JP4789713B2 - ウェットエッチング方法、ダメージ層除去方法、半導体装置の製造方法、および半導体基板の製造方法 - Google Patents

ウェットエッチング方法、ダメージ層除去方法、半導体装置の製造方法、および半導体基板の製造方法 Download PDF

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本発明は、Gaを必須とするIII 族窒化物半導体のウェットエッチング方法およびダメージ層除去方法に関するものと、そのダメージ層除去方法を用いた、Gaを必須とするIII 族窒化物半導体で構成される半導体装置の製造方法および半導体基板の製造方法に関するものである。
III 族窒化物半導体は近年盛んに研究され、発光素子の材料としてだけでなく、その他の半導体素子への応用も期待されている。
一般に、半導体素子を加工する場合においては、エッチングにより加工をする場合が多い。エッチングにはドライエッチングとウェットエッチングがあるが、III 族窒化物半導体は物理的、化学的に非常に安定しているため、ウェットエッチングによるエッチングは難しく、おもにドライエッチングにより加工されている。
III 族窒化物半導体のウェットエッチングの例としては、エッチングしたい部分の結晶の欠陥性を人為的に高め、その欠陥部分をKOH水溶液によりウェットエッチングする方法が知られている。たとえば、特許文献1には、イオンを注入することで欠陥性を高める方法と、基板の一部にAl2 3 膜を形成し、その上にGaN層を成長させることで、GaN層の一部に欠陥性の高い部分を形成する方法が記されている。また、特許文献2にもイオン注入により欠陥性を高める方法が記されている。
また、電気化学的電池を用いてウェットエッチングする方法が、特許文献3、4に記されていて、特許文献5には、導電性膜を形成することにより電池を形成し、電圧を印加することなくウェットエッチングする方法が記されている。
また、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液を用いてシリコンを異方性エッチングする例が、特許文献6に記載されている。しかしながら、TMAH溶液によりGaを必須成分として含むIII 族窒化物半導体をエッチングできるかどうかは知られていない。
特許第3764792号 特開2002−231705 特許第3416113号 特開2006−80274 特開2005−210089 特許3027030号
しかしながら、特許文献1、2に記されたウェットエッチング方法では、欠陥部分の位置、範囲が的確になるよう構成することの制御が難しく、正確にエッチングする手段としては向いていない。特許文献3、4に記されたウェットエッチング方法では、そのエッチング方法自体が複雑な構成であり、そのため、半導体装置の製造工程にそのエッチング方法を適用するには量産性の点で問題がある。特許文献5に記されたウェットエッチング方法においても、導電性膜を形成および除去する工程が必要となり、多工程になるため、やはり量産性の点が問題になる。
そこで本発明は、従来よりも簡便なGaを必須成分として含むIII 族窒化物半導体のウェットエッチング方法、およびそのウェットエッチング方法を用いた半導体装置製造方法を提供することが目的である。
第1の発明は、Gaを必須とするIII 族窒化物半導体(以下、断りのない限り単に「III 族窒化物半導体」と記す)のウェットエッチング方法において、エッチング剤として、濃度5%〜50%、温度50℃〜100℃のTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液を用いて、GaN又はInGaNから成るIII 族窒化物半導体のA面、R面またはM面をエッチングすることを特徴とするウェットエッチング方法である。
TMAH溶液の温度は50℃〜100℃、濃度は5%〜50%であるほうが望ましい。温度は80℃〜100℃、濃度は6%〜25%であるとより望ましくなる。温度が50℃以下では、エッチング速度が遅く、エッチピットがあまり形成されないため望ましくなく、100℃以上であると、溶液中に気泡が発生し、結晶に付着するため望ましくなく、溶媒の蒸発により濃度が変化してしまう恐れがある点でも望ましくない。また、濃度が5%以下では、エッチング速度が遅いため望ましくなく、50%以上では、過飽和状態になる可能性があり、沈殿物を生じることがあるため望ましくない。また、TMAH溶液には、TMAH水溶液を用いることができる。
また、本発明によるウェットエッチング方法は、R面やM面をエッチングするのに特に有効である。TMAH溶液によるエッチングは異方性を有し、R面やM面が形成されやすいため、R面やM面を表面として保持したままエッチングできるからである。
第2の発明は、Gaを必須とするIII 族窒化物半導体のダメージ層を除去する方法において、III 族窒化物半導体のC面以外の面に形成されたダメージ層を、エッチング剤としてTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液を用いたウエットエッチングにより除去することを特徴とするダメージ層除去方法である。
また、第3の発明は、第2の発明において、TMAH溶液の温度は、50℃〜100℃であることを特徴とするダメージ層除去方法である。
また、第4の発明は、第2の発明または第3の発明において、TMAH溶液の濃度は、5%〜50%であることを特徴とするダメージ層除去方法である。
また、第5の発明は、第2の発明ないし第4の発明のいずれか1の発明において、III 族窒化物半導体のC面以外の面は、R面またはM面であることを特徴とするダメージ層除去方法である。
特に、R面やM面に形成されたダメージ層は、R面やM面を表面として保持したままエッチングできる。
