JP4789360B2 - 針糸通し装置を備えたミシン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フックから針糸が外れるようにすることで確実な針糸通しができる針糸通し装置を備えたミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
発明者らは、自動的にできる針糸通しができる糸通し装置を備えたミシンを開発した(特願2000−366159号)。この装置によれば、簡易且つ迅速に針糸通しができるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
その自動的にできる糸通し装置を備えたミシンにおいても、特に、針糸をフックに係止した後の上昇時において、フックから糸を離脱させることができない場合が屡々生じていた。このため、どのような場合であっても、上昇時には所定位置で針糸がフックから離脱して確実に糸通しができる制御が要望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、針の針孔に制御モータにより自動的に糸通しができる針糸通し装置を備えたミシンにおいて、該針糸通し装置は、前記制御モータにより糸通し部材が上方の初期位置から該糸通し部材に設けられたフックが前記針孔に侵入するための針糸通し可能位置に下降する糸通し下降行程と、前記針糸通し可能位置から前記フックが前記上方の初期位置に上昇する復帰上昇行程とを備え、前記復帰上昇行程は、針糸を前記フックに係止して前記針孔からフックが退出した後に所定距離を上昇させて糸ループを上方に緊張させる初期上昇行程と、前記初期上昇行程の後に前記フックから前記針糸を離脱するために所定距離を前記糸ループの緊張を緩めるように下降させる下降行程と、該下降行程の後に前記フックを所定距離上昇させる終期上昇行程とを具備してなることを特徴とする針糸通し装置を備えたミシンとしたことにより、上記課題を解決した。
【0005】
さらに、本発明での前記復帰上昇行程は、糸通し可能位置において操作による上昇指令信号に基づき制御されるようにしたことにより、より確実な針糸通しができ、フックからの外れ易さを解消したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明すると、図1は本発明の構成の概略図を示すブロック図であり、針糸通し装置における糸通し可能位置センサ31,針糸通し指令スイッチSW0,上位置リミットスイッチSW1,下位置リミットスイッチSW2等の指令信号の入力によって中央処理装置(CPU)30による制御にて針糸通し制御モータ32,送りモータ33,振幅モータ34が適宜駆動するように構成されている。その制御内容については表示装置40に表示可能に設けられている。前記糸通し可能位置センサ31は、送りモータセンサと振幅モータセンサとを利用して糸通し可能位置が決められるように構成されている。前記各モータは、回転角を精密に制御可能なサーボ又はステッピングモータが好適である。この明細書において、糸通しと針糸通しとは実質的に同一概念である。
【0007】
前記針糸通し装置の主な構成部材としては、図5に示すように、糸通し部材A,支持枠本体B及び昇降駆動部Cから構成され、前記支持枠本体Bは針棒支持枠体に装着され、該支持枠本体Bに前記糸通し部材Aが装着されている。該糸通し部材Aは、軸部2,ガイドピン3及び糸通し具4とから構成されている。また、上記の構成に糸通し具4の下降停止位置を検知する下位置リミットスイッチSW2及び糸通し具4を回動させて糸通し具4に設けたフック4bを針孔21aに挿入する回動手段が設けられている。
【0008】
前記支持枠本体Bは、枠部材6とガイド溝7とから構成され、その枠部材6は、上下方向に伸びる側板6aの上下両端に軸支部6b,6bが形成されている。その側板6aに前記ガイド溝7が形成されている。該ガイド溝7は、溝カムタイプとなっており、前記軸部2に装着されたガイドピン3が挿通し、前記ガイド溝7に沿って上下方向に移動する。前記昇降駆動部Cは、主に駆動部機枠,針糸通し制御モータ32,螺子軸部14及び昇降駆動部材15とから構成され、前記針糸通し制御モータ32が駆動部機枠に装着されている。以上のように、前述針糸通し装置について簡単に説明すると、糸通し部材Aが上方の初期位置から下方のフック4bが針孔21aに侵入するための針糸通し可能位置に下降する糸通し下降行程と、前記針糸通し可能位置から前記上方の初期位置に上昇する復帰上昇行程とが備えられている。
【0009】
