JP2008286109A - 固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロータリバルブを用いた固定容量型ピストン式圧縮機の起動ショック緩和の効果を高める。
【解決手段】回転軸21には第1ロータリバルブ35及び第2ロータリバルブ36がシリンダブロック11,12に対応して設けられている。筒内411には弁体42が第1圧力室412を区画するように嵌入されている。第1圧力室412と第2圧力室491とを隔てる区画壁板48には第1ベローズ51及び第2ベローズ52が連結されている。第1ベローズ51は、弁体42に連結した状態で第1圧力室412に収容されており、第2ベローズ52は、第2圧力室491に収容されている。区画壁板48に貫設された絞り通路53は、第1ベローズ51内の第1容積可変室511と第2ベローズ52内の第2容積可変室521とに連通している。
【選択図】図1
【解決手段】回転軸21には第1ロータリバルブ35及び第2ロータリバルブ36がシリンダブロック11,12に対応して設けられている。筒内411には弁体42が第1圧力室412を区画するように嵌入されている。第1圧力室412と第2圧力室491とを隔てる区画壁板48には第1ベローズ51及び第2ベローズ52が連結されている。第1ベローズ51は、弁体42に連結した状態で第1圧力室412に収容されており、第2ベローズ52は、第2圧力室491に収容されている。区画壁板48に貫設された絞り通路53は、第1ベローズ51内の第1容積可変室511と第2ベローズ52内の第2容積可変室521とに連通している。
【選択図】図1
Description
本発明は、ピストンによってシリンダボア内に区画される圧縮室に吸入圧領域から冷媒を導入するための導入通路を有するロータリバルブを備え、該ロータリバルブが前記回転軸と一体的に回転する固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造に関する。
ロータリバルブを用いたピストン式圧縮機(例えば特許文献2,5を参照)は、リード弁型の吸入弁を用いたピストン式圧縮機(例えば特許文献1,4を参照)に比べて、シリンダボア内へ吸入ガスを吸入する際の吸入抵抗が少なく、エネルギー効率に優れる。
特許文献2の段落[0006]に記載のように、圧縮機の起動時にはガスの圧縮に伴ってトルクが急激に増大し、これが車両エンジン(内燃機関)に負荷として加わる。そのため、車両の走行速度が一瞬低下して車両の乗員がショックを感じるという起動ショックが生じる。
特許文献2に開示のピストン式圧縮機では、回転軸と一体的に回転するロータリバルブが回転軸の軸方向へ移動可能に設けられており、ロータリバルブは、制御圧室に供給される圧力に応じて、回転軸の軸方向における位置を変えられるようになっている。又、殆ど全てのシリンダボアをシリンダブロックの中心部に対して設けられた吸入口に連通可能なバイパス溝がロータリバルブに形成されている。ロータリバルブは、運転停止時と起動時には、バイパス溝が殆ど全てのシリンダボアを吸入口に連通可能な位置に来るように、回転軸の軸方向の位置に配置される。従って、起動時にはピストンがシリンダボア内のガスを圧縮する動作をしても、シリンダボア内のガスがバイパス溝を経由して吸入口へ戻ってしまうため、起動ショックが生じない。
ロータリバルブの周面におけるクリアランスは、この周面に沿ってガスが洩れないように、且つロータリバルブが回転できるように、可及的に小さくする必要がある。しかし、ロータリバルブを回転軸の軸方向へ移動可能とする構成では、ロータリバルブを回転軸の軸方向へも移動可能とするクリアランスが必要とされるが、このようなクリアランスの管理は非常に困難である。
特許文献3に開示の圧縮機では、吸入室に至る吸入通路の途中に起動負荷低減装置が設けられている。起動負荷低減装置は、オイルダンパを構成するスプール弁を備え、スプール弁のダンパ部とハウジングとの間に隙間が設けられている。スプール弁が吸入通路を開く方向に移動する際には、ダンパ室内のオイルが前記隙間から少量ずつ中間室へ抜けてゆく。そのため、スプール弁の移動速度は、緩やかなものとなり、吸入通路の開き速度が緩やかになる。これにより、起動ショックが緩和される。
特許文献4に開示のピストン式圧縮機では、吐出圧と吸入圧との差圧によって開閉する差圧感知開閉弁が設けられている。差圧感知開閉弁は、圧縮機外部から冷媒を導入する低圧冷媒管路と、圧縮機内の吸入室との間に介在されており、圧縮機が圧力バランスしている状態から起動すると、差圧感知開閉弁が閉状態になり、圧縮機外部から吸入室への冷媒の流入が止められる。これにより、起動ショックが緩和される。
特開昭64−88064号公報
特開平7−119631号公報
特開平7−139474号公報
特開2000−145629号公報
特開2006−83835号公報
しかし、特許文献3に開示の圧縮機では、吸入通路がスプール弁によって閉じられた状態にあっても吸入室には冷媒が残っており、この残留冷媒がシリンダボアに吸入されて圧縮される。又、特許文献4に開示の圧縮機においても、差圧感知開閉弁が閉状態になっても吸入室には冷媒が残っており、この残留冷媒がシリンダボアに吸入されて圧縮される。吸入室の容積は、吸入脈動を抑制するために大きくしてあるため、差圧感知開閉弁が閉状態になった状態、あるいは吸入通路が閉じた状態でシリンダボアに吸入される冷媒量が多く、起動ショック緩和の効果は十分でない。
本発明は、起動ショック緩和の効果を高めることを目的とする。
請求項1乃至請求項9の発明は、回転軸の周囲に配列された複数のシリンダボア内にピストンが収容されており、前記ピストンが前記回転軸と一体化されたカム体を介して前記回転軸の回転に連動されており、前記ピストンによって前記シリンダボア内に区画される圧縮室に吸入圧領域から冷媒を導入するための導入通路を有するロータリバルブを備え、前記ロータリバルブは、前記回転軸と一体的に回転し、前記回転軸は、クラッチを介して外部駆動源に連結される固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造を対象とし、請求項1の発明は、圧縮機内の吸入圧領域と前記導入通路の出口とを連通する状態と遮断する状態とに切り換えられる切り換え手段が設けられており、前記切り換え手段は、前記圧縮機内の吸入圧領域と前記導入通路の出口とを連通する位置と遮断する位置とに切り換え配置される弁体と、前記連通する位置から前記遮断する位置へ前記弁体を戻す復帰バネと、前記弁体の位置変位に応じて容積を変える第1容積可変室と、容積変化可能な第2容積可変室と、前記第1容積可変室と前記第2容積可変室とを連通する絞り通路とを備えており、前記第1容積可変室と前記第2容積可変室とには流体が入れられており、前記第1容積可変室が容積変化するときには、前記流体が前記絞り通路を通過することを特徴とする。
