JP4788238B2 - 薄膜ガスセンサの製造方法および薄膜ガスセンサ - Google Patents

薄膜ガスセンサの製造方法および薄膜ガスセンサ Download PDF

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Description

この発明は、電池駆動に適した低消費電力型薄膜ガスセンサとその製造方法に関する。
一般的にガスセンサは、ガス漏れ警報器などの用途に用いられ、ある特定ガス、例えば、CO、CH4、C3H8、C2H5OH等に選択的に感応するデバイスであり、その性格上、高感度、高選択性、高応答性、高信頼性、低消費電力が必要不可欠である。ところで、家庭用として普及しているガス漏れ警報器には、都市ガス用やプロパンガス用の可燃性ガス検知を目的としたものと燃焼機器の不完全燃焼ガス検知を目的としたもの、または、両方の機能を合わせ持ったものなどがあるが、いずれもコストや設置性の問題から普及率はそれほど高くない。そういった事から普及率の向上をはかるべく、設置性の改善、具体的には、電池駆動としコードレス化する事が望まれている。
電池駆動を実現するためには低消費電力化が最も重要であるが、接触燃焼式や半導体式のガスセンサでは、100℃〜450℃の高温に加熱し検知する必要がある。これから、SnO2などの粉体を焼結した従来の方法では、スクリーン印刷等の方法を用いても厚みを薄くするには限界があり、電池駆動に用いるには熱容量が大きすぎた。その対策として、微細加工プロセスによりダイヤフラム構造などの低熱容量構造とした薄膜ガスセンサの実現が待たれている。
ダイヤフラム構造などの超低熱容量構造とした低消費電力薄膜ガスセンサを適用したガス漏れ警報器においても、電池の交換無しで5年以上の寿命を持たせるためには薄膜ガスセンサのパルス駆動が必須となる。
通常、ガス漏れ警報器は30〜150秒の一定周期に一回の検知が必要であり、この周期に合わせ検知部を室温から100℃〜450℃の高温に加熱する。前記の電池の交換無しで5年以上の寿命要請に応えるため、この加熱時間は数100ms以下が目標となる。
パルス駆動の薄膜ガスセンサにおいても、低消費電力化のためには、検出温度の低温化、検出時間の短縮、検出サイクルの長期化(通電をoffする時間を長くする)が重要である。
薄膜ガスセンサにおける検出温度はガス種に対する検出感度などの違いから、COセンサでは〜100℃、CH4センサでは〜450℃、検出時間はセンサの応答性から〜500msec、検出サイクルはCH4センサでは30秒、COセンサでは150秒とされる。
またoff時間にセンサ表面に付着する水分その他の吸着物を脱離させSnO2表面をクリーニングすることが、電池駆動(パルス駆動)の薄膜ガスセンサの経時安定性を向上する上で重要であり、検出前に一旦センサ温度を約450℃に加熱(加熱時間〜100msec)し、その直後に、それぞれのガスの検出温度でガス検知を行っている。
図4は従来の薄膜ガスセンサの断面図である。外周または両端部がSi基板Bにより支持された支持膜L上に、薄膜ヒーターHが形成され、薄膜ヒーターHは絶縁膜L4により被覆され、その上にガス感知膜S用の感知膜電極Eが形成され、そのガス感知膜Sを完全に被覆するように触媒を担持する多孔質アルミナから成る選択燃焼層Cが形成されている。通常最終工程でSi基板の裏面からのエッチングによりガス感知膜等の領域より大きい径のSiを完全に除去しダイヤフラム構造としている。
上記の感知膜電極の材料としては一般的にはPtなど貴金属材料を、SiO2等の絶縁性の支持層の上に、SiO2等の酸化膜との密着性に優れしかもPtとも密着性の良いTa、Ti、Cr等の接合層を介してPt層を成膜、パターニングしてPt感知膜電極として用いる。従来の薄膜ガスセンサでは、その後、その上にガス感知層であるSnO2を形成し、ガス感知層の裏面のSiを除去して、ダイヤフラム構造として薄膜ガスセンサを完成する。
薄膜ヒータをパルス駆動させ昇降温を繰り返すと、支持層、薄膜ヒータ、感知膜電極、感知膜を含む積層構造からなるダイヤフラムは熱膨張/収縮により数μmであるが上下に振動する。この振動は微小ではあるが10秒に1回の検知周期でセンサを6年間駆動させると約2000万回に達する。
