JP2015160115A - ミシン - Google Patents

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Koji Kuwabara
幸治 桑原
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Abstract

【課題】上糸への張力付与、解除を従来に比べ安定して切り替え可能なミシンを提供すること。
【解決手段】ミシン1は押え棒24、上下動機構20、天秤51、糸調子器110、130、切替機構、第一駆動機構、第二駆動機構を備える。切替機構は第一方向及び第二方向に揺動可能な第一腕部、第一腕部を第一方向に付勢する第一付勢部材、第一腕部の揺動位置に応じて糸調子器110、130による上糸への張力付与と解除を切り替え可能な切替部材を有する。第一駆動機構は切替機構と接続し、糸切り時に第一腕部を通常位置から第二方向に所定量揺動する。第二駆動機構は第一駆動機構が駆動しない状態で上下動機構20が押え棒24を上げる時、押え棒24の上下位置に応じた量第一腕部を通常位置から第二方向に揺動し、上下動機構20が押え棒24を下げる時、第一腕部を押え棒24の上下位置に応じた量第一方向に揺動する。
【選択図】図2

Description

本発明は、布を押える押え足を上下動できるミシンに関する。
従来、上糸への張力付与、解除の切替動作(以下、張力切替動作という。)と押え足の上下動の連動、非連動を切り替えて縫製するミシンがある。例えば特許文献1記載のミシンは切り替え腕、ボックス螺子、溝を有する引き上げリンク、糸緩め板等を備える。布厚の薄い布を縫製する時、又は布送り方向を変えて縫目を形成する製造工程が無い時、作業者は切り替え腕を回動してボックス螺子を溝下方に固定する。押え上下動手段は押え足を取り付けた押え棒を上げる。ボックス螺子は糸緩め板に係合し、糸調子器は上糸への張力付与を解除する。即ち押え足の上方への移動と上糸への張力解除は連動する。
特開平11−290568号公報
上記公報が開示するミシンでは、切り替え腕に加わる負荷によっては、上糸への張力解除後、張力付与に切り替える時、切り替え腕が回動しない。故に、張力切替動作が安定しないという問題点がある。
本発明の目的は、上糸への張力付与、解除を従来に比べ安定して切り替え可能なミシンを提供することである。
本発明の一態様に係るミシンによれば、布を押える押え足を着脱可能な押え棒と、前記押え棒を上下動可能な上下動機構と、主軸の回転で上下動する天秤と、上糸の供給経路で前記天秤の上流側に位置し、上糸に張力を付与可能な糸調子器と、前記糸調子器による前記上糸への張力付与と解除を切り替え可能な切替機構とを備えるミシンにおいて、前記切替機構は、第一方向及び前記第一方向と反対の第二方向に揺動可能な第一腕部と、前記第一腕部を前記第一方向に付勢し、通常位置に揺動する第一付勢部材と、前記第一腕部と当接し、前記第一腕部が前記通常位置の時の前記糸調子器による前記上糸への張力付与又は解除の状態を、前記第一腕部が前記通常位置から前記第二方向に揺動した揺動位置に応じて切り替える切替部材とを有し、前記第一腕部と接続し、糸切り時に前記第一腕部を前記第一付勢部材の付勢力に抗して前記通常位置から前記第二方向に所定量揺動する第一駆動機構と、前記上下動機構と前記第一腕部に接続し、前記第一駆動機構が駆動しない状態で前記上下動機構が前記押え棒を上げる時、前記第一腕部を前記通常位置から前記押え棒の上下位置に応じた量前記第二方向に揺動し、前記上下動機構が前記押え棒を下げる時、前記第一腕部を前記押え棒の上下位置に応じた量前記第一方向に揺動する第二駆動機構とを備える。
本態様のミシンの第一付勢部材は第一腕部を第一方向に付勢する。第一腕部は第一、第二駆動機構から力を受けていない時通常位置にある。上下動機構が押え棒を下げる時、第一腕部は第一付勢部材と第二駆動機構から力を受けて第一方向に揺動する。故に、第一腕部は第一付勢部材からのみ力を受ける時よりも安定して通常位置に戻る。即ちミシンは従来に比べ安定して張力切替動作を実行できる。
本態様のミシンの前記第二駆動機構は、前記上下動機構に接続し、前記第一方向と前記第二方向に揺動可能な第二腕部と、前記第二腕部を前記第一方向に付勢する第二付勢部材と、前記第二付勢部材の付勢力に抗して前記第二腕部が前記第二方向に揺動した時、前記第一腕部と当接して前記第一腕部を前記第二方向に揺動する第一当接部と、前記第一当接部と前記第一腕部との間隔を調整可能な調整部とを備えてもよい。このミシンの調整部は第一当接部が第一腕部と当接するタイミングを調整できる。即ちミシンは押え足の上下方向の位置に応じて糸調子器による上糸の張力付与と解除を切り替えることができる。
本態様のミシンの前記第二駆動機構による前記通常位置から前記第二方向への最大揺動量は前記所定量よりも大きくてもよく、前記第二駆動機構は、前記所定量よりも大きく前記第一腕部を揺動した後、前記上下動機構が前記押え棒を下げる時、前記第一腕部と当接し、前記第一腕部を前記押え棒の上下位置に応じた量前記第一方向に揺動するレバー部を備えてもよい。このミシンでは第二駆動機構が第一腕部を所定量以上揺動した時、第一腕部が切替部材から受ける力により第一腕部が通常位置に戻らないことがある。ミシンはレバー部を備えるので、第一腕部は所定量以上揺動した時にも安定して通常位置に戻る。即ちミシンは従来に比べ安定して張力切替動作を実行できる。
本態様のミシンの前記糸調子器は、前記上糸へ張力を付与可能な第一糸調子器と、前記上糸へ張力を付与可能であり、前記第一糸調子器よりも前記供給経路上流側にある第二糸調子器とを含み、前記切替部材は、前記第一腕部が前記通常位置にある時、前記第一糸調子器により前記上糸へ張力を付与し、且つ前記第二糸調子器による前記上糸への張力付与を解除し、前記第一腕部が前記通常位置から前記所定量以上前記第二方向に揺動した時、前記第一糸調子器による前記上糸への張力付与を解除し、且つ前記第二糸調子器により前記上糸へ張力を付与してもよい。このミシンは縫製時、第一糸調子器は上糸に張力を付与し、第二糸調子器は上糸に付与する張力を解除する。上糸は第一糸調子器から適切な張力を得て下糸と縫い目を形成できる。糸切り時又は押え足を上げる時、切替部材は第一、第二糸調子器の各々による上糸への張力付与と解除の切り替えを行う。第一糸調子器は上糸への張力付与を解除し、第二糸調子器は上糸に張力を付与する。糸切り時、ミシンは第二糸調子器から適切な張力を得て上糸を切断できる。押え足を上げる時、ミシンは第二糸調子器から適切な張力を維持できる。故にミシンは第一糸調子器と第二糸調子器を使い分けて、上糸に加わる張力を変更できる。