圧縮機の運転が行われているとき(回転軸が回転しているとき)の弁体より下流の導入通路内の圧力は、圧縮機の運転が行われていないときの導入通路内の圧力よりも低い。圧縮機の運転が停止されているときには、弁体は、遮断する位置にあるが、圧縮機の運転が開始されると、弁体より下流の導入通路内の圧力が低下し、弁体が遮断する位置から連通する位置へ移動する。この移動の際には、第1容積可変室の容積が変化し、流体が絞り通路を通過する。流体が絞り通路を通過することによって第2容積可変室の容積も変化する。流体が絞り通路を通過するときの通過抵抗が第1容積可変室及び第2容積可変室の容積変化を遅らせ、弁体の移動に制動が掛けられる。そのため、圧縮機の運転が開始される際には、起動ショックが緩和される。圧縮機内の吸入圧領域と導入通路の出口との連通が遮断されるため、切り換え手段が前記遮断する状態にあるときに圧縮される冷媒量が少なく、起動ショック緩和の効果が高い。
圧縮機の運転が停止されると、弁体が復帰バネのばね力によって前記遮断する位置へ復帰する。復帰バネの採用は、弁体を遮断する位置へ復帰させる上で簡便な構成である。
好適な例では、前記第1容積可変室は、区画壁と、位置変位する第1可動部を有する第1室形成部材との間に形成されており、前記第2容積可変室は、前記区画壁と、位置変位する第2可動部を有する第2室形成部材との間に形成されており、前記絞り通路は、前記区画壁を貫通して前記第1容積可変室と前記第2容積可変室とに連通されており、前記第1容積可変室の容積は、前記第1可動部の位置変位によって変化し、前記第2容積可変室の容積は、前記第2可動部の位置変位によって変化する。
好適な例では、前記第1容積可変室は、区画壁と、位置変位する第1可動部を有する第1室形成部材との間に形成されており、前記第2容積可変室は、前記区画壁と、位置変位する第2可動部を有する第2室形成部材との間に形成されており、前記絞り通路は、前記区画壁を貫通して前記第1容積可変室と前記第2容積可変室とに連通されており、前記第1容積可変室の容積は、前記第1可動部の位置変位によって変化し、前記第2容積可変室の容積は、前記第2可動部の位置変位によって変化する。
圧縮機の運転が開始されると、弁体より下流の導入通路内の圧力が低下し、弁体が遮断する位置から連通する位置へ移動する。この移動の際には、第1可動部が位置変位して第1容積可変室の容積が変化し、流体が絞り通路を通過する。流体が絞り通路を通過することによって第2可動部も位置変位し、第2容積可変室の容積が変化する。このときの通過抵抗が第1容積可変室及び第2容積可変室の容積変化を遅らせ、弁体の移動に制動が掛けられる。
好適な例では、第1室形成部材は、前記区画壁に連結された第1ベローズであり、第2室形成部材は、前記区画壁に連結された第2ベローズである。
ベローズは、第1,2容積可変室内からの流体の洩れを回避する上で好適である。
ベローズは、第1,2容積可変室内からの流体の洩れを回避する上で好適である。
好適な例では、前記弁体は、前記第1ベローズの可動端に止着されている。
第1ベローズは、弁体の位置変位に応じて伸縮する。第1ベローズが伸びると、第1容積可変室の容積が増大すると共に、第2ベローズが縮小して第2容積可変室の容積が減少する。第1ベローズが縮むと、第1容積可変室の容積が減少すると共に、第2容積可変室の容積が増大する。
第1ベローズは、弁体の位置変位に応じて伸縮する。第1ベローズが伸びると、第1容積可変室の容積が増大すると共に、第2ベローズが縮小して第2容積可変室の容積が減少する。第1ベローズが縮むと、第1容積可変室の容積が減少すると共に、第2容積可変室の容積が増大する。
好適な例では、容積変化が同じ大きさであるときの第1ベローズの可動端の移動距離は、第2ベローズの可動端の移動距離よりも大きい。
このような構成は、遮断する位置から連通する位置までの弁体の移動距離を稼ぐ上で好適である。
このような構成は、遮断する位置から連通する位置までの弁体の移動距離を稼ぐ上で好適である。
好適な例では、前記流体は、液体である。
液体は、絞り通路における通過抵抗を増して弁体の移動速度を遅らせる上で好適である。
液体は、絞り通路における通過抵抗を増して弁体の移動速度を遅らせる上で好適である。
好適な例では、前記切り換え手段が前記遮断する状態にあるときには、前記弁体は、前記導入通路の入口を前記圧縮機内の吸入圧領域から遮断する位置に配置される。
圧縮機内の吸入圧領域と導入通路の入口との連通が遮断されるため、切り換え手段が前記遮断する状態にあるときに圧縮される冷媒量が少なく、起動ショック緩和の効果が高い。
圧縮機内の吸入圧領域と導入通路の入口との連通が遮断されるため、切り換え手段が前記遮断する状態にあるときに圧縮される冷媒量が少なく、起動ショック緩和の効果が高い。
前記導入通路は、前記ロータリバルブの端面に入口を有すると共に、前記ロータリバルブの周面に出口を有し、前記導入通路は、前記回転軸の内部に前記回転軸の回転軸線の方向に延びる軸内通路を有し、前記導入通路の出口は、前記回転軸の周面を貫通して前記軸内通路に連通しており、前記弁体は、前記導入通路の入口から前記導入通路内を前記回転軸線の方向へスライド可能に前記軸内通路内に嵌入されており、前記弁体は、前記軸内通路内を前記回転軸線の方向へ移動されて前記連通する位置と前記遮断する位置とに切り換え配置され、前記遮断する位置は、前記弁体が前記軸内通路から前記導入通路の出口を遮断する位置である。
弁体がスライドされて前記遮断する位置に配置されると、導入通路の出口が軸内通路から遮断され、軸内通路から圧縮室への冷媒流入が阻止される。軸内通路の内部で弁体によって導入通路の出口を軸内通路から遮断する構成は、切り換え手段が遮断する状態にあるときの冷媒圧縮量を低減する上で最適である。
好適な例では、前記シリンダボアを形成するシリンダブロックにリヤハウジングが連結されており、前記リヤハウジング内には吸入室が形成されており、前記弁体は、前記リヤハウジング内に設けられている。
本発明は、起動ショック緩和の効果を高めることができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1に示すように、連結された一対のシリンダブロック11,12の一方のシリンダブロック11にはフロントハウジング13が連結されており、他方のシリンダブロック12にはリヤハウジング14が連結されている。シリンダブロック11,12、フロントハウジング13及びリヤハウジング14は、固定容量型ピストン式圧縮機10の全体ハウジングを構成する。フロントハウジング13には圧縮機内の吐出圧領域としての吐出室131が形成されており、リヤハウジング14には圧縮機内の吐出圧領域としての吐出室141及び圧縮機内の吸入圧領域としての吸入室142が形成されている。圧縮機内とは、固定容量型ピストン式圧縮機10の全体ハウジングの内部のことであり、圧縮機外とは、固定容量型ピストン式圧縮機10の全体ハウジングの外部のことである。
図1に示すように、連結された一対のシリンダブロック11,12の一方のシリンダブロック11にはフロントハウジング13が連結されており、他方のシリンダブロック12にはリヤハウジング14が連結されている。シリンダブロック11,12、フロントハウジング13及びリヤハウジング14は、固定容量型ピストン式圧縮機10の全体ハウジングを構成する。フロントハウジング13には圧縮機内の吐出圧領域としての吐出室131が形成されており、リヤハウジング14には圧縮機内の吐出圧領域としての吐出室141及び圧縮機内の吸入圧領域としての吸入室142が形成されている。圧縮機内とは、固定容量型ピストン式圧縮機10の全体ハウジングの内部のことであり、圧縮機外とは、固定容量型ピストン式圧縮機10の全体ハウジングの外部のことである。
