JP4000851B2 - ミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーム部に着脱可能な上糸カセットあるいはアーム部に移動可能な糸掛け用操作体を設けたミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常のミシンにおいては、アーム部内に主軸で駆動される天秤機構や針棒駆動機構が配設され、天秤はアーム頭部の縦スリットから部分的に突出し上下に往復駆動される。アーム部の上端側に糸駒装着部が設けられ、アーム部の前面側に糸調子器と糸調子バネが配設され、この糸調子器の付近に糸調子器の調節ダイヤルが設けられている。針棒はアーム頭部の下方へ突出して、この針棒の下端部に針が取付けられ、縫製対象の生地を押える押え足とこの押え足を支持する押え棒は、押え上げレバーにより生地を押える下降位置と上方へ退避させた退避位置とに切換え可能である。
【0003】
縫製を停止して上糸の糸駒を交換する場合、押え足は退避位置にあり、糸調子器が開放状態になっている。その状態で糸駒を交換し、この糸駒から繰り出した上糸を複数の糸案内部を経て糸調子器に導き、開放状態の1対の糸調子皿の間と糸調子バネとに糸掛けし、天秤の糸掛け部に糸掛けし、その後針の針穴に上糸の端部を糸通しする。このように、上糸の糸駒を交換する際には糸調子器、糸調子バネ、天秤の糸掛け部に糸掛けを行い、針穴に糸通しを行なう必要がある。
【0004】
そこで、米国特許第3,749,039 号公報には、上糸カセットをアーム部に着脱可能に構成し、糸掛けを簡単に行えるようにした技術が記載されている。このミシンのアーム部の左右方向ほぼ中央部にはカセット装着部が設けられ、このカセット装着部に上方から上糸カセットを着脱可能になっている。前記カセット装着部は、天秤機構の天秤が上下に往復移動する天秤移動空間の右側に形成され、天秤の先端側部分はカセット装着部の左端部に突入して上下に往復移動する。
【0005】
前記上糸カセットは、正面視ほぼ台形をなすカセットケースを有し、このカセットケースはケース本体と開閉蓋からなる。カセットケース内の上部の糸駒収容部には糸駒がその軸心を水平にして収容され、この糸駒の上糸は右方へ所定長さほぼ水平に繰り出される。カセットケースの中央部の下部には糸調子器を突入させる為の第1切欠き部が形成され、カセットケースの左端部の下部には天秤を導入する為の第2切欠き部が形成されている。
【0006】
糸駒から繰り出された上糸を案内する5つの糸案内が設けられている。第1糸案内はカセットの右端部の上部に設けられ、第2,第3糸案内は第1切欠き部を挟む位置に設けられ、第4,第5糸案内は第2切欠き部を挟む位置に設けられている。第1糸案内には、上糸カセットをカセット装着部に装着しない状態で上糸に抵抗を付与し且つカセット装着後には開放する第1抵抗付与部が設けられている。第5糸案内には、カセット未装着の状態で上糸に抵抗を付与し且つカセット装着後には開放する第2抵抗付与部が設けられている。この第2抵抗付与部では第1抵抗付与部よりも強い抵抗を付与するようになっている。
【0007】
アーム部に設けたカセット装着部の左端部分には、上糸カセットを装着する際に上糸を案内して天秤の糸掛け部に案内する糸案内部材が設けられている。この糸案内部材は左右1対のアーム板とウェブとを一体形成したもので、1対のアーム板の後端には上糸を案内する案内面が形成され、これらアーム板には天秤の糸掛け部に対応するノッチ(切欠き部)が形成されている。また、上糸カセットとカセット装着部には、上糸カセットの装着時に糸調子器の1対の糸調子皿を開いた状態にし、上糸カセットの装着完了後に1対の糸調子皿を閉じるようにする機構も設けられている。
【0008】
上糸カセットをカセット装着部に装着する場合には、最初に、手動操作で主軸を回転させて天秤を最下位置に移動させる。次に、上糸カセットを上方からカセット装着部に装着していくと、上糸が糸案内部材で案内されつつ下降し、第2,第3糸案内の間の上糸が糸調子器と糸調子バネに自動的に糸掛けされ、第4,第5糸案内の間の上糸が糸案内部材の案内面で案内されて天秤の糸掛け部に自動的に糸掛けされ、上糸カセットが装着完了状態になると、第1,第2抵抗付与部が開放状態になり、その後の縫製中には糸駒から上糸が繰り出される。
【0009】
一方、特開昭55−81693号公報には、ミシンのカセット式通糸装置が提案されている。このカセット式通糸装置では、アーム部の天秤移動領域とその右側領域に設けたカセット装着部と、このカセット装着部を開閉するカバー体を設け、このカバー体に上糸カセットを着脱する。カセット装着部には糸調子器と糸取りバネとが突出し、カセット装着部の左端部には天秤移動空間がある。
【0010】
上糸カセットは、糸巻体収容部と、1対の脚部などを有し、糸巻体の中心から繰り出した上糸を1対の脚部の間に延ばして自由スパンを形成する。カバー体を前方へ90度回動させて開き、このカバー体に上糸カセットをセットしてから、カバー体を閉じる。天秤を最下位置にしてカバー体を閉じる閉動作の際、上糸カセットの自由スパンが糸調子器と糸取りバネに自動的に糸掛けされる。その後、天秤を上昇させると、天秤の糸掛け部に自動的に上糸が掛けられる。尚、前記カバー体を閉じた状態では、糸巻の軸心は水平方向且つ前後方向に向いている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記米国特許公報に記載の上糸カセットでは、ミシンのアーム部の左右方向ほぼ中央部の前面部に形成したカセット装着部に装着される。この上糸カセットにおいては、上糸カセット内に糸駒を横向き姿勢に収容し、その糸駒から右方へ上糸を所定長さ繰り出し、第1〜第5糸案内を経て外部へ導くため、上糸カセットの左右方向幅が非常に大きくなり、上糸カセットが大型のものになってしまう。同様に、ミシンのアーム部に形成するカセット装着部も大型化し、アーム部の前面の外観への影響も大きくなり、アーム部の前面の外観を損なうおそれもある。
【0012】
しかも、従来のミシンでは、縫製対象の布地を押さえる押え足とこの押え足を支持する押え棒は、押え足レバーによる操作により、布地を押える下降位置と上方に退避させた退避位置とに切替可能にされている。更に、押え足を退避させた後に行う布地や糸への作業をしやすくするために、押え足の位置に連動して、糸調子器の糸調子皿の開閉を行うように機械的にリンクがなされているものが一般的になっている。具体的には、押え足が退避位置にあるときには糸調子皿は開放状態となり、押え足が下降位置にあるときには糸調子皿は閉鎖状態になっていた。
【0013】
この様に押え足の位置と糸調子皿の開閉とがリンクしているミシンにおいて上糸の糸掛けや糸通しを行う場合には、必ず、押え足を退避位置にして糸調子皿を開放状態にした後に上糸を取り回ししていた。しかしながら、使用者がうっかり押え足を下方位置にしていた場合、或いは押え足で布地を押えておきたい場合などでは、上糸の糸掛けや糸通しを行うことが出来ない若しくは失敗することになった。
【0014】
尚、前記米国特許公報には、上糸カセットの装着の途中で糸調子器の糸調子皿を開かせる機構と、前記操作レバーとの関係について何ら記載がない。また、前記公報のミシンでは、糸調子器として特殊構造の糸調子器を採用する必要があるから、汎用性のある安価な糸調子器を採用できない。
【0015】
本発明の目的は、押さえ足の位置に係わらず、上糸カセットや糸掛け用操作体の装着乃至移動動作に連動して、上糸を天秤や糸調子器に正規の状態に糸掛けすることのできるミシンを提供すること、左右方向幅が小さく小型化可能な上糸カセットや糸掛け用操作体を採用してアーム部の外観を損なうことのないミシンを提供すること、などである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1のミシンは、押え足を昇降させる操作部材と、上糸に張力を付与する為に開閉可能な糸調子皿を有する糸調子器とを備え、前記操作部材によって押え足を上昇させたとき前記糸調子皿を開放させ且つ押え足を下降させたとき糸調子皿を閉じるように構成されたミシンにおいて、ミシンのアーム部に対して前記操作部材とは別に少なくとも所定範囲内で移動可能に支持される可動操作体と、ミシンのアーム部に備えられ、閉じた状態の前記糸調子皿を開放状態に作動する作動位置と開放した状態の糸調子皿の開放状態を解除させる解除位置とに移動可能な作動部材とを有し、前記可動操作体に、その可動操作体を前記所定範囲内で一方向に向かって途中の移動位置に移動させたときに前記作動部材を前記解除位置から作動位置に移動させ、かつ前記可動操作体を前記一方向に向かってさらに前記所定範囲内の端部まで移動させた移動動作の完了時には前記作動部材を前記作動位置から解除位置に移動させるカム部を設け、前記押え足を下降位置に保持した状態において、前記可動操作体を前記所定範囲内で一方向に向かって途中の移動位置に移動させたとき前記カム部が前記作動部材を前記解除位置から作動位置に移動させて閉じた状態の前記糸調子皿を上糸掛け可能な開放状態に作動し、前記可動操作体を前記一方向に向かってさらに前記所定範囲内の端部まで移動させた移動動作の完了時には前記カム部が前記作動部材を前記作動位置から解除位置に移動させて開放した糸調子皿の開放状態を解除するように構成したことを特徴とするものである。
【0017】
操作部材により押え足を昇降させて切換えし且つ糸調子皿を開閉する構成は、既存のミシンと同様であるが、この操作部材を介して押え足を下降位置に保持した状態において、可動操作体を所定範囲内で一方向に向かって途中の移動位置に移動させたときカム部が作動部材を解除位置から作動位置に移動させて閉じた状態の糸調子皿を上糸掛け可能な開放状態に作動し、その開放状態の糸調子皿に上糸を掛けることができ、そして、前記可動操作体を前記一方向に向かってさらに前記所定範囲内の端部まで移動させた移動動作の完了時には前記カム部が前記作動部材を前記作動位置から解除位置に移動させて開放した糸調子皿の開放状態を解除することができる。そのため、押さえ足が下降位置に保持されている場合には、可動操作体の移動完了後に糸調子皿が自動的に閉じ、糸調子皿を閉じる手動操作を行う必要がない。このように、可動操作体を往復動させることなく単に一方向にのみ所定範囲の端部まで移動させることにより、その途中の移動位置で糸調子皿を開いて上糸を掛けることができると共に、端部の移動位置で糸調子皿を自動的に閉じることができる。
【0018】
請求項2のミシンは、請求項1の発明において、前記可動操作体は、カセットケースと、このカセットケース内に糸駒を収容する糸駒保持部と、糸駒から延びる上糸をカセットケースの糸出口に導く糸経路とを有する上糸カセットであり、アーム部の前面部に設けられたカセット装着部に装着する途中の装着動作に連動して糸調子器の糸調子皿を開放させることを特徴とするものである。
【0019】
そのため、上糸カセット内の糸駒から繰り出された上糸が糸経路を通って糸出口に導かれる。そして、上糸カセットの装着時にそのカム部が前記連動部材を作動し、上糸カセットの装着動作に連動して糸調子皿を開放させるので、その開放状態の糸調子皿に前記上糸を掛けることができる。
【0020】
請求項3のミシンは、請求項2の発明において、前記上糸カセットに収容した糸駒の軸心を、前記カセット装着部に装着された状態で、鉛直方向に配置したことを特徴とするものである。この上糸カセットはその内部に糸駒を軸心を鉛直にして収容するものであるから、糸駒から上糸を上下方向に繰り出すことができるため、上糸カセットの左右方向幅を小さく構成し、上糸カセットとカセット装着部の小型化を図ることができ、アーム部の前面の外観への影響も少なくすることができる。
【0021】
請求項4のミシンは、請求項1の発明において、前記可動操作体は、前記アーム部の前記天秤が往復移動する領域の近傍に設けられ、天秤の往復方向と並行に移動可能な糸掛け操作体であることを特徴とするものである。
【0022】
