JP2006160942A - 塗料用水性樹脂組成物及び塗装仕上げ方法 - Google Patents

塗料用水性樹脂組成物及び塗装仕上げ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 貯蔵安定性、密着性、耐アルコール性、耐アルカリ性に優れ、塗料としたときにポリプロピレン素材に塗装可能で、環境負荷が少ない塗料用水性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 重量平均分子量が50,000〜150,000、分散度が2.0〜5.0、軟化温度が40℃以下、塩素含有率が20〜30重量%の塩素化ポリオレフィン系樹脂(A)及び有機溶剤の存在下で、
(b1)カルボキシル基と不飽和二重結合を有する重合性単量体及び
(b2)不飽和二重結合を有する重合性単量体、
を必須成分として含む重合性単量体混合物(B)を重合して得られる塩素化ポリオレフィン系重合体を水中に分散して得られる水分散液からなる塗料用水性樹脂組成物;及び、
上記の塗料用水性樹脂組成物と顔料を配合してなる1コート1ベーク仕上げ用の塗料を用いて塗膜を形成する塗装仕上げ方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、未処理の難塗装性ポリオレフィン素材であるポリプロピレン(以下、PPと略すことがある)樹脂に塗装可能な塗料用水性樹脂組成物と、それを用いた塗装仕上げ方法に関する。
近年、自動車、家庭電化製品、事務用機器、その他種々の産業分野において低コスト化、リサイクル化、その他の目的からポリオレフィン等の合成樹脂が使用されている。特に近年では、自動車分野を中心にPP素材等のポリオレフィン素材が多く使用されている。また、自動車、家庭電化製品、事務用機器等の分野では装飾仕上げのためにアルミニウム顔料やマイカ顔料等のメタリック顔料を含むメタリック塗料を塗装した部品が広く使用されている。
このように使用されているメタリック塗料は、メタリック顔料を規則正しく配向させて金属調の意匠性を発現させるために、通常、メタリック塗料を有機溶剤で多量に希釈し、エアースプレーによって高圧で塗装されるため、大気に排出される有機溶剤量が非常に多くなることや、被塗物に塗着しない廃塗料も多く発生し、環境負荷の原因の一つとされている。そのため、近年では、塗料の有機溶剤の大気への排出量大幅削減を目的とした水性塗料の採用が望まれている。しかし、従来の塩素化ポリオレフィン系水性樹脂を用いた塗料では界面活性剤を多量に含有するため、形成される塗膜の耐水性に問題があり、実用レベルに達するものがなく、改善の余地があった(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2003−342516号公報
本発明は、貯蔵安定性、密着性、耐アルコール性、耐アルカリ性に優れ、塗料としたときにポリプロピレン素材に塗装可能で、環境負荷が少ない塗料用水性樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、その塗料用水性樹脂組成物を含有する1コート1ベーク仕上げ用の塗料を用いた塗装仕上げ方法を提供することを目的とする。
本発明は、重量平均分子量が50,000〜150,000、分散度が2.0〜5.0、軟化温度が40℃以下、塩素含有率が20〜30重量%の塩素化ポリオレフィン系樹脂(A)及び有機溶剤の存在下で、
(b1)カルボキシル基と不飽和二重結合を有する重合性単量体、
(b2)不飽和二重結合を有する重合性単量体、
を必須成分として含む重合性単量体混合物(B)を重合して得られる塩素化ポリオレフィン系重合体を水中に分散して得られる水分散液からなる塗料用水性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記の塗料用水性樹脂組成物とメタリック顔料及び/又は着色顔料を配合してなる1コート1ベーク仕上げ用の塗料を用いて塗膜を形成することを特徴とする塗装仕上げ方法に関する。
本発明の塗料用水性樹脂組成物は、貯蔵安定性、密着性、耐アルコール性、耐アルカリ性に優れ、環境負荷が少ないポリプロピレン素材に塗装可能な1コート1ベーク用水性塗料に好適である。
本発明における重量平均分子量が50,000〜150,000、分散度が2.0〜5.0、軟化温度が40℃以下、塩素含有率が20〜30重量%の塩素化ポリオレフィン系樹脂(A)(以下、(A)成分と略することがある)としては、例えば、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン樹脂、ウレタン変性塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