シリンダブロック11とフロントハウジング13との間にはバルブプレート15、弁形成プレート16及びリテーナ形成プレート17が介在されている。シリンダブロック12とリヤハウジング14との間にはバルブプレート18、弁形成プレート19及びリテーナ形成プレート20が介在されている。バルブプレート15,18には吐出ポート151,181が形成されており、弁形成プレート16,19には吐出弁161,191が形成されている。吐出弁161,191は、吐出ポート151,181を開閉する。リテーナ形成プレート17,20にはリテーナ171,201が形成されている。リテーナ171,201は、吐出弁161,191の開度を規制する。
シリンダブロック11,12には回転軸21が回転可能に支持されている。シリンダブロック11,12には軸孔111,121が貫設されており、軸孔111,121には回転軸21が通されている。回転軸21の外周面は、軸孔111,121の内周面に接しており、回転軸21は、軸孔111,121の内周面を介してシリンダブロック11,12によって直接支持されている。軸孔111に接する回転軸21の外周面部分は、シール周面211となっており、軸孔121に接する回転軸21の外周面部分は、シール周面212となっている。
回転軸21にはカム体としての斜板23が固着されている。斜板23は、シリンダブロック11,12間の斜板室24に収容されている。フロントハウジング13と回転軸21との間にはリップシール型の軸シール部材22が介在されている。軸シール部材22は、フロントハウジング13と回転軸21との間からのガス洩れを防止する。フロントハウジング13から外部に突出する回転軸21の突出端部は、電磁クラッチ25を介して外部駆動源である車両エンジン26に接続されている。回転軸21は、電磁クラッチ25を介して車両エンジン26から回転駆動力を得る。
図2(a)に示すように、シリンダブロック11には複数のシリンダボア27が回転軸21の周囲に配列されるように形成されている。図2(b)に示すように、シリンダブロック12には複数のシリンダボア28が回転軸21の周囲に配列されるように形成されている。前後(フロントハウジング13側を前側、リヤハウジング14を後側としている)で対となるシリンダボア27,28には両頭ピストン29が収容されている。
図1に示すように、回転軸21と一体的に回転する斜板23の回転運動は、シュー30を介して両頭ピストン29に伝えられ、両頭ピストン29がシリンダボア27,28内を前後に往復動する。両頭ピストン29は、シリンダボア27,28内に圧縮室271,281を区画する。
回転軸21内には軸内通路31が回転軸21の回転軸線210に沿って形成されている。軸内通路31の入口311は、シリンダブロック12内の回転軸21の端面213にあってリヤハウジング14内の吸入室142に開口している。軸孔111内の回転軸21には軸内通路31の出口312が回転軸21のシール周面211に開口するように形成されている。軸孔121内の回転軸21には軸内通路31の出口313が回転軸21のシール周面212に開口するように形成されている。
図2(a)に示すように、シリンダブロック11には連通路32がシリンダボア27と軸孔111とに連通するように形成されている。図2(b)に示すように、シリンダブロック12には連通路33がシリンダボア28と軸孔121とに連通するように形成されている。回転軸21の回転に伴い、軸内通路31の出口312,313は、連通路32,33に間欠的に連通する。
両頭ピストン29がシリンダボア27側で吸入行程の状態(両頭ピストン29が図1の左側から右側へ移動する行程)にあるときには、出口312と連通路32とが連通する。両頭ピストン29がシリンダボア27側で吸入行程の状態にあるときには、回転軸21の軸内通路31内の冷媒が出口312及び連通路32を経由してシリンダボア27の圧縮室271に吸入される。
両頭ピストン29がシリンダボア27側で吐出行程の状態(両頭ピストン29が図1の右側から左側へ移動する行程)にあるときには、出口312と連通路32との連通が遮断される。両頭ピストン29がシリンダボア27側で吐出行程の状態にあるときには、圧縮室271内の冷媒が吐出ポート151から吐出弁161を押し退けて吐出室131へ吐出される。吐出室131へ吐出された冷媒は、通路341を介して外部冷媒回路34へ流出する。
両頭ピストン29がシリンダボア28側で吸入行程の状態(両頭ピストン29が図1の右側から左側へ移動する行程)にあるときには、出口313と連通路33とが連通する。両頭ピストン29がシリンダボア28側で吸入行程の状態にあるときには、回転軸21の軸内通路31内の冷媒が出口313及び連通路33を経由してシリンダボア28の圧縮室281に吸入される。
両頭ピストン29がシリンダボア28側で吐出行程の状態(両頭ピストン29が図1の左側から右側へ移動する行程)にあるときには、出口313と連通路33との連通が遮断される。両頭ピストン29がシリンダボア28側で吐出行程の状態にあるときには、圧縮室281内の冷媒が吐出ポート181から吐出弁191を押し退けて吐出室141へ吐出される。吐出室141へ吐出された冷媒は、通路342を介して外部冷媒回路34へ流出する。
外部冷媒回路34上には、冷媒から熱を奪うための熱交換器37、膨張弁38、及び周囲の熱を冷媒に移すための熱交換器39が介在されている。膨張弁38は、熱交換器39の出口側のガス温度の変動に応じて冷媒流量を制御する。外部冷媒回路34へ流出した冷媒は、吸入室142へ還流する。
回転軸21のシール周面211の部分は、回転軸21に一体形成された第1ロータリバルブ35となり、回転軸21のシール周面212の部分は、回転軸21に一体形成された第2ロータリバルブ36となる。つまり、回転軸21は、ロータリバルブである。回転軸線210は、ロータリバルブの回転軸線であり、回転軸21の端面213(つまりロータリバルブの端面)は、ロータリバルブの回転軸線210と交差する。軸内通路31及び出口312,313は、ロータリバルブの導入通路を構成し、軸孔111は、第1ロータリバルブ35を収容するバルブ収容室であり、軸孔121は、第2ロータリバルブ36を収容するバルブ収容室である。
図3及び図4に示すように、吸入室142を形成するリヤハウジング14の端壁には台座40が一体形成されており、台座40の内壁面には円筒41が一体形成されている。円筒41の筒内411にはスプール形状の弁体42がスライド可能に嵌入されている。弁体42は、円板形状のピストン部43と円筒部44とを備え、円筒部44には導入口441が円筒部44の外周面に開口し、且つ円筒部44の筒内442に連通するように形成されている。筒内442は、弁体42の内部通路である。ピストン部43は、円筒41の筒内411に第1圧力室412を区画する。
