JP4593061B2 - 熱硬化複層塗膜およびその形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下塗り用水性ベースコート塗料と上塗り用粉体クリア塗料とを組み合わせて、「2コート1ベーク」により得られる熱硬化複層塗膜およびその形成方法に関し、さらに詳細には、本発明は、粉体クリア塗料により形成される上塗り塗膜の膜厚が50ミクロン以下の薄膜であっても優れた外観特性(目視外観、平滑性等)と、実用レベルで遜色のない物理特性(チッピング性等)と、化学特性(耐酸性、耐水性等)とを有し、特に自動車等の車両または車両用部品の外装塗装などの目的に好適に用いられる熱硬化複層塗膜、および該熱硬化複層塗膜を形成し得るような熱硬化複層塗膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱硬化性粉体塗料は、溶剤排出量の極めて少ない環境対応型塗料であり、従来より、特にVOC(Volatile Organic Compound、揮発性有機化合物)排出規制の厳しい欧米を中心に市場が拡大している。
熱硬化性粉体塗料は、水性又は溶剤型の熱硬化性塗料に比べて、一回の塗装操作で厚い膜厚の塗膜が得やすいという長所を有する反面、塗装材料コストを低減させようとして意図的に薄膜化させると、得られた塗膜の外観特性が著しく損なわれてしまうという短所も有する。
【0003】
特に薄膜化による塗装材料コストの低減が強く要求される用途例としては、自動車等の車両または車両用部品の外装塗装が挙げられ、このような分野では、実使用可能なレベルの優れた特性を有する環境対応型の薄膜塗装技術の開発が緊急の課題となっている。
典型的な例である自動車ボディー塗装では、近年、下塗り用水性ベースコート塗料と上塗り用溶剤型クリア塗料とが組み合わせて用いられており、「2コート1ベーク」の焼付け方法により熱硬化複層塗膜を形成させる方法が主流となっているが、この場合、溶剤型クリア塗料により形成される上塗り塗膜の膜厚は平均的には40μm前後である。
【0004】
これに対し、この上塗り用の溶剤型クリア塗料に代えて溶剤排出量の少ない粉体クリア塗料を用いて、上塗り塗膜の膜厚を40μm前後に調整した熱硬化複層塗膜を形成した場合には、上塗り用として溶剤型クリア塗料を用いる場合に比して、得られた複層塗膜は著しく外観特性が悪化してしまう。そのため、上塗り用として溶剤型クリア塗料を用いた場合と同程度の外観特性を有する熱硬化複層塗膜を得るには、粉体クリア塗料からなる上塗り塗膜の膜厚を、少なくとも50μmを上回る膜厚とする必要があった。
【0005】
なお、ここで言う「2コート1ベーク」の焼付け方法とは、必要により下塗り塗装、中塗り塗装等が施された基材表面に、先ず、水性ベースコート塗料を塗装し、塗装されたベースコート塗料の熱硬化反応が完全に完了しないように、比較的低温で短時間の加熱条件下に塗料中の水分を揮発(フラッシュベーク)させ、次いでクリア塗料を塗装し、最後にこれら両塗料を一気に焼付けて完全に硬化させることにより、一体化した熱硬化複層塗膜を形成させる技術である。この「2コート1ベーク」の焼付け方法は、これら両塗料(水性ベースコート塗料とクリア塗料)を別個に順次焼付け、その都度完全硬化させる方法である「2コート2ベーク」の焼付け方法に比して、焼付けに要するトータルエネルギーコストの削減が達成できることから重要な技術となっており、例えば、US特許6077608号、特開平6−233965号公報、DE特許4032391号等にその応用が見られる。
【0006】
一方、水性ベースコート塗料と、粉体クリア塗料とを用いてなる熱硬化複層塗膜に関し、できる限り上塗り塗膜を薄膜化しつつ、優れた外観特性を保持させる試みが種々検討されており、例えば、下塗り水性ベースコート塗料と上塗り粉体クリア塗料との層間相互作用の制御を含めた水性ベースコート塗料の新たな設計開発あるいは変更なども考えられるが、より一般的には、上塗り粉体クリア塗料の設計開発あるいは変更が中心的に検討されている。例えば、US特許5663240号、特開平9−78010号公報には、アクリル系粉体クリア塗料を対象として、バインダー樹脂として使用されるエポキシ基含有アクリル樹脂について、使用すべきエチレン性不飽和単量体の種類・共重合組成比等について規定され、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有不飽和モノマー、スチレン系モノマーと共重合すべき必須のエチレン性不飽和単量体として、イソボロニルメタクリレート、イソボロニルアクリレートが挙げられ、このようにして得られるエポキシ基含有アクリル樹脂と、硬化剤であるドデカン二酸との組み合わせから成る上塗り用粉体クリア塗料を用いると、比較的薄膜の上塗り塗膜を形成させた場合でも優れた外観特性の塗膜が得られる旨記載されている。
【0007】
また、DE特許4032391号には、上塗り粉体クリア塗料を構成する硬化剤として、脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物硬化剤が示され、やはり、比較的薄膜の上塗り塗膜でも優れた外観特性が得られる旨記載されている。
一方、これら上塗り粉体クリア塗料の「原料設計」の変更に対し、例えば、WO9851748では、上塗り用粉体クリア塗料を「微粒子化」することにより、薄膜での外観特性の改良が図られている。また、このような上塗り粉体クリア塗料の粒子サイズを規定するとの技術的思想は、特開平10−231446号公報にも同様に見られ、この公報では、粗粉量、微粉量の限定が行われている。
【0008】
またさらには、これらと異なる別のアプローチとして、特開平8−209033号公報には、ジェットミルと気流式分級機とを組み合わせて用いることにより、粉体クリア塗料の機械粉砕粒度の分布を狭く調整すると同時に、半球状粒子化させる試みが見られ、また、WO9845356では、従来の上塗り粉体クリア塗料の製造方法、つまり、その構成原料の乾式混合→溶融混練→機械粉砕・分級、のプロセスを大幅に変更し、溶融混練、機械粉砕・分級の操作を実施せず、水中への懸濁分散技術を応用することで真球状の粉体クリア塗料を製造する試みが見られ、これら何れの公報に記載の上塗り用粉体クリア塗料を用いた場合にも、得られる塗膜の外観特性を改善でき、さらには薄膜化に貢献できる可能性が示唆されている。
【0009】
上記の従来技術より推察される通り、下塗り用水性ベースコートと上塗り用粉体クリア塗料とを組み合わせて用いた2コート1ベークの焼付け方法にて形成させる熱硬化複層塗膜について、上塗り塗膜の外観特性を実用レベルで維持しつつ薄膜化させるために、これまで粉体クリア塗料は、大きく、1)原料設計、2)微粒子化、3)球状化の観点から検討されてきている。
【0010】
しかしながら、上記何れの従来技術をもってしても、下塗り水性ベースコート上に2コート1ベークにより、膜厚50μm以下の粉体クリア塗膜を形成してみても、得られた熱硬化複層塗膜は、溶剤型クリア塗料を使用した場合のような優れた外観特性を達成することができなかった。また、上記の2)の「微粒子化」、3)の「球状化」の如きアプローチは、粉体塗料の製造工程に於いて、設備的・プロセス的変更を必要とし、塗料製造コスト、エネルギー消費の観点から実用面で問題も多かった。
【0011】
