JP4784014B2 - 長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長繊維で強化され、生産性及び成形効率に優れ、剛性・衝撃強度などの機械的強度に優れた長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン樹脂は成形性、耐薬品性に優れて比重も小さいため、汎用樹脂として広く利用されている。しかし、機械的強度、耐熱性等の面では必ずしも十分とは言えず、その用途もかなり制約されたものとなっている。かかる欠点を改善し、ポリオレフィン樹脂の剛性・衝撃強度等の機械的強度を向上させる手段として、フィラーやガラス繊維等を配合することが知られている。工業的にも、チョップドストランド等のガラスの短繊維をポリオレフィン樹脂と混合して混練機で造粒したガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂が製造されている。
【0003】
しかし、使用する繊維の長さが1mm以下、一般的には0.5mm以下であり、しかも押出機での混練中に更に繊維が折損することが避けられない上記の如き短繊維強化ポリオレフィン樹脂では、機械的強度の改善にも自ずと制約があり、より高度の機械的強度の要求に対しては充分応えることができない。
【0004】
そこで繊維長を長くして、機械的強度を著しく高めることが試みられ、特開平3−121146号公報には、プルトルージョン成形法を応用し、連続した繊維束を引きながら、溶融したポリオレフィン樹脂を含浸し、全体の5〜80重量%の実質上平行に配列した繊維を含有させる方法で製造した長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の製造法が記載されている。これらのプルトルージョン成形法を用いて製造した長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物により、剛性・衝撃強度等の機械特性は改良されたが、充分とはいえなかった。
【0005】
剛性・衝撃強度等の機械特性をさらに改良するために、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物にタルク・マイカ等のフィラーの添加が行われているが、それでも充分とはいえなかった。
【0006】
プルトル−ジョン成形法を用いた長繊維強化ポリオレフィン組成物の製造プロセスでは、生産性向上を目的に引取速度を上げると、ストランド表面の凹凸の増加及び毛羽の発生量の増加等の問題が生じていた。また、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物は短繊維強化ポリオレフィン樹脂よりも成形温度が高くなるのにともない、成形サイクルが長くなるという問題も生じていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、プルトルージョン成形法での生産性及び成形効率が向上し、剛性・衝撃強度などの機械的強度がより優れた長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン樹脂に下記一般式(I)又は(II)で表される有機リン酸エステル金属塩を特定量配合することにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)/成分(B)の重量比が20/80〜95/5であり、成分(C)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が0.001/100〜1/100である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物に係るものである。
(A):ポリオレフィン樹脂(D)
(B):重量平均繊維長が2mm以上である繊維
(C):下記一般式(I)又は(II)で表される有機リン酸エステル金属塩
(式中、R1は水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、 R2、 R3、R4、 R5及びR6はそれぞれ水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基を示し、 M1及びM2はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又は亜鉛原子を示し、p及びqはM1及びM2がアルカリ金属原子のときは1、 M1及びM2がアルカリ土類金属原子又は亜鉛原子のときは2を示す。)
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の成分(A)は、ポリオレフィン樹脂(D)である。本発明におけるポリオレフィン樹脂(D)としては、ポリプロピレン樹脂(F)、エチレン単独重合体又はエチレン−α−オレフィンランダム共重合体等のポリエチレン樹脂があげられる。これらの樹脂をブレンドしてもかまわないし、さらには変性ポリオレフィン樹脂(E)、ゴム等が配合されたものであってもよい。ポリオレフィン樹脂(D)として好ましいのは、ポリプロピレン樹脂(F)である。ポリプロピレン樹脂(E)の製造方法は、特に限定されるものではなく、特開平3−94295号公報、特開昭61−287917号公報等に例示される、溶液重合、スラリー重合、バルク重合、気相重合のいずれの方法を用いてもよい。また、これらの方法を組み合わせて製造してもよい。製造に用いる触媒としては、公知の種々の触媒を使用できるが、好ましくはチタン原子、マグネシウム原子及びハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られるマルチサイト触媒、又はメタロセン錯体等を用いて得られるシングルサイト触媒があげられる。
【0010】
本発明における変性ポリオレフィン樹脂(E)とは、オレフィンの単独重合体又は二種以上のオレフィン共重合体に、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をグラフト重合したもの、オレフィンから選ばれた1種又は2以上と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を共重合したものである。
