JP4783916B2 - 高真空バルブ - Google Patents

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Description

本発明は、軸シール部が、グリース溜を設けた摺動シールによって構成されている高真空バルブに関するものである。
従来から知られている高真空バルブにおいて、弁部材を開閉駆動するロッドの軸シール部が、グリース溜を設けた摺動シールによって構成されている場合、流路内を流れるガス中に溶剤等が混入していることもあって、その溶剤等が軸シール部に入ると、真空シール用シール部材を保護しているグリースの溶出、流出、劣化が生じる可能性がある。具体的には、上記ロッド表面の細かな凹凸に上記溶剤等が入り込んでいる場合に、それが真空側からグリース溜に入り、またグリース溜を乗り越えて真空用シール部材に達し、それを劣化させる可能性がある。また、高真空バルブにおいては、流路が真空雰囲気に置かれることから、上記グリースが流路の真空雰囲気内に蒸発または流出することもあり、それによって真空シール用パッキンがグリース切れになって早期に摩耗し、リークが発生するという問題もある。
本発明の技術的課題は、弁部材を開閉駆動するロッドの軸シール部が、グリース溜を設けた摺動シールによって構成されている上記高真空バルブにおいて、上記軸シール部のグリース切れを防止し、該軸シール部の長寿命化を図ることにある。
本発明の更に具体的な技術的課題は、上記高真空バルブにおいて、上記軸シール部から真空雰囲気にある流路へのグリースの蒸発、溶出、流出を、簡易な手段によって効果的に抑制することにある。
上記課題を解決するため、本発明によれば、第1のポートと第2のポートとの間に形成された流路に弁座を設け、該弁座に接離して該流路を開閉する弁部材を備えた弁体部と、駆動手段により駆動されるロッドが上記弁体部の弁座に対向する流路壁をシール状態で貫通して該流路内に挿入され、該ロッドの先端に連結した上記弁部材を弁座の開閉のために駆動する弁駆動機構部とを備えた高真空バルブにおいて、上記弁体部の流路壁を貫通する上記ロッドの貫通孔内にグリース溜を設けて、該貫通孔内におけるグリース溜の上記流路側にグリース保持用のシール部材を設けると共に、上記貫通孔内におけるグリース溜の反対側に真空シール用シール部材を設けて、上記貫通孔の軸シール部を構成し、上記グリース溜の軸方向長さを、上記弁部材の最大ストロークと同じかそれ以上に形成し、上記グリース溜の両端のシール部材を、弁部材の開閉のいずれのストロークにおいてもロッド表面のグリース溜に接していた部分が上記両シール部材のどちらかに常に接するように配設し、上記貫通孔内における流路側端にスクレパーを設けたことを特徴とする高真空バルブが提供される。
本発明に係る高真空バルブの好ましい実施形態においては、上記弁部材を駆動する駆動手段が、上記弁部材を先端に連結して他端を上記流路壁からケーシング内のシリンダ部に突出させた上記ロッドに、該シリンダ部内に摺動自在に収容したピストンを連結し、該シリンダ部内に給排するパイロット流体圧により上記ピストン及びロッドを介して弁部材が駆動可能に形成される。
上記高真空バルブを上記パイロット式駆動のものとする場合には、上記シリンダ部における少なくともピストンのロッド連結側のピストン室を、パイロット流体圧が給排される圧力室とし、上記ロッドが貫通する貫通孔の該圧力室側端に該圧力室のシール用パッキンを設けると共に、該シール用パッキンと貫通孔内におけるグリース溜の該圧力室側に位置する真空シール用シール部材との間の空間を、上記圧力室から上記シール用パッキンを通して漏出した空気を逃がすための通孔によって外部に開放させるのが望ましい。
上記構成を有する高真空バルブにおいては、弁体部におけるロッドの貫通孔に弁部材の最大ストロークと同じかそれ以上の軸方向長さのグリース溜を設けて、ロッド表面には常にグリース溜のグリースに接している部分が存在するようにし、しかも、弁部材の開閉のいずれのストロークにおいても、ロッド表面のグリース溜に接していた部分が、グリース溜の両端のシール部材のどちらかに常に接するようにしているので、それらのシール部材にグリースが補給され、シール部材の長寿命化が図られる。