かかる状況下にあって、本願発明者等は、上記の2)の「微粒子化」、3)の「球状化」で生じる粉体塗料の製造に関わる設備的・プロセス的変更を避け、1)の原料設計の点についてさらに追求し、最終焼付け過程で上塗り用粉体クリア塗料自身が示す、熱溶融−熱硬化の粘度挙動の制御について鋭意、研究・検討を重ねた結果、溶融粘度(η*)の逆数の焼付け時間による積分値に相当する「フローインデックス値」を特定の範囲に設定すると、未硬化の下塗り用水性ベースコート塗膜上に粉体クリア塗料を塗布し、2コート1ベークの焼付け方法により上塗り粉体クリア塗膜の膜厚が50μm以下の薄膜であるような熱硬化複層塗膜を形成した場合においても、溶剤型クリア塗料を使用した場合に匹敵する優れた外観特性と、実用レベルで遜色のない物理特性、化学特性を有する熱硬化複層塗膜が得られることなどを見出して、本発明を完成するに至った。
【0012】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、
下塗り用の水性ベースコート塗料、上塗り用の粉体クリア塗料の組み合わせで2コート1ベークにより得られ、且つ、上塗り粉体クリア塗料により形成される上塗り塗膜の膜厚が50μm以下の薄膜である熱硬化複層塗膜であって、上塗り塗料として溶剤型クリア塗料を使用した場合に匹敵する優れた外観特性(目視外観、平滑性等)と、実用レベルで遜色ない物理特性(チッピング性等)、化学特性(耐酸性、耐水性等)を有し、特に自動車等の車両または車両用部品の外装塗装に好適に用いることができる熱硬化複層塗膜を提供することを目的としている。
【0013】
さらに詳細には、本発明は、下塗り用の水性ベースコート塗料からなる未硬化塗膜上に上塗り用の粉体クリア塗料を塗布し、これら塗膜を一度に焼付け硬化させることにより形成される熱硬化複層塗膜のうちの、膜厚50μm以下の上塗り塗膜の外観特性が、BYK−Gardner社製「ウェーブスキャン−T」により実測される平滑性判定指標であるF値に従い、平滑性が良好なレベルと言える4.5以上の値を示す熱硬化複層塗膜を提供することを目的としている。
【0014】
【発明の概要】
本発明に係る熱硬化複層塗膜は、水性ベースコート塗料(B)からなる未硬化塗膜の表面に、
動的粘弾性測定装置により下記測定条件で測定されるフローインデックス値が300〜1000であり、体積平均粒子径が15ミクロン以上であり、且つ非球状不定形の粒子形状を示す、下記のような特定の粉体クリア塗料(P)を塗布し、
これら水性ベースコート塗料(B)からなる未硬化塗膜と粉体クリア塗料(P)からなる未硬化塗膜とを一度に焼付け硬化させて得られ、
該粉体クリア塗料(P)から形成され、硬化した上塗り塗膜の膜厚が50μm以下であって、且つ表面平滑性を有する(換言すれば、F値が4.5以上である)ことを特徴としている。
【0015】
(測定条件)
昇温速度:10℃/min.、
昇温開始温度:80℃、
昇温終了温度:150℃、
測定時間:1350秒、
プレート種:直径25mmのパラレルプレート、
周波数:6.28rad/s。
【0016】
換言すれば、本発明に係る熱硬化複層塗膜は、下塗り用の水性ベースコート塗料(B)、及び、動的粘弾性測定装置により上記測定条件で測定されるフローインデックス値が300〜1000であり、体積平均粒子径15ミクロン以上であり、且つ非球状不定形の粒子形状を示す上塗り用の粉体クリア塗料(P)との組み合わせから上記のような「2コート1ベーク」の焼付け方法により得られ、該粉体クリア塗料(P)から形成される上塗り塗膜の膜厚が50μm以下であって、且つ表面平滑性を有する(換言すれば、F値が4.5以上である)。
【0017】
本発明に係る熱硬化複層塗膜の形成方法は、基材表面に、少なくとも、水性ベースコート塗料(B)を塗布した後、この水性ベースコート塗料からなる塗膜が硬化しないうちに、該塗膜表面に、
動的粘弾性測定装置により上記測定条件で測定されるフローインデックス値が300〜1000であり、体積平均粒子径が15ミクロン以上であり、且つ非球状不定形の粒子形状を示す、下記のような特定の粉体クリア塗料(P)を塗布し、
これら水性ベースコート塗料からなる未硬化塗膜と、粉体クリア塗料(P)からなる未硬化塗膜とを、一度に焼付け硬化させて、
該粉体クリア塗料(P)から形成され、膜厚が50μm以下であって、且つ表面平滑性を有する(換言すれば、F値が4.5以上である)硬化した上塗塗膜を有する熱硬化複合塗膜を形成することを特徴としている。
【0018】
また、本発明に係る上記熱硬化複層塗膜および上記熱硬化複層塗膜の形成方法では、上塗り粉体クリア塗料(P)から形成される、硬化した上塗り塗膜の膜厚が、45μm以下であって、且つ表面平滑性を有する(換言すれば、F値が4.5以上を示し)、さらに好ましくは上記上塗塗膜の膜厚が40μm以下であって、且つ表面平滑性を有する(換言すれば、F値が4.5以上を示す)ことが望ましい。
【0019】
本発明に係る上記熱硬化複層塗膜および上記熱硬化複層塗膜の形成方法では、上記粉体クリア塗料(P)が、
(P−1)エポキシ当量:300〜400g/eq、設計溶解性パラメーター:9.0〜9.5、重量平均分子量(Mw):3000〜4000、実測ガラス転移温度(Tg):30〜38℃に設計されたエポキシ基含有アクリル樹脂、及び
(P−2)脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物
を含有し、且つ、
エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)中のエポキシ基量(e)と、
脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)中のカルボキシル基量(a-1)及び酸無水物基量(a-2)の合計量((a)=(a-1)+(a-2))とが、化学量論的に酸(a)(すなわちカルボキシル基、酸無水物基)過剰になることが好ましく、モル比((a)/(e))で1.1〜1.3の範囲にあることが望ましい。
【0020】
本発明に係る上記熱硬化複層塗膜および上記熱硬化複層塗膜の形成方法では、上記エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)は、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレートのうち少なくとも1種類以上のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体と、スチレンと、イソブチルメタクリレートと含む単量体成分を共重合させてなるものであることが望ましい。
【0021】
本発明に係る上記熱硬化複層塗膜および上記熱硬化複層塗膜の形成方法では、上記の脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)が、ドデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物、または、テトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物のうちの何れか1種以上であることが好ましく、特に、上記の脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)が、テトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物であることが望ましい。
【0022】
本発明に係る熱硬化複層塗膜は、中塗り塗装鋼板上に形成され、車両または車両用部品の外装塗装に好適に用いられる。
