JP4786675B2 - 粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂塗料原料の輸送・貯蔵方法 - Google Patents
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度(Tg)、または分子量の低下が図られ、例えば、特許文献5には、実測ガラス転移温度(Tg)が38.6℃であるグリシジル基含有アクリル樹脂の製造例が記載されている。しかしながら、このような低い実測ガラス転移温度(Tg)を有するグリシジル基含有アクリル樹脂は、その形状が、非球状不定形の粉粒状である場合、輸送・貯蔵時に顕著に凝集・固着してしまい、通常の粉体塗料の製造方法において、作業性を著しく損なうばかりでなく、塗膜の外観特性にも悪影響を及ぼす。
れて粉体塗料を形成する粉体状塗料用配合剤(B)とを予め乾式混合する混合物であり、
前記(A)粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂について、実測ガラス転移温度(Tg)が30〜45の範囲にあり、かつ、JIS C 2161(7.3.1)に準拠した分級操作法により測定した目開き1.7mm(10メッシュ)を通過しない粗粉の含有率が40重量%以下の粒度であるグリシジル基含有アクリル樹脂粉体(A)と、
融点または実測ガラス転移温度(Tg)が70〜140の範囲内にあるとともに、レーザー回折散乱法によって測定した体積平均粒子径が10〜100μmの範囲内にある、
多価カルボキシル硬化剤(b−1)、
紫外線吸収剤(b−2)、
ヒンダードアミン系光安定剤(b−3)、
ベンゾイン(b−4)、
反応性希釈剤(b−5)、
酸化防止剤(b−6)、および
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b−7)からなる群より選択される少なくとも1種の粉体状塗料用配合剤(B)とを乾式で混合して、グリシジル基含有アクリル樹脂粉体(A)の粒子間の固着・凝縮を顕著に防止することを特徴とするグリシジル基含有アクリル樹脂粉体(A)粉体塗料の樹脂原料を輸送・貯蔵することを特徴とする。
本発明に係る粉体塗料の樹脂原料は、(A)粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂と(B)粉体状塗料用配合剤とが乾式混合されてなる。以下、「粉体塗料の樹脂原料」を「アクリル系粉体塗料原料」ともいう。
本発明で使用される粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂(A)は、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等の、グリシジル基を有するエチレン性不飽和単量体からなる群から選択される少なくとも1種類以上のエチレン性不飽和単量体(a−1)と、これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(a−2)とを共重合することで得られる。
(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアモノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、等のカルボキシル基含有ビニル類およびこれらのモノエステル化物;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル類;
ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、ふっ化ビニル、モノクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロプレン等のハロゲン含有ビニル類;
その他に、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、およびメチロールメタクリルアミド、エチレン、プロピレン、C4〜C20のα−オレフィン、ビニルピロリドン等が挙げられる。また、上記単量体の他に、上記単量体を含むモノマーを共重合してなる共重合体をセグメントに有し、末端にビニル基を有するマクロモノマー類も単量体として使用できる。上記「メチル(メタ)アクリレート」は、メチルアクリレートおよびメチルメタアクリレートを示す。本発明で用いられる(a−2)エチレン性不飽和単量体は、これらから選ばれる1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
おいて、良好な分散混合状態を得易いという特長を有するが、反面、該アクリル樹脂(A)は輸送・貯蔵中に、粒子間の固着・凝集が顕著に生じる傾向がある。
本発明で使用される粉体状塗料用配合剤(B)は、多価カルボキシル硬化剤(b−1)、紫外線吸収剤(b−2)、ヒンダードアミン系光安定剤(b−3)、ベンゾイン(b−4)、反応性希釈剤(b−5)、酸化防止剤(b−6)、および、ビスフェノール型エポキシ樹脂(b−7)からなる群から選択される1種類以上である。さらに、これら塗料用配合剤は、全て70〜140℃の融点または実測ガラス転移温度(Tg)を有することが望ましい。上記温度範囲であることにより、輸送・貯蔵中の固着・凝集を効果的に抑制できる。