リヤハウジング14側のシリンダブロック12の端面には円筒形状のガイド筒45が円筒41に対向するように一体形成されている。ガイド筒45の筒内451は、軸内通路31(導入通路)の入口311に連通している。ガイド筒45の先端と円筒41の先端とは、離れており、弁体42の円筒部44は、ガイド筒45にスライド可能に嵌合されている。ガイド筒45の内周面にはサークリップ46が取り付けられており、サークリップ46とピストン部43との間には復帰バネ47が介在されている。復帰バネ47は、台座40に近づけるように弁体42を付勢する。弁体42が台座40に近づくと、第1圧力室412の容積が減少する。
図4に示す状態では、導入口441の全体が吸入室142内に露出する位置にあり、軸内通路31がガイド筒45の筒内451、円筒部44の筒内442及び導入口441を介して吸入室142に連通している。図3に示す状態では、導入口441の全体が筒内411に入り込んでいる位置にあり、軸内通路31と吸入室142との連通が遮断されている。図4は、弁体42が軸内通路31と吸入室142とを連通する位置にある状態を示し、図3は、弁体42が軸内通路31と吸入室142とを遮断する位置にある状態を示す。
図3及び図4に示すように、台座40の外壁面には凹部401が形成されており、凹部401には区画壁としての区画壁板48が収容されている。台座40の外面には有底筒形状の蓋49がネジ50の締め付けによって接合して固定されている。蓋49は、ネジ50の締め付けによって区画壁板48を凹部401の底に押さえ付けている。
凹部401の底には通孔55が第1圧力室412に連通するように形成されている。通孔55に対向する区画壁板48の内面56には第1ベローズ51が連結されている。第1ベローズ51の第1可動端512は、弁体42のピストン部43に止着されており、弁体42と第1ベローズ51の第1可動端512とは、一体的に移動可能である。第1ベローズ51は、回転軸21の回転軸線210の方向に伸縮し、第1ベローズ51は、第1圧力室412内と通孔55内とに第1容積可変室511を区画する。第1室形成部材としての第1ベローズ51によって区画される第1容積可変室511の容積は、第1可動部としての第1可動端512の位置変位(回転軸線210の方向への位置変位)によって変化する。つまり、区画壁板48と第1可動端512との間に形成された第1容積可変室511は、弁体42の位置変位(回転軸線210の方向への位置変位)に応じて容積を変える。
蓋49の筒内491において区画壁板48の外面57には第2ベローズ52が連結されている。第2ベローズ52は、回転軸21の回転軸線210の方向に伸縮し、第2ベローズ52は、筒内491に第2容積可変室521を区画する。第2容積可変室521は、区画壁板48と第2可動端522との間に形成されている。第2室形成部材としての第2ベローズ52によって区画される第2容積可変室521の容積は、第2可動部としての第2可動端522の位置変位(回転軸線210の方向への位置変位)によって変化する。
容積変化が同じ大きさであるときの第1ベローズ51の第1可動端512の移動距離は、第2ベローズ52の第2可動端522の移動距離よりも大きい。つまり、ベローズ51,52の容積が同じ大きさだけ増大、又は減少したときの第1可動端512の移動距離は、第2可動端522の移動距離よりも大きい。
区画壁板48には絞り通路53が第1容積可変室511と第2容積可変室521とに連通するように貫設されている。第1容積可変室511、第2容積可変室521及び絞り通路53には油(流体である液体)が充填されている。
通孔55は、区画壁板48の内面56上に形成された溝561及び台座40に形成された通路54を介して吸入室142に連通しており、吸入室142の圧力が第1圧力室412に波及している。第1圧力室412内の圧力は、弁体42を介して筒内442の圧力に対抗する。
筒内491は、区画壁板48の外面57上に形成された溝571及び通路54を介して吸入室142に連通しており、吸入室142の圧力が筒内491に波及している。以下においては、筒内491を第2圧力室491と記す。
図1に示すように、電磁クラッチ25は、制御コンピュータCの励消磁制御を受ける。制御コンピュータCには空調装置作動スイッチ58、室温設定器59及び室温検出器60が信号接続されている。空調装置作動スイッチ58がON状態にある場合、制御コンピュータCは、室温設定器59によって設定された目標室温と、室温検出器60によって検出された検出室温との温度差に基づいて、電磁クラッチ25に対する電流供給(励消磁)を制御する。
検出温度が目標温度よりも低い場合、又は、検出温度が目標温度よりも高く、且つ検出温度と目標温度との温度差が許容差以下である場合、制御コンピュータCは、電磁クラッチ25に対する電流供給を停止する。このときには、電磁クラッチ25は遮断状態となり、車両エンジン26の回転駆動力が回転軸21に伝達されることはない。検出温度が目標温度よりも高く、且つ検出温度と目標温度との温度差が許容差を超える場合、制御コンピュータCは、電磁クラッチ25に対する電流供給を行なう。このときには、電磁クラッチ25は連結状態となり、車両エンジン26の回転駆動力が回転軸21に伝達される。
固定容量型ピストン式圧縮機10は、運転停止状態(電磁クラッチ25が遮断されている状態)にあるとする。この状態では、圧縮機内の圧力がバランスしており、弁体42は、復帰バネ47のバネ力によって図3に示す遮断する位置にある。固定容量型ピストン式圧縮機10の運転が開始されると、軸内通路31内の冷媒及び筒内451,442内の冷媒は、圧縮室271(図1参照)及び圧縮室281へ吸入されるため、この吸入作用により、軸内通路31内及び筒内451,442の圧力は、低くなる。つまり、軸内通路31内及び筒内451,442の圧力は、吸入室142内の圧力よりも低くなる。吸入室142の圧力は、第1圧力室412と第2圧力室491とに波及しており、第1圧力室412内の圧力及び第2圧力室491内の圧力は、吸入室142内の圧力相当である。第1圧力室412内の圧力は、弁体42を介して筒内451,442の圧力と復帰バネ47のバネ力とに対抗している。又、第2圧力室491内の圧力は、容積可変室521,511内の油及び弁体42を介して筒内451,442の圧力と復帰バネ47のバネ力とに対抗している。
復帰バネ47のばね力は、固定容量型ピストン式圧縮機10を運転したときに圧力室412,491内の圧力と筒内451,442の圧力との間に生じる差圧に負けるように設定されている。従って、固定容量型ピストン式圧縮機10を運転したときに圧力室412,491内の圧力と筒内451,442の圧力との間に生じる差圧は、復帰バネ47のばね力に打ち勝って弁体42を図3に示す遮断する位置から図4に示す連通する位置に移動させる。第1ベローズ51の第1可動端512は、弁体42と一体的に移動し、第1ベローズ51が伸長して第1容積可変室511の容積が増大する。第1容積可変室511の容積増大に伴い、第2容積可変室521内の油が絞り通路53を通って第1容積可変室511内へ流入する。