また、針糸通し装置について、針糸通し指令スイッチSW0をONした後に、針糸通しを行う場合は、針糸通し可能範囲内である必要がある。すなわち、糸通し可能位置センサ31がONの状態となることが必要である。この範囲は、針棒上死点より約6mmの範囲であり、図3に示す針棒の位相角線図では、具体的には、上軸回転角297°〜64°である。このことは、上位置リミットスイッチSW1が動作していない状態であること、すなわち、針棒が下降中でないことが必要である。さらに、逆の説明からすると、送り位相可能範囲(135°〜210°)であり振幅制御以外にあることが条件であり、針棒下死点位置よりも必ず上側位置にあることのため、下位置リミットスイッチSW2がONとなっていること、すなわち、針棒が上昇中であることが糸通し可能範囲を示す条件ともなる。この角度には限定されないが、何れにしても、針糸通し可能範囲内とするためには、上位置リミットスイッチSW1がOFFで、下位置リミットスイッチSW2がONとなっていることが必要である。
【0010】
本発明において、フック4bが糸を捕らえ次に引き上げる時、糸がフック4bから離れないことが屡々発生し、軸部2の作動を阻害することがあるため、軸部2を所定距離(例えば約20mm)を上昇した後、糸を外すためフック4bを僅かな所定距離(例えば約2mm)を下降させることで糸が外れ軸部2への負荷をなくすことができる。
【0011】
そのフック4bの糸通し作用について、図2のフローチャートに基づいて説明する。まず、針糸通し指令スイッチSW0がONとする。すなわち、糸通しモードを開始し(S1)、糸通しが可能な位相か否かを判断する(S2)。このとき、針が下がっている状態のときには、糸通しできない状態であり、NOとなり、「針を上げて下さい。」とのメッセージが表示され(S3)、S1の前の状態に戻る。また、針が上がっている状態であると、次に、SW1がONか否かを判断する(S4)、SW1がONの場合には、糸通し制御は行わないで、針は下方移動する(S5)。そして、糸通し説明のメッセージを表示し(S6)、再びS1の前の状態に戻る。そのSW1がOFFの場合には、SW2がONか否かを判断し(S7)、ONの場合には、糸通し作業に入る。このときは、復帰上昇行程となっている。そして、所定高さ(例えば、22mm)上方に移動(初期上昇行程であって、S8)して、糸通し後にフックに引っ掛けた糸ループを上方に緊張させる。この状態において、僅かな高さ下方に移動する(例えば、2mm程度)(下降行程であって、S9)。これによって、緊張していたループがフック箇所で緩み、ループがフックから外れる。この後に、再度、上方に移動(終期上昇行程であって、S10)して完了する。その後に糸通し説明のメッセージ画面を消して(S11)、終了する。前記SW2は上昇指令信号発信部であり、該SW2がONとなった場合に上昇指令信号が発信されるものである。
【0012】
また、前記作用の前段階の針糸通し装置の作用について説明すると、図6(a)〜(c)に示すように、糸通し部材Aの糸通し具4が針棒20の上方位置にあり、これから糸通し具4のフック4bを針孔21aに挿入させる動作について説明すると、初期では、糸通し部材Aにおいては、そのガイドピン3がガイド溝7の上端に位置している。そこで、下位置リミットスイッチSW2をONとして針糸通し制御モータ32を駆動させ、これによって螺子軸部が回動して昇降駆動部材15が降下する。このとき上位置リミットスイッチSW1も作動し、動作が確認される。昇降駆動部材15が螺子軸部に沿って降下することにより、昇降駆動部材15と連結片を介して連結している昇降ガイド部材9が降下する。
【0013】
昇降ガイド部材9の降下動作は、ガイドピン3を介して軸部2に伝達される。そして、ガイドピン3が、ガイド溝7に沿って降下し〔図7(a)参照〕、さらに、昇降駆動部材15が降下し続けると、前記昇降ガイド部材9も降下し、ガイドピン3が最下端の回動案内部の領域に達する〔図8(a)参照〕。該回動案内部手前に位置する垂直状溝で、前記ガイドピン3の他端側が規制部材18の摺動面18aに当接し、軸部2とともに糸通し具4の降下を停止させる。このとき、糸通し具4のフック4bと針孔21aとの高さ方向の位置は一致している。
【0014】
次いで、昇降ガイド部材9の下降にて前記ガイドピン3を介して軸部2を回動させる〔図8(b)参照〕。そして、ガイドピン3が規制部材18に当接する下降領域から回転領域への移行時に、昇降ガイド部材9に連結する昇降駆動部材15の連結片が停止する。前記回転領域に対して針糸通し制御モータ32を更に所定の回転量だけ回転させて停止する。この所定の回転量は、前記昇降ガイド部材9を更に下降させて、前記ガイドピン3を介して軸部2を回動させ、これによって前記フック4bが前記針21の針孔21aに侵入し,糸掛けに必要となる位置に、そのフック4bを設定するものである〔図8(c)参照〕。なお、前記針糸通し制御モータ32は、その位置において、次の上昇信号が発せられるまで、維持電流制御により維持して、糸掛けを容易化する。
