JP2010017320A - ミシンの糸通し装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】糸端切除を簡単に行う。
【解決手段】複数の縫い針1〜5に糸通しを行うミシンの糸通し装置10において、縫い糸を縫い針の目穴に挿通させる糸通しフック20と、縫い針を挟んで糸通しフックの反対側で縫い糸を保持する糸保持部材50と、糸通しフック及び糸保持部材を各縫い針に対応した位置に位置決めする位置決め機構400と、操作入力部材310への操作により糸通しフックに糸通し動作を付与する糸通し動作入力機構300と、縫い糸の余り端部側を保持する糸端保持部700と、縫い糸の余り端部を切除する糸切断部750とを備え、糸切断部は、操作入力部材への入力操作と連動して切断を行う。
【選択図】図26

Description

本発明は、ミシンの糸通し装置に関する。
従来の糸通し装置は、ミシン上部から針棒に設けられた糸案内まで縫い糸を案内するフレームカバーの正面部に設けられた第一の糸案内溝と、糸案内からミシン面部を介してフレームの背面側まで縫い糸を案内する第二の糸案内溝と、二つの糸案内溝の間に設けられた糸係止部と、第二の糸案内溝の内側に設けられた糸把持部と、第二の糸案内溝の終点位置に設けられた糸切断部と、糸係止部を縫い針の目穴の手前まで移動させる移動機構と、糸係止部と連動して縫い針の目穴に突入し後退することで糸係止部に係止されていた縫い糸を目穴に引き込む糸通しフックと、糸係止部及び糸通しフックの動作を入力する操作レバーとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
第二の糸案内溝の内側には、糸把持部への導入構造が設けられ、第二の糸案内溝に縫い糸を誘導すると糸把持部に挟持される。さらに、第二の糸案内溝に沿って縫い糸を引き込むと、その終端近傍には、第二の糸案内溝の深度方向に侵入する縫い糸に刃先を対向させた糸切断部の切刃が設けられており、縫い糸を引き込む動作により張力が加えられた縫い糸が切刃に当接することで、糸端が切断されるようになっている。そして、糸切断部と糸把持部とは所定距離を置いて配置されているため、切断された糸端から糸把持部までの糸長は常に一定となる。
さらに、糸通しレバーを操作すると、糸係止部が縫い針に接近すると共に糸通しフックが縫い針を挟んで糸係止部の反対側から接近する。そして、糸通しフックが目穴に突入すると糸係止部に係止されていた縫い糸がフックに捕捉され、糸通しフックの後退移動により縫い糸は目穴に引き込まれて糸通し作業が完了する。
特許第2917320号公報
ところで、最近は、複数針を備えるミシンにも糸通し装置を搭載するニーズが高まっている。このような複数針を用いるミシンに糸通し作業を実現するには、作業前にそれぞれの縫い針への糸通しが可能となる位置に糸係止部及び糸通しフックを移動位置決めした後に、操作レバーにより糸係止部及び糸通しフックを作動させる方法が考えられる。
しかしながら、かかる複数針への糸通し方法を上記従来の糸通し装置に適用すると、次のような問題があった。
即ち、上記糸通し装置は、縫い糸の各案内溝にセットした時点で既に糸切断が完了している為、縫い糸をセットしてから糸通し装置の位置切換え操作をした場合、例えば、糸把持部から遠ざかる方向に糸係止部が移動すると、糸把持部から縫い糸が引き出されて糸把持部から糸切断部までの間で確保された糸長が短くなってしまい、糸把持部から縫い糸が外れ糸通し作業自体が不能となるという問題があった。また、糸把持部が強固に糸把持を行っている場合には、縫い糸に引っ張られた糸係止部が破損してしまうことも生じ得る。
また、糸把持部に接近する方向に糸係止部が移動した場合には、糸把持部と糸係止部との間で弛みが発生し、糸通しフックが縫い糸を確実に捕捉できず、糸通し作業が不能又は良好に行えなくなるという問題があった。
一方、糸通し装置位置の切換え時に糸掛け作業を最初からやり直すことで上記各問題を回避することは可能だが、作業が非常に繁雑となるという問題があった。
本発明は、煩雑性を解消しつつ適正な糸通しを可能とすることをその目的とする。
請求項1記載の発明は、複数の縫い針に糸通しを行うミシンの糸通し装置において、前進により縫い針の目穴を貫通して縫い糸を捕捉し、後退により捕捉した縫い糸を前記目穴に挿通させる糸通しフックと、前記縫い針を挟んで前記糸通しフックの反対側となる配置で縫い糸を保持する糸保持部材と、前記糸通しフック及び糸保持部材を少なくとも水平面内での前記各縫い針の配置に対応した位置に移動位置決めする位置決め機構と、操作入力部材への入力操作により、前記位置決め機構により位置決めされた前記糸通しフックに糸通し動作を付与する糸通し動作入力機構と、縫い糸の余り端部側を保持する糸端保持部と、前記縫い糸の余り端部を切除する糸切断部とを備え、前記糸切断部は、前記操作入力部材への入力操作と連動して切断を行うことを特徴とする。
なお、上記「少なくとも水平面内での前記各縫い針の配置に対応した位置に移動位置決めする位置決め機構」とは、水平面(ミシンを水平面に設置した場合における水平面)内での位置決めを行い、高さ方向についてまで位置決めしなくとも良いことを意味するものである。
なお、位置決め機構は、平面内での位置決めのみを行うものであっても良いし、さらに高さ方向についても位置決めを行うものであっても良い。
また、「縫い糸の余り端部」とは、縫い針の目穴に糸通しが行われた時に当該縫い針から垂れ下がる縫い糸の長さを調整するために切除される端部のことを意味するものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、位置決め機構が、糸切断部を糸通しフック及び糸保持部材と共に移動させることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記糸端保持部を前記操作入力部材に設けると共に当該糸端保持部と前記糸保持部材との間に前記糸切断部を配置し、前記操作入力部材による糸通し動作の入力操作に伴う前記糸端保持部の移動により生じる糸経路の変化又は縫い糸の張力変化を利用して前記糸切断部が縫い糸の余り端部を切断することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記糸切断部は、糸の切断を行う処理刃と、前記操作入力部材による糸通し動作の入力操作に伴う前記糸端保持部の移動開始前の縫い糸を保持する保持部とを備えることを特徴とする。
請求項1記載の発明は、糸切断部が、操作入力部材への入力操作と連動して切断を行っている。
従って、糸通し作業の実行が入力されるまで縫い糸の余り端部の切断が実行されないため、縫い糸を糸保持部材及び糸端保持部にセットした後に糸通し装置の位置切換え操作をしたことにより糸経路が延長された場合でも、切除前の余り端部が存在することから、新たに縫い糸を供給源側から引き出す必要がなく、再セット作業を容易に行うことが可能となる。
さらに、再セットが容易に行えるので、糸保持部材からの縫い糸の外れを防止し、糸通し作業をより確実に行うことが可能となる。また、同様の理由により、縫い糸に対する過度の張力の発生を回避し、糸保持部材の破損を防止することが可能となる。
請求項2記載の発明は、位置決め機構が、糸通しフック及び糸保持部材と共に糸切断部も移動させるので、糸通し装置の位置切換え操作を行っても、切断後の縫い針から糸端までの余り糸の糸長を常に一定にすることが可能となる。
請求項3記載の発明は、糸端保持部を操作入力部材に設け、糸切断部を糸端保持部と糸保持部材との間に配置すると共に、糸通し動作の入力操作に伴う糸端保持部の移動により生じる糸経路の変化又は縫い糸の張力変化を利用して縫い糸の余り端部を切断するので、糸通し作業の実行が入力されるまで縫い糸の余り端部の切断が実行されず、縫い糸の再セット作業を容易とすることが可能となる。
請求項4記載の発明は、保持部により糸通し動作の入力操作が行われるまで縫い糸が切断されないように保持されることから、糸通し動作の入力操作前の余り端部の誤切断を抑止することが可能となる。
(ミシンの糸通し装置の全体構成)
本発明の実施の形態であるミシンの糸通し装置10を図1〜図26に基づいて説明する。図1は糸通し装置10の斜視図、図2は正面図、図3は一部の構成を除いた正面図、図4は一部の構成を除いた平面図である。