固定容量型ピストン式圧縮機10の運転が停止されると、軸内通路31内の冷媒及び筒内451,442内の冷媒が圧縮室271(図1参照)及び圧縮室281へ吸入されなくなり、軸内通路31内及び筒内451,442の圧力が高くなる。そのため、軸内通路31内及び筒内451,442の圧力と、圧力室412,491内の圧力とが均衡し、弁体42は、復帰バネ47のばね力によって図4に示す連通する位置から図3に示す遮断する位置に移動する。
弁体42は、固定容量型ピストン式圧縮機10の運転状態と運転停止状態とに対応した導入通路(軸内通路31)内の圧力の高低に応じて、圧縮機内の吸入室142(吸入圧領域)と前記導入通路の出口312,313とを連通する位置と遮断する位置とに切り換え配置される。弁体42、復帰バネ47、区画壁板48、第1ベローズ51、第2ベローズ52及び絞り通路53は、圧縮機内の吸入室142(吸入圧領域)と前記導入通路の出口312,313とを連通する状態と遮断する状態とに切り換えられる切り換え手段61を構成する。切り換え手段61を構成する弁体42、第1ベローズ51、区画壁板48及び第2ベローズ52は、この順に回転軸21側から蓋49側へ直列に配列されている。
図3の状態では、切り換え手段61は、導入通路の出口312(図1参照)及び出口313と、吸入室142とを遮断する状態にあり、図4の状態では、切り換え手段61は、導入通路の出口312(図1参照)及び出口313と、吸入室142とを連通する状態にある。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)固定容量型ピストン式圧縮機10の運転が開始されると、軸内通路31内及び筒内451,442の圧力が低下し、弁体42が遮断する位置から連通する位置へ移動する。弁体42が遮断する位置から連通する位置に向けて移動してゆくと、導入口441が吸入室142に露出する割合が増大してゆく。つまり、吸入室142と筒内442との間における通路断面積が増大してゆく。
(1)固定容量型ピストン式圧縮機10の運転が開始されると、軸内通路31内及び筒内451,442の圧力が低下し、弁体42が遮断する位置から連通する位置へ移動する。弁体42が遮断する位置から連通する位置に向けて移動してゆくと、導入口441が吸入室142に露出する割合が増大してゆく。つまり、吸入室142と筒内442との間における通路断面積が増大してゆく。
遮断する位置から連通する位置への弁体42の移動の際には、第1容積可変室511の容積が増大し、第2容積可変室521内の油が絞り通路53を通過して第1容積可変室511へ流入する。第2容積可変室521内の油が絞り通路53を通過して第1容積可変室511へ流入することによって第2容積可変室521の容積が減少する。絞り通路53を通過する油は、絞り通路53の絞り作用によって通過抵抗を受ける。この通過抵抗は、第1容積可変室511及び第2容積可変室521の容積変化を遅らせ、弁体42の移動に制動が掛けられる。つまり、弁体42の移動速度が低く抑えられる。そのため、吸入室142と筒内442との間における前記通路断面積の増大の変化が低く抑えられ、吸入室142から筒内442への冷媒流入が抑制される。その結果、固定容量型ピストン式圧縮機10の運転が開始される際には、起動ショックが緩和される。
しかも、固定容量型ピストン式圧縮機10内の吸入室142と導入口441との連通が遮断されている(つまり、弁体42が遮断する位置にある状態)間に圧縮される冷媒量が少なく、トルク変動抑制の効果、つまり起動ショック緩和の効果が高い。
(2)固定容量型ピストン式圧縮機10の運転が停止されると、弁体42が復帰バネ47のばね力によって前記遮断する位置へ復帰する。復帰バネ47の採用は、弁体42を遮断する位置へ復帰させる上で簡便な構成である。
(3)油は、絞り通路53における通過抵抗を増して弁体42の移動速度を遅らせる上で好適な流体である。
(4)ベローズ51,52は、第1容積可変室511内及び第2容積可変室521内からの油洩れを回避する上で好適である。
(4)ベローズ51,52は、第1容積可変室511内及び第2容積可変室521内からの油洩れを回避する上で好適である。
(5)弁体42が図3に示す遮断する位置から図4に示す連通する位置まで移動する距離が長いほど、吸入室142と筒内442との間における通路断面積の増大の変化を低く抑えることができる。つまり、前記移動する距離をできるだけ大きくすることは、起動ショック緩和の効果を高める上で有利である。
容積変化が同じ大きさであるときの第1ベローズ51の第1可動端512の移動距離は、第2ベローズ52の第2可動端522の移動距離よりも大きくなるようにしてある。このような構成は、蓋49の小型化(回転軸線210の方向の短縮化)を図りつつ弁体42の前記移動する距離を稼ぐ上で好適である。
(6)弁体42の筒内442の入口である導入口441は、弁体42が遮断する位置にあるときには、筒内411に入り込んで遮蔽され、弁体42が連通する位置にあるときには、筒内411外にあって吸入室142内に露出する。導入口441が筒内411に対して出入りする構成は、導入口441を大きくして導入通路の十分な通路断面積を確保する上で好適である。
次に、図5(a),(b)の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
リヤハウジング14には連絡室62及び弁孔631が形成されており、連絡室62内には板形状の開閉プレート64が弁孔631を開閉可能に収容されている。弁孔631は、連絡室62と吸入室142とを隔てる隔壁63に貫設されている。軸内通路31の入口311は、シリンダブロック12内の回転軸21の端面213にあってリヤハウジング14内の連絡室62に開口している。
リヤハウジング14には連絡室62及び弁孔631が形成されており、連絡室62内には板形状の開閉プレート64が弁孔631を開閉可能に収容されている。弁孔631は、連絡室62と吸入室142とを隔てる隔壁63に貫設されている。軸内通路31の入口311は、シリンダブロック12内の回転軸21の端面213にあってリヤハウジング14内の連絡室62に開口している。
筒内411にはピストン65が嵌入されており、ピストン65には伝達ロッド66が一体形成されている。伝達ロッド66の先端には開閉プレート64が止着されている。連絡室62側の隔壁63の面には平面の弁座面632が形成されており、開閉プレート64は、弁座面632に接離する。弁座面632に接する開閉プレート64のシール面641は、平面に形成されている。つまり、開閉プレート64が弁孔631を閉じたときには、開閉プレート64のシール面641は、弁座面632に面接触している。ピストン65、伝達ロッド66及び開閉プレート64は、弁孔631を開閉する弁体67を構成し、弁体67は、筒内411に第1容積可変室413を区画する。第1容積可変室413は、絞り通路53を介して第2容積可変室521に連通している。
第1室形成部材としてのピストン65によって区画される第1容積可変室413の容積は、第1可動部としてのピストン65の位置変位(回転軸線210の方向への位置変位)によって変化する。つまり、第1容積可変室413は、弁体67の位置変位(回転軸線210の方向への位置変位)に応じて容積を変える。