前記糸掛け用操作体は、糸駒を収容している必要はないが、前記上糸カセットと同様に取扱い可能な操作具であってもよく、或いは、アーム部に所定角度揺動可能に枢着された揺動レバー形式のもので前記連動部材を作動させる揺動レバーであってもよい。請求項2とほぼ同様に、糸掛け用操作体を移動すると、そのカム部が作動部材を作動し、糸掛け用操作体が所定範囲内で移動する途中において、糸掛け用操作体の移動動作に連動して糸調子器の糸調子皿を開放させる。
【0023】
【0024】
【0025】
請求項5のミシンは、請求項2又は3の何れかの発明において、前記糸調子器は、上糸カセットがカセット装着部に装着された状態では上糸カセットのカセットケースの下部内に突入するように設けられ、前記糸経路の下流側部分は、カセットケースの下端部に沿って横断的に上糸を導くように構成されていることを特徴とするものである。それ故、上糸カセットの装着動作に連動して、カセットケースの下端部に沿って横断的に導かれた上糸の部分を糸調子皿に糸掛けすることができる。
【0026】
請求項6のミシンは、請求項1〜5の何れかの発明において、前記糸調子器の下流側に設けられ、前記可動操作体の移動動作に連動して、前記糸調子器からその下流側に延びた上糸を下方に押し下げ配置する上糸押え部材を備えたことを特徴とするものである。そのため、糸調子器に掛けられた上糸が外れにくくなり、糸調子器の糸調子バネによる糸取り量を多くすることができる。
【0027】
請求項7のミシンは、請求項1〜6の何れかの発明において、前記可動操作体は、前記移動動作後にはそのままアーム部に収容され、前記アーム部の前面及び上面から突出しないことを特徴とするものである。そのため、使用状態におけるミシンの外観、特にアーム部の外観を損ねることがない。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。この電子制御式ミシンは、アーム頭部のカセット装置部に糸駒を収容した上糸カセットを装着可能に構成し、その上糸カセット2を装着する際の装着動作と連動して、天秤の糸掛け部と糸調子器に糸掛けを行なうと共に針の針穴に糸通しを行うように構成したものである。
【0029】
最初に、ミシン1の基本構造、糸通し機構10について順に説明し、その後上糸カセット2、カセット装着部3、天秤機構8、糸通しの為の伝達機構115 、糸調子器9の為の連動機構134の順に説明する。尚、以下の説明は、ミシンを操作する者から視た前後左右を前後左右として説明する。
【0030】
図1〜図3に示すように、この電子制御式ミシン1は、ベッド部4と、ベッド部4の右端部に立設された脚柱部5と、脚柱部5の上端から左方に延びるアーム部6を有する。アーム部6には、針棒上下動機構7、カセット装着部3、天秤機構8、糸調子器9、自動糸通し機構10が設けられている。尚、カセット装着部3はアーム部6の頭部(アーム頭部)に設けられている。アーム部6内には、主軸11が1対の軸受12を介して回転可能に支持され、主軸11は図示外のミシンモータの駆動力で回動駆動される。
【0031】
次に、針棒上下動機構7について説明するが、この機構は一般的な構造ものであるので簡単に説明する。図1、図3〜図8に示すように、アーム部6のアーム頭部には、針棒台フレーム13が立向きに配設され、針棒台フレーム13は後壁部14と左壁部15とを有し、後壁部14の下端と上端には前方へ延びる下支持部14aと上支持部14bが夫々一体形成されている。左壁部15の上端部には、上支持部14bよりも上方に延びる枢支腕部15aが形成され、針棒18は上支持部14bと下支持部14aを上下動可能に挿通している。
【0032】
枢支腕部15aの上端部には、左右方向向きの軸部材16aが固着され、前面開放状の平面視略コ字形状の枢支金具16が軸部材16aに固定的に連結され、枢支金具16は前後方向向きの水平な支持軸17を介してミシン機枠に揺動可能に支持され、針棒台フレーム13は支持軸17を揺動中心として左右方向(針振り方向)へ揺動可能である。尚、ステッピングモータにより針棒台フレーム13を介して針を揺動駆動する機構は一般的なものであるのでその説明は省略する。
【0033】
針棒18は上支持部14bと下支持部14aに上下動可能に支持され、針棒18の下端には針19が着脱可能に取付けられている。
【0034】
図3、図11〜図13に示すように、主軸11の左端側部分には、天秤機構8の天秤クランク20が設けられ、その天秤クランク20にクランクピン21を介して針棒クランク22が回動自在に連結されている。針棒18の略中段部には針棒抱き23が固定され、針棒クランク22が針棒抱き23に連結されている。縫製の際、ミシンモータにより主軸11が回転駆動され、針棒クランク22により針棒18が上下に往復駆動される。
【0035】
図11〜図15、図17に示すように、アーム部6には、針19の上下運動に調時して上糸24を取り上げる天秤25を備えた天秤機構8が設けられている。
【0036】
天秤25の先端部に上方から糸掛け可能な糸掛け部26が形成され、カセット装着部3の右端側部分の全高に亙って、天秤25の糸掛け部26が上下に往復移動可能な天秤移動領域27が設けられている。カセット装着部3の下部に突出するように、上糸に通過抵抗を付与する為の糸調子器9が設けられている。
【0037】
この糸調子器9は、押え足28を昇降させる押え上げレバー29により開閉操作可能であり、後述するように、上糸カセット2の装着時にも、糸調子器9が開閉操作される。尚、脚柱部5内にはほぼ立て向きの縦軸が配設され、その縦軸はギヤ機構を介して主軸11に連動連結され、この縦軸の駆動力がベッド部4内の糸捕捉用釜に伝達される。一般的な電子制御ミシンと同様に、針19と糸捕捉用釜とステッピングモータで駆動される布送り機構との協働により加工布30に縫製が施される。
【0038】
次に、針19の針穴19aに上糸24を糸通しする自動糸通し機構10について、図5〜図10、図14、図15、図17、図19を参照して説明する。
【0039】
針棒台フレーム13の上支持部14bと下支持部14aには、針棒18の左側に位置する糸通し軸31とスライダーガイド軸32とが上下動可能に支持されている。糸通し軸31の上端部は、ブラケット16と軸部材16aの間の隙間に挿通しており、糸通し軸31の略中段部には、水平方向に突出する摺動ピン33が固着されている。
【0040】
糸通し軸31の下端部には、合成樹脂製のフック保持部材34が固着され、フック保持部材34の上側と下側に対応する糸通し軸31に、側面視略コ字形状の第1糸案内部材35(図17参照)の上支持部,下支持部が回動可能に支持されている。この第1糸案内部材35のうち、上支持部と下支持部とを連結する鉛直状の連結壁36には、上糸24を係合して案内する糸ガイド36aが切欠き状に形成されている。
【0041】
図9(a)〜(c)に示すように、フック保持部材34にはフック機構37が固定され、このフック機構37は、糸通しフック37aと、糸通しフック37aの両側に位置する2枚のガイド部材37bと、これら糸通しフック37aとガイド部材37bを水平に貫通する糸保持ワイヤ37cなどから構成されている。糸通しフック37aの先端部にはフック部が形成され、糸通しの際針穴19aにこのフック部が挿通し、針19が前記ガイド部材37bにより案内されつつ針穴19aの直前に位置する上糸24を引っ掛けるようになっている。
【0042】
フック保持部材34には、第2糸案内部材38が一体的に固着され、この第2糸案内部材38の略先端近傍部が下方に屈曲形成され、その屈曲部が糸案内部38aとして機能している。糸案内部38aは、糸通し軸31に対しフック機構37と略反対側に位置し且つ所定距離だけ離隔している。即ち、この第2糸案内部材38とフック機構37とが一定の位置関係を保持して糸通し軸31に一体的に設けられている。
【0043】
次に、糸通し軸31を所定角度だけ回動させる回動機構について説明する。
【0044】
図5〜図8、図14、図15、図17、図1919に示すように、針棒台フレーム13の背面側において糸通し軸31とスライダーガイド軸32の上端部には、合成樹脂製の糸通しスライダ40が上下動可能に外嵌されている。即ち、糸通しスライダ40は、上枢支部41及び下枢支部42と、外周壁部43と、糸通しスライダ爪44とを有する。
【0045】
上枢支部41及び下枢支部42は、糸通し軸31とスライダーガイド軸32とにわたって設けられ、外周壁部43は、これら上枢支部41と下枢支部42とを鉛直状に連結し且つ糸通し軸31の前記上端部の外周の略半分を覆うように形成されている。この外周壁部43には螺旋状の糸通しスライダカム部43aが形成されている。上枢支部41と下枢支部42の左端部には、糸通しスライダ爪44が連結され、その左端略中段部分に爪部44aが形成されている。
【0046】
糸通し軸31の略中段部のうち、下枢支部42の直ぐ上側に対応する位置には、所定長さの摺動ピン33が貫通状に固定され、この摺動ピン33の奥側端部が糸通しスライダカム部43aに係合している。糸通し軸31のうち摺動ピン33よりも一定長さ下側には、バネ受けピン45が貫通状に固定され、糸通し軸31のうち下枢支部42とバネ受けピン45との間には、圧縮コイルバネ46が外装されている。スライダーガイド軸32のうち下枢支部42と、針棒台フレーム13の下支持部14aとの間には、糸通しスライダ40を上方へ付勢する為の圧縮コイルバネ47が外装されている。
【0047】
ここで、オフセット部材48について説明すると、図4〜図8に示すように、糸通し軸31とスライダーガイド軸32には、糸通しスライダ40の背面側で且つ針棒台フレーム13の上支持部14b、下支持部14a間の高さの約3/4長さ範囲において、オフセット部材48が上下動可能に装着されている。このオフセット部材48は、上支持部49と、下支持部50と、これら上支持部49と下支持部50とを連結する鉛直状の連結壁51等から構成されている。上支持部49は、糸通し軸31とスライダーガイド軸32とに挿通され、下支持部50は糸通し軸31のみに挿通されている。
【0048】
針棒18の針棒抱き23の直ぐ上方には、係合片としての糸通し位置決め部材52が固定され、オフセット部材48の上支持部49の右端部分が、この糸通し位置決め部材52に上方から当接可能に構成されている。この上支持部49の右端部分が糸通し位置決め部材52に当接した状態で、糸通しフックが針19の針穴19aの高さ位置に合致するようになっている(図6参照)。連結壁51の左端下部には、オフセット部材カム部53が形成され、このオフセット部材カム部53は、下方に向かう程左側に突出する傾斜部53aと、この傾斜部53aの下端から鉛直下方に延びる平坦部53bであって、糸通しスライダ爪44の爪部44aよりもやや左方に突出する平坦部53bとを有する。
【0049】
後述する上糸カセット2により糸通しスライダ40を、圧縮コイルバネ47の付勢力に抗して図5に示す上限位置から下方に押下げると、糸通し軸31とスライダーガイド軸32とオフセット部材48が追従して下降し、オフセット部材48の上支持部49が糸通し位置決め部材52に当接した状態で停止する(図6参照)。このとき、糸通し軸31とスライダーガイド軸32に対して糸通しスライダ40が相対的に下降するので、摺動ピン33が螺旋状の糸通しスライダカム部43aに沿って移動する。糸通し軸31が平面視にて時計回り方向に所定角度だけ回動して糸通しされる(図9(a)〜(c)参照)。
【0050】
この糸通しのとき、フック機構37が針19に接近する方向に回動され、前記糸通しフックが針穴19aに挿通する。同時に、第2糸案内部材38がフック機構37と同期して時計回り方向(針19から遠ざかる方向)に回動される。糸通しに際して、糸通し軸31の下端部に回動可能に支持された第1糸案内部材35を第2糸案内部材38から離隔する方向に回動させるリンク機構54も設けられている。即ち、糸通し軸31が糸通しの為に回動する前の待機状態のときには、第糸案内部材35が前方向きの姿勢であり、第2糸案内部材38の糸案内部38aは、連結壁36の糸ガイド36aの直ぐ内側に位置している。
【0051】
糸通し軸31が下限位置まで下降した後に回動するときには、フック機構37と第2糸案内部材38とが平面視にて時計回り方向に一体的に回動すると共に、リンク機構54を介して第1糸案内部材35が反時計回り方向に回動する。つまり、第1糸案内部材35は、第2糸案内部材38から離隔移動し且つフック機構37に接近移動するようになっている。尚、リンク機構54付近部には、上糸24を微圧挟持する支持板55、糸案内皿56も設けられている。
