基板において、E'30/E'250が上記範囲を満たすと、温度変化に対するプリント配線基板の熱応力の蓄積をより一層抑制できる。これにより、大きな温度変化が生じても絶縁層の変形等が起きにくく、半導体素子のプリント配線基板に対する位置ずれを抑制でき、半導体素子とプリント配線基板との間の接続信頼性をより一層高めることができる。
このような貯蔵弾性率E'30やE'30/E'250を達成するためには、熱硬化性樹脂(A)、無機充填材(B)、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)、繊維基材、硬化促進剤等の種類や配合量、プリプレグの製造方法等をそれぞれ適切に制御することが重要である。
図1は、本実施形態における金属張積層板200の構成の一例を示す断面図である。金属張積板200は、プリプレグの硬化物(絶縁層301)、またはプリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の硬化物(絶縁層301)の片面または両面に金属箔105が設けられている。金属張積層板200は、プリント配線基板の絶縁層を形成するために用いることができる。
つづいて、プリプレグの製造方法について説明する。
プリプレグは、例えば、本実施形態における樹脂組成物(P)を繊維基材に含浸させ、その後、半硬化させて得られるシート状の材料である。このような構造のシート状材料は、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れ、プリント配線基板の絶縁層の製造に適している。
樹脂組成物(P)を繊維基材11に含浸させる方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物(P)を溶剤に溶かして樹脂ワニスを調製し、繊維基材11を上記樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより上記樹脂ワニスを繊維基材11に塗布する方法、スプレーにより上記樹脂ワニスを繊維基材11に吹き付ける方法、繊維基材11の両面から樹脂組成物(P)からなる樹脂層(P)で繊維基材11をラミネートする方法等が挙げられる。
つづいて、上記で得られたプリプレグを用いた金属張積層板200の製造方法について説明する。プリプレグを用いた金属張積層板200の製造方法は、例えば以下の通りである。
プリプレグまたはプリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の外側の上下両面または片面に金属箔105を重ね、ラミネーター装置やベクレル装置を用いて高真空条件下でこれらを接合する、あるいはそのままプリプレグの外側の上下両面または片面に金属箔105を重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔105を重ねる。
次いで、プリプレグと金属箔105とを重ねた積層体を加熱加圧成形することで金属張積層板200を得ることができる。ここで、加熱加圧成形時に、冷却終了時まで加圧を継続することが好ましい。
上記の加熱加圧成形するときの加熱温度は、120℃以上、250℃以下が好ましく、150℃以上、240℃以下がより好ましい。
また、上記の加熱加圧成形するときの圧力は、0.5MPa以上、5MPa以下が好ましく、2.5MPa以上、5MPa以下の高圧がより好ましい。
また、加熱加圧成形後に、必要に応じて、恒温槽等で後硬化を行ってもよい。後硬化の温度は、好ましくは150℃以上、300℃以下であり、より好ましくは250℃以上、300℃以下である。
また、この金属張積層板200または樹脂基板をコア基板として用いてプリント配線基板を得ることができる。
以下、プリプレグ、金属張積層板200および樹脂基板を製造する際に使用する各材料について詳細に説明する。
金属箔105を構成する金属としては、例えば、銅、銅系合金、アルミ、アルミ系合金、銀、銀系合金、金、金系合金、亜鉛、亜鉛系合金、ニッケル、ニッケル系合金、錫、錫系合金、鉄、鉄系合金、コバール(商標名)、42アロイ、インバー、スーパーインバー等のFe−Ni系の合金、W、Mo等が挙げられる。これらの中でも、金属箔105を構成する金属としては、導電性に優れ、エッチングによる回路形成が容易であり、また安価であることから銅または銅合金が好ましい。すなわち、金属箔105としては、銅箔が好ましい。
また、金属箔105としては、キャリア付金属箔等も使用することができる。
金属箔105の厚さは、好ましくは0.5μm以上、20μm以下であり、より好ましくは1.5μm以上、18μm以下である。
次いで、本実施形態に用いられる繊維基材について説明する。