本発明によれば、下塗り用の水性ベースコート塗料、上塗り用の粉体クリア塗料の組み合わせでいわゆる「2コート1ベーク」により得られ、且つ、上塗り粉体クリア塗料により形成される上塗り塗膜の膜厚が50μm以下の薄膜である熱硬化複層塗膜であって、上塗り塗料として溶剤型クリア塗料を使用した場合に匹敵する優れた外観特性(目視外観、平滑性等)と、実用レベルで遜色ない物理特性(チッピング性等)、化学特性(耐酸性、耐水性等)を有し、特に自動車等の車両または車両用部品の外装塗装に好適に用いることができる熱硬化複層塗膜を提供することができる。
【0023】
さらに詳細には、本発明によれば、下塗り用の水性ベースコート塗料からなる未硬化塗膜上に上塗り用の粉体クリア塗料を塗布し、これら塗膜を一度に焼付け硬化させることにより形成される熱硬化複層塗膜のうちの、膜厚50μm以下の上塗り塗膜の外観特性が、BYK−Gardner社製「ウェーブスキャン−T」により実測される平滑性判定指標であるF値に従い、平滑性が良好と言えるレベルである4.5以上の値を示す熱硬化複層塗膜が提供される。
【0024】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る熱硬化複層塗膜及びその形成方法について具体的に説明する。
[熱硬化複層塗膜]
本発明に係る熱硬化複層塗膜は、下塗り用の水性ベースコート塗料(B)からなる塗膜(塗膜(B)、下塗層(B)等とも言う。)、及び、上塗り粉体クリア塗料(P)からなる塗膜(塗膜(P)、上塗層(P)等とも言う。)の組み合わせからなり、上塗塗膜(P)は、動的粘弾性測定装置により下記測定条件で測定されるフローインデックス値が300〜1000であり、体積平均粒子径15ミクロン以上であり、且つ非球状不定形の粒子形状を示す上塗り粉体クリア塗料(P)からなる。
〔粉体クリア塗料(P)の構成成分〕
本発明で熱硬化複層塗膜を形成する上塗り塗料として使用される粉体クリア塗料(P)は、エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)、及び脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)を必須成分としてなる。エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)は、エポキシ当量300〜400g/eq、設計溶解性パラメーター9.0〜9.5、重量平均分子量Mw3000〜4000、実測ガラス転移温度Tg30〜38℃に設計された、エチレン性不飽和単量体の共重合ポリマーである。
<エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)のエポキシ当量>
エポキシ基を導入する目的で使用される、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート等が1種又は2種以上組み合わせて使用でき、特に、グリシジルメタクリレートが好ましい。
【0025】
エポキシ当量は、公知公用の滴定操作により実測され、本発明の場合、300〜400g/eq.の範囲にあることが好ましい。エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)のエポキシ当量が300g/eq.を下回る場合、エポキシ基含有アクリル樹脂が非常に高価格となり、実用性に欠ける。一方、400g/eq.を超えると、得られる熱硬化複層塗膜の物理特性、化学特性が損なわれ、やはり実用性に欠ける。このようにエポキシ当量が300〜400g/eq.となるエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)を製造するに際して、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体として例えばグリシジルメタクリレートのみを使用する場合には、使用される全てのエチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対し、グリシジルメタクリレートが35〜50重量部程度の割合を占めるような単量体組成比で共重合することにより所望の樹脂を製造できる。
<エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)の設計溶解性パラメーター>
また、本発明で使用されるエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)は、設計溶解性パラメーターが9.0〜9.5に設計される。設計溶解性パラメーターは、Fedorsの方法により決定・計算され、「Polymer Engineering and Science,14巻,2月号,147〜154ページ,1974年」に記載されている。本願発明では、この設計溶解性パラメーターが好ましくは9.0〜9.5、より好ましくは9.0〜9.4の範囲に設計されることが望ましい。このような溶解性パラメーターの設計は、上記のエポキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体と共重合させる、「その他のエチレン性不飽和単量体」の種類・共重合割合を適宜選定することによって行われる。
【0026】
その他のエチレン性不飽和単量体として使用可能なものとして具体的には、例えば、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、イソボロニルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類等が挙げられる。これらの単量体は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
特に、本願発明の場合、そのホモポリマーが低い溶解性パラメーターを示すエチレン性不飽和単量体が好適に用いられ、このような単量体として、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、イソボロニルアクリレート、及び、スチレンを用いることが特に好ましい。また、特に価格面での実用性を考慮した場合、スチレン及びイソブチルメタクリレートを必須の単量体成分とすることがさらに好ましい。これらは、使用される全てのエチレン性不飽和単量体の合計100重量部のうち、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体が占める量(重量部)を除いた残部量で使用される。
【0028】
設計溶解性パラメーターが9.5を上回る場合、得られる熱硬化複層塗膜の外観特性が損なわれ、粉体クリア塗料(P)により形成される上塗り塗膜の膜厚が50μm以下、好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下の範囲で、BYK−Gardner社製「ウェーブスキャン−T」により実測される平滑性判定指標であるF値が4.5以上を達成できない恐れがある。
<エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)の重量平均分子量Mw>