本態様のミシンの前記第一糸調子器は、糸調子軸と、前記糸調子軸の一端側を内側に挿入する糸調子台と、前記糸調子軸の他端側に支持し、前記上糸を挟んで張力を加える一対の糸調子皿と、前記一対の糸調子皿よりも前記糸調子軸の他端側に挿入し、前記一対の糸調子皿を前記糸調子台側へ向けて付勢する第三付勢部材と、前記糸調子軸の内部に挿入し、前記糸調子軸の軸心に沿って前記糸調子軸の他端の方向に移動した時、前記第三付勢部材による前記一対の糸調子皿への付勢力を弱めて前記一対の糸調子皿が挟む前記上糸の張力を解放する駆動棒と、一端側を前記糸調子軸に固定し、且つ他端側が前記糸調子台に設けた溝を通過し、前記天秤による前記上糸の移動に伴い揺動する糸取りバネを有し、前記切替部材は、前記糸調子台の内部を前記糸調子軸と平行に挿通し、前記第一糸調子器側に移動した時、一端側が前記糸取りバネの揺動経路を塞ぐストッパピンと、前記ストッパピンの他端側を前記第一糸調子器から離間する側に付勢する第四付勢部材と、前記ストッパピンと平行に延び、一端が前記第一腕部に当接し、前記第一糸調子器の方向に移動した時、他端が前記ストッパピンの他端部と前記駆動棒に当接する切替ピンとを備え、前記第一腕部が前記通常位置から前記第二方向に前記所定量以上揺動した時、前記切替ピンは前記第一糸調子器の方向への移動し、前記切替ピンは前記駆動棒と当接して前記駆動棒を前記第一糸調子器側に移動し、前記駆動棒は前記第三付勢部材による前記一対の糸調子皿への付勢力を弱めて前記一対の糸調子皿が挟む前記上糸の張力を解放し、且つ前記ストッパピンは前記第四付勢部材の付勢力に抗して前記第一糸調子器側に移動して前記糸取りバネの揺動経路を塞いでもよい。このミシンでは第一腕部を通常位置から第一方向に所定量よりも大きく揺動した時、ストッパピンは糸取りバネの揺動経路を塞ぐ。糸調子台のミシンに対する取り付け位置が左右方向に多少ずれた時も、ストッパピンは糸取りバネの揺動経路を塞ぐことができる。
本態様のミシンの前記第二駆動機構は、前記第一腕部に対し前記糸調子器と反対側に位置し、前記第一腕部の前記第二駆動機構側の面に当接する第二当接部を備えてもよい。このミシンの第一腕部は当接部に当接する。故にミシンは第二当接部によって第一腕部が第一方向又は第二方向への揺動する時等に捻れるのを防止できる。
ミシン1の斜視図である。 ミシン1の透視斜視図である。 駆動機構185、切替機構150、糸調子機構100の斜視図である。 切替機構150、糸調子機構100の左側面図である。 図3のII−II線における矢視方向断面図である。 押え棒上下動機構20、駆動機構60の斜視図である。 駆動機構60の第二腕部61を拡大した背面図である。 切替機構150が通常位置にある時の図1のI−I線における矢視方向断面図である。 押え上げレバー96が通常位置にある時の連動機構95の斜視図である。 押え上げレバー96が最大揺動量揺動した位置にある時の連動機構95の斜視図である。 切替機構150が通常位置にある時の第一腕部160の正面図である。 糸切り時、切替機構150が通常位置から第一所定量第二方向に揺動した時の第一腕部160の正面図である。 切替機構150が通常位置から第一所定量第二方向に揺動した時の図1のI−I線における矢視方向断面図である。 押え足25を最下位置から上げ、切替機構150が通常位置から第一所定量第二方向に揺動した時の第一腕部160の正面図である。 押え足25を最上位置に移動し、切替機構150が通常位置から第一所定量以上第二方向に揺動した時の第一腕部160の正面図である。 押え足25を最上位置から下げ、第二腕部61が通常位置に戻る途中で、レバー部76が第一腕部160の本体161に当接した時の第一腕部160の正面図である。
図面を参照し本発明の一実施形態を説明する。図1、図2を参照し、ミシン1の概略的構造を説明する。以下の説明では図中に矢印で示す上下、左右、前後を使用する。
図1、図2に示す如く、ミシン1はベッド部2、脚柱部3、アーム部4、先端部5を備える。ベッド部2は左右方向に延び、左側上部に針板9を設ける。針板9は針穴(図示略)を有する。ベッド部2は内部に下軸21、釜機構80、糸切り機構90、ミシンモータ(図示略)等を備える。下軸21は左右方向に延びる。下軸21右端はプーリ23と接続する。下軸21左端は釜機構80と接続する。釜機構80は回転釜(図示略)を備える。回転釜は針板9の下方に位置する。回転釜はボビンケース(図示略)を装着できる。ボビンケースは下糸を巻いたボビン(図示略)を収容できる。糸切り機構90は釜機構80の上方且つ針板9の針穴近くに位置する。糸切り機構90は移動刃(図示略)と固定刃(図示略)を備える。移動刃は回転釜の外周に沿って揺動できる。糸切り機構90は下移動刃と上移動刃を備え、回転釜の外周に沿って相互に接近又は離反するように揺動できる機構でもよい。糸切り機構90は糸切カム(図示略)等を介してソレノイド190(図3参照)に接続する。ソレノイド190は糸切り信号の入力を契機に駆動する。ソレノイド190が駆動すると、糸切カムが作動する。糸切カムは移動刃に下軸21の駆動力を伝達する。移動刃と固定刃は間に上糸8と下糸を挟んで切断する。ミシンモータはプーリ23の右方に位置する。ミシンモータの出力軸(図示略)はプーリ23に接続する。ミシンモータは下軸21を左側面視時計回りに回転する。
脚柱部3はベッド部2右端部から上方に延びる。脚柱部3は内部にタイミングベルト31等を備える。アーム部4は脚柱部3上端部から左方に延び、左端部に先端部5を備える。アーム部4はベッド部2の上面に対向する。アーム部4は内部に主軸41等を備える。主軸41右端はプーリ42を備える。プーリ42はプーリ23の位置に対応する。プーリ42とプーリ23はタイミングベルト31を介して連結する。プーリ42は右側にプーリ軸33と連結する。プーリ軸33右端は手動プーリ32を固定する。手動プーリ32は作業者の操作によって主軸41を回転できる。
先端部5は内部に針棒支持機構10、針棒上下動機構45、天秤駆動機構50、切替機構150(図3参照)、押え棒上下動機構20等を備える。先端部5は前面に糸調子機構100を備える。
図2に示す如く、針棒支持機構10は針棒11、針棒支持筒12、13、針棒抱き14等を備える。針棒11は上下方向に延びる。針棒支持筒12、13は各々ミシン1の機枠(図示略)に固定する。針棒支持筒12、13は針棒11の上部と下部を各々支持し、針棒11の上下方向への移動を案内する。針棒抱き14は針棒支持筒12と針棒支持筒13の間の位置で針棒11を保持する。針棒抱き14は天秤駆動機構50を介して針棒上下動機構45に接続する。
針棒上下動機構45は主軸41左端と接続する。ミシンモータは主軸41を回転できる。針棒上下動機構45は主軸41の回転に伴う駆動力を針棒抱き14に伝達する。針棒抱き14は天秤51と連動して駆動し、針棒11を上下に移動する。即ち主軸41は針棒上下動機構45と天秤駆動機構50にミシンモータの駆動に伴う回転力を伝達し、針棒上下動機構45と天秤駆動機構50を駆動する。天秤駆動機構50は天秤51を備える。天秤51は主軸41の回転で上下動して、上糸8(図1参照)を引上げる。針棒11の下端側は先端部5の下側から露出し、下方へ延びる。針棒11は下端に縫針7を装着できる。針棒11が最下位置に下降した時、縫針7の下端は針板9(図1参照)に設けた針穴(図示略)を通過して回転釜(図示略)に到達する。回転釜は針棒11と協働し、縫針7が保持する上糸8にボビンケースから引出した下糸を絡める。天秤51は下糸に絡んだ上糸8を針板9上に引き上げる。ミシン1は布に縫目を形成する。
図1〜図5を参照し、糸調子機構100の構成を説明する。図1〜図3に示す如く、糸調子機構100は主糸調子器110、副糸調子器130を備える。主糸調子器110と副糸調子器130はミシン1の機枠(図示略)に固定し、先端部5の前面に露出する。主糸調子器110、副糸調子器130は各々上糸8に張力を付与できる。主糸調子器110は先端部5前面の下部に位置する。副糸調子器130は先端部5前面の上部に位置する。主糸調子器110と副糸調子器130は上糸8の供給経路で天秤51の上流側に位置する。
