JP5569270B2 - プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板及び半導体装置 - Google Patents
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Description
また、プリプレグ上に金属箔等の導体層を設けて導体回路層を形成することにより作製したプリント配線板は、前記プリプレグが有する樹脂組成物量を大きくすることで、誘電率及び誘電正接が比較的高いガラスクロスから、導体回路層までの間隔が広くなるため、低誘電率化、低誘電正接化を図ることができる。
しかし、プリプレグが有する樹脂組成物量を大きくすると、プリプレグが厚くなってしまうため、プリプレグの樹脂組成物量を大きくし、且つ、プリプレグの厚さを従来と同等に維持し或いは従来よりも薄くするためには、ガラスクロスを薄くする必要がある。
しかしながら、薄いガラスクロスを用いて作製したプリプレグは、ガラスクロスに対する樹脂組成物量は大きいが、樹脂の弾性率や熱膨張率の影響が大きくなるため、プリプレグ全体の弾性率低下、熱膨張率増大が起こる。そこで従来は、樹脂組成物中の充填材の含有量を大きくすることによってプリプレグの弾性率低下、熱膨張率増大を阻止していた。さらに、充填材は樹脂に比べても誘電正接が低いため、樹脂組成物中に充填材を多量に含有させることにより、プリプレグの誘電正接をさらに低くすることができる。
また、本発明の目的は、前記プリプレグを用いて作製した金属張積層板及びプリント配線板を提供し、さらに、前記プリント配線板を用いて作製した半導体装置を提供することにある。
前記ワニスは、JIS C 6521に準じて測定される150℃でのゲルタイムが15分以上であり、180℃でのゲルタイムが3.0〜7.0分であり、
前記熱硬化性樹脂組成物の示差走査熱量測定(DSC)で測定される熱硬化反応開始温度が、150〜180℃であることを特徴とするプリプレグ。
[2]前記ガラスクロスの単位面積あたり重量が24g/m2〜49g/m2で、且つ前記熱硬化性樹脂組成物の単位面積あたり重量が48g/m2〜279g/m2である、上記[1]に記載のプリプレグ。
[3]前記熱硬化性樹脂組成物の単位面積あたり重量が、ガラスクロスの単位面積あたりの重量の2倍〜5.7倍である上記[1]又は[2]に記載のプリプレグ。
[4]前記熱硬化性樹脂組成物が、硬化剤として下記化学式(1)で表わされる末端構造を少なくとも一つ含み、さらにベンゼン環のメタ位にアミノ基を有する末端構造を少なくとも一つ含む芳香族アミン化合物を含有するエポキシ樹脂組成物である、上記[1]乃至[3]のいずれか一に記載のプリプレグ。
[6]上記[1]乃至[5]のいずれか一に記載のプリプレグ上に金属箔を積層し、加熱加圧して得られることを特徴とする金属張積層板。
[7]上記[6]に記載の金属張積層板を内層回路基板に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
[8]内層回路上に、上記[1]乃至[5]のいずれか一に記載のプリプレグを絶縁層に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
[9]上記[7]又は[8]に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなることを特徴とする半導体装置。
さらに、前記プリプレグを用いて、低誘電率及び低誘電正接である金属張積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得ることができる。
まず、本発明のプリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、充填材を60〜85質量%の割合で含有する熱硬化性樹脂組成物を溶剤に含有したワニスを、ガラスクロスに保持させた後、前記溶剤を除去することにより得られ、
前記ワニスは、JIS C 6521に準じて測定される150℃でのゲルタイムが15分以上であり、180℃でのゲルタイムが3.0〜7.0分であることを特徴とする。
また、本発明のプリプレグは、充填材を多量に含有した前記樹脂組成物を用いて作製されるので、高弾性及び低熱膨張性であり、誘電正接がより低い。
さらに、前記ワニスは、JIS C 6521に準じて測定される150℃でのゲルタイムが15分以上、180℃でのゲルタイムが3.0〜7.0分であり、より好ましくは、150℃でのゲルタイムが20分以上、180℃でのゲルタイムが5〜6.5分である。
ワニスのゲルタイムとは、ワニスが所定温度で流動性を失うまでの時間であり、ワニスのゲルタイムが短いほど、ワニスの硬化速度が速いことを意味する。
本発明のプリプレグは、前記ワニスをガラスクロスに保持させた後、加熱乾燥によってワニス中の溶剤を除去することにより得られるが、ワニスの150℃でのゲルタイムが15分未満又は180℃のゲルタイムが3.0分未満であると、ワニスの硬化速度が速すぎて、流動性が低いため、得られるプリプレグはボイド発生により絶縁信頼性が低下したり、成形性が悪くなったりする。なお、本発明においてプリプレグの成形性とは、コア基板用基材として用いる時の導体層との密着性、及びビルドアップ用絶縁材として用いる時の回路の埋め込み性のことを意味する。プリプレグ作製の際の加熱乾燥工程では、ワニス中の溶剤が除去されると同時に、ワニスが含有する樹脂組成物の硬化反応が進行し、加熱乾燥後の樹脂層は半硬化状態となる。ワニスのゲルタイムが前記範囲内であると、前記加熱乾燥工程においてワニスの硬化が徐々に進行するため、半硬化状態での樹脂層が、導体層との密着性及び回路埋め込み性に優れる流動性を有するようにすることができる。