繊維基材としては、とくに限定されないが、ガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維基材;ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維等のポリアミド系樹脂繊維;ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維等のポリエステル系樹脂繊維;ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維のいずれかを主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材;クラフト紙、コットンリンター紙、あるいはリンターとクラフトパルプの混抄紙等を主成分とする紙基材;等が挙げられる。これらのうち、いずれかを使用することができる。これらの中でもガラス繊維基材が好ましい。これにより、低吸水性で、高強度、低熱膨張性の樹脂基板を得ることができる。
繊維基材の厚さは、とくに限定されないが、好ましくは5μm以上、150μm以下であり、より好ましくは5μm以上、100μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上、70μm以下、特に好ましくは、5μm以上、50μm以下である。このような厚さを有する繊維基材を用いることにより、プリプレグ製造時のハンドリング性がさらに向上できる。
繊維基材の厚さが上記上限値以下であると、繊維基材中の樹脂組成物(P)の含浸性が向上し、ストランドボイドや絶縁信頼性の低下の発生を抑制することができる。また炭酸ガス、UV、エキシマ等のレーザーによるスルーホールの形成を容易にすることができる。また、繊維基材の厚さが上記下限値以上であると、繊維基材やプリプレグの強度を向上させることができる。その結果、ハンドリング性が向上できたり、プリプレグの作製が容易となったり、樹脂基板の反りを抑制できたりする。
また、繊維基材の平均フィラメント径は、3μm以上、7μm以下であることが好ましく、4μm以上、6μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは4μm以上、5μm以下である。
繊維基材の平均フィラメント径が、上記範囲を満たすと、得られるプリント配線基板の剛性が高まり、実装時のプリント配線基板の反りをより一層低減できる。その結果、得られる半導体装置について、半導体素子のプリント配線基板に対する位置ずれをより一層抑制でき、半導体素子とプリント配線基板との間の接続信頼性をより一層高めることができる。
また、繊維基材の坪重量は、5g/m2以上、120g/m2以下であることが好ましく、5g/m2以上、85g/m2以下であることがより好ましく、さらに好ましくは10g/m2以上、55g/m2以下である。
繊維基材の坪重量が、上記範囲を満たすと、得られるプリント配線基板の剛性が高まり、実装時のプリント配線基板の反りをより一層低減できる。その結果、得られる半導体装置について、半導体素子のプリント配線基板に対する位置ずれをより一層抑制でき、半導体素子とプリント配線基板との間の接続信頼性をより一層高めることができる。
ガラス繊維基材として、例えば、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラス、UTガラス、Lガラス、HPガラスおよび石英ガラスから選ばれる一種または二種以上のガラスにより形成されたガラス繊維基材が好適に用いられる。
次に、本実施形態に係るプリント配線基板300について説明する。図2および図3は、本実施形態におけるプリント配線基板300の構成の一例を示す断面図である。
プリント配線基板300は、ビアホール307が設けられた絶縁層301と、絶縁層301の少なくとも一方の面に設けられた金属層303とを少なくとも有する。なお、本実施形態において、ビアホール307とは層間を電気的に接続するための孔であり、貫通孔および非貫通孔いずれでもよい。
本実施形態に係るプリント配線基板300は、図2に示すように、片面プリント配線基板であってもよいし、両面プリント配線基板または多層プリント配線基板であってもよい。両面プリント配線基板とは、絶縁層301の両面に金属層303を積層したプリント配線基板である。また、多層プリント配線基板とは、メッキスルーホール法やビルドアップ法等により、絶縁層301上に、層間絶縁層(ビルドアップ層とも呼ぶ。)を介して金属層303を2層以上積層したプリント配線基板である。
ここで、本実施形態に係るプリント配線基板300において、絶縁層301が本実施形態に係る樹脂基板または金属張積層板200の絶縁層301に相当する。
金属層303は、例えば、回路層であり、金属箔105および/または無電解金属めっき膜308と、電解金属めっき層309とを有する。
プリント配線基板300が、図3に示すような多層プリント配線基板の場合は、金属層303は、コア層311またはビルドアップ層317中の回路層である。
金属層303は、例えば、薬液処理またはプラズマ処理された金属箔105または絶縁層301の面上に、SAP(セミアディティブプロセス)法により形成される。金属箔105または絶縁層301上に無電解めっき膜308を施した後、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより電解金属めっき層309付けを行い、めっきレジストの除去とフラッシュエッチングによる無電解金属めっき膜308の除去により、金属箔105または絶縁層301上に金属層303を形成する。