【0011】
ここで変性のため使用される不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等があげられる。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等があり、その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等があげることができる。また、クエン酸、リンゴ酸のようにポリプロピレンにグラフトする工程で脱水して不飽和カルボン酸を生じるものを用いてもよい。これらの不飽和カルボン酸及びその誘導体のうち、好ましいのはアクリル酸及びメタクリル酸のグリシジルエステル及び無水マレイン酸であり、これにより変性された好ましい変性ポリオレフィン樹脂(E)としては、エチレン及び/又はプロピレンを主たるポリマー構成単位とするポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸をグラフト重合することにより変性したもの、エチレン及び/又はプロピレンを主体とするオレフィンとメタクリル酸グリシジルエステル又は無水マレイン酸とを共重合することにより変性したものがあげられる。また、本発明において用いられる変性ポリオレフィン樹脂(E)は、ポリマー構成単位の0.1〜10重量%が上記のごとき不飽和カルボン酸又はその誘導体からなるものが好ましく、特にこれらの成分がランダム共重合あるいはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入される場合には3〜10重量%、グラフト重合による場合には0.1〜10重量%が好ましい。不飽和カルボン酸又はその誘導体の含量が少なすぎると、衝撃強度、疲労特性等の機械的強度が低下する場合があり、多すぎると剛性等の機械的強度が低下する場合がある。
【0012】
本発明におけるポリプロピレン樹脂(F)とは、プロピレン単独重合体又はエチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体があげられる。また、これらの重合体をブレンドしてもかまわない。前述のα−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等をあげることができる。この中でも1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンのα−オレフィンを好ましく用いることができる。
【0013】
本発明における成分(B)は繊維である。本発明における繊維はポリオレフィン樹脂を強化できるものであれば種類に特に制約はなく、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維が何れも使用できる。その中でも好ましいのは、ガラス繊維である。本発明においては、上記繊維を、樹脂との濡れ性や接着性などを良好なものとするために、表面処理剤で予め処理しておいてもよい。この表面処理剤としては、例えばシラン系、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコニウム系、ボラン系カップリング剤などがあげられるが、これらの中でシラン系カップリング剤及びチタネート系カップリング剤が好ましく、特にシラン系カップリング剤が好適である。このシラン系カップリング剤としては、例えばトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどがあげられる。これらの中でもγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン類が好適である。該繊維を、上記表面処理剤で処理する方法については特に制限はなく、従来慣用されている方法、例えば水溶液法、有機溶媒法、スプレー法など、任意の方法を用いることができる。
【0014】
本発明における成分(A)/成分(B)の重量比は、20/80〜95/5であり、好ましくは25/75〜90/10であり、さらに好ましくは30/70〜80/20である。成分(B)の比率が過少であると剛性、衝撃強度等の機械的強度への十分な補強効果がえられず、一方成分(B)の比率が過多であると長繊維強化ポリオレフィン樹脂の製造及び成形が困難になる。
【0015】
本発明における繊維の重量平均繊維長は2mm以上であり、好ましくは3〜50mmである。繊維長が短すぎると、本発明における樹脂組成物を成形した時に剛性、衝撃強度等の機械的強度の十分な向上は期待できない。また、繊維長が長すぎると、製造及び成形が著しく困難となる場合がある。なお、上記の繊維長は、樹脂組成物中の長さである。
【0016】
本発明の樹脂組成物においては、繊維が実質上全て2mm以上の長さを有しかつ互いにほぼ平行な状態で配列していることが好ましい。特に成形加工操作が容易な射出成形に供し、射出成形性を損なうことなく優れた強度を保持した成形品を得るためには、樹脂組成物は長さ2〜50mmのペレット状で、繊維がペレットと実質上同一の長さで配列した組成物とするのが好ましい。
【0017】