また、本願発明で使用されるエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)は、重量平均分子量Mwが3000〜4000に設計されることが望ましい。重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として実測され、特に好ましい重量平均分子量Mwの範囲は、3100〜3500である。このMwが上記範囲を下まわる場合、特に3000未満の場合、得られる熱硬化複層塗膜の物理特性、化学特性が損なわれ、逆に、このMwが上記範囲を上まわる場合、特に4000を上回る場合、得られる熱硬化複層塗膜の外観特性が損なわれ、粉体クリア塗料(P)が形成する上塗り塗膜の膜厚が50μm以下、さらには45μm以下、特に40μm(厚)以下の範囲でF値4.5以上を達成できない恐れがある。
<エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)の実測ガラス転移温度Tg>
また、本願発明で使用されるエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)は、実測ガラス転移温度Tgが30〜38℃に設計されることが望ましい。ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)により実測され、特に好ましい実測ガラス転移温度Tgの範囲は、33〜38℃の範囲である。実測ガラス転移温度Tgが上記範囲を下まわり、特に30℃を下回る場合、得られる粉体クリア塗料(P)の粒子間凝集が顕著であり、また、スピットの発生により、得られる熱硬化複層塗膜の外観特性が著しく損なわれ場合がある。逆にこのTgが上記範囲を上まわり、特に38℃以上の場合、得られる熱硬化複層塗膜の外観特性が損なわれ、粉体クリア塗料(P)から形成される上塗り塗膜の膜厚が50μm以下の範囲、さらには前述したような範囲でF値4.5以上を達成できない恐れがある。
<エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)の製造方法>
このようなエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)の製造方法としては、実質的に所望の特性を有するものが得られる限り特に限定されず、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等が用いられる。例えば、溶液重合法の場合、キシレン、トルエン、等の芳香族系有機溶剤等の存在下、上記エチレン性不飽和単量体の全て(好ましくは、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレートのうち少なくとも1種類以上のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体と、スチレンと、イソブチルメタクリレートと含む単量体成分)と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の重合開始剤とを、適当な反応容器中、100〜170℃程度の温度で、1〜10時間程度共重合反応させ、次いで得られた共重合ポリマー溶液から、有機溶剤のみをその沸点以上の温度で留去すればよい。
<脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物硬化剤(P−2)>
本願発明では、エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)を熱硬化させる為に使用される硬化剤として、脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)が用いられる。
【0029】
線状ポリ酸無水物は、通常、原料である脂肪族二塩基酸と無水酢酸とを用いて脱水縮合反応により製造され、縮合度3〜8程度のものが好適に使用される。
原料となる脂肪族二塩基酸としては、炭素数8〜20の直鎖状脂肪族二塩基酸類が使用できるが、そのうち、炭素数12のドデカン二酸、炭素数14のテトラデカン二酸が好適に用いられる。
【0030】
線状ポリ酸水物(P−2)は、これら脂肪族二塩基酸類の複数種類を共縮合することにより製造されても構わないが、共縮合の場合、融点降下が大きい傾向にあり、粉体クリア塗料(P)の粒子間凝集が問題となる場合がある。従って、より好ましくは、単一の脂肪族二塩基酸から得られた線状ポリ酸無水物であることがより好ましい。
【0031】
ドデカン二酸単独を使用した線状ポリ酸無水物としては、市販製品として、‘Additol VXL1381’(ソルーシア社製)等が使用できる。また、テトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物も、醗酵法により製造されたテトラデカン二酸(キャシーバイオテック社製‘DC14’)を使用し、容易に合成できる。
【0032】
特に、テトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物は、同等の縮合度を有するドデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物に比して、融点が5〜10℃高く、粉体クリア塗料の粒子間凝集が低減できること、それ自体の加水分解に対する安定性が改善されること、さらに、最終的に得られる熱硬化複層塗膜の物理特性、化学特性が全体的に改良されること、の3点からさらに好ましい。
<エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)と硬化剤(P−2)の配合比率>
本発明で使用される粉体クリア塗料(P)を構成するエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)と、脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)との配合比率は、エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)中のエポキシ基量(e)と、線状ポリ酸無水物(P−2)中のカルボキシル基量(a-1)及び酸無水物基量(a-2)の総量を((a)=(a-1)+(a-2))として記載した場合、モル比率(a)/(e)が化学量論的には、(a)過剰(すなわちモル比:((a)/(e))>1)となることが好ましく、具体的には、モル比率(a)/(e)が1.1〜1.3となるような配合比に設計される。このモル比(a)/(e)が1.1未満の配合モル比率の場合、粉体クリア塗料(P)から形成される上塗り塗膜の膜厚が50μm以下の範囲、さらには上述したような範囲でF値4.5以上を達成しにくくなる。また、逆に、1.3を超える場合、得られる熱硬化複層塗膜の物理特性、化学特性が悪化する傾向にあり、また、粉体クリア塗料(P)が高価格となり、実用面でも問題となる傾向がある。
<粉体クリア塗料(P)を構成する、その他の塗料用添加剤類>
本発明で使用される粉体クリア塗料(P)には、必要により、通常の粉体塗料に添加可能な種々の添加剤類を配合できる。例えば、目的に応じ、硬化触媒、流動調整剤、レオロジーコントロール剤、帯電調整剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、脱ガス剤、酸化防止剤等の添加剤を適宜配合してもよい。またさらには、得られる熱硬化複層塗膜のクリア感(透明感)が損なわれない範囲で着色剤等を配合しても構わない。
<粉体クリア塗料(P)の製造方法>