【0052】
次に、上糸カセット2について説明する。
【0053】
図1、図10、図14〜図36に示すように、可動操作体としての上糸カセット2は、左右方向幅が小さな縦長の直方体に近い形状のカセットケース57と、糸駒62を収容する糸駒収容部57aと、糸駒収容部57a内に糸駒62を保持する糸駒保持部58と、糸駒保持部58に保持された糸駒62と、糸駒62から繰り出される上糸24を糸出口68まで案内する糸経路59と、天秤機構8の天秤25の糸掛け部26が上下に往復移動する領域である天秤移動領域57bと、糸調子器9を突入させる糸調子器収容部57c等を有する。尚、カセットケース57の底壁のうちの右端近傍部に糸出口68が形成されている。
【0054】
カセットケース57は、合成樹脂製のカセット本体60と開閉蓋61とを有し、カセット本体60の右端部に開閉蓋61が開閉可能に連結されている。但し、開閉蓋61はカセット本体60に対して上下にスライドさせて開閉するように構成してもよい。糸駒62の上糸24の糸色を識別する糸色識別手段として、開閉蓋61は透明な材料で構成され、カセットケース57内の糸駒62の糸色を識別可能となっている。尚、別の糸色識別手段として、例えば、開閉蓋61に糸駒62を視る為の開口穴を形成してもよく、或いは、カセットケース57の表面の一部に糸駒62の上糸24の色と同色のシールを貼ってもよい。
【0055】
図10、図16、図28〜図33に示すように、天秤移動領域57bはカセットケース57内の右側の約1/3幅部分に形成され、糸駒収容部57aはカセットケース57内の左側の約2/3幅部分のうちの上部約2/3部分に形成され、糸調子器収容部57cはカセットケース57内の左側の約2/3幅部分のうちの下部約1/3部分に形成され、カセット本体60内の左端部には糸経路59の為の領域が仕切壁66,99で仕切られている。
【0056】
天秤移動領域57bにおいてカセット本体60の後壁には天秤25の糸掛け部26と後述の糸案内部材106Aを突入させる為の縦長のスリット101が形成されている。糸調子器収容部57cにおいてカセット本体60の後壁と底壁には、糸調子器収容部57cに糸調子器9を導入する為の切欠き部96が形成されている。天秤移動領域57bと糸駒収容部57a及び糸調子器収容部57cの間には鉛直の仕切壁67,100が形成され、糸駒収容部57cと糸調子器収容部57aの間には開閉蓋61側へ突出する水平な支持壁63が形成されている。
【0057】
糸駒保持部58は、糸駒62をその軸心を鉛直向きに保持するように構成されているため、カセットケース57の左右方向の幅を小さくし、カセットケース57及びカセット装着部3の小型化を図ることができる。糸駒保持部58は、支持壁63(収容部の壁部に相当する)と糸駒保持軸64とで構成されている。この支持壁63には糸駒保持軸64が上方に突出するように設けられている。この糸駒保持軸64は、周方向に3つ割りに形成されて拡径方向に弾性変形可能であり、種々のサイズの軸穴を有する糸駒62を保持可能になっている。
【0058】
支持壁63のうち、糸駒62の下端(軸心方向の一端)と当接する部分の前端部には、糸駒62を下方から押して糸駒保持軸64から上方へ取り外す為の凹部65が形成されている。この凹部65は、糸駒62の外周面よりも半径方向内側に窪んだ切欠き状に形成され、上糸24が弛んでも糸駒62と支持壁63の間に上糸24が入り込まないようになっている。
【0059】
次に、糸経路59について説明する。図14、図15、図17〜図21に示すように、糸経路59は、糸駒保持部58に保持した糸駒62からの繰り出し点79を基点とし、糸駒62から上方へ繰り出した上糸24をカセットケース57の糸出口68に導く上糸案内経路である。糸経路59は、第1案内部69と、第1挟持部70と、第2案内部71と、第3案内部72と、第2挟持部73とを有する。糸駒62を糸駒保持部58に保持した状態で、糸駒62から上方へ繰り出された上糸24は、第1案内部69、第1挟持部70、第2案内部71、第3案内部72、第2挟持部73を順に経由してカセットケース57の右端近傍の下端部の糸出口68に導かれる。
【0060】
図17、図19、図22〜図25に示すように、第1案内部69と第1挟持部70は、糸経路59の上流側部分に設けられている。第1案内部69は、カセットケース57の頂部に設けられている。第1案内部69は、カセット本体60に形成されたピン支持部材74と、このピン支持部材74から前方へ突出し更に右方へ曲折した平面視L字状の案内ピン75と、開閉蓋61に形成された糸抜け防止用のリブ76等で構成されている。
【0061】
案内ピン75は、前後方向に所定長さのある糸案内部を有し、この糸案内部を外部に臨ませるように、カセット本体60と開閉蓋61の頂部壁には、矩形切欠き状の開口部77,78が夫々対向状に形成され、外部の糸駒から供給される上糸を開口部77,78から第1案内部69へ導入可能になっている。糸駒62から繰り出された上糸24は、案内ピン75の糸案内部に前後方向に移動自在に掛けられ、これにより糸駒62と第1案内部69間の距離があまり長くない場合でも、糸駒62から上糸24を円滑に引き出すことができる。
【0062】
第1挟持部70について説明すると、図23、図24に示すように、第1挟持部70は、糸経路59の上流側部分において上糸24に通過抵抗を与えると共に上糸に糸よりによる糸の絡まり等が発生するのを防止する為のものであり、この第1挟持部70は、カセットケース57内の左端部の上端付近に設けられている。第1挟持部70は、糸案内部80aを有する押え板80と、この押え板80に上糸24を押圧する板バネ81とを備えた糸より発生防止機構82からなる。
【0063】
押え板80と板バネ81はカセット本体60の仕切壁66に固定されている。
【0064】
押え板80の糸案内部80aは、上方開放の狭幅の切欠きであり、糸案内部80aがカセット本体60よりも前方へ突出している。板バネ81は糸案内部80aの左側面に当接して糸案内部80aとの間に上糸24を挟持し、上糸24に通過抵抗を付与することにより上糸24に糸よりによる糸の絡まり等が発生するのを防止する。
【0065】
次に、図14、図15、図17〜図21、図26、図27に示すように、第2,第3案内部71,72と第2挟持部73は、糸経路59の下流側部分に設けられている。第2案内部71はカセットケース57内の左端部の下端部にあり、第3案内部72はカセットケース57内のうちの糸調子器収容部57cと天秤移動領域57bの境界部の下端部にあり、第2挟持部73はカセットケース57内の右端近傍の下端付近にある。
【0066】
上糸24は、第1案内部69から第1挟持部70へ斜めに延び、この第1挟持部70から第2案内部71へ鉛直に延び、第2案内部71から第3案内部72へ水平に延び、第3案内部72から第2挟持部73へほぼ水平に或いは傾斜状に延びている。このように、上糸24は、カセットケース57の下端部に沿って横断する状態に導かれている。
【0067】
第2案内部71は、カセット本体60の後壁部に設けたピン支持部83と、このピン支持部83に固定されて前方へ突出する案内ピン84と、開閉蓋61に形成された糸抜け防止用のリブ85などからなる。ピン支持部83とリブ85とで上糸24の前後方向位置が適切に設定される。第3案内部72は、カセット本体60の後壁部に設けたピン支持部86と、このピン支持部86に固定されて前方へ突出する案内ピン87と、開閉蓋61に形成された糸抜け防止用のリブ88などからなる。ピン支持部86とリブ88とで上糸24の前後方向位置が適切に設定される。
【0068】
次に、第2挟持部73について説明する。図14、図15、図17〜図21、図33〜図36に示すように、第2挟持部73は、糸出口68の付近において上糸24に通過抵抗を与えるものである。上糸カセット2をカセット装着部3に未装着の状態においても、装着完了しない状態においても、第2挟持部73は上糸24に第1挟持部70よりも強い通過抵抗を与えるように構成してある。そのため、上糸カセット2の装着時に上糸24を天秤25の糸掛け部26と糸調子器9に糸掛けする際に、第2案内部71と第2挟持部73の間で、上糸24が緊張状態を維持するため、天秤25の糸掛け部26と糸調子器9に確実に糸掛けすることができるうえ、その糸掛けに際して必要な上糸24を糸駒62から確実に上糸24を繰り出すことができる。つまり、第3案内部72と第2挟持部73とが、天秤25の糸掛け部26に糸掛けする際にその上糸24を操作する上糸操作部として機能とする。
【0069】
第2挟持部73は、軸心を左右方向に水平に向けた可動の可動軸部材94と、上糸24を案内する案内ピン89と糸保持板90と板バネ部材91などで構成されている。可動軸部材94は、小径の軸部と、カセット本体60の下端部の右側面に対して出没自在の大径の操作用ボタン94aとからなる。この可動軸部材94は、カセット本体60の右端近傍かつ下端近傍部の縦壁部92,93に左右方向へ水平移動可能に装着され、板バネ部材91で右方へ弾性付勢されている。
【0070】
可動軸部材94の左端部には、案内ピン89の後端部が前後方向向きに貫通固着され、案内ピン89と縦壁部93の左側面の間には、案内ピン89との間に上糸24を保持する糸保持板90が固着され、可動軸部材94と共に右方へ付勢された案内ピン89と糸保持板90との間に上糸24を挟持することで、上糸24に通過抵抗を付与するようになっている。
【0071】
図14、図18に示すように、上糸カセット2をカセット装着部3から取り外した状態においては、板バネ部材91の付勢力により、操作用ボタン94aの先端部がカセット本体60の右側面から突出している。そのため、上糸カセット2をカセット装着部3に装着しない状態において、糸駒62から上糸24を繰り出す場合には、操作用ボタン94aを指で押し込むことで、可動軸部材94と案内ピン89を左方へ移動させて第2挟持部73を開放状態にし、第1挟持部70の通過抵抗に抗して上糸24を繰り出すことができる。そして、後述のように、上糸カセット62をカセット装着部3に装着完了した状態では、上糸24に通過抵抗を与えないように第2挟持部73は開放状態となる。
【0072】
図19、図20に示すように、上糸カセット2をカセット装着部3に装着完了した状態においても第2挟持部73を開放状態にする為に、カセット装着部3の右側壁に操作用ボタン94aを逃す為の縦溝部95aと、上糸カセット2の装着完了状態において操作用ボタン94aを退入状態にする上糸開放カム95が形成されている。これらについてはカセット装着部3の説明において後述する。
【0073】
上糸カセット2をカセット装着部3に装着完了した状態では、第2挟持部73は開放状態となるが、上糸カセット57内の糸調子器収容部57cに突入する糸調子器9に上糸24が挟持されて通過抵抗を付与されるため、第1挟持部70と糸調子器9との間の上糸24は緊張状態を維持する。そのため、糸経路59の糸調子器9よりも上流側の上糸24に糸よりによる糸の絡まり等が発生することはない。
【0074】
尚、前記糸調子器9をアーム部6に装備する代わりに、上糸カセット2内に糸調子器9を装備することも可能であり、この場合も前記同様に、第1挟持部70と糸調子器9間の上糸24が緊張状態を維持するため、糸よりにいる糸の絡まり等が発生するのを防止できる。
【0075】
前記のように、上糸24を第1挟持部70で挟持し、かつ糸調子器9の後記糸調子皿間で挟持して通過抵抗を与え、これらの間でその上糸を緊張状態とした場合、糸調子器9の糸調子皿の入口部分で上糸が挟持されて抵抗が加わると、この部分において、その糸本来の構造上のよりがさらに締まる方向に強化されるので、前記第1挟持部70と糸調子器9の糸調子皿との間の上糸部分には、常に、糸本来の構造上のよりがさらに強化された糸よりが発生している。
【0076】