第6の発明は、III 族窒化物半導体のC面以外の面を用いて構成された半導体装置の製造方法において、その半導体装置にドライエッチングによりコンタクトホールを形成し、そのドライエッチングによりIII 族窒化物半導体のC面以外の面に形成されたダメージ層を、第2の発明ないし第4の発明のいずれか1の発明に係るダメージ層除去方法を用いて除去することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
第7の発明のように、第6の発明の半導体装置がR面またはM面を用いて構成されている場合は、特に有効である。なぜなら、この場合にドライエッチングにより形成されるダメージ層はR面またはM面であるからで、先に述べたように、R面やM面に形成されたダメージ層は、第2の発明ないし第4の発明により容易に除去することができる。
第8の発明は、III 族窒化物半導体のC面を用いて構成された半導体装置の製造方法において、半導体装置にドライエッチングによりコンタクトホールを形成し、コンタクトホール底部に露出したIII 族窒化物半導体のC面をドライエッチングし、ドライエッチングによりIII 族窒化物半導体のC面以外の面に形成されたダメージ層を、第2の発明ないし第4の発明のいずれか1の発明に係るダメージ層除去方法を用いて除去することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
第9の発明は、第8の発明において、ダメージ層が除去されたコンタクトホール側面に、電気接触をとる金属膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
第10の発明は、基板上にIII 族窒化物半導体をC面以外の面を表面としてエピタキシャル成長させたのち、基板を除去し、III 族窒化物半導体の基板と接合していた面に形成されたダメージ層を、第2の発明ないし第4の発明のいずれか1の発明に係るダメージ層除去方法を用いて除去することを特徴とするIII 族窒化物半導体基板の製造方法である。
基板を除去する方法としては、研磨による除去、レーザの照射による剥離、などの方法がある。この製造方法により、C面以外を表面とするIII 族窒化物半導体基板を得ることができる。
第11の発明は、第10の発明において、基板上にIII 族窒化物半導体をR面またはM面を表面としてエピタキシャル成長させたことを特徴とするIII 族窒化物半導体基板の製造方法である。
本発明において、ウェットエッチングに用いるTMAH溶液は、50℃〜100℃という比較的低温で用いることができること、TMAH自体は不揮発性であるため濃度の調整がしやすいこと、ウェットエッチング後の試料の洗浄が容易であること、に利点がある。そのため取り扱いが容易である。また、TMAH溶液は、フォトレジスト現像液として使われているため、半導体製造プロセスとの整合性もよい。また、従来のように、ウェットエッチングするために結晶に欠陥部分を形成させたり、電池を形成したりするような工程も必要なく、非常に単純な方法により容易にウェットエッチングできる。このように、本発明のウェットエッチング方法は、従来の方法に比べて非常に簡便な方法である。
また、TMAH溶液によるウェットエッチングは、異方性を有している。C面は全くエッチングすることができないが、それ以外の面はエッチング可能である。特にR面またはM面のエッチング速度が遅く、エッチング後にはR面またはM面が露出する。そのため、R面またはM面を表面とする基板を用いれば、R面またはM面を維持したままTMAH溶液でウェットエッチングすることが可能である。
また、本発明のウェットエッチング方法は、ダメージ層を除去するのに利用することができ、特に半導体装置の製造工程、たとえば、第6〜9の発明のようなコンタクトホールの形成過程、において生じたダメージ層を除去することにより、低抵抗な半導体装置を実現できる。また、第10、11の発明のように、C面以外を表面とするIII 族窒化物半導体基板の製造においても、本発明のダメージ層除去方法を利用することで、良質なIII 族窒化物半導体基板を製造することができる。
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1は、コンタクトホール形成時に生じるダメージ層を除去した半導体装置の製造方法であり、図1はその製造工程を示す図であって、コンタクトホールを形成する部分について模式的に示している。
図1Aのように、GaN基板10の上にSiO2 より成る層間絶縁膜11が形成されている。このGaN基板10は、R面を表面とする基板である。次に、層間絶縁膜11をドライエッチングし、コンタクトホール12を形成すると、図1Bに示すようにGaN基板10の表面にダメージ層13ができる。このダメージ層13の厚さは、4〜5nm程度である。次に、濃度25%、温度90℃のTMAH水溶液を用い、ウェットエッチングをする。ダメージ層はR面であり、TMAH水溶液はGaNのR面をエッチングすることができる。また、層間絶縁膜11はTMAH水溶液ではエッチングできない。したがって、図1Cに示すように、層間絶縁膜11は残るがダメージ層12は除去することができる。その後、図1Dのように金属膜14を形成することで、低コンタクト抵抗な半導体装置を実現できる。
実施例2も、実施例1と同様に、コンタクトホール形成時に生じるダメージ層を除去した半導体装置の製造方法である。図2はその製造工程を示す図であって、コンタクトホールを形成する部分について模式的に示している。
