JP7028165B2 - 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置に関する。
これまでのエポキシ樹脂組成物においては、寸法変化を小さくする観点から様々な開発が行われてきた。この種の技術として、たとえば特許文献1に記載のエポキシ樹脂組成物が挙げられる。このエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が使用されている(特許文献1の段落0124、実施例2)。
特開2013-23667号公報
しかしながら、近年の半導体パッケージにおいて薄層化がますます進んできている。こうした開発環境を踏まえ、本発明者が検討したところ、上記文献に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物においては、強靱性の点で改善の余地を有していることが判明した。
本発明者は、プリント配線基板における絶縁層の形成に用いる熱硬化性樹脂組成物に関してさらに検討し、強靱性に関連する特性として、弾性率と伸び率とに着眼した。更に検討を深めた結果、低弾性と高伸度とを両立することにより、優れた強靱性が実現することが判明した。そして、弾性率の指標として、30℃における貯蔵弾性率E'30を採用し、伸び率の指標として、引張り試験により測定された引張り伸び率を採用することにより、低弾性と高伸度とを最適に評価できることが見出された。
このような知見に基づいて、鋭意検討した結果、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率E'30を所定値以下とし、かつ、引張り伸び率を所定値以上とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の強靱性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
プリント配線基板における絶縁層を形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂と、
硬化剤と、
無機充填材と、を含み、
当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物に対して動的粘弾性測定を行ったときに、前記硬化物の30℃における貯蔵弾性率E'30が1GPa以上10GPa以下であり、
前記硬化物に対して引張り試験を行ったときに、前記硬化物の引張り伸び率が2%以上である熱硬化性樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、
キャリア基材と、
前記キャリア基材上に設けられている上記熱硬化性樹脂組成物で形成された樹脂膜と、を備えるキャリア付樹脂膜が提供される。
また本発明によれば、
上記熱硬化性樹脂組成物の樹脂膜の硬化物で構成された絶縁層を備えるプリント配線基板が提供される。
また本発明によれば、
上記プリント配線基板と、
前記プリント配線基板の回路層上に搭載された、または前記プリント配線基板に内蔵された半導体素子と、を備える半導体装置が提供される。
本発明によれば、強靱性に優れた絶縁層が得られる熱硬化性樹脂、それを用いたキャリア付樹脂膜、プリント配線基板および半導体装置が提供される。
図1は、本実施形態におけるキャリア付樹脂膜の構成の一例を示す断面図である。 図2(a)および(b)は、本実施形態におけるプリント配線基板の構成の一例を示す断面図である。 図3(a)および(b)は、本実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。 図4(a)~(c)は、本実施形態におけるプリント配線基板の製造プロセスの一例を示す工程断面図である。 図5は、本実施形態におけるプリント配線基板の構成の一例を示す断面図である。 図6は、本実施形態におけるプリント配線基板の構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含む。また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物に対して動的粘弾性測定を行ったときに、前記硬化物の30℃における貯蔵弾性率E'30は1GPa以上10GPa以下であり、かつ、前記硬化物に対して引張り試験を行ったときに、前記硬化物の引張り伸び率は2%以上である。このような熱硬化性樹脂組成物は、プリント配線基板における絶縁層を形成するために用いられる。
本発明者は、プリント配線基板における絶縁層の形成に用いる熱硬化性樹脂組成物に関してさらに検討し、強靱性に関連する特性として、貯蔵弾性率と引張り伸び率とに着眼するに至った。更に検討を深めた結果、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含む熱硬化性樹脂組成物の硬化物において、低弾性と高伸度とを両立することにより、優れた強靱性を発揮することができることが判明した。
こうした熱硬化性樹脂組成物の硬化物の物性を評価する手法について詳細に検討した結果、弾性率の指標として、30℃における貯蔵弾性率E'30を採用し、伸び率の指標として、引張り試験により測定された引張り伸び率を採用することにより、低弾性と高伸度とを最適に評価できることが見出された。
詳細なメカニズムは定かでないが、熱硬化性樹脂による三次元網目構造において、架橋点間距離や架橋点数を高度に制御することにより、架橋密度の最適化を実現でき、低弾性と高伸度の両立を図ることができる、と考えられる。例えば、官能基数当たりの分子量が大きく、柔軟な骨格を備える熱硬化性樹脂を用いること等が、架橋密度を制御し、上記貯蔵弾性率および上記張り伸び率を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
このような知見に基づいて、鋭意検討した結果、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率E'30を1GPa以上10GPa以下とし、かつ、引張り伸び率を2%以上とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の低弾性と高伸度とを両立し、優れた強靱性を発揮することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本実施形態において、プリント配線基板における絶縁層は、コア層、ビルドアップ層(層間絶縁層)、ソルダーレジスト層等のプリント配線基板を構成する絶縁性部材に用いることができる。上記プリント配線基板としては、コア層、ビルドアップ層(層間絶縁層)、ソルダーレジスト層を有するプリント配線基板、コア層を有しないプリント配線基板、パネルパッケージプロセス(PLP)に用いられるコアレス基板、MIS(Molded Interconnect Substrate)基板等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物で形成された樹脂膜の硬化物は、上記絶縁層に用いられ、例えば、コア層を有しないプリント配線基板におけるビルドアップ層やソルダーレジスト層、PLPに用いられるコアレス基板の層間絶縁層やソルダーレジスト層、MIS基板の層間絶縁層やソルダーレジスト層、等に用いることもできる。このように、本実施形態の樹脂膜の硬化物は、複数の半導体パッケージを一括して作成するために利用される大面積のプリント配線基板において、当該プリント配線基板を構成する層間絶縁層やソルダーレジスト層にも好適に用いることができる。
本実施形態の樹脂膜の硬化物を絶縁層に利用することにより、強靱性に優れるため、大面積のパネルサイズパッケージを製造するパネルレベルプロセス中において、パネル(コアレス基板)の反りや、搬送時や実装時における基板クラックを抑制することができる。
また、本実施形態の樹脂膜の硬化物においては、柔軟骨格を有するマトリックス樹脂中に無機充填材を高充填することが可能になる。これにより、上記樹脂膜の硬化物の線膨張係数を低くすることができるので、得られる半導体パッケージの反りを十分に抑制することができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
前述したように、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含む。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、マレイミド化合物等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。本実施形態において、熱硬化性樹脂は、少なくともエポキシ樹脂またはマレイミド化合物を含有していることが好ましく、特に、エポキシ樹脂を含有していることが好ましい。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂は、25℃室温において、液状であることが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物における各成分の分散性を向上させることができる。また、無機充填材の充填量を高めることが可能になる。
本実施形態の熱硬化性樹脂の、25℃における粘度の下限値は、例えば、0.1Pa・s以上であり、0.5Pa・s以上であることが好ましく、1Pa・s以上であることがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物の成膜性を向上させることができる。一方、25℃における粘度の上限値は、例えば、200Pa・s以下であり、100Pa・s以下であることが好ましく、50Pa・s以下であることがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物の分散性を向上させることができる。
本実施形態のエポキシ樹脂のエポキシ当量の下限値は、例えば、300g/eq以上であり、330g/eq以上であることが好ましく、350g/eq以上であることがより好ましい。これにより、架橋点分子量を適切に制御できるので、最適な架橋密度の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を実現することができる。また、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の破断伸び率を向上させることができる。一方、上記エポキシ当量の上限値は、特に限定されないが、例えば、700g/eq以下であり、600g/eq以下であることが好ましく、500g/eq以下であることがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の強度を向上させることができる。
また、本実施形態のエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)の下限値は、特に限定されないが、Mw300以上であることが好ましく、Mw800以上であることがより好ましい。Mwが上記下限値以上であると、樹脂膜の硬化物にタックが生じるのを抑制することができる。Mwの上限値は、特に限定されないが、Mw20,000以下であることが好ましく、Mw15,000以下であることがより好ましい。Mwが上記上限値以下であると、ハンドリング性が向上し、樹脂膜を形成するのが容易となる。エポキシ樹脂のMwは、例えばGPCで測定することができる。
本実施形態のエポキシ樹脂は、25℃室温において液状であり、そのエポキシ当量が上記範囲内である第1エポキシ樹脂を少なくとも一種以上含むことが好ましい。
第1エポキシ樹脂の種類としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂;ポリエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。第1エポキシ樹脂としては、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。第1エポキシ樹脂の中でも、粘度の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、2官能ナフタレン型エポキシ樹脂、およびポリエーテル型エポキシ樹脂から選択される少なくとも一種以上を用いることができる。