この状態で、もしも、この間の上糸部分が弛んだ場合、この上糸部分のある所で折れ曲がって、この部分を中心として糸同士が直線状やだんご状に絡まる現象が生じる。このような絡まり部分が糸調子器9の糸調子皿に案内されると、その糸調子皿に引っ掛かって糸切れや糸の引きつり等が発生する。
【0077】
しかしながら、前記のように、上糸24を前記第1挟持部70と糸調子器9の糸調子皿とでそれぞれ挟持してこの間の上糸部分を緊張状態としておくことにより、前記のような絡まり現象が発生しない。尚、糸調子器9の糸調子皿を通過した上糸部分は、前記のように強化された糸よりが戻される。
【0078】
次に、上糸カセット2をカセット装着部3に装着する際に、糸調子器9をカセットケース57内の糸調子器収容部57cに突入させる為の構成について説明する。図1、図14、図15、図23、図26、図30、図31に示すように、糸調子器収容部57cの下方において、カセット本体60と開閉蓋61の底壁には、矩形切欠き状の開口部97,98が夫々対向状に形成され、カセット本体60の後壁部には、開口部97に連なる部分長円形状の切欠き部96が形成されている。上糸カセット2の装着の際、切欠部96と開口部97,98を通って糸調子器9が糸調子器収容部57cに突入状に収容される。
【0079】
図1、図3、図11〜図15、図26、図2727、図30、図31に示すように、天秤移動領域57bの下方において、カセット本体60と開閉蓋61の底壁には、矩形切欠き状の開口部102,103が夫々対向状に形成され、カセット本体60の後壁には、開口部102に連なり且つ下端から上端近くまで延びる縦長のスリット101 が形成され、上糸カセット2をカセット装着部3に装着する際に、これら開口部102,103とスリット101 を通って天秤25の糸掛け部26と糸案内部材106Aがカセットケース57内へ突入状に導入される。
【0080】
図21、図22、図24に示すように、カセット本体60の後壁のうちの糸駒収容部57aに面する後壁は、糸駒62の収容のために後方へ部分円筒状に膨出しており、その部分円筒部の下端に対応する部位には、カセット装着部3の後述の受止め部109に上方から係合して上糸カセット2の高さ位置を決定する係合部112 が形成されている。カセット本体60の後壁の左右両端部には、カセット装着部3の後述のガイド溝110,111に夫々係合可能な突条的な係合部113,114 が形成されている。上糸カセット2をカセット装着部3に装着した状態で、開閉蓋61の前面がアーム部6の前面と同一面となし、カセット本体60と開閉蓋61の上壁がアーム部6の上面と同一面をなすように形成されている(図19、図22参照)。
【0081】
次に、上糸カセット2の糸止め部104 について説明する。図25、図30、図35、図36に示すように、カセットケース57の外面部のうち、開閉蓋61の枢支部の面取り部105と、開閉蓋61を閉じた状態でこの面取り部105 に接するカセット本体60との間に、上糸カセット2の外部へ延びた上糸24の糸端側部分を仮止めするように構成され、これら面取り部105とカセット本体60の一部とで糸止め部104 が構成される。但し、糸止め部104Aとして、図35、図36に示すように、カセットケース57の外面部に、ケース側に付勢された板バネ片を設け、この板バネ片に上糸24の糸端部分を仮止めするように構成してもよい。
【0082】
次に、上糸カセット2を上方から着脱自在に装着する為のカセット装着部3について説明する。図1、図2、図4、図21に示すように、操作体装着部としてのカセット装着部3は、ミシンのアーム部6の先端側部分(アーム頭部)の前面部に正面視にて縦長の長方形状に且つほぼ左右に細長の長方形断面溝状に形成されている。カセット装着部3の右端側部分には、天秤25の糸掛け部26が往復移動する上下に細長い天秤移動領域27が設けられ、この天秤移動領域27を除くカセット装着部3の大部分は天秤移動領域27の左側に位置している。
【0083】
糸駒保持部58に保持した糸駒62の軸心を天秤25の糸掛け部26の往復移動方向とほぼ平行にして、鉛直方向上方から上糸カセット2を装着したり、鉛直上方へ上糸カセット2を取り外したりできるようにカセット装着部3の上端と下端は開放状に形成されている。カセット装着部3の中央よりもやや左側部位の下端付近には、糸調子器9がその軸心を前後方向向きにして前方へ突出する状態に設けられている。カセット装着部3の後壁の下部には、上糸カセット2の係合部112を受け止めて、上糸カセット57を所定の高さ位置に位置決めする段状の受止め部109 が形成されている。カセット装着部3の左側壁と右側壁の後端付近には、上糸カセット2の係合部113,114を夫々摺動自在に導入して案内するガイド溝110,111 が夫々形成されている。
【0084】
次に、第2挟持部73を開放状態に切換える為にカセット装着部3に設けた上糸開放カム95について説明する。図18、図20に示すように、カセット装着部3の右側壁の後部には、前記の縦溝部95aとその終端側に位置する上糸開放カム95が形成されている。縦溝部95aはカセット装着部3の上端から下端付近部まで連続しており、上糸開放カム95は縦溝部95aの下端にテーパ部95bを介して連続し縦溝部95aよりも左側へ突出している。
【0085】
従って、図17、図18に示すように、上糸カセット2をカセット装着部3に装着して装着完了直前まで、カセット本体60の右側面から突出した操作用ボタン94が溝部95aに沿って移動する。このとき、第2挟持部73は上糸24に通過抵抗を付与する。上糸カセット57をカセット装着部3に完全に装着し上糸カセット57の装着が完了した状態では、操作用ボタン94が上糸開放カム95に当接して左方へ押動された状態となる。このとき、第2挟持部73は開放状態となり、上糸24に通過抵抗が付与されなくなる。
【0086】
次に、天秤機構8について詳しく説明する。
【0087】
図11〜図14に示すように、この天秤機構8は、上糸カセット2をカセット装着部3に装着する動作に連動して糸掛け部26に上糸24を糸掛けできるように工夫した特有の構造のものである。この天秤機構8は、カム式天秤機構を例としているが、リンク式天秤機構にも同様に、以下の構成を適用可能である。
【0088】
この天秤機構8は、主軸の駆動力で天秤クランク20を介して駆動される天秤25と、この天秤25の糸掛け部26の移動軌跡の全長に沿って湾曲状に延びる糸案内隙間108を形成する糸案内部材106Aを有し、この糸案内隙間108に上方から上糸24を導入して糸掛け部26に糸掛け可能に構成してある。
【0089】
糸案内部材106Aは、天秤25の先端部(糸掛け部26)の移動軌跡の全長に沿って湾曲状に延び糸案内隙間108を空けて前後に離隔した1対の糸案内具106 からなる。1対の糸案内具106は下端部で連続した1本の線状部材(金属製又は合成樹脂製)で構成され、後側の糸案内具106 の上端部分が後方へ水平に延びてミシン機枠の頂部枠に枢支金具107 を介して回動自在に支持され、糸案内部材106Aの下端部は自由端をなしている。前側の糸案内具106の上端部は前側へ屈曲されて、糸案内隙間108へ上方から上糸24を導入する為の導入口108aが形成されている。尚、糸案内部材106Aと天秤25の糸掛け部26は、カセット装着部3の後壁の開口からカセット装着部3内へ突出している。
【0090】
天秤25の先端側部分には、先端側所定長さ部分を後方へ折り返すことで形成された平面視にてU形の案内部25aが設けられている。1対の糸案内具106 はU形案内部25aを相対摺動自在に挿通しており、U形案内部25aが上下に往復運動するとき、1対の糸案内具106は上端部において回動しながらU形案内部25aで案内されるため、U形案内部25aに対する摺動抵抗も小さく、騒音も殆ど発生しない。U形案内部25aのうちの1対の糸案内具106の間(つまり、糸案内隙間108 )に対応する部位には、上方から上糸24を掛ける糸掛け部26であって上面に上糸を掛けるU形凹部を有する糸掛け部26が形成されている。
【0091】
従って、糸駒62の軸心を天秤25の糸掛け部26の往復移動方向とほぼ平行にして、上糸カセット2を鉛直上方から装着するとき、その装着動作に連動して自動的に、上糸カセット57の第3案内部72と第2挟持部73の間の上糸24を導入口108aから糸案内隙間108に導入して天秤25の糸掛け部26に簡単に掛けることができる。尚、糸案内部材106Aは、線状部材ではなく、金属製又は合成樹脂製の板状部材で構成してもよい。
【0092】
次に、上糸カセット2の作動を自動糸通し機構10に伝達する伝達機構115 について説明する。図5〜図8に示すように、この伝達機構115 は、上糸カセット2の作動を糸通しスライダ作動機構116を介して自動糸通し機構10に伝達すると共に、糸通し位置決め部材52との係合により解除作動する係合機構117 が設けられている。この糸通しスライダ作動機構116は、糸通しスライダ作動部材軸118 (以下、軸118 という)と、糸通しスライダ作動部材119 と、糸通しスライダ作動部材レバー120 (以下、レバー120 という)と、糸通しスライダ作動爪121(以下、作動爪121 という)と、糸通しスライダ作動爪バネ122 (捩じりバネ122 )と、糸通しスライダ作動部材ストッパー123 (以下、ストッパー123 という)等から構成されている。
【0093】
図4、図5、図10に示すように、カセット装着部3の近傍においてアーム部6内には、軸118 が鉛直方向に支持され、この軸118 に側面視略コ字形状の糸通しスライダ作動部材119が上下動可能に支持されている。糸通しスライダ作動部材119 には平面視コ字形状のレバー120 が固着され、このレバー120 の前板部のうち右端の略中段部に、板状のレバー部120aが前方に突出するように設けられている。レバー部120aの先端部は、アーム部6内からカセット装着部3の受止め部109を貫通して所定長さ突出するように形成されている。受止め部109 の略中段部から下端にわたりスリット124 が形成され、レバー部120aがこのスリット124 に沿って上下動可能に構成されている。
【0094】
軸118 の上端近傍の天板にはブラケット125 が固着され、軸118 の背面側で且つストッパー123 とレバー120 とにわたり引張コイルバネ126 が介装され、レバー120(つまりレバー部120a)を上方に付勢するようになっている。尚、上糸カセット2の装着完了状態(縫製位置)を保持するため、引張コイルバネ126 の付勢力よりも糸保持ボタン94とカム95間に作用する摩擦抵抗が大きくなるように構成されている。
【0095】
係合機構117 について説明すると、図4〜図8に示すように、レバー120 の右端側上部には、作動爪121 が枢支されている。この作動爪121 は、その下端部が糸通しスライダ爪44の爪部44aに係合可能なロック位置と、爪部44aとの係合状態が解除された解除位置とにわたって揺動可能に構成されている。但し、枢支軸127には、糸通しスライダ作動部材119 、作動爪121 間に作用する捩じりバネ122 が外装され、作動爪121 をロック位置側に付勢するようになっている。
【0096】
作動爪121 の下端部は、オフセット部材カム部53に対して当接離隔可能に構成され、糸通しスライダ作動部材119 をロック位置の状態で下方に押し下げると、作動爪121の下端部がオフセット部材カム部53の傾斜部53aに当接し傾斜部53aに沿って左方に移動し、オフセット部材48の上支持部49の右端部分が、糸通し位置決め部材52に上方から当接した状態で、図6に示すように、解除位置に切り換わって係合機構117が解除作動されるように構成されている。作動爪121 が解除位置に切換わると、糸通しスライダ40及びオフセット部材48は、図6に示す下限位置から圧縮コイルバネ46,47の付勢力により上方復帰するようになっている。
【0097】
ストッパー123 について説明すると、図4〜図8に示すように、ブラケット125 の左端部には、ストッパー軸128 が前後方向向きに支持され、このストッパー軸128に側面視略逆L字形状のストッパー123 が枢支されている。ストッパー123 は、ストッパー軸128 から略鉛直下方向きに延びる鉛直部129 と、ストッパー軸128から略水平右向きで且つ針棒18の上方位置まで延びる水平部130 と、これら鉛直部129 と水平部130 を図8において時計回り方向に付勢する前記引張コイルバネ126(図10参照)とを有する。鉛直部129の下端部には、下方に向かう程左斜め向きに傾斜する傾斜部131 が形成されている。