(A)成分の重量平均分子量は50,000〜150,000であり、70,000〜130,000であることが好ましい。(A)成分の重量平均分子量が50,000未満であると、得られる塗膜の耐溶剤性が低下する傾向があり、150,000を超えると得られる塗膜の仕上がり外観が著しく低下する傾向がある。また、(A)成分の分子量分布の分散度(重量平均分子量/数平均分子量、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による標準ポリスチレン換算値)は2.0〜5.0であり、2.1〜4.0であることが好ましい。分散度が2.0未満では、(A)成分を製造することが困難であり、分散度が5.0を超えると、得られる塗料用水性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する傾向がある。また、(A)成分の軟化温度が40℃以下であり、0〜35℃であることが好ましい。軟化温度が40℃を超えると、得られる塗料用水性樹脂組成物の貯蔵安定性貯蔵安定性が著しく低下する。
本明細書において、軟化温度は、「熱分析装置DSC」「Seiko Instrument Inc.製品」を用いて測定した値を指称するものである。
また、(A)成分の塩素含有率は20〜30重量%であり、22〜27重量%であることが好ましい。塩素含有率が20重量%未満では、得られる塗料用水性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する傾向があり、30重量%を超えると得られる塗膜の耐溶剤性が低下する傾向がある。
塩素化ポリオレフィン系樹脂(A)の塩素含有率は、目的とする種々の塗膜性能を考慮して、上記の範囲内で適宜定められる。なお、本明細書において、塩素含有率は燃焼法によって測定された値である。
本発明に用いられる重合性単量体混合物(B)(以下、(B)成分と略することがある。)は、(b1)カルボキシル基と不飽和二重結を有する重合性単量体(以下、(b1)成分と略することがある。)、(b2)不飽和二重結合を有する重合性単量体(以下、(b2)成分と略することがある。)を必須成分として使用するものである。
(b1)成分は、カルボキシル基と不飽和二重結合を有する重合性単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。カルボキシル基は酸無水物基として存在してもよく、無水マレイン酸等も使用可能である。重合性単量体混合物(B)中のカルボキシル基と不飽和二重結合を有する重合性単量体(b1)の配合割合は2〜7重量%であることが好ましく、2.5〜6重量%であることがより好ましい。前記(b1)成分は単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(b2)成分は、不飽和二重結合を有し、カルボキシル基を持たない重合性単量体であり、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアルキル基の炭素数が1〜20のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル等のシクロアルキル基の炭素数が3〜20のアクリル酸シクロアルキルエステル;アクリル酸トリシクロデシル、アクリル酸トリシクロデシロキシエチル、アクリル酸トリシクロデシロキシプロピル等のトリシクロアルキル基の炭素数が5〜20のアクリル酸トリシクロアルキルエステル:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のアルキル基の炭素数が1〜20のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸シクロヘキシル等のシクロアルキル基の炭素数が3〜20のメタクリル酸シクロアルキルエステル;メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸トリシクロデシロキシエチル、メタクリル酸トリシクロデシロキシプロピル等のトリシクロアルキル基の炭素数が5〜20のメタクリル酸トリシクロアルキルエステル;メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル等のアルキル基の炭素数が1〜20のメタクリル酸アミノアルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等のスチレン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のビニル誘導体;マレイン酸ジメチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル等の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル、ヒンダートアミノ基を有するアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル、ベンゾトリアゾール基を有するアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。前記成分は、単独で又は2種類以上組み合わせて使用される。
