JP6972522B2 - プリプレグ、金属張積層板、プリント配線基板および半導体パッケージ - Google Patents
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前述のとおり、プリプレグ中の残存気泡の低減を目的とした従来のプリプレグ製造方法では、ストランド内部にシリカを充填することは困難であることが判明した。
そこで、シリカ充填方法について新たに検討した結果、シリカを含む熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させるとき、シリカの粒径を適切に選択し、含浸方向に対して繊維基材に所定以上の外力を付与することにより、繊維基材のストランド内部までシリカを充填させることができることが分かった。
本発明者はさらに検討したところ、従来のプリプレグでは空隙が多かったストランド内部をシリカで充填することができるので、プリプレグの硬化物の強靱性を高めることができることを見出した。このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、ストランド内部にシリカを含むプリプレグをプリント配線基板に用いることにより、半導体パッケージの反りが低減されることを見出し、本発明を完成するに至った。
第1樹脂層と、
繊維基材に、シリカを含む熱硬化性樹脂組成物が含浸してなる繊維基材層と、
第2樹脂層と、
がこの順で積層したプリプレグであって、
前記繊維基材は、複数の経糸が集合した経糸束と、複数の緯糸が集合した緯糸束とが、互いに交差するように織成して構成されたものであり、
前記シリカの平均粒子径d50が、0.2μm以上2.0μm以下であり、
当該プリプレグの積層方向に対して水平であり、前記経糸束の延在方向に対して垂直である断面において、前記経糸束中における前記経糸の間にシリカが存在しており、かつ、前記経糸束と前記緯糸束との間に前記シリカが存在しており、
前記経糸束における前記断面において、前記シリカが存在する領域の面積をXとし、前記シリカが存在しない領域の面積(但し、前記経糸が占める面積は除く)をYとしたとき、X/(X+Y)×100が、50%以上100%以下である、
プリプレグが提供される。
本実施形態のプリプレグ100において、プリプレグ100の積層方向に対して水平であり、経糸束の延在方向に対して垂直である断面において、経糸束中における経糸の間にシリカが存在している。
そこで、ストランド内部へのシリカ充填方法について新たに検討を進めた。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含むことができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン化合物等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。本実施形態において、熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂を含有してもよい。
また、式(V)中のArは、下記式(VI)中の(Ar1)〜(Ar4)で表される構造であってもよい。
また、ベンゼン環に比べナフタレン環のπ−πスタッキング効果が高いため、特に、ナフタレン型エポキシ樹脂は低熱膨張性、低熱収縮性に優れる。さらに、多環構造のため剛直効果が高く、ガラス転移温度が特に高いため、リフロー前後の熱収縮変化が小さい。ナフトール型エポキシ樹脂としては、例えば下記一般式(VII−1)、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂としては下記式(VII−2)、2官能ないし4官能ナフタレン型エポキシ樹脂としては下記式(VII−3)(VII−4)(VII−5)、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(VII−6)で示すことができる。
なお、本実施形態において、樹脂組成物の固形分とは、組成物樹脂中における不揮発分を指し、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。また、本実施形態において、樹脂組成物全体に対する含有量とは、溶媒を含む場合には、樹脂組成物のうちの溶媒を除く固形分全体に対する含有量を指す。以下、本明細書において同様である。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含むことができる。
また、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−キシレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4'−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などの重付加型の硬化剤;2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオンなどのフェノール系化合物も用いることができる。
さらに、第2硬化剤としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂系硬化剤;メチロール基含有尿素樹脂のような尿素樹脂;メチロール基含有メラミン樹脂のようなメラミン樹脂などの縮合型の硬化剤も用いてもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量4×102〜1.8×103としてもよく、好ましくは5×102〜1.5×103としてもよい。重量平均分子量を上記下限値以上とすることでプリプレグにタック性が生じるなどの問題がおこりにくくなり、上記上限値以下とすることで、プリプレグ作製時、繊維基材への含浸性が向上し、より均一な製品が得ることができる。