糸通し装置10が搭載されるミシンは、オーバーロックとカバーステッチの縫いの両方を一台で実現可能なミシンであって五本の縫い針1〜5を備え、オーバーロック縫いに使用される二本の縫い針1,2が平面視で一列に並んで配置され、カバーステッチ縫いに使用される三本の縫い針3,4,5が平面視で一列に並んで配置される。そして、縫い針1,2と縫い針3,4,5とはその並び方向は平行だが、並び方向に直交する方向にオフセットして配置されている。また、各縫い針1〜5は一つの針棒6によって保持されている。
なお、以下の説明において、針棒6に平行な方向をZ軸方向、針棒6に垂直な方向であって縫い針1,2又は3,4,5の並び方向をX軸方向(第一の方向)、針棒6に垂直な方向であってX軸方向にも垂直な方向をY軸方向(第二の方向)とする。
糸通し装置10は、ミシンの面部に搭載され、針棒6に隣接して配置される。
糸通し装置10は、前進により縫い針1〜5の目穴に侵入すると共に後退により捕捉した縫い糸を目穴に挿通させる糸通しフック20(図5参照)を保持する糸通し軸11と、糸通し軸11を介して糸通しフック20の前後移動動作を付与する糸通し動作入力機構300(図11参照)と、縫い針1〜5を挟んで糸通しフック20の反対側となる配置で縫い糸を保持する糸保持部材としての糸保持機構50と、糸保持機構50を縫い針1〜5を挟んで糸通しフック20の反対側となる配置である糸通し位置と縫い針1〜5から離間した待機位置(糸通し動作の手動入力が行われる前の最上位置)との間で移動可能に支持する糸保持機構支持機構60と、縫い糸の糸端を保持する糸端保持部700と、縫い糸の端部側を切除する糸切断部750と、糸通し軸11及び糸保持機構50をX軸方向に移動可能に支持する第一の支持機構100と、糸通し軸11及び糸保持機構50をY軸方向に移動可能に支持する第二の支持機構200と、移動操作部としての移動操作レバー441への入力操作により糸通し軸11を各縫い針1〜5の配置に対応する軌跡で移動させる位置決め機構400と、各構成を支持するメインフレーム90とを備えている。
(糸通し軸と糸通しフック)
図5は糸通し軸11の下端部の拡大斜視図である。
糸通し軸11は、図1乃至図2に示すように丸棒状であって針棒6の近傍で当該針棒6と平行にZ軸方向に沿って配設されている。
糸通し軸11の下端部にはフック保持アーム21を介して糸通しフック20が装備されている。フック保持アーム21は、糸通し軸11を中心とする円の半径方向であってなお且つ下方に延出されている。
糸通しフック20は、フック保持アーム21の先端部に装備され、糸通し軸11を中心とする円の接線方向に向かって延出装備されている。そして、糸通しフック20は、糸通し軸11を中心とした円周上において接線方向を向いて配設されていることから、糸通し軸11の正回転によりその先端部を前に向けて前進し、逆回転により後退する。
さらに、糸通しフック20は、その先端部に鈎状の返しが形成されており、前進時にその先端部からいずれかの縫い針1〜5の目穴に挿入されると共にその先端部の返しにより縫い糸を捕捉し、後退時に捕捉した縫い糸を目穴に引き込んで糸通しを実行する。
フック保持アーム21の先端部であって、糸通しフック20の両側には、その平板面を糸通しフック20と糸通し軸11の双方にほぼ平行に向けた一対の案内板22,23が設けられている。かかる案内板22,23は、互いに先端部に向かって広がる形状に湾曲すると共に相互の間隔が通常の縫い針の太さよりも若干広く設定されている。かかる案内板22,23により、前進移動時にいずれかの縫い針1〜5の目穴を正しく糸通しフック20に導くことを可能としている。
さらに、各案内板22,23には、糸通しフック20の延出方向に沿って、糸通しフック20よりも若干低い位置に縫い糸案内用の切り欠きが形成されており、前進移動時に縫い糸を適正な高さに導いて糸通しフック20に捕捉させることを可能としている。
(メインフレーム)
図6はメインフレーム90、第一の支持機構100及び第二の支持機構200の相互間の支持構造を簡略的に示した斜視図である。
メインフレーム90は、図1、図4及び図6に示すように、板金加工により形成された構造体であり、図示しないミシンフレームに固定装備されている。かかるメインフレーム90は、ほぼ平面状の背面板91及び正面枠体92とを固定連結して構成されている。
背面板91はその平板面がX−Z平面に沿うようにミシンフレームに固定支持され、その背面側において、位置決め機構400の主要な構成を保持している。
正面枠体92は、背面板91の正面側に密接するX−Z平面に沿った板状体であり、そのミシン正面側となる領域には、第二の支持機構200が配置され、さらにそのミシン正面側には第一の支持機構100が配置されている。
(第二の支持機構)
第二の支持機構200は、図4及び図6に示すように、板金加工により形成された略平板状の構造体であり、メインフレーム90に対してY軸方向に移動可能に支持された第二枠体201と、当該第二枠体201の背面からY軸方向に沿って立設された一対のガイド軸202と、メインフレーム90に設けられ、ガイド軸202を挿入支持する一対の筒状支持部203とを備えている。
各ガイド軸202は、メインフレーム90に設けられた各筒状支持部203に挿入され、当該筒状支持部203内を滑動可能となっている。これにより、第二枠体201をメインフレーム90に対してY軸方向に沿って自在に滑動可能とする。
つまり、第二の支持機構200は、第二枠体201が支持する全ての構成をY軸方向に移動可能としている。
さらに、第二枠体201の背面には背面側に延出されたブラケット状の動作伝達アーム206がY軸方向に沿って立設されている。かかる動作伝達アーム206は、メインフレーム90に設けられた貫通穴90aを通じて背面板91の背面側まで延びており、その先端部は後述する位置決め機構400と連結されている。
つまり、第二枠体201はかかる動作伝達アーム206からY軸方向に沿って移動力が入力される。
(第一の支持機構)
第一の支持機構100は、図3,図4及び図6に示すように、第二の支持機構200の第二枠体201に対してX軸方向に移動可能に支持された第一枠体101と、当該第一枠体101を第二枠体201に対してX軸方向に移動可能に連結する一対のガイド軸102と、第二枠体201に設けられ、ガイド軸102を支持する二対の支持アーム部103とを備えている。
第一枠体101の正面側下部には、図3,6に示すように上下に並んで二つの支持ブラケット107が設けられている。各支持ブラケット107,107はX−Y平面に沿って形成されており、これらにはZ軸方向に沿った同心位置に糸通し軸11を挿通する挿通穴107a,107aが形成されており、第一枠体101はこれらの挿通穴107a,107aに糸通し軸11を挿通させることで当該糸通し軸11を上下方向に移動可能に支持している。
また、第一枠体101の背面近傍には、その上部と下部のそれぞれにおいてY軸方向に沿ってガイド穴104,104が穿設されている。一方、第二枠体201の上部と下部のそれぞれにおける左右両端部にはY−Z平面沿うように折曲して立ち上げられた支持アーム部103,103が二対形成されており、左右一対でガイド軸102をX軸方向に沿わせて保持している。そして、第一枠体101は、各ガイド軸102を各ガイド穴104に挿入させた状態で第二枠体201の各支持アーム部103に支持され、これにより、第一枠体101は第二枠体201に対してガイド軸102に沿ったX軸方向のへの滑動を可能としている。つまり、第一の支持機構100は、第二枠体201に対して第一枠体101が支持する全ての構成をX軸方向に移動可能としている。従って、第一の支持機構100と第二の支持機構200との協働により、メインフレーム90に対して、第一枠体101が支持する全ての構成をX軸方向にもY軸方向にも任意に移動可能としている。
また、第一の枠体101の左上部には、図4及び図6に示すように、上下一対の動力伝達ブラケット109,109がX−Y平面に沿って延出されている。かかる各動作伝達ブラケット109,109の間には、後述する位置決め機構400の揺動アーム423がZ軸方向に沿った支軸423bを介して連結されている。
つまり、第一枠体101はかかる動作伝達ブラケット109からX軸方向に沿って移動力が入力される。