本発明で用いられる粉体クリア塗料(P)は、上記のエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)、脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)を必須の構成成分として含有し、上記のその他の塗料用添加剤類が配合されていても構わないが、
このような粉体クリア塗料(P)の製造方法は、実質的に均一なコンパウンド調製が可能であれば、これら原料の混合方法に特に制限はない。
【0033】
通常のコンパウンド調製操作では、上記配合原料のミキサコミキサー、ヘンシェルミキサー、等を用いたドライ混合工程を経て、加熱ロール機、加熱ニーダー機、押出し混練機(エクストルーダー)等の従来より公知の混練機等を適宜組み合わせて用いることで、溶融混練されたコンパウンドが調製できる。
また、これら混練機等を用いる際には、混練条件(温度、回転数、雰囲気等)を適宜設定し、コンパウンド調製操作中に実質的に熱硬化反応(premature curing)が生じないような混練条件を採用することが好ましく、また、上記コンパウンド調製時における熱硬化反応を最大限抑制する目的で、溶融混練直後の、溶融コンパウンド物(Extrudate)を急速冷却することも好ましい。
【0034】
上記の混練工程と冷却を経て得られた溶融コンパウンド物を、さらに粉砕することにより、所望の粉体クリア塗料(P)を製造することができるが、この粉砕方法としては、従来より公知の方法を採用することができる。例えば、平均粒径が15〜50μm程度の粉砕物を得るには、ハンマーミル、等の破砕型粉砕機を使用することができる。
【0035】
本発明においては、特に、得られる粉体クリア塗料(P)は、体積平均粒子径(測定法:島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置「SALD−2000A」により測定)が15μm以上、好ましくは15〜30μmの粒子サイズであることが望ましい。15μm未満では、粉体クリア塗料(P)の粒子間凝集が生じ易くなり、逆に、30μmを超えると熱硬化複層塗膜の外観特性が損なわれる傾向がある。本願発明の粉体クリア塗料(P)の場合、いわゆる「微粒子化」、「球状化」の為の特殊操作は必要なく、一般的な機械粉砕により調製された、非球状、不定形粒子であってよく、より現実的には、体積平均粒子径18〜25μmの粒子サイズが好ましく用いられる。
[フローインデックス値の測定方法]
本発明で使用される粉体クリア塗料(P)は、上記の如き「原料設計」の結果、極めて高い流動性を有する。この流動性を判定する指標として有効な手段の一つが、特定条件下に動的粘弾性測定装置で実測される熱溶融−熱硬化過程で示す溶融粘度(η*)の関数であり、本願発明の場合、下記式1で示されるように、この溶融粘度(η*)の逆数の焼付け時間による積分値に相当するフローインデックス値を用いる。
【0036】
溶融粘度(η*)の測定手順、及び、フローインデックス値の算出方法を、以下に説明する。
<粉体クリア塗料(P)の溶融粘度(η*)の測定手順>
1)粉体クリア塗料(P)の錠剤成型
約1gの粉体クリア塗料(P)を日本分光製の錠剤成形器(直径25mmの錠剤ができるよう20mm用を改造)に入れ、理研精器製の手動油圧ポンプP−16Bにより10MPaの圧力を印加し、厚さ1.87〜2.00mmの錠剤を成型する。
【0037】
2)溶融粘度(η*)の測定
動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific 製 Dynamic Stress Rheometer SR-500)を用いて、下記条件下に、熱溶融−熱硬化を与えせしめ、その過程で示す溶融粘度(η*)を実測:
昇温速度:10℃/min.、
昇温開始温度:80℃、
昇温終了温度:150℃、
測定時間:1350秒、
プレート種:直径25mmのパラレルプレート、
周波数:6.28rad/s。
<フローインデックス値の算出方法>
(式1):メルトフローインデックス値=∫(1/η*)dt:[t:時間]
すなわち、(式1)に準拠し、溶融粘度(以下、η*と表示する。)の逆数の時間積分値を計算する。なお、時間tの範囲は、昇温開始時(80℃)から1350秒間である。(80℃〜150℃への昇温所要時間である420秒と、150℃保持時間である930秒との合計)。
【0038】
本発明においては、粉体クリア塗料(P)が示すフローインデックス値は、300〜1000であることがより好ましく、400〜1000であることがより好ましい。フローインデックス値が、300を下回る(未満である)場合、得られる熱硬化複層塗膜の外観特性が十分でなく、粉体クリア塗料(P)が形成する上塗り塗膜の膜厚が50μm以下の範囲、特に前述したような範囲でF値4.5以上を達成できない。一方、1000を上まわる(超える)場合、垂直面での塗装に於いて垂れ(sagging)の問題を発生し、さらに、硬化不良による塗膜の物理特性、化学特性の悪化の恐れも生じ、実用面で問題を生じやすい。
[水性ベースコート]
本発明で熱硬化複層塗膜の形成の為に下塗り塗料(B)として使用される水性ベースコート塗料(B)には特に制限はなく、基材特に金属基材、及び、熱硬化型粉体クリア塗料からなる上塗塗膜(P)の両方に対し、十分な層間接着性を示すものであれば、市販製品を含め、任意に選択できる。これら基材の表面には、予め、下塗、中塗り等の塗装や処理がされていてもよい。
【0039】
[熱硬化複層塗膜の形成方法]
[熱硬化性複層塗膜の形成方法]
本発明に係る熱硬化複層塗膜の形成方法では、基材表面に、少なくとも、水性ベースコート塗料(B)を塗布した後、この水性ベースコート塗料からなる塗膜が硬化しないうちに、該塗膜表面に、
上記粉体クリア塗料(P)を塗布し、
これら水性ベースコート塗料からなる未硬化塗膜と、粉体クリア塗料(P)からなる未硬化塗膜とを、一度に焼付け硬化(いわゆる「2コート1ベーク」の焼付け)させて、
該粉体クリア塗料(P)から形成され、膜厚が50μm以下であって、且つF値が4.5以上である硬化した上塗塗膜を有する熱硬化複合塗膜を形成する。
【0040】
ここで、「硬化しないうちに」、あるいは塗膜が「未硬化」とは、塗布された塗料の熱硬化反応が完全に完了しない比較的低温で短時間の加熱条件下に少なくとも一部、好ましくは実質上全部の水分が揮発(フラッシュベーク)されている状態をいう。
すなわち、上述の通り、「2コート1ベーク」の焼付け方法は、下塗り用の水性ベースコート塗料(B)を、その熱硬化反応が完全に完了しない比較的低温で短時間の加熱条件下に水分揮発(フラッシュベーク)し、次いで上塗りクリア塗料(P)を塗装し、最後にこれら両塗料を一気に焼付けることにより完全に硬化させることにより一体化し、熱硬化複層塗膜を形成させる技術であり、本願発明でも、この方法に準じて熱硬化性複層塗膜を形成させることができる。
【0041】
より具体的には、基材としての塗装対象物(表面処理された金属基材等)に、まず下塗り水性ベースコート塗料をスプレー塗装し、これを、例えば、70〜100℃で、5〜10分間加熱することで水分揮発(フラッシュベーク)させ、次いで粉体クリア塗料(P)を、静電塗装法、流動浸漬法等の塗装方法によって付着せしめ、最後に、例えば、120〜170℃の温度で、15〜40分間加熱することで、完全に熱硬化し、一体化した熱硬化複層塗膜を形成させることができる。
【0042】