この微少な振動の継続によって、Pt感知膜電極と感知膜SnO2の接合部に剥離を生じセンサ抵抗値が上昇するなどの変動を生じ、極端な場合には導通不良を発生することがある。センサ抵抗値によりガス検知を行うSnO2ガスセンサにおいては当然、抵抗値の変動/導通不良は大きな問題になる。
このような剥離によって、薄膜ガスセンサの特性であるガス検知精度が低下したり、極端な場合には、ガス検知が不能になるような重大な影響を与える場合がある。
上記の問題であるPt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の接合部の剥離は、PtとSnO2の密着性の弱さに起因している。
Pt感知膜電極とその上のSnO2ガス感知膜の間に、金属であるPtと密着性が良く、酸化物であるSnO2ガス感知膜との密着性も良い中間薄膜層を設けるたり、SnO2ガス感知膜形成前に感知膜電極表面を前処理することで上記技術課題に対しての対策が公開されている。
その1としては、Pt感知膜電極作製後、SnO2ガス感知膜のスパッタ成膜前に真空処理 or 逆スパッタ処理などによりPt感知膜電極表面のクリーニング処理により密着性の向上を狙った製造方法が公開されている(特許文献1参照。)。
同様に、Pt感知膜電極表面のクリーニング処理としてSnO2ガス感知膜のスパッタ成膜前に紫外線照射を行う製造方法も公開されている(特許文献2参照。)。
しかしながら上記のようなPt感知膜電極表面のクリーニング処理のみでは、再現性良く密着性の良いPt感知膜電極/SnO2ガス感知膜構造を得ることは困難である。その対策として、Pt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の間に中間薄膜層として、Ptとは金属同士で接合性が良く、表面に酸化膜を作り易い性質を有しSnO2ガス感知膜との良好な接合が行えるTa、Cr、Ti等の金属を挟み込む特許が公開されている(特許文献3参照。)。
しかしながら上記方法では良好な接合が行えるがTa、Cr、Ti等がセンサ駆動を行っていると徐々に酸化が進行しPt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の間の中間薄膜層が絶縁物化するため、センサ抵抗が徐々に上昇すると言う問題が発生する。上記問題を解決するための方法としてPt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の間の中間薄膜層にPt/SnO2混合物を取り入れることで、アンカー効果により両方の膜と接合性に優れ、しかもセンサ駆動を行っても酸化が進行することなくセンサ抵抗の変動がないセンサ構造が公開されている(特許文献4参照。)。
また、Pt感知膜電極をSnO2ガス感知膜中にはさみ込むことで同じ効果を狙った構造特許も公開されている(特許文献5参照。)。さらに中間薄膜層にAu-Sn、Ni-Snの金属間化合物を用いた特許も公開されている(特許文献6参照。)。上記の特許では、一定の効果が認められるが、第3金属のSnO2ガス感知膜への拡散に伴う信頼性低下、製造工程が複雑化するためコストアップするなどの欠点を有している。
本発明の目的は、長期のパルス駆動においてもPt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の間に問題の発生しない薄膜ガスセンサおよびその製造方法を提供することにある。
特開平10−300707号公報(第2頁−第3頁、図1) 特開2001−183327号公報(第2頁−第3頁、図1) 特開2003−279523号公報(第2頁−第3頁、図1) 特願2003−190028号公報(第5頁−第9頁、図1) 特開2005−37349号公報(第8頁、図3) 特願2003−331868号公報(第5頁−第6頁、図1)