金属層303の回路寸法は、ラインアンドスペース(L/S)で表わすとき、25μm/25μm以下とすることができ、特に15μm/15μm以下とすることができる。回路寸法を小さくし、微細配線にすると配線間の絶縁信頼性が低下する。しかし、本実施形態に係るプリント配線基板300は、ラインアンドスペース(L/S)15μm/15μm以下の微細配線が可能であり、ラインアンドスペース(L/S)10μm/10μm程度までの微細化を達成できる。
金属層303の厚さは、特に限定されないが、通常は5μm以上、25μm以下である。
ビルドアップ層317中の絶縁層305は、絶縁性の材料により構成されていれば特に限定されないが、例えば、樹脂フィルム、プリプレグのいずれかにより構成することができる。これらの中でも、プリプレグはシート状材料であり、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れ、プリント配線基板用のビルドアップ層317の製造に適しており好ましい。
プリプレグとしては、前述したプリプレグが特に好ましい。
コア層311中の絶縁層301(ビルドアップ層317を含まないプリント配線基板300中の絶縁層301も含む。)の厚さは、好ましくは0.025mm以上、0.3mm以下である。絶縁層301の厚さが上記範囲内であると、機械的強度および生産性のバランスが特に優れ、薄型プリント配線基板に適した絶縁層301を得ることができる。
ビルドアップ層317中の絶縁層305の厚さは、好ましくは0.015mm以上、0.05mm以下である。絶縁層305の厚さが上記範囲内であると、機械的強度および生産性のバランスが特に優れ、薄型プリント配線基板に適した絶縁層305を得ることができる。
つづいて、プリント配線基板300の製造方法の一例について説明する。ただし、本実施形態に係るプリント配線基板300の製造方法は、以下の例に限定されない。
はじめに、金属張積層板200を準備する。
次いで、エッチング処理により、金属箔105の一部またはすべてを除去する。
次いで、絶縁層301にビアホール307を形成する。ビアホール307は、例えば、ドリル機やレーザー照射を用いて形成することができる。レーザー照射に用いるレーザーは、エキシマレーザー、UVレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられる。ビアホール307を形成後の樹脂残渣等は、過マンガン酸塩、重クロム酸塩等の酸化剤等により除去してもよい。
なお、エッチング処理による金属箔105の除去前に、絶縁層301にビアホール307を形成してもよい。
次いで、金属箔105または絶縁層301の表面に対して、薬液処理またはプラズマ処理を行う。
薬液処理としては、特に限定されず、有機物分解作用を有する酸化剤溶液等を使用する方法等が挙げられる。また、プラズマ処理としては、対象物となるものに直接酸化作用の強い活性種(プラズマ、ラジカル等)を照射して有機物残渣を除去する方法等が挙げられる。
次に、金属層303を形成する。金属層303は、例えば、セミアディティブプロセス(SAP)またはモディファイドセミアディティブプロセス(MSAP)により形成することができる。以下、具体的に説明する。
はじめに、無電解めっき法を用いて、金属箔105または絶縁層301の表面やビアホール307内に無電解金属めっき膜308を形成し、プリント配線基板300の両面の導通を図る。またビアホール307は、導体ペースト、または樹脂ペーストで適宜埋めることができる。無電解めっき法の例を説明する。例えば、まず金属箔105または絶縁層301の表面上やビアホール307内に触媒核を付与する。この触媒核としては、特に限定されないが、例えば、貴金属イオンやパラジウムコロイドを用いることができる。引き続き、この触媒核を核として、無電解めっき処理により無電解金属めっき膜308を形成する。無電解めっき処理には、例えば、硫酸銅、ホルマリン、錯化剤、水酸化ナトリウム等を含むものを用いることができる。なお、無電解めっき後に、100〜250℃の加熱処理を施し、めっき被膜を安定化させることが好ましい。120〜180℃の加熱処理が酸化を抑制できる被膜を形成できる点で、特に好ましい。また、無電解金属めっき膜308の平均厚さは、例えば、0.1〜2μm程度である。
次いで、金属箔105および/または無電解金属めっき膜308上に所定の開口パターンを有するめっきレジストを形成する。この開口パターンは、例えば回路パターンに相当する。めっきレジストとしては、特に限定されず、公知の材料を用いることができるが、液状およびドライフィルムを用いることができる。微細配線形成の場合には、めっきレジストとしては、感光性ドライフィルム等を用いることが好ましい。感光性ドライフィルムを用いた一例を説明する。例えば、無電解金属めっき膜308上に感光性ドライフィルムを積層し、非回路形成領域を露光して光硬化させ、未露光部を現像液で溶解、除去する。硬化した感光性ドライフィルムを残存させることにより、めっきレジストを形成する。