前記重合性単量体(b2)の中では、得られる塗料用水性樹脂組成物の貯蔵安定性、塗膜の仕上がり外観、耐溶剤性等の点から、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸シクロアルキルエステル、アクリル酸トリシクロアルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、メタクリル酸トリシクロアルキルエステルから選ばれる少なくとも1種類以上の重合性単量体を使用することが好ましい。これらの重合性単量体(b2)の使用量は、重合性単量体混合物(B)中93.0〜98.0重量%とすることが好ましく、94.0〜97.5重量%であることがより好ましい。
本発明の塗料用水性樹脂組成物において、(A)成分の配合量比率は、得られる塗料用樹脂組成物の貯蔵安定性と得られる塗膜のポリオレフィン素材に対する密着性、造膜性、耐溶剤性の点から、(A)成分と(B)成分の総量100重量%に対して1〜20重量%とすることが好ましく、4〜16重量%とすることがより好ましい。。(A)成分の配合量が1重量%未満であると、得られる塗料用水性樹脂組成物のポリオレフィン素材に対する密着性が低下する傾向があり、20重量%を超えると、得られる塗料用水性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する傾向がある。
本発明の塗料用樹脂組成物において、(B)成分の配合量は、ポリオレフィン素材に対する仕上がり外観、耐溶剤性のバランスの点から、(A)成分と(B)成分の総量100重量%に対して80〜99重量%とすることが好ましく、84〜96重量%とすることがより好ましい。この配合量が80重量%未満であると、得られる塗料用樹脂組成物の耐水性、貯蔵安定性が低下する傾向があり、99重量%を超えると、得られる塗膜のポリオレフィン素材に対する密着性が低下する傾向がある。
本発明において、(A)成分と(B)成分とを重合させる方法としては、通常のラジカル重合方法を利用することができ、特にその方法が制限されるものではない。
前記ラジカル重合方法において、有機溶媒としては、例えば、芳香族系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系、アルコール系、グリコール系溶媒等を使用することができる。芳香族系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル等が挙げられ、アルコール系溶剤としては、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等が挙げられ、グリコール系溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が上げられる。
これらの有機溶剤は、それぞれ単独又は2種類以上の有機溶剤を併用してもよい。
また、前記ラジカル重合法において、重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾビス系化合物等を使用することができる。有機過酸化物としては、例えば、イソブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジシクロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジイソブチルパーオキシジカーボネート、2−ジエチルヘキシルパーオキシジカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられ、アゾ系化合物としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニル)、2,2′−アゾビス(2,2,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
重合に際して、前記各重合性単量体は、予め混合物とした上で反応系に添加してもよいし、別に反応系に添加してもよく、また、この混合物を分割して反応系に添加してもよい。