以上に詳述した本発明の高真空バルブによれば、弁部材を開閉駆動するロッドの軸シール部が、グリース溜を設けた摺動シールによって構成されている上記高真空バルブにおいて、軸シール部のグリース切れを防止し、該軸シール部の長寿命化を図ることができ、更に具体的には、上記軸シール部から真空雰囲気にある流路へのグリースの蒸発、溶出、流出を、簡易な手段によって効果的に抑制することができる。
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び2は、本発明に係る高真空バルブの実施の一例を示している。この高真空バルブは、弁部材14を開閉駆動するロッド15の軸シール部30が、グリース溜31を設けた摺動シールによって構成されたL型バルブで、その主要部分は、大別して、内部に流路11が形成された弁体部1と、弁体部1における弁座16の開閉のために弁部材14の開閉駆動を行う弁駆動機構部2とから構成されている。
上記弁体部1は、第1のポート12と軸線がそれと直交する第2のポート13との間に上記流路11が形成され、該流路11における第1のポート12の内側に弁座16が設けられ、そして、該弁座16に対向する位置に、該弁座16に接離して上記流路11を開閉する弁部材14が配設され、該弁部材14を駆動するロッド15を、該ロッド15を支持するロッド支持板17によって構成される流路壁をシール状態で貫通させ、上記流路11内から弁体部1に付設した弁駆動機構部2に導出している。
一方、上記弁部材14を駆動する上記弁駆動機構部2は、上記弁部材14を先端に連結したロッド15を駆動する駆動手段を備えている。この駆動手段として、図示した実施例では、先端に上記弁部材14を連結したロッド15の他端を上記流路壁(ロッド支持板17)からその外側のケーシング21内のシリンダ部20に突出させ、該シリンダ部20内において、上記ロッド15の端部に、該シリンダ部20内に摺動自在に収容したピストン22を連結し、該シリンダ部20内におけるピストン22の両側に位置する各ピストン室23,24を、それぞれのパイロットポート23a,24aからパイロット流体圧が給排される圧力室として、それらに給排されるパイロット流体圧により、上記ピストン22及びロッド15を介して弁部材14が駆動可能に形成されている。
なお、上記ピストン室23,24の一方をパイロット流体が給排される圧力室とすることなく、復帰用のバネによってパイロット流体圧で駆動されたピストン22を復帰させることができる。この場合には、通常、弁部材14とロッド支持板17との間に復帰用のバネを介装することになるが、ピストン室23,24の一方に復帰用のバネを収容しても差し支えない。
上記高真空バルブにおける弁体部1の流路壁の貫通孔18を貫通するロッド15の軸シール部30は、該貫通孔18内に浅い溝状のグリース溜31を設けて、該貫通孔18内におけるグリース溜31の流路11側に、Oリング等から成るグリース保持用のシール部材32を設けると共に、上記貫通孔18内におけるグリース溜31の流路11とは反対側に、Oリング等から成る真空シール用シール部材33を設けることにより構成している。そして、上記グリース溜31の軸方向長さを、上記弁部材14の最大ストロークと同じかそれ以上に形成している。
また、上記貫通孔18内における流路11側端にスクレパー35を設けている。このスクレパー35は、流路11内にロッド15表面が露出して、その表面に付着した溶剤等が、ロッドの摺動に伴って軸シール部30に入るのを抑制するものであるが、軸シール部30からのグリースの流出を抑制する機能をも備えている。
更に、上記グリース溜31の流路11側に設けた上記シール部材32は、真空にする流路11の側にグリースが出て行かないように保持するものであるが、真空シール機能を兼備していることは勿論である。一方、グリース溜31の反対側に設けたシール部材33は、真空シールとして機能するものであるが、グリースがシリンダ部20内に流出するのを抑制する機能を兼備しているのは勿論である。
なお、上記ロッド15は、その表面におけるシール部材32と摺接する部分が流路11に露出しないようにすることが望ましく、これにより、流路11中の溶剤等がロッド表面に付着し、弁部材14のストロークに伴ってそれが軸シール部30に入ることがあっても、シール部材32まで到達することはなく、溶剤によるシール部材32の損傷をより確実に防ぐことができる。
