JP2016119933A - ミシン - Google Patents

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充弘 飯田
Michihiro Iida
充弘 飯田
崇平 長村
Suhei Nagamura
崇平 長村
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Abstract

【課題】針元の視認性を向上できるミシンを提供する。
【解決手段】ミシンは糸通し機構120を備える。糸通し機構120は縫針8の針孔8Aに上糸を通す為の糸通しフックを、針孔8Aに通される前の待機位置と、針孔8Aに通されたときの作用位置との間を移動させる。糸通し機構120は糸通しモータ40によって駆動される。ミシンはさらに糸保持部材90と移動機構130を備える。糸保持部材90は、上糸を切断する切断刃と、切断した上糸の糸端を挟持して保持する板バネを有する。移動機構130は糸保持部材90を最下位置と退避位置とに移動させる。最下位置は、ミシンの針棒ケースから前側に突出し、且つ縫針8に対して前側で斜め上方の位置であって、上糸を切断刃で切断可能な位置である。退避位置は、最下位置に対して後方側の位置である。
【選択図】図2

Description

本発明は、ミシンに関する。
従来、縫針の針孔に自動的に上糸を通す糸通し機構を備えたミシンが知られている(例えば、特許文献1参照)。当該ミシンで糸通し操作を行うには、まず、糸通し機構を動作させて、フックの先端部を縫針の針孔に貫入させる。その後、ユーザは、所定の糸掛部及びフックの先端部に上糸を掛けた後、保持部材で上糸の糸端を切断して保持させる。この状態で、糸通し機構を再び動作させ、フックを針孔から引き抜くことで、針孔に上糸が通される。上記ミシンにて、保持部材の位置は、針孔から延びる上糸の長さ(針孔からの糸端長さ)が、糸通し後の縫製開始時に針孔から抜けることがなく且つ長過ぎない所定長さで切断される位置である必要がある。それ故、保持部材は、ユーザ側から見てミシンの縫針に対して手前側の斜め上方の位置に設けられている。
特開2004−222916号公報
上記ミシンにて、ユーザが縫製中に縫針の針落点近傍(以下「針元」と呼ぶ)を見る場合、ユーザ側から見て針元の手前に保持部材が位置するので、針元の視認性を低下させるという問題点があった。
本発明の目的は、針元の視認性を向上できるミシンを提供することである。
本発明の一態様に係るミシンは、縫針の針孔に上糸を通す為のフックを、前記針孔に通される前の退避位置と、前記針孔に通されたときの作用位置との間を移動させる糸通し機構と、前記糸通し機構を駆動する駆動手段とを備えたミシンにおいて、前記上糸を切断する切断刃と、切断した前記上糸の糸端を挟持して保持する挟持部とを有する保持部材と、前記退避位置から前記作用位置に向かう方向を第1方向とした場合に、前記保持部材を、前記ミシンの外装部材から前記第1方向側に突出して、前記縫針に対して前記第1方向側で斜め上方に位置し、且つ前記上糸を前記切断刃で切断可能な位置である第1位置と、前記第1位置に対して少なくとも前記第1方向とは反対方向である第2方向側の位置である第2位置とに移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする。
本態様のミシンは、例えば、糸通し機構による糸通しの際、移動機構が保持部材を第1位置に移動することで、ミシンの第1方向側で作業するユーザから見て、保持部材が手前に配置される。それ故、保持部材の切断刃で上糸を最適な位置で切断でき、さらに切断した上糸の糸端を挟持部に保持させ易い。これに対し、糸通しを行わない通常時、保持部材を第2位置に移動することで、ユーザの針元に向かう視線に対して、保持部材が第2方向側に離れる。それ故、例えば縫製時における加工布上の縫針周囲の視認性を向上できる。
ミシン1の斜視図である。 針棒ケースを省略した頭部5の斜視図(糸保持部材90:最下位置)である。 糸保持部材90の正面図である。 糸保持部材90の平面図である。 糸保持部材90の右側面図である。 糸保持部材90の左側面図である。 針棒ケースを省略した頭部5の右側面図(通常時)である。 針棒ケース15の下側の正面図(通常時)である。 針棒ケースを省略した頭部5の右側面図(糸保持部材90:最下位置)である。 針棒ケースを省略した頭部5の右側面図(糸通し時)である。 図10のW1領域の部分拡大図である。 針棒ケース15の下側の正面図(糸保持部材90:最下位置)である。 針棒ケースを省略した頭部5の右側面図(糸保持部材90:収納位置)である。 針棒ケース15の下側の正面図(糸保持部材90:収納位置)である。 針棒ケース15の下側の右側面図(糸保持部材90:収納位置)である。 変形例である移動機構230を備える頭部5の斜視図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、図1の上側、下側、左斜め下側、右斜め上側、左斜め上側、右斜め下側を、夫々、ミシン1の上側、下側、前側、後側、左側、右側と定義する。
図1,図2を参照し、ミシン1の構成について説明する。図1に示すように、ミシン1は、ベッド部2、脚柱部3、アーム部4、頭部5、操作パネル9等を備える。ベッド部2はミシン1の下部に位置し、ミシン1全体を支持する。ベッド部2は平面視略U字状に形成され、本体部2A、及び一対の脚部2B,2Cを備える。本体部2Aは、ベッド部2の左右方向略中央に位置し、平面視略長方形の板状に形成されている。脚部2B,2Cは、本体部2Aの左右両端部に夫々位置し、本体部2Aの前面よりも前方へ且つ互いに略平行に延びている。
本体部2Aの前面の略中央には、シリンダベッド7が設けられている。シリンダベッド7は略角筒状に形成され、且つ前方へ延びている。そのシリンダベッド7の上面には、加工布(図示略)が載置される。シリンダベッド7の内部には、釜機構(図示略)が設けられている。釜機構は釜(図示略)を回転駆動する。釜はシリンダベッド7の先端側に設けられ、下糸(図示略)が巻回されたボビン(図示略)を収容する。さらに、シリンダベッド7の先端部上面には、針板10が設けられている。針板10は、釜の上方に位置する。針板10には、針穴10Aが設けられている。針穴10Aには、後述する縫針8が上下方向に挿通される