重合開始剤の使用量は、得られる塗料用水性樹脂組成物中の塩素化ポリオレフィン系重合体の目的とする分子量により決められるものであるが、通常、(B)成分の重合に使用される重合性単量体混合物の総量に対し、0.1〜5重量%とすることが好ましい。また、必要に応じて、連鎖移動剤を用いて分子量調整をしてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる
反応温度は、70〜140℃が好ましく、80℃〜120℃がより好ましい。反応時間は、1〜10時間が好ましく、2〜8時間がより好ましい。反応圧力は、特に制限はなく、通常、常圧下で行われる。
前述したように塩素化ポリオレフィン系樹脂(A)及び有機溶剤の存在下で前記不飽和二重結合を有する重合性単量体混合物(B)を重合させて塩素化ポリオレフィン系重合体を得、これを水中に分散させることにより、本発明の塗料用水性樹脂組成物を得ることできる。なお、重合反応の終了後、N,N−ジメチルアミノエタノール等を反応液中に添加し、塩素化ポリオレフィン系重合体中のカルボキシル基の40〜70モル%を中和させることが好ましい。このように中和させることにより、水中に安定的に分散するという効果がある。
本発明の塗料用水性樹脂組成物中の塩素化ポリオレフィン系重合体は、重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による標準ポリスチレン換算値)が10,000〜70,000であることが好ましく、20,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が10,000未満では、得られる塗料用水性樹脂組成物の耐水性、ポリオレフィン素材に対する密着性が低下する傾向があり、70,000を超えると、得られる塗料用水性樹脂組成物の貯蔵安定性が著しく低下する傾向がある。
本発明の塗料用水性樹脂組成物中の塩素化ポリオレフィン系重合体は、ガラス転移温度が50℃〜110℃の範囲内であることが好ましく、60〜100の範囲内であることがより好ましい。50℃未満では耐水性、耐溶剤性が著しく低下する傾向があり、110℃を超える場合は、塗料用水性樹脂組成物の造膜性が著しく低下する傾向がある。
本明細書において、ガラス転移温度は、「熱分析装置DSC」「Seiko Instrument Inc.製品」を用いて測定した値を指称するというものである。
本発明の塗料用水性樹脂組成物中の有機溶剤の含有割合は、5〜20重量%であることが好ましく、8〜18重量%であることがより好ましい。有機溶剤の含有割合が5重量%未満であると、塗料用水性樹脂組成物の造膜性が低下する傾向があり、20重量%を超えると、塗料用水性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する傾向がある。また、本発明の塗料用水性樹脂組成物中の水の含有割合は、40〜80重量%であることが好ましく、50〜70重量%であることがより好ましい。水の含有割合が40重量%未満であると、塗料用水性樹脂組成物の粘度が高くなり、取り扱いの際に難点があり、80重量%を超えると、塗料用水性樹脂組成物の貯蔵安定性が著しく低下する傾向がある。
本発明の塗料用水性樹脂組成物は、必要に応じて、無機顔料、有機顔料、アルミ粉、マイカ粉等を含有するものであってよい。無機顔料としては、例えば、チタン白、カーボンブラック等が挙げられ、有機顔料としては、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等が挙げられる。これらの無機顔料、有機顔料等を含有させる方法としては、例えば、通常の顔料分散方法を利用することができる。これらを用いる場合、本発明の塗料用樹脂組成物中、0.5〜60重量%とすることが好ましい。
また、本発明の塗料用樹脂組成物は、必要に応じて各添加剤、例えば、可塑剤、塗膜強化用樹脂、顔料分散剤、顔料沈降防止剤、塗面調整剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、樹脂ビーズ等を塗料化の際又は塗料化後に添加することも可能である。
本発明の塗料用水性樹脂組成物は、通常の塗装方法に従い、各種基材や物品の表面等の塗装に供することができる。塗装に際しては、例えば、エアスプレー塗装機、エアレススプレー塗装機、静電塗装機、ロールコーター塗装機、浸漬、ハケ等を用いて塗装することができる。なお、本発明の塗料用水性樹脂組成物を塗料として用いる際には、上述の有機溶剤や水を更に添加して、塗装に最適な粘度に適宜調整してもよい。
本発明の塗料用水性樹脂組成物は、ポリオレフィン系の成型品、シート、フィルム等におけるポリオレフィン素材などに直接塗装するために供することができ、クリヤー塗料、エナメル塗料、メタリック塗料、艶消し塗料等としても使用することができる。