一方、ワニスの180℃でのゲルタイムが7.0分を超えると、ワニスの硬化速度が遅すぎて、ワニスの流動性が高いため、プレス時にスジ状のムラが発生したりする。
ワニスのゲルタイムは、樹脂組成物に含まれる樹脂、硬化剤、硬化促進剤、充填材等の成分の種類及び量、並びに溶剤の種類及び量等を変えることによって調節することができる。
前記熱硬化性樹脂組成物は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂、硬化剤、充填材等を含有する。
これらのエポキシ樹脂の中でも特に、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これにより、低吸水性、耐熱性及び難燃性が向上する。
前記ビスマレイミド化合物としては、特に限定されないが、例えば、4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、2,2'−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N'−エチレンジマレイミド、N,N'−ヘキサメチレンジマレイミド等が挙げられる。これらの中でも、低吸水率等を考慮すると、2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンが好ましい。
前記ビスマレイミド化合物は、単独で用いてもよいし、種類の異なるビスマレイミド化合物を併用したり、ビスマレイミド化合物とそのプレポリマーとを併用したりすることもできる。
前記シアネート樹脂は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類やナフトール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
前記プレポリマーは、通常、前記シアネート樹脂を加熱反応等により、例えば3量化することで得られるものであり、ワニスの成形性、流動性を調整するために好ましく使用されるものである。
前記プレポリマーは、特に限定されないが、例えば、3量化率が20〜50重量%のプレポリマーを用いた場合、良好な成形性、流動性を発現できる。
前記硬化剤としては、特に限定されず、例えば前記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合は、エポキシ樹脂の硬化剤として公知の脂肪族アミン、芳香族アミン、ジシアンジアミド、ジカルボン酸ジヒドラジド化合物、酸無水物、フェノール樹脂等を用いることができる。これらの中でも、前記熱硬化性樹脂組成物をワニスとした時に、当該ワニスのゲルタイムを本発明で特定する範囲内とすることが容易である点から、芳香族アミンが好ましく、中でも、下記化学式(1)で表わされる末端構造を少なくとも一つ含み、さらにベンゼン環のメタ位にアミノ基を有する末端構造を少なくとも一つ含む芳香族アミン化合物が好ましく、特に下記化学式(1)で表わされる末端構造を少なくとも二つ含む芳香族アミン化合物が好ましく、下記化学式(1)で表わされる末端構造を少なくとも二つ含み且つ芳香環を3つ以上有するものであることがより好ましい。なお、前記硬化剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、前記熱硬化性樹脂としてシアネート樹脂を用いる場合はシアネート樹脂とアミノ基が激しく反応するため、前記硬化剤の含有量は、前記熱硬化性樹脂組成物全体の固形分基準で0〜5重量%が好ましく、特に0〜2重量%が好ましい。
前記充填材としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等の無機充填材、シリコンゴム、アクリルゴム粒子、ポリスチレンパウダー等の有機充填材を用いることができる。
また、前記充填材の形状は、破砕状、球状等が挙げられるが、プリプレグ製造において樹脂組成物のガラスクロスに対する含浸性を確保するため、樹脂組成物の粘度を下げることから、球状シリカを使うことが好ましい。
前記溶剤としては、少なくとも前記熱硬化性樹脂組成物に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用してもよい。具体的には、アルコール類、エーテル類、アセタール類、ケトン類、エステル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類、及びエステルエーテル類等の有機溶剤を用いることができる。良好な溶解性を示す溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
前記ガラスクロスを構成するガラスは、特に限定されないが、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。これらの中でもEガラス、Tガラス、または、Sガラスが好ましい。これにより、ガラスクロスの高弾性化を達成することができ、熱膨張係数も小さくすることができる。
熱硬化反応開始温度が前記下限値未満であると、樹脂組成物の硬化反応が速すぎるため、得られるプリプレグはボイドが発生したり、成形性が悪くなったりする。熱硬化反応開始温度が前記上限値を超えると、樹脂組成物の硬化反応が遅すぎるため、ワニスの流動性が高く、ワニスをガラスクロスに保持させることが困難であったり、プレス時にスジ状のムラが発生したりする。
熱硬化反応開始温度は、一般的には、樹脂組成物に含まれる樹脂及び硬化剤、硬化促進剤の種類を変えることによって調節することができる。
なお、前記DSC測定を行う熱硬化性樹脂組成物のサンプルとしては、プリプレグから樹脂層を削り取る等の操作によってガラスクロスから分離した熱硬化性樹脂組成物の粉末を用いることができる。
次に、金属張積層板について説明する。