本実施形態において、シリカの平均粒子径d50の下限値は、例えば、0.1μm以上であり、好ましくは0.2μm以上であり、より好ましくは0.3μm以上である。これにより、上記熱硬化性樹脂組成物のワニスの粘度が高くなるのを抑制でき、絶縁層作製時の作業性を向上させることができる。一方で、シリカの平均粒子径d50の上限値は、例えば、2.0μm以下であり、好ましくは1.5μm以下であり、より好ましくは1.0μm以下である。これにより、ストランド内部への充填性を高めることができる。
これらの中でも、タルク、アルミナ、ガラス、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを用いてもよい。無機充填材としては、これらの中の1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のもの等が挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メタクリル酸メチルの重合物等で構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)等で構成される。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N(商品名、ガンツ化成(株)製)、メタブレンKW−4426(商品名、三菱レイヨン(株)製)が挙げられる。架橋アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER−91(平均粒子径0.5μm、JSR(株)製)等が挙げられる。
架橋スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK−500(平均粒子径0.5μm、JSR(株)製)等が挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒子径0.1μm)、W450A(平均粒子径0.2μm)(三菱レイヨン(株)製)等が挙げられる。
前記シリコーン粒子は、オルガノポリシロキサンで形成されたゴム弾性微粒子であれば特に限定されず、例えば、シリコーンゴム(オルガノポリシロキサン架橋エラストマー)そのものからなる微粒子、及び二次元架橋主体のシリコーンからなるコア部を三次元架橋型主体のシリコーンで被覆したコアシェル構造粒子等が挙げられる。前記シリコーン粒子としては、KMP−605、KMP−600、KMP−597、KMP−594(信越化学(株)製)、トレフィルE−500、トレフィルE−600(東レ・ダウコーニング(株)製)等の市販品を用いることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、シアネート樹脂をさらに含むことができる。
シアネート樹脂は、分子内にシアネート基(−O−CN)を有する樹脂であり、シアネート基を分子内に2個以上を有する樹脂を用いることができる。このようなシアネート樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類やナフトール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
シアネート樹脂を用いることにより、プリプレグの硬化物の線膨張係数を小さくすることができる。さらに、プリプレグの硬化物の電気特性(低誘電率、低誘電正接)、機械強度等を高めることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、硬化促進剤を含んでもよい。これにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。硬化促進剤としては、熱硬化性樹脂の硬化反応を促進させるものを用いることができ、その種類は特に限定されない。本実施形態においては、硬化促進剤として、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸、およびオニウム塩化合物から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、硬化性をより効果的に向上させる観点からは、オニウム塩化合物を含むことがより好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤は熱硬化性樹脂組成物の調製時に直接添加してもよいし、シリカなどの無機充填材にあらかじめ添加しておいてもよい。カップリング剤の使用により無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を向上させることができる。したがって、カップリング剤を使用することは好ましく、プリプレグの硬化物の耐熱性を改良することができる。また、カップリング剤を用いることにより、銅箔との密着性を向上させることができる。さらに、吸湿耐性を向上できるので、湿度環境下後においても、銅箔との密着性を維持することができる。
これにより、シリカなどの無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を高くすることができ、プリプレグの硬化物の耐熱性をより向上させることができる。
なお、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、緑、赤、青、黄、および黒等の染料、黒色顔料な等の顔料、色素からなる群から選択される一種以上を含む着色剤、低応力剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤等の上記成分(熱硬化性樹脂、硬化剤、無機充填材、硬化促進剤、カップリング剤)以外の添加剤を含んでもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記溶剤としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN−メチルピロリドン等の有機溶剤が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のプリプレグ100は、例えば、図1に示すように、第1樹脂層102と、繊維基材に、シリカを含む熱硬化性樹脂組成物が含浸してなる繊維基材層101と、第2樹脂層103と、がこの順で積層した構造を有するものである。