上糸8の供給経路は上糸8を糸駒6から縫針7に供給する経路である。副糸調子器130は主糸調子器110よりも供給経路の上流側に位置する。図1に示す如く、供給経路は供給経路の上流側から順に糸案内43、副糸調子器130、主糸調子器110、糸掛け55、糸案内56、天秤51、糸案内57、58を含む。糸案内43はアーム部4上面で上方へ突出し、糸駒6から引き出す上糸8を副糸調子器130に案内する。糸掛け55は主糸調子器110の左方に位置する。糸案内56は主糸調子器110の上方に位置する。糸掛け55と糸案内56は副糸調子器130と主糸調子器110を通過した上糸8を天秤51へ案内する。糸案内57、58は針棒11の下端部に設ける。糸案内56〜58は天秤51を通過した上糸8を縫針7に案内する。
図4、図5に示す如く、主糸調子器110は糸調子台111、糸調子軸112、第一糸調子皿113、第二糸調子皿114、糸取りバネ115、皿押え116、糸調子バネ117、固定部材118、駆動棒119を主に備える。糸調子台111は前後方向に貫通する軸穴201(図5参照)、208(図8参照)を有する円筒形状の台座である。軸穴201は糸調子台111の軸心上にある。軸穴208は糸調子台111の前後方向の中心軸線と平行に延びる。糸調子台111は螺子(図示略)でミシン1の機枠に固定する。糸調子台111は胴部前部に溝209を有する。溝209は胴部下部外周に沿って延び、軸穴201に達する。
糸調子軸112は前後方向に延びる略円筒形状の軸体である。糸調子軸112は後端部を糸調子台111の軸穴201に挿入して螺子(図示略)で固定する。糸調子軸112は軸心に前後方向に延びる軸穴202を備える。糸調子軸112は前端側外周面に雄螺子(図示略)を形成し、側面にスリット(図示略)を有する。スリットは糸調子軸112の軸心に沿って前端から中央付近に形成する。スリットは糸調子軸112の軸穴202と連通する。スリットは皿押え116の架橋部(図示略)を挿入可能である。
第一糸調子皿113は前後方向に貫通する軸穴206を有する皿状の金属板である。第一糸調子皿113は軸穴206に糸調子軸112を通す。第二糸調子皿114は前後方向に貫通する軸穴207を有する皿状の金属板である。第二糸調子皿114は軸穴207に糸調子軸112を通す。第二糸調子皿114は第一糸調子皿113よりも前側に位置する。第一糸調子皿113と第二糸調子皿114は互いの板面を向き合わせて配置し、各々の外周が互いに離れる向きに反る。第一糸調子皿113と第二糸調子皿114は糸調子軸112に対して回転できる。皿押え116は円板状の部材であり、前後方向に延びる軸穴(図示略)を有する。皿押え116の軸穴は一対の半円形状であり、各々の軸穴間に帯状の架橋部(図示略)を有する。皿押え116は軸穴に糸調子軸112を通す。架橋部は糸調子軸112のスリット内に位置する。
糸取りバネ115は一端側を糸調子軸112に固定し、且つ他端側が糸調子台111に設けた溝209を通過し、天秤51による上糸8の移動に伴い揺動する。糸取りバネ115はコイル部203(図5参照)、糸案内部205(図4参照)を有する。コイル部203はコイルバネである。コイル部203は糸調子軸112胴部204外周に挿入し、糸調子台111内に収容する。糸案内部205は糸取りバネ115前端側にある。糸案内部205は糸調子台111の溝209から糸調子台111外側に突出する。糸取りバネ115は正面視時計回り方向に付勢力を有し、上下方向に揺動できる。
糸調子バネ117はコイルバネである。糸調子バネ117の外径は前端側から後端側へ向けて大きくなる。糸調子バネ117は皿押え116の前側に配置し、糸調子軸112に挿入する。糸調子バネ117は皿押え116を後方に押し、第二糸調子皿114と第一糸調子皿113を糸調子台111側へ向けて付勢する。
固定部材118はナット状の部材である。固定部材118は糸調子軸112の雄螺子に螺合する。固定部材118は糸調子軸112に対して前後方向の任意の位置にねじ込んで、糸調子バネ117の前端の位置を決める。糸調子バネ117が第二糸調子皿114と第一糸調子皿113を糸調子台111側へ向けて押圧する力は糸調子軸112に対する固定部材118の位置に応じて変化する。
駆動棒119は糸調子軸112よりも細径の棒材である。駆動棒119は糸調子台111の後端から糸調子軸112の軸穴202内に挿入する。駆動棒119の前端は糸調子軸112の軸穴202内で皿押え116の架橋部に当接する。駆動棒119の後端は糸調子台111の後端から後方へ向けて突出する。主糸調子器110は上糸8を糸調子バネ117の付勢力で第一糸調子皿113と第二糸調子皿114の間に挟み、上糸8に張力を付与できる。駆動棒119は糸調子軸112の軸心に沿って前方に移動した時、糸調子バネ117による第一糸調子皿113と第二糸調子皿114への付勢力を弱めて、第一糸調子皿113と第二糸調子皿114が挟む上糸8の張力を解放できる。
副糸調子器130は糸調子台131、糸調子軸132、第一糸調子皿133、第二糸調子皿134、糸案内135、皿押え136、糸調子バネ137、固定部材138、駆動棒139、補助バネ149を備える。副糸調子器130は第一糸調子皿133と第二糸調子皿134の間に上糸8を糸調子バネ137の付勢力で挟み、上糸8に張力を付与できる。副糸調子器130の構成は主糸調子器110の構成と略同様なので、異なる構成のみ説明する。
糸案内135は上下方向に延びる板部材である。糸案内135は第一糸調子皿133の後方に位置する。糸案内135は上下方向両端部が各々前方に屈曲する。糸案内135は上端側の屈曲部145に糸案内穴146を有し、下端側の屈曲部147に糸案内穴148(図3参照)を有する。糸案内43(図1参照)を通した上糸8は糸案内穴146に通す。糸案内穴146に通した上糸8は第一糸調子皿133と第二糸調子皿134の間に通し、糸案内穴148に通して主糸調子器110に案内する。
補助バネ149は第一糸調子皿133と糸案内135の間に設ける。補助バネ149はコイルバネである。補助バネ149は第一糸調子皿133を第二糸調子皿134側に付勢する。副糸調子器130による上糸8への張力付与を解除した時、第一糸調子皿133と第二糸調子皿134の間を通る上糸8には補助バネ149による微弱な力が加わる。故に、補助バネ149は上糸8が副糸調子器130から外れることを抑制する。
図3〜図5を参照し切替機構150を説明する。切替機構150は主糸調子器110、副糸調子器130による上糸8(図1参照)への張力付与と解除を切り替え可能な機構である。切替機構150は第一腕部160、付勢部材170(図3参照)、切替部材180を主に備える。
第一腕部160は正面視上下方向に延びる細長い板状体である。第一腕部160は本体161、第一カム部162、第二カム部163、掛部164、突出部171、係止部175を備える。本体161は上下方向に延びる平面板状の部位である。本体161の上下方向略中央部には前後方向に貫通する支持穴165(図5参照)がある。ミシン1の機枠に固定した支持軸151は支持穴165に嵌る。第一腕部160は支持軸151を支点に第一方向及び第一方向と反対の第二方向に揺動できる。本実施形態の第一方向は正面視反時計回りであり、第二方向は正面視時計回りである。