脚部2B,2Cの夫々の上面には、前後方向に延びる案内溝21,22が設けられている。案内溝21,22は、キャリッジ17の前後方向への移動を案内する。キャリッジ17は、左右方向に延びる略角柱状に形成され、脚部2B,2C間に架け渡されている。キャリッジ17の前面には、装着部17Aが左右方向に移動可能に設けられている。装着部17Aには、加工布を保持する刺繍枠(図示略)を装着可能である。また、図示はしないが、脚部2B,2Cには、テーブルが装着可能である。テーブルが脚部2B,2Cに装着された場合、テーブルは、脚部2B,2Cに架け渡されるように配置される。このとき、テーブルの上面は、シリンダベッド7の上面と略同じ高さとなる。テーブルは、キルティング生地等の加工布を上面に載置可能である。キャリッジ17の内部には、装着部17Aを左右方向に移動させる移動機構(図示略)が設けられている。これにより、ミシン1は、刺繍縫製を行う場合は、キャリッジ17の前後方向への移動と、移動機構による装着部17Aの左右方向への移動とにより、刺繍枠を前後左右に移動させることができる。
脚柱部3は、略角柱状に形成され、本体部2Aの上面後端側に立設されている。アーム部4は、脚柱部3の上端部から前方へ、且つシリンダベッド7の上面に対向して延びている。アーム部4の上面には、左右方向に長い平板状の糸立台30が設けられている。その糸立台30の上面には、4本の糸立棒32が等間隔に設けられている。各糸立棒32には、上糸12が巻回された糸駒37が回転可能に支持されている。糸立台30の後方には、正面視T字状の案内部材33が設けられている。案内部材33は、アーム部4の上面に立設された棒状の支柱34と、該支柱34の上端部から左右方向に延びる案内棒35とを備える。案内棒35には、上糸12を挿通させる為の4つの孔35Aが等間隔に設けられている。
頭部5は、アーム部4の前端部に設けられている。頭部5には、略直方体状の針棒ケース15が設けられている。図2に示すように、針棒ケース15の内側には、針棒駆動機構(図示略)、天秤機構(図示略)、糸通し機構120、移動機構130等が夫々設けられている。針棒駆動機構は、頭部5の前側に設けられ、針棒6を上下動可能に支持する。針棒6は、頭部5の下端部から下方に延び、その下端部には縫針8が着脱可能に装着されている。縫針8には、上糸12が通される針孔8Aが形成されている。なお、縫針8が針棒6に装着された状態では、針孔8Aは前後方向に向いている。図2に示すように、縫針8の左方には、正面視略L字状の押え部材11が設けられる。押え部材11の下端部は、縫針8の下端(先端)よりも下方に位置し、縫針8が挿通する穴(図示略)が形成されている。押え部材11の右側面には、板厚が薄い平板からなる糸保持板68が固定されている。糸保持板68の下端部は、略V字状に形成され、押え部材11よりも前方に突出する。
図1に示すように、天秤機構は、針棒6の上下動に合わせて天秤16を上下動させる。天秤16は、針棒ケース15の前面15Aに設けられたスリット151に沿って上下動する。スリット151は上下方向に延びる細い隙間である。ミシン1の縫製動作時、針棒6及び縫針8は釜と協働し、上糸12を、釜が収容するボビンから引き出された下糸に絡める。天秤16は、下糸に絡んだ上糸12を針板10上に引き上げる。これにより、加工布に縫目が形成される。
図2に示すように、糸通し機構120は、後述する糸通しフック61(図11参照)を用いて、縫針8の針孔8Aに上糸12を挿通させる(以下、「糸通し」と呼ぶ)。移動機構130は、針棒ケース15の前面15Aの下部の前側にて、糸保持部材90を前後方向に揺動可能に支持すると共に、糸通し機構120の糸通し動作に合わせて糸保持部材90を揺動させる。糸保持部材90は、糸通し機構120による糸通しの際に用いられ、糸通しフック61に掛けられた上糸12の自由端側を切断し、その切断して残る糸端を保持する。なお、糸通し機構120及び移動機構130の夫々の構成と動作については後述する。
図1に示すように、針棒ケース15の前面15Aの下側には、凹部152が設けられている。凹部152は、正面視略長方形状に形成され、後方に向かって窪んでいる。その凹部152の内側下面の略中央部には、開口153が設けられている。開口153は、平面視略長方形状に形成された穴部であり、糸保持部材90を挿通させる。それ故、移動機構130は、開口153を挿通する糸保持部材90を、針棒ケース15の外側において揺動可能に支持できる。なお、後述するように、移動機構130は、糸保持部材90を後方に揺動させることによって、凹部152の内側に糸保持部材90を収納できる。
針棒ケース15の上面には、傾斜面15Bが設けられている。傾斜面15Bは、後方から前方に緩やかに下り傾斜している。その傾斜面15Bには、上糸12に張力を付与する為の糸調子機構25が設けられている。糸調子機構25は、上糸12の供給方向の上流側から下流側に向かって順に、副糸調子器27、主糸調子器26、副糸調子器28を備えている。主糸調子器26は、内部に回転皿を備え、該回転皿が上糸12の供給量に連動して回転することで、上糸12に張力を付与する。副糸調子器27,28は、夫々、板状の挟持部(図示略)で上糸12を挟持することで、上糸12に張力を付与する。
操作パネル9は、頭部5の右隣に設けられ、液晶ディスプレイ、タッチパネル、スタート/ストップスイッチ等を備える。液晶ディスプレイには、例えば、ユーザが指示を入力する為の操作画面、ミシン1の後述する各種動作モードを選択する為の選択画面等、各種情報が表示される。タッチパネルは、ユーザからの指示を受け付ける。スタート/ストップスイッチは、縫製の開始又は停止を指示する為のスイッチである。