図2Aのように、GaN基板10の上にSiO2 より成る層間絶縁膜11が形成されている点は、実施例1と同じであるが、GaN基板10は、C面を表面とする基板である点が異なる。次に、層間絶縁膜11をドライエッチングし(図2B)、コンタクトホール12を形成後、露出したGaN基板10をドライエッチングすることで、さらに深いコンタクトホール12とする(図2C)。このとき、GaN基板10のドライエッチングにより、コンタクトホール12の底部および側面のGaN基板10部分にダメージ層13a、bができる。ダメージ層13a、bの厚さは、実施例1と同様4〜5nm程度である。ここで、実施例1と同じ条件でTMAH水溶液を用い、ウェットエッチングをする。すると、ダメージ層13bはC面であるからエッチングされないが、ダメージ層13aはC面ではないためエッチングされる。その結果、図2Dのようになる。その後、図2Eのように金属膜14を形成する。このとき、金属膜14は、ダメージ層13bに接するだけでなく、GaN基板10のダメージ層でない部分15にも接している。そのため、低コンタクト抵抗な半導体装置を実現することができる。
実施例3では、TMAH水溶液でのエッチングが可能な各種条件について検討した。
GaN、AlGaN、InGaN、InGaAlNそれぞれに対して、エッチング可能な、面、TMAH水溶液の温度、濃度について考察したところ、以下の結果を得た。
まず、A面、R面、M面に対しては、温度50℃〜100℃、濃度5%〜50%の範囲でエッチング可能であることを確認した。
また、C面に対しては、温度50℃〜100℃、濃度5%〜50%の範囲でエッチング不可能であることを確認した。
なお、実施例1、2ではGaN基板を用いたが、AlGaN、InGaN、InGaAlNなどのIII 族窒化物半導体を用いてもよい。同様にダメージ層を除去できる。また、実施例1ではR面を表面とするGaN基板を用いたが、C面以外の面であればよく、実施例1と同様の効果を実現できる。
本発明は、C面以外、特にR面やM面を用いて構成される半導体装置の製造方法に適用できる。
実施例1の半導体装置製造工程図。 実施例2の半導体装置製造工程図。
10:GaN基板
11:層間絶縁膜
12:コンタクトホール
13、13a、13b:ダメージ層
14:金属膜

Claims (11)

  1. Gaを必須とするIII 族窒化物半導体のウェットエッチング方法において、
    エッチング剤として、濃度5%〜50%、温度50℃〜100℃のTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液を用いて、GaN又はInGaNから成るIII 族窒化物半導体のA面、R面またはM面をエッチングすることを特徴とするウェットエッチング方法。
  2. Gaを必須とするIII 族窒化物半導体のダメージ層を除去する方法において、
    前記III 族窒化物半導体のC面以外の面に形成されたダメージ層を、エッチング剤としてTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液を用いたウエットエッチングにより除去することを特徴とするダメージ層除去方法。
  3. 前記TMAH溶液の温度は、50℃〜100℃であることを特徴とする請求項2に記載のダメージ層除去方法。
  4. 前記TMAH溶液の濃度は、5%〜50%であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のダメージ層除去方法。
  5. 前記III 族窒化物半導体のC面以外の面は、R面またはM面であることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のダメージ層除去方法。
  6. 前記III 族窒化物半導体のC面以外の面を用いて構成された半導体装置の製造方法において、
    前記半導体装置に、ドライエッチングによりコンタクトホールを形成し、
    前記ドライエッチングにより前記III 族窒化物半導体のC面以外の面に形成されたダメージ層を、請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のダメージ層除去方法を用いて除去することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 前記半導体装置は、R面またはM面を用いて構成されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記III 族窒化物半導体のC面を用いて構成された半導体装置の製造方法において、
    前記半導体装置に、ドライエッチングによりコンタクトホールを形成し、
    前記コンタクトホール底部に露出した前記III 族窒化物半導体のC面をドライエッチングし、
    前記ドライエッチングにより前記III 族窒化物半導体のC面以外の面に形成されたダメージ層を、請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のダメージ層除去方法を用いて除去することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 前記ダメージ層が除去された前記コンタクトホール側面に、電気接触をとる金属膜を形成することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 基板上に前記III 族窒化物半導体を、C面以外の面を表面としてエピタキシャル成長させたのち、前記基板を除去し、前記III 族窒化物半導体の前記基板と接合していた面に形成されたダメージ層を、請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のダメージ層除去方法を用いて除去することを特徴とするIII 族窒化物半導体基板の製造方法。
  11. 前記C面以外の面は、R面またはM面であることを特徴とする請求項10に記載のIII 族窒化物半導体基板の製造方法。
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