第一カム部162は本体161の下端部と連結し、右方に延びる。第一カム部162は前後方向に屈曲する。第一カム部162は前面に平面172、斜面166、平面167を備える。平面172は本体161下部前面と連続する。斜面166は平面172右端と連結する。斜面166は平面172に対して傾斜している。斜面166は右方且つ前方へ延びる。平面167は斜面166右端から右方に延びる。平面167は平面172と略平行である。
第二カム部163は本体161の上端部と連結し、右方に延びる。第二カム部163は前後方向に屈曲する。第二カム部163は前面に平面173、斜面168、平面169を備える。平面173は本体161上部前面と連続する。斜面168は平面173右端と連結する。斜面168は平面173に対して傾斜している。斜面168は右方且つ前方へ延びる。平面169は斜面168右端から右方に延びる。平面169は平面173と略平行である。掛部164は第二カム部163の右端に連結する。掛部164は板状体を後方へ折り返して設ける。図4に示す如く、掛部164は左側面視鉤状であり、後述するワイヤ195左端の留部198を掛け留める。
突出部171は本体161の上下方向略中央部から右方に延びる板状部位である。突出部171の右端は正面視略半円状である。係止部175は本体161の上下方向略中央のやや下側から前方に突出する板状部位である。係止部175は付勢部材170の一端を係止する。
付勢部材170(図3参照)は捻りバネである。付勢部材170は第一腕部160の前方で支持軸151に挿通する。付勢部材170の一端は係止部175に係止する。付勢部材170の他端は押え上げレバー96の軸97(図9参照)に係止する。付勢部材170は第一腕部160を第一方向に付勢し、通常位置に揺動する。
切替部材180は第一腕部160と当接し、第一腕部160が付勢部材170の付勢により位置する通常位置、第一腕部160が通常位置から第二方向に揺動した揺動位置に応じて糸調子機構100による上糸8への張力付与と解除を切り替え可能である。切替部材180は第一腕部160が通常位置の時の主糸調子器110、副糸調子器130による上糸8への張力付与又は解除の状態を、第一腕部160が通常位置から第二方向に揺動した揺動位置に応じて切り替える。切替部材180は第一腕部160が通常位置にある時、主糸調子器110により上糸8へ張力を付与し、且つ副糸調子器130による上糸8への張力付与を解除する。切替部材180は第一腕部160が通常位置から第一所定量以上第二方向に揺動した時、主糸調子器110による上糸8への張力付与を解除し、且つ副糸調子器130により上糸8へ張力を付与する。切替部材180は第一切替部181と第二切替部182を備える。第一切替部181は主糸調子器110による上糸8への張力付与と解除を切り替え可能である。第二切替部182は副糸調子器130による上糸8への張力付与と解除を切り替え可能である。
第一切替部181は切替ピン120、支持板121、ストッパピン122、付勢部材123を備える。切替ピン120は前後方向に延びる丸棒状の部材である。切替ピン120はストッパピン122と平行に延び、後端が第一腕部160に当接する。切替ピン120の後端部124は半球状である。後端部124は第一腕部160の第一カム部162前面に当接する。ミシン1の機枠(図示略)に設けた保持部材(図示略)は切替ピン120を前後方向へ移動可能に保持する。第一腕部160が通常位置から第二方向に第一所定量以上揺動した時、第一腕部160の第一カム部162は切替ピン120を押して切替ピン120を主糸調子器110の方向に移動する。
支持板121は正面視円形状の板部材である。切替ピン120の前端部125は支持板121後面に挿入して固定する。切替ピン120が主糸調子器110の方向(前方)に移動した時、切替ピン120の前端部125は支持板121を介してストッパピン122の後端部(他端部)と駆動棒119に当接する。
ストッパピン122は前後方向に延び、糸調子台111の内部を糸調子軸112と平行に挿通する。ストッパピン122は主糸調子器110側に移動した時、前端側(一端側)が糸取りバネ115の揺動経路を塞ぐ。ストッパピン122後端は支持板121前面に固定する。ストッパピン122は糸調子台111の軸穴208に挿通する。ストッパピン122後端は糸調子台111後端から露出する。付勢部材123はストッパピン122の後端部と糸調子台111との間で、ストッパピン122に挿入する。付勢部材123はストッパピン122の後端を主糸調子器110から離間する側(後方)に付勢する。
第二切替部182は切替ピン140を有する。切替ピン140は前後方向に延びる丸棒状の部材である。ミシン1の機枠に設けた保持部材は切替ピン140を前後方向へ移動可能に保持する。切替ピン140前面141は平面状である。前面141は副糸調子器130の駆動棒139後端に当接する。切替ピン140の後端部142は半球状である。後端部142は第一腕部160の第二カム部163に当接する。
糸切り時、後述の駆動機構185が第一腕部160の揺動位置を通常位置から第一所定量第二方向に揺動した位置に切り替える。押え足25上昇時、後述の駆動機構60が第一腕部160の揺動位置を通常位置から押え足25の上下位置に応じた量第二方向に揺動した位置に切り替える。切替機構150の動作の詳細は後述する。
図2を参照し押え棒上下動機構20を説明する。押え棒上下動機構20は押え棒24、押え棒抱き26、付勢部材27、摘み部29を備える。押え棒24は上下方向に延びる棒状であり、上下動できる。押え棒24は下端に押え足25を着脱できる。押え足25は布を上方から押える。押え棒抱き26は前後方向に延びる棒状の部材であり、押え棒24の上下方向略中央部分に設ける。押え棒抱き26は螺子(図示略)で押え棒24に固定する。付勢部材27はコイルバネである。付勢部材27は押え棒抱き26の上方で押え棒24を通す。付勢部材27は押え棒抱き26を下方に付勢する。摘み部29は先端部5上端に設ける。摘み部29は付勢部材27の上端を固定する。押え棒上下動機構20は後述する駆動機構60の操作に応じて動作する。
図3を参照して駆動機構185を説明する。駆動機構185は切替機構150の第一腕部160と接続し、糸切り時に第一腕部160を付勢部材170の付勢力に抗して通常位置から第二方向に第一所定量揺動できる。駆動機構185はソレノイド190、プランジャ191、ソレノイドレバー192、ワイヤ195、チューブ197を主に備える。ソレノイド190は糸切り機構90(図2参照)、切替機構150を作動する動力源である。プランジャ191はソレノイド190から右方に延びる。プランジャ191はソレノイドレバー192の一端部に接続する。ソレノイドレバー192は、軸穴196、突起部193、固定部194を備える。軸穴196はソレノイドレバー192前部の上下方向に貫通する穴である。ベッド部2(図1参照)に固定した軸体183は軸穴196に挿通し、ソレノイドレバー192の前部を揺動可能に支持する。ソレノイド190はプランジャ191を駆動してソレノイドレバー192を軸体183を中心に揺動する。突起部193はソレノイドレバー192の前後方向中央部で左方に突出する。ソレノイドレバー192が揺動した時、突起部193は糸切レバー軸(図示略)に動力を伝達する。糸切レバー軸は糸切カム(図示略)を作動し、糸切り機構90を駆動する。固定部194はソレノイドレバー192後端部から下方に延びる。固定部194はワイヤ195の他端部を固定する。ワイヤ195はベッド部2、脚柱部3、アーム部4内に配設したチューブ197内を挿通する。ワイヤ195は上左端に留部198と連結する。留部198は第一腕部160の掛部164に掛かる。駆動機構185による切替機構150の操作は後述する。