図2,図7を参照し、糸通し機構120の構成について説明する。糸通し機構120は、頭部5の右側面の下側で且つ縫針8の後方に設けられ、糸通しモータ40、ラック部材45、クランク板54、ガイドフレーム55、リンクブロック60を備える。糸通しモータ40は、パルスモータであり、頭部5の右側のミシンフレーム13の針棒6側に対向する内面に固定されている。糸通しモータ40の出力軸41は、ミシンフレーム13に設けられた孔(図示略)と、ミシンフレーム13の右側面に固定された板部47に設けられた孔48とを介して右側方に突出する。出力軸41の先端部には、ピニオンギア42が固定されている。
ラック部材45は、上下方向に延びる略長方形の板状に形成され、ピニオンギア42の後方に隣接して設けられている。ラック部材45の前端部に設けられたギア部45Aは、ピニオンギア42と噛合する。ラック部材45には、自身の長手方向に平行なガイド溝46が設けられている。ガイド溝46は、ミシンフレーム13に固定されたガイドピン51,52と係合している。ガイドピン51,52は互いに上下方向に離間して配置されている。よって、ガイド溝46がガイドピン51,52に係合した状態で上下方向に移動することで、ラック部材45が上下方向にガイドされる。そして、頭部5を右側方から見た場合、糸通しモータ40の出力軸41及びピニオンギア42が時計回りに回転すると、ラック部材45は下方に移動する。これに対し、出力軸41及びピニオンギア42が反時計回りに回転すると、ラック部材45は上方に移動する。
ガイドフレーム55は、ミシンフレーム13の下部に固定されている。ガイドフレーム55は、ミシンフレーム13の下部から前側に下り傾斜し、さらにその前端側が前方に屈曲して略水平に延びている。ガイドフレーム55の略水平に延びる前端部は、縫針8の右側で且つ縫針8の下端部と略同一高さに位置する。ガイドフレーム55には、ガイド溝58が形成されている。ガイド溝58は、ガイドフレーム55の形状に合わせて、傾斜部58Aと水平部58Bを有する。そのガイド溝58には、棒状の係合ピン57が摺動可能に係合している。係合ピン57は、ガイド溝58を介して左右方向に延び、ガイドフレーム55の左側にて、後述するリンクブロック60の後端部と連結している。さらに、係合ピン57は、ガイドフレーム55の右側にて、後述するクランク板54の下端部と回動可能に連結している。また、係合ピン57の前側には、当接部59が固定されている。当接部59は、係合ピン57と共にガイド溝58に沿って摺動し、水平部58Bを前方に移動した時に、水平部58Bの前端部に当接させることによって、係合ピン57の移動を停止させる。
クランク板54は、ラック部材45の下端部と、ガイドフレーム55との間に配置され、頭部5を正面から見た場合に、長手方向の一端部と他端部の間が略Z字状に屈曲して形成されている。クランク板54の一端部は、ラック部材45の下端部の内面に軸支部53を介して回動可能に連結され、他端部はガイドフレーム55の右側にて、係合ピン57に回動可能に連結されている。
リンクブロック60は、ガイドフレーム55の左側にて、自身の後端部が係合ピン57に連結されている。リンクブロック60は、略直方体状に形成され、係合ピン57の軸方向に直交する方向へ、且つガイドフレーム55の形状に沿うように延びている。そのリンクブロック60の先端部には、左右一対の糸掛部材62,63(図11参照)が設けられている。それら糸掛部材62,63の間には、糸通しフック61(図11参照)が設けられている。糸掛部材62,63の下端部には、リンクブロック60の後方に向かって斜め上方に傾斜する傾斜部62A,63A(図11参照)が夫々設けられている。
リンクブロック60は、係合ピン57がガイド溝58の後方から傾斜部58A、水平部58Bの順に摺動することにより、最初は前方に下り傾斜してガイドされ、その後水平方向前方にガイドされる。このとき、リンクブロック60の先端部は、縫針8の針孔8Aに向かって移動し、糸通しフック61は縫針8の針孔8Aを挿通する。そして、ガイド溝58の前端部に当接部59が当接した時、係合ピン57と共にリンクブロック60が停止する。
図3〜図6を参照し、糸保持部材90の構成について説明する。糸保持部材90は、被軸支部921、延設部922、傾斜部923、糸掛部18、板バネ19を備える。被軸支部921は、平面視略U字溝状に形成され(図4参照)、前壁921A、右側壁921B、左側壁921Cを備える。前壁921Aは、前面がミシン1の前方に対向し、且つ上下方向に対して平行に配置されている。右側壁921B及び左側壁921Cは、前壁921Aの左右両端部から夫々後方に延びている。
図5に示すように、右側壁921Bの後端部は、上方から下方に向かうに従い前壁921Aに近づく方向に傾斜する。該後端部の下部近傍には、円形状の孔926が設けられ、該後端部の上部近傍には、円形状の孔927が設けられている。図6に示すように、左側壁921Cの前後方向の長さは、右側壁921Bの前後方向の長さの略2/3程度である。左側壁921Cの後端部には、円形状の孔928が設けられている。孔926と孔928は、左右方向において互いに同軸上に配置されている。
図4に示すように、延設部922は、被軸支部921の前壁921Aの下端部から、略水平面において左斜め前方に延設されている。延設部922の前端部近傍には、略長方形状の係止孔922Aが設けられている。係止孔922Aには、後述する板バネ19の係止端部191が、延設部922の下面側から挿通されて上面側に係止される。そして、係止孔922Aの右側には、円形状の固定孔922Bが設けられている。固定孔922Bには、後述する糸掛部18を延設部922に固定する為のネジ36が締結される。傾斜部923は、延設部922の前端部から前側に対して斜め上方に傾斜して延設されている。傾斜部923の略中央よりやや右側には、略円形状の固定孔925が設けられている(図3,図4参照)。固定孔925には、糸掛部18の後述する切断刃支持部183が嵌合される。