次いで、少なくともめっきレジストの開口パターン内部かつ金属箔105および/または無電解金属めっき膜308上に、電気めっき処理により、電解金属めっき層309を形成する。電気めっき処理としては、特に限定されないが、通常のプリント配線基板で用いられる公知の方法を使用することができ、例えば、硫酸銅等のめっき液中に浸漬させた状態で、めっき液に電流を流す等の方法を使用することができる。電解金属めっき層309は単層でもよく多層構造を有していてもよい。電解金属めっき層309の材料としては、特に限定されないが、例えば、銅、銅合金、42合金、ニッケル、鉄、クロム、タングステン、金、半田のいずれか一種以上を用いることができる。
次いで、アルカリ性剥離液や硫酸または市販のレジスト剥離液等を用いてめっきレジストを除去する。
次いで、電解金属めっき層309が形成されている領域以外の金属箔105および/または無電解金属めっき膜308を除去する。例えば、ソフトエッチング(フラッシュエッチング)等を用いることにより、金属箔105および/または無電解金属めっき膜308を除去することができる。ここで、ソフトエッチング処理は、例えば、硫酸および過酸化水素を含むエッチング液を用いたエッチングにより行うことができる。これにより、金属層303を形成することができる。金属層303は、金属箔105および/または無電解金属めっき膜308と、電解金属めっき層309と、により構成されることになる。
さらに、プリント配線基板300上に、必要に応じてビルドアップ層317を積層して、セミアディティブプロセスにより層間接続および回路形成する工程を繰り返すことにより、多層にすることができる。
以上により、本実施形態のプリント配線基板300が得られる。
つづいて、本実施形態に係る半導体装置400について説明する。図4および図5は、本実施形態における半導体装置400の構成の一例を示す断面図である。プリント配線基板300は、図4および図5に示すような半導体装置400に用いることができる。半導体装置400の製造方法としては、特に限定されないが、例えば以下のような方法がある。
まず、金属層303(回路層)上に、必要に応じてビルドアップ層を積層して、セミアディティブプロセスにより層間接続および回路形成する工程を繰り返す。そして、必要に応じてソルダーレジスト層401をプリント配線基板300の両面または片面に積層する。
ソルダーレジスト層401の形成方法は、特に限定されないが、例えば、ドライフィルムタイプのソルダーレジストをラミネートし、露光、および現像することにより形成する方法、または液状レジストを印刷したものを露光、および現像により形成する方法によりなされる。
つづいて、リフロー処理を行なうことによって、半導体素子407を回路層の一部である接続端子上に半田バンプ410を介して固着させる。その後、半導体素子407、半田バンプ410等を封止材413で封止することによって、図4および図5に示す様な半導体装置400が得られる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば、本実施形態では、プリプレグが1層の場合を示したが、プリプレグを2層以上積層したものを用いて絶縁層を作製してもよい。
また、上記実施形態では、半導体素子407と、プリント配線基板300の回路層とを半田バンプ410で接続したが、これに限られるものではない。例えば、半導体素子407とプリント配線基板300の回路層とをボンディングワイヤで接続してもよい。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例では、部は特に特定しない限り質量部を表す。また、それぞれの厚さは平均膜厚で表わされている。
実施例および比較例では、以下の原料を用いた。
マレイミド化合物1:多官能型マレイミド(BMI−2300、大和化成工業社製)
ベンゾオキサジン化合物1:ジアミノジフェルメタン型ベンゾオキサジン(P−d型ベンゾオキサジン、四国化成工業社製)
エポキシ樹脂1:式(3)で表される2官能ナフタレン型エポキシ樹脂(HP−4032D、DIC社製)
エポキシ樹脂2:式(6)で表される4官能ナフタレン型エポキシ樹脂(HP−4710、DIC社製)
エポキシ樹脂3:式(7)、式(8)で表されるナフタレンエーテル型エポキシ樹脂(HP−6000、DIC社製)
(式(7)で表わされるナフタレンエーテル型エポキシ樹脂と式(8)で表わされるナフタレンエーテル型エポキシ樹脂の混合物)
エポキシ樹脂4:式(10)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000、日本化薬社製)
エポキシ樹脂5:式(11)で表されるフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−2000L、日本化薬社製)
エポキシ樹脂6:式(12)で表されるナフタレン型エポキシ樹脂(NC−7000L、日本化薬社製)
エポキシ樹脂7:式(9)で表されるトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂(jER1032H60、日本化薬社製)
エポキシ樹脂8:式(14)で表されるナフタレン型エポキシ樹脂(ESN−475V、新日鉄住金化学社製)
エポキシ樹脂9:式(15)で表されるナフタレン型エポキシ樹脂(ESN―375、新日鉄住金化学社製)