図6、図7を参照して駆動機構60を説明する。駆動機構60は押え棒上下動機構20と切替機構150の第一腕部160に接続し、駆動機構185が駆動しない状態で押え棒上下動機構20が押え棒24を上げる時、第一腕部160を押え棒24の上下位置に応じた量第二方向に揺動できる。駆動機構60による第一腕部160の通常位置から第二方向への最大揺動量は、駆動機構185による通常位置から第二方向への揺動量(第一所定量)よりも大きい。駆動機構60は押え棒上下動機構20が押え棒24を下げる時、第一腕部160を押え棒24の上下位置に応じた量第一方向に揺動できる。駆動機構60は第二腕部61、付勢部材27、連竿62、クランク部材65、軸66、レバー部材68、膝操作機構69、膝操作レバー70を備える。
図7に示す如く、第二腕部61は背面視逆T字状の板部材である。第二腕部61は第一腕部160の後方に設ける。第二腕部61は支持軸151を通す軸穴(図示略)を有する。第二腕部61は支持軸151を中心に第一方向と第二方向に揺動できる。第二腕部61は支持軸151を通す軸穴から左方に延びる延伸部71、上方に延びる延伸部72、右方に延びる延伸部73を備える。延伸部71は板28を介して押え棒上下動機構20の押え棒抱き26に接続する。板28は上下方向に延びる板状部材で、上端部が接続部材74により延伸部71左端部に接続する。板28下端部は略矩形状の開口35を有し、開口35に押え棒抱き26の後端部36を挿通する。延伸部71は押え棒抱き26を介して押え棒24を操作する。付勢部材27は板28を介して第二腕部61を第一方向に付勢する。
延伸部72は背面右上部に連竿62(後述)を螺子75で接続する。延伸部72はレバー部76、当接部82(図16参照)を有する。レバー部76は延伸部72右部に前方に向けて延びる。第一腕部160が通常位置から第一所定量よりも大きく第二方向に揺動した後、押え棒上下動機構20が押え棒24を下げる時、レバー部76は第一腕部160と当接し、第一腕部160を押え棒24の上下位置に応じた量第一方向に揺動する。図16に示す如く、当接部82は第一腕部160に対し糸調子機構100と反対側に位置し、第一腕部160の駆動機構60(第二腕部61)側の面174(図4参照)に当接する。面174は第一腕部160の面のうち糸調子機構100(主糸調子器110、副糸調子器130)側の面とは反対側の面である。当接部82は延伸部72正面左上部に位置し、前方に向けて延びる略円柱状である。延伸部73は背面右端部に調整部77を螺子78で固定する。調整部77は上下方向に延びる板状部材である。
調整部77は長穴79、当接部81を備える。長穴79は上下方向に長い穴である。当接部81は調整部77上端から前方に延びる。調整部77は長穴79と螺子78で延伸部73に対する当接部81の上下方向位置を調整できる。即ち、調整部77は当接部81と第一腕部160との間隔を調整できる。調整部77を長穴79の上端側に螺子78を挿通して延伸部73に固定した場合、当接部81は付勢部材27の付勢力に抗して第二腕部61が第二方向に揺動した時、第一腕部160の突出部171上端と当接して第一腕部160を第二方向に揺動する。調整部77を長穴79の下端側に螺子78を挿通して延伸部73に固定した場合、当接部81は付勢部材27の付勢力に抗して第二腕部61が第二方向に揺動した時、第一腕部160と当接しない。
図6に示す如く、連竿62はアーム部4内を左右方向に延びる棒状の部材である。連竿62は作業者の操作に連動して左右に移動し、押え棒上下動機構20、切替機構150を操作する。クランク部材65は脚柱部3内部に設ける。クランク部材65は作業者の操作に連動して揺動し、連竿62を左右に移動する。クランク部材65は曲折した板材である。軸66はクランク部材65の曲折部分を揺動可能に支持する。クランク部材65は軸66が支持する曲折部分から右方と下方に延びる。連竿62はクランク部材65の下方に延びた部分の下端に接続する。クランク部材65右端はレバー部材68上端と接続する。レバー部材68は脚柱部3内を上下に延びる。ベッド部2は膝操作機構69を内部に備える。レバー部材68下端は膝操作機構69に接続する。膝操作機構69は作業者が操作可能な膝操作レバー70と接続する。膝操作レバー70は左側面視円形状の板部材である。作業者は膝を使って膝操作レバー70を操作し、膝操作機構69を揺動できる。膝操作機構69が揺動するとレバー部材68は上下動する。駆動機構60による押え棒上下動機構20、切替機構150の操作は後述する。
図9、図10を参照して連動機構95を説明する。連動機構95は切替機構150と駆動機構60に接続し、駆動機構185が駆動しない状態で押え棒上下動機構20が押え棒24を上げる時、第一腕部160を押え棒24の上下位置に応じた量第二方向に揺動できる。連動機構95による第一腕部160の通常位置から第二方向への最大揺動量は、駆動機構185による通常位置から第二方向への揺動量(第一所定量)と略同じである。連動機構95は押え上げレバー96、軸97、カム98を備える。
押え上げレバー96は第二腕部61の左後方に設け、先端部5の外側に位置する。押え上げレバー96は一端部に軸97を固定する。軸97は押え上げレバー96の一端部から前方に延びる。押え上げレバー96は軸97に直交して延びる。軸97はミシン1の機枠(図示略)に回動可能に支持する。押え上げレバー96は軸97を中心に揺動できる。軸97の前端は付勢部材170の他端を係止する。カム98は軸97の前後方向中央部分に設ける。カム98は前後方向に厚みを有する。カム98は軸97から径方向に突出する。カム98は押え上げレバー96の揺動に伴い、軸97を中心に揺動する。カム98の右側面は第一腕部160の本体161左側面と第二腕部61の延伸部72左側面に係合できる。
図9に示す押え上げレバー96の位置は通常位置であり、カム98の右側面は本体161左側面と延伸部72左側面に作用しない。押え上げレバー96が軸97を中心に背面視反時計回りに揺動すると、カム98も軸97を中心に背面視反時計回りに揺動する。カム98が揺動すると、カム98の右側面は左下方に移動し、本体161左側面と延伸部72左側面を右方に押す。第一腕部160と第二腕部61は支持軸151を中心に第二方向に一緒に揺動する。図10に示す押え上げレバー96の位置は通常位置から第二方向へ連動機構95による最大揺動量揺動した位置である。調整部77が当接部81と第一腕部160との間隔を調整した場合であっても、カム98は本体161左側面と延伸部72左側面を一緒に右方に押すことができる。