糸掛部18は、例えば樹脂製であり、右側面視略L字状に形成されている(図5参照)。糸掛部18は、本体部181及び水平部182を備える。本体部181は、正面視略長方形の板状に形成され、上端側が前方に傾斜している。本体部181の上端部は、略円弧状に形成されている。その本体部181の前面には、矢印のマーク181Aが形成されている(図3参照)。マーク181Aは、糸掛部18に対して上糸12を掛ける方向を示す。本体部181の背面側において、略中央部よりもやや右側には、略円筒状の切断刃支持部183が立設されている。切断刃支持部183は、糸掛部18の上端側に向けて切断刃185を支持する。切断刃支持部183は、傾斜部923に設けられた固定孔925に嵌合する。水平部182は、平面視略長方形の板状に形成され、本体部181の下端部から後方に延設されている。水平部182の略中央には、延設部922の下面に水平部182をネジ36で固定する為の固定孔(図示略)が設けられている。該固定孔は、糸保持部材90の延設部922に設けられた固定孔922Bに対応して配置されている。
板バネ19は、長尺の板状に形成され、延設部922の下面及び傾斜部923の前面に沿って取り付けられている。板バネ19は、長手方向の両端部に、係止端部191と挟持端部192を備え、その略中央部が固定ピン39(図4参照)によって傾斜部923の前面の略中央部よりもやや左側に固定されている。係止端部191は、延設部922に設けられた係止孔922Aに対し、延設部922の下面側から挿通されて上面側に係止される。他方、挟持端部192は、延設部922の上部近傍に配置されている切断刃185の先端部の左側に配置されている。挟持端部192の先端は略円弧状に形成されている。
そして、板バネ19が取り付けられた傾斜部923及び延設部922に対して、前方下側から、糸掛部18の本体部181及び水平部182が覆うようにして取り付けられる。本体部181は、傾斜部923の前面に配置される。切断刃支持部183は傾斜部923に設けられた固定孔925に嵌合する。他方、水平部182は、延設部922の下面に配置される。水平部182の固定孔と、延設部922の固定孔922Bとに対して、ネジ36が締結される。
そして、図4〜図6に示すように、糸掛部18の本体部181の上端部と、糸保持部材90の傾斜部923の上端部との間には、隙間929が形成されている。その隙間929において、右側には切断刃185の先端部が配置され、左側には板バネ19の挟持端部192が配置されている(図4参照)。ユーザは、糸掛部18の本体部181の前面に設けられたマーク181Aに従い、隙間929に対して左側から上糸12を通し、糸掛部18に引っ掛けた状態で下方に引き下げる。このとき、上糸12の自由端側が、板バネ19の挟持端部192と傾斜部923の前面との間に挟まれると同時に、その右側において切断刃185によって切断される。これにより、上糸12の自由端側が切断されると同時に、切断によって残る糸端が板バネ19の挟持端部192によって保持される。
図2,図7を参照し、移動機構130の構成について説明する。移動機構130は、頭部5の右側面の下側に設けられ、針棒ケース15の前面15Aの前側にて、糸保持部材90を前後方向に揺動可能に支持する。移動機構130は、本体部材81、第1リンク部材83、第2リンク部材84、カム部70、コイルバネ85を備え、糸通し機構120の糸通しモータ40(図2参照)を共通の駆動源とする。
図2に示すように、本体部材81は、正面視略U字形状に形成され、頭部5に設けられたミシンフレーム13の下部に固定されている。本体部材81は、底壁811、右側壁812、左側壁(図示略)を備える。底壁811は、針棒6の後方に隣接して配置され、平面視略長方形状に形成されている。右側壁812は、底壁811の右端部に立設され、ピニオンギア42よりも高い位置まで延びている。そして、右側壁812の前端側の下部と、左側壁の前端側の下部との間には、棒状の支軸91が左右方向に渡設されている。右側壁812の前端部の上部には、右側方に突出する板状の突出片814が設けられている。その突出片814には、円形状のバネ係止孔815が設けられている。
このような本体部材81の内側に、糸保持部材90の被軸支部921が、開口する内側を後方に向けた状態で配置されている。その被軸支部921の右側壁921Bに設けられた孔926(図5参照)と、左側壁921Cに設けられた孔928(図6参照)とに対して、支軸91が挿通されている。これにより、糸保持部材90は、本体部材81の支軸91を中心に回動可能に支持される。
第1リンク部材83は、頭部5を正面から見た場合に、上下方向に延設され、長手方向の一端部と他端部の間が略クランク字状に屈曲して形成されている。第1リンク部材83の下端部831は、糸保持部材90の被軸支部921の右側壁921Bに設けられた孔927(図5参照)に対して、軸支ピン95(図2参照)を介して回動可能に連結されている。他方、第1リンク部材83の上端部832は、第2リンク部材84の後述する前方延設部843の前端部847に対して、軸支ピン92を介して回動可能に連結されている。
第2リンク部材84は、第1リンク部材83の上端部832と、ラック部材45の後端側に設けられた後述するカム部70との間に配置され、長手方向の略中央部が上方に向けて略L字状に屈曲して形成されている。第2リンク部材84は、後方延設部841、屈曲部842、前方延設部843を備える。後方延設部841は、長手方向の略中央部が前方に突出するように折れ曲がる略L字状に形成されている。屈曲部842は、後方延設部841の前端部から左側方に略直角に折り返され、前方延設部843の後端側の上部と連結する。前方延設部843は、屈曲部842の左端部と連結し、前側に対して斜め下方に傾斜して延びている。
後方延設部841の後端部には、摺動ピン38が軸方向を左右方向に向けた姿勢で設けられる。摺動ピン38の先端は、詳しく図示しないが、後方延設部841から左方向に突出する。摺動ピン38は、ラック部材45と共に上下動するカム部70の後述するカム面に接触し、カム面に沿って摺動する。後方延設部841の略中央部の前端部近傍には、バネ係止孔845が設けられている。前方延設部843の後端部は、ミシンフレーム13に設けられたガイドピン51に回動可能に連結されている。