また、本実施形態のエポキシ樹脂としては、上記第1エポキシ樹脂の他に、他の第2エポキシ樹脂を併用してもよい。この第2エポキシ樹脂としては、第1エポキシ樹脂として挙げられたエポキシ樹脂の種類から選択することができる。
エポキシ樹脂の中でも、得られるプリント配線基板の耐熱性および絶縁信頼性をより一層向上することができる観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、およびジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂から選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。また、アラルキル型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂およびナフタレン型エポキシ樹脂から選択される一種または二種以上を用いることがより好ましい。
エポキシ樹脂の含有量の下限値は、熱硬化性樹脂組成物全体(溶媒を除く全固形分)100重量%に対して、3重量%以上が好ましく、4重量%以上がより好ましく、5重量%以上がさらに好ましい。エポキシ樹脂の含有量が上記下限値以上であると、ハンドリング性が向上し、樹脂膜を形成するのが容易となる。一方、エポキシ樹脂の含有量の上限値は、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、特に限定されないが、例えば、60重量%以下が好ましく、45重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。エポキシ樹脂の含有量が上記上限値以下であると、得られるプリント配線基板の強度や難燃性が向上したり、プリント配線基板の線膨張係数が低下し、反りの低減効果が向上したりする場合がある。
なお、熱硬化性樹脂組成物の全固形分とは、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる溶剤を除く成分全体を指す。以下、本明細書において同様である。
(マレイミド化合物)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、マレイミド化合物を含むことができる。
本実施形態において、マレイミド化合物のマレイミド基は、5員環の平面構造を有している。また、マレイミド基の二重結合は、分子間で相互作用しやすく極性が高い。そのため、マレイミド基、ベンゼン環、その他の平面構造を有する化合物等と強い分子間相互作用を示し、分子運動を抑制することができる。そのため、熱硬化性樹脂組成物は、マレイミド化合物を含むことにより、得られる絶縁層の線膨張係数を下げ、ガラス転移温度を向上させることができ、さらに、耐熱性を向上させることができる。
上記マレイミド化合物としては、分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するマレイミド化合物が好ましい。
イミド拡張型ビスマレイミドとしては、例えば、以下の式(a1)により示されるマレイミド化合物、以下の式(a2)により示されるマレイミド化合物、以下の式(a3)により示されるマレイミド化合物等が挙げられる。式(a1)により示されるマレイミド化合物の具体例としてはBMI-1500(デジグナーモレキュールズ社製、分子量1500)等が挙げられる。式(a2)により示されるマレイミド化合物の具体例のとしてはBMI-1700(デジグナーモレキュールズ社製、分子量1700)、BMI-1400(デジグナーモレキュールズ社製、分子量1400)等が挙げられる。式(a3)により示されるマレイミド化合物の具体例のとしてはBMI-3000(デジグナーモレキュールズ社製、分子量3000)等が挙げられる。
Figure 0007028165000001
上記式(a1)において、nは1以上10以下の整数を示す。
Figure 0007028165000002
上記式(a2)において、nは1以上10以下の整数を示す。
Figure 0007028165000003
上記式(a3)において、nは1以上10以下の整数を示す。
上記マレイミド化合物の重量平均分子量(Mw)の下限値は、特に限定されないが、Mw400以上が好ましく、特にMw800以上が好ましい。Mwが上記下限値以上であると、絶縁層にタックが生じるのを抑制することができる。Mwの上限値は、特に限定されないが、Mw4000以下が好ましく、Mw2500以下がより好ましい。Mwが上記上限値以下であると、絶縁層作製時、ハンドリング性が向上し、絶縁層を形成するのが容易となる。マレイミド化合物のMwは、例えばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン換算)で測定することができる。
また、両末端にマレイミドを有する上記イミド拡張型ビスマレイミドのMwは、架橋点間分子量と見なすことができる。
本実施形態において、熱硬化性樹脂組成物中に含まれるマレイミド化合物の含有量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100重量%としたとき、1.0重量%以上25.0重量%以下が好ましく、3.0重量%以上20.0重量%以下がより好ましい。マレイミド化合物の含有量が上記範囲内であると、得られる絶縁層の低熱収縮性および耐薬品性のバランスをより一層向上させることができる。
(ベンゾオキサジン化合物)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、ベンゾオキサジン化合物を含有してもよい。
ベンゾオキサジン化合物はベンゾオキサジン環を有する化合物である。ベンゾオキサジン化合物としては、例えば、下記式(2)により示される化合物、下記式(3)により示される化合物から選択される一種または二種以上を用いることができる。
Figure 0007028165000004
(上記式(2)において、Xはそれぞれ独立に炭素数1以上10以下のアルキレン基、下記式(1a)で表される基、「-SO-」で表される基、「-CO-」で表される基、酸素原子または単結合であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1以上6以下の炭化水素基であり、cはそれぞれ独立に0以上4以下の整数である。)
Figure 0007028165000005
(上記式(3)において、Xはそれぞれ独立に炭素数1以上10以下のアルキレン基、下記式(1a)で表される基、「-SO-」で表される基、「-CO-」で表される基、酸素原子または単結合であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1以上6以下の炭化水素基であり、dはそれぞれ独立に0以上4以下の整数である。)
Figure 0007028165000006
(上記式(1a)において、Yは芳香族環を有する炭素数6以上30以下の炭化水素基であり、nは0以上の整数である。)
上記式(1a)において、芳香族環を有する炭素数6以上30以下の炭化水素基は、芳香族環のみで構成されてもよいし、芳香族環以外の炭化水素基を有していてもよい。Yが有する芳香族環は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。Yが2つ以上の芳香族環を有する場合、これらの芳香族環は、同一でも異なっていてもよい。また、上記芳香族環は、単環構造および多環構造のいずれでもよい。
芳香族環を有する炭素数6以上30以下の炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレイン、インダセン、ターフェニル、アセナフチレン、フェナレン等の芳香族性を有する化合物の核から水素原子を2つ除いた2価の基が挙げられる。
また、これら芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。ここで芳香族炭化水素基が置換基を有するとは、芳香族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基により置換されたことをいう。置換基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。
この置換基としてのアルキル基としては、鎖状のアルキル基であることが好ましい。また、その炭素数は1以上10以下であることが好ましく、1以上6以下であることがより好ましく、1以上4以下であることが特に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基等が挙げられる。
このような基Yは、ベンゼンまたはナフタレンから水素原子を2つ除いた基を有することが好ましく、上記式(1a)で表される基としては、下記式(1a-1)、(1a-2)のいずれかで表される基であることがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物から得られる絶縁層は、優れた耐熱性を発揮する。
Figure 0007028165000007
上記式(1a-1)、(1a-2)中、Rは、それぞれ独立に炭素数1以上6以下の炭化水素基である。eはそれぞれ独立に0以上4以下の整数であり、より好ましくは0である。
さらに、上記式(1a)で表される基において、nは、0以上の整数であればよいが、0以上5以下の整数であることが好ましく、1以上3以下の整数であることがより好ましく、1または2であることが特に好ましい。
上記式(2)および上記式(3)におけるXおよびXは、例えば、それぞれ独立に炭素数1以上10以下の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。この直鎖状のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカニレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。また、分岐鎖状のアルキレン基としては、具体的には、-C(CH-(イソプロピレン基)、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-のようなアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-のようなアルキルエチレン基等が挙げられる。
また、XおよびXにおけるアルキレン基の炭素数は、1以上10以下であればよいが、1以上7以下であることがより好ましく、1以上3以下であることがさらに好ましい。具体的には、このような炭素数を有するアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられる。
また、上記式(2)および上記式(3)におけるRおよびRは、例えば、それぞれ独立して、炭素数1以上6以下の炭化水素基であるが、炭素数1または2の炭化水素基、具体的には、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
また、上記式(2)および上記式(3)におけるcおよびdは、例えば、それぞれ独立に0以上4以下の整数であり、0以上2以下の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。
このようなベンゾオキサジン化合物は、上記式(2)で表される化合物および上記式(3)で表される化合物のうち、上記式(2)で表される化合物であることが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物から得られる絶縁層は、より優れた低熱収縮性および耐薬品性を発揮することができる。