【0098】
傾斜部131 と鉛直部129 の交差する左端部分にストッパー部132 (段部に相当する)が形成され、糸通しスライダ作動部材119 の下端部には、このストッパー部132に上方から係合可能なストッパー係合部119aが形成されている。針棒18の上端つまりストッパー123 が(イ)から(ロ)の適正範囲にある場合(図8参照)には、上糸カセット2により糸通しスライダ作動部材119が図5に示す上限位置から下方に移動するとき、ストッパー係合部119aがストッパー123 の傾斜部131 に接触し、その後、傾斜部131 の左端に対して糸通しスライダ作動部材119のガイド壁119bが摺動する。
【0099】
糸通しスライダ作動部材119 の下方移動に伴い、ストッパー123 が引張コイルバネ126 の付勢力に抗して反時計回り方向に揺動するから、糸通しスライダ作動部材119は上限位置から図6に示す下限位置まで移動可能となる。針棒18の上端が適正範囲外にある場合には、ストッパー123 が(ロ)の位置(図8参照)から更に時計方向回りに揺動する。この状態で糸通しスライダ作動部材119を下方に移動させようとしても、ストッパー部132 に対してストッパー係合部119aが係合するから、糸通しスライダ作動部材119 は移動不可能となり、糸通しが禁止される。
【0100】
図7に示すように、糸通しスライダ作動部材119 のガイド壁119bが、ストッパー123 の傾斜部131 に摺動することで、ストッパー123 の水平部130 の高さ位置が規制されて、最上位置のときの針棒18の上端と水平部130との間に微小隙間Sが形成され、針棒18とストッパー123 との打撃音の発生を防止している。
【0101】
次に、糸調子器9と、糸調子器9の為の連動機構134 について説明する。
【0102】
連動機構134 は、上糸カセット2のカセット装着部3への装着動作の途中において上糸カセット2により1対の糸調子皿133 を開放させ且つ装着動作の完了時には糸調子皿133
を閉じさせる機構である。
【0103】
図4、図10、図16、図37〜図45に示すように、糸調子器9は、上糸カセット2がカセット装着部3に装着された状態ではカセットケース57内の糸調子器収容部57cに突入する。糸調子器9は1対の糸調子皿133 と、これら糸調子皿133 を支持する軸部材と、後側の糸調子皿133 の後側にある作動板139 と、後側の糸調子皿133と作動板139を前方へ弾性付勢するバネ部材と、糸調子皿133 の付近で上糸24を弾性的に支える糸調子バネ135 と、バネ力調節用の糸調子ダイヤル136などを備えた一般的な構造のものである。
【0104】
図37〜図45に示すように、連動機構134 は、上糸カセット2の後側面に形成されたカム部137と、縦向きのレバー状のカム従動部材138 と、回動アーム151とを有する。カセット本体60の後壁のうち左端側部分の上半部には、後方にやや突出する突条のようなカム部137 が形成されている。糸調子器9を支持するフレーム140の上部にはブラケット141が形成され、このブラケット141 には、カム従動部材138 の長さ方向途中部が左右方向向きの水平ピンにて回動自在に支持され、このカム従動部材138は捩じりバネ144 により図41において時計回り方向へ付勢されている。
【0105】
カム従動部材138 の上端部にはローラ142 が遊転可能に枢着されている。
【0106】
カセット装着部3の後壁の左側部分には、上糸カセットのカム部137 を後方へ突出させるスリット143 (図14参照)が形成され、このスリット143から後方へ突出したカム部137 にローラ142 が当接可能になっている。回動アーム151 の右端部は縦向きのピンにてベース板155 の下板部にピン連結されて水平回動可能であり、カム従動部材138の下端部が回動アーム151 の左端部分の後面に当接し、回動アーム151 の突部151aが作動板139 に当接可能になっている。
【0107】
カム部137 の形状とローラ142 の位置を適切に設定することで、上糸カセット2の装着途中において糸調子皿133 を開かせて1対の糸調子皿133 と糸調子バネ135に糸掛けし、その後上糸カセット2の装着完了時に糸調子皿133 を閉じるように構成してある。即ち、上糸カセット2がカセット装着部3に装着されて上糸カセット2が糸調子器9の上方所定距離まで達したときに、カム部137にローラ142 が乗り上げてカム従動部材138 が図41において反時計回りに回動し、回動アーム151 と作動板139 とで糸調子皿133 を開かせる。
【0108】
その状態で上糸カセットが下降して来ると、第2、第3案内部71,72間の上糸24が1対の糸調子皿133 の間に糸掛けされ、その後上糸カセット2が装着完了状態になる頃カム部137は低くなりローラ142 を後方へ押さなくなるので、回動アーム151 が後方へ復帰回動し、作動板139 が後方へ復帰移動し、1対の糸調子皿133 が閉じた状態になる。尚、以上の上糸カセット2の装着時の連動機構134の作動は、押え上げレバー29の位置(下方回動位置または上方回動位置)に関係なく生じる。
【0109】
次に、通常のミシンと同様に、押え上げレバー29の操作で1対の糸調子皿133 を開かせる機構は、周知の機構であるので簡単に説明する。図37〜図45に示すように、押え上げレバー29の上端部は機枠に回動自在に枢支され、この押え上げレバー29のカム部29aに係合した係合アーム152の上端部も機枠に回動自在に枢支されている。係合アーム152 は連結ロッド153 により水平な三角板154 の後端部に連結されている。三角板154 は機枠側のベース板155下板部の下側に配設され、この三角板154 の前端部の左端部がベース板155 の下板部に縦向きのピンにて回動自在に枢着され、三角板154 の前端部の右端部が作動板139に当接している。従って、押え上げレバー29が下方回動位置にあるとき、連結ロッド153 が右方へ引っ張られないので三角板154 が回動せず、糸調子皿133 が閉じた状態を保持する。押え上げレバー29を上方回動位置に切換えると、連結ロッド153が右方へ引っ張られるため三角板154 が回動して糸調子皿133 が開いた状態となる。なお、カム従動部材138、作動板139及び回動アーム151 は作動部材を構成する。
【0110】
次に、前記ミシン1の作用と上糸カセット2の作用について説明する。
【0111】
図14、図23〜図27に示すように、上糸カセット2をカセット装着部3に装着してない状態において、上糸カセット2の開閉蓋61を開き糸駒62を糸駒保持部58に装着する。次に、糸駒62から引き出した上糸24を第1案内部69に掛け、第1挟持部70の糸案内部80aに掛けて板バネ81で押圧する。次に、その上糸24を第2,第3案内部71,72に順々に掛け、第2挟持部73の案内ピン89と糸保持板90との間に挟持させる。
【0112】
次に、板バネ部材91の付勢力に抗して操作用ボタン94aを指で押圧し、案内ピン89を糸保持板90から離隔させてから、上糸24を外部へ所定長さ引っ張り出し、その後操作用ボタン94aを押圧するのを解除して第2挟持部73により上糸24を挟持し、開閉蓋61を閉じる。尚、上糸カセット2への糸掛け手順を判り易くするため、第1案内部69、第1挟持部70、第2,第3案内部71,72、第2挟持部73の各近傍に糸掛け順指示マークを貼着し、そのマークの順番に従って糸掛けさせるように構成してもよい。
【0113】
一方、ミシン1が縫製停止状態のときには、通常針棒18は針上位置に停止しており、天秤25の糸掛け部26は図13に示す糸締め側の略中段位置に停止している。この状態において、カセット装着部3に上方から上糸カセット2を装着していく。カセット装着部3は上方と下方の両方に開放されているため、上糸カセット2の糸出口68から約20cm程度引出された上糸24は、カセット装着部3の下方に鉛直向きに垂れ下がる。尚、縫製開始時には、天秤25の糸掛け部26は前記の糸締め側の略中段位置から上昇してから下降することになる。
【0114】
図15、図16に示すように、上糸カセット2の装着途中において、上糸カセット2の係合部112 がレバー部120aに当接した状態で上糸カセット2を一旦停止させる。このとき、図15に示すように、第3案内部72と第2挟持部73との間の上糸24が糸案内隙間108に導入されて天秤25の糸掛け部26に掛かった状態になっている。この場合、第2挟持部73は第1挟持部70よりも強い通過抵抗を与えるから、上糸24がカセット2内に引き戻されることなく糸駒62から上糸24が必要量繰出される。尚、この移動停止位置を確認する為の1対の合印146が上糸カセット2とミシン1に設けられている。
【0115】
次に、上糸カセット2の糸出口68から下方に垂れ下がった上糸24を、針棒糸掛け147 と糸ガイド36aに順に掛け、支持板55と糸案内皿56との間に微圧にて挟持させた後、糸端を図示外の糸切り刃で切る。次に、図17に示すように、上糸カセット2を引張コイルバネ126の付勢力に抗して下方に押下げると、上糸カセット2の作動が伝達機構115を介して自動糸通し機構10に伝達され、針穴19aへ上糸24を通す糸通しが実行される。上糸カセット2の糸通し作動部としての係合部112がレバー120 の先端のレバー部120aを下方へ移動させるため、上糸カセット2の移動が伝達機構115 に伝達される。これと並行して、天秤25に対して上糸カセット57が相対的に下方移動するため、第3糸案内部72と第2挟持部73間の糸経路が長くなる関係上、糸駒62からの上糸24の繰り出しがなされる。
【0116】
このとき、既述の如く、連動機構134 により糸調子器9の糸調子皿133 を開放させ、第2,第3案内部71,72間の上糸24が糸調子皿133 の間と糸調子バネ135に糸掛けされる。第1挟持部70と第2挟持部73とにより両部間の上糸24に一定の張力を付与しているから、天秤25、糸調子皿133 、糸調子バネ135 に確実に上糸24が掛かることになる。第2挟持部73は第1挟持部70よりも強い通過抵抗を上糸24に与えるから、上糸24が第2挟持部73を逆流してカセット2内に引き戻されることはなく、前記のような糸掛けに必要な量の上糸24は糸駒62から確実に繰り出される。しかも、第1挟持部70から第2挟持部73間の上糸24に弛みが生じないため、その上糸24に糸よりによる糸の絡まり等が生じることもない。
【0117】
図19、図20に示すように、上糸カセット2をカセット装着部3に装着完了した状態(即ち、受止め部109 に係合部112 が上方から係合した状態)においては、連動機構134により糸調子皿133 が閉じ、糸通しスライダ作動部材119 は上糸カセット2により最下位置に保持されたまま、糸通し軸31とスライダーガイド軸32が上方へ復帰して針穴19aに上糸24が通される。また、図20に示すように、操作用ボタン94aが糸開放カム95で左方へ押動され、案内ピン89が糸保持板90から離隔して第2挟持部73が開放状態となり、上糸24が開放されて縫製可能状態となる。
【0118】
しかも、上糸カセット57の装着が完了した状態において、1対の糸調子皿133 が閉じ、第2挟持部73が開放状態になった場合でも、第1挟持部70で上糸24を挟持し、上糸24に通過抵抗を与えるようになっているため、上糸カセット57内の上糸24に糸よりによる糸の絡まり等が生じることはない。その結果、縫製中に糸の絡まりによる糸切れが生じにくくなる。このカセット装着部3に上糸カセット2を装着した状態において、糸案内部材106Aと天秤25の糸掛け部26が上糸カセット57内へ突出し、天秤25の糸掛け部26が上糸カセット2内をほぼ鉛直方向に往復移動可能となる。
【0119】