カム部70は、ラック部材45の後端部に設けられている。カム部70は、後方に向けて配置されたカム面を備える。カム面は、上方から下方にかけて順に、第1カム面71、第2カム面72、第3カム面73、第4カム面74、第5カム面75を備える。カム部70の前後方向の厚みを、カム面の高さと定義した場合、第1カム面71が最も低い面であり、第5カム面75が最も高い面である。第1カム面71、第3カム面73、第5カム面75は、上下方向に平行な平面であり、第2カム面72及び第4カム面74は、夫々のカム面の間を繋ぐ傾斜面である。第1カム面71は、カム面の上端部から長手方向の略中央部までの範囲に形成され、その下側の残りの範囲に、第2カム面72、第3カム面73、第4カム面74、第5カム面75が夫々形成されている。このようなカム面に対して、第2リンク部材84の後端部846に設けられた摺動ピン38が摺動する。
コイルバネ85は、一端部が本体部材81の右側壁812の突出片814に設けられたバネ係止孔815に係止され、他端部が第2リンク部材84の後方延設部841の略中央部に設けられたバネ係止孔845に係止されている。本体部材81の位置は、頭部5の下部に固定されている。それ故、コイルバネ85は、第2リンク部材84の後方延設部841の略中央部を、本体部材81に向けて常時付勢する。他方、第2リンク部材84は、ガイドピン51を中心に揺動可能に軸支されているので、右側面視時計回りに常時付勢されている。それ故、摺動ピン38は、カム部70のカム面に常時押し付けられる。
次に、ミシン1の動作モードについて説明する。ユーザは、操作パネル9に表示される選択画面において、ミシン1の動作モードを選択できる。動作モードには、例えば、刺繍縫製モードとフリーモーションモードがある。刺繍縫製モードは、上下動する縫針8に対して、加工布を保持する刺繍枠を前後左右に自動で移動させながら刺繍縫製を行うモードである。刺繍枠は、キャリッジ17の装着部17Aに装着する。刺繍縫製モードでは、縫製終了後、ミシン1内部に設けられた糸切断機構(図示略)によって上糸12と下糸が自動的、又はユーザによる所定の操作がなされた場合に切断される。
他方、フリーモーションモードは、刺繍枠を使わずに、ユーザが手動で加工布を移動させながら縫製を行うモードである。例えば、キルティング縫いを行う場合、ユーザはフリーモーションモードを操作パネル9で選択する。フリーモーションモードが操作パネル9で選択された場合、キャリッジ17は後方に移動する。この状態で、ユーザは、脚部2B,2Cにテーブル(図示略)を装着し、テーブル上に加工布を載置する。ユーザは、上下動する縫針8に対し、テーブル上で加工布を手動で移動させることによって、キルティング縫いを行うことができる。
ところで、フリーモーションモードを選択して縫製を行う場合、ユーザは、頭部5の前側から縫針8の周囲である針元を見下ろしながら、加工布を手動で移動させ、加工布上に形成される縫目を注視しながら縫製を進めることになる。それ故、フリーモーションモードでは、針元の視認性は特に重要である。図1に示すように、ミシン1では、針棒ケース15の前面15Aの前方に、糸保持部材90が配置されているが、例えば、ユーザの針元への視線上に、糸保持部材90が位置してしまうと(図12参照)、針元が見えづらくなる。そこで、本実施形態のミシン1では、フリーモーションモードが選択され、糸通し機構120が駆動していない通常時においては、後述するように、移動機構130が糸保持部材90を後方に揺動させることで、ユーザから針元を見たときの視認性を確保する。そして、糸通し機構120が駆動して糸通しを行う場合は、移動機構130が糸保持部材90を前方に揺動させ、上糸12の切断と保持に最適な位置で停止させる。
図7〜図12を参照し、糸通し機構120の糸通し動作と、該糸通し動作に連動する移動機構130の動作について具体的に説明する。本実施形態では、先ず、糸通し機構120の糸通し動作を説明し、その後で、移動機構130の動作を糸通し動作と関連づけて説明する。
糸通し機構120の糸通し動作は、刺繍縫製モード及びフリーモーションモードの何れにおいても実行可能である。図7に示すように、ミシン1の縫製動作前の準備段階において、係合ピン57はガイド溝58の後方に位置する。それ故、リンクブロック60は、頭部5下部の後方に位置する。糸通しフック61は待機位置に配置される。
ユーザが操作パネル9に表示された糸通しスイッチ(図示略)を押下すると、糸通しモータ40(図2参照)が正転駆動し、出力軸41と共にピニオンギア42が右側面視時計回りに回転する。すると、図9,図10に示すように、ラック部材45がガイドピン51,52にガイドされて下方に移動する。ラック部材45の下端部に軸支部53を介して一端部が連結されたクランク板54の他端部が、係合ピン57を押し下げる。これにより、係合ピン57は、ガイド溝58に沿って、傾斜部58A及び水平部58Bの順に摺動する。これに伴い、リンクブロック60は、傾斜部58Aに沿って前方に下り傾斜して移動し、その後水平部58Bに沿って水平方向前方に移動する(図10参照)。そして、水平部58Bの前端部に当接部59が当接したとき、リンクブロック60は停止する。糸通しフック61は、縫針8の針孔8Aを挿通する作用位置に配置される(図11参照)。ミシン1は、糸通しモータ40の駆動を停止する。
このとき、後述するように、移動機構130も駆動するので、糸保持部材90は上方を経由して前方に揺動して大きく引き出され、最下位置に移動される。最下位置とは、糸保持部材90が頭部5の下部の前側且つ下方に最大限に引き出された位置である。この最下位置は、上糸12を糸掛部18の内部の切断刃185で切断可能であり、縫針8の針孔8Aから延びる上糸12の長さ(針孔8Aからの糸端長さ)が、糸通し動作後の縫製開始時に針孔8Aから抜けることがなく且つ長過ぎない所定長さで切断される位置に設定されている。
次いで、ユーザは、糸調子機構25から天秤16を経由して供給される上糸12を、右方から左方に向かって、糸掛部材62、糸通しフック61、糸掛部材63、及び糸保持板68の下端部に順々に引っ掛け、その上糸12を糸保持部材90の隙間929に対して左側から通し、上糸12を糸掛部18に引っ掛けて下方に引き下げる。これにより、上糸12の自由端側が切断されると同時に切断によって残る糸端が板バネ19によって保持される。さらに、ユーザは、操作パネル9に表示された糸通しスイッチを再度押下すると、糸通しモータ40が逆転駆動し、糸通しフック61が後方に移動する。糸通しフック61が針孔8Aから抜けて後方に離間する所定位置に移動した時点で、糸通しモータ40が停止する。このとき、針孔8Aと糸通しフック61との間に、ループ状の糸ループが形成される。