本願発明の場合、熱硬化複層塗膜のうち上塗り塗膜である粉体クリア塗膜の膜厚は、実用的に十分な塗膜外観特性F値4.5以上を与える膜厚として、50μm以下であってよく、さらには45μm以下、40μm以下であっても構わない。また、
塗装被塗物として中塗り塗装鋼板上を用いた場合、車両または車両用部品の外装塗装として用いることも可能となる。
[既存技術との差異]
上記に引用した先行技術と本願発明との差異をより明確に説明する。
【0043】
本願発明で使用される粉体クリア塗料(P)が「微粒子化」、「球状化」等の高度な粒子形態制御技術を使用して調製されたものでなく、さらに、粉体塗料製造工程の変更を要さないという点から、WO9851748、特開平10−231446号公報、特開平8−209033号公報、WO9845356等とは区別できる。
【0044】
一方、粉体クリア塗料(P)の構成成分である、エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)について、本実施例の一部に記載のイソボロニルアクリレートの使用自体は、特開平9−78010号公報の範囲内にあるが、特に、本発明の好ましい態様ではイソボロニルアクリレートに限るものではなく、これを、低い設計溶解性パラメーターのホモポリマーを与える他のエチレン性不飽和単量体、特にイソブチルメタクリレートにより代替できるという点、さらに、硬化剤として特にテトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物が化学量論的に酸過剰に使用し、50ミクロン以下で、実用可能なレベルの薄膜化が容易に達成できる点で区別できる。
【0045】
ところで、粉体クリア塗料(P)の硬化剤成分である、脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)については、例えばDE特許4032391号、EP特許696622号等に記載がある。しかしながら、これら先行技術では、ドデカン二酸等の酸無水物基を有さない硬化剤を併用できるとする点、組み合わせるべきエポキシ基含有アクリル樹脂の数平均分子量Mwが4000以上が好ましいとする点、さらには、その設計溶解性パラメーターを低く設計する必要性に言及していない点で、特に本願発明の好ましい態様とは異なる。特に本願発明で好適に使用されるテトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物を使用した場合、これと組み合わせるグリシジル基含有アクリル樹脂(P−1)の設計溶解性パラメーターの選定は重要であり、これが9.5を超えて大きくなる程、いわゆる艶消し塗膜(low gloss、mat finish)に近づき、熱硬化複層塗膜の外観特性が劇的に悪化する。
【0046】
さらにまた、本願発明の好ましい態様では、エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)中のエポキシ基量(e)と、脂肪族二塩基の線状ポリ酸無水物(P−2)中のカルボキシル基及び酸無水物基の総量(a)の配合比率をモル比率(a)/(e)を化学量論的には酸過剰となる量で、具体的には、該モル比が1.1〜1.3と化学量論的に酸過剰となる量で配合する点についても規定しているが、上記特開平9−78010号公報、DE特許4032391号のいずれもが、実用レベルで遜色ない熱硬化複層塗膜の物理特性、化学特性を与え、且つ、フローインデックス値300〜1000で示される、極めて流動性の高い粉体クリア塗料を与える必須要因である点について何ら触れられておらず、また、上塗り粉体クリア塗膜の膜厚が50ミクロンを下回る場合の作用効果についても、何ら示唆すらされていない点で異なる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、下塗り水性ベースコート塗料、上塗り粉体クリア塗料の組み合わせで2コート1ベークにより得られ、且つ、上塗り粉体クリア塗料が形成する上塗り塗膜の膜厚が50μm以下の薄膜である熱硬化複層塗膜に関し、上塗り塗料として溶剤型クリア塗料を使用した場合に匹敵する優れた外観特性(目視外観、平滑性等)と、実用レベルで遜色ない物理特性(チッピング性等)、化学特性(耐酸性、耐水性等)を有し、特に自動車等の車両または車両用部品(アルミホイール、ワイパー、ピラー、ドアハンドル、フェンダー、ボンネット、エアスポイラー、スタビライザー、フロントグリル等)の外装塗装に好適に用いることができる熱硬化複層塗膜が提供される。
【0048】
【実施例】
以下、本発明の熱硬化性硬化塗膜について、その製法および各種試験例を挙げ、更に具体的に説明するが、本発明は、それらの記載によって何ら限定されるものではない。以下の説明において、「部」および「%」は特記していない限り重量基準である。
〔水性ベースコート塗料の製造例〕
攪拌機、温度調節器、還流冷却管を備えた反応容器にプロピレングリコールエチルエーテル82重量部を仕込み、窒素置換した後に温度を105℃にした。ここに、アクリル酸5重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル17重量部、メタクリル酸n−ブチル30重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル15重量部、スチレン20重量部、メタクリル酸メチル13重量部およびアゾビスイソブチロニトル0.8重量部からなるモノマー溶液を5時間かけて添加した後、1時間攪拌を継続し、数平均分子量15000の樹脂を得た。そして、この樹脂溶液を固形分濃度が80重量%になるまでエバポレータで脱溶媒した後、ジメチルエタノールアミン6重量部と脱イオン水36重量部を添加して固形分濃度60重量%の水性塗料用樹脂分散液を得た。この固形分濃度60重量%の水性塗料用樹脂分散液にブチルエーテル化メチロールメラミン樹脂(三井化学社製‘商品名ユーバン28−60’)を水性塗料用樹脂固形分に対して30重量%の割合で添加した。さらに樹脂固形分に対して10重量%のメタリック顔料(東洋アルミニウム社製‘商品名アルミペーストN7680’)を添加し、混合分散することにより水性ベースコート塗料を作製した。
〔エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)の製造例〕
【0049】
【製造例P−1−1】
攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、キシレン66.7部を仕込み、気相部空気を窒素でパージしながら還流温度まで加熱昇温した。このフラスコ内に、表1に示すように、グリシジルメタアクリレート40部、イソボロニルアクリレート38部、スチレン20部、ノルマルブチルメタクリレート2部と、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部とが溶解した混合液を、5時間にわたりフィードし、さらにその後100℃で5時間保持し、これら単量体の共重合反応を行った。得られた共重合ポリマー溶液からキシレンを除去することにより、エポキシ基含有アクリル樹脂を得た。得られたエポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量Mwは3150、過塩素酸滴定法により測定されたエポキシ当量は380g/eq.実測ガラス転移温度Tgは36℃であった。また、Fedorsの方法により決定される設計溶解性パラメーターは9.0である。
【0050】
【製造例P−1−2〜P−1−7】