脂肪族多塩基酸類としては、スベリン酸(融点143℃)、アゼライン酸(融点107℃)、2,4−ジエチルグルタル酸(融点77℃)、セバシン酸(融点135℃)、ウンデカン二酸(109℃)、ドデカンニ酸(融点129℃)、ブラシル酸(融点115℃)、テトラデカンニ酸(融点129℃)、ペンタデカン二酸(融点117℃)、ヘキサデカン二酸(融点124℃)、ヘプタデカン二酸(融点115℃)、オクタデカン二酸(融点120℃)、エイコサン二酸(融点115℃)、等の直鎖状または分岐状脂肪族二塩基酸類;ブタントリカルボン酸(融点123℃)等の3基含有以上の脂肪族多塩基酸等を挙げることができる。
本発明においては、いずれの硬化剤(b−1)も好適に用いられるが、最終的に得られる塗膜の諸物性のトタールバランス、すなわち外観特性、物理(強度)特性、化学特性(化学的劣化に対する抵抗性)のバランスの観点から、ドデカン二酸が特に好ましく用いられる。またさらには、これら脂肪族または脂環族多塩基酸類の単独あるいは2種以上を、無水酢酸を用いて脱水縮合反応等させて製造される脱水縮合物類も同様に使用可能である。脱水縮合物類は、その原料として使用される炭素数8〜20の脂肪族または脂環族多塩基酸類よりも一般的に低融点を示す場合が多いが、本願発明の場合、70℃以上の融点または実測ガラス転移温度Tgを有するものであれば使用することができる。特に、最終的に得られる塗膜の諸物性のトタールバランス(上記と同じ)の観点から、ドデカン二酸単独の脱水縮合物(融点85〜95℃)が好ましい。そのようなものとして具体的には'A
dditolVXL1381'(商品名、ソルーシア社製)等が好ましく用いられる。
ヌビン#900'(融点138℃)、'チヌビン#405'(融点75℃)(商品名、いず
れもチバスペシャルティケミカルズ社製)等が好ましく用いられる。
上記反応性希釈剤(b−5)としては、結晶性低粘度エポキシ樹脂に属するビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等を利用することができる。そのようなものとして、具体的には'エピコートYX4000H'(融点105℃)(商品名、油化シェル社製)等が好ましく用いられる。
59'(融点106℃)(商品名、チバスペシャルティケミカルズ社製)等が好ましく用
いられる。
本発明に係る粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂塗料原料は、上記粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂(A)と、上記粉体状塗料用配合剤(B)とを、乾式混合して製造される。この乾式混合方法については、(A)および(B)の両成分が実質的に均一に混合されれば特に制限はないが、実用レベルの方法としては、Vブレンダー等の乾式粉体混合機を使用することができ、また、あるいはハンマーミル等を用いることにより軽微な機械的粉砕を伴いながら混合させることもできる。
本発明の粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂塗料原料の輸送・貯蔵方法は、上記組成の粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂(A)、および粉体状塗料用配合剤(B)を上記の方法により予め乾式混合した後、得られた塗料原料を輸送・貯蔵することを特徴としている。このような塗料原料とすることにより、一般的に使用される紙バック、紙ドラム、金属ドラム、ポリエチレンバック、フレコンバック等を用いた梱包による輸送、一般的な積載、貯蔵が実施可能となる。さらに、このように輸送・貯蔵した後においても、粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂は、固着・凝集することがなく、該アクリル樹脂を含有する粉体塗料原料から得られる塗膜は平滑度に優れる。本願発明の粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂塗料原料の輸送・貯蔵方法によれば、25℃以下に管理された冷凍倉庫、冷凍コンテナ、等の使用は特に必要はない。
[製造例1]
攪拌機、温度計、還流冷却機、および窒素導入管を備えた4口フラスコに、キシレン70部を仕込み、気相部空気を窒素置換しながら、攪拌下に、還流温度まで加熱昇温した。このフラスコ内に、グリシジルメタクリレート40部、スチレン20部、イソボロニルアクリレート40部(合計100部)、および、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート12部とを溶解混合した原料液を、5時間にわたりフィードし、さらにその後100℃で5時間保持し、これらエチレン性不飽和単量体の共重合反応を行った。得られた樹脂溶液を、140℃加温下に、流動状態に保持したまま、4mmHg以下の真空度でキシレンを留去し、次いで、冷却、固化した。得られた塊状の樹脂をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて粉砕し、粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂(A−1)を得た。得られたグリシジル基含有アクリル樹脂の、DSC(示差走査熱量計)により実測されるガラス転移温度Tgは36℃であり、GPCにより実測される重量平均分子量Mwは3140であった。また、JIS C 2161(7.3.1)に準拠した分級操作法で測定される粒度において、目開き1.7mm(10メッシュ)を通過しない粗粉の重量は18重量%であった。
粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂(A−1)の配合量および特性値を表1に示す。[製造例2]
上記製造実施例1のグリシジルメタクリレートを、β−メチルグリシジルメタクリレートに変更し、表1に記載の添加量で使用した以外は、全て同様の操作を実施し、粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂(A−2)を得た。得られたグリシジル基含有アクリル樹脂の、DSC(示差走査熱量計)により実測されるガラス転移温度Tgは32℃であり、G
PCにより実測される重量平均分子量Mwは3120であった。JIS C 2161(7.3.1)に準拠した分級操作法で測定される粒度において、目開き1.7mm(10メッシュ)を通過しない粗粉の重量は25重量%であった。
粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂(A−2)の配合量および特性値を表1に示す。
ドデカン二酸の脱水縮合物'AdditolVXL1381'(商品名、ソルーシア社製)12部、'チヌビン#900'(商品名、チバスペシャリティーケミカルズ社製)2部、'チヌビン#144'(商品名、チバスペシャリティーケミカルズ社製)1部、およびベンゾイン1部を、バンタムミル(ホソカワミクロン社製)によって平均粒子径を21μmとなるように混合して調製した。
[実施例2]
ドデカン二酸30部、'エピコートYX4000H'2部、HCA2部、および'エピコ
ート#1002'2部をバンタムミル(ホソカワミクロン社製)によって平均粒子径を2
1μmとなるように混合して調製した。
[比較例1,2]
[比較例3]
尚、実施例1,2、比較例1〜3の配合量、貯蔵条件等については、表2に示す。
上記実施例1,2、比較例1〜3で得られた、貯蔵後の粉粒状グリシジルアクリル樹脂(A)(実施例1,2、および比較例3では粉体状塗料用配合剤(混合物)(B)が含有された状態のものである)を、以下の要領により評価した。
ポリエチレンバック中の固着・凝集の状態を、指触により、下記判定基準(◎〜×)により評価した。結果を表4に示す。
◎:僅かに凝集があるが、指で容易に崩れる。
○:凝集が多く、指で崩せない塊がある。
×:凝集が激しく、指で殆ど崩せない。
塗膜評価の為の、粉体塗料の調製、および、塗装、焼き付け操作は、一般的に用いられる技術に準拠して実施した。
このようにして、上記実施例1,2、比較例1〜3に記載の貯蔵後の粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂塗料原料から得られた、焼付け硬化塗膜の性能を表4に示す。ここで使用した各種評価方法については、以下の通りである。
肉眼による判定により、塗膜面の平滑度を下記判定基準(◎〜×)により評価した。
◎:非常に平滑である。
○:僅かに凹凸(うねり)がある。
×:凹凸が顕著に存在する。
BYKガードナー社製の光沢計により、60度光沢値を測定。光沢値が大きい程、光沢が良好であることを示す。
BYKガードナー社製ウェーブスキャンにより、長波長測定値を測定。Lw値が小さい程、平滑度が良好であることを示す。
Claims (1)
- 溶融混練操作により粉体塗料を製造するための樹脂原料である粉粒状のグリシジル基含有アクリル樹脂粉体(A)を貯蔵・輸送する方法であって、該グリシジル基含有アクリル樹脂粉体(A)100重量部に対し、0.5重量部以上の量の、該グリシジル基含有アクリル樹脂粉体(A)原料に配合されて粉体塗料を形成する粉体状塗料用配合剤(B)とを予め乾式混合する混合物であり、
前記(A)粉粒状グリシジル基含有アクリル樹脂について、実測ガラス転移温度(Tg)が30〜45℃の範囲にあり、かつ、JIS C 2161(7.3.1)に準拠した分級操作法により測定した目開き1.7mm(10メッシュ)を通過しない粗粉の含有率が40重量%以下の粒度であるグリシジル基含有アクリル樹脂粉体(A)と、
融点または実測ガラス転移温度(Tg)が70〜140℃の範囲内にあるとともに、レーザー回折散乱法によって測定した体積平均粒子径が10〜100μmの範囲内にある、
多価カルボキシル硬化剤(b−1)、
紫外線吸収剤(b−2)、
ヒンダードアミン系光安定剤(b−3)、
ベンゾイン(b−4)、
反応性希釈剤(b−5)、
酸化防止剤(b−6)、および
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b−7)からなる群より選択される少なくとも1種の粉体状塗料用配合剤(B)とを乾式で混合することを特徴とするグリシジル基含有アクリル樹脂粉体(A)粉体塗料の樹脂原料の輸送・貯蔵方法。
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