上記シリンダ部20におけるピストン22のロッド連結側のピストン室24をパイロット流体圧が給排される圧力室とする図示の実施例の場合、上記ロッド15が貫通する貫通孔18の該ピストン室24側端にシール用パッキン36を設けると共に、該シール用パッキン36と貫通孔18内における真空シール用シール部材33との間の空間を、上記圧力室から上記シール用パッキン36を通して漏出した空気を逃がすための通孔37によって外部に開放させておくことが望まれる。上記ピストン室24が復帰用バネを収容するものとして大気に開放されている場合には、上記パッキン36や通孔37を設ける必要がない。また、上記軸シール部30においては、シール部材32とスクレパー35との間に軸受38を設けている。
上記構成を有する高真空バルブにおいては、弁体部1におけるロッド15の貫通孔18に弁部材14の最大ストロークと同じかそれ以上の軸方向長さのグリース溜31を設けているので、ロッド15の表面には常にグリース溜31のグリースに接している部分が存在し、しかも、弁部材14の開閉のいずれのストロークにおいても、ロッド表面のグリース溜31に接していた部分が、グリース溜31の両端のシール部材32,33のどちらかに常に接することになり、それらのシール部材32,33にグリースが常に補給され、シール部材32,33の長寿命化が図られる。したがって、軸シール部30のグリース切れを防止し、該軸シール部30の長寿命化を図ることができ、更に具体的には、上記軸シール部30から真空雰囲気にある流路11へのグリースの蒸発、溶出、流出を、簡易な手段によって効果的に抑制することができる。
本発明に係る高真空バルブの実施例の左半を閉弁状態、右半を開弁状態として示す縦断面図である。 上記実施例における要部縦断面図である。
符号の説明
1 弁体部
2 弁駆動機構部
11 流路
12 第1のポート
13 第2のポート
14 弁部材
15 ロッド
16 弁座
18 貫通孔
20 シリンダ部
21 ケーシング
22 ピストン
23,24 ピストン室
30 軸シール部
31 グリース溜
32,33 シール部材
35 スクレパー
36 シール用パッキン
37 通孔

Claims (3)

  1. 第1のポートと第2のポートとの間に形成された流路に弁座を設け、該弁座に接離して該流路を開閉する弁部材を備えた弁体部と、駆動手段により駆動されるロッドが上記弁体部の弁座に対向する流路壁をシール状態で貫通して該流路内に挿入され、該ロッドの先端に連結した上記弁部材を弁座の開閉のために駆動する弁駆動機構部とを備えた高真空バルブにおいて、
    上記弁体部の流路壁を貫通する上記ロッドの貫通孔内にグリース溜を設けて、該貫通孔内におけるグリース溜の上記流路側にグリース保持用のシール部材を設けると共に、上記貫通孔内におけるグリース溜の反対側に真空シール用シール部材を設けて、上記貫通孔の軸シール部を構成し、
    上記グリース溜の軸方向長さを、上記弁部材の最大ストロークと同じかそれ以上に形成し、
    上記グリース溜の両端のシール部材を、弁部材の開閉のいずれのストロークにおいてもロッド表面のグリース溜に接していた部分が上記両シール部材のどちらかに常に接するように配設し、
    上記貫通孔内における流路側端にスクレパーを設けた、
    ことを特徴とする高真空バルブ。
  2. 上記弁部材を駆動する駆動手段が、上記弁部材を先端に連結して他端を上記流路壁からケーシング内のシリンダ部に突出させた上記ロッドに、該シリンダ部内に摺動自在に収容したピストンを連結し、該シリンダ部内に給排するパイロット流体圧により上記ピストン及びロッドを介して弁部材が駆動可能に形成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の高真空バルブ。
  3. 上記シリンダ部における少なくともピストンのロッド連結側のピストン室を、パイロット流体圧が給排される圧力室とし、上記ロッドが貫通する貫通孔の該圧力室側端に該圧力室のシール用パッキンを設けると共に、該シール用パッキンと貫通孔内におけるグリース溜の該圧力室側に位置する真空シール用シール部材との間の空間を、上記圧力室から上記シール用パッキンを通して漏出した空気を逃がすための通孔によって外部に開放させた、
    ことを特徴とする請求項2に記載の高真空バルブ。
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