ここで、図19に示すように、カセット本体60の糸調子器収容部57cにおいて、糸調子器の下流側に、下方に切欠き状に形成された糸案内部を含む上糸押え部材180 (鎖線で図示)を設け、上糸カセット2のカセット装着部3への装着動作により糸調子器9からその下流側に延びた上糸24を下方に押下げ配置するようにしてもよい。この場合、上糸24の糸調子器9の軸部材への接触部分が増し上糸24が不意に外れたりしなくなるし、糸調子バネ135による上糸24の取り上げ量を多くすることができる。上糸カセット2を取り外す際には、上糸24を上糸押え部材180 から簡単に解離することができる。
【0120】
以上のように、上糸カセット57をカセット装着部3に装着した状態で、糸駒62から上糸24を供給しながら縫製を行うことができる。上糸24の糸色を変更したり、上糸24を補充したりする為に、上糸カセット2をカセット装着部3から取外す際には、上糸カセット2の下端を指で上方へ押すことにより簡単に取外すことができる。
【0121】
その取り外し後、上糸カセット2内には、天秤25と糸調子器9から外された弛み糸が残るので、操作用ボタン94aを指で押して第2挟持部73を開放状態に切換え、その状態のまま上糸カセット2内の弛み糸を外部へ引き出し、カセット外周に巻き付けて上糸24の糸端部分を糸止め部104又は糸止め部104 A に仮止めする。その後、操作用ボタン94を復帰させて第2挟持部73を閉じた状態にする。
【0122】
図46、図47に示すように、前記開口部77,78は、上糸カセット2の外部の糸駒62Aから延びた上糸を第1案内部69に導入する導入用開口部77,78でもあり、上糸カセット2内の糸駒62を取り外した状態で、上糸カセット2の外部の上糸24を使用して縫製する場合には、その糸駒62Aから延びた上糸24を導入用開口部77,78から第1案内部69へ導き、糸経路59を通って糸出口68に導くことができる。例えば、図48に示すように、針として2本針19Aを適用する場合には、上糸カセット2内部の糸駒62の上糸24と、外部の糸駒62Aの上糸24とを糸経路59を通して糸出口68に導き、2本の上糸24を2本針19Aに供給することが可能となる。
【0123】
本実施形態に係るミシン1と上糸カセット2は次の効果を奏する。
【0124】
1)上糸カセット2内に糸駒62を収容し、上糸カセット2を交換することで糸駒62を交換可能にしたので、上糸24の交換が簡単になった。特に、上糸カセット2の装着動作に連動して、天秤25の糸掛け部26と糸調子器9の糸調子皿133と糸調子バネ135 とに自動的に糸掛けするので、糸掛けの操作が非常に簡単になり能率的に行うことができる。上糸カセット2の装着動作に連動して、自動糸通し機構10を作動させて針穴29aに自動的に糸通しするので、糸通しも非常に簡単になり、上糸24の交換を迅速に能率的に行うことができる。
【0125】
特に、縫製を停止し、針棒18を針上位置に停止させると共に天秤25の糸掛け部26を糸締め側の位置に停止させた状態で、天秤25の位置を変えることなく、上糸カセット2を装着して天秤25の糸掛け部26と糸調子器9に糸掛けできるため、上糸カセット2の装着と糸掛けの操作が非常に簡単で能率的に行うことができる。しかも、上糸カセット2を上方から直線的に移動させることでカセット装着部3に装着でき、また、装着状態の上糸カセット2を上方へ直線的に移動させて取り外すことができるため、上糸カセット2の着脱操作が簡単で、上糸カセット2を迅速に交換できる。
【0126】
また、上糸カセット2のカセットケース57が透明であり、内部の糸駒62の糸色を容易に識別できるため、上糸24の交換、或いは上糸カセット2の交換の際に便利である。上糸カセット2の内部の糸駒62を支持する支持壁63に凹部65を形成したので、この凹部65に指をかけて糸駒62の下端を押し、糸駒62を糸駒保持部58から簡単に取り外すことができる。
【0127】
2)上糸カセット2内に糸駒62をその軸心を縦向きにして保持し、その糸駒62から上方へ上糸24を繰り出し、糸経路59を通って糸出口68に導くように構成したので、上糸カセット2の左右方向幅を小さくすることができる。或いは、糸駒62の軸心と糸駒62からの上糸24の繰り出し方向を天秤25の糸掛け部26の往復移動方向とほぼ平行にして上糸カセット2をカセット装着部3に装着するように構成であるため、上糸カセット2の左右方向幅とカセット装着部3の左右方向幅を小さくすることができる。
【0128】
このように、上糸カセット2は、左右方向幅の小さな縦長の直方体に近い小型のものであるので、天秤25の糸掛け部26の往復移動領域とその左側の部位に、つまりアーム頭部にカセット装着部3を配置することができた。その結果、天秤25の糸掛け部26の往復移動領域と重なる領域にカセット装着部3を形成することができスペース的に有利である。また、アーム部6の内部機構と干渉させずにカセット装着部3を極力後方に配置することができ、これにより上糸カセット2を装着した状態で上糸カセット2がアーム部6の前面及び上面から突出せず、アーム部6の外観も低下せず、アーム部6の前面のデザイン上の自由度も確保できる。
【0129】
3)上糸カセット2内の糸経路59の上流部に上糸24に常時通過抵抗を与える第1挟持部70を設け、上糸カセット24を装着した状態で、第1挟持部70と糸調子器9間の上糸24を緊張状態に維持するため、糸よりによる糸の絡まりの発生を防止でき、縫製中に糸の絡まりに起因する糸切れや糸のひきつりを防止できる。
【0130】
そして、糸出口68の付近に第2挟持部73を設け、上糸カセット2の装着前や装着完了前には上糸24に通過抵抗を与えるようにし、第2挟持部73は第1挟持部70よりも強い通過抵抗を与えるため、上糸カセット2の取扱中に上糸24が勝手に繰り出されることもなく、また、上糸カセット2の装着時に天秤25の糸掛け部26と糸調子器9に糸掛けする際に、上糸を糸駒62から確実に繰り出すことができる。
【0131】
そして、上糸カセット2を装着しない状態では、操作用ボタン94aを指で操作して第2挟持部73を開放させ、上糸24を自由に繰り出すことができる。
【0132】
上糸カセット2の装着完了後には操作用ボタン94aを上糸開放カム95で押圧して第2挟持部73を開放状態に切換えるため、縫製中には第2挟持部73の通過抵抗が上糸24に作用せず、上糸24の繰り出しが円滑になる。
【0133】
上糸カセット2をカセット装着部3から取り外した際にカセットケース57外へ延びる上糸24をカセットケース57の外面に巻付けて、その糸端部分を糸止め部104,104Aに止めることができるので、非常に便利である。
【0134】
4)上糸カセット2の頂部に第1案内部69と、前後に細長い開口部77,78と、これに平行に臨む案内ピン75の糸案内部とを設けたため、上糸24が案内ピン75に沿って自由に移動でき、その上糸24を糸駒62から抵抗なく円弧を描くようにして円滑に繰り出すことができるうえ、上糸カセット2の外部に配置した糸駒からの上糸を開口部77,78から上糸カセット2内に導入し、その内部の糸経路59により糸出口68に導いて縫製に供することができる。そのため、針19の代わりに2本針を装着して2本の上糸で縫製する際に、上糸カセット2内の糸駒62と上糸カセット2外のアーム部6の頂部の糸駒保持部に保持した糸駒とから上糸を供給して縫製することができる。
【0135】
5)上糸カセット2の装着動作に連動して糸調子器9を開放状態にし、上糸カセット2の装着後には糸調子皿133 を閉じる連動機構134 を設けたため、前記のように上糸カセット2の装着動作に連動して糸調子器9に糸掛けすることができる。尚、カセット装着部3の下端側部分に糸調子器9を配置したので、上糸カセット2をカセット装着部3に上方から装着する装着動作と連動して糸調子器9に糸掛けするのに特に有利である。
【0136】
6)天秤機構8は特有の構造のものであり、上糸カセット2の装着動作に連動して糸掛け部26に糸掛けするのに好適のものである。即ち、天秤25の糸掛け部26の移動軌跡の全長に沿って延びる湾曲状の糸案内隙間108を形成する糸案内部材106Aを設け、糸案内隙間108 の上端の導入口108aから上糸24を導入して糸掛け部26に糸掛け可能に構成してある。そのため、糸導入口108aは糸掛け部26の移動軌跡から後方へ後退しない位置にあるから、天秤25の糸掛け部26を前記の糸締め側の位置(針棒18の針上停止位置に対応する位置)に停止させたまま、上糸カセット2のカセット装着部3への装着動作と連動して糸掛け部26に糸掛けすることができる。
【0137】
しかも、糸案内隙間108 は、糸掛け部26の移動軌跡の全長にわたるものであり、糸案内部材106Aをなす1対の糸案内具106 を天秤25のU形案内部25aに相対摺動自在に挿通させてあるので、縫製時に天秤25が上下に往復移動しても、上糸24は糸案内具106で案内され、糸掛け部26から外れることはない。
【0138】
また、後側の糸案内具106 の上端部を回動自在に枢支してあるため、天秤25のU形案内部25aで1対の糸案内具106 を案内できるから、1対の糸案内具106 を線状部材のような加工し易い材料で安価に構成できるうえ、U形案内部25aと1対の糸案内具106間に摺動抵抗が殆ど作用しなくなり、摺動音も殆ど生じない。
【0139】
7)前記自動糸通し機構10において、針棒18が針上位置のうちの所定高さ範囲にある場合に限り、つまり、ストッパ123が図8の(イ)〜(ロ)の適正範囲にある場合に限り、上糸カセット2の装着動作と連動する針穴19aへの自動糸通しが可能になっているため、針棒18の位置が不適切なまま、上糸カセット2を装着して針穴19aへの糸通しミスを起こすおそれがなく、操作の信頼性、操作性に優れる。しかも、針棒18が針上停止する位置に誤差が生じることに鑑み、糸通しスライダ40と、針棒18に設けた糸通し位置決め部材52との係合を介して、針棒18に対する自動糸通し機構10の高さ位置を合致させるように構成してあるため、針穴19aに確実に糸通しすることができる。
【0140】
次に、前記実施形態を部分的に変更した変更更形態について説明する。
【0141】
図49は、前記ミシン1の制御系の概要を示すものであり、制御ユニットには針上、針下検出センサ、主軸位相角検出センサ、その他図示外のセンサやスイッチ類からの信号が入力される。制御ユニットは、ミシン制御用の種々の制御プログラムに基づいて制御を行うコンピュータと複数の駆動対象機器の為の複数の駆動回路などを有する。この制御ユニットによりミシンモータ、針振り用ステッピングモータ、布送り用ステッピングモータ、などが駆動制御される。
【0142】
前記針棒18が針上位置にある場合にのみ、カセット装着部3への上糸カセット2の装着を許可し、針棒18が針上位置以外の位置にある場合には上糸カセット2の装着を禁止する為に、カセット装着部3の上端付近にはカセット装着部3内へ出没可能なストッパを設け、このストッパを出没駆動する例えばソレノイドアクチュエータなどからなる電動アクチュエータを設け、針上、針下検出センサからの検出信号に基づいて制御ユニットにより電動アクチュエータを駆動制御し、針棒18が針上位置にある場合にのみストッパを退入位置に保持することで上糸カセット2の装着を許可し、針棒18が針上位置以外の位置にある場合にはストッパを進出位置に切換えて上糸カセット2の装着を禁止する構成とする。
【0143】
次に、本発明の別実施形態について図面を参照して説明する。
【0144】
但し、前記実施形態と同じ部材には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0145】
図50〜52に示すように、別実施形態に係る電子制御式ミシン1Aにおいて、アーム部6の先端側部分のうちの天秤25の糸掛け部26が上下に往復移動する天秤移動領域とその近傍部の前面部には操作体装着部200が形成され、この体装着部200 に着脱可能に装着される可動操作体としての糸掛け用操作体201 と、糸調子器9と、抵抗付与部205 と、糸掛け用操作体201 の装着動作に連動して糸調子器9の糸調子皿133と抵抗付与部205 を開閉させる連動機構202 (図58参照)などが設けられている。
【0146】