本発明の金属張積層板は、上述のプリプレグ上に金属箔を積層し、加熱加圧して得られる。前記プリプレグは、1枚で用いても良いし、2枚以上積層した積層体を用いても良い。プリプレグを1枚で用いるときは、その上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。プリプレグを2枚以上積層した積層体を用いるときは、当該積層体の最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。次に、プリプレグと金属箔とを重ねたものを加熱加圧成形することで金属張積層板を得ることができる。
次に、本発明のプリント配線板について説明する。
本発明のプリント配線板は、上記の金属張積層板を内層回路基板に用いてなる。
または、本発明のプリント配線板は、上記のプリプレグを絶縁層に用いてなる。
前記内層回路基板は、例えば、本発明の金属張積層板の金属箔に、エッチング等により所定の導体回路を形成し、当該導体回路部分を黒化処理したものを好適に用いることができる。
前記絶縁層としては、本発明のプリプレグを用いることができる。尚、前記絶縁層として、本発明のプリプレグを用いる場合は、前記内層回路基板は本発明の金属張積層板からなるものでなくてもよい。
前記金属張積層板の片面又は両面に、サブトラクティブ法、アディティブ法、セミアディティブ法等の公知の方法により回路形成し、内層回路基板を作製する。場合によっては、ドリル加工、レーザー加工によりスルーホールを形成し、メッキ等で両面の電気的接続をとることもできる。この内層回路基板に前記プリプレグを重ね合わせて加熱加圧形成することで絶縁層を形成する。同様にして、前記公知の方法により形成した導体回路層と絶縁層とを交互に繰り返し形成することにより、多層プリント配線板を得ることができる。
次に、本発明の半導体装置について説明する。
前記で得られたプリント配線板に半田バンプを有する半導体素子を実装し、半田バンブを介して、前記プリント配線板との接続を図る。そして、プリント配線板と半導体素子との間には封止樹脂を充填し、半導体装置を形成する。半田バンプは、錫、鉛、銀、銅、ビスマス等からなる合金で構成されることが好ましい。
(1)ワニスの調製
7.0質量部のビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(ケイアイ化成製、BMI−70)、8.0質量部の4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(ケイアイ化成製、BMI−H)、7.2質量部のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬製、NC−3000H、エポキシ当量285)、7.4質量部の1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(三井化学製、APB、下記化学式(4))、0.5質量部の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製、KBM−403)、70.0質量部の溶融シリカ粒子(アドマテックス製、SO−25R、平均粒径0.5μm)をシクロヘキサノンに加え、不揮発分70%となるように調整して樹脂組成物のワニスを得た。
上述のワニスを用いて、ガラス織布(厚さ0.032mm、旭化成エレクトロニクス製)31質量部に対して、ワニスを樹脂組成物の固形分で151質量部含浸させて、180℃の乾燥炉で5分間乾燥させ、樹脂組成物含有量83.0質量%のプリプレグを作製した。
上記プリプレグを4枚重ね、上下に厚さ12μmの電解銅箔(古河サーキットホイル製、F2WS−12)を重ねて、圧力4MPa、温度220℃で180分間加熱加圧成形を行い、厚さ0.4mmの両面銅張積層板を得た。
前記で得られた両面銅張積層板に、0.1mmのドリルビットを用いてスルーホール加工を行った後、メッキによりスルーホールを充填した。さらに、両面をエッチングにより回路形成し、内層回路基板として用いた。前記内層回路基板の表裏に、前記で得られたプリプレグを重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaにて真空加熱加圧成形させた。これを、熱風乾燥装置にて170℃で60分間加熱し硬化させて、積層体を得た。
次に、表面の電解銅箔層に黒化処理を施した後、炭酸ガスレーザーで、層間接続用のφ60μmのビアホールを形成した。次いで、70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に15分浸漬後、中和してビアホール内のデスミア処理を行った。次に、フラッシュエッチングにより電解銅箔層表面を1μm程度エッチングした後、無電解銅メッキを厚さ0.5μmで行い、電解銅メッキ用レジスト層を厚さ18μm形成しパターン銅メッキし、温度200℃時間60分加熱してポストキュアした。次いで、メッキレジストを剥離し全面をフラッシュエッチングして、L/S=20/20μmのパターンを形成した。最後に回路表面にソルダーレジスト(太陽インキ社製PSR4000/AUS308)を厚さ20μm形成し多層プリント配線板を得た。
プリント配線板は、前記で得られた多層プリント配線板であって、半導体素子の半田バンプ配列に相当するニッケル金メッキ処理が施された接続用電極部を配したものを50mm×50mmの大きさに切断し使用した。半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.8mm)は、Sn/Pb組成の共晶で形成された半田バンプを有し、半導体素子の回路保護膜はポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製、CRC−8300)で形成されたものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、多層プリント配線板上に加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂の硬化条件は、温度150℃、120分の条件であった。