フェノール樹脂1:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(GPH−103、日本化薬社製)
フェノール樹脂2:ナフタレンアラルキル型フェノール樹脂(SN−485、新日鉄住金化学社製)
無機充填材1:平均粒子径1.1μm、フェニルアミノシラン処理のシリカスラリー(SC4050、アドマテック社製)
無機充填剤2:平均粒子径0.15μm、フェニルアミノシラン処理のシリカスラリー(UFP−30、電気化学工業社製)
(メタ)アクリル酸エステル重合体1:「PMS−14−17」(Mw:10×104、エポキシ変性アクリル樹脂、Tg=−10℃、エポキシ価=0.12eq/kg、ナガセケムテックス株式会社製)
(メタ)アクリル酸エステル重合体2:「PMS−14−18」(Mw:10×104、エポキシ変性アクリル樹脂、Tg=−5℃、エポキシ価=0.12eq/kg、ナガセケムテックス株式会社製)
(メタ)アクリル酸エステル重合体3:合成例1(Mw:12×104、エポキシ変性アクリル樹脂、Tg=7℃、エポキシ価=0.34eq/kg
合成例1((メタ)アクリル酸エステル重合体3)
温度計、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、溶剤としてメチルエチルケトン500g中に、ブチルメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルNB)40質量部、エチルメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルE)35質量部、グリシジルメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルG)25質量部を仕込み、温度を約70〜80℃に保持しながら、ジ−tert−ブチルパーオキサイド5部を1時間かけて滴下添加し、滴下終了後約4時間撹拌し(メタ)アクリル酸エステル重合体3を得た。
(メタ)アクリル酸エステル重合体4:合成例2(Mw:9×104、エポキシ変性アクリル樹脂、Tg=−5℃、エポキシ価=0.07eq/kg)
合成例2((メタ)アクリル酸エステル重合体4)
温度計、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、溶剤としてメチルエチルケトン500g中に、ブチルメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルNB)53質量部、エチルメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルE)43質量部、グリシジルメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルG)4質量部を仕込み、温度を約70〜80℃に保持しながら、ジ−tert−ブチルパーオキサイド5部を1時間かけて滴下添加し、滴下終了後約2時間撹拌し(メタ)アクリル酸エステル重合体4を得た。
(メタ)アクリル酸エステル重合体5:「SG−P3Mw4」(Mw:15×104、エポキシ変性アクリル樹脂(但し、アクリロニトリル基を有する)、Tg=12℃、エポキシ価=0.21eq/kg、ナガセケムテックス株式会社製)
(メタ)アクリル酸エステル重合体6:合成例3(Mw:15×104、エポキシ変性アクリル樹脂、Tg=5℃、エポキシ価=0.03eq/kg)
合成例3((メタ)アクリル酸エステル重合体6)
温度計、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、溶剤としてメチルエチルケトン500g中に、ブチルアクリレート50質量部、エチルメタクリレート49.5質量部、グリシジルメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルG)0.5質量部を仕込み、温度を約70〜80℃に保持しながら、ジ−tert−ブチルパーオキサイド5部を1時間かけて滴下添加し、滴下終了後約4時間撹拌し(メタ)アクリル酸エステル重合体6を得た。
(メタ)アクリル酸エステル重合体7:合成例4(Mw:65×104、エポキシ変性アクリル樹脂、Tg=11℃、エポキシ価=0.20eq/kg)
合成例4((メタ)アクリル酸エステル重合体7)
温度計、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、溶剤としてメチルエチルケトン500g中に、ブチルメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルNB)50質量部、エチルメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルE)40質量部、グリシジルメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルG)10質量部を仕込み、温度を約70〜80℃に保持しながら、ジ−tert−ブチルパーオキサイド1部を1時間かけて滴下添加し、滴下終了後約4時間撹拌し(メタ)アクリル酸エステル重合体7を得た。