最初に糸経路について説明すると、図50〜図52に示すように、アーム部6の基端側の頂部に横向きに保持された糸駒62Aから延びる上糸24は、順次、アーム部6の上面側部分に形成された左右方向向きの糸案内溝203、操作体装着部200 、アーム部6の先端側の前面部に形成された縦向きの糸案内溝204 を経由して針棒糸掛け147 、糸ガイド36a、糸案内皿56に掛けられる。糸案内溝203にはその上流側から順に抵抗付与部205 と糸調子器9が配設されている。操作体装着部200 の中央部において上下に往復移動するように天秤25の糸掛け部26がが配設されている。尚、糸調子器9のバネ力を調節する為の糸調子ダイヤル206も装備されている。
【0147】
次に、糸掛け用操作体201 について説明する。
【0148】
図50、図51、図54、図55、図57〜図59に示すように、糸掛け用操作体201 は、鉛直方向に細長い略直方体状のもので、操作体装着部200 に対して少なくとも所定範囲内で移動可能である。糸掛け用操作体201は、上端から下端のやや上方まで連なる前壁部201cと、左側壁201aと、右側壁201bとを有する。左側壁201aの後端には左方へ折曲された被案内部208 が形成され、この被案内部208が操作体装着部200 のスリット200aで上下動可能に案内される。右側壁201bの後端には右方へ折曲された被案内部208bが形成され、この被案内部208bが操作体装着部200の案内溝200bで上下動可能に案内される。糸掛け用操作体201 の前壁201cは、操作体装着部200 の前側の案内壁部200cで上下動自在に案内可能に構成してある。
【0149】
左側壁201aと右側壁201bの下端面は水平に形成され、右側壁201bの下端部は糸掛け用操作体201 を操作体装着部200 に挿入装着する際に、糸調子器9から天秤25に延びる上糸24を操作して糸掛け部26に糸掛けする上糸操作部である。
【0150】
糸掛け用操作体201 の上端部には、前方にやや突出する突出部209 が形成され、この突出部209 に指をかけて糸掛け用操作体201 を上方移動させ操作体装着部200から離脱可能になっている。
【0151】
図50、図53〜図55、図62に示すように、被案内部208 の下端部には、上糸24を針穴19aに糸通しする際に自動糸通し機構10を作動させる糸通し作動部としての作動部208aが形成されている。糸通しスライダ作動機構116において、レバー120 には右端の上段部から前方にL字状に突出するレバー部120bが形成され、糸掛け用操作体201 の装着動作の途中からレバー部120bを上方から押動駆動し、前記実施形態と同様の自動糸通し機構10を作動させる。
【0152】
操作体装着部200 の壁面には、操作体装着部200 から離脱させた糸掛け用操作体201 を図54に示す最上位置に保持する板バネ210 がビス止めされている。尚、糸掛け用操作体201を操作体装着部200 から取外し可能に構成してもよく、この場合には、天秤25の糸掛け部26への糸掛けが簡単になる。操作体装着部200 は、アーム部6の前面近傍部であって天秤移動領域の近傍部に、糸掛け用操作体201を鉛直に直線的な移動にて装着可能に形成され、糸掛け用操作体201 を円滑に挿入装着できるように構成してある。
【0153】
次に、糸掛け用操作体201 の装着の動作を糸調子器9に連動させる連動機構202 について説明する。図53〜図62に示すように、連動機構202 は、カム部211とカム従動部材212 と作動板213 とを有し、糸掛け用操作体201 を操作体装着部200 に装着する装着動作の途中において糸掛け用操作体201 により糸調子器9の糸調子皿133と抵抗付与部205 を開放させ且つ装着動作の完了時には糸調子皿133 と抵抗付与部205 を閉じるようになっている。即ち、図54に示すように、糸掛け用操作体201の右下半部には、上下方向に沿ってカム部211 が形成され、このカム部211 には下方から順に、傾斜部211a、平坦部211b、傾斜部211c、平坦部211dが形成されている。
【0154】
ミシン機枠に枢支された支軸214 には、カム従動部材212 の下端部が回動自在に支持されている。このカム従動部材212 は、2枚のレバー部215,216 と、これらレバー部215,216を下端部にて一体的に連結する連結部217 と、カム従動ピン218 などを有する。2枚のレバー部215,216 は、適当間隔空けて平行に且つ側面視で約15度の位相角となるように配設され、レバー部215の一端即ち上端部には、カム従動ピン218 が左方に突出するように付設され、このカム従動ピン218 がカム部211 に当接可能に構成されている。
【0155】
図54、図58に示すように、糸調子器9 には、レバー部216 の上端部(カム従動部材の他端部)で押動駆動される作動板213 が設けられ、この作動板213 に押動駆動されて糸調子皿133が開放する。支軸214 には、捩りバネ219 が外装され、図58においてカム従動部材212 を反時計方向回りに付勢している。
【0156】
抵抗付与部205 は、糸調子器9よりも上流側において上糸24に適度な通過抵抗を付与し、上糸24に糸よりによる糸の絡まり等が発生するのを防止する為のものである。前記レバー部216の上端部は右方へ直角に折曲され、その水平板部220 により、作動板213 が糸調子皿133 を開くのと同期して抵抗付与部205 の押え板205aを押動駆動して押え板205aを開くようになっている(図60、図61参照)。水平板部220 の非作動時には、押え板205aは抵抗付与バネ205bの付勢力により閉じた状態に保持されている。
【0157】
次に、以上説明したミシン1Aの作用について説明する。
【0158】
図50〜図52に示すように、糸駒62Aより引出した上糸24を操作者によって糸案内溝203 に通し、糸掛け用操作体201 を最上位置に移動させた状態において、上糸24を天秤25の糸掛け部26に掛け、糸案内溝204に通して針19の付近まで引き出し、針棒糸掛け147 、糸ガイド36a、糸案内皿56に掛ける(図5参照)。次に、糸端を一定長さに切断し、糸掛け用操作体201 を操作体装着部200に直線的に押込み操作して、操作体装着部200 に挿入装着していく。
【0159】
この装着動作に伴い、先ず、カム従動ピン218 がカム部211 の傾斜部211aに当接して、糸調子皿133 と押え板205aを開放してこれらに上糸24を糸掛けする。これと並行して、糸調子バネ135にも糸掛けされ、糸掛け用操作体201 の右側壁201bの下端部の上糸操作部により、糸調子器9と天秤25の糸掛け部26間の上糸24が天秤25の両側の糸経路を長くするように下方へ押し下げられ、天秤25の糸取り量が確保される。
【0160】
その後、平坦部211b、傾斜部211cがピン218 に当接し、図62、図63に示す略装着完了状態において平坦部211dがピン218 に当接すると、糸調子皿9と押え板205aが閉じる。一方、糸掛け用操作体201を操作体装着部200 に挿入装着する途中から、前記実施形態と略同様に、糸掛け用操作体201 の作動が伝達機構115 を介して自動糸通し機構10に伝達され、この自動糸通し機構10により針穴10aへの糸通しが実行され縫製可能状態となる。このとき、作動部208aがレバー部120bを下方へ押動させるため糸掛け用操作体201の装着動作が伝達機構115 に伝達される。
【0161】
以上説明したミシン1Aと糸掛け用操作体201 は、次の効果を奏する。
【0162】
1)前記上糸カセット2の代わりに、鉛直方向に細長い糸掛け用操作体201 を採用しているため、糸掛け用操作体201 と操作体装着部200 の小型化を図ることができ、アーム部6の前面の外観への影響も少なくすることができる。特に、糸掛け用操作体201は操作体装着部200 に装着されるものであって、アーム部内に収容されるように装着されるので、装着した状態で糸掛け用操作体201 がアーム部6の前面及び上面から突出しない。よって、ミシン1Aの使用状態における外観、特にアーム部6の外観も低下せず、アーム部6の前面のデザイン上の自由度も確保できる。
【0163】
2)連動機構202 は、糸掛け用操作体201 を操作体装着部200 に装着する装着動作の途中において、その装着動作と連動して、糸掛け用操作体201 により糸調子器9の糸調子皿133と抵抗付与部205 の押え板205aを開放させ、その開放状態の糸調子器9と抵抗付与部205 に上糸24を掛けることができる。そして、糸掛け用操作体201 の装着動作の完了時には糸調子皿9と抵抗付与部205を閉じさせることができる。この糸掛けと並行的に、糸掛け用操作体201 を操作体装着部200 に装着する装着動作と連動して、自動的に糸通しを行うこともできる。
【0164】
こうして、糸掛け用操作体201 の装着に連動して上糸24を糸調子器9と抵抗付与部205 に糸掛けすることができると共に自動糸通しを行うことができるため、上糸24の補給や交換時の糸掛け操作と糸通し操作が簡単化し、上糸交換の作業効率が高まる。
【0165】
3)連動機構202 は、糸掛け用操作体201 に形成されたカム部211 と、一端がカム部211 に当接可能で且つ長さ方向途中部が回動自在に支持されたカム従動部材212と、このカム従動部材212 の他端部で押動駆動されて糸調子器9を開放させる作動板213 とを有するため、糸調子器9としては一般的な構成の安価な糸調子器9を採用可能となる。
【0166】
尚、前記糸掛け用操作体201 は、ミシン1Aのアーム部6に直接連結しておらず、アーム部6から取り外し可能な構成であったが、糸掛け用操作体201 をアーム部6に平行リンク、その他のリンク機構や揺動リンク部材を介して連結した構成にしてもよい。
【0167】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ミシンのアーム部に対して操作部材とは別に少なくとも所定範囲内で移動可能に支持される可動操作体と、ミシンのアーム部に備えられ、閉じた状態の前記糸調子皿を開放状態に作動する作動位置と開放した状態の糸調子皿の開放状態を解除させる解除位置とに移動可能な作動部材とを有し、前記可動操作体に、その可動操作体を前記所定範囲内で一方向に向かって途中の移動位置に移動させたときに前記作動部材を前記解除位置から作動位置に移動させ、かつ前記可動操作体を前記一方向に向かってさらに前記所定範囲内の端部まで移動させた移動動作の完了時には前記作動部材を前記作動位置から解除位置に移動させるカム部を設け、前記押え足を下降位置に保持した状態において、前記可動操作体を前記所定範囲内で一方向に向かって途中の移動位置に移動させたとき前記カム部が前記作動部材を前記解除位置から作動位置に移動させて閉じた状態の前記糸調子皿を上糸掛け可能な開放状態に作動し、前記可動操作体を前記一方向に向かってさらに前記所定範囲内の端部まで移動させた移動動作の完了時には前記カム部が前記作動部材を前記作動位置から解除位置に移動させて開放した糸調子皿の開放状態を解除するように構成したので、次の効果が得られる。
【0168】
可動操作体を所定範囲内で一方向に向かって途中の移動位置に移動させたときカム部が作動部材を解除位置から作動位置に移動させて閉じた状態の糸調子皿を上糸掛け可能な開放状態に作動するため、可動操作体の移動動作の途中においてその移動動作に連動して、前記開放状態の糸調子皿に上糸を掛けることができ、糸掛け操作が簡単化し、上糸交換の作業能率が高まる。そして、前記可動操作体を前記一方向に向かってさらに前記所定範囲内の端部まで移動させた移動動作の完了時には前記カム部が前記作動部材を前記作動位置から解除位置に移動させて開放した糸調子皿の開放状態を解除することができる。そのため、押さえ足が下降位置に保持されている場合には、可動操作体の移動完了後に糸調子皿が自動的に閉じ、糸調子皿を閉じる手動操作を行う必要がない。このように、可動操作体を往復動させることなく単に一方向にのみ所定範囲の端部まで移動させることにより、その途中の移動位置で糸調子皿を開いて上糸を掛けることができると共に、端部の移動位置で糸調子皿を自動的に閉じることができる。
【0169】