次いで、その糸ループを解消する為に、糸引き部材(図示略)を駆動する別の駆動モータ(図示略)が駆動される。糸引き部材が駆動されて前方斜め下方に移動し、糸引き部材の先端部が糸ループを引っ掛ける。その後、糸引き部材を、駆動モータにより元の後方位置まで上昇させると、糸通しフック61と針孔8Aとの間に保持された糸ループの自由端側が引かれて、糸通しフック61から外れる。このように、上糸12が完全に針孔8Aに通された状態になる。その後、糸通しモータ40が逆転駆動し、糸通しフック61を元の位置へと戻し、糸通しが終了する。
次に、移動機構130の揺動動作について説明する。
−フリーモーションモード選択時(通常時)−
操作パネル9でフリーモーションモードが選択されると、摺動ピン38がカム部70の第3カム面73に位置するように、ミシン1の制御部(図示略)が糸通しモータ40を駆動し、ラック部材45が上下動する。摺動ピン38が第3カム面73に位置した状態では、第2リンク部材84の前方延設部843が、第1リンク部材83を下方に押し下げている。それ故、糸保持部材90は、最下位置(図10参照)よりも支軸91を中心に右側面視時計回りに揺動した位置で停止している。これにより、糸保持部材90は、最下位置から上方且つ後方に揺動した退避位置に配置されている。糸掛部18の本体部181の前面は、上下方向に対して略平行になっている。ここで、図8に示すように、頭部5の前側から針元を見下ろした場合、ユーザの針元への視線に対して、糸保持部材90は後方に位置している。よって、フリーモーションモードを選択した場合の通常時において、ユーザから見たときの針元の視認性が向上する。
また、フリーモーションモードでは、縫製終了後に、ユーザが加工布を手前に引き出し、加工布に形成された縫目に繋がる上糸12及び下糸をハサミ等で丁寧に切断することが一般的に行われる。加工布を手前に引き出す為、ユーザは糸調子機構25で上糸12に付与されている張力を解放する。そして、フリーモーション選択時では、糸保持部材90は退避位置に揺動しているので、縫針8の前側に作業用のスペースを確保できる。これにより、糸保持部材90が邪魔にならず、加工布を容易に手前に引き出すことができる。
なお、本実施形態では詳述しないが、刺繍縫製モード選択時においては、フリーモーションモード選択時と同様に、糸保持部材90を退避位置に移動させてもよく、図9に示すように、最下位置に配置してもよい。
−糸通し時−
次に、ミシン1の縫製動作前に糸通しを行う為に、ユーザが操作パネル9に表示された糸通しスイッチ(図示略)を押下すると、糸通しモータ40(図2参照)が正転駆動し、出力軸41と共にピニオンギア42が右側面視時計回りに回転する。すると、図9,図10に示すように、ラック部材45がガイドピン51,52にガイドされて下方に移動する。ラック部材45と共に、カム部70が下方に移動する。摺動ピン38は、第3カム面73から第2カム面72、第1カム面71の順に摺動する。これに伴い、摺動ピン38は前方に段階的に移動されることから、第2リンク部材84は、ガイドピン51を中心に右側面視時計回りに揺動する。それ故、第2リンク部材84の前方延設部843は、第1リンク部材83を上方に引き上げる。糸保持部材90は、支軸91を中心に右側面視反時計回りに揺動する。糸通しモータ40は停止する。これにより、糸保持部材90は最下位置で停止する。糸保持部材90の傾斜部923は前方に倒れ、延設部922は略水平となる。
図10,図12に示すように、最下位置に配置された糸保持部材90は、針棒ケース15の前面15Aの前方に大きく引き出される。この状態では、糸保持部材90の先端側の隙間929が前方に倒れてユーザから見え易くなる。よって、隙間929に上糸12を通して糸掛部18に引っ掛ける際の作業性が向上する。さらに、最下位置に配置された糸保持部材90で、糸通し動作後の縫製開始時に縫針8の針孔8Aから抜けることがなく且つ長過ぎない所定長さで上糸12を切断して切断後の糸端を保持させることができる。
−収納時−
ミシン1では、糸保持部材90を退避位置からさらに後方に揺動させ、針棒ケース15の凹部152の内部に収納することができる。例えば、糸保持部材90が退避位置にある状態で、ユーザが操作パネル9に表示された収納スイッチ(図示略)を押下すると、図13に示すように、糸通しモータ40(図2参照)が逆転駆動し、出力軸41と共にピニオンギア42が右側面視反時計回りに回転する。すると、ラック部材45はガイドピン51,52にガイドされて上方に移動する。ラック部材45と共に、カム部70が上方に移動する。摺動ピン38は、第3カム面73から第4カム面74、第5カム面75の順に摺動する。これに伴い、摺動ピン38はさらに後方に移動されることから、第2リンク部材84は、ガイドピン51を中心に右側面視反時計回りに揺動する。それ故、第2リンク部材84の前方延設部843は、第1リンク部材83を下方にさらに押し下げる。糸保持部材90は、支軸91を中心に右側面視時計回りにさらに揺動する。糸通しモータ40は停止する。これにより、糸保持部材90は凹部152の内側の収納位置で停止する。
図14,図15に示すように、糸保持部材90は、凹部152の内部に収納されるので、針棒ケース15の前面15Aから糸保持部材90が前方に突出しない。これにより、例えばミシン1を、移動、運搬、又は保管する場合に、糸保持部材90を誤って他の物に衝突させて変形させてしまうことを回避することができる。また、針棒ケース15の前面15Aの周囲がすっきりとして綺麗な印象を与えるので、ミシン1の美感性も向上する。