本発明における成分(C)は、下記の一般式(I)又は(II)で表わされる有機リン酸エステル金属塩である。式中、R1は水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、 R2、 R3、 R4、 R5及びR6はそれぞれ水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。R1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第2ブチル基、イソブチル基等があげられる。R2、 R3、 R4、 R5及びR6としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第2ブチル基、イソブチル基、アミル基、第3アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、第3オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、第3ドデシル基などがあげられる M1及びM2はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又は亜鉛原子を示し、p及びqはM1及びM2がアルカリ金属原子のときは1、 M1及びM2がアルカリ土類金属原子又は亜鉛原子のときは2を示す。アルカリ金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムがあげられる。アルカリ土類金属原子としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムがあげられる。下記一般式(I)又は(II)で表される有機リン酸エステル金属塩としては、商品名旭電化工業製NA11、NA18、NA21等をあげることができる。
【0018】
本発明における成分(c)/[成分(A)/成分(B)]の重量比は0.001/100〜1/100であり、好ましくは、0.005/100〜1/100、より好ましくは0.01〜1/100である。成分(C)の比率が少ないと剛性・衝撃強度等の機械的強度が向上せず、成分(C)の比率が多いと金型汚染等の成形時の不具合が発生する。
【0019】
本発明における樹脂組成物には、その目的、効果を大きく阻害しない範囲で他のポリオレフィン樹脂の一種又は二種以上を併用することや造核剤や結晶化促進剤を配合することが可能である。また、目的に応じ所望の特性を付与するため、一般にポリオレフィン樹脂に添加される公知の物質、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤、紫外線吸収等の安定剤、気泡防止剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、シリカ等のアンチブロッキング剤、染料や顔料等の着色剤、可塑剤等をさらに配合することも可能である。また、ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビーズ、タルク、クレー、アルミナ、カーボンブラック、ウォルスナイト等の板状、粉粒状の無機化合物あるいはウィスカー等を適当量併用してもよい。
【0020】
本発明においては、かかる樹脂組成物を製造するにあたり、プルトルージョン成形法が用いられる。プルトルージョン成形法は、基本的には連続した繊維束を引きながら樹脂を含浸するものであり、樹脂のエマルジョン、サスペンジョンあるいは溶液を入れた含浸液の中を繊維束を通し含浸する方法、樹脂の粉末を繊維束に吹き付けるか粉末を入れた槽の中を繊維束を通し繊維に樹脂を付着させたのち樹脂を溶融して含浸する方法、クロスヘッドの中を繊維束を通しながら押出機等からクロスヘッドに樹脂を供給し含浸する方法等が知られているが、本発明においてはかかる公知の方法がいずれも利用できる。特に好ましいのは、特開平3−272830号公報等に例示されるクロスヘッドを用いる方法である。また、これらのプルトルージョン成形法における樹脂の含浸操作は1段で行うのが一般的であるが、これを2段以上に分けて行ってもかまわない。
【0021】
かかるごとくして得られる本発明の樹脂組成物の形状に制約はなく、ストランド状、シート状、平板状あるいはストランドを適当な長さに裁断したペレット状等任意の形状が可能である。特に成形加工の容易な射出成形への適用のため、長さ2〜50mmのペレット状組成物にするのが好ましい。
【0022】
本発明の樹脂組成物は公知の成形法で成形可能であるが、特に汎用的な射出成形に供した場合、成形品中において繊維が重量平均繊維長1mm以上で分散した成形品とするのが好ましく、これにより高度の機械的強度を保持した成形品とすることができる。
【0023】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、これらは単なる例示であり、本発明を逸脱しない限りこれら実施例に限定されるものではない。
実施例における評価用サンプルの製造方法について以下に示す。
(1)長繊維ペレットの製造方法
特開平3−121146号公報に記載されている方法により製造した。なお、含浸温度は330℃、引取速度は24フィート/分で行い、用いたガラス繊維の繊維径は16μmであった。
(2)評価用サンプルの製造方法
得られた長繊維ペレットは下記条件で成形した。
評価用サンプルの射出成形は、下記の日本製鋼所製成形機を使用した。
型締力 :150t
スクリュー :長繊維深溝スクリュー
スクリュー径 :46mm
スクリューL/D:20.3
成形は、下記の条件でサンプルを成形した。
シリンダー温度:250℃
金型温度 :50℃
背圧 :0MPa
【0024】
次に実施例及び比較例における評価方法について以下に示す。
(1)生産安定性(ストランド外観)
長繊維ペレット製造設備において、含浸ダイ出口からでてきたストランド表面を目視により観察し、下記の評価を行った。
○:ストランド表面の凹凸がほとんどなく、毛羽の発生量も少なく、引取速度向上が可能
△:ストランド表面に凸凹がみられ、毛羽の発生量は多く、引取速度向上が困難
×:ストランド表面の凸凹が激しく、毛羽の発生量が非常に多く、連続生産が困難
(2)結晶化温度
示差走査熱量計(パーキンエルマ−社製VII型DSC)を用いて測定した。試料10mgを窒素雰囲気下で220℃で5分溶融した。その後、5℃/分の降温速度で40℃まで降温し、得られた結晶化カーブの最大ピークのピーク温度を結晶化温度とした。
(3)曲げ弾性率
JIS K7203に準拠し、下記条件で測定した。
測定温度 :23℃
サンプル厚み:6.4mm
スパン :100mm
引張速度 :2mm/分
(4)曲げ強度
JIS K7203に準拠して、下記条件にて測定した。
測定温度 :23℃
サンプル厚み:6.4mm
スパン :100mm
引張速度 :2mm/分