本発明の塗料用水性樹脂組成物は、ポリオレフィン素材に塗布後、室温〜150℃で1〜60分間加熱乾燥することが好ましい。加熱することで乾燥時間を短縮することができる。加熱乾燥条件は、基材の変形温度等を考慮して適宜選択される。
さらに、本発明に係る塗装仕上げ方法は、1コート1ベーク(1C−1B)方式で以て、塗膜を形成せしめるというものであり、本発明の塗料用水性樹脂組成物とメタリック顔料及び/又は着色顔料とを配合してなる塗料を用いて、塗膜を形成する。この方法に用いられる塗料にも、上記の各種添加剤を添加することができる。使用可能なメタリック顔料及び着色顔料の具体例とその好適な配合量、塗装方法、加熱乾燥条件等も、上記と同様である。塗装対象に特に制限はないが、ポリオレフィン系の成形品、シート、フィルムが特に好適である。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、部及び%は、それぞれ重量部及び重量%を示す。
[実施例1〜3]
冷却器、温度計、滴下ロート、窒素ガス吹き込み管及び撹拌機を備えた四つ口フラスコには表1に示す量の塩素化ポリプロピレン樹脂(商品名、スーパークロン1026(ペレット)、日本製紙ケミカル(株)製、塩素含有率25重量%、樹脂の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による標準ポリスチレン換算値100,000、分散度3.1、熱分析装置DSCによる軟化温度15℃)及びソルベッソ100を20部、エチレングリコールモノブチルエーテルを30部仕込み、115℃に加熱した。その後、表1に示す配合割合で(b1)、(b2)成分とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.5部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1.5部を均一溶解した混合物を調整し、同温度で保温しながら2時間で滴下し、その後同温度で2時間保温した。その後、80℃に冷却し、N,N−ジメチルアミノエタノールを加えて中和を行い(カルボキシル基の中和率が50mol%になるように加える。例えば、実施例2では、1.85部)、さらにイオン交換水を加えて加熱残分が33重量%の水分散体である塗料用水性樹脂組成物(R−1)〜(R−3)を得た。
得られた塗料用水性樹脂組成物中の塩素化ポリオレフィン系重合体のガラス転移温度、重量平均分子量及び有機溶剤含有量を、表1に示す。
Figure 2006160942
※1):日本製紙ケミカル(株)製、商品名スーパークロン1026(塩素含有率25%、ペレット、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による標準ポリスチレン換算値100,000、分散度3.1、熱分析装置DSCによる軟化温度15℃)
[比較例]
比較例1〜3
各成分を表2に示す配合割合で配合した以外は、前記実施例1〜2に記載された方法に従い、塗料用水性樹脂組成物(R−4)〜(R−5)を得た。得られた塗料用水性樹脂組成物中の樹脂又は塩素化ポリオレフィン系重合体のガラス転移温度、重量平均分子量及び有機溶剤含有量を、表1に示す。
また、比較例3として市販の塩素化ポリプロピレン樹脂粒子を含有する分散液(R−6)(商品名 スーパークロンE−603、日本製紙ケミカル(株)製、塩素化ポリプロピレン樹脂粒子の塩素含有率17%、樹脂固形分30重量%)として用いた。
Figure 2006160942
※1):日本製紙ケミカル(株)製、商品名スーパークロン1026(塩素含有率25%、ペレット、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による標準ポリスチレン換算値100,000、分散度3.1、熱分析装置DSCによる軟化温度15℃)
※2):日本製紙ケミカル(株)製、商品名スーパークロン803MWS(塩素含有率29%、ペレット、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による標準ポリスチレン換算値200,000、分散度4.0、熱分析装置DSCによる軟化温度82℃)
実施例1〜3及び比較例1〜3の塗料用水性樹脂組成物を用いたメタリック塗料の作製
前記実施例1〜3で得られた塗料用水性樹脂組成物(R−1)〜(R−3)、比較例1〜2で得られた塗料用水性樹脂組成物(R−4)〜(R−5)及び比較例3の分散液(R−6)を用い、得られた塗料用水性樹脂組成物303重量部と、アルミペースト(商品名 MH8801、旭化成(株)製、アルミ粉末含有量:65重量%)10.5重量部及び造膜助剤(エチレングリコールモノブチルエーテル/ソルベッソ100=50/50の重量比で混合した溶液)10.5重量部を分散混合してイオン交換水で、フォードカップ#4で28〜33秒/23℃になるように希釈してメタリック塗料とした。