上述のように、本実施形態のミシン1は、糸保持部材90を最下位置、退避位置、収納位置の3段階で揺動させることができる。そして、その糸保持部材90を揺動させる移動機構130の駆動源として、糸通し機構120を駆動する糸通しモータ40を用いている。ミシン1は、糸通し機構120を駆動させる時、移動機構130を駆動させる必要があることから、同一の糸通しモータ40を用いることで、糸通し動作に対して、糸保持部材90の揺動動作を良好に連動させることができる。さらに、移動機構130は、糸通し機構120の糸通しモータ40で駆動させることから、別モータを取り付ける必要がない。それ故、別モータを取り付ける為のスペースを頭部5に設ける必要が無く、別モータにかかるコストもかからない。
上記説明において、糸通しフック61が本発明の「フック」に相当し、糸通しモータ40が本発明の「駆動手段」に相当し、板バネ19の挟持端部192が本発明の「挟持部」に相当し、糸保持部材90が本発明の「保持部材」に相当し、針棒ケース15が本発明の「外装部材」に相当する。ミシン1の前方が本発明の「第1方向」に相当し、ミシン1の後方が本発明の「第2方向」に相当する。糸保持部材90の最下位置が本発明の「第1位置」に相当し、退避位置が本発明の「第2位置」に相当し、収納位置が本発明の「第3位置」に相当する。刺繍縫製モードが本発明の「第1モード」に相当し、フリーモーションモードが本発明の「第2モード」に相当する。
以上説明したように、本実施形態のミシン1は、糸通し機構120を備える。糸通し機構120は、縫針8の針孔8Aに上糸12を通す為の糸通しフック61を、針孔8Aに通される前の待機位置と、針孔8Aに通されたときの作用位置との間を移動させる。糸通し機構120は、糸通しモータ40によって駆動される。ミシン1はさらに、糸保持部材90と移動機構130を備える。糸保持部材90は、上糸12を切断する切断刃185と、切断した上糸12の糸端を挟持して保持する板バネ19とを有する。移動機構130は、糸保持部材90を最下位置と退避位置とに移動させる。最下位置は、ミシン1の針棒ケース15から前側に突出し、且つ縫針8に対して前側で斜め上方の位置であって、上糸12を切断刃185で切断可能な位置である。退避位置は、最下位置に対して後方側の位置である。例えば、糸通し機構120による糸通しの際、移動機構130が糸保持部材90を最下位置に移動することで、ミシン1の前側で作業するユーザから見て、糸保持部材90が手前に配置される。それ故、糸保持部材90の切断刃185で上糸12を最適な位置で切断でき、さらに切断した上糸の糸端を板バネ19によって保持させ易い。これに対し、糸通しを行わない通常時、糸保持部材90を退避位置に移動することで、ユーザの針元に向かう視線に対して、糸保持部材90が後方に離れる。それ故、例えば縫製時における加工布上の針元の視認性を向上させることができる。
また、本実施形態ではさらに、糸通しモータ40は、糸通し機構120と移動機構130の夫々を駆動する駆動源である。これにより、糸通し機構120の糸通し動作に対して、糸保持部材90の揺動動作を良好に連動させることができる。さらに、移動機構130を動作させる為に、別モータを取り付ける必要がないので、別モータを取り付ける為のスペースを頭部5に設ける必要が無く、別モータを取り付ける為のコストもかからない。
また、本実施形態ではさらに、移動機構130は、糸通しフック61の前方への移動に連動して、糸保持部材90を退避位置から最下位置に移動させる。それ故、ユーザは、最下位置に移動した糸保持部材90で上糸12を切断し、且つ切断した上糸12の糸端を糸保持部材90に保持させることができる。また、糸通しフック61の後方への移動に連動して、糸保持部材90を最下位置から退避位置に移動させる。次いで、ユーザは、針孔8Aから抜ける糸通しフック61に上糸12を掛け、糸通しフック61が後方へ移動することによって、針孔8Aに上糸12が通される。この時、糸保持部材90は退避位置に移動するので、続いて縫製作業を行う時、糸保持部材90はユーザの針元への視線に対して邪魔にならない。
また、本実施形態ではさらに、ミシン1の動作モードについて、刺繍縫製モードと、フリーモーションモードの何れかを選択可能である。そして、移動機構130は、フリーモーションモードが選択された場合、糸保持部材90を退避位置に移動させる。フリーモーションモードは、例えば、キルティング縫いが行う場合に選択される。キルティング縫いでは、ユーザは加工布を手動で移動させるため、刺繍縫製モード選択時に比べて針元を注視して縫製作業を行う。この時、移動機構130は、糸保持部材90を第2位置に移動するので、糸保持部材90がユーザの針元への視線に対して邪魔にならない。それ故、ユーザは、フリーモーションモードでの縫製作業を良好に行うことができる。また、縫針8の前側に作業用のスペースを確保できる。これにより、糸保持部材90が邪魔にならず、加工布を容易に手前に引き出すことができる。
また、本実施形態ではさらに、糸保持部材90は、先端部に切断刃185と板バネ19の挟持端部192が設けられると共に、その先端部とは反対側の被軸支部921が、機枠の一部であるミシンフレーム13に固定された本体部材81に対して、揺動可能に支持されている。よって、移動機構130は、被軸支部921を中心に少ない揺動で先端部に設けられた切断刃185と板バネ19の挟持端部192を、最下位置と退避位置の間において大きく揺動できる。
また、本実施形態ではさらに、移動機構130は、糸保持部材90を、最下位置と退避位置に加え、退避位置よりもさらに後方の位置であって、針棒ケース15の前面15Aに設けられた凹部152内の収納位置に揺動させることができる。収納位置では、糸保持部材90は、針棒ケース15の前面15Aから前方に突出しない。よって、糸保持部材90を、誤って他の物に衝突させて変形させてしまうことを回避することができる。また、糸保持部材90を凹部152内に収納させることで、ミシン1の美感を向上できる。
尚、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、上記実施形態の移動機構130は、糸通しモータ40の駆動によって、糸保持部材90を最下位置、退避位置、収納位置に揺動するが、例えば、糸保持部材90を手動で揺動させるようにしてもよい。