ピストン65と隔壁63との間には復帰バネ68が介在されている。復帰バネ68は、ピストン65を筒内411に押し込む方向へ付勢する。図5(b)では弁体67が弁孔631を開いて連絡室62と吸入室142とを連通する位置にあり、図5(a)では弁体67が弁孔631を閉じて連絡室62と吸入室142との連通を遮断する位置にある。復帰バネ68は、弁体67を前記連通する位置から前記遮断する位置に向けて付勢している。
回転軸21の端面213に対向する開閉プレート64の背面には複数のストッパ642が突設されている。ストッパ642は、シリンダブロック12の端面122に突設された筒部123の先端に接離可能である。弁体67が図5(b)に示す連通する位置に配置されている状態では、ストッパ642が筒部123の先端に当接しており、弁体67が図5(a)に示す遮断する位置に配置されている状態では、ストッパ642が筒部123の先端から離れている。
固定容量型ピストン式圧縮機10が運転停止状態にあるときには、弁体67が復帰バネ68のバネ力によって図5(a)に示す遮断する位置に配置され、吸入室142内の冷媒が連絡室62へ流入不能である。固定容量型ピストン式圧縮機10の運転が開始されると、軸内通路31内の冷媒及び連絡室62内の冷媒は、圧縮室271(図1参照)及び圧縮室281へ吸入されるため、この吸入作用により、軸内通路31内及び連絡室62内の圧力は、低くなる。つまり、軸内通路31内及び連絡室62内の圧力は、吸入室142内の圧力よりも低くなる。そのため、弁体67が図5(b)に示す連通する位置に配置され、吸入室142内の冷媒が弁孔631、連絡室62及び軸内通路31を経由して圧縮室271(図1参照)及び圧縮室281へ流入する。
弁体67、復帰バネ68、区画壁板48、ベローズ52及び絞り通路53は、圧縮機内の吸入室142(吸入圧領域)と導入通路の出口312,313とを連通する状態と遮断する状態とに切り換えられる切り換え手段61Aを構成する。
第2の実施形態においても起動ショックの緩和効果が得られる。又、板形状の開閉プレート64を収容する連絡室62の容積を小さくできるため、第1の実施形態の場合と同様に起動ショックの緩和効果が高い。
次に、図6,7の第3の実施形態を説明する。第2の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
円筒41にはピストン69がスライド可能に嵌入されており、ピストン69には第1ベローズ51の第1可動端512が止着されている。ピストン69は、筒内411に第1圧力室412を区画する。
円筒41にはピストン69がスライド可能に嵌入されており、ピストン69には第1ベローズ51の第1可動端512が止着されている。ピストン69は、筒内411に第1圧力室412を区画する。
ピストン69には伝達ロッド70が連結されている。伝達ロッド70は、軸内通路31A内に入り込んでいる。軸内通路31Aは、小径通路314と、小径通路314よりも大径の大径通路315とを備えている。小径通路314内の伝達ロッド70の先端には円板71が止着されており、大径通路315内の伝達ロッド70には円筒形状の円周面体72が止着されている。
円板71は、回転軸21の回転軸線210の方向へスライド可能に小径通路314に嵌入されており、円筒形状の円周面体72は、回転軸21の回転軸線210の方向へスライド可能、且つ出口313を開閉可能に大径通路315に嵌入されている。円筒形状の円周面体72の筒内は、円板71と円周面体72との間の軸内通路31Aと、軸内通路31Aの入口311と円周面体72との間の軸内通路31Aとを連通している。
図7に示すように、円周面体72が出口313を閉じる位置にあるときには、円板71は、軸内通路31A内において出口312よりも上流側にあり、軸内通路31Aの冷媒が出口312を介して圧縮室271へ流入不能である。図6に示すように、円周面体72が出口313を開く位置にあるときには、円板71は、軸内通路31A内において出口312よりも下流側にあり、軸内通路31Aの冷媒が出口312を介して圧縮室271へ流入可能である。
小径通路314と大径通路315との間の段差316と円周面体72との間には復帰バネ73が介在されている。復帰バネ73は、ピストン69を筒内411に押し込むように円板71、円周面体72、伝達ロッド70及びピストン69の全体を第1圧力室412に向けて付勢している。
固定容量型ピストン式圧縮機10が運転停止状態にあるときには、円板71及び円周面体72は、復帰バネ73のばね力によって図7に示す遮断する位置に保持される。固定容量型ピストン式圧縮機10の運転が開始されると、円板71と軸内通路31Aの末端との間の空間317(軸内通路31Aの一部)内の冷媒が圧縮室271に吸入されて空間317内の圧力が低下する。そのため、円板71及び円周面体72は、復帰バネ73のばね力に抗して図7に示す遮断する位置から図6に示す連通する位置へ配置される。固定容量型ピストン式圧縮機10の運転が停止されると、円板71及び円周面体72は、復帰バネ73のバネ力によって図7に示す遮断する位置に復帰する。円板71、円周面体72、伝達ロッド70及びピストン69は、筒内411に第1圧力室412を区画する弁体を構成する。
該弁体は、固定容量型ピストン式圧縮機10の運転状態と運転停止状態とに対応した空間317〔導入通路(軸内通路31A)の一部〕内の圧力の高低に応じて、圧縮機内の吸入室142(吸入圧領域)と前記導入通路の出口312,313とを連通する位置と遮断する位置とに切り換え配置される。該弁体、区画壁板48、第1ベローズ51、第2ベローズ52及び絞り通路53は、圧縮機内の吸入室142(吸入圧領域)と導入通路の出口312,313とを連通する状態と遮断する状態とに切り換えられる切り換え手段61Bを構成する。
第3の実施形態では第2の実施形態と同様の効果が得られる。又、第3の実施形態では、円板71及ぶ円周面体72が遮断する位置にあるときに圧縮室271,281に流入可能な冷媒は、空間317内、出口312,313内及び連通路32,33内の冷媒のみであるため、起動ショックの緩和効果は、第1,2の実施形態の場合よりも高い。
なお、ピストン69と伝達ロッド70との間で相対回転可能な構成とすれば、復帰バネ73と回転軸21との間での相対回転を防止することができ、復帰バネ73と回転軸21との間での相対回転に起因する復帰バネ73あるいは回転軸21の磨耗損傷を回避することができる。あるいは、円周面体72と復帰バネ73との間で相対回転可能な構成としてもよい。
次に、図8(a),(b)の第4の実施形態を説明する。第3の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
筒内411にはピストン69が嵌入されており、ピストン69は、筒内411に第1容積可変室413を区画する。第1室形成部材としてのピストン69によって区画される第1容積可変室413の容積は、第1可動部としてのピストン69の位置変位(回転軸線210の方向への位置変位)によって変化する。
筒内411にはピストン69が嵌入されており、ピストン69は、筒内411に第1容積可変室413を区画する。第1室形成部材としてのピストン69によって区画される第1容積可変室413の容積は、第1可動部としてのピストン69の位置変位(回転軸線210の方向への位置変位)によって変化する。