また、この上記式(2)で表される化合物は、上記Xが炭素数1以上3以下の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、Rが1または2の炭化水素基であり、cが0以上2以下の整数であることが好ましい。または、上記Xは上記式(1a-1)、(1a-2)のいずれかで表される基であり、cが0であることが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物から得られる絶縁層は、より優れた低熱収縮性および耐薬品性を発揮することができる。
ベンゾオキサジン化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記式(2-1)により示される化合物、下記式(2-2)により示される化合物、下記式(2-3)により示される化合物、下記式(3-1)により示される化合物、下記式(3-2)により示される化合物および下記式(3-3)により示される化合物から選択される一種または二種以上が挙げられる。
Figure 0007028165000008
(上記式(2-3)において、Rはそれぞれ独立に炭素数1~4の炭化水素基である。)
Figure 0007028165000009
Figure 0007028165000010
熱硬化性樹脂組成物中に含まれるベンゾオキサジン化合物の含有量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100重量%としたとき、1.0重量%以上25.0重量%以下が好ましく、3.0重量%以上20.0重量%以下がより好ましい。ベンゾオキサジン化合物の含有量が上記範囲内であると、得られる絶縁層の低熱収縮性および耐薬品性をより一層向上させることができる。
(無機充填材)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、無機充填材を含むことができる。
無機充填材としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。
これらの中でも、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、シリカが特に好ましい。無機充填材としては、これらの中の1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記無機充填材の平均粒子径の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。これにより、上記熱硬化性樹脂のワニスの粘度が高くなるのを抑制でき、絶縁層作製時の作業性を向上させることができる。また、無機充填材の平均粒子径の上限値は、特に限定されないが、例えば、5.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.0μm以下がさらに好ましい。これにより、上記熱硬化性樹脂のワニス中における無機充填材の沈降等の現象を抑制でき、より均一な樹脂膜を得ることができる。また、プリント配線基板の回路寸法L/Sが20μm/20μmを下回る際には、配線間の絶縁性に影響を与えるのを抑制することができる。
本実施形態において、無機充填材の平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA-500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)を平均粒子径とすることができる。
また、本実施形態において、無機充填材の含有量が65重量%以上である場合には、当該無機充填材の平均粒子径の下限値は、例えば、0.5μm以上が好ましく、0.6μm以上がより好ましく、0.8μm以上がさらに好ましい。一方、当該無機充填材の平均粒子径の下限値は、たとえば、2μm以下が好ましく、1.9μm以下がより好ましく、1.8μm以下がさらに好ましい。無機充填材の含有量を上記範囲内とすることにより、樹脂膜の硬化物の反りを低減しつつ強度を一層高めることができる。
また、無機充填材は、特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いてもよいし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いてもよい。さらに平均粒子径が単分散および/または多分散の無機充填材を1種類または2種類以上で併用してもよい。
上記無機充填材はシリカ粒子を含むことが好ましい。上記シリカ粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、5.0μm以下が好ましく、0.1μm以上4.0μm以下がより好ましく、0.2μm以上2.0μm以下がさらに好ましい。使用するシリカ粒子の平均粒子径が上記範囲内であれば、無機充填材の樹脂膜への充填性をさらに向上させることができる。
無機充填材の含有量の下限値は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、特に限定されないが、例えば、65重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、75重量%以上がさらに好ましい。これにより、樹脂膜の硬化物熱膨張率を特に低くすることができるとともに、その吸水率を特に低くすることができる。これにより、半導体パッケージの反りを抑制することができる。また、本実施形態の樹脂膜の硬化物は、高い伸び率を維持したまま、無機充填材の含有量を高めることができるので、応力緩和性を向上させることができる。一方で、無機充填材の含有量の上限値は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、特に限定されないが、例えば、98重量%以下であることが好ましく、95重量%以下であることがより好ましく、90重量%以下であることがさらに好ましい。無機充填剤の含有量が上記範囲内であることにより、樹脂膜の硬化物の加工性を向上させることができる。
(硬化剤)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含むことができる。
上記硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6-トリスジメチルアミノメチルフェノール(DMP-30)などの3級アミン化合物;2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール(EMI24)、2-フェニル-4-メチルイミダゾール(2P4MZ)、2-フェニルイミダゾール(2PZ)、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシイミダゾール(2P4MHZ)、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(1B2PZ)などのイミダゾール化合物;BF錯体などのルイス酸などの触媒型の硬化剤が挙げられる。
また、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、o-キシレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、1,5-ジアミノナフタレン、4,4'-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジフェニルメタン、4,4'-ジアミノ-3,3'-ジエチル-5,5'-ジメチルジフェニルメタン、3,3'-ジエチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などの重付加型の硬化剤;2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)トリオンなどのフェノール系化合物も用いることができる。
さらに、第2硬化剤としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂系硬化剤;メチロール基含有尿素樹脂のような尿素樹脂;メチロール基含有メラミン樹脂のようなメラミン樹脂などの縮合型の硬化剤も用いてもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フェノール樹脂系硬化剤は、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造は特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂;トリフェノールメタン型フェノール樹脂などの多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂などの変性フェノール樹脂;フェニレン骨格および/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂などのアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール化合物等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。これらのうち、硬化性の点から水酸基当量は90g/eq以上、250g/eq以下のフェノール樹脂系硬化剤を使用してもよい。
フェノール樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量4×10以上1.8×10以下が好ましく、5×10以上1.5×10以下がより好ましい。重量平均分子量を上記下限値以上とすることでプリプレグにタック性が生じるなどの問題がおこりにくくなり、上記上限値以下とすることで、プリプレグ作製時、繊維基材への含浸性が向上し、より均一な製品を得ることができる。
硬化剤の含有量の下限値は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、特に限定されないが、例えば、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.2重量%以上がさらに好ましい。硬化剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、硬化を促進する効果を十分に発揮することができる。一方、硬化剤の含有量の上限値は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、特に限定されないが、例えば、15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、8重量%以下がさらに好ましい。硬化剤の含有量が上記上限値以下であるとプリプレグの保存性をより向上させることができる。
(シアネート樹脂)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、シアネート樹脂をさらに含むことができる。
シアネート樹脂は、分子内にシアネート基(-O-CN)を有する樹脂であり、シアネート基を分子内に2個以上を有する樹脂を用いることができる。このようなシアネート樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類やナフトール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
シアネート樹脂を用いることにより、樹脂膜の硬化物の線膨張係数を小さくすることができる。さらに、樹脂膜の硬化物の電気特性(低誘電率、低誘電正接)、機械強度等を高めることができる。