(メタ)アクリル酸エステル重合体8:合成例5(Mw:12×104、エポキシ基を有さないアクリル樹脂、Tg=3℃)
合成例5((メタ)アクリル酸エステル重合体8)
温度計、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、溶剤としてメチルエチルケトン500g中に、ブチルアクリレート50質量部、エチルメタクリレート50質量部を仕込み、温度を約70〜80℃に保持しながら、ジ−tert−ブチルパーオキサイド6部を1時間かけて滴下添加し、滴下終了後約4時間撹拌し(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。
コアシェル粒子1:平均粒子径0.5μm、アクリル樹脂系コアシェル粒子(AC3355、アイカ工業社製)
シランカップリング剤1:アミノフェニルトリメトキシシラン(KBM−573、信越化学工業社製)
硬化促進剤1:2−フェニルイミダゾール(四国化成社製、2PZ−PW)
次に、プリプレグの製造について説明する。使用した樹脂ワニスの組成を表1(質量部)に示し、得られたプリプレグ1〜21の評価結果等を表2に示す。なお、表2に記載のP1〜P21とはプリプレグ1〜プリプレグ21を意味する。
[1]プリプレグ1
1.樹脂ワニス1の調製
表1に示す固形分割合で各成分を溶解または分散させ、メチルエチルケトンで不揮発分70質量%となるように調整し、高速撹拌装置を用い撹拌して樹脂ワニス1を調製した。
2.プリプレグの製造
(プリプレグ1)
ガラス織布(クロスタイプ#1280、Tガラス、坪量54g/m2)に樹脂ワニス1を塗布装置で含浸させ、140℃の熱風乾燥装置で10分間乾燥して、厚さ60μmのプリプレグ1(P1)を得た。
(実施例1)
1.樹脂基板の製造
プリプレグ1の両面に極薄銅箔(三井金属鉱業社製、マイクロシンEx、2.0μm)を重ね合わせ、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形することにより、樹脂基板を得た。得られた金属箔付き樹脂基板のコア層(樹脂基板からなる部分)の厚さは、0.06mmであった。
2.プリント配線基板の製造
前項で得られた金属箔付き樹脂基板の表面の極薄銅箔層に約1μmの粗化処理を施した後、炭酸ガスレーザーで、層間接続用のφ80μmのスルーホールを形成した。次いで、60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に2分間浸漬後、中和してスルーホール内のデスミア処理を行った。次に、無電解銅メッキを厚さ0.5μmで行い、電解銅メッキ用レジスト層を厚さ18μm形成し、パターン銅メッキし、温度150℃時間30分加熱してポストキュアした。次いでメッキレジストを剥離し全面をフラッシュエッチングして、L/S=15/15μmのパターンを形成した。
(実施例2〜17および比較例1〜4)
プリプレグの種類を表2に示すものに変えた以外は、実施例1と同様に樹脂基板、プリント配線板を作製した。
また、各実施例および比較例により得られた樹脂基板について、次の各評価を行った。評価結果を表2に示す。
(1)tanδピーク
ガラス転移温度の測定は、動的粘弾性測定(DMA装置、TAインスツルメント社製、Q800))で行った。
得られた金属箔付き樹脂基板の銅箔をエッチング除去した樹脂基板から8mm×40mmのテストピースを切り出し、プリプレグの硬化物を得た。次いで、得られたプリプレグの硬化物を用いて温度範囲−50〜350℃、昇温速度5℃/min、周波数1Hzで動的粘弾性測定を行い、tanδピークを観測した。なお、tanδピークが複数存在する場合は、最も低温側のピーク温度を表2に記載した。
(2)貯蔵弾性率E'
評価(1)と同様のサンプル、および測定を行い、30℃および250℃での貯蔵弾性率測定をおこない、30℃での貯蔵弾性率E'30、250℃での貯蔵弾性率E'250、E'30/E'250を算出した。
(3)線熱膨張係数
得られた金属箔付き樹脂基板の銅箔をエッチング除去した樹脂基板から、タテ6mm×ヨコ5mmのテストピースを切り出し、プリプレグの硬化物を得た。次いで、得られたプリプレグの硬化物に対し、熱機械分析装置TMA(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて、温度範囲30〜260℃、昇温速度10℃/min、荷重10g、圧縮モードの条件で熱機械分析(TMA)を2サイクル測定した。50℃から150℃の範囲における平面方向(タテ(X)方向)の線膨張係数の平均値α1および150℃から250℃の範囲における平面方向(タテ(X)方向)の線膨張係数の平均値α2、α2/α1を算出した。
なお、膨脹係数は、2サイクル目の値を採用した。
(4)CCLの半田耐熱(P2+260℃)
得られた金属箔付樹脂基板のキャリア箔を除去後、JIS C6481準拠してサンプルを作製した。次いで、吸湿処理として飽和プレッシャークッカー装置を用いて、温度121℃、湿度100%、時間5時間処理後に、260℃の半田槽に60秒間フロートさせて、外観変化の異常の有無を目視にて観察した。評価基準は以下の通りである。
○:異常なし
×:膨れ、剥がれあり
(5)樹脂シートの絶縁信頼性