ワニスに含まれるビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の添加量を表1に示すように変え、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの代わりに1,3-ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼン(三井化学製、APB−5、下記化学式(5))を10.4質量部加えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の添加量を表1に示すように変え、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの代わりに4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル(東永産業製、3,3’−BAPB、下記化学式(6))を8.7質量部加えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の添加量を表1に示すように変え、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの代わりに4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン(東永産業製、BABP、下記化学式(7))を9.2質量部加えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の添加量を表1に示すように変え、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの代わりに1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン(東永産業製、BABB、下記化学式(8))を10.7質量部加えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の添加量を表1に示すように変え、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの代わりにビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(小西化学製、3BAPS、下記化学式(9))を9.8質量部加えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、及び1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの添加量を表1に示すように変え、溶融シリカ粒子の含有量を65.0質量部とした以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4‘−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、及び1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの添加量を表1に示すように変え、溶融シリカ粒子の含有量を75.0質量部とした以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
実施例1のワニスを用いて、ガラス織布(厚さ0.039mm、旭化成エレクトロニクス製)25質量部に対して、ワニスを樹脂組成物の固形分で142質量部含浸させて、180℃の乾燥炉で5分間乾燥させ、樹脂組成物含有量85.0質量%のプリプレグを作製した以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
実施例1のワニスを用いて、ガラス織布(厚さ0.045mm、旭化成エレクトロニクス製)49質量部に対して、ワニスを樹脂組成物の固形分で126質量部含浸させて、180℃の乾燥炉で5分間乾燥させ、樹脂組成物含有量73.5質量%のプリプレグを作製した以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
7.0質量部のビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(ケイアイ化成製、BMI−70)、8.0質量部の4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(ケイアイ化成製、BMI−H)、7.2質量部のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬製、NC−3000H、エポキシ当量285)、7.3質量部のフェノールノボラック型シアネート樹脂(LONZA製、PT−30)、0.1質量部の2−フェニルイミダゾール(四国化成製、2PZ)、0.5質量部の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製、KBM−403)、70.0質量部の溶融シリカ粒子(アドマテックス製、SO−25R、平均粒径0.5μm)をシクロヘキサノンに加え、不揮発分70%となるように調整して樹脂組成物のワニスを調製した以外は、実施例1と同様にして、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれる溶融シリカ粒子の含有量を30.0質量部とした以