本発明の目的を達成するため、Si基板の貫通孔の一端を覆って張られ、その周縁がSi基板に固定された、酸化ケイ素または/および窒化ケイ素からなる支持膜(ダイヤフラム構造という)上に、少なくとも、薄膜ヒータが形成され、これを被覆する絶縁膜上に一対のPt感知膜電極を有するSnO2ガス感知膜が形成されてなる薄膜ガスセンサにおいて、前記Pt感知膜電極の形成の後、SnOからなる中間薄膜層を成膜し、さらに、SnO2ガス感知膜を形成し、さらに熱処理を行うこととする。
あるいは、前記Sn-Ptからなる中間薄膜層を有する薄膜ガスセンサの製造方法において、前記Pt感知膜電極の形成の後、SnOからなる中間薄膜層を成膜し、熱処理を行った後、SnO2ガス感知膜を形成しても良い。
前記中間薄膜層の厚みは1nm以上、20nm以下であると良い。
前記熱処理は、酸素を含む窒素ガス雰囲気中で400℃以上、800℃以下で行われると良い。
前記熱処理の酸素分圧(Po2)は0.01気圧以上、0.2気圧以下あると良い。
本発明によれば、Pt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の界面にPt-Snからなる合金中間層を有するようにしたため、Pt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の密着性が向上し、長期間パルス駆動に対してもセンサ抵抗特性は安定する、すなわち、薄膜ガスセンサの信頼性は向上する。
その製造方法として、Pt感知膜電極の形成の後、SnOからなる中間薄膜層を成膜し、さらに、SnO2ガス感知膜を形成し、さらに熱処理を行う、あるいは、前記Pt感知膜電極の形成の後、SnOからなる中間薄膜層を成膜し、熱処理を行った後、SnO2ガス感知膜を形成するようにしたため、このような簡便なプロセスによって、Pt感知膜電極とSnO2感知膜とのあいだにPt-Sn合金中間層を形成することができるので、Pt感知膜電極とSnO2感知膜の接合部剥離の発生を防止する事で、信頼性の高い薄膜ガスセンサを得ることが出来る。
図1は本発明に係る薄膜ガスセンサの断面図である。ガス感知膜電極Eの形成までは従来の薄膜ガスセンサ(図4)と同じであるので説明は省略する。
図2は本発明に係る薄膜ガスセンサの要部の断面図であり、(a)は熱処理前であり、(b)は熱処理後である。
本発明に係る薄膜ガスセンサを製造工程に従って説明する。
感知膜電極Eの形成の後、SnO2ガス感知膜Sと感知膜電極Eとの間の密着性向上のための中間薄膜層Iの形成の準備のため、1〜20nm厚みのSnOからなる極薄の薄膜スパッタ膜層Ilを設ける。さらに連続してSnO2ガス感知膜Sをスパッタ成膜する(図2(a))。
その後、酸素分圧(Po2)0.01〜0.2気圧の窒素ガス雰囲気中で、400℃〜800℃を熱処理を行う。熱処理後のPt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の界面の状態を図2(b)に示す。
この熱処理は中間薄膜層を成膜後行い、その後SnO2ガス感知膜をスパッタ成膜しても良い。
Pt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の界面の状態が図2(b)のように変化する理由は以下のように考えられる。Ptの触媒作用と関連していると推定されるが、熱処理時にSnO薄膜の最下層近傍のPt感知膜電極と直接接しているSnOは変質し、Pt-Snの化合物(金属間化合物)を形成し強固に接合する。一方上記変質部以外のSnOは酸化により安定相のSnO2(SnO2ガス感知膜)になる。Pt-Snの化合物とSnO2相の界面はステップ状に組成が変化しているわけではなく、Pt-Sn/Pt-Sn-O/SnO2-X(Snの不定比化合物)が入り組んだ混合層として存在するためPt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の密着性は飛躍的に上昇する。Pt-Snの生成は熱処理時にSnO薄膜の最下層に酸素の供給が少なくSnO→Sn+1/2O2の分解反応がPt触媒により促進されSnが析出しPtとの間でSn-Ptの合金が生成されたとものと推定される。一方同じ酸素分圧で処理されたにも関わらずSnO薄膜の表面側はPt(触媒)が無いことと、酸素供給がSnO薄膜の最下層より十分な量供給されたためSnO+1/2O2→SnO2の反応が優勢のためSnO2が生成されたものと考えられる。またPt感知膜電極間ではSnO薄膜の下地はSiO2であるが、SiO2上に成膜されたSnO薄膜は熱処理後SiO2/SnO界面層を含め全てSnO+1/2O2→SnO2の反応によりSnO2になる。