シアネート樹脂は、例えば、ノボラック型シアネート樹脂;ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂;ナフトールアラルキル型フェノール樹脂と、ハロゲン化シアンとの反応で得られるナフトールアラルキル型シアネート樹脂;ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂;ビフェニルアルキル型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でもノボラック型シアネート樹脂、ナフトールアラルキル型シアネート樹脂が好ましく、ノボラック型シアネート樹脂がより好ましい。ノボラック型シアネート樹脂を用いることにより、樹脂膜の硬化物の架橋密度が増加し、耐熱性が向上する。
この理由としては、ノボラック型シアネート樹脂は、硬化反応後にトリアジン環を形成することが挙げられる。さらに、ノボラック型シアネート樹脂は、その構造上ベンゼン環の割合が高く、炭化しやすいためと考えられる。また、ノボラック型シアネート樹脂を含む樹脂膜の硬化物は優れた剛性を有する。よって、樹脂膜の硬化物の耐熱性をより一層向上できる。
ノボラック型シアネート樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で示される樹脂を使用することができる。
Figure 0007028165000011
一般式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂の平均繰り返し単位nは任意の整数である。平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。平均繰り返し単位nが上記下限値以上であると、ノボラック型シアネート樹脂の耐熱性が向上し、加熱時に低量体が脱離、揮発することを抑制できる。また、平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、10以下が好ましく、7以下がより好ましい。nが上記上限値以下であると、溶融粘度が高くなるのを抑制でき、樹脂膜の成形性を向上させることができる。
また、シアネート樹脂としては、下記一般式(II)で表わされるナフトールアラルキル型シアネート樹脂も好適に用いられる。下記一般式(II)で表わされるナフトールアラルキル型シアネート樹脂は、例えば、α-ナフトールあるいはβ-ナフトール等のナフトール類とp-キシリレングリコール、α,α'-ジメトキシ-p-キシレン、1,4-ジ(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ベンゼン等との反応により得られるナフトールアラルキル型フェノール樹脂とハロゲン化シアンとを縮合させて得られる樹脂である。一般式(II)の繰り返し単位nは10以下の整数であることが好ましい。繰り返し単位nが10以下であると、より均一な樹脂膜を得ることができる。また、合成時に分子内重合が起こりにくく、水洗時の分液性が向上し、収量の低下を防止できる傾向がある。
Figure 0007028165000012
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、nは1以上10以下の整数を示す。)
また、シアネート樹脂は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーとを併用してもよい。
シアネート樹脂の含有量の下限値は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、たとえば、1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましく、3重量%以上がさらに好ましい。樹脂膜の硬化物の低線膨張化、高弾性率化を図ることができる。一方、シアネート樹脂の含有量の上限値は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、特に限定されないが、例えば、30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましい。耐熱性や耐湿性を向上させることができる。また、シアネート樹脂の含有量が上記範囲内であると、樹脂膜の硬化物の貯蔵弾性率E'をより一層向上させることができる。
(フェノキシ樹脂)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、フェノキシ樹脂を含有してもよい。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂などが挙げられる。また、これらの骨格を複数種有した構造のフェノキシ樹脂を用いることもできる。
これらの中でも、フェノキシ樹脂には、ビフェニル骨格およびビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂を用いるのが好ましい。ビフェニル骨格が有する剛直性により、フェノキシ樹脂のガラス転移温度を高くすることができるとともに、ビスフェノールS骨格の存在により、フェノキシ樹脂と金属との密着性を向上させることができる。その結果、絶縁層の耐熱性の向上を図ることができるとともに、絶縁層に対する配線層の密着性を向上させることができる。また、フェノキシ樹脂には、ビスフェノールA骨格およびビスフェノールF骨格を有するフェノキシ樹脂を用いるのも好ましい。これにより、配線層と絶縁層の密着性をさらに向上させることができる。
また、下記一般式(X)で表されるビスフェノールアセトフェノン構造を有するフェノキシ樹脂を用いるのも好ましい。
Figure 0007028165000013
(上記式(X)中、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1以上10以下の炭化水素基またはハロゲン元素から選ばれる基であり、Rは、水素原子、炭素数1以上10以下の炭化水素基またはハロゲン元素から選ばれる基であり、Rは、水素原子または炭素数1以上10以下の炭化水素基であり、mは0以上5以下の整数である。)
ビスフェノールアセトフェノン構造を含むフェノキシ樹脂は、嵩高い構造を持っているため、溶剤溶解性や、配合する熱硬化性樹脂成分との相溶性に優れる。また、低粗度で均一な粗面を形成することができるため、絶縁層のSAP特性を向上させることができる。
ビスフェノールアセトフェノン構造を有するフェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂とフェノール樹脂とを触媒で高分子量化させる方法等の公知の方法で合成することができる。
ビスフェノールアセトフェノン構造を有するフェノキシ樹脂は、一般式(X)のビスフェノールアセトフェノン構造以外の構造が含まれていても良く、その構造はとくに限定されないが、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビフェニル型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型の構造等が挙げられる。中でも、ビスフェノールアセトフェノン構造以外の構造として、ビフェニル型の構造を含むフェノキシ樹脂が、ガラス転移温度が高く好ましい。
ビスフェノールアセトフェノン構造を含むフェノキシ樹脂中の一般式(X)のビスフェノールアセトフェノン構造の含有量はとくに限定されないが、5モル%以上95モル%以下であることが好ましく、10モル%以上85モル%以下であることがより好ましく、15モル%以上75モル%以下であることがさらに好ましい。含有量が上記下限値以上であると、耐熱性、耐湿信頼性を向上させる効果を十分に発揮させることができる。また、含有量が上記上限値以下であると、溶剤溶解性を向上させることができる。
フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)の下限値は、例えば、10,000以上であることが好ましく、15,000以上であることがより好ましく、20,000以上であることがさらに好ましい。これにより、他の樹脂との相溶性や溶剤への溶解性を向上させることができる。一方、フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)の上限値は、例えば、60,000以下であることが好ましく、55,000以下であることがより好ましく、50,000以下であることがさらに好ましい。これにより、絶縁層の成膜性が向上し、プリント配線基板の製造に用いる場合に不具合が発生するのを抑制することができる。
フェノキシ樹脂の含有量は、とくに限定されないが、無機充填材を除く熱硬化性樹脂組成物全体に対して、0.5重量%以上40重量%以下であることが好ましく、1重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。含有量が上記下限値以上であると、絶縁層の機械強度の低下や、絶縁層と導体回路とのメッキ密着性の低下を抑制することができる。上記上限値以下であると、絶縁層の熱膨張率の増加を抑制でき、耐熱性の低下を抑制することができる。
(硬化促進剤)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、硬化促進剤を含んでもよい。これにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。硬化促進剤としては、熱硬化性樹脂の硬化反応を促進させる化合物を用いることができ、その種類は特に限定されない。本実施形態においては、硬化促進剤として、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-エチルイミダゾール、2-フェニル-4-エチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸、およびオニウム塩化合物から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、硬化性をより効果的に向上させる観点からは、オニウム塩化合物を含むことがより好ましい。
硬化促進剤として用いられるオニウム塩化合物は、特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0007028165000014
(式(2)中、Pはリン原子、R、R、RおよびRは、それぞれ、置換もしくは無置換の芳香環または複素環を有する有機基、あるいは置換もしくは無置換の脂肪族基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。Aは分子外に放出しうるプロトンを少なくとも1個以上分子内に有するn(n≧1)価のプロトン供与体のアニオン、またはその錯アニオンを示す)
硬化促進剤の含有量の下限値は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、たとえば、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましい。硬化促進剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化性をより効果的に向上させることができる。一方、硬化促進剤の含有量の上限値は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、2.5重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましい。硬化促進剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の保存性を向上させることができる。
(カップリング剤)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤は熱硬化性樹脂組成物の調製時に直接添加してもよいし、無機充填材にあらかじめ添加しておいてもよい。カップリング剤の使用により無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を向上させることができる。したがって、カップリング剤を使用することは好ましく、樹脂膜の硬化物の耐熱性を改良することができる。また、カップリング剤を用いることにより、銅箔との密着性を向上させることができる。さらに、吸湿耐性を向上できるので、湿度環境下後においても、銅箔との密着性を維持することができる。