図16に示す変形例のように、ミシンの頭部5には、上記実施形態の変形例である移動機構230が設けられている。移動機構230は、糸保持部材90を手動で前後方向に揺動させるものである。移動機構230は、本体部材281と操作レバー100を備える。本体部材281は、上記実施形態の移動機構130の本体部材81とほぼ同じ構造であり、糸保持部材90の被軸支部921を、支軸91を介して揺動可能に支持する。操作レバー100(本発明の「操作部材」に相当)は、糸保持部材90の傾斜部923の右端部の上部から右側方に突出して設けられている。ユーザは、操作レバー100を前後方向に手動で揺動させることで、糸保持部材90を揺動させることができる。被軸支部921が支軸91によって軸支される部分には、例えば波形バネ座金(図示略)を設け、波形バネ座金によって摩擦力を発生させ、糸保持部材90を最下位置、退避位置、又は収納位置にて保持させるようにすればよい。また、図示はしないが、糸保持部材90の被軸支部921を、任意の角度で停止可能なフリーストップヒンジで支持する構成にしてもよい。のなお、操作レバー100を設ける位置は、図16に示す位置に限定されない。更に、操作レバー100の形状、向きについても種々の変更が可能である。
また、上記実施形態の移動機構130は、糸保持部材90を最下位置、退避位置、収納位置の3段階で揺動させるが、最下位置と退避位置の2段階で揺動させてもよい。その場合、ラック部材45に設けられたカム部70のカム面を2段にすればよく、例えば、カム面から第4カム面74と第5カム面75を省略すればよい。その他に、最下位置と収納位置の2段階で揺動させてもよい。その場合、カム部70のカム面から第2カム面72と第3カム面73を省略すればよい。
また、上記実施形態のミシン1は一針ミシンであるが、多針ミシン等の他の種類のミシンであってもよい。また、ミシン1は刺繍専用機であって、刺繍枠を移動可能に保持するキャリッジ17を備えるものであるが、キャリッジを備えていないミシンであってもよい。また、糸立台30における糸駒37の数、案内部材33に設けられた孔35Aの個数等については、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。糸立台30及び案内部材33についても、適宜形状の変更は可能である。
1 ミシン
8 縫針
8A 針孔
12 上糸
13 ミシンフレーム
15 針棒ケース
19 板バネ
40 糸通しモータ
61 糸通しフック
90 糸保持部材
100 操作レバー
120 糸通し機構
130 移動機構
185 切断刃
192 挟持端部
230 移動機構

Claims (7)

  1. 縫針の針孔に上糸を通す為のフックを、前記針孔に通される前の待機位置と、前記針孔に通されたときの作用位置との間を移動させる糸通し機構と、
    前記糸通し機構を駆動する駆動手段と
    を備えたミシンにおいて、
    前記上糸を切断する切断刃と、切断した前記上糸の糸端を挟持して保持する挟持部とを有する保持部材と、
    前記待機位置から前記作用位置に向かう方向を第1方向とした場合に、前記保持部材を、前記ミシンの外装部材から前記第1方向側に突出して、前記縫針に対して前記第1方向側で斜め上方に位置し、且つ前記上糸を前記切断刃で切断可能な位置である第1位置と、前記第1位置に対して少なくとも前記第1方向とは反対方向である第2方向側の位置である第2位置とに移動させる移動機構と
    を備えたことを特徴とするミシン。
  2. 前記駆動手段は、前記糸通し機構と前記移動機構の夫々を駆動する
    ことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記移動機構は、
    前記フックの前記第1方向への移動に連動して、前記保持部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させ、
    前記フックの前記第2方向への移動に連動して、前記保持部材を前記第1位置から前記第2位置に移動させる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
  4. 前記ミシンは、
    上下動する前記縫針に対して、加工布を保持する刺繍枠を自動で移動させながら刺繍縫製を行う第1モードと、ユーザが手動で前記加工布を移動させながら縫製を行う第2モードとを選択可能に構成され、
    前記移動機構は、
    前記第2モードの時に、前記保持部材を前記第2位置に移動させる
    ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のミシン。
  5. 前記保持部材は、
    先端部に前記切断刃と前記挟持部が設けられると共に、前記先端部とは反対側の基端部が、前記ミシンの機枠に揺動可能に支持され、
    前記移動機構により、前記第1位置と前記第2位置の間を揺動する
    ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のミシン。
  6. 前記保持部材は、
    先端部に前記切断刃と前記挟持部が設けられると共に、前記先端部とは反対側の基端部が、前記ミシンの機枠に支持され、
    前記移動機構は、
    ユーザが操作する操作部材を備え、
    前記ユーザによる前記操作部材の操作により、前記保持部材を前記第1位置と前記第2位置とに亘って移動させる
    ことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  7. 前記移動機構は、
    前記保持部材を、前記第1位置と、前記第2位置と、前記第2位置よりも前記第2方向側の位置であって、前記外装部材に設けられた凹部内に収納され、且つ前記上糸を前記切断刃で切断不能な位置である第3位置と、に移動させる
    ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のミシン。
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