さらに、第一の枠体101には、上下に延出されたガイド板110が設けられている。かかるガイド板110は、その平板面がY−Z平面に平行となるように固定支持されており、Z軸方向に沿った長穴111が形成されている。かかる長穴111は、糸通し軸11を介して第一の枠体101に支持される糸通しスライドガイド320(後述)に設けられた係合軸324が挿通される。後に詳述するが、糸通し軸11は糸通し操作が行われる際に回転力が付与されるため、係合軸324を介して糸通しスライドガイド320が糸通し軸11と共に回転を行わないようにガイド板110が回り止めとして機能している。
(位置決め機構:全体構成)
位置決め機構400について図4,7,8,9,10に基づいて説明する。図7は糸通し装置の図1とは異なる方向から見た斜視図、図8は一部省略した糸通し装置の背面図、図9は移動操作レバー441の段階切り替え部410を右側から見た側面図、図10は各カム421,431を展開して段階切り替え位置を示した説明図である。
位置決め機構400は、各構成が主にメインフレーム90の背面板91の背面側に支持されている。
位置決め機構400は、各縫い針1〜5への糸通し軸11の位置切替操作を順次入力する441操作入力部440と、各縫い針1〜5ごとの段階的な切り替え操作を行うために移動操作レバー441の回転動作を間欠的に区切る段階切り替え部410と、操作入力部440の移動操作レバー441の入力操作により糸通し軸11にX軸方向に沿った移動動作を付与する第一のカム機構420と、移動操作レバー441の入力操作により糸通し軸11にY軸方向に沿った移動動作を付与する第二のカム機構430とを備えている。
(位置決め機構:操作入力部と段階切り替え部)
操作入力部440は、背面板91の背面側上部においてX軸方向に沿って回転可能に支持された第一の回転支軸442と、当該第一の回転支軸442の一端部(左端部)に固定装備された選択操作レバー441と、第一の回転支軸442の他端部(右端部)に固定装備された主動歯車443と、後述する第一のカム機構420の第二の回転支軸422に固定装備された受動歯車444とを備えている。
上記選択操作切り替えレバー441は、一部直線状に切り欠かれた円板の半径方向外側に向かって棒状に延びるレバー部441aを備えており、円板の中心位置で第一の回転支軸442に固定されている。
さらに、主動歯車443は、受動歯車444に噛合している。この主動歯車443は、第一の回転支軸442に固定装備されており、選択操作レバー441に回動操作が加えられると、従動歯車444を介して第二の回転支軸422に回転トルクを伝達し、第一のカム機構420を動作させるようになっている。
上記構成では、選択操作切り替えレバー441をミシンフレームにおける左方寄り且つ後方(背面側)寄りに配置し、レバー部441aをミシンカバーの背面側(後面側)から突出するように配置している。
また、第一の回転支軸442の中間位置には段階切り替え部410の回転体411が装備されている。すなわち、段階切り替え部410は、図9に示すように、第一の回転支軸442に固定支持され、各縫い針1〜5に個別に対応する係止凹部412〜416を外周に有する回転体411と、各係止凹部412〜416に嵌合して回転体411の回転を規制する板バネ417とを有している。
板バネ417は先端部に係合突起が形成されており、当該係合突起が回転体411を押圧するように付勢させた状態で背面板91に取付られている。このため移動操作レバー441を回動させると、外周に設けられた各係止凹部412〜416に順番に係合突起が侵入し、そのたびに回動を規制する。つまり、回動操作が間欠的に行われる。なお、各係止凹部412〜416間での回転操作量が各縫い針1〜5間での糸通し軸11の移動に要する操作量となるように各係合凹部412〜416の角度間隔は設定されている。
(位置決め機構:第一のカム機構)
第一のカム機構420は、背面板91の背面側においてX軸方向を向いた状態で回転可能に支持された第二の回転支軸422と、第二の回転支軸422と供回りするように支持された溝カムである第一のカム421(図4では図示略)と、第一のカム421の外周に形成されたカム溝421aに係合するカム従節である突起423aを備える揺動アーム423とを有している。
第一のカム421は、円筒状であって、その外周面には略螺旋状のカム溝421aが形成されている。図8はカム溝421aにおける一端部に従節突起423aが位置する状態を示しており、当該位置で糸通し軸11に支持された糸通しフック20が縫い針1に糸通し可能な配置となっている。
揺動アーム423は、その他端部に設けられた支軸423bを介して、第一枠体101に設けられた動力伝達ブラケット109に連結されている。動力伝達ブラケット109には、図4に示すように、Y軸方向に沿って長穴109aが形成されており、当該長穴109aに揺動アーム423の支軸423bが挿入されている。
そして、第一のカム421が左方から見て時計方向回りに回転すると、揺動アーム423の従節突起423aはX軸方向(右方向)に移動力が付与される。これにより、揺動アーム423の他端部は左方に移動を生じ、動力伝達ブラケット109を介して第一枠体101が左方向に移動する。また、第一のカム421が逆方向に回転すると第一枠体101は右方向に移動を生じる。
なお、動力伝達ブラケット109の長穴109aは、揺動アーム423の他端部の回動時に生じるY軸方向の変位を許容すると共に、後述する第二のカム機構430による第二枠体201のY軸方向の移動に伴う第一枠体101のY軸方向に移動を許容するためのものである。
(位置決め機構:第二のカム機構)
第二のカム機構430は、揺動アーム423の揺動と共にX軸方向に沿って移動を行う直動カムである第二のカム431と、背面板91の背面側においてX軸方向を向いた状態で回転可能に支持された第三の回転支軸432と、回動支軸432に設けられて第二のカム431の直動動作を回転動作に変換して第三の回転支軸432に伝達する従節突起433と、第三の回転支軸432の回転により前述した第二枠体201に動作伝達アーム206を介してY軸方向の移動動作を付与する略L字状のリンク部材434とを有している。
第二のカム431は、内部を中空とした円柱の外周面の一部を切り欠いた形状であって、その中心に第三の回転支軸432が挿通された状態で当該第三の回転支軸432によりX軸方向に沿って滑動可能に支持されている。
また、第二のカム431の外周面には外方に突出した係合突起431aが設けられており、前述した揺動アーム423の一端部側の長手方向に沿って形成された長穴423cに挿入されている。これにより、第一のカム421の回転により揺動アーム423が揺動を行うと第二のカム431はX軸方向に沿って移動を行うようになっている。なお、図8に示す符号435は、X軸方向に沿った長穴435aが形成された第二のカム431の回り止めである。長穴435aに係合突起431aが挿通されることで当該係合突起431aのY軸方向移動を規制し、第二のカム431の回転を規制する。
また、第二のカム431は、その外周面にX軸方向に沿った長穴431bが形成されており、当該長穴431bに従節突起433の先端部が挿入されている。この長穴431bは、その中間あたりで一部略螺旋状の区間があり、第二のカム431が第三の回転支軸432に沿って滑動し、略螺旋状の区間に従節突起433がさしかかると、当該従節突起433が周方向に沿って移動することにより第三の回転支軸432を回転させることを可能としている。
リンク部材434は、第三の回転支軸432に軸支され、当該第三の回転支軸432と共に回動を行う。また、リンク部材434はおおむねZ軸方向に向けた状態で配設されており、その回動端部は第二枠体201から延出された動力伝達アーム206に連結されている。従って、第二のカム431の直動により第三の回転支軸432及びリンク部材434が回動すると動力伝達アーム206にはY軸方向に沿った移動力が付与され、第二枠体201及び第一枠体101はY軸方向に移動される。
(位置決め機構:動作説明)
次に、移動操作レバー441による五段階の切り替えにより各カム421,431がその従節に対して付与する移動状態を図10に基づいて説明する。
(1)係合凹部412に板バネ417の係合突起が嵌合する位置に移動操作レバー441が合わせられた状態を第一状態とする。このとき、突起423aは第一カム421のカム溝421aの一端側である図10(A)の1番目の位置にあり、第一枠体101は最も右側に位置した状態にある。また、従節突起433は第二のカム431の長穴431bの一端部である図10(B)の1番目の位置にあり、第二枠体201は最も背面側に位置している。第一及び第二枠体101,201のこれらの配置により糸通し軸11は糸通しフック20が縫い針1に糸通しを行う位置となっている。