カップリング剤としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。本実施形態において、カップリング剤はシランカップリング剤を含有してもよい。
これにより、無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を高くすることができ、樹脂膜の硬化物の耐熱性をより向上させることができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニルγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルγ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-6-(アミノヘキシル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(3-(トリメトキシシリルプロピル)-1,3-ベンゼンジメタナン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうちの一種または二種以上を組み合せて用いることができる。これらのうちエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシランが好ましく、アミノシランとしては、1級アミノシラン又はアニリノシランがより好ましい。
カップリング剤の添加量は、無機充填材の比表面積に対して適切に調整することができる。このようなカップリング剤の添加量の下限値は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましい。カップリング剤の含有量が上記下限値以上であると、無機充填材を十分に被覆することができ、樹脂膜の硬化物の耐熱性を向上させることができる。一方、カップリング剤の添加量の上限値は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の全固形分100重量%に対して、3重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がより好ましい。カップリング剤の含有量が上記上限値以下であると、反応に影響を与えるのを抑制でき、樹脂膜の硬化物の曲げ強度等の低下を抑制することができる。
(添加剤)
なお、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、緑、赤、青、黄、および黒等の染料、黒色顔料な等の顔料、色素のうちの少なくとも一種以上を含む着色剤、低応力剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤等の上記成分(熱硬化性樹脂、硬化剤、無機充填材、硬化促進剤、カップリング剤)以外の添加剤を含んでもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、低応力剤やゴム成分を含有しなくてもよい。この場合でも、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、無機充填材の充填率を高めつつ、低弾性率とすることができるので、基板プロセス中における反りや搬送中の衝撃によるクラックを抑制することができる。
顔料としては、カオリン、合成酸化鉄赤、カドミウム黄、ニッケルチタン黄、ストロンチウム黄、含水酸化クロム、酸化クロム、アルミ酸コバルト、合成ウルトラマリン青等の無機顔料、フタロシアニン等の多環顔料、アゾ顔料等が挙げられる。
染料としては、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、キサンテン、ジケトピロロピロール、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、インジゴイド、オキサジン、キナクリドン、ベンツイミダゾロン、ビオランスロン、フタロシアニン、アゾメチン等が挙げられる。
本実施形態において、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物は、溶剤を含むことができる。
上記溶剤としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN-メチルピロリドン等の有機溶剤が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物がワニス状である場合において、熱硬化性樹脂組成物の固形分含有量は、たとえば30重量%以上80重量%以下が好ましく、40重量%以上70重量%以下がより好ましい。これにより、作業性や成膜性に非常に優れた熱硬化性樹脂組成物が得られる。
ワニス状の熱硬化性樹脂組成物は、上述の各成分を、たとえば、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いて溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより調製することができる。
次いで、本実施形態の樹脂膜について説明する。
本実施形態の樹脂膜は、ワニス状である上記熱硬化性樹脂組成物をフィルム化することにより得ることができる。例えば、本実施形態の樹脂膜は、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物を塗布して得られた塗布膜に対して、溶剤を除去することにより得ることができる。このような樹脂膜においては、溶剤含有率が樹脂膜全体に対して5重量%以下とすることができる。本実施形態において、たとえば100℃~150℃、1分~5分の条件で溶剤を除去する工程を実施してもよい。これにより、熱硬化性樹脂を含む樹脂膜の硬化が進行することを抑制しつつ、十分に溶剤を除去することが可能となる。
(キャリア付き樹脂膜)
次いで、本実施形態のキャリア付樹脂膜について説明する。
図1は、本実施形態におけるキャリア付樹脂膜100の構成の一例を示す断面図である。
本実施形態のキャリア付樹脂膜100は、図1に示すように、キャリア基材12と、キャリア基材12上に設けられた、上記熱硬化性樹脂組成物から形成される樹脂膜10と、を備えることができる。これにより、樹脂膜10のハンドリング性を向上させることができる。
キャリア付樹脂膜100は、巻き取り可能なロール形状でも、矩形形状などの枚葉形状であってもよい。
本実施形態において、キャリア基材12としては、例えば、高分子フィルムや金属箔などを用いることができる。当該高分子フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、シリコーンシート等の離型紙、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。当該金属箔としては、特に限定されないが、例えば、銅または銅系合金、アルミまたはアルミ系合金、鉄または鉄系合金、銀または銀系合金、金または金系合金、亜鉛または亜鉛系合金、ニッケルまたはニッケル系合金、錫または錫系合金等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートで構成されるシートが安価および剥離強度の調節が簡便なため最も好ましい。かかる材料で構成されるシートをキャリア基材12として用いることにより、樹脂膜10をキャリア基材12から、適度な強度で剥離することが容易となる。
樹脂膜10の厚みの下限値は、特に限定されないが、例えば、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。これにより、樹脂膜10の機械強度を高めることができる。一方、樹脂膜10の厚みの上限値は、特に限定されないが、例えば、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。これにより、半導体装置の薄層化を図ることができる。
キャリア基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、10~100μmが好ましく、10~70μmがより好ましい。これにより、キャリア付樹脂膜100を製造する際の取り扱い性がより良好となる。
本実施形態のキャリア付樹脂膜100は、単層でも多層でもよく、1種または2種以上の樹脂膜10を含むことができる。当該樹脂シートが多層の場合には、各樹脂シートが同種で構成されてもよく、異種で構成されてもよい。また、キャリア付樹脂膜100は、樹脂膜10上の最外層側に、保護膜を有していてもよい。
本実施形態において、キャリア付樹脂膜100を形成する方法としては、特に限定されない。かかる方法としては、例えば、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物をキャリア基材12上に、各種コーター装置を用いて塗布することにより塗布膜を形成した後、当該塗布膜を適切に乾燥させることにより溶剤を除去する方法を用いることができる。
本実施形態の樹脂膜の特性について説明する。
本実施形態の樹脂膜は、前述の通り、上記熱硬化性樹脂組成物から形成される樹脂膜である。
本実施形態の上記樹脂膜の硬化物において、低弾性特性と高伸度特性を両立することができるので、優れた強靱性を実現することができる。
本実施形態における熱硬化性樹脂組成物の硬化物に対して動的粘弾性測定を行ったときに、かかる硬化物の30℃における貯蔵弾性率E'30の上限値は、10GPa以下であるが、9GPa以下であることが好ましく、8GPa以下であることがより好ましい。これにより、低弾性に優れた樹脂膜の硬化物を実現できる。一方、上記30℃における貯蔵弾性率E'30の下限値は、1GPa以上である。これにより、所定の弾性率が得られるため、強度に優れた樹脂膜の硬化物が得られる。
本実施形態における熱硬化性樹脂組成物の硬化物に対して引張り試験を行ったときに、硬化物の引張り伸び率の下限値は、2%以上であるが、3%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましい。これにより、柔軟性や伸び性に優れた樹脂膜の硬化物が得られる。また、無機充填材を高充填しつつも高い伸び性を有する樹脂膜の硬化物が得られる。一方、上記引張り伸び率の上限値は、特に限定されないが、例えば、40%以下としてもよい。
本実施形態において、上記貯蔵弾性率を低減しつつ上記引張り伸び率を高められるため、強靱性に優れた樹脂膜の硬化物が得られる。
本実施形態において、熱硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度の下限値は、特に限定されないが、例えば、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。硬化物のガラス転移温度を室温25℃±約10℃の範囲内とすることにより、実温における上記硬化物の弾性特性と伸び特性とがより優れる。これにより、搬送時における基板の反りやクラックを十分に抑制することができる。また、上記ガラス転移温度の上限値は、特に限定されないが、例えば、220℃以下としてもよく、110℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、35℃以下がさらに好ましい。
本実施形態において、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の損失正接tanδのピーク値の下限値は、例えば、0.25以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.45以上がさらに好ましい。これにより、上記硬化物がエネルギーを吸収できるので、部材間の膨張係数差に起因した応力等による影響を小さくして、基板クラックを抑制できる。損失正接tanδのピーク値の下限値を0.5以上とすることにより、非常に優れた伸び性を実現することが可能になる。一方、上記損失正接tanδのピーク値の上限値は、特に限定されないが、例えば、1以下が好ましく、0.95以下がより好ましく、0.9以下がさらに好ましい。