第1容積可変室413は、絞り通路53を介して第2容積可変室521に連通している。第1容積可変室413内の容積変化と第2容積可変室492内の容積変化とが同じ大きさであるときのピストン69の移動距離は、第2ベローズ52の第2可動端522の移動距離よりも大きくなるようにしてある。
固定容量型ピストン式圧縮機10が運転停止状態にあるときには、筒75が復帰バネ73のばね力によって図8(a)に示す遮断する位置に保持される。固定容量型ピストン式圧縮機10の運転が開始されると、筒75が復帰バネ73のばね力に抗して図8(a)に示す遮断する位置から図8(b)に示す連通する位置へ配置される。円板71、円周面体72、伝達ロッド70及びピストン69は、筒内411に第1容積可変室413を区画する弁体を構成する。該弁体、区画壁板48、ベローズ52及び絞り通路53は、圧縮機内の吸入室142(吸入圧領域)と導入通路の出口312,313とを連通する状態と遮断する状態とに切り換えられる切り換え手段61Cを構成する。
第4の実施形態では第3の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図9(a),(b)の第5の実施形態を説明する。第4の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
次に、図9(a),(b)の第5の実施形態を説明する。第4の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
ピストン69には筒75がピストン69に対して相対回転可能に連結されている。筒75は、軸内通路31Aにスライド可能に嵌入されている。筒75の先端には端壁752が形成されている。軸内通路31Aの行き止まりとなる内端には角ピン76が止着されており、筒75の端壁752には角ピン76が相対的にスライド可能に挿通されている。筒75及び角ピン76は、回転軸21と一体的に回転し、端壁752に角ピン76を挿通した状態で軸内通路31A内をスライド可能である。ピストン69及び筒75は、筒内411に第1容積可変室413を区画する弁体を構成する。
筒75は、小径通路314に嵌入された小径筒部77と、大径通路315に嵌入された大径筒部78とを備える。吸入室142内における大径筒部78には導入口751が吸入室142と筒75の筒内750とを連通するように形成されている。小径筒部77と大径筒部78との間の段差753と、回転軸21側の段差316との間には復帰バネ74が介在されている。復帰バネ74は、ピストン69を筒内411に押し込むように筒75を区画壁板48に向けて付勢している。
小径通路314内における小径筒部77には通口771が小径筒部77内に連通するように形成されており、大径筒部78には通口781が大径筒部78内に連通するように形成されている。
第2圧力室491にはピストン79がスライド可能に収容されている。ピストン79は、第2圧力室491内に第2容積可変室492を区画する。第1室形成部材としてのピストン79によって区画される第2容積可変室492の容積は、第2可動部としてのピストン79の位置変位(回転軸線210の方向への位置変位)によって変化する。つまり、第1容積可変室511は、第1容積可変室413を区画する前記弁体の位置変位(回転軸線210の方向への位置変位)に応じて容積を変える。
第2容積可変室492は、絞り通路53を介して第1容積可変室413に連通しており、第2圧力室491は、通路80を介して吸入室142に連通している。ピストン79の径は、ピストン69の径よりも大きくしてある。従って、第1容積可変室413内の容積変化と第2容積可変室492内の容積変化とが同じ大きさであるときのピストン69の移動距離は、ピストン79の移動距離よりも大きい。
筒内411に第1容積可変室413を区画する前記弁体、区画壁板48、絞り通路53及びピストン79は、圧縮機内の吸入室142(吸入圧領域)と導入通路の出口312,313とを連通する状態と遮断する状態とに切り換えられる切り換え手段61Dを構成する。
図9(b)は、弁体としての小径筒部77が出口312を閉じた状態を示し、弁体としての大径筒部78が出口313を閉じた状態を示す。これにより、出口312,313と筒75の筒内750との連通が遮断されている。図9(a)は、小径筒部77の通口771と出口312とが連通した状態を示し、大径筒部78の通口781と出口313とが連通した状態を示し、出口312,313と筒内750とが連通されている。吸入室142の冷媒は、導入口751、筒内750、通口771、出口312及び連通路32を介して圧縮室271へ流入可能であり、吸入室142の冷媒は、導入口751、筒内750、通口781、出口313及び連通路33を介して圧縮室281へ流入可能である。
図9(b)に示すように、筒75が出口312,313を閉じる位置にあるときには、筒75の先端は、軸内通路31A内において出口312よりも上流側にあり、軸内通路31Aの冷媒が出口312を介して圧縮室271へ流入不能である。図9(b)に示すように、筒75が出口312,313を開く位置にあるときには、筒75の先端は、軸内通路31A内において出口312よりも下流側にあり、軸内通路31Aの冷媒が出口312を介して圧縮室271へ流入可能である。
固定容量型ピストン式圧縮機10が運転停止状態にあるときには、筒75が復帰バネ74のばね力によって図9(b)に示す遮断する位置に保持される。固定容量型ピストン式圧縮機10の運転が開始されると、筒75の先端と軸内通路31Aの末端との間の空間317(軸内通路31Aの一部)内の冷媒が圧縮室271に吸入されて空間317内の圧力が低下する。そのため、筒75は、復帰バネ74のばね力に抗して図9(b)に示す遮断する位置から図9(a)に示す連通する位置へ配置される。
ピストン69及び筒75によって構成される弁体は、固定容量型ピストン式圧縮機10の運転状態と運転停止状態とに対応した空間317〔導入通路(軸内通路31A)の一部〕内の圧力の高低に応じて、圧縮機内の吸入室142(吸入圧領域)と前記導入通路の出口312,313とを連通する位置と遮断する位置とに切り換え配置される。
第5の実施形態では第4の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図10の第6の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
次に、図10の第6の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
固定容量型ピストン式圧縮機10Aの全体ハウジングは、シリンダブロック12とフロントハウジング13とリヤハウジング14とから構成されており、シリンダブロック12とフロントハウジング13との間の斜板室24に斜板23が収容されている。斜板23に連係された片頭ピストン81は、斜板23の回転に伴ってシリンダボア28内を往復動する。回転軸21にはロータリバルブ36がシリンダブロック12に対応して設けられており、リヤハウジング14には弁体42、区画壁板48、第1ベローズ51及び第2ベローズ52が設けられている。