(2)係合凹部413に板バネ417の係合突起が嵌合する位置に移動操作レバー441が合わせられた状態を第二状態とする。このとき、突起423aは第一カム421のカム溝421aの図10(A)の2番目の位置にあり、第一枠体101は左方に移動を生じる。また、従節突起433は第二のカム431の長穴431bの図10(B)の2番目の位置にあり、第二枠体201は(1)の状態から移動を生じない。このときの第一枠体101の移動距離は縫い針1と縫い針2のX軸方向の間隔に一致し、第一及び第二枠体101,201のこれらの配置により糸通し軸11は糸通しフック20が縫い針2に糸通しを行う位置となる。
(3)係合凹部414に板バネ417の係合突起が嵌合する位置に移動操作レバー441が合わせられた状態を第三状態とする。このとき、突起423aは第一カム421のカム溝421aの図10(A)の3番目の位置にあり、第一枠体101は左方に移動を生じる。また、従節突起433は第二のカム431の長穴431bの図10(B)の3番目の位置にあり、第二枠体201は正面側に移動を生じる。このときの第一枠体101の移動距離は縫い針2と縫い針3のX軸方向の間隔に一致し、第二枠体201の移動距離は縫い針2と縫い針3のY軸方向の間隔に一致する。従って、第一及び第二枠体101,201のこれらの配置により糸通し軸11は糸通しフック20が縫い針3に糸通しを行う位置となる。
(4)係合凹部415に板バネ417の係合突起が嵌合する位置に移動操作レバー441が合わせられた状態を第四状態とする。このとき、突起423aは第一カム421のカム溝421aの図10(A)の4番目の位置にあり、第一枠体101は左方に移動を生じる。また、従節突起433は第二のカム431の長穴431bの図10(B)の4番目の位置にあり、第二枠体201は(3)の状態から移動を生じない。このときの第一枠体101の移動距離は縫い針3と縫い針4のX軸方向の間隔に一致し、第一及び第二枠体101,201のこれらの配置により糸通し軸11は糸通しフック20が縫い針4に糸通しを行う位置となる。
(5)係合凹部416に板バネ417の係合突起が嵌合する位置に移動操作レバー441が合わせられた状態を第五状態とする。このとき、突起423aは第一カム421のカム溝421aの図10(A)の5番目の位置にあり、第一枠体101は左方に移動を生じる。また、従節突起433は第二のカム431の長穴431bの図10(B)の5番目の位置にあり、第二枠体201は(3)の状態から移動を生じない。このときの第一枠体101の移動距離は縫い針4と縫い針5のX軸方向の間隔に一致し、第一及び第二枠体101,201のこれらの配置により糸通し軸11は糸通しフック20が縫い針5に糸通しを行う位置となる。
上記(1)〜(5)に示すように、移動操作レバー441を第一状態から第五状態に順番に位置切替操作を行うことにより、縫い針1〜5の各位置に糸通しフック20が糸通し可能な位置に糸通し軸11が位置決めされ、それぞれに糸通しを行うことが可能となる。
(糸通し動作入力機構:全体構成)
図2,3,11〜15に基づいて糸通し動作入力機構300について説明する。図11は糸通し動作入力機構300の斜視図、図12は糸通しカム機構340の要部説明図である。
糸通し動作入力機構300は、糸通し軸11を下方に移動させて糸通し動作を入力する糸通し操作入力部材としての操作レバー310と、操作レバー310からの下方への入力操作により糸通し軸11と共に下降動作を行う昇降部材としての糸通しスライドガイド320と、各縫い針1〜5の目穴の高さに応じた複数の高さで下降する糸通し軸11を停止させる高さ調整機構330と、糸通し軸11に対して糸通しスライドガイド320のみが下方に移動すると糸通しフック20が前進する方向に糸通し軸11を回転させる糸通しカム機構340とを備えている。
(糸通し動作入力機構:糸通しスライドガイド)
糸通しスライドガイド320は、上下に長尺であって断面弧状の背板321と、その上下両端部に一体的に設けられ、糸通し軸11を挿通する貫通穴が形成された板状の支持部322,323と、背板321からX軸方向に沿って左方に延出された操作レバー310との係合軸324とを備えている。
上記支持部322,323は、X−Y平面に沿った板状であっていずれも糸通し軸11を挿通させる貫通穴が形成されており、かかる貫通穴を介して糸通しスライドガイド320が糸通し軸11に対して当該糸通し軸11に沿って摺動可能に連結されている。そして、上側の支持部322と後述する糸通し軸に設けられた第一のガイドピン331との間には圧縮コイルバネ325が介挿されており、糸通し軸11の上端部には支持部322の上面に当接するストッパ11aが設けられているので、糸通し軸11と糸通しスライドガイド320の相互間は、糸通し軸11が下方、糸通しスライドガイド320が上方に押圧された状態となるように常時付勢されている。
(糸通し動作入力機構:操作レバー)
操作レバー310は、図3,11に示すように、メインフレーム90の正面枠体92から正面に向かって突設された図示しないY−Z平面に沿った板状のブラケット93(図4参照)により支持されており、当該ブラケット93から左方に向かって突出装備された二つのガイド軸を挿通する上下方向の長穴311を備え、各ガイド軸の先端部に設けられたCリングにより脱落しないように保持されている。操作レバー310は、かかる構造によりにメインフレーム90に対して上下動可能に支持されている。
そして、操作レバー310は、上下方向に沿った長尺状の本体部312と、本体部312の中間付近で当該本体部312に直交する方向(Y軸方向)に延出されたアーム部313と、本体部312の下部に設けられた箱状部314とを備えている。
本体部312と箱状部314とは一体的に連結されており、箱状部314の下端部は直角に屈曲形成されてX軸方向に沿って延出された入力部315が形成され、ここから下方への押圧操作が入力される。さらに、箱状部314はメインフレーム90との間で引っ張りバネ316により連結されており、常時上方への引っ張り力が付勢されている。
一方、アーム部313には、Y軸方向に沿って長溝317が貫通形成され、糸通しスライドガイド320から延びた係合軸324が挿入されている。従って、操作レバー310に入力された下降移動動作は、アーム部313から係合軸324を介して糸通しスライドガイド320及び糸通し軸11に伝達される。また、引っ張りバネ316による上方への張力は、箱状部314から本体部312を介して糸通しスライドガイド320及び糸通し軸11まで及ぶようになっている。なお、アーム部313の長穴317がY軸方向に沿っているのは、第二の支持機構200によるY軸方向の移動を許容するためのものである。
(糸通し動作入力機構:糸通しカム機構)
糸通しカム機構340は、図12に示すように、糸通し軸11から糸通しスライドガイド320の背板321に向かって水平方向に突出した係合突起341と、糸通しスライドガイド320の背板321に形成された溝カムとしての長穴部342とを備えている。
上記係合突起341は、実際上は、糸通し軸11に貫通装備された後述する第一のガイドピン331の後端部である。かかる係合突起341は、背板321に貫通形成された長穴部342に挿入され、背板321の外側まで貫通する長さに設定されている。
長穴部342は、その長手方向が上下方向に対して傾斜して形成されている。そして、係合突起341は、糸通し軸11と糸通しスライドガイド320との間に設けられた圧縮コイルバネ325の作用により通常は長穴部342の下端部に位置している状態を維持する。かかる長穴部342は、係合突起341が当該長穴部342に沿って上昇する際に、糸通しフック20が前進する方向に糸通し軸11が回転する方向に変位を生じる方向に傾斜している。即ち、糸通し軸11は平面視で時計回りに回転することで糸通しフック20が前進移動するので、長穴部342は、上方に向かうにつれてY軸方向における背面側に向かう方向に傾斜している。