また、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の上記損失正接tanδのピーク値の半値幅の下限値は、例えば、20以上が好ましく、30以上がより好ましく、35以上がさらに好ましい。これにより、温度変化に対する上記硬化物のエネルギー吸収性を向上できる。一方、上記損失正接tanδのピークの半値幅の上限値は、特に限定されないが、例えば、100以下が好ましく、90以下がより好ましく、80以下がさらに好ましい。これにより、温度変化に対する上記硬化物の弾性率の変化を抑制できるので、接続信頼性を向上させることができる。
上記ガラス転移温度、損失正接tanδ、および貯蔵弾性率は、動的粘弾性分析装置(DMA)を用いて測定することができる。また、上記ガラス転移温度は、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件での動的粘弾性測定により得られる曲線において、損失正接tanδが最大値を示す温度である。また、上記損失正接tanδおよび上記貯蔵弾性率は、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件での動的粘弾性測定により、損失正接tanδ、30℃での貯蔵弾性率E'30を算出できる。
本実施形態において、ガラス転移温度、損失正接tanδ、および貯蔵弾性率は、200℃、2時間で熱処理して得られる樹脂膜の硬化物に対して、たとえば動的粘弾性測定装置を用いて周波数1Hz、昇温速度5℃/分の条件で動的粘弾性試験を行うことにより得られる測定結果から算出することができる。動的粘弾性測定装置としては、とくに限定されないが、たとえばDMA装置(TAインスツルメント社製、Q800)を用いることができる。
本実施形態において、上記引張り伸び率は、次のように測定することが出来る。まず、200℃、2時間で熱処理して得られる樹脂膜の硬化物を、縦100mm×横6mmの試験片に切り出す。引張り試験は、当該試験片を一定距離に配置されたチャックに挟み、試験片が破断するまで一定速度で引張る評価を行う。このとき、精密万能試験機(島津製作所社製、オートグラフAG-IS)を用い、初期チャック間距離L:20mm、試験片の厚さ:0.1mm、測定温度:25℃、試験速度:1mm/分の条件を使用する。上記引張り試験において、引張り伸び率(%)は、上記条件で破断したときの変位量と初期チャック間距離より算出する。
本実施形態において、樹脂膜の硬化物の、50℃から250℃の範囲において算出した平均線膨張係数の上限値は、例えば、120ppm/℃以下が好ましく、110ppm/℃以下がより好ましく、90ppm/℃以下がさらに好ましい。これにより、製造プロセス中におけるプリント配線基板の反りを低減することができる。また、得られた半導体パッケージの反りを低減させることができる。一方、上記平均線膨張係数の下限値は、特に限定されないが、例えば、1ppm/℃以上が好ましく、10ppm/℃以上がより好ましい。
上記線膨張係数は、例えば、熱機械分析装置TMA用いて測定することができる。具体的には、上記線膨張係数は、例えば、熱機械分析装置TMA(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて、温度範囲50から250℃、昇温速度10℃/min、荷重10g、引張りモードの条件で熱機械分析(TMA)を2サイクル測定する。50℃から250℃の範囲における平面方向(XY方向)の線膨張係数の平均値を算出する。なお、線膨脹係数は、2サイクル目の値を採用する。
本実施形態においては、たとえば熱硬化性樹脂組成物を構成する成分の種類や配合割合をそれぞれ適切に選択すること等により、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の上記貯蔵弾性率や上記引張り伸び率を所望の範囲内とすることができる。これらの中でも、たとえば、官能基数当たりの分子量が大きく、柔軟な骨格を備える熱硬化性樹脂を用いることにより、上記硬化物の架橋密度を制御すること等が、上記貯蔵弾性率や上記引張り伸び率を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる
(プリント配線基板)
本実施形態のプリント配線基板は、上記の樹脂膜の硬化物(熱硬化性樹脂組成物の硬化物)で構成された絶縁層を備える。
本実施形態において、樹脂膜の硬化物は、例えば、通常のプリント配線基板のコア層やビルドアップ層やソルダーレジスト層、コア層を有しないプリント配線基板におけるビルドアップ層やソルダーレジスト層、PLPに用いられるコアレス基板の層間絶縁層やソルダーレジスト層、MIS基板の層間絶縁層やソルダーレジスト層等に用いることができる。このような絶縁層は、複数の半導体パッケージを一括して作成するために利用させる大面積のプリント配線基板において、当該プリント配線基板を構成する層間絶縁層やソルダーレジスト層にも好適に用いることができる。
次に、本実施形態のプリント配線基板300の一例を、図2(a)および(b)を用いて説明する。
本実施形態のプリント配線基板300は、上述の樹脂膜10の硬化物で構成された絶縁層を備える。上記プリント配線基板300は、図2(a)に示すように、絶縁層301(コア層)と絶縁層401(ソルダーレジスト層)とを備える構造を有していてもよい。また、上記プリント配線基板300は、図2(b)に示すように、絶縁層301(コア層)、絶縁層305(ビルドアップ層)および絶縁層401(ソルダーレジスト層)を備える構造を有していてもよい。これらのコア層、ビルドアップ層、ソルダーレジスト層のそれぞれは、例えば、本実施形態の樹脂膜の硬化物で構成することができる。このコア層は、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるプリプレグを硬化させた硬化体で構成されていてもよい。
本実施形態の樹脂膜で形成された硬化物は、ガラスクロスや紙基材等の繊維基材を含まなくてもよい。これにより、ビルドアップ層(層間絶縁層)やソルダーレジスト層を形成するために特に適した構成とすることができる。
また、本実施形態に係るプリント配線基板300は、片面プリント配線基板であってもよいし、両面プリント配線基板または多層プリント配線基板であってもよい。両面プリント配線基板とは、絶縁層301の両面に金属層303を積層したプリント配線基板である。また、多層プリント配線基板とは、メッキスルーホール法やビルドアップ法等により、コア層である絶縁層301に、ビルドアップ層(例えば、絶縁層305)を2層以上積層したプリント配線基板である。
なお、本実施形態において、ビアホール307は、層間を電気的に接続するための孔であればよく、貫通孔および非貫通孔いずれでもよい。ビアホール307は金属を埋設して形成されてもよい。この埋設した金属は、無電解金属めっき膜308で覆われた構造を有していてもよい。
また、本実施形態において、上記金属層303は、例えば、回路パターンであってもよいし、電極パットであってもよい。この金属層303は、例えば、金属箔105および電解金属めっき層309の金属積層構造を有していてもよい。
金属層303は、例えば、薬液処理またはプラズマ処理された金属箔105または、本実施形態の樹脂膜の硬化物で形成された絶縁層(例えば、絶縁層301や絶縁層305)の面上に、SAP(セミアディティブプロセス)法により形成される。例えば、金属箔105または絶縁層301,305上に無電解金属めっき膜308を施した後、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより電解金属めっき層309付けを行い、めっきレジストの除去とフラッシュエッチングによる電解金属めっき膜309をパターニングすることにより、金属層303を形成する。
また、本実施形態のプリント配線基板300は、ガラス繊維を含まない樹脂基板とすることができる。例えば、コア層である絶縁層301は、ガラス繊維を含有しない構成であってもよい。このような樹脂基板を用いた半導体パッケージにおいても、樹脂膜の硬化物の線膨張係数を低くすることができるので、パッケージ反りを十分に抑制することができる。
(半導体パッケージ)
次に、本実施形態の半導体装置400について説明する。図3(a)および(b)は、半導体装置400の構成の一例を示す断面図である。
本実施形態の半導体装置400は、プリント配線基板300と、プリント配線基板300の回路層上に搭載された、またはプリント配線基板300に内蔵された半導体素子と、を備えることができる。
例えば、図3(a)に示される半導体装置400は、図3(a)に示されるプリント配線基板300の回路層(金属層303)の上に、半導体素子407が搭載された構造を有する。一方、図3(b)に示される半導体装置400は、図3(b)に示されるプリント配線基板300の回路層(金属層303)の上に、半導体素子407が搭載された構造を有する。半導体素子407は、封止材層413に覆われている。このような半導体パッケージは、半田バンプ410および金属層303を介して、半導体素子407が、プリント配線基板300と電気的に接続するフリップチップ構造であってもよい。
本実施形態において、半導体パッケージの構造としては、上記フリップチップ接続構造に限定されずに、各種の構造を有してもよいが、例えば、ファンアウト構造を用いることができる。本実施形態の樹脂膜の硬化物で形成された絶縁層は、ファンアウト構造を有する半導体パッケージの製造プロセスにおいて、基板反りや基板クラックを抑制することができる。
次に、本実施形態のプリント配線基板の変形例を説明する。図4(a)~(c)は、プリント配線基板500の製造プロセス一例の工程断面図である。本変形例のプリント配線基板500は、図4(c)に示すように、コア層を有しないプリント配線基板である。
本実施形態のプリント配線基板500は、繊維基材を有するコア層を備えない、例えば、ビルドアップ層やソルダーレジスト層で構成されているコアレス樹脂基板とすることができる。これらのビルドアップ層やソルダーレジスト層は、本実施形態の樹脂膜の硬化物で形成された絶縁層で構成されていることが好ましい。例えば、図4(c)に示すプリント配線基板500は、2層のビルドアップ層(絶縁層540,550)とソルダーレジスト層(絶縁層560)とを備える。なお、プリント配線基板500のビルドアップ層は、単層でもよく、2以上の複数層を有していてもよい。
本実施形態の樹脂膜の硬化物で形成された絶縁層は強靱性に優れるので、プリント配線基板500の反りや搬送時におけるクラックを抑制することができる。
図4(c)に示される金属層542,552,562は、回路パターンであってもよいし、電極パットであってもよく、または、前述のように、SAP法で形成されていてもよい。これらの金属層542,552,562は、単層でも複数の金属層であってもよい。
プリント配線基板500は、平面上に複数の半導体素子を搭載することができる大面積を有していてもよい。これにより、プリント配線基板500に搭載された複数の半導体素子を一括封止した後、これらを個片化することにより、複数の半導体パッケージを得ることができる。なお、プリント配線基板500は、略円形形状や矩形形状等のパネル基板とすることができる。
上記プリント配線基板500の製造方法は、特に限定されないが、例えば、支持基板510上に、ビルドアップ層、ソルダーレジスト層を形成した後、この支持基板510を剥離することにより得ることができる。具体的には、図4(a)に示すように、大面積の支持基板510(例えば、SUSで構成される板部材)上に、キャリア箔520、金属箔530(例えば、銅箔)を配置する。このとき、支持基板510とキャリア箔520の間に不図示の接着樹脂を設けることができる。続いて、金属箔530上に金属層542を形成する。この金属層542を、たとえば、SAP方法等の通常の手法によりパターニングする。続いて、加熱加圧成形法等により、上記キャリア膜付樹脂膜を積層した後、キャリア膜付樹脂膜からキャリア基材を剥離する。そして、樹脂膜を硬化する。これらを3回繰り返して、2層のビルドアップ層と1層のソルダーレジスト層を形成する。