【0015】
これによって、糸通し具4のフック4bは、針孔21aに挿入することができ〔図10(a),(b)参照〕、その次に、前記フック4bに糸巻き側から引き出した糸を掛け、その先端側は糸通し具4の糸保持部に挟持させてから糸通し具4に設けた糸切り刃4cで残糸を切る(図11▲1▼参照)。前記糸切り刃4cと針孔21aの距離は糸通し後の縫い開始時に糸抜けしないような長さが得られる位置となっている。糸掛け及び糸切りが終了した後、糸通し具4を上昇させる、復帰信号が発生されると、前記針糸通し制御モータ32を逆回転する。その逆回転により、前記ガイドピン3が傾斜状長孔を介して軸部2を回動させて、フック4bが針孔21aから退出する(図11▲2▼参照)。そして、そのフック4bが退出する速度は、針糸通し制御モータ32を制御して、糸掛けした糸がフック4bから抜け出ないようにして上昇させる。この図11の▲3▼についての糸通し部材Aが上昇する行程の制御が本発明の制御である。この糸通し部材Aは前記ガイド溝7に従って上昇し、元の位置に戻すことにより、針孔21aに糸通しを完了することができる(図11▲4▼参照〕。なお、糸通しの一連の動作は、ミシン本体の表示装置40に画像で表示される。
【0016】
【発明の効果】
本発明においては、フックから糸が外れるようにして確実な針糸通しができるし、特に、フックからの外れ易さを解消して良好なる針糸通しができる制御を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブロック図
【図2】本発明のフローチャート
【図3】針棒の振幅線図
【図4】(a)は本発明の要部のフックの初期上昇行程の状態図
(b)は本発明の要部のフックの下降行程の状態図
(c)は本発明の要部のフックの終期上昇行程の状態図
【図5】(a)は本発明の糸通し部材が上昇した位置における正面図
(b)は(a)の糸通し部材及び支持枠本体の一部断面にした側面図
【図6】(a)はガイドピンがガイド溝の上端に位置している状態図
(b)は(a)の状態における昇降ガイド部材,ガイドピンの状態図
(c)は(a)の状態における糸通し部材と針孔との位置の状態図
【図7】(a)はガイドピンがガイド溝の角度変移溝に位置している状態図
(b)は(a)の状態における昇降ガイド部材,ガイドピンの状態図
(c)は(a)の状態における糸通し部材と針孔との位置の状態図
【図8】(a)はガイドピンがガイド溝のセット溝に位置している状態図
(b)は(a)の状態における昇降ガイド部材,ガイドピンの状態図
(c)は(a)の状態における糸通し部材と針孔との位置の状態図
【図9】(a)は糸通し部材のフックが針孔に挿入した状態とした要部斜視図
(b)は糸通し部材のフックが針孔に挿入した状態の拡大図
【図10】(a)はミシン本体に表示装置が設けられた実施形態の斜視図
(b)は表示装置に表示された糸通し動作の画像
【図11】針孔にフックを介して糸を通し糸切り刃で残糸を切断して糸通し部材が上昇するまでの動作の流れ(▲1▼〜▲4▼)を示す斜視図
【符号の説明】
A…糸通し部材
SW1…上位置リミットスイッチ
SW2…下位置リミットスイッチ
4b…フック
20…針棒
21…針
21a…針孔
Claims (2)
- 針の針孔に制御モータにより自動的に糸通しができる針糸通し装置を備えたミシンにおいて、
該針糸通し装置は、前記制御モータにより糸通し部材が上方の初期位置から該糸通し部材に設けられたフックが前記針孔に侵入するための針糸通し可能位置に下降する糸通し下降行程と、
前記針糸通し可能位置から前記フックが前記上方の初期位置に上昇する復帰上昇行程とを備え、
前記復帰上昇行程は、針糸を前記フックに係止して前記針孔からフックが退出した後に所定距離を上昇させて糸ループを上方に緊張させる初期上昇行程と、
前記初期上昇行程の後に前記フックから前記針糸を離脱するために所定距離を前記糸ループの緊張を緩めるように下降させる下降行程と、
該下降行程の後に前記フックを所定距離上昇させる終期上昇行程とを具備してなる
ことを特徴とする針糸通し装置を備えたミシン。 - 前記復帰上昇行程は、糸通し可能位置において針糸通し指令スイッチの操作による上昇指令信号に基づき前記制御モータを逆回転するように制御されるようにした
ことを特徴とする請求項1記載の針糸通し装置を備えたミシン。
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