(塗膜試料の作製)
前記実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたメタリック塗料を、表面処理が施されていないポリオレフィン成型板(PP成型板、パルテック(株)製)に乾燥膜厚が10〜15μmとなるようにスプレー塗装し、その後室温で10分間放置した。その後、70℃で20分乾燥し、得られた塗膜板の性能を評価した。
(評価)
得られた塗料用水性樹脂組成物について、下記方法に従い、貯蔵安定性を評価し、得られた塗膜板について、下記方法に従い、密着性(初期密着及び温水処理後の密着性)、仕上がり外観、耐アルコール性、耐水性、耐アルカリ性を評価し、その評価結果を表3、表4に示した。
Figure 2006160942
Figure 2006160942
(貯蔵安定性)
容量50mlのガラス容器に各塗料用水性樹脂組成物を入れ、−5℃、室温及び50℃の雰囲気で1ヶ月間保存する。その後、塗料用水性樹脂組成物の状態を目視で観察した。
(仕上がり外観)
得られた塗膜板を色差計(日本電色(株)製)により明度(L値)を測定し、下記基準で評価した。
L値85以上 :◎仕上がり外観が非常に良好
L値80〜84 :○仕上がり外観が良好
L値75〜79 :△仕上がり外観が劣る
L値74以下 :×仕上がり外観が著しく劣る
(密着性(初期密着性))
JIS K−5400のゴバン目試験方法に従った。塗膜上にナイフで2mm間隔で縦横各11本の線を引いて100個のゴバン目を作製し、その上にセロファンテープを接着させ、テープを剥がし、塗膜上に残存するゴバン目の数を測定し、下記基準で評価した。
100/100 :○密着性が良好
51〜99/100 :△密着性がやや劣る
50/100以下 :×密着性が著しく劣る
(耐水性(温水処理後の密着性))
得られた塗膜試験片を50℃温水に4時間させた後、前記初期密着性の評価方法に従って密着性を評価した。
100/100 :○密着性が良好
51〜99/100 :△密着性がやや劣る
50/100以下 :×密着性が著しく劣る
(耐水性(温水処理後の塗膜外観))
◎ :異状なし
○ : 僅かにブリスタあり
△ :ブリスタあり
× :白化及びブリスタあり
(耐アルコール性)
得られた塗膜試験片の塗膜の上にエタノールを滴下し、直ぐに滴下したエタノールをガーゼで拭き取り、塗膜外観を下記基準で評価した。
◎:痕跡なし
○:僅かに痕跡あり
△:塗膜が膨潤する
×:塗膜が溶解する或いはクラックが発生する
(耐アルカリ性)
得られた塗膜試験片の塗膜の上に0.1N−NaOH水溶液を2ml滴下し、8h放置後滴下した0.1N−NaOH水溶液をガーゼで拭き取り、塗膜外観を下記基準で評価した。
◎:痕跡なし
○:僅かに痕跡あり
△:塗膜が白化する
×:塗膜が溶解する

Claims (2)

  1. 重量平均分子量が50,000〜150,000、分散度が2.0〜5.0、軟化温度が40℃以下、塩素含有率が20〜30重量%の塩素化ポリオレフィン系樹脂(A)及び有機溶剤の存在下で、
    (b1)カルボキシル基と不飽和二重結合を有する重合性単量体及び
    (b2)不飽和二重結合を有する重合性単量体、
    を必須成分として含む重合性単量体混合物(B)を重合して得られる塩素化ポリオレフィン系重合体を水中に分散して得られる水分散液からなる塗料用水性樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の塗料用水性樹脂組成物とメタリック顔料及び/又は着色顔料を配合してなる1コート1ベーク仕上げ用の塗料を用いて塗膜を形成することを特徴とする塗装仕上げ方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009269975A (ja) * 2008-05-02 2009-11-19 Mitsubishi Rayon Co Ltd 樹脂組成物およびその製造方法、塗料組成物、積層体
JP2010001334A (ja) * 2008-06-18 2010-01-07 Mitsubishi Chemicals Corp ポリオレフィン水分散体の製造方法
CN116783256A (zh) * 2021-03-24 2023-09-19 关西涂料株式会社 水性底漆涂料组合物以及多层涂膜的形成方法

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