Pt感知膜電極/Pt-Sn合金層/SnO2ガス感知膜の構造により、Pt感知膜電極とSnO2ガス感知膜との間の高い密着性が複雑なプロセスを行うことなく簡単に得られる。
また、中間薄膜層としてSnOに替えてSnの極薄膜を用いていも良い。図3は本発明に係る他の薄膜ガスセンサの要部の断面図であり、(a)は熱処理前であり、(b)は熱処理後である。
Pt感知膜電極EとSnO2ガス感知膜Sの間の密着性向上のための中間薄膜層Iの形成の準備として、Pt感知膜電極Eの形成後、1〜10nm厚さのSn薄膜Ilを成膜する。さらに連続してSnO2ガス感知膜をスパッタ成膜(図3(a))する。そして、酸素分圧(Po2)0.01〜0.2気圧の窒素ガス雰囲気中で、400℃〜800℃の熱処理を行う(図3(b))。
この熱処理は中間薄膜層(Sn)を成膜後に行い、その後SnO2ガス感知膜をスパッタ成膜しても良い。
Pt感知膜電極EとSnO2ガス感知膜Sの界面の状態が図3(b)のように変化する理由は以下のように考えられる。熱処理時にSn薄膜の最下層近傍のPt感知膜電極と直接接しているSnはPt感知膜電極と反応し、Pt-Snの化合物(金属間化合物)を形成し強固に接合する。一方上記変質部以外のSnは酸化によりSnO2(SnO2ガス感知膜)になる。Pt-Snの化合物とSnO2相の界面はステップ状に組成が変化しているわけではなく、Pt-Sn/Pt-Sn-O/SnO2-X(Snの不定比化合物)が入り組んだ混合層として存在するためPt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の密着性は飛躍的に上昇する。電極間のSn薄膜の下地はSiO2であるが、SiO2上に成膜されたSnO薄膜は熱処理後SnO+1/2O2→SnO2の反応によりSnO2になるため電極間はショートしない。
上記のように、Pt感知膜電極E/Pt-Sn合金層I/SnO2ガス感知膜Sの構造により、Pt感知膜電極とSnO2ガス感知膜との間の高い密着性が複雑なプロセスを行うことなく簡単に得られる。
図1は本発明に係る薄膜ガスセンサの断面図である。以下その製造方法に沿って詳しく説明する。
両面に熱酸化膜L1を0.3μm厚に形成されたSi基板Bの表面に、ダイヤフラム構造の支持層となるSiN膜L2とSiO2膜L3を順次プラズマCVDにより、それぞれ厚さ0.15μmと1μm形成した。
この上にPt感知膜電極接合Eの第1の接合層として、Taを0.05μm形成後、連続して、ヒータH用の金属層としてPtW(Pt+4Wt%W)膜を0.5μm形成し、さらに連続して第2の接合層としてTaを0.05μm形成した。
そして微細加工によりパターニングしヒータHを形成した。ウエットエッチングのエッチャントとしてTaには水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液、Ptには王水をそれぞれ90℃に加熱して用いた。
その上にSiO2絶縁膜をスパッタにより1.0μm形成した後、微細加工により図示されていないヒータHの電極パッド部分をHFにてエッチングし窓明け後、導通の確保とワイヤボンディング性を向上のため、第2の接合層のTaを水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液を用いて除去した。
その後、スパッタでPt感知膜電極Eを以下のようにして形成する。第1の接合層としてTaを0.05μm形成後、連続して、Pt感知膜電極E用のPt薄膜を0.2μmスパッタ成膜した。なお、Pt/Taの成膜条件は1Pa、Ar中で、投入電力100W、成膜温度100℃とした。さらに微細加工によりヒータパターンを形成した。ウエットエッチングのエッチャントとしてPtには王水をTaには水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液、それぞれ90℃に加熱して用いた。