その後、図4(b)に示すように支持基板510を剥離する。そして、金属箔530をエッチング等により除去する。
以上により、図4(c)に示すプリント配線基板500が得られる。
次に、本実施形態のプリント配線基板の変形例を説明する。図5は、プリント配線基板600の構成の一例を示す断面図である。
図5に示すプリント配線基板600は、PLP(パネルレベルパッケージ)プロセスに用いられるコアレス樹脂基板610で構成されていてもよい。PLPプロセスは、例えば、配線板プロセスを利用して、ウエハ以上の大面積を有するパネルサイズパッケージを得ることができる。PLPプロセスを使用することにより、ウエハレベルプロセスよりも半導体パッケージの生産性を効率的に向上させることができる。
本実施形態において、コアレス樹脂基板610の絶縁層612(層間絶縁層)や絶縁層630,632(ソルダーレジスト層)は、本実施形態の樹脂膜の硬化物で形成された絶縁層で構成されていてもよい。本実施形態の樹脂膜の硬化物は強靱性に優れているため、PLPプロセス中において、プリント配線基板600の反りや、とくに搬送時や実装時におけるコアレス樹脂基板610のクラックを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態のプリント配線基板600は、その平面内において複数の半導体素子(不図示)を搭載することができるような大面積を有している。そして、プリント配線基板600の面内方向に搭載された複数の半導体素子を一括して封止した後、これらを個片化することにより、複数の半導体パッケージを得ることができる。本実施形態では、樹脂膜の硬化物の線膨張係数を低くすることができるので、PLPプロセスで得られた半導体パッケージにおいてパッケージ反りを抑制することができる。
プリント配線基板600は、コアレス樹脂基板610と、その表面に形成されたソルダーレジスト層(絶縁層630,632)とを備えることができる。コアレス樹脂基板610は、内蔵された半導体素子620を有してもよい。半導体素子620は、ビア配線616を介して電気的に接続することができる。また、コアレス樹脂基板610は、絶縁層612(層間絶縁層)およびビア配線616を少なくとも有することができる。ビア配線616を介して、下面の金属層640(電極パッド)と上面の金属層618(ポスト)とを電気的に接続することができる。また、ビア配線616は、例えば、金属層614(ポスト)を介して金属層640に接続することができる。コアレス樹脂基板610において、ビア配線616および金属層614が埋設されている。ポストである金属層614は、表面がコアレス樹脂基板610の表面と同一平面を構成してもよい。本実施形態のプリント配線基板600において、コアレス樹脂基板610は、単層の層間絶縁層で構成されているが、この構成に限定されずに、複数の層間絶縁層が積層した構造を有していてもよい。このような層間絶縁層中には少なくとも層間接続配線としてビア配線616が形成されていてもよい。また、本実施形態において、ビア配線616、金属層614、または金属層618は、例えば、銅などの金属で構成されていてもよい。
また、コアレス樹脂基板610の上面と下面は、ソルダーレジスト層(絶縁層630,632)で覆われていてもよい。例えば、絶縁層630は、絶縁層612の表面上に形成された金属層650を覆うことができる。金属層650は、第1金属層652(めっき層)と第2金属層654(無電解めっき層)とで構成されており、例えば、SAP法で形成された金属層であってもよい。金属層650は、例えば、回路パターンまたは電極パッドでもよい。
また、本実施形態のプリント配線基板600の製造方法は、特に限定されないが、例えば、次のような方法を用いることができる。例えば、支持基板上に絶縁層612を形成する。続いて、絶縁層612にビアを形成し、ビア内をめっき方法により金属膜を埋設したビア配線616を形成する。続いて、絶縁層612の表面上に、SAP方法により再配線(金属層650)を形成する。その後、このような層間接続配線を有する複数の層間絶縁層を積層してもよい。その後、ソルダーレジスト層(絶縁層630,632)を形成する。
以上により、プリント配線基板600を得ることができる。
次に、本実施形態のプリント配線基板の変形例を説明する。図6は、プリント配線基板700の構成の一例を示す断面図である。
図6に示すプリント配線基板700は、ポスト付き基板(MIS基板)で構成することができる。例えば、ポスト付き基板は、絶縁層712(層間絶縁層)内に、ビア配線716と金属層718(ポスト)が埋設された構造を有するコアレス樹脂基板710で構成することができる。ポスト付き基板は、個片化された後の基板であっても、個片化前の大面積を有する基板(例えば、ウエハの様な支持体)であってもよい。
本実施形態のプリント配線基板700を用いることにより、ウエハレベルプロセスと同程度以上に、半導体パッケージの生産性を効率的に向上させることができる。
本実施形態において、コアレス樹脂基板710の絶縁層712(層間絶縁層)や絶縁層730,732(ソルダーレジスト層)は、本実施形態の樹脂膜の硬化物で形成された絶縁層で構成されていてもよい。本実施形態の樹脂膜の硬化物は強靱性に優れているため、プリント配線基板700の反りや、とくに搬送時や実装時におけるコアレス樹脂基板710のクラックを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態のプリント配線基板700は、その平面内において複数の半導体素子(不図示)を搭載することができるような大面積を有している。そして、プリント配線基板700の面内方向に搭載された複数の半導体素子を一括して封止した後、これらを個片化することにより、複数の半導体パッケージを得ることができる。本実施形態の樹脂膜の硬化物の線膨張係数を低くすることができるので、得られた半導体パッケージにおいてパッケージ反りを抑制することができる。
プリント配線基板700は、コアレス樹脂基板710と、その表面に形成されたソルダーレジスト層(絶縁層730,732)を備えることができる。コアレス樹脂基板710は、内蔵された半導体素子720を有してもよい。半導体素子720は、ビア配線716を介して電気的に接続することができる。また、コアレス樹脂基板710は、絶縁層712(層間絶縁層)およびビア配線716および金属層718(ポスト)を少なくとも有することができる。ビア配線716を介して、下面の金属層714(ポスト)と上面の金属層718(ポスト)とを電気的に接続することができる。また、絶縁層712内に埋設された金属層714は、絶縁層712の表面に形成された金属層740(電極パッド)に接続することができる。また、絶縁層712の表面は、研磨面を有していてもよい。金属層718の一面は、絶縁層712の研磨面と同一平面を構成してもよい。
本実施形態のプリント配線基板700において、コアレス樹脂基板710は、単層の層間絶縁層で構成されているが、この構成に限定されずに、複数の層間絶縁層が積層した構造を有していてもよい。このような層間絶縁層中には、層間接続配線としてビア配線716および金属層718(ポスト)が形成されていてもよい。また、本実施形態において、ビア配線716、金属層714、または金属層718は、例えば、銅などの金属で構成されていてもよい。また、コアレス樹脂基板710の上面と下面は、ソルダーレジスト層(絶縁層730,732)で覆われていてもよい。
また、本実施形態のプリント配線基板700の製造方法は、特に限定されないが、例えば、次のような方法を用いることができる。例えば、支持基板上に、絶縁層上に銅ポスト(例えば、金属層718)を形成する。銅ポストをさらに絶縁層で埋め込む。続いて、グラインドやケミカルエッチングなどの方法により、当該銅ポストの表面を露出する(つまり、銅ポストの頭出しを行う)。続いて、SAP方法により再配線を形成する。このような工程により層間絶縁層を有するコアレス樹脂基板710を形成できる。この後、層間絶縁層を形成する工程を複数回繰り返すことにより、層間接続配線を有する層間絶縁層を複数層、積層してもよい。その後、ソルダーレジスト層(絶縁層730,732)を形成する。
以上により、プリント配線基板700を得ることができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されない。
(熱硬化性樹脂組成物の調製)
実施例および比較例について、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物を調製した。
まず、表1に示す固形分割合で各成分を溶解または分散させ、メチルエチルケトンで不揮発分70重量%となるように、高速撹拌装置を用いて撹拌して樹脂ワニスを調製した。
なお、表1における各成分の配合割合を示す数値は、熱硬化性樹脂組成物の固形分全体に対する各成分の配合割合(重量%)を示している。
表1における各成分の詳細は下記のとおりである。
実施例および比較例では、以下の原料を用いた。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂1:フルオレン型エポキシ樹脂(EG-280、大阪ガスケミカル社製、25℃で液体、粘度6Pa・s、エポキシ当量460g/eq)
熱硬化性樹脂2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EXA-4850-150、DIC社製、25℃で液体、粘度15Pa・s、エポキシ当量450g/eq)
熱硬化性樹脂3:ポリエーテル型エポキシ樹脂(AER-9000、旭化成社製、25℃で液体、粘度1Pa・s、エポキシ当量380g/eq)
熱硬化性樹脂4:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(EPICLON、830S、DIC社製、粘度3.8Pa・s、エポキシ当量171g/eq)
熱硬化性樹脂5:ビスマレイミド(BMI-1500、デジグナーモレキュールズ社製、粘度40Pa・s、重量平均分子量(Mw)1500)
熱硬化性樹脂6:ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(HP-6000、DIC社製、エポキシ当量250g/eq)
熱硬化性樹脂の粘度は、室温25℃においてE型粘度計を用いて測定した。
(ベンゾオキサジン化合物)
ベンゾオキサジン化合物1:下記式で表されるベンゾオキサジン化合物(四国化成社製、P-d型ベンゾオキサジン)
Figure 0007028165000015
(フェノキシ樹脂)
フェノキシ樹脂1:フェノキシ樹脂(YX6954、三菱化学社製、Mw:40,000)
フェノキシ樹脂2:フェノキシ樹脂(YX6900、三菱化学社製、Mw:15,000)
(その他)
(メタ)アクリル酸エステル重合体1:PMS-13-7、ナガセケムテックス株式会社製、Mw:10×104、エポキシ変性アクリル樹脂、Tg=17℃、エポキシ価=0.20eq/kg、)
(硬化剤)
硬化剤1:フェノール系硬化剤(フェノールノボラック樹脂、住友ベークライト社製、HF-3)
硬化剤2:フェノール系硬化剤(日本化薬社製、GPH-103)
硬化剤3:アミン系硬化剤(ジエチルトルエンジアミン、三井化学ファイン社製、DETDA)
硬化剤4:触媒型硬化剤・イミダゾール化合物(四国化成工業社製、キュアゾール1B2PZ)
(無機充填材)
無機充填材1:球状シリカ(アドマテックス社製SO-C4、平均粒子径1.0μm、フェニルアミノシラン処理)
(カップリング剤)
カップリング剤1:シランカップリング剤(N-フェニルγ-アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学製、KBM-573)
Figure 0007028165000016