各実施例および各比較例について、得られたワニスを12μm銅箔(ULSPR2−12、日本電解社製)上に塗布した後、140℃、2分の条件で溶剤を除去して、厚さ15μmの熱硬化性樹脂膜を形成した。次いで、0.1mm厚の12μ銅張付のn積層板(LAZ−4785GH−G、住友ベークライト社製)の表面をCZ処理(CZ−8101,メック社製)で1μm粗化処理表面に、積層し、200℃1h硬化した。外層銅箔を10mmΦのドット配線を形成、樹脂硬化膜15μmの試験サンプルを作製した。この試験サンプルを用いて、温度130℃、湿度85%、印加電圧10Vの条件で連続湿中絶縁抵抗を評価した。なお、抵抗値106Ω以下を故障とした。評価基準は以下の通りである。
◎:500時間以上故障なし
○:200〜500時間未満で故障あり(実質上問題なし)
×:200時間未満で故障あり
(6)スルーホール絶縁信頼性試験
上記したプリント配線板の製造において、層間接続のΦ80μmのスルーホールを壁間80μmで20対形成した。次に、回路パターン上に、ビルドアップ材(住友ベークライト社製、BLA−3700GS)を積層、硬化した試験サンプルを作製した。この試験サンプルを用いて、温度130℃、湿度85%、印加電圧5.5Vの条件で連続湿中絶縁抵抗を評価した。なお、抵抗値106Ω以下を故障とした。評価基準は以下の通りである。
◎:500時間以上故障なし(良好)
〇:200〜500時間未満で故障あり(実質上問題なし)
△:200時間未満で故障あり(実質上使用不可)。
×:100時間未満で故障あり(使用不可)
(7)半導体装置の反り評価
回路パターンを形成した後のプリント配線基板にビルドアップ材(住友ベークライト社製、BLA−3700GS)を積層硬化し、セミアディティブ法で回路加工した。その上に、タテ10mm×ヨコ10mm×厚さ100μmの半田バンプ付半導体素子を実装し、アンダーフィル(住友ベークライト社製、CRP−4160G)で封止し、150℃で2時間硬化させた。最後に、タテ15mm×ヨコ15mmにダイシングし半導体装置を作製した。
得られた半導体装置の25℃と260℃での反りを温度可変レーザー三次元測定機(日立テクノロジーアンドサービス社製、形式LS220−MT100MT50)を用いて評価した。上記測定機のサンプルチャンバーに半導体素子面を下にして設置し、各温度の反りを測定し、25℃から260℃までの変化量を算出した。
評価基準は以下の通りである。
◎ :変化量が150μm未満
〇 :変化量が150μm以上、250μm未満
× :変化量が250μm以上
(8)半導体装置のヒートサイクル試験
得られた半導体装置4個を85℃、85%の条件下で168時間処理後、IRリフロー炉(ピーク温度:260℃)で3回処理し、大気中で、−55℃(15分)、125℃(15分)で500サイクル処理した。つぎに、超音波映像装置(日立建機ファインテック社製、FS300)を用いて、半導体素子、半田バンプに異常がないか観察した。評価基準は以下の通りである。
◎:半導体素子、半田バンプともに異常なし。
〇:半導体素子および/または半田バンプの一部にクラックが見られるが実用上問題なし。
×:半導体素子および/または半田バンプの一部または全部にクラックが見られ実用上問題あり。
(9)半導体装置のマルチリフロー試験
上記で得られた半導体装置を、IPC/JEDECのJ−STD−20に準拠した260℃リフロー炉に繰り返し通し、5回毎に、目視、ないし超音波深傷検査装置で半導体装置の絶縁層の剥離、クラック、を評価した。評価基準は以下の通りである。
各符号は以下の通りである。
◎:15回以上絶縁層の剥離等、または銅通不良なし。
○:5回以上、15回未満で絶縁層の剥離等、または銅通不良が発生した。
×:5回未満 絶縁層の剥離等、または銅通不良が発生した。
表1、表2から明らかのように、各比較例に比べ、実施例1〜17は、半導体装置の反りを低減し、微細配線加工、および絶縁信頼性のいずれも優れる結果になった。更に、半導体装置の接続信頼性も優れる結果になった。
105 金属箔
200 金属張積層板
300 プリント配線基板
301 絶縁層
303 金属層
305 絶縁層
307 ビアホール
308 無電解金属めっき膜
309 電解金属めっき層
311 コア層
317 ビルドアップ層
400 半導体装置
401 ソルダーレジスト層
407 半導体素子
410 半田バンプ
413 封止材

Claims (14)

  1. プリント配線基板を構成する絶縁層を形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、
    熱硬化性樹脂(A)と、
    無機充填材(B)と、
    下記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)とを含み、
    前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の重量平均分子量が1万以上、20万以下であることを特徴とするプリント配線基板用樹脂組成物。
    (前記式(1)において、R1、R2はそれぞれ独立に単数1以上、8以下の炭化水素基であり、p、q、およびrは各繰り返し単位のモル百分率であり、p+q+r≦100mol%である。)