第6の実施形態では第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○第5の実施形態において、ピストン69の代わりに、第1の実施形態におけるベローズ51を用いてもよい。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○第5の実施形態において、ピストン69の代わりに、第1の実施形態におけるベローズ51を用いてもよい。
○第1ロータリバルブ35及び第2ロータリバルブ36を回転軸21とは別体に形成してもよい。
○区画壁がリヤハウジングと一体である(リヤハウジングの一部が区画壁を兼ねている)ようにしてもよい。
○区画壁がリヤハウジングと一体である(リヤハウジングの一部が区画壁を兼ねている)ようにしてもよい。
10,10A…固定容量型ピストン式圧縮機。11,12…シリンダブロック。111,121…バルブ収容室としての軸孔。131,141…吐出圧領域としての吐出室。14…リヤハウジング。142…圧縮機内の吸入圧領域としての吸入室。21…回転軸。210…回転軸線。211,212…シール周面。213…端面。23…カム体としての斜板。25…電磁クラッチ。26…外部駆動源としての車両エンジン。27,28…シリンダボア。271,281…圧縮室。29…両頭ピストン。31,31A…導入通路を構成する軸内通路。311…入口。312,313…出口。35…第1ロータリバルブ。36…第2ロータリバルブ。413…第1容積可変室。42,67…切り換え手段を構成する弁体。441…内部通路の入口としての導入口。442…内部通路としての筒内。47,73,74…復帰バネ。48…区画壁としての区画壁板。492…第2容積可変室。51…第1室形成部材としての第1ベローズ。511…第1容積可変室。512…第1可動部としての第1可動端。52…第2室形成部材としての第2ベローズ。521…第2容積可変室。522…第2可動部としての第2可動端。53…絞り通路。61,61A,61B,61C,61D…切り換え手段。71…弁体を構成する円板。72…弁体を構成する円周面体。75…弁体を構成する筒。81…片頭ピストン。
Claims (9)
- 回転軸の周囲に配列された複数のシリンダボア内にピストンが収容されており、前記ピストンが前記回転軸と一体化されたカム体を介して前記回転軸の回転に連動されており、前記ピストンによって前記シリンダボア内に区画される圧縮室に吸入圧領域から冷媒を導入するための導入通路を有するロータリバルブを備え、前記ロータリバルブは、前記回転軸と一体的に回転し、前記回転軸は、クラッチを介して外部駆動源に連結される固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造において、
圧縮機内の吸入圧領域と前記導入通路の出口とを連通する状態と遮断する状態とに切り換えられる切り換え手段が設けられており、前記切り換え手段は、前記圧縮機内の吸入圧領域と前記導入通路の出口とを連通する位置と遮断する位置とに切り換え配置される弁体と、前記連通する位置から前記遮断する位置へ前記弁体を戻す復帰バネと、前記弁体の位置変位に応じて容積を変える第1容積可変室と、容積変化可能な第2容積可変室と、前記第1容積可変室と前記第2容積可変室とを連通する絞り通路とを備えており、前記第1容積可変室と前記第2容積可変室とには流体が入れられており、前記第1容積可変室が容積変化するときには、前記流体が前記絞り通路を通過する固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造。 - 前記第1容積可変室は、区画壁と、位置変位する第1可動部を有する第1室形成部材との間に形成されており、前記第2容積可変室は、前記区画壁と、位置変位する第2可動部を有する第2室形成部材との間に形成されており、前記絞り通路は、前記区画壁を貫通して前記第1容積可変室と前記第2容積可変室とに連通されており、前記第1容積可変室の容積は、前記第1可動部の位置変位によって変化し、前記第2容積可変室の容積は、前記第2可動部の位置変位によって変化する請求項1に記載の固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造。
- 第1室形成部材は、前記区画壁に連結された第1ベローズであり、第2室形成部材は、前記区画壁に連結された第2ベローズであり、前記第1可動部は、前記第1ベローズの可動端であり、前記第2可動部は、前記第2ベローズの可動端である請求項2に記載の固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造。
- 前記弁体は、前記第1ベローズの可動端に止着されている請求項3に記載の固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造。
- 容積変化が同じ大きさであるときの前記第1ベローズの可動端の移動距離は、前記第2ベローズの可動端の移動距離よりも大きい請求項3及び請求項4のいずれか1項に記載の固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造。
- 前記流体は、液体である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造。
- 前記切り換え手段が前記遮断する状態にあるときには、前記弁体は、前記導入通路の入口を前記圧縮機内の吸入圧領域から遮断する位置に配置される請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造。
- 前記導入通路は、前記ロータリバルブの端面に入口を有すると共に、前記ロータリバルブの周面に出口を有し、前記導入通路は、前記回転軸の内部に前記回転軸の回転軸線の方向に延びる軸内通路を有し、前記導入通路の出口は、前記回転軸の周面を貫通して前記軸内通路に連通しており、前記弁体は、前記導入通路の入口から前記導入通路内を前記回転軸線の方向へスライド可能に前記軸内通路内に嵌入されており、前記弁体は、前記軸内通路内を前記回転軸線の方向へ移動されて前記連通する位置と前記遮断する位置とに切り換え配置され、前記遮断する位置は、前記弁体が前記軸内通路から前記導入通路の出口を遮断する位置である請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造。
- 前記シリンダボアを形成するシリンダブロックにリヤハウジングが連結されており、前記リヤハウジング内には吸入室が形成されており、前記弁体は、前記リヤハウジング内に設けられている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の固定容量型ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造。
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