本実施形態において、ストランドとは、ガラス糸等の繊維糸が集合した糸束を指すものであり、経糸束および緯糸束を意味するものである。
また、プリプレグ100のうち第1樹脂層102および第2樹脂層103についても、シリカが存在することができる。第1樹脂層102および第2樹脂層103のシリカは、繊維基材層101のストランド内のシリカと同じとすることができる。
上記繊維基材として、ガラスクロスを用いることができる。ガラスクロスとしては、とくに限定されないが、ガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維を用いる事ができる。これにより、低吸水性で、高強度、低熱膨張性のプリント配線基板を得ることができる。
本実施形態において、ガラスクロスは、複数のガラス経糸が集合したガラス経糸束と、複数のガラス緯糸が集合したガラス緯糸束とが、互いに交差するように織成して構成されるものである。また、ガラスクロス層は、ガラスクロスに、シリカを含む熱硬化性樹脂組成物が含浸してなるものである。
本実施形態において、金属張積層板は、上記プリプレグの硬化物の少なくとも一面に金属層が配置されたものである。
また、プリプレグを用いた金属張積層板の製造方法は、例えば以下の通りである。
プリプレグまたはプリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の外側の上下両面または片面に金属箔を重ね、ラミネーター装置やベクレル装置を用いて高真空条件下でこれらを接合する、あるいはそのままプリプレグの外側の上下両面または片面に金属箔を重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。次いで、プリプレグと金属箔とを重ねた積層体を加熱加圧成形することで金属張積層板を得ることができる。ここで、加熱加圧成形時に、冷却終了時まで加圧を継続することが好ましい。
また、金属箔としては、キャリア付金属箔等も使用することができる。金属箔の厚みは、好ましくは0.5μm以上20μm以下であり、より好ましくは1.5μm以上18μm以下である。
本実施形態のプリント配線基板は、上記のプリプレグの硬化物で構成された絶縁層を備えるものである。
本実施形態において、プリプレグの硬化物は、例えば、通常のプリント配線基板のコア層やビルドアップ層やソルダーレジスト層、コア層を有しないプリント配線基板におけるビルドアップ層やソルダーレジスト層、PLPに用いられるコアレス基板の層間絶縁層やソルダーレジスト層、MIS基板の層間絶縁層やソルダーレジスト層等に用いることができる。このような絶縁層は、複数の半導体パッケージを一括して作成するために利用させる大面積のプリント配線基板において、当該プリント配線基板を構成する層間絶縁層やソルダーレジスト層にも好適に用いることができる。
本実施形態のプリント配線基板300は、上述のプリプレグ100の硬化物で構成された絶縁層を備えるものである。上記プリント配線基板300は、図2(a)に示すように、絶縁層301(コア層)と絶縁層401(ソルダーレジスト層)とを備える構造を有していてもよい。また、上記プリント配線基板300は、図2(b)に示すように、絶縁層301(コア層)、絶縁層305(ビルドアップ層)および絶縁層401(ソルダーレジスト層)を備える構造を有していてもよい。これらのコア層、ビルドアップ層、ソルダーレジスト層のそれぞれは、例えば、本実施形態のプリプレグの硬化物で構成することができる。
金属層303は、例えば、薬液処理またはプラズマ処理された金属箔105または、本実施形態のプリプレグの硬化物からなる絶縁層(例えば、絶縁層301や絶縁層305)の面上に、SAP(セミアディティブプロセス)法により形成される。例えば、金属箔105または絶縁層301,305上に無電解金属めっき膜308を施した後、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより電解金属めっき層付けを行い、めっきレジストの除去とフラッシュエッチングによる電解金属めっき層309をパターニングすることにより、金属層303を形成する。
次に、本実施形態の半導体装置400について説明する。図3(a)(b)は、半導体装置400の構成の一例を示す断面図である。
本実施形態の半導体装置400は、プリント配線基板300と、プリント配線基板300の回路層上に搭載された、またはプリント配線基板300に内蔵された半導体素子と、を備えることができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
第1樹脂層と、
繊維基材に、シリカを含む熱硬化性樹脂組成物が含浸してなる繊維基材層と、
第2樹脂層と、
がこの順で積層したプリプレグであって、
前記繊維基材は、複数の経糸が集合した経糸束と、複数の緯糸が集合した緯糸束とが、互いに交差するように織成して構成されたものであり、
当該プリプレグの積層方向に対して水平であり、前記経糸束の延在方向に対して垂直である断面において、
前記経糸束中における前記経糸の間にシリカが存在している、プリプレグ。
2.
1.に記載のプリプレグであって、
前記断面において、前記経糸束と前記緯糸束との間に前記シリカが存在している、プリプレグ。
3.
1.または2.に記載のプリプレグであって、
前記経糸束における前記断面において、
前記シリカが存在する領域の面積をXとし、
前記シリカが存在しない領域の面積(但し、前記経糸が占める面積は除く)をYとしたとき、
X/(X+Y)×100が、50%以上100%以下である、プリプレグ。
4.
1.から3.のいずれか1つに記載のプリプレグであって、
前記シリカの平均粒子径d50が、0.1μm以上2.0μm以下である、プリプレグ。
5.
1.から4.のいずれか1つに記載のプリプレグの硬化物の少なくとも一面に金属層が配置された、金属張積層板。
6.
5.の金属張積層板の表面に回路層が形成された、プリント配線基板。
7.