つづいて本発明に係る密着性向上のための中間薄膜層SnO層IおよびSnO2ガス感知膜Sをレジストリフトオフ法に従って形成する。具体的には以下のような工程で形成する。
先ず、レジストを塗布し、微細加工により、1対のPt感知膜電極上およびそのPt感知膜電極間のSnO2ガス感知膜を形成する部分のレジストを除去し、開口したパターンにレジストを加工する。
そして、スパッタ成膜で中間薄膜層SnOおよびSnO2ガス感知膜をスパッタ成膜により形成した。ここで中間薄膜層SnOおよびSnO2ガス感知膜のスパッタ成膜は真空を破ることなく連続して成膜しても良いし、一旦真空を破り、レジストのリフトオフを行い、後述する熱処理を行った後、再度レジストパターンニング後SnO2ガス感知膜を成膜してもかまわない。中間薄膜層SnOの成膜条件は1PaのAr中で、投入電力100W、成膜温度100℃であり、SnO2ガス感知膜の成膜条件は、1PaのAr+O2中で、投入電力100W、成膜温度100℃とした。なおスパッタターゲットとしてSnO2を用い、スパッタガス組成のみ変えれば中間薄膜層SnOおよびSnO2ガス感知膜の成膜が可能である。SnO、SnO2は結晶形態が異なるためX線回折により両相の確認は容易に行うことができる。
なお中間薄膜層SnOの膜厚が1nm未満ではSnOが島状に形成されたり、後述する熱処理後も十分なPt-Sn合金層が得られない。また、20 nmを越えると熱処理後もSnO内部に未反応部(酸化でSnO2に変態しない部分)が残り、SnO2の電気抵抗に影響する場合があるのでSnO中間薄膜層厚みは1nm以上、20nm以下であることが必要である。
その後、レジストのリフトオフを行い、電気炉中で熱処理を行った。熱処理は酸素分圧(Po2)0.01〜0.2気圧でバランスガスはN2、Arなどの不活性ガスとした。
Po2が0.01気圧未満ではSnO+1/2O2→SnO2の反応において、SnOが未反応で残る場合がある。またPo2が0.2気圧を超えると、Pt感知膜電極と接しているSnO界面のSnOがSnO→Sn+1/2O2の分解反応が充分進む前に酸化が進行し、十分なPt-Sn合金層が得られない。
また、熱処理温度は400℃以上800℃以下で熱処理することにより目的が達成できる。熱処理温度が400℃未満の場合SnO→Sn+1/2O2なる反応が十分進まない。また800℃を超えた場合、多孔質であるSnO2ガス感知部の比表面積の低下によるガス感知感度の低下が発生し不具合が起こる。熱処理時間は400℃の場合60分、800℃の場合10分で十分な効果が得られる。
ここまでは中間薄膜層としてSnOを用いた実施例で説明してきたが、金属Sn薄膜を中間薄膜層として用いても同様の効果が得られる。但し、金属Sn薄膜を中間薄膜層として用いた場合、膜厚としては1nm以上10nm以下と薄くすることが適切であることが判った。Po2、熱処理温度、時間などの条件は若干Sn中間薄膜層とは異なる。
実験に用いた本発明の素子Aは厚み10nmSnOと厚み400nmSnO2を連続的に成膜して得た。熱処理はPo2=0.1気圧/N2バランス、温度700℃、時間30分の条件で行った。比較のため、中間薄膜層の無い従来素子Bも比較のため試作した。
いずれの素子においても、その後、アルミナ粒子にPtおよびPd触媒を担持させた粉末をバインダと混合したペーストを用い、スクリーン印刷によりSnO2の表面に塗布、焼成させ約30μm厚の選択燃焼層(触媒フィルター)Cを形成した。選択燃焼層Cにより、ガスセンサの感度、ガス種選択性、信頼性が向上する。最後に、基板の裏面からドライエッチングによりSiを400μm径の大きさだけ完全に除去し、ダイヤフラム構造とした。
表1は本発明のセンサ(素子A)と従来のセンサ(素子B)を各5個ずつ大気中でパルス通電(試験条件3V/50mW 、通電100msec ON/1secOFF(通電時ヒータ温度450℃))を500、1000、2000万回繰り返した後の20℃、60%RHでの2000ppmCH4/空気中におけるSnO2ガス感知膜(センサ温度450℃)の抵抗値の変化を示したものである。
Figure 0004788238