なお、係合突起341が長穴部342に沿って上方に移動するのは、糸通し軸11に対して糸通しスライドガイド320が相対的に下降する場合である。前述のように、糸通し軸11と糸通しスライドガイド320との間に設けられた圧縮コイルバネ325と糸通し軸11上端部のストッパ11aとの作用により、糸通し軸11と糸通しスライドガイド320とは、圧縮コイルバネ325の押圧力よりも大きな力が付与されない限り共に上下動を行う。従って、糸通し軸11の下降経路の途中にはその下降を阻止する高さ調整機構330が設けられ、操作レバー310により糸通しスライドガイド320及び糸通し軸11に下降動作が入力されると、糸通し軸11のみを途中で下降を阻止する。この際、操作レバー310から圧縮コイルバネ325よりも大きな押圧力を入力すると、糸通し軸11に対して糸通しスライドガイド320が相対的に下降し、糸通しカム機構340の作用により糸通し軸11が回転し、糸通しフック20が前進して糸通しが行われる。なお、糸通しフック20の後退は、操作レバー310を解放することで圧縮コイルバネ325の復帰力により行われる。
(糸通し動作入力機構:高さ調整機構)
高さ調整機構330は、糸通しカム機構340を作動させるためにスライドガイド320の下降時に糸通し軸11のみを所定の高さで下降を阻止する機能と、各縫い針1〜5の糸通し時に縫い針の配置に応じて糸通し軸11を移動位置決めする位置決め機構400との協働により各縫い針1〜5ごと糸通しフック20の高さ調節を行う機能とを有している。
即ち、高さ調節機構330は、糸通し軸11に設けられた第一と第二のガイドピン331,332と、いずれかのガイドピン331,332が上方から当接する五つの当接部351〜355を備える下側糸通しガイド350と、糸通し軸11の回動時に各ガイドピン331,332の周回移動を案内する上側糸通しガイド360(図11では図示略)とを備えている。
第一及び第二のガイドピン331,332は、いずれも糸通し軸11に対して垂直に設けられ、第一のガイドピン331の方が上方に配置されている。また、二つのガイドピン331,332はX−Y平面上において糸通し軸11を中心として異なる角度で糸通し軸11に配置されている。
図13は下側糸通しガイド350の斜視図、図14は位置決め機構400により各縫い針1〜5に対応する配置に糸通し軸11が位置決めされた場合における各ガイドピン331,332と当接部351〜355との関係を示す説明図である。
下側糸通しガイド350は、針棒6に固定支持され、上部に五つの当接部351〜355を備えたブロック状の部材である。
図14(A)に示すように、当接部351は糸通し軸11が縫い針1に糸通しを行う位置に位置決めされた時に第一のガイドピン331が下降して当接する配置にあり、図14(B)に示すように、当接部352は糸通し軸11が縫い針2に糸通しを行う位置に位置決めされた時に第一のガイドピン331が下降して当接する配置にあり、図14(C)に示すように、当接部353は糸通し軸11が縫い針3に糸通しを行う位置に位置決めされた時に第二のガイドピン332が下降して当接する配置にあり、図14(D)に示すように、当接部354は糸通し軸11が縫い針4に糸通しを行う位置に位置決めされた時に第二のガイドピン332が下降して当接する配置にあり、図14(E)に示すように、当接部355は糸通し軸11が縫い針5に糸通しを行う位置に位置決めされた時に第二のガイドピン332が下降して当接する配置にある。
また、糸通し軸11が当接して回動した時に各ガイドピン331,332が当接状態を維持することができるように、各当接部351〜355の平面はいずれも略円弧状に形成されている。
さらに、各当接部351〜355は、それぞれ糸通し時の糸通し軸11及び糸通しフック20の高さを決定するものであることから、それぞれその平面高さが各縫い針1〜5の目穴の高さに応じて異なる高さに設定されている。
また、当接部351,352と当接部353,354,355とは、それぞれガイドピン331,332の糸通し軸11を中心とする開き角度に応じて離れた配置となっている。このようにガイドピンの本数に応じて複数の当接部を分散配置し、各当接部の配置に干渉を回避している。
また、ガイドピン331,332は二本存在するが、いずれか一方が当接部に当接する場合には他方はいずれかの当接部に当接することがないように第一のガイドピン331と第二のガイドピン332とは高さに差が設けられている。また、一方のガイドピンが当接部に当接している時に他方のガイドピンが下側糸通しガイド350の当接部以外の箇所に当接しないように上面から一部低く形成した逃げ部356が形成されている(図14(A)参照)。
なお、下側糸通しガイド350は、糸通し時の糸通しフック20の高さを決定する機能を有することから、必ず一定区間の高さであることが要求される。従って、糸通し時には針棒が必ず同じ糸通し可能区間となるようにあらかじめ定められた一定区間の上軸角度となるようにミシンモータの制御が行われる。
図15は下側糸通しガイド350と上側糸通しガイド360の拡大斜視図である。
上側糸通しガイド360は、下側糸通しガイド350の各当接部351〜355に当接したいずれかのガイドピン331,332が糸通し軸11の回転により当接部351〜355の上面を移動する際に当接を維持するように上方から当接してガイドピンをガイドする機能を有している。
従って、図15に示すように、上側糸通しガイド360には、下側糸通しガイド350の当接部351に第一のガイドピン331が当接して移動する際に当接してガイドするガイド部361と、当接部352に第一のガイドピン331が当接して移動する際に当接してガイドするガイド部362と、当接部353に第二のガイドピン332が当接して移動する際に当接してガイドするガイド部363と、当接部354に第二のガイドピン332が当接して移動する際に当接してガイドするガイド部364と、当接部355に第二のガイドピン332が当接して移動する際に当接してガイドするガイド部365と、糸通し軸11の下降時に第一のガイドピン331の下降を許容する逃げ部366と、糸通し軸11の下降時に第二のガイドピン332の下降を許容する逃げ部367とを備えている。
(糸保持機構)
図16は糸保持機構50の斜視図、図17はカバー体を外した状態の糸保持機構50の斜視図、図18は糸保持機構50の分解斜視図である。
糸保持機構50は、後述する糸保持機構支持機構60の移動体61の回動端部において回動可能に連結される連結部51と、糸保持機構支持機構60から回動動作が付与される伝達レバー59と、糸保持機構50下端部において糸掛けを行う第一及び第二の糸掛け部52,53と、二つの糸掛け部52,53に掛け渡された縫い糸の縫い針側を第二の糸掛け部53との協働により挟持する挟持板57と、挟持板57にコイルバネ55からの挟持圧を伝える略リング状の挟持体54と、挟持体54及びコイルバネ55を押圧挟持する方向に移動可能に支持する段ネジ56と、第一及び第二の糸掛け部52,53の先端部を除いて糸保持機構50の正面側を覆うガイドカバー58とを備えている。
上記連結部51は、互いに対向する二壁面に同心で設けられた貫通穴51a,51bに挿通される連結ピン51cにより糸保持機構支持機構60の移動体61に連結される。移動体61は糸通し動作の際に下降動作及び回動動作を行うが、連結ピン51cは移動体61が下降動作及び回動動作を行って糸通しを行う直前の位置(糸通しフック20が前進移動を行う直前)に到達した状態でX軸方向に平行となるように設けられており、これにより糸通し時(糸通しフック20が前進移動を行う時)には糸保持機構50全体をX軸回りに回動可能とする。
第一及び第二の糸掛け部52,53は、いずれも、連結部51から下方に延出された状態で一体的に固定装備されている。また、各糸掛け部52,53の下端部には、凹状に切り欠かれており、縫い糸を引っかけることが可能となっている。ミシンに対する縫い糸のセット作業時には、第一の糸掛け部52から第二の糸掛け部53に縫い糸が掛け渡され、これらの間を渡る状態の縫い糸に対して糸通しフック20が糸の捕捉を行う。
また、伝達レバー59が連結部51に対して上方に延出された状態で一体的に形成されており、糸通しフック20の前進時において糸保持機構支持機構60からの動作伝達により連結部51を介して各糸掛け部52,53の下端部を背面側に向かって回動させることができる。従って、掛け渡された縫い糸を糸通しフック20に向かって寄せることができ、糸捕捉を補助することができる。