図9、図10に示す如く、第一腕部160の後方には上下方向に並ぶ支持ピン83、84を有する。支持ピン83、84は第一腕部160に対し糸調子機構100と反対側に位置し、第一腕部160の駆動機構60(第二腕部61)側の面174(図4参照)に当接する。支持ピン83、84は先端部5の後面に形成した穴(図示略)に挿通し、固定する。第一腕部160の面174は駆動機構60の支持ピン83、84に当接可能である。第一腕部160が切替ピン120、140から後方に向けて力を受けた時、支持ピン83、84は第一腕部160が後方に移動することを防ぐ。故にミシン1は支持ピン83、84によって第一腕部160が第一方向又は第二方向への揺動する時等に捻れるのを防止できる。
糸切り時の駆動機構185、切替機構150、糸調子機構100の動作を説明する。切替機構150の通常位置は図11に示す位置である。通常位置では第一腕部160の本体161は略上下方向に延びる。第一腕部160の通常位置は付勢部材170(図4参照)の付勢により掛部164が留部198を最も左方まで移動した時の位置である。留部198が最も左方まで移動した時、プランジャ191はソレノイド190から最も外部に突出する。突出部171上端は当接部81下端と当接する。本体161はレバー部76左面から離間した位置にある。切替ピン120は平面172と斜面166の境界付近と当接する。切替ピン140は平面169と当接する。縫製時、又は糸切り時でない押え足25が最下位置にある時、切替機構150は通常位置にある。
縫製終了後、ミシン1は糸切り信号を入力する。図3に示すソレノイド190は糸切り信号入力で駆動し、プランジャ191をソレノイド190内部に引き込む。ソレノイドレバー192は軸体183を中心にソレノイド190側に揺動する。固定部194はソレノイド190側に移動し、ワイヤ195をソレノイド190側に引く。ワイヤ195はソレノイド190の駆動力を切替機構150に伝達する。
ソレノイド190がワイヤ195を引くと、留部198(図5参照)は右方へ移動する。留部198は第一腕部160の掛部164を右方に押し、第一腕部160を支持軸151を支点に正面視時計回りに揺動する。第一腕部160が揺動しても、本体161は第二腕部61のレバー部76に当接しない。第一腕部160の揺動に伴い、第一カム部162は支持軸151を支点に左方に移動する。図12に示す如く、切替ピン120の後端部124は斜面166と平面167の境界付近と当接する。切替ピン120は前方に移動する。
図13に示す如く、支持板121、ストッパピン122は付勢部材123の付勢力に抗して主糸調子器110側(前方)に移動する。ストッパピン122は溝209を横切る。ストッパピン122は糸取りバネ115の糸案内部205の揺動経路を塞ぐ。ストッパピン122は糸案内部205の揺動を規制する。主糸調子器110は上糸8に付与する張力を解除する。切替ピン120の前方への移動に伴い、切替ピン120は支持板121を介して駆動棒119と当接する。支持板121は駆動棒119を前方に向けて押圧する。駆動棒119は皿押え116を押す。皿押え116は糸調子バネ117の付勢力に抗い糸調子バネ117を前方に押す。第二糸調子皿114は第一糸調子皿113を後方へ押圧する力を緩める。主糸調子器110は上糸8に付与する張力を解除する。第一カム部162は第一腕部160が通常位置にある時に比べ切替ピン120を前方へ向けて強く押圧する時、切替ピン120は第一腕部160が通常位置にある時に比べ第一カム部162を後方に向けて強く押圧する。第二腕部61の当接部82は第一腕部160の面174に当接して第一腕部160を支持する。
第二カム部163は第一腕部160の揺動に伴い支持軸151を支点に右下方に移動する。図12に示す如く、切替ピン140の後端部142は斜面168と平面173の境界付近と当接する。第一腕部160は通常位置にある時に比べ切替ピン140への押圧力を弱める。駆動棒139が皿押え136を押圧する力は緩む。糸調子バネ137は皿押え136を後方へ付勢する。故に副糸調子器130は上糸8を糸調子バネ137の付勢力で第一糸調子皿133と第二糸調子皿134の間に挟み、上糸8に張力を付与する。
ミシン1が糸切り信号を入力した時、主糸調子器110が上糸8に付与する張力を解除するタイミングは副糸調子器130が上糸8に張力を付与するタイミングより早い。該時、天秤51は下方に揺動し、上糸8を引き上げ始める前である。
糸切り後、ソレノイド190はプランジャ191をソレノイド190外部に押し出す。ソレノイドレバー192は軸体183を中心にソレノイド190から離れる側に揺動する。固定部194はソレノイド190から離れる側に移動し、ワイヤ195をソレノイド190から離れる側に押す。ソレノイド190がワイヤ195を押すと、付勢部材170の付勢力により第一腕部160は支持軸151を支点に正面視反時計回りに揺動する。掛部164が留部198を最も左方まで移動し、第一腕部160は通常位置に戻る。
押え足25昇降時の駆動機構60、切替機構150、糸調子機構100の動作を説明する。押え足25が最下位置にある時、切替機構150は図11に示す通常位置にある。押え足25が最下位置にある時、作業者は駆動機構60の図6の膝操作レバー70を操作していない。押え足25が最下位置にある時、駆動機構60の第二腕部61は図7、図11に示す通常位置にある。
作業者が膝操作レバー70を右方に押すと、膝操作機構69は膝操作レバー70の操作量に応じた量正面視反時計回りに揺動する。膝操作機構69の揺動に伴い、レバー部材68は上方に移動する。レバー部材68の上方への移動に伴い、クランク部材65は軸66を中心として背面視時計回りに揺動する。クランク部材65の揺動に伴い、連竿62は膝操作レバー70の操作量に応じた量右方に移動する。連竿62の右方への移動に伴い、第二腕部61は支持軸151を中心として背面視反時計回りに揺動する。第二腕部61の揺動量は連竿62の移動量に応じた量である。延伸部71は第二腕部61の揺動量に応じた量上方に移動し、板28を介して押え棒抱き26を上方に押す。押え棒24は押え棒抱き26と共に上方に移動する。故に、押え足25は膝操作レバー70の操作量に応じた量上方に移動する。図7に示す延伸部73は第二腕部61の揺動量に応じた量左下方に移動する。該時、延伸部73の当接部81は第一腕部160の突出部171と当接し、突出部171を左下方に移動する。当接部81と突出部171が当接するタイミングは調整部77の取り付け位置に応じて決まる。当接部81と突出部171が当接した後、第一腕部160は第二腕部61と一緒に支持軸151を中心として正面視時計回りに揺動する。
図14に示す如く、押え足25が最下位置から第二所定量上昇した位置にある時、第一腕部160は図12と同様の位置にある。故に、主糸調子器110は上糸8への張力付与を解除する。副糸調子器130は上糸8に張力を付与する。押え足25が最上位置にある時、第一腕部160は図14に示す姿勢から更に正面視時計回りに揺動した位置にある(図15参照)。最上位置は最下位置から第二所定量上昇した位置よりも上の位置である。
図15に示す如く、第一腕部160の揺動に伴い、第一カム部162は支持軸151を支点に左方に移動する。切替ピン120の後端部124は平面167と当接する。平面167は切替ピン120を前方へ向けて押圧する。切替ピン120は図14に示す位置にある時に比べ前方に移動する。支持板121、ストッパピン122は図14に示す位置にある時に比べ更に前方に移動する。ストッパピン122は溝209を横切る。ストッパピン122は支持板121の移動量に応じて進退する。ストッパピン122は糸取りバネ115の糸案内部205の揺動経路を塞ぐ。主糸調子器110は上糸8に付与する張力を解除する。支持板121は主糸調子器110の駆動棒119を前方に向けて押圧する。駆動棒119は皿押え116を押す。皿押え116は糸調子バネ117の付勢力に抗い、糸調子バネ117を前方に押す。第二糸調子皿114は第一糸調子皿113を後方へ押圧する力を緩める。主糸調子器110は上糸8に付与する張力を解除する。