表1から、本発明の素子Aセンサは5個とも2000万回繰り返し後も2000ppmCH4/空気中におけるSnO2ガス感知膜(センサ温度450℃)の抵抗値がほとんど変化していないことが分かる。一方、従来の感知膜電極の素子においては、センサの抵抗値の変化が大きい素子が発生し、抵抗値が2桁変化している素子もあることが分かる。2000万回のon-off繰り返し後でも,中間薄膜層を設けた素子Aではセンサ抵抗変化がほとんど無く高い信頼性を有することが分かる。
本発明の素子と従来素子で抵抗変化が大きく変化した素子について、FIB(中性集束イオンビーム)による断面加工を行い、SnO2ガス感知膜とPt感知膜電極の接合部をFIB2次電子像により評価した。
本発明の素子では、Pt感知膜電極/SnO2ガス感知膜の断面に何ら剥離による痕跡が認められなかったが、抵抗値が大きく上昇した従来素子ではPt感知膜電極/SnO2ガス感知膜の断面に剥離から生じたと考えられる空隙が部分的に認められた。
本発明によれば、Pt感知膜電極とその上に形成するSnO2ガス感知膜の間に、Pt-Sn合金を主成分とした中間薄膜層を設けることで、Pt感知膜電極とSnO2ガス感知膜との密着性が向上し感知膜SnO2と感知膜電極との間に剥離を生じないため、長期間安定した抵抗値(センサ特性)が得られたものであり、このようなガス薄膜ガスセンサを用いて、ガス警報器の普及が促進できる。
本発明に係る薄膜ガスセンサの断面図である。 本発明に係る薄膜ガスセンサの要部の断面図であり、(a)は熱処理前であり、(b)は熱処理後である。 本発明に係る他の薄膜ガスセンサの要部の断面図であり、(a)は熱処理前であり、(b)は熱処理後である。 従来の薄膜ガスセンサの断面図である。
符号の説明
B Si基板
L1 酸化ケイ素膜
L2 窒化ケイ素膜
L3 酸化ケイ素膜
L 支持膜
L4 酸化ケイ素膜
H ヒータ
E SnO2ガス感知膜電極
I Pt-Sn合金層
Il 中間薄膜層
S ガス感知膜
C 選択燃焼層

Claims (6)

  1. Si基板の貫通孔の一端を覆って張られその周縁がSi基板に固定された、酸化ケイ素または/および窒化ケイ素からなる支持膜(ダイヤフラム構造という)上に、少なくとも、薄膜ヒータが形成され、これを被覆する絶縁膜上に一対のPt感知膜電極を有するSnO2ガス感知膜が形成されてなる薄膜ガスセンサにおいて、前記Pt感知膜電極と前記SnO2ガス感知膜の間に、前記Pt感知膜電極の形成の後、SnOからなる中間薄膜層を成膜してからSnO2ガス感知膜を形成し、さらに熱処理を行うことを特徴とする薄膜ガスセンサの製造方法。
  2. Si基板の貫通孔の一端を覆って張られその周縁がSi基板に固定された、酸化ケイ素または/および窒化ケイ素からなる支持膜(ダイヤフラム構造という)上に、少なくとも、薄膜ヒータが形成され、これを被覆する絶縁膜上に一対のPt感知膜電極を有するSnO2ガス感知膜が形成されてなる薄膜ガスセンサにおいて、前記Pt感知膜電極と前記SnO2ガス感知膜の間に、前記Pt感知膜電極の形成の後、SnOからなる中間薄膜層を成膜して熱処理を行った後、SnO2ガス感知膜を形成することを特徴とする薄膜ガスセンサの製造方法。
  3. 前記中間薄膜層の厚みは1nm以上、20nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜ガスセンサの製造方法
  4. 前記熱処理は、酸素を含む窒素ガス雰囲気中で400℃以上、800℃以下で行われることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の薄膜ガスセンサの製造方法。
  5. 前記熱処理の酸素分圧(Po2)は0.01気圧以上、0.2気圧以下あることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の薄膜ガスセンサの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜ガスセンサの製造方法を用いて作られた薄膜ガスセンサ。
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