挟持板57は、板状の第二の糸掛け部53の平板面にコイルバネ55により押圧されており、第二の糸掛け部53との間で縫い糸を挟持することができる。また、この挟持板57には、縫い糸を第二の糸掛け部53と挟持板57との間に導き込むためのガイド片57aが設けられている。
段ネジ56は、その軸部をコイルバネ55,挟持体54及び挟持板57の貫通穴に挿通させた状態で第二の糸掛け部53のネジ穴に螺合して装着される。挟持体54及び挟持板57は段ネジ56の軸部に沿って移動可能であり、第二の糸掛け部53から離間する方向に移動することで縫い糸を解放することができる。
ガイドカバー58は、半円筒状に形成されており、その周面には導入部58a〜58cを有する連続した略サインカーブ状の外部溝と、導入部58aから縫い糸を内側に導入する舌状部58dと、導入部58bから縫い糸を内側に導入する舌状部58eと、導入部58cから縫い糸を内側に導入する舌状部58fとを備えている。
前述したように、ガイドカバー58は、その下部から各糸掛け部52,53の下端部を外部に露出させており、ミシンへの縫い糸のセット時には、各糸掛け部52,53に掛け渡された縫い糸の縫い針側の端部が舌状部58d,58e,58fの順番でこれらの先端部に掛け渡され、かかる状態で縫い糸の端部が引っ張られることで各導入部58a,58b,58cから縫い糸がガイドカバー58の内部に引き込まれるようになっている。
なお、上記引き込みにより、第二の糸掛け部53と導入部58aとの間から引き込まれた縫い糸は、挟持板57のガイド片57aと第二の糸掛け部53に設けられたガイド片53aとにより、挟持板57と第二の糸掛け部53との間に引き込まれて挟持される。
上述のように、糸保持機構50は、二つの糸掛け部52,53に渡らせた状態で糸掛けを行った場合の縫い針側の縫い糸の端部を挟持板57と第二の糸掛け部53との間に挟持させることで、二つの糸掛け部52,53の間でX軸方向に沿って縫い糸が張設された状態を維持することができる。
このようにX軸方向に沿って縫い糸が張設された状態で縫い針を挟んで糸通しフック20の反対側に糸保持機構50を配置することにより、Y軸方向に沿って前進してきた糸通しフック20が直交する縫い糸の真上を通過するとその後退時に返しにより縫い糸の捕捉を円滑に行うことが可能となる。
(糸保持機構支持機構)
図19は糸保持機構50及び糸保持機構支持機構60の正面図、図20は背面側斜め方向から見た糸保持機構50及び糸保持機構支持機構60の斜視図である。
糸保持機構支持機構60は、第一枠体101の正面側において糸保持機構50を略X軸回りに回動可能に支持する移動体61と、第一枠体101の正面側の固定支持されると共に移動体61を昇降可能及びY軸回りに回動可能に支持するカム板62と、移動体61の下端部おいて糸保持機構50の回動を付与する回動動作付与機構63とを備えている。
カム板62は、X−Z平面に沿った状態で第一枠体101に保持されており、上下方向に沿った第一及び第二のカム溝62a、62bが表裏に貫通形成されている。第一のカム溝62aは真っ直ぐにZ軸方向に沿って形成されている。第二のカム溝62bは、第一のカム溝62aの左側に隣接し、上端部と下端部とはいずれもZ軸方向に沿って形成され、下端部が右方に寄るように途中の区間で一部屈曲して形成されている。
移動体61は、その上端部が糸通し軸11の上端部に設けられたストッパ11aと連結されると共に当該上端部に第一のカム溝62aに沿って滑動する第一の従節突起61aを備えている。また、移動体61の上端部近傍であって第一の従節突起61aより下位置には第二のカム溝62bに沿って滑動する第二の従節突起61bを備えている。移動体61はストッパ11aにより糸通し軸11と連結されているため、糸通し作業の実行の際に操作レバー310が押し下げられると、糸通し軸11と共に下降し、糸通し軸11の下方停止位置で共に停止するようになっている。
そして、前述したように、第二のカム溝62bは途中で右方に屈曲しているため、移動体61は下降移動する過程で下部が右に寄るので、その結果、Y軸を中心として反時計回りで回動を行う。その際には、二つの糸掛け部52,53に渡る縫い糸が前進してくる糸通しフック20に正対するように設定されている。
さらに、移動体61は、上述のように、その上半分にはY軸回りの回動動作を実現する構成が設けられており、その下半分にY軸回りの回動後に糸保持機構50のX軸回りの回動動作を実現させる構成である回動動作付与機構63が設けられている。
回動動作付与機構63は、移動体61の下端部に固定連結されて下方に延出された糸保持機構50の支持部材64と、上端部が移動体61の下端部に回動可能に連結された揺動リンク体65と、糸通しスライドガイド320の背板321に設けられると共に揺動リンク体65に揺動動作を付与する係合突起66と、支持部材64に対する前方への回動力を糸保持機構50に常時付与するねじりコイルバネ67とを備えている。
支持部材64は、その下端部が前述した連結ピン51cを介して糸保持機構50の連結部51と連結されている。
揺動リンク体65はその上端部が連結ピン51cと平行に移動体61に設けられた支軸65aにより移動体61に対して回動可能に支持されている。また、揺動リンク体65の下端部には支軸65aと平行に延出された係合軸部65bが装備されており、当該係合軸部65bは、糸保持機構50の伝達レバー59の上端部に形成された長穴部59aに挿入された状態で係合している。
これにより、揺動リンク体65の揺動端部が支軸65a回りで例えば前方に回動動作を行うと、係合軸部65b及び長穴部59aを介して伝達レバー59の上端部も前方に回動させる。その結果、揺動リンク体65は、ねじりコイルバネ67に抗して連結ピン51cを中心に糸保持機構50の各糸掛け部52,53の下端部を後方に回動させ、糸掛け部52,53に掛け渡された縫い糸を縫い針1〜5側に寄せることを可能としている。
また、揺動リンク体65の上端部における支軸65aから偏心した位置には、糸通しスライドガイド320の前面側下端部に設けられた係合突起66に対して下方から当接する当接突起65cが設けられている。なお、これら係合突起66と当接突起65cの相対的な配置は、移動体61がカム板62の各カム溝62a,62bにより反時計回りに回動された状態において上下に並ぶようになっている。
糸通しスライドガイド320は、糸通し動作の入力時に糸通し軸11と共に下降を行い、ガイドピン331又は332が下側糸通しガイド350に当接して糸通し軸11のみが下降を制止されると、糸通しスライドガイド320のみがさらに下降を行うこととなるが、その時点で糸通し軸11と完全に連動する移動体61に支持された揺動リンク体65の当接突起65cに対して糸通しスライドガイド320に設けられた係合突起66は相対的に下降移動することとなる。そして、図20の二点鎖線に示すように、係合突起66は上方から当接突起65cに当接し押圧する。このとき、当接突起65cは揺動リンク体65の支軸65aに対してY軸方向(裏面側)にずれた位置に設けられていることから、揺動リンク体65の下端部を逆方向(表面側)に回動させることととなる。
一方、前述したように、糸保持機構50の伝達レバー59は長穴部59aにより揺動リンク体65の下端部の係合軸部65bに連結されているため、伝達レバー59は表面側(前側)に向かって回動が付与され、糸保持機構50のほぼ全体を連結ピン51cを介して裏面側(後側)に回動させることとなる。従って、糸掛け部52,53に掛け渡された縫い糸が縫い針1〜5側に寄せられる。
(糸端保持部)
図21は糸端保持部700のX−Z平面に沿った断面図である。
糸端保持部700は操作レバー310の入力部315の右側面に配置されており、糸保持機構50に掛け渡された縫い糸の糸端(糸供給源側とは逆側の端部)の保持を行う。かかる糸端保持部700は、入力部315の右側面において上方に開口したスリット状の糸端挿入口を有する糸端挿入部701と、糸端挿入部701の内側において二枚が圧接するように配置された一対の調整板702,703と、調整ネジ704とを備えている。
糸端挿入部701は、X−Z平面に沿った断面形状がY軸方向に沿って一様に上方に開口した略コ字状に形成されており、かかる構造により、Y軸方向に張った縫い糸を上方から差し込むことが可能となっている。