(5)IZOD衝撃強度
JIS K7110に準拠して、サンプル厚み6.4mm、Vノッチあり、23℃で測定した。
(6)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210の条件14(Condition Number 14)の方法に従って230℃で測定した。
(7)マレイン酸グラフト量
サンプル1.0gをキシレン100mlに溶解した。サンプルの溶液をメタノール1000mlに攪拌しながら滴下してサンプルを再沈殿させて回収した。回収したサンプルを真空乾燥した後(80℃、8時間)、熱プレスにより厚さ100μmのフイルムを作成した。この作成したフイルムの赤外吸収スペクトルを測定し、1780cm-1付近の吸収よりマレイン酸グラフト量を定量した。
【0025】
なお、実施例と比較例に用いたサンプルの組成を表1に示した。
【0026】
実施例1
特開平3−121146号公報に記載されている方法により、表1に記載した組成で、ガラス繊維含有量40重量%、ペレット長9mmのペレットを作成した。この際、含寝ダイ出口から出てきたストランドを目視で観察し、評価結果を表1に示した。用いたポリオレフィン樹脂(A−1)は、ポリプロピレン樹脂(F−1)/変性ポリオレフィン樹脂(E−1)=80/20(重量比)である。用いたポリプロピレン樹脂(F−1)は、ブロックポリプロピレン共重合体(EP含量=4wt%、MFR=20)であり、用いた変性ポリオレフィン樹脂(E−1)は、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(MFR=40、マレイン酸グラフト量=0.2wt%)である。さらに得られたペレットを射出成形して得たサンプルの結晶化温度、曲げ弾性率、曲げ強度、IZOD衝撃強度を表1に示した。
【0027】
比較例1
表1に記載したように、商品名旭電化製NA11を用いない以外は実施例1と同様にしてサンプルの製造及び評価を行った。
【0028】
比較例2
表1に記載したように、商品名旭電化製NA11を添加する代わりに、タルクとして商品名林化成製ミクロンホワイト5000Sを0.2PHR添加した以外は、実施例1と同様にしてサンプルの製造及び評価を行った。
【0029】
【表1】
【0030】
A−1:ポリプロピレン樹脂(F−1)/変性ポリオレフィン樹脂(E−1)=80/20(重量比)
B−1:ガラス繊維(繊維径16μm)
C−1:商品名旭電化工業製NA11
D−1:商品名林化成製ミクロンホワイト5000S
E−1:マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(MFR=40、マレイン酸グラフト量=0.2wt%)
F−1:ブロックポリプロピレン共重合体(EP含量=4wt%、MFR=20)
【0031】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、結晶化温度が向上したことにより生産性及び成形効率が向上し、剛性・衝撃強度等の機械的強度がより優れた長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物を提供することができた。
Claims (5)
- 下記の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)/成分(B)の重量比が20/80〜95/5であり、成分(C)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が0.01/100〜1/100である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物であって、成分(B)が互いに平行な状態で配列していることを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物。
(A):ポリオレフィン樹脂(D)
(B):重量平均繊維長が2mm以上である繊維
(C):下記一般式(I)又は(II)で表される有機リン酸エステル金属塩
(式中、R1は水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基を示し、M1及びM2はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又は亜鉛原子を示し、p及びqはM1及びM2がアルカリ金属原子のときは1、M1及びM2がアルカリ土類金属原子又は亜鉛原子のときは2を示す。) - ポリオレフィン樹脂(D)は、オレフィンの単独重合体又は二種以上のオレフィン共重合体に、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をグラフト重合させた樹脂、少なくとも1種のオレフィンと不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を共重合した樹脂のいずれかの樹脂からなる変性ポリオレフィン樹脂(E)を含有する請求項1に記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物。
- ポリオレフィン樹脂(D)が、ポリプロピレン樹脂(F)である請求項1又は2記載のいずれか一の請求項に記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物。
- 請求項1〜3記載のいずれか一の請求項に記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物を用いて成形し、成分(B)の重量平均繊維長が1mm以上である成形品。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の成分(A)及び(C)を用いることを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物を得るプルトルージョン成形法。
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