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれる溶融シリカ粒子の含有量を200.0質量部とした以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの代わりに1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(和歌山精化製、TPE−R、下記化学式(10))を用いた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の添加量を表2に示すように変え、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの代わりに1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(和歌山精化製、TPE−R、上記化学式(10))を4.2質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の添加量を表2に示すように変え、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの代わりに4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(東永産業製、4,4’−BAPB、下記化学式(11))を8.7質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の添加量を表2に示すように変え、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの代わりにビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(小西化学製、4BAPS、下記化学式(12))を9.8質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の添加量を表2に示すように変え、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの代わりに3,3’−ジアミノジフェニルメタン(東京化成製、下記化学式(13))を5.4質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
8.0質量部のビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(ケイアイ化成製、BMI−70)、9.1質量部の4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(ケイアイ化成製、BMI−H)、8.3質量部のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬製、NC−3000H、エポキシ当量285)、4.0質量部のフェノールノボラック型シアネート樹脂(LONZA製、PT−30)、0.1質量部の2−フェニルイミダゾール(四国化成製、2PZ)、0.5質量部の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製、KBM−403)に70.0質量部の溶融シリカ粒子(アドマテックス製、SO−25R、平均粒径0.5μm)をシクロヘキサノンに加え、不揮発分70%となるように調整して樹脂組成物のワニスを調製した以外は、実施例1と同様にして、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
各実施例および各比較例で得られたワニス、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板について以下の評価を行った。評価内容を項目と共に示す。また、各実施例により得られた評価結果を表1に示し、各比較例により得られた評価結果を表2に示す。なお、成形不良により評価できなかった項目は、表中において「成形不良」と記載した。
各実施例及び各比較例で得られたワニスのゲルタイムを、JIS C 6521に準拠して150℃、180℃で測定した。
各実施例及び各比較例で得られたプリプレグが有する樹脂組成物の発熱開始温度をDSCにより測定した。前記樹脂組成物のサンプルとしては、前記プリプレグから樹脂層を削り取ることによって得られた樹脂組成物の粉末を用いた。DSCは、示差走査熱量計DSC−220U(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用い、窒素気流下で昇温速度10℃/minで測定を行った。DSC測定データから、JIS K7121の方法に準じて、硬化発熱開始温度を算出した。算出された硬化発熱開始温度は、樹脂組成物の熱硬化反応開始温度とすることができる。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板表面のスジ状のムラの発生状況を目視により評価した。スジ状のムラが確認されなかったものを「問題なし」とし、スジ状のムラが確認されたものを「スジあり」とした。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板を全面エッチングし、ボイドの発生状況を目視により評価した。ボイドが確認されなかったものを「問題なし」とし、ボイドが確認されたものを「ボイドあり」とした。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板を全面エッチングし、得られた積層板から5mm×20mmの試験片を作製し、TMA(熱機械的分析)装置(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて、温度範囲30〜300℃、10℃/分、荷重5gの条件で2サイクル目の50〜100℃における線膨張係数(CTE)を測定した。