  2. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)は、エポキシ価が0.05eq/kg以上、0.3eq/kg以下である請求項1に記載のプリント配線基板用樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のプリント配線基板用樹脂組成物において、
    前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の含有量が、前記プリント配線基板用樹脂組成物の前記無機充填材(B)を除く全固形分100質量%に対し、1.0質量%以上、80質量%以下であるプリント配線基板用樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載のプリント配線基板用樹脂組成物において、
    前記無機充填材(B)がタルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、および水酸化マグネシウムから選択される少なくとも一種であるプリント配線基板用樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4いずれか一項に記載のプリント配線基板用樹脂組成物において、
    前記無機充填材(B)の含有量が、前記プリント配線基板用樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、50質量%以上、75質量%以下であるプリント配線基板用樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5いずれか一項に記載のプリント配線基板用樹脂組成物において、
    前記無機充填材(B)が予めアミノ系、エポキシ系、チオール系の群から選択される少なくとも一種のシランカップリング剤で表面処理されたものであるプリント配線基板用樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6いずれか一項に記載のプリント配線基板用樹脂組成物において、
    前記熱硬化性樹脂(A)は、下記式(2)により示される化合物、下記式(3)により示される化合物、下記式(4)により示される化合物、下記式(5)により示される化合物、下記式(6)により示される化合物、下記式(7)により示される化合物、下記式(8)により示される化合物、および下記式(9)により示される化合物から選択される少なくとも一種を含むプリント配線基板用樹脂組成物。
    (上記式(2)において、AおよびBは、それぞれ独立に、置換又は非置換の芳香族環を表す。nは繰返し単位を表し、1以上、10以下の整数である。)
    (上記式(9)において、nは繰返し単位を表し、1以上、10以下の整数である。)
  8. 請求項1乃至7いずれか一項に記載のプリント配線基板用樹脂組成物を繊維基材に含浸してなるプリプレグ。
  9. 請求項8に記載のプリプレグにおいて、
    当該プリプレグを200℃で2時間加熱処理して得られる硬化物の、動的粘弾性測定(昇温速度5℃/min、周波数1Hz)により測定されるtanδピークが、−50℃から350℃の温度範囲に2つ以上あり、
    上記tanδピークの少なくとも1つが、−50℃から150℃の温度範囲にあるプリプレグ。
  10. 請求項8または9に記載のプリプレグにおいて、
    当該プリプレグを200℃で、2時間加熱処理して得られる硬化物の250℃での貯蔵弾性率E'250に対する30℃での貯蔵弾性率E'30の比(E'30/E'250)が、1.1超、3.0未満であるプリプレグ。
  11. 請求項8乃至10いずれか一項に記載のプリプレグの硬化物を含む樹脂基板。
  12. 請求項8乃至10いずれか一項に記載のプリプレグの硬化物または前記プリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の硬化物の片面または両面に金属箔が設けられている金属張積層板。
  13. 請求項11に記載の樹脂基板または請求項12に記載の金属張積層板を回路加工して得られるものであり、少なくとも1層の回路層が設けられているプリント配線基板。
  14. 請求項13に記載のプリント配線基板の前記回路層上に半導体素子を搭載した半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020094111A (ja) * 2018-12-11 2020-06-18 住友ベークライト株式会社 プリプレグ、樹脂基板、金属張積層板、プリント配線基板、および半導体装置
CN111560171A (zh) * 2019-02-13 2020-08-21 味之素株式会社 树脂组合物
CN112745634A (zh) * 2020-12-17 2021-05-04 江苏华海诚科新材料股份有限公司 一种适用于基板封装的环氧树脂组合物

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