6.に記載のプリント配線基板と、前記プリント配線基板の前記回路層上に搭載された半導体素子と、を備える、半導体パッケージ。
実施例および比較例について、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物を調製した。
まず、表1に示す固形分割合で各成分を溶解または分散させ、シクロヘキサノンおよびメチルイソブチルケトンの混合溶剤で不揮発分70重量%となるように調整し、高速撹拌装置を用い撹拌して熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
なお、表1における各成分の配合割合を示す数値は、熱硬化性樹脂組成物の固形分全体に対する各成分の配合割合(重量%)を示している。
(熱硬化性樹脂組成物)
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂1:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000、エポキシ当量275、重量平均分子量2000)
(シアネート樹脂)
シアネート樹脂1:シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、PT−30、重量平均分子量700)
(硬化剤)
硬化剤1:フェノール樹脂系硬化剤(日本化薬株式会社製、KAYAHARD GPH−103、水酸基当量231)
(無機充填材)
無機充填材1:シリカ(球状、株式会社アドマテックス製、SC4050、平均粒子径1.0μm)
(カップリング剤)
カップリング剤1:エポキシシランカップリング剤(GE東芝シリコーン株式会社製、A−187)
下記の繊維基材としては、JIS R3413に規定されるガラス繊維を、平織り製織された織布を使用した。
繊維基材1(#2013):(Tガラス、1/0のグラスファイバーヤーンを用い、経糸と緯糸の25mmあたりの打込み本数が、それぞれ46本、45本、開繊・扁平処理した厚み69μm、坪量82g/m2)
繊維基材2:(#1035):(Tガラス、1/0のグラスファイバーヤーンを用い、経糸と緯糸の25mmあたりの打込み本数が、それぞれ65本、67本、開繊・扁平処理した厚み30μm、坪量30g/m2)
実施例においては、得られた樹脂ワニスをガラスクロス上に塗布し、ウレタンゴム製のスキージで樹脂ワニスをガラスクロスに押し付けながら、スキージ速度:8m/minの条件で当該スキージを塗布ラインに沿って移動させた。これにより、スキージを用いて外力を付与しつつ、樹脂ワニスをガラスクロスに含浸させた。その後、180℃の加熱炉で2分間乾燥させてプリプレグを得た。実施例1から3のプリプレグ中の熱硬化性樹脂組成物の含有量は、プリプレグ全体の固形分基準で、それぞれ約55重量%、約55重量%、約71重量%であった。
得られたプリプレグの両面にキャリア付き2μmの銅箔(三井金属鉱業社製、マイクロシンMT18Ex−2)を重ねて、圧力3MPa、温度220℃で2時間加熱加圧成形した。これにより、プリプレグが硬化してなる厚さ150μmの絶縁層の両面に銅箔を有する金属張積層板を得た。
厚み100μmのELC−4785TH−G(住友ベークライト社製、銅箔12μm)を用いて、ドリル機で所定のところを開孔して、無電解めっきにより、導通を図り、銅箔をエッチングして回路形成面を有する残銅60%のコア層を作製した。また、得られたプリプレグを、上記CVP300にセットして上記コア層に仮付けし、真空ラミネーター内で120℃、0.7MPa、30秒間真空ラミネーションをおこなった。
その後、ニチゴー・モートン社製CPV300が備えるホットプレス装置を用いて、100℃、0.6MPa、60秒間ホットプレスして平滑化した。
その後、PETフィルムを剥離した後、熱風乾燥装置に、得られた積層体を160℃、60分間入れ、ビルドアップ用プリプレグの熱硬化性樹脂の硬化反応をおこなった。
つぎに、得られた積層板に炭酸レーザーによりビア孔を形成した。ビア内および、樹脂層表面を、60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に20分浸漬後、中和して粗化処理をおこなった。
これを脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅めっき皮膜を約0.5μm形成し、レジストを形成し、無電解銅めっき皮膜を給電層としてパターン電気めっき銅20μm形成させ、回路加工を施した。つぎに、熱風乾燥装置にて200℃で60分間アニール処理を行った後、フラッシュエッチングで給電層を除去した。次いで、ソルダーレジスト層を形成し、半導体素子搭載パッドなどが露出するように開口部を形成した。最後に、ソルダーレジスト層から露出した回路層上へ、無電解ニッケルめっき層3μmと、さらにその上へ、無電解金めっき層0.1μmとからなるめっき層を形成し、得られた基板を50mm×50mmサイズに切断し、プリント配線板を得た。
得られたプリント配線板にソルダーレジスト層を形成し、半導体素子搭載パッドなどが露出するように炭酸レーザーにより開口を形成した。