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板を全面エッチングし、6mm×25mmの試験片を作製し、DMA装置(TAインスツルメント社製、動的粘弾性測定装置、DMA983)を用いて5℃/分で昇温し、50℃でのG’(貯蔵弾性率)の値を弾性率とした。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板を50mm×50mmにグラインダーソーでカットした後、エッチングにより銅箔を1/4だけ残した試料を作製し、JIS C 6481に準拠して半田耐熱性を評価した。評価は、121℃、100%、2時間、PCT吸湿処理を行った後に、288℃の半田槽に30秒間浸漬した後で外観の異常の有無を調べた。異常がなかったものを「問題なし」とし、全体的にフクレの箇所があったものを「フクレあり」とした。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板から100mm×20mmの試験片を作製し、23℃におけるピール強度を測定した。尚、ピール強度測定は、JIS C 6481に準拠して行った。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板を全面エッチングし、97×25mm、53×25mm、38×25mmに切断し、0.018mmの圧延銅箔を貼り付け、トリプレート線路共振器を作成し、マイクロ波ネットワークアナライザHP8510C、HP83651A、HP8517B(アジレントテクノロジー製)を用いて、トリプレート線路共振器法で誘電率及び誘電正接を測定した。
各実施例及び各比較例で得られた多層プリント配線板の回路部分の断面を観察し、回路埋め込み性を確認した。
ボイドが確認されたものを「ボイドあり」とした。
比較例2は充填材の量が多いため、樹脂層の流動性が小さく、ボイドが発生した。また、両面銅張積層板作製時の加熱加圧工程にて溶融樹脂の不均一な移動が起き、表面が平滑にならず、成形不良となった。このため、熱膨張係数、弾性率、半田耐熱性、及び誘電特性を評価するためのサンプルを作製できなかった。また、得られた両面銅張積層板は、銅箔が簡単に剥がれるため、銅箔ピール強度を測定できなかった。
比較例3、比較例5及び比較例6は、150℃及び180℃でのワニスのゲルタイムが短く、熱硬化反応開始温度が低いために、ボイドが発生し、比較例2と同様に成形不良となった。
比較例4は、180℃でのワニスゲルタイムが短く、熱硬化反応開始温度が低いために、多層プリント配線板の回路部分にボイドが発生した。さらに硬化剤の量を減らしたことにより、成形は可能となったものの、硬化が不充分でモノマーが残存するため、半田耐熱性が悪化した。
比較例7は、180℃でのワニスのゲルタイムが長く、熱硬化反応開始温度が高いために、スジ状のムラが発生した。
比較例8は、180℃でのワニスのゲルタイムが長いために、スジ状のムラが発生した。さらに、硬化が不充分でモノマーが残存し、その結果半田耐熱性が悪化した。
一方、実施例1〜11は、熱硬化性樹脂組成物全体の固形分基準で充填材を60〜85質量%含有し、さらにワニス中の成分の配合を調整して、ワニスのゲルタイムが150℃で15分以上、180℃で3.0〜7.0分となるようにしたため、低誘電率及び低誘電正接であり、成形性(導体層との密着性及び回路埋め込み性)に優れ、スジ状のムラやボイドの発生もなく、低熱膨張性、高弾性であり、半田耐熱性に優れる等の基本的な要求品質も満たしていた。
2…含浸槽
3…ワニス
4…ディップロール
5…スクイズロール
6…乾燥機
7…プリプレグ
8…上部ロール
Claims (9)
- 充填材を60〜85質量%の割合で含有する熱硬化性樹脂組成物を溶剤に含有したワニスを、ガラスクロスに保持させた後、前記溶剤を除去することにより得られるプリプレグであって、
前記ワニスは、JIS C 6521に準じて測定される150℃でのゲルタイムが15分以上であり、180℃でのゲルタイムが3.0〜7.0分であり、
前記熱硬化性樹脂組成物の示差走査熱量測定(DSC)で測定される熱硬化反応開始温度が、150〜180℃であることを特徴とするプリプレグ。 - 前記ガラスクロスの単位面積あたり重量が24g/m2〜49g/m2で、且つ前記熱硬化性樹脂組成物の単位面積あたり重量が48g/m2〜279g/m2である、請求項1に記載のプリプレグ。
- 前記熱硬化性樹脂組成物の単位面積あたり重量が、ガラスクロスの単位面積あたりの重量の2倍〜5.7倍である請求項1又は2に記載のプリプレグ。
- 前記熱硬化性樹脂組成物が、さらにビスマレイミド化合物を含むものである、請求項4に記載のプリプレグ。
- 前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプリプレグ上に金属箔を積層し、加熱加圧して得られることを特徴とする金属張積層板。
- 前記請求項6に記載の金属張積層板を内層回路基板に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
- 内層回路上に、前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプリプレグを絶縁層に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
- 前記請求項7又は8に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなることを特徴とする半導体装置。
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