一対の調整板702,703は、入力部315の左側面から糸端挿入部701の糸端挿入口まで貫通した収納開口部315a内に配置されている。これらの調整板702,703は、互いの上端部が上方に向かうにつれて相互間が離れる形状に形成されており、これらの上端部が丁度、糸端挿入部701の開口に位置するよう配置されている。このため、糸端挿入部701に挿入された縫い糸の糸端は、一対の調整板702,703の上端部からそれらの隙間に入り込むようになっている。
また、各調整板702,703はいずれも弾性を備える板状体からなり、相互の弾性により互いの上端部が離間するようにしなう形状であり、調整ネジ704の締結により徐々に相互間が閉じるようになっている。つまり、調整ネジ704の回転により糸端の保持力の調整が可能となっている。
なお、調整板702,703は、上端部の対向面が締結するまでもなく互いに密接可能とし、弾性を有するバネ座金を介して調節ネジ704が調整板702,703同士を押圧する構造としても良い。
また、糸端保持部700は、待機位置にある糸保持機構50から引き出される縫い糸の引き出し位置のZ軸方向の高さ(ガイドカバー58の左側面の縫い糸繰り出し部分の高さ)と糸端挿入部701の高さとがおおむね一致するように配置設定がなされている。
(糸切断部)
図22(A)は糸切断部750の斜視図、図22(B)は処理刃カバー756を省略した斜視図、図23は分解斜視図である。
糸切断部750は、図1,2に示すように、糸保持機構50と糸端保持部700との間に配置されている。ここで、糸切断部750は、水平面上の配置に限らず、高さ方向についても糸保持機構50と糸端保持部700との間となるように配置されている(糸通し操作の入力を行わない状態において)。さらに、この糸通し装置10では、糸保持機構50、糸切断部750、糸端保持部700は、いずれもほぼ同じ高さとなるように配置されている。従って、糸保持機構50、糸切断部750、糸端保持部700の間に渡る縫い糸は、ほぼ水平方向に沿った状態となるようになっている。
さらに、糸切断部750は、図6,11,22に示すように、第一の枠体101のガイド板110に設けられた支持板751と、支持板751に垂下支持された一対の対向壁部752,753を有する支持部材754と、対向壁部752,753の間に介在するように配置された縫い糸切断を行う処理刃755と、対向壁部752,753の下端部に装着された処理刃カバー756とを備えている。
対向壁部752,753は、いずれもY−Z平面に平行な平板であり、近接対向している。そして、各対向壁部752,753の下端部における相互間には処理刃755が刃先を上向きにして配置されている。つまり、処理刃755は、上方から当接する縫い糸を切断することが可能となっている。
さらに、各対向壁部752,753の前端部(正面側端部)には前方に凸となる保持部752a,753aが形成されている。かかる保持部752a,753aは下降するにつれて正面側に向かう方向に傾斜する傾斜面が形成されている。
前述したように、糸端保持部700が設けられた操作レバー310はその操作時に下降動作を行い、糸保持機構50も操作レバー310の下降に伴って下降動作を行う。一方、糸切断部750は、第一の枠体101に固定支持されているので、上下に移動することはない。このため、操作レバー310の下降操作時には、縫い糸の糸経路は、図22(B)に示すI〜IIIの順番で変化する。
一方、保持部752a,753aは前方に凸となる形状であるため、縫い糸がほぼ水平となる操作レバー310の下降前の状態Iにおいては、保持部752a,753aの傾斜面に縫い糸が滞留し、下方にある処理刃755まで移動しないように保持することを可能としている。
処理刃カバー756は、支持部材754の下端部に設けられ、糸保持機構50から糸端保持部700に縫い糸を掛け渡す際に、保持部752a,753aに縫い糸を導く傾斜面を備えた第一のガイド部756aと、糸端保持部700の下降移動により処理刃755に縫い糸を接触可能とする溝部756bに縫い糸を導く第二のガイド部756cとを備えている。
第二のガイド部756cは、溝部756bに交差する壁状構造であって、直接溝部756bに縫い糸が入り込むことを防止すると共に、溝部756bに連なる交差溝部756dを形成し、縫い糸の一端部側が下方に引っ張られると、交差溝部756dに縫い糸を落とし込むことが可能な形状に形成されている。
かかる構成により、糸切断部750は、縫い糸のセット時には、処理刃カバー756の第一のガイド部756aの作用により、保持部752a,753aに縫い糸を円滑に導くことができ、縫い糸セット作業を容易とすることが可能である。
さらに、糸切断部750は、保持部752a,753a及び処理刃カバー756の第二のガイド部756cのそれぞれの作用により、操作レバー310に対する糸通し動作の操作入力が開始されるまでは保持部752a,753aに糸を保持することができ、糸通し動作の実行前の縫い糸の余り端部の誤切断を防止することが可能である。
さらに、糸切断部750は、操作レバー310に対する糸通し動作の操作入力が開始されると、処理刃カバー756の第二のガイド部756cの作用により、保持部752a,753aから処理刃755に縫い糸を円滑に導くことができ、操作レバー310の下降操作に伴う縫い糸の余り端部の切断をより確実に行うことが可能である。
(糸通し装置の動作説明)
上記構成からなる糸通し装置10の糸通し動作について説明する。
まず、糸通しを行う縫い針1〜5を移動操作レバー441の回転操作により選択する。
このとき、移動操作レバー441の角度位置に応じて第一のカム機構420が第一の支持機構100の第一枠体101をX軸方向に移動し、第二のカム機構430が第二の支持機構200の第二枠体201をY軸方向に移動する。そして、これらの協働によりX−Y平面内の所定位置に糸通し軸11、糸保持機構50及び糸切断部750が移動位置決めされる。
この時点で、高さ調整機構330はいずれのガイドピン331,332がいずれの当接部351〜355のいずれに当接するかが決定される。
そして、縫い針の選択が完了すると、糸保持機構50への縫い糸のセットが行われる。即ち、縫い糸の供給源から引き出された縫い糸を針棒下端部に設けられた糸案内に挿通して、さらに、第一及び第二の糸掛け部52,53、ガイドカバー58の舌状部58d,58e,58fの順番に掛け、かかる状態で縫い糸の端部を引っ張ると各導入部58a,58b,58cから縫い糸がガイドカバー58の内部に引き込まれて第二の糸掛け部53と挟持板57との間に挟持される。さらに、縫い糸を糸切断部750の各保持部752a、753aの上を渡しつつ、糸端を糸端保持部700の糸端挿入部701に差し込み、調整板702,703に挟持させる。この時、各部を渡る縫い糸が各位置において弛みを生じないように当該縫い糸の掛け渡しが行われる。(図24)
そして、操作レバー310を下方に操作すると、糸通し軸11,糸保持機構50及び糸端保持部700が下降移動を開始する。一方、切断機構750は上下方向への移動が行われないので、当該切断機構750の両側において縫い糸が下方に引っ張られた状態となる。(図25)かかる糸経路の変化及び下方への張力の発生により、処理刃カバー756の第二のガイド部756cは、端部側の縫い糸(供給源側とは逆側)を徐々に交差溝部756dに導き、最終的には交差溝部756dに落とし込む。これにより、交差溝部756dに連なる溝部756bにも縫い糸が侵入し、内側底部に位置する処理刃755に縫い糸が上方から当接して、当該処理刃755よりも端部側の余り端部が切除される。(図26)
また、操作レバー310の下方操作により、糸通し軸11から延びた所定のガイドピン331,332が所定の当接部351〜355に当接すると、下降動作が阻止されて、当該当接部の設定高さに応じて糸通し軸11及び糸通しフック20が選択された縫い針の高さに調整される。また、移動体61により連動する糸保持機構50も同様に選択された縫い針の高さに調整される。
この時点からさらに操作レバー310が下方に押し込まれると、糸通し軸11に対して糸通しスライドガイド320のみが下降移動し、糸通しカム機構340の作用により糸通し軸11が時計回りに回転する。また、回動動作付与機構63が糸保持機構50を背面側に回動させる。上記糸通し軸11の回転により、糸通しフック20が前進移動して所定の縫い針の目穴に貫通し、糸保持機構50は縫い針側に傾倒しX軸方向に張設された縫い糸を糸通しフック20の正面に接近させ、糸通しフック20の返しが縫い糸を捕捉する。またこの時、糸通しスライドガイド320の下端部に位置する糸解放板72が当接部71に上方から当接して上方に撓み、当該当接部71の下側に移動する。