第一腕部160の揺動に伴い、第二カム部163は支持軸151を支点に右下方に移動する。図15に示す如く切替ピン140の後端部142は平面173と当接する。第一腕部160は所定位置にある時に比べ切替ピン140への押圧力を弱める。駆動棒139が皿押え136を押圧する力は緩む。糸調子バネ137は皿押え136を後方へ付勢する状態となる。故に副糸調子器130は上糸8を糸調子バネ137の付勢力で第一糸調子皿133と第二糸調子皿134の間に挟み、上糸8に張力を付与する。
作業者が膝操作レバー70の操作を解除した時、膝操作機構69は正面視時計回りに揺動する。膝操作機構69が揺動すると、レバー部材68は下方に移動する。レバー部材68の下方への移動に伴い、クランク部材65は軸66を中心として正面視時計回りに揺動する。クランク部材65の揺動に伴い、連竿62は左方に移動する。付勢部材27は押え棒抱き26を下方に押す。付勢部材27は板28を介して第二腕部61を第一方向に付勢する。連竿62の左方への移動に伴い、第二腕部61は付勢部材27の付勢力によって支持軸151を中心として正面視反時計回りに揺動する。押え棒24は押え棒抱き26と共に下方に移動する。故に、押え足25は下方に移動する。
押え足25が最上位置から最下位置に移動する時、第二腕部61は付勢部材27の付勢力により正面視反時計回りに揺動し通常位置に戻る。第二腕部61が正面視反時計回りの揺動開始した後、第一腕部160は付勢部材170の付勢力のみでは図11に示す通常位置に戻らない時ある。例えば、押え足25が最上位置にある時、切替ピン120は第一腕部160が通常位置にある時に比べ第一カム部162を後方に向けて強く押圧する。故に、第一腕部160が通常位置に比較的近い位置にある時に比べ第一腕部160は第一方向に揺動しにくい。該時、図16に示す如く第二腕部61のレバー部76は正面視反時計回りに揺動し通常位置に戻る過程で本体161の右端と当接する。レバー部76が本体161と当接した後、レバー部76は本体161を左方に押す。故に第一腕部160は第一腕部160と一緒に正面視反時計回り揺動し、通常位置に戻る。
ミシン1の押え棒24、押え棒上下動機構20、天秤51は各々本発明の押え棒、上下動機構、天秤に相当する。主糸調子器110、副糸調子器130は各々本発明の第一糸調子器、第二糸調子器に相当する。糸調子軸112、糸調子台111、駆動棒119、糸取りバネ115、糸調子バネ117は各々本発明の糸調子軸、糸調子台、駆動棒、糸取りバネ、第三付勢部材に相当する。第一糸調子皿113と第二糸調子皿114は本発明の一対の糸調子皿に相当する。切替機構150、第一腕部160、付勢部材170、切替部材180は各々本発明の切替機構、第一腕部、第一付勢部材、切替部材に相当する。ストッパピン122、付勢部材123、切替ピン120は各々本発明のストッパピン、第四付勢部材、切替ピンに相当する。駆動機構185は本発明の第一駆動機構に相当する。駆動機構60、第二腕部61、付勢部材27、レバー部76、当接部81、調整部77、当接部82は各々本発明の第二駆動機構、第二腕部、第二付勢部材、レバー部、第一当接部、調整部、第二当接部に相当する。
ミシン1の付勢部材170(図3参照)は第一腕部160を第一方向(正面視反時計回り)に付勢する。第一腕部160は駆動機構60、185から力を受けていない時通常位置にある。押え棒上下動機構20が押え棒24を下げる時、第一腕部160は付勢部材170と駆動機構60から力を受けて第一方向に揺動する。故に、第一腕部160は付勢部材170からのみ力を受ける時よりも安定して通常位置に戻る。即ちミシン1は従来に比べ安定して張力切替動作を実行できる。調整部77(図7参照)は当接部81が第一腕部160と当接するタイミングを調整できる。即ちミシン1は押え足25の上下方向の位置に応じて糸調子機構100による上糸8の張力付与と解除を切り替えることができる。駆動機構60が第一腕部160を第一所定量以上揺動した時、第一腕部160が切替部材180(図4参照)から受ける力により第一腕部160が通常位置に戻らないことがある。ミシン1はレバー部76を備えるので、第一腕部160は第一所定量以上揺動した時にも安定して通常位置に戻る。即ちミシン1は従来に比べ安定して張力切替動作を実行できる。ミシン1はレバー部76という比較的簡単な構成を有することにより、大きなコストアップを招くこと無く、安定して張力切替動作を実行できる。ミシン1は付勢部材170の付勢力を増加することにより、張力切替動作の安定性を改善する時、作業者が膝操作レバー70を右方に押すのに必要な荷重が増す。ミシン1は付勢部材170の付勢力を増加することなく、張力切替動作の安定性を改善する。故に、ミシン1は作業者が膝操作レバー70を右方に押す時の操作性を損なうことなく、安定して張力切替動作を実行できる。
縫製時、主糸調子器110は上糸8に張力を付与し、副糸調子器130は上糸8に付与する張力を解除する。上糸8は主糸調子器110から適切な張力を得て下糸と縫い目を形成できる。糸切り時又は押え足を上げる時、切替部材180は主糸調子器110、副糸調子器130の各々による上糸8への張力付与と解除の切り替えを行う。糸切り時又は押え足を上げる時、主糸調子器110は上糸8への張力付与を解除し、副糸調子器130は上糸8に張力を付与する。糸切り時、ミシン1は副糸調子器130から適切な張力を得て上糸8を切断できる。押え足25を上げる時、ミシン1は副糸調子器130から適切な張力を維持できる。故にミシン1は主糸調子器110と副糸調子器130を使い分け、上糸8に加わる張力を変更することができる。第一腕部160を通常位置から第二方向に第一所定量以上揺動した時、ストッパピン122は糸取りバネ115の揺動経路を塞ぐ。糸調子台111のミシン1に対する取り付け位置が左右方向に多少ずれた時も、ストッパピン122は糸取りバネ115の揺動経路を塞ぐことができる。即ち、糸調子台111の取り付け位置の自由度が大きい。第一切替部材は駆動棒119とストッパピン122の2つの部材により主糸調子器110による上糸8への張力付与を解除する。故に、ミシン1は駆動棒119とストッパピン122の一方により主糸調子器110による上糸8への張力付与を解除する時に比べ、より確実に主糸調子器110による上糸8への張力付与を解除できる。第一腕部160の面174は駆動機構60の当接部82に当接する。第一腕部160が切替ピン120、140から後方に向けて力を受けた時、当接部82は第一腕部160が後方に移動することを防ぐ。故にミシン1は当接部82によって第一腕部160が第一方向又は第二方向への揺動する時等に捻れるのを防止できる。
本発明は上記実施形態の他に種々変更できる。ミシンが備える糸調子器の数は1以上であればよい。ミシンが糸調子器を複数備える時、各糸調子器の配置は上糸の供給経路で天秤の上流側であればよい。糸調子器は上糸8に張力を付与できればよく、他の構成でもよい。切替機構は糸調子器による上糸への張力付与と解除を切り替え可能であればよく、他の構成でもよい。