請求項2の発明によれば、可動操作体は、カセットケースと、このカセットケース内に糸駒を収容する糸駒保持部と、糸駒から延びる上糸をカセットケースの糸出口に導く糸経路とを有する上糸カセットであり、アーム部の前面部に設けられたカセット装着部に装着する途中の装着動作に連動して糸調子器の糸調子皿を開放させることができる。そのため、上糸カセット内の糸駒から繰り出された上糸が糸経路を通って糸出口に導かれる。そして、上糸カセットの装着時に前記連動部材が作動し、上糸カセットの装着動作に連動して糸調子皿を開放させるので、その開放状態の糸調子皿に前記上糸を掛けることができる。よって、糸掛け操作がより簡単化し、上糸交換の作業能率が高まる。
【0170】
請求項3の発明によれば、この上糸カセットはその内部に糸駒を軸心を鉛直にして収容するものであるから、糸駒から上糸を上下方向に繰り出すことができるため、上糸カセットの左右方向幅を小さく構成し、上糸カセットとカセット装着部の小型化を図ることができ、アーム部の前面の外観への影響も少なくすることができる。その他請求項2と同様の効果を奏する。
【0171】
請求項4の発明によれば、可動操作体は、前記アーム部の前記天秤が往復移動する領域の近傍に設けられ、天秤の往復方向と並行に移動可能な糸掛け操作体である。押え足を下降位置に保持した状態において糸掛け用操作体の前記所定範囲内の途中の移動動作に連動して糸調子器の糸調子皿を開放させる連動部材を設け、糸掛け用操作体の移動動作の途中において、開放状態の糸調子皿に上糸を掛けるように構成したので、請求項2と同様に、糸掛け用操作体の移動に連動して上糸を糸調子皿に糸掛けすることができるため、糸掛け操作がより簡単化し、上糸交換の作業能率が高まる。
【0172】
【0173】
【0174】
請求項5の発明によれば、糸調子器は、上糸カセットがカセット装着部に装着された状態では上糸カセットのカセットケースの下部内に突入するように設けられ、糸経路の下流側部分は、カセットケースの下端部に沿って横断的に上糸を導くように構成されているため、上糸カセットの装着動作に連動して、カセットケースの下端部に沿って横断的に導かれた上糸の部分を糸調子皿に糸掛けすることができる。その他請求項2又は3と同様の効果を奏する。
【0175】
請求項6の発明によれば、糸調子器の下流側に設けられ、前記可動操作体の移動動作に連動して、前記糸調子器からその下流側に延びた上糸を下方に押し下げ配置する上糸押え部材を備えているため、糸調子器に掛けられた上糸が外れにくくなり、糸調子器の糸調子バネによる糸取り量を多くすることができる。その他請求項1〜5の何れかと同様の効果を奏する。
【0176】
請求項7の発明によれば、可動操作体は、前記移動動作後にはそのままアーム部に収容され、前記アーム部の前面及び上面から突出しないため、使用状態におけるミシンの外観、特にアーム部の外観を損ねることがない。その他請求項1〜6の何れかと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の電子制御式ミシンと上糸カセットの正面図である。
【図2】 上糸カセットを取外した状態のミシンの平面図である。
【図3】 カセット装着部付近の内部構造を示す縦断面図である。
【図4】 カセット装着部付近の内部構造等を示す平面断面図である。
【図5】 針棒上下動機構と自動糸通し機構などの正面図である。
【図6】 糸通し直前状態を示す図5相当図である。
【図7】 針棒とストッパーとの関係を示す図5相当図である。
【図8】 針棒の適正高さ範囲を説明する図5相当図である。
【図9】 (a)は糸通しフックによる糸通し直前状態を示す斜視図、(b)は糸通し直後状態を示す斜視図、(c)は糸通し後に糸通しフックが上昇した状態の要部断面図である。
【図10】 糸通しスライダ作動機構と上糸カセットなどの縦断側面図である。
【図11】 天秤機構とカセット装着部を示す要部縦断側面図である。
【図12】 天秤の糸掛け部の移動範囲を示す要部縦断側面図である。
【図13】 糸掛け部への糸掛け可能範囲を示す図12相当図である。
【図14】 上糸カセット(装着直前状態)とカセット装着部の正面図である。
【図15】 上糸カセット(装着途中状態)とカセット装着部の正面図である。
【図16】 上糸カセット(装着途中状態)とカセット装着部などの縦断側面図である。
【図17】 上糸カセット(装着完了直前状態)とアーム頭部の正面図である。
【図18】 第2挟持部とカムの部分拡大断面図である。
【図19】 上糸カセット(装着完了状態)とアーム頭部の正面図である。
【図20】 第2挟持部(開放状態)とカムを示す図18相当図である。
【図21】 カセット装着部に装着された上糸カセットの横断面図である。
【図22】 上糸カセット(装着完了状態)とカセット装着部などの縦断側面図である。
【図23】 上糸カセット(開閉蓋開状態)の正面図である。
【図24】 上糸カセットの縦断側面図である。
【図25】 上糸カセットの平面図である。
【図26】 上糸カセットの底面図である。
【図27】 糸経路の下流側部分を示す上糸カセットの部分切欠き横断平面図である。
【図28】 カセット本体と糸駒(装着前状態)の縦断側面図である。
【図29】 カセット本体と糸駒(装着後状態)の縦断側面図である。
【図30】 上糸カセット(開閉蓋開状態)の正面図である。
【図31】 上糸カセット(開閉蓋開状態)の底面図である。
【図32】 第1案内部を示すカセット本体の平面図である。
【図33】 第2,第3案内部と第2挟持部を示す上糸カセットの底面図である。
【図34】 第2,第3案内部と第2挟持部を示すカセット本体の横断面図である。
【図35】 糸止めの手順を説明する上糸カセットの正面図である。
【図36】 糸止め部等を示す上糸カセットの側面図である。
【図37】 押え上げレバーと糸調子器と連動機構などの正面図である。
【図38】 押え上げレバーと糸調子器と連動機構などの側面図である。
【図39】 押え上げレバーと糸調子器と連動機構などの平面図である。
【図40】 上糸カセット装着時の状態を示す図37相当図である。
【図41】 上糸カセット装着時の状態を示す図38相当図である。
【図42】 上糸カセット装着途中の状態を示すの図39相当図である。
【図43】 上糸カセット装着完了状態を示す図39相当図である。
【図44】 上糸カセット装着完了状態を示す図37相当図である。
【図45】 上糸カセット装着完了状態を示す図38相当図である。
【図46】 上糸カセットの外部の上糸を使用して縫製する場合のミシンの正面図である。
【図47】 上糸カセットの外部の上糸を使用して縫製する場合のミシンの平面図である。
【図48】 2本針を適用した場合のミシンの正面図である。
【図49】 ミシンの制御系の概略ブロック図である。
【図50】 別実施形態の電子制御式ミシンと糸掛け用操作体の正面図である。
【図51】 ミシン及び糸掛け用操作体の側面図である。
【図52】 ミシンの平面図である。
【図53】 操作体装着部付近の内部構造要部を示す部分切欠き横断面図である。
【図54】 操作体装着部付近と糸掛け用操作体の縦断面図である。
【図55】 糸掛け用操作体の装着完了状態を示す要部横断面図である。
【図56】 操作体装着部の下端部付近の要部横断面図である。
【図57】 天秤機構と糸掛け部と糸掛け用操作体の関係を示す縦断面図である。
【図58】 連動機構と糸調子器との関係を示す縦断面図である。
【図59】 連動機構と抵抗付与部との関係を示す縦断面図である。
【図60】 抵抗付与部(閉状態)の拡大断面図である。
【図61】 抵抗付与部(開放状態)の拡大断面図である。
【図62】 操作体装着部付近と糸掛け用操作体(装着完了状態)の図54相当図である。
【図63】 操作体装着部付近と糸掛け用操作体(装着完了状態)の図57相当図である。
【符号の説明】
1,1A ミシン
2 上糸カセット
3 カセット装着部
6 アーム部
8 天秤機構
9 糸調子器
10 糸通し機構
24 上糸
25 天秤
25a U形案内部
26 糸掛け部
27 天秤移動領域
57 カセットケース
58 糸駒保持部
59 糸経路
62 糸駒
65 凹部
68 糸出口
69 第1案内部
70 第1挟持部
71 第2案内部
72 第3案内部
73 第2挟持部
80 押え板
81 板バネ
82 糸より発生防止機構
84 案内ピン
90 糸保持板
91 板バネ部材
104A 糸止め部
106 糸案内具
106A 糸案内部材
108 糸案内隙間
108a 導入口
133 糸調子皿
135 糸調子バネ
200 操作体装着部
201 糸掛け用操作体
207 上糸操作部
208a 糸通し作動部

Claims (7)

  1. 押え足を昇降させる操作部材と、上糸に張力を付与する為に開閉可能な糸調子皿を有する糸調子器とを備え、前記操作部材によって押え足を上昇させたとき前記糸調子皿を開放させ且つ押え足を下降させたとき糸調子皿を閉じるように構成されたミシンにおいて、
    ミシンのアーム部に対して前記操作部材とは別に少なくとも所定範囲内で移動可能に支持される可動操作体と、ミシンのアーム部に備えられ、閉じた状態の前記糸調子皿を開放状態に作動する作動位置と開放した状態の糸調子皿の開放状態を解除させる解除位置とに移動可能な作動部材とを有し
    前記可動操作体に、その可動操作体を前記所定範囲内で一方向に向かって途中の移動位置に移動させたときに前記作動部材を前記解除位置から作動位置に移動させ、かつ前記可動操作体を前記一方向に向かってさらに前記所定範囲内の端部まで移動させた移動動作の完了時には前記作動部材を前記作動位置から解除位置に移動させるカム部を設け、
    前記押え足を下降位置に保持した状態において、前記可動操作体を前記所定範囲内で一方向に向かって途中の移動位置に移動させたとき前記カム部が前記作動部材を前記解除位置から作動位置に移動させて閉じた状態の前記糸調子皿を上糸掛け可能な開放状態に作動し、前記可動操作体を前記一方向に向かってさらに前記所定範囲内の端部まで移動させた移動動作の完了時には前記カム部が前記作動部材を前記作動位置から解除位置に移動させて開放した糸調子皿の開放状態を解除するように構成したことを特徴とするミシン。
  2. 前記可動操作体は、カセットケースと、このカセットケース内に糸駒を収容可能な糸駒保持部と、糸駒から延びる上糸をカセットケースの糸出口に導く糸経路とを有する上糸カセットであり、アーム部の前面部に設けられたカセット装着部に装着する途中の装着動作に連動して糸調子器の糸調子皿を開放させることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記上糸カセットに収容した糸駒の軸心を、前記上糸カセットが前記カセット装着部に装着された状態で、鉛直方向に配置したことを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. 前記可動操作体は、前記アーム部の前記天秤が往復移動する領域の近傍に設けられ、天秤の往復方向と並行に移動可能な糸掛け用操作体であることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  5. 前記糸調子器は、上糸カセットがカセット装着部に装着された状態では上糸カセットのカセットケースの下部内に突入するように設けられ、前記糸経路の下流側部分は、カセットケースの下端部に沿って横断的に上糸を導くように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のミシン。
  6. 前記糸調子器の下流側に設けられ、前記可動操作体の移動動作に連動して、前記糸調子器からその下流側に延びた上糸を下方に押し下げ配置する上糸押え部材を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のミシン。
  7. 前記可動操作体は、前記移動動作後にはそのままアーム部に収容され、前記アーム部の前面及び上面から突出しないことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のミシン。
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