そして、操作レバー310を下方押圧状態から解放すると、糸通しスライドガイド320のみが糸通し軸11に対して相対的に上方に移動を開始し、糸通しフック20が後退移動を開始して捕捉した縫い糸を縫い針の目穴に引き込むことで糸通しが実行される。また、糸通しフック20の後退開始と同時に、糸保持機構50が背面側への傾倒状態から正面側に復帰する。従って、縫い糸の縫い針の目穴への引き込みが円滑に行われる。
さらに、他の縫い針に糸通しを行う場合には、再度、移動操作レバー441を回転操作して、操作レバー310を下方に操作する。
(糸通し装置の効果)
上記糸通し装置10は、糸切断部750が、操作レバー310への入力操作と連動して切断動作を行い或いは操作レバー310への入力操作に伴って縫い糸に生じる糸経路の変化又は張力を利用して切断を行っている。
従って、操作レバー310への入力操作が行われるまで縫い糸の余り端部の切断が実行されないため、縫い糸を糸保持機構50及び糸端保持部700にセットした後に移動操作レバー441による糸通し位置切換え操作をしたことにより糸経路が延長された場合でも、切除前の余り端部が存在することから、新たに縫い糸を供給源側から引き出す必要がなく、再セット作業を容易に行うことが可能となる。
さらに、再セットが容易に行えるので、縫い糸の長さが足りないままの状態であることによる糸保持機構50からの縫い糸の外れを防止し、糸通し作業をより確実に行うことが可能となる。また、同様の理由により、縫い糸に対する過度の張力の発生を回避し、糸保持機構50の破損を防止することが可能となる。
さらに、位置決め機構400が、第一枠体101を介して糸通しフック11及び糸保持機構50と共に糸切断部750も移動させるので、糸通しを行う縫い針の位置切換え操作を行っても、切断後の縫い針から糸端までの余り糸の糸長を常に一定にすることが可能となる。
また、糸切断部750の保持部752a、753aにより糸通し動作の入力操作が行われるまで縫い糸が切断されないように保持されることから、糸通し動作の入力操作前の余り端部の誤切断を抑止することが可能となる。
(その他)
上記糸通し装置10を適用するミシンは、二本以上の複数針ミシンであれば良く、より少ない本数又はより多い本数の縫い針を有するミシンに適用しても良い。
また、切断機構750は、糸通しの操作入力による糸端保持部700の下降移動により縫い糸に生じる糸経路の変化を利用して、縫い糸が処理刃755に接触しない状態から接触する状態に切り換えることで切断を実行させているが、これに限られるものではない。例えば、糸通しの操作入力による糸端保持部700の下降移動を開始する前の時点で、縫い糸が処理刃と接触はしているが、切断されるほどの接触圧が発生するほどの張力が発生しないように縫い糸が糸保持機構50と糸端保持部700との間に掛け渡され、糸通しの操作入力による糸端保持部700の下降移動を開始すると、縫い糸の張力が増加し、処理刃と縫い糸との接触圧が上昇することで切断が実行される構成としても良い。
また、操作レバー310への下降操作において、糸保持機構50と糸端保持部700とが下降し、糸切断部750は下降動作を行わない構造を採っているが、これに限らず、操作レバー310への下降操作に伴って糸切断部750が糸保持機構50及び糸端保持部700と逆方向に積極的に移動を行う構成を新たに設けても良い。例えば、第一枠体101は糸切断部750を昇降移動可能に支持すると共に、操作レバー310と糸切断機構750との間に互いに逆方向に移動動作を付与する機構(例えば、天秤式のアーム、或いは、双方にラックを設け、それらを対向配置させると共に同時に一つのピニオンに噛合させる構造等)を設けても良い。
また、糸切断部は、他の機構の動作を利用して受動的に縫い糸の余り端部の切除を行っているが、専用の切断を行う動力を設け、能動的に切断を行っても良い。例えば、糸切断部は、切断動作を行うカッターとその駆動源と操作レバー310の糸通し動作の操作入力を検知する検知手段とを備え、操作レバー310の操作入力を検知すると、駆動源を駆動させてカッターによる切断を行わせる制御手段とを備える構成としても良い。
本発明の実施形態たる糸通し装置の斜視図である。 糸通し装置の正面図である。 糸通し装置の一部の構成を除いた正面図である。 糸通し装置の一部の構成を除いた平面図である。 糸通し軸の下端部の拡大斜視図である。 メインフレーム、第一の支持機構及び第二の支持機構の相互間の支持構造を簡略的に示した斜視図である。 糸通し装置の図1とは異なる方向から見た斜視図である。 一部省略した糸通し装置の背面図である。 移動操作部の段階切り替え部を右側から見た側面図である。 図10(A)は第一のカムを展開して段階切り替え位置を示し、図10(B)は第二のカムを展開して段階切り替え位置を示した説明図である。 糸通し動作入力機構の斜視図である。 糸通しカム機構の要部説明図である。 下側糸通しガイドの斜視図である。 位置決め機構により各縫い針に対応する配置に糸通し軸が位置決めされた場合における各ガイドピンと各当接部との関係を示す説明図であって図14(A)〜(E)はそれぞれ縫い針一つ一つの配置に対応している。 下側糸通しガイドと上側糸通しガイドの拡大斜視図である。 糸保持機構の斜視図である。 カバー体を外した状態の糸保持機構の斜視図である。 糸保持機構の分解斜視図である。 糸保持機構及び糸保持機構支持機構の正面図である。 背面側斜め方向から見た糸保持機構及び糸保持機構支持機構の斜視図である。 糸端保持部のX−Z平面に沿った断面図である。 (A)は糸切断部の斜視図、図22(B)は処理刃カバーを省略した斜視図である。 糸切断部の分解斜視図である。 糸通し装置の糸通し動作説明であって、糸保持機構へ縫い糸がセットされた状態の図である。 糸通し装置の糸通し動作説明であって、操作レバーが操作され、縫い糸が切断される前の状態を示す図である。 糸通し装置の糸通し動作説明であって、操作レバーが操作され、縫い糸が切断された状態を示す図である。
符号の説明
1〜5 縫い針
6 針棒
10 糸通し装置
11 糸通し軸
20 糸通しフック
50 糸保持機構(糸保持部材)
60 糸保持機構支持機構
300 糸通し動作入力機構
310 操作レバー(操作入力部材)
400 位置決め機構
700 糸端保持部
750 糸切断部
755 処理刃
752a,753a 保持部

Claims (4)

  1. 複数の縫い針に糸通しを行うミシンの糸通し装置において、
    前進により縫い針の目穴を貫通して縫い糸を捕捉し、後退により捕捉した縫い糸を前記目穴に挿通させる糸通しフックと、
    前記縫い針を挟んで前記糸通しフックの反対側となる配置で縫い糸を保持する糸保持部材と、
    前記糸通しフック及び糸保持部材を少なくとも水平面内での前記各縫い針の配置に対応した位置に移動位置決めする位置決め機構と、
    操作入力部材への入力操作により、前記位置決め機構により位置決めされた前記糸通しフックに糸通し動作を付与する糸通し動作入力機構と、
    縫い糸の余り端部側を保持する糸端保持部と、
    前記縫い糸の余り端部を切除する糸切断部とを備え、
    前記糸切断部は、前記操作入力部材への入力操作と連動して切断を行うことを特徴とするミシンの糸通し装置。
  2. 前記位置決め機構が、前記糸切断部を前記糸保持部材と共に移動させることを特徴とする請求項1記載のミシンの糸通し装置。
  3. 前記糸端保持部を前記操作入力部材に設けると共に当該糸端保持部と前記糸保持部材との間に前記糸切断部を配置し、
    前記操作入力部材による糸通し動作の入力操作に伴う前記糸端保持部の移動により生じる糸経路の変化又は縫い糸の張力変化を利用して前記糸切断部が縫い糸の余り端部を切断することを特徴とする請求項1又は2記載のミシンの糸通し装置。
  4. 前記糸切断部は、糸の切断を行う処理刃と、前記操作入力部材による糸通し動作の入力操作に伴う前記糸端保持部の移動開始前の縫い糸を保持する保持部とを備えることを特徴とする請求項1,2又は3に記載のミシンの糸通し装置。
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