(キャリア付き樹脂膜)
実施例および比較例において、得られた樹脂ワニスをキャリア基材であるPETフィルム上に塗布した後、120℃、5分間の条件で溶剤を除去して、厚さ25μmの樹脂膜を形成した。これにより、キャリア付樹脂膜を得た。
(半導体パッケージの製造)
1.プリント配線基板の製造
まず、極薄銅箔(三井金属鉱業社製、マイクロシンEx、2.0μm)を使用した両面銅張積層板(住友ベークライト(株)製、LAZ-4785TH-G、絶縁層厚み0.2mm)を準備した。次に、両面銅張積層板の表面の極薄銅箔層に約1μmの粗化処理を施した後、炭酸ガスレーザーで、層間接続用のφ80μmのスルーホールを形成した。次いで、スルーホールが形成された両面銅張積層板を60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に2分間浸漬後、中和してスルーホール内のデスミア処理を行った。次に、デスミア処理後の両面銅張積層板に対して、無電解銅メッキを厚さ0.5μmで行い、電解銅メッキ用レジスト層を厚さ18μm形成して、パターン銅メッキし、その後、150℃、30分加熱してポストキュアした。次いでメッキレジストを剥離し全面をフラッシュエッチングして、L/S=15/15μmの両面に回路パターンを形成した。
回路パターンを形成した後の回路基板に対し、樹脂膜が回路パターンと対向するように、(層間絶縁膜として)上記で得られたキャリア付樹脂膜を両面に積層した後、2ステージ真空加圧式ラミネーター装置(名機製作所社製、MVLP-500)を用いて、30秒間減圧して10hPa以下で、1ステージ条件として温度120℃、圧力0.8MPa、30秒、2ステージ条件としてSUS鏡板で温度120℃、圧力1.0MPa、60秒にて真空加熱加圧成形した。次いで、キャリア付樹脂膜からキャリア基材を剥離した後、回路パターン上の樹脂膜を、200℃、2時間の条件で硬化した。次いで、セミアディティブ法で回路加工し、(ソルダーレジスト層として)上記で得られたキャリア付き樹脂膜を同様に両面に積層し、レーザー開口してプリント配線基板を得た。
2.半導体装置の製造
得られたプリント配線基板の上に、10mm×10mm×100μm厚みの半田バンプ付半導体素子を実装し、アンダーフィル(住友ベークライト社製、CRP-4160G)で封止し、150℃で2時間硬化させた。最後に、15mm×15mmにダイシングし半導体装置を得た。
実施例および比較例において、次のような評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 0007028165000017
(硬化物)
得られたキャリア付樹脂膜からキャリア基材であるPETフィルムを剥離した樹脂膜を4枚積層して、厚さ100μmの樹脂シートを作製した。次いで、当該樹脂シートを、200℃で2時間熱処理し、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を得た。
(貯蔵弾性率)
(2)貯蔵弾性率E'
貯蔵弾性率E'の測定は、動的粘弾性測定装置(DMA装置、TAインスツルメント社製、Q800)を用いて行った。
得られた硬化物から8mm×40mmのテストピースを切り出した。切り出されたテストピースに対し、昇温速度5℃/min、周波数1Hzで、30℃での貯蔵弾性率測定をおこない、30℃での貯蔵弾性率E'30を算出した。
(引張り伸び率)
得られた硬化物を、縦100mm×横6mmの試験片に切り出した。引張り試験は、当該試験片を一定距離に配置されたチャックに挟み、試験片が破断するまで一定速度で引張る評価を行った。このとき、精密万能試験機(島津製作所社製、オートグラフAG-IS)を用い、初期チャック間距離L:20mm、試験片の厚さ:0.1mm、測定温度:25℃、試験速度:1mm/分の条件を使用した。上記引張り試験において、引張り伸び率(%)は、上記条件で破断したときの変位量と初期チャック間距離より算出した。
(平均線膨張係数(50℃から250℃))
得られた硬化物から4mm×40mmのテストピースを切り出した。切り出されたテストピースに対し、熱機械分析装置TMA(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて、温度範囲50~250℃、昇温速度10℃/min、荷重10g、引張モードの条件で熱機械分析(TMA)を2サイクル測定した。50℃から250℃の範囲における平面方向(XY方向)の線膨張係数の平均値を算出した。なお、線膨脹係数は、2サイクル目の値を採用した。
(ガラス転移温度、損失正接tanδ)
得られた硬化物から8mm×40mmのテストピースを切り出した。切り出されたテストピースに対し、昇温速度5℃/min、周波数1Hzで動的粘弾性測定をおこなった。ガラス転移温度、損失正接tanδの測定は、動的粘弾性測定(DMA装置、TAインスツルメント社製、Q800)で行った。ここで、ガラス転移温度は、損失正接tanδが最大値を示す温度とした。また、得られた損失正接tanδのピーク値からその半値幅を算出した。
(屈曲試験)
得られた硬化物をサンプル試験板として使用した。サンプル試験板のサンプル厚みは100μmであった。このサンプル試験板を、所定の直径の支持棒に沿わせて180℃折り曲げて、破断の有無を評価した。そして、直径を徐々に小さくして、破断しなかった最小の直径を、表2に記載の最小径とした。ただし、評価可能な最小の直径は2mmである。
(パネル反り)
縦250mm×横250mm角SUSの支持基板上に、12μm銅箔を配置し、実施例および比較例で得られたキャリア膜付樹脂膜を、2ステージ真空加圧式ラミネーター装置(名機製作所社製、MVLP-500)を用いて、30秒間減圧して10hPa以下で、1ステージ条件として温度120℃、圧力0.8MPa、30秒、2ステージ条件としてSUS鏡板で温度120℃、圧力1.0MPa、60秒にて真空加熱加圧成形した。次いで、キャリア付樹脂膜からキャリア基材を剥離した後、180℃、2時間の条件で硬化した。これを3回繰返し、三層ビルドアップ層を形成し、SUSを剥離した時のパネル反りを評価した。板端の反りを測定した。
A:15mm未満
B:15mm以上50mm未満(実質上問題なし)
C:50mm以上
(ハンドリング性)
SUS剥離後、さらに12μm銅箔をエッチングした。その後の、パネルのクラックの有無を評価した。
A:クラックなし
B:クラックあり
上記実施例1~8の熱硬化性樹脂組成物で形成された絶縁層は、パネル反りやハンドリング性について良好な結果を示しており、強靱性に優れることが分かった。一方、上記比較例1~4の熱硬化性樹脂組成物で形成された絶縁層は、十分な強靭性を有していなかった。なお、比較例3の評価結果から、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の引張り伸び率が2%以上であっても、硬化物の貯蔵弾性率E'が10GPaよりも大きい場合には、パネル反りが大きくなってしまい、十分な強靭性を有していないことが分かった。また、比較例4の評価結果から、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率E'が1GPa以上10GPa以下であっても、引張り伸び率が2%未満である場合にも、パネル反りが大きく、十分な強靭性を有していないことが分かった。
以上、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含んでおり、その硬化物の30℃における貯蔵弾性率E'30および硬化物の引張り伸び率が前述した所定の範囲内であることに特徴を有する。かかる特徴を有する本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて形成される絶縁膜は、低弾性と高伸度とを両立することにより、優れた強靭性を発揮する。したがって、かかる絶縁層に利用することにより、強靱性に優れるため、大面積のパネルサイズパッケージを製造するパネルレベルプロセス中において、パネル(コアレス基板)の反りや、搬送時や実装時における基板クラックを抑制することができる。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。

Claims (13)

  1. プリント配線基板における絶縁層を形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、
    熱硬化性樹脂と、
    硬化剤と、
    無機充填材と、を含み、
    当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物に対して動的粘弾性測定を行ったときに、前記硬化物の30℃における貯蔵弾性率E'30が1GPa以上10GPa以下であり、
    前記硬化物に対して引張り試験を行ったときに、前記硬化物の引張り伸び率が2%以上であり、
    前記硬化物に対して、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件で動的粘弾性測定を行ったときに、前記硬化物の損失正接tanδのピーク値が0.25以上1以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記無機充填材の含有量が、当該熱硬化性樹脂組成物全体に対して65重量%以上90重量%以下である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記硬化物に対して熱機械分析を行ったときに、前記硬化物の50℃から250℃の範囲において算出した平均線膨張係数が、1ppm/℃以上120ppm/℃以下である請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 当該熱硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が0.1Pa・s以上200Pa・s以下である請求項1ないしのいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む請求項1ないしのいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 重量平均分子量が10,000以上60,000以下のフェノキシ樹脂をさらに含む請求項1ないしのいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 前記無機充填材の平均粒子径が0.5μm以上2μm以下である請求項1ないしのいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 前記無機充填材がシリカを含む請求項1ないしのいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. 前記硬化物のガラス転移温度が、10℃以上220℃以下である請求項1ないしのいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  10. 前記プリント配線基板はガラス繊維を含まない請求項1ないしのいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  11. キャリア基材と、
    前記キャリア基材上に設けられ、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物で形成された樹脂膜と、を備えることを特徴とするキャリア付樹脂膜。
  12. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備えることを特徴とするプリント配線基板。
  13. 請求項12に記載のプリント配線基板と、
    前記プリント配線基板の回路層上に搭載された、または前記プリント配線基板に内蔵された半導体素子と、を備えることを特徴とする半導体装置。
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