駆動機構185は切替機構150の第一腕部160と接続し、糸切り時に第一腕部160を通常位置から第二方向に第一所定量揺動できればよく、他の構成でもよい。例えば付勢部材170はコイルバネであってもよい。切替部材180はストッパピン122と付勢部材123を備えなくてもよい。例えばワイヤ195の代わりに連竿又は棒状部材等の部材がソレノイド190のプランジャ191と連結してよい。例えばエアシリンダ、モータ等のソレノイド190とは異なるアクチュエータが切替機構150を駆動してもよい。通常位置、第一方向、第二方向、所定量(第一所定量、第二所定量)は各々適宜変更してよい。
駆動機構60は押え棒上下動機構20が押え棒24を上げる時、通常位置から押え棒24の上下位置に応じた量第一腕部160を第二方向に揺動し、押え棒24を下げる時、押え棒24の上下位置に応じた量第一腕部160を第一方向に揺動できればよく、他の構成でもよい。例えば調整部77は省略してよい。レバー部76の配置、形状は適宜変更してよい。駆動機構60は操作部の操作に応じて駆動するエアシリンダ、モータ、ソレノイド等を動力源として駆動してよい。
1 ミシン
20 押え棒上下動機構
24 押え棒
27、123、170 付勢部材
51 天秤
60、185 駆動機構
61 第二腕部
76 レバー部
77 調整部
81、82 当接部
110 主糸調子器
111 糸調子台
112 糸調子軸
113 第一糸調子皿
114 第二糸調子皿
115 糸取りバネ
117 糸調子バネ
119 駆動棒
120 切替ピン
122 ストッパピン
130 副糸調子器
150 切替機構
160 第一腕部
180 切替部材

Claims (6)

  1. 布を押える押え足を着脱可能な押え棒と、
    前記押え棒を上下動可能な上下動機構と、
    主軸の回転で上下動する天秤と、
    上糸の供給経路で前記天秤の上流側に位置し、上糸に張力を付与可能な糸調子器と、
    前記糸調子器による前記上糸への張力付与と解除を切り替え可能な切替機構とを備えるミシンにおいて、
    前記切替機構は、
    第一方向及び前記第一方向と反対の第二方向に揺動可能な第一腕部と、
    前記第一腕部を前記第一方向に付勢し、通常位置に揺動する第一付勢部材と、
    前記第一腕部と当接し、前記第一腕部が前記通常位置の時の前記糸調子器による前記上糸への張力付与又は解除の状態を、前記第一腕部が前記通常位置から前記第二方向に揺動した揺動位置に応じて切り替える切替部材と
    を有し、
    前記第一腕部と接続し、糸切り時に前記第一腕部を前記第一付勢部材の付勢力に抗して前記通常位置から前記第二方向に所定量揺動する第一駆動機構と、
    前記上下動機構と前記第一腕部に接続し、前記第一駆動機構が駆動しない状態で前記上下動機構が前記押え棒を上げる時、前記第一腕部を前記通常位置から前記押え棒の上下位置に応じた量前記第二方向に揺動し、前記上下動機構が前記押え棒を下げる時、前記第一腕部を前記押え棒の上下位置に応じた量前記第一方向に揺動する第二駆動機構と
    を備えることを特徴とするミシン。
  2. 前記第二駆動機構は、
    前記上下動機構に接続し、前記第一方向と前記第二方向に揺動可能な第二腕部と、
    前記第二腕部を前記第一方向に付勢する第二付勢部材と、
    前記第二付勢部材の付勢力に抗して前記第二腕部が前記第二方向に揺動した時、前記第一腕部と当接して前記第一腕部を前記第二方向に揺動する第一当接部と、
    前記第一当接部と前記第一腕部との間隔を調整可能な調整部と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記第二駆動機構による前記通常位置から前記第二方向への最大揺動量は前記所定量よりも大きく、
    前記第二駆動機構は、前記所定量よりも大きく前記第一腕部を揺動した後、前記上下動機構が前記押え棒を下げる時、前記第一腕部と当接し、前記第一腕部を前記押え棒の上下位置に応じた量前記第一方向に揺動するレバー部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
  4. 前記糸調子器は、
    前記上糸へ張力を付与可能な第一糸調子器と、
    前記上糸へ張力を付与可能であり、前記第一糸調子器よりも前記供給経路上流側にある第二糸調子器と
    を含み、
    前記切替部材は、
    前記第一腕部が前記通常位置にある時、前記第一糸調子器により前記上糸へ張力を付与し、且つ前記第二糸調子器による前記上糸への張力付与を解除し、
    前記第一腕部が前記通常位置から前記所定量以上前記第二方向に揺動した時、前記第一糸調子器による前記上糸への張力付与を解除し、且つ前記第二糸調子器により前記上糸へ張力を付与することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のミシン。
  5. 前記第一糸調子器は、
    糸調子軸と、
    前記糸調子軸の一端側を内側に挿入する糸調子台と、
    前記糸調子軸の他端側に支持し、前記上糸を挟んで張力を加える一対の糸調子皿と、
    前記一対の糸調子皿よりも前記糸調子軸の他端側に挿入し、前記一対の糸調子皿を前記糸調子台側へ向けて付勢する第三付勢部材と、
    前記糸調子軸の内部に挿入し、前記糸調子軸の軸心に沿って前記糸調子軸の他端の方向に移動した時、前記第三付勢部材による前記一対の糸調子皿への付勢力を弱めて前記一対の糸調子皿が挟む前記上糸の張力を解放する駆動棒と、
    一端側を前記糸調子軸に固定し、且つ他端側が前記糸調子台に設けた溝を通過し、前記天秤による前記上糸の移動に伴い揺動する糸取りバネを有し、
    前記切替部材は、
    前記糸調子台の内部を前記糸調子軸と平行に挿通し、前記第一糸調子器側に移動した時、一端側が前記糸取りバネの揺動経路を塞ぐストッパピンと、
    前記ストッパピンの他端側を前記第一糸調子器から離間する側に付勢する第四付勢部材と、
    前記ストッパピンと平行に延び、一端が前記第一腕部に当接し、前記第一糸調子器の方向に移動した時、他端が前記ストッパピンの他端部と前記駆動棒に当接する切替ピンと
    を備え、
    前記第一腕部が前記通常位置から前記第二方向に前記所定量以上揺動した時、前記切替ピンは前記第一糸調子器の方向への移動し、前記切替ピンは前記駆動棒と当接して前記駆動棒を前記第一糸調子器側に移動し、前記駆動棒は前記第三付勢部材による前記一対の糸調子皿への付勢力を弱めて前記一対の糸調子皿が挟む前記上糸の張力を解放し、且つ前記ストッパピンは前記第四付勢部材の付勢力に抗して前記第一糸調子器側に移動して前記糸取りバネの揺動経路を塞ぐことを特徴とする請求項4に記載のミシン。
  6. 前記第二駆動機構は、前記第一腕部に対し前記糸調子器と反対側に位置し、前記第一腕部の前記第二駆動機構側の面に当接する第二当接部を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載のミシン。
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