上記製造例P−1−1において、表1に示すように、使用するエチレン性不飽和単量体の種類と重量組成比、及び、重合開始剤の使用量を変更し、それ以外は、全て製造例P−1−1と全く同じ操作によりそれぞれエポキシ基含有アクリル樹脂を得た。得られたそれぞれのエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)の設計値、実測特性値などを表1に示す。
[脂肪族二酸の線状ポリ酸無水物(P−2)の製造例]
【0051】
【製造例P−2−1】
C14留分を主体とするノルマルパラフィンを用い、発酵による両末端のカルボキシル化工程、分離・精製工程を経て得られた、98重量%の純度を有するテトラデカン2酸(キャシーバイオテクノロジー社製‘DC14’)750部、及び無水酢酸400部を反応機に仕込み、還流温度にて2時間脱水反応を行なった。次いで、160℃、2mmHgで減圧し、無水酢酸と生成した酢酸とを留去した。さらに、精製操作として、得られた粗テトラデカン2酸線状ポリ酸無水物300部と酢酸イソブチル1500部を別の反応機に投入し、内容物を110℃で15分間保持した後、直ちに活性炭5部を投入し、10分間攪拌した。その後、熱時濾過を行ない、活性炭と不溶解分を濾別し、濾液を5℃に冷却することで、テトラデカン2酸単独の線状ポリ酸無水物を晶析させた。これを濾過後、45℃にて24時間減圧乾燥し、精製されたテトラデカン2酸単独の線状ポリ酸無水物を得た。その縮合度は3.6、カルボキシル基+酸無水物基の合計当量は192g/eq.、融点は98℃であった。
[粉体クリア塗料(P)の製造例]
【0052】
【実施例1】
表1に記載の製造例P−1−1で得られたエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)62部、上記製造例P−2−1で製造されたテトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物(A)38部、紫外線吸収剤‘チヌビン CGL1545’(チバスペシャリティーケミカルズ社製)2部、ヒンダードアミン系光安定剤‘チヌビン CGL 052(チバスペシャリティーケミカルズ社製)1部、ベンゾイン0.5部、流動調整剤0.3部、及びテトラブチルホスフォニウムブロマイド0.2部の全てを、ヘンシェルミキサ−(三井鉱山社製)に一括投入し、室温下、3分間ドライ混合し、さらに、1軸押出し機(コペリオン社製)により、70℃で溶融混練した。その後、固化、粉砕、分級操作を実施し、最後に、粉体としての十分な流動性を確保し、凝集を防止する目的で、シリカ微粒子添加剤‘エアロジル RX300’(日本エアロジル社製)0.2部をドライ混合して粉体クリア塗料を完成し、実施例1として表.2に記載した。得られた塗料組成物の粒度は、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置「SALD−2000A」により、体積平均粒子径として25μmであり、非球状不定形状の粒子であった。尚、流動調整剤は、重量平均分子量Mwが12000のイソブチルメタアクリレートの固形ホモポリマーを、実施例P−1−1に準拠して製造し、平均粒度0.5mmとなるよう粉砕したものを使用した。また、ここで使用したエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1−1)中のエポキシ基量(e)と、テトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物(P−2−1)中のカルボキシル基及び酸無水物基の総量(a)との配合モル比率(a)/(e)は、1.2の設計となっている。
【0053】
【実施例2〜6、比較例1〜3】
上記実施例1において、表2に示すように、使用するエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)、及び、脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)の種類と重量組成比を変更し、それ以外は、実施例1と全く同じ操作によりそれぞれ粉体クリア塗料(P)を得た。得られたそれぞれの粉体クリア塗料(P)の設計値、実測特性値などを表.2に示す。尚、ドデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物については、市販品‘Additol VXL1381’(ソルーシア社製;カルボキシル基+酸無水物基の合計当量170g/eq.)を用いた。
【0054】
以上のようにして得られたそれぞれの粉体クリア塗料は、中塗り塗装鋼板上、製造例に記載した水性ベースコート塗料を粘度45秒/フォードカップ#4/20℃に調整し、硬化塗膜が15±2μmになるようエアスプレー塗装し、80℃で10分フラッシュベークして調製した鋼板を用い、その表面に、それぞれコロナ帯電で静電塗装し、150℃で30分間焼付けする事により熱硬化複層塗膜を完成した。粉体クリア塗膜の膜厚は、プラスマイナス1μm以内の精度で、50μm、45μm、40μmの種ずつ調整した。
【0055】
得られた評価結果の全てを表3に示す。
なお、、使用した全ての評価方法については、以下の通りである。
粉体クリア塗料の評価
[メルトフローインデックス] 請求項1に記載の条件による動的粘弾性測定、及び、上記(式1)に準じた計算により算出。
熱硬化複層塗膜の評価
[膜厚]
膜厚計:株式会社ケツト科学研究所製 LZ−200Wにて測定。
【0056】
[目視平滑度]
肉眼で塗膜面の平滑性を下記判定基準で評価。
◎:非常に平滑 ○:僅かにウネリがある ×:顕著にウネリがある
[光沢値]
光沢計:スガ試験機株式会社製 HG−268により、60度光沢値を測定。
【0057】
[F値] BYK−Gardner社製「ウェーブスキャン−T」により測定。
[チッピング性]
飛石試験機(スガ試験機社製)の試験ホルダーに、−30℃に冷却した試験板を石の進入角度が30°になるよう取り付け、100gの7号砕石を3kg/cm2の空気圧で噴射し、砕石を試験板に衝突させた。ついで該塗面に粘着テープを貼り付けし、それを急激に剥離した後のチッピングによる傷の周囲の塗膜剥離状態を下記評価基準(◎〜×)で判定した。
◎:傷周辺部に塗膜剥離が全くもしくは殆ど認められない。
〇:傷周辺部に塗膜剥離がわずかに認められる。
×:傷周辺部に塗膜剥離が著しく認められる。
【0058】
[耐酸性]
10容積%の硫酸を、塗膜表面に1cc滴下し、室温にて1日放置した。その後、硫酸滴を拭き取り、外観を観察して、下記評価基準(◎〜×)で判定した。
【0059】
◎:痕跡なし。 ○:軽微な痕跡あり。 ×:明確な痕跡あり。
[耐水性]
40℃の恒温水槽内に10日間浸漬し、取り出し、室温で1時間放置後、塗面を目視で観察及び、碁盤目剥離試験(2mm、碁盤目100個)を実施し、下記評価基準(〇〜×)で判定した。
〇:塗面異常(フクレ、白化等)無、且つ塗膜剥離無し。
×:塗面の異常有、或いは塗膜剥離有り。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
Claims (14)
- 水性ベースコート塗料(B)からなる未硬化塗膜の表面に、
動的粘弾性測定装置により下記測定条件で測定されるフローインデックス値が300〜1000であり、体積平均粒子径が15ミクロン以上であり、且つ非球状不定形の粒子形状を示す粉体クリア塗料であって、かつ、