最後に、ソルダーレジスト層から露出した回路層上へ、無電解ニッケルめっき層3μmと、さらにその上へ、無電解金めっき層0.1μmとからなるめっき層を形成し、得られた基板を50mm×50mmサイズに切断し、半導体パッケージ用の回路基板(プリント配線基板)を得た。
半導体パッケージは、得られたプリント配線基板上に半田バンプを有する半導体素子(TEGチップ、サイズ10mm×10mm、厚み0.1mm)を、フリップチップボンダー装置により、加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、その後、液状封止樹脂を硬化させることで半導体パッケージを得た。尚、液状封止樹脂は、温度150℃、120分の条件で硬化させた。上記半導体素子の半田バンプは、Sn/Pb組成の共晶で形成されたものを用いた。最後に14mm×14mmのサイズにルーターで個片化し、半導体パッケージを得た。
回路厚み18μm、残銅率70%の回路基板において、得られたプリプレグを3MPa、220℃、2時間の条件の下、真空加圧することにより評価した。評価基準は以下の通りである。
成形可:ボイドなし
成形不可:ボイドあり
得られたプリプレグを220℃で2時間熱処理した硬化物における経糸束の断面画像(倍率1,000倍)を準備し、画像解析による二値化により、シリカが存在する領域の面積Xと、シリカが存在しない領域の面積Y(但し、経糸が占める面積は除く)を算出した。ストランド内部におけるシリカ充填率(%)は、X/(X+Y)×100で算出した。
なお、図4は、実施例1のプリプレグの経糸束の断面画像(倍率1,000倍)であり、図5は、比較例1のプリプレグの経糸束の断面画像(倍率1,000倍)である。
得られた半導体パッケージを、温度可変レーザー三次元測定機(日立テクノロジーアンドサービス社製、形式LS220−MT100MT50)のサンプルチャンバーに半導体素子面を下にして設置し、上記測定機を用いて、半導体パッケージの室温(25℃)を測定した。反りの測定は、高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値を反り量とした。
評価基準は以下の通りである。
〇 :反り量が150μm未満
× :反り量が150μm以上
線熱膨張係数(CTE)は、TMA(熱機械的分析)装置(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて、4mm×20mmのサンプルを作製し、温度範囲30〜300℃、10℃/分、荷重5gの条件で2サイクル目の50〜150℃におけるCTE1、および150〜250℃におけるCTE2を測定した。尚、サンプルは、得られた金属張積層板の銅箔をエッチング除去したものを用いた。
貯蔵弾性率E'の測定は、動的粘弾性測定(DMA装置、TAインスツルメント社製、Q800)で行った。
得られた金属張積層板の銅箔をエッチング除去することにより、サンプルを得た。得られたサンプルから8mm×40mmのテストピースを切り出し、そのテストピースに対し、昇温速度5℃/min、周波数1Hzで、20℃から260℃までの貯蔵弾性率測定をおこない、30℃、250℃での貯蔵弾性率E'(30℃)、E'(250℃)を算出した。
101 繊維基材層
102 第1樹脂層
103 第2樹脂層
300 プリント配線基板
301 絶縁層
303 金属層
305 絶縁層
307 ビアホール
308 無電解金属めっき膜
309 電解金属めっき層
400 半導体装置
401 絶縁層
407 半導体素子
410 半田バンプ
413 封止材層
Claims (4)
- 第1樹脂層と、
繊維基材に、シリカを含む熱硬化性樹脂組成物が含浸してなる繊維基材層と、
第2樹脂層と、
がこの順で積層したプリプレグであって、
前記繊維基材は、複数の経糸が集合した経糸束と、複数の緯糸が集合した緯糸束とが、互いに交差するように織成して構成されたものであり、
前記シリカの平均粒子径d50が、0.2μm以上2.0μm以下であり、
当該プリプレグの積層方向に対して水平であり、前記経糸束の延在方向に対して垂直である断面において、前記経糸束中における前記経糸の間にシリカが存在しており、かつ、前記経糸束と前記緯糸束との間に前記シリカが存在しており、
前記経糸束における前記断面において、前記シリカが存在する領域の面積をXとし、前記シリカが存在しない領域の面積(但し、前記経糸が占める面積は除く)をYとしたとき、X/(X+Y)×100が、50%以上100%以下である、
プリプレグ。 - 請求項1に記載のプリプレグの硬化物の少なくとも一面に金属層が配置された、金属張積層板。
- 請求項2の金属張積層板の表面に回路層が形成された、プリント配線基板。
- 請求項3に記載のプリント配線基板と、前記プリント配線基板の前記回路層上に搭載された半導体素子と、を備える、半導体パッケージ。
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-
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