上記粉体クリア塗料が、
(P−1)エポキシ当量:300〜400g/eq、設計溶解性パラメーター:9.0〜9.5、重量平均分子量(Mw):3000〜4000、実測ガラス転移温度(Tg):30〜38℃に設計されたエポキシ基含有アクリル樹脂、及び
(P−2)脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物
を含有し、且つ、
エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)中のエポキシ基量(e)と、
脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)中のカルボキシル基量(a−1)及び酸無水物基量(a−2)の合計量((a)=(a−1)+(a−2))とが、モル比((a)/(e))で1.1〜1.3の範囲にある
粉体クリア塗料(P)を塗布し、
これら水性ベースコート塗料(B)からなる未硬化塗膜と粉体クリア塗料(P)からなる未硬化塗膜とを一度に焼付け硬化させて得られ、
該粉体クリア塗料(P)から形成され、硬化した上塗り塗膜の膜厚が50μm以下であって、且つ表面平滑性を有することを特徴とする熱硬化複層塗膜。
(測定条件)
昇温速度:10℃/min.、
昇温開始温度:80℃、
昇温終了温度:150℃、
測定時間:1350秒、
プレート種:直径25mmのパラレルプレート、
周波数:6.28rad/s 。 - 上記粉体クリア塗料(P)から形成され、硬化した上塗り塗膜の膜厚が、45μm以下であって、且つ表面平滑性を有することを特徴とする、請求項1に記載の熱硬化複層塗膜。
- 上記粉体クリア塗料(P)から形成され、硬化した上塗り塗膜の膜厚が、40μm以下であって、且つ表面平滑性を有することを特徴とする、請求項1〜2の何れかに記載の熱硬化複層塗膜。
- 上記エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)が、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレートのうち少なくとも1種類以上のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体と、スチレンと、イソブチルメタクリレートと含む単量体成分を共重合させてなるものであることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の熱硬化複層塗膜。
- 上記の脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)が、ドデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物、または、テトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物のうちの何れか1種以上であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の熱硬化複層塗膜。
- 上記の脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)が、テトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の熱硬化複層塗膜。
- 上記請求項1〜6の何れかに記載の熱硬化複層塗膜が、中塗り塗装鋼板上に形成されていることを特徴とする、車両または車両用部品。
- 基材表面に、少なくとも、水性ベースコート塗料(B)を塗布した後、この水性ベースコート塗料からなる塗膜が硬化しないうちに、該塗膜表面に、
動的粘弾性測定装置により下記測定条件で測定されるフローインデックス値が300〜1000であり、体積平均粒子径が15ミクロン以上であり、且つ非球状不定形の粒子形状を示す粉体クリア塗料であって、かつ、
上記粉体クリア塗料が、
(P−1)エポキシ当量:300〜400g/eq、設計溶解性パラメーター:9.0〜9.5、重量平均分子量(Mw):3000〜4000、実測ガラス転移温度(Tg):30〜38℃に設計されたエポキシ基含有アクリル樹脂、及び
(P−2)脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物
を含有し、且つ、
エポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)中のエポキシ基量(e)と、
脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)中のカルボキシル基量(a−1)及び酸無水物基量(a−2)の合計量((a)=(a−1)+(a−2))とが、モル比((a)/(e))で1.1〜1.3の範囲にある
粉体クリア塗料(P)を塗布し、
これら水性ベースコート塗料からなる未硬化塗膜と、粉体クリア塗料(P)からなる未硬化塗膜とを、一度に焼付け硬化させて、
該粉体クリア塗料(P)から形成され、膜厚が50μm以下であって、且つ表面平滑性を有する硬化した上塗塗膜を有する熱硬化複合塗膜を形成することを特徴とする熱硬化複層塗膜の形成方法。
(測定条件)
昇温速度:10℃/min.、
昇温開始温度:80℃、
昇温終了温度:150℃、
測定時間:1350秒、
プレート種:直径25mmのパラレルプレート、
周波数:6.28rad/s 。 - 上記の粉体クリア塗料(P)から形成され、硬化した上塗り塗膜の膜厚が、45μm以下であって、且つ該塗膜が表面平滑性を有することを特徴とする、請求項8に記載の熱硬化複層塗膜の形成方法。
- 上記の粉体クリア塗料(P)から形成され、硬化した上塗り塗膜の膜厚が、40μm以下であって、且つ該塗膜が表面平滑性を有することを特徴とする、請求項8〜9の何れかに記載の熱硬化複層塗膜の形成方法。
- 上記のエポキシ基含有アクリル樹脂(P−1)が、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレートのうち少なくとも1種類以上のエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、スチレンと、イソブチルメタクリレートとを含む単量体成分を共重合させてなるものであることを特徴とする、請求項8〜10の何れかに記載の熱硬化複層塗膜の形成方法。
- 上記の脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)が、ドデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物、または、テトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物のうちの何れか1種以上であることを特徴とする、請求項8〜11の何れかに記載の熱硬化複層塗膜の形成方法。
- 上記の脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物(P−2)が、テトラデカン二酸単独の線状ポリ酸無水物であることを特徴とする、請求項8〜11の何れかに記載の熱硬化複層塗膜の形成方法。
- 上記基材が、予め中塗り塗装されている鋼板であることを特徴とする、請求項8〜13の何れかに記載の熱硬化複層塗膜の形成方法。
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