JP4782474B2 - プロセスオイルの製造方法 - Google Patents
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Description
(a)多環芳香族炭化水素(PCA)含有量 3質量%未満
(b)粘度(100℃) 40〜70mm2/s
(c)アニリン点 85〜95℃
(d)引火点 250℃以上
(e)芳香族炭化水素の含有量 40〜55質量%
(f)極性物質の含有量 10〜15質量%
ここで、本発明に関連するプロセスオイルは、脱れき油を原料として用いるものであるので、脱れき油、脱れき油を脱ろうして得られる脱ろう油(脱ろう脱れき油)、脱ろう油から抽出されるエキストラクト等、脱れき油を原料としてなる油成分の一種、または二種以上の混合物からなるものであればよい。
かかる本発明に関連するプロセスオイルは、アスファルテン分が少ないため、色付きのアスファルトを製造する場合、きれいに発色されて仕上がることになる。
また、脱れき油をエキストラクトとする溶剤抽出工程において、脱れき油基準で50質量%以上の得率で得るようにしてエキストラクトを得るようにし、これをプロセスオイルとするようにしているので、PCAの含有量が3質量%未満のプロセスオイルを確実に得ることができる。
すなわち、エキストラクトと、脱れき工程で得られた脱れき油に混合するようにして、プロセスオイルとしてもよく、このようにしても、前記した(a)〜(f)の性状を有するプロセスオイルを好適に提供できることとなる。
また、この場合にあっては、脱れき油からエキストラクトを得る溶剤抽出工程において、敢えて脱れき油基準で50質量%以上の得率でエキストラクトを得るようにすることもなく、任意の得率により得られたエキストラクトを、脱れき工程で得た脱れき油に混合するようにして、プロセスオイルを得るようにすればよいが、PCA含有量が低いと推定される、脱れき油基準で50質量%以上の得率で得られたエキストラクトを採用するようにしても問題はない。
特に、脱れき油を脱ろうすることにより、プロセスオイルに適度に流動性を与えることができ、その結果オイルの取り扱いが容易となるとともに、ワックスが表面に析出することを好適に防止することができる。
また、脱ろう油をエキストラクトとする溶剤抽出工程において、脱れき油基準で50質量%以上の得率で得るようにしてエキストラクトを得るようにし、これをプロセスオイルとするようにしているので、PCAの含有量が3質量%未満のプロセスオイルを確実に得ることができる。
すなわち、エキストラクトと、脱ろう工程で得られた脱ろう油や多環芳香族炭化水素(PCA)含有量が3質量%未満の鉱油と混合した混合油をプロセスオイルとしてもよく、このようにしても、前記した(a)〜(f)の性状を有するプロセスオイルを好適に提供できることとなる。
また、この場合にあっても、脱ろう油からエキストラクトを得る溶剤抽出工程において、敢えて脱れき油基準で50質量%以上の得率でエキストラクトを得るようにすることもなく、任意の得率により得られたエキストラクトを、脱ろう工程で得た脱ろう及びPCA含有量が3質量%未満の鉱油の少なくとも一つに混合するようにして、プロセスオイルを得るようにすればよいが、無論、PCA含有量が低いと推定される、脱れき油基準で50質量%以上の得率で得られたエキストラクトを採用するようにしてもよい。
この本発明によれば、エキストラクトと脱れき油等を混合した混合油をプロセスオイルとする際に、エキストラクトの含有量を40質量%以上80質量%未満とすることにより、(a)〜(f)の性状を有するプロセスオイルを効率よく得ることができ、ゴム組成物の諸物性を向上させることができるので好ましい。
かかる本発明によれば、プロセスオイルの製造工程中、脱れき工程で得られた脱れき油の得率が減圧蒸留残渣油基準で30質量%以上であるため、脱れき油の100℃における粘度を30mm2/s以上とすることができ、また、脱れき工程でのフォーミングを防止し、脱れき油を安定して生産することができる。
また、脱れき油の100℃における粘度を30〜50mm2/sとすることにより、最終的に得られるプロセスオイルの100℃における粘度を40〜70mm2/sとすることが容易となる。
が0〜25℃、脱ろう油の得率が脱れき油基準で90質量%以上であることが好ましい。
かかる本発明によれば、プロセスオイルの製造工程中、脱ろう工程において得られた脱ろう油の流動点を0〜25℃としているので、最終的に製造されるプロセスオイルの流動点を40℃以下とすることが容易となる。
また、脱ろう油の得率を脱れき油基準で90質量%以上としているので、例えば、脱ろう手段として水素化脱ろうを用いる場合には、分解による得率の低下を防止し、また、脱ろう手段として溶剤脱ろうを用いる場合には、ワックスの生成が少なくてすむため、生産効率の低下を好適に防止することができる。
かかる本発明によれば、プロセスオイルの製造工程中、溶剤抽出工程における抽出温度及び溶剤比を特定の範囲としているので、PCAの含有量を3質量%未満としたエキストラクトを効率よく得ることができる。
(a)多環芳香族成分(PCA)含有量 3質量%未満
(b)粘度(100℃) 40〜70mm2/s
(c)アニリン点 85〜100℃
(d)引火点 250℃以上
(e)芳香族分の含有量 40〜55質量%
(f)極性物質の含有量 10〜15質量%
本発明のプロセスオイルは、PCAの含有量が3質量%未満であり、2.5質量%未満であることが好ましい。発ガン性の問題から、欧州等ではPCAが3質量%以上の鉱油は取り扱いに制限を受けるため、本発明のプロセスオイルも同様にPCAは3質量%未満とされている。このPCAを3質量%未満とすることにより、発ガン性の心配もなく、安全性に優れたプロセスオイルを提供することができる。
なお、プロセスオイルのPCAの含有量は、英国石油協会の規定によるIP346(92)法に準拠して測定すればよい。
本発明のプロセスオイルは、100℃における粘度が40〜70mm2/sであり、40〜55mm2/sであることが好ましい。粘度が40mm2/sより小さいと、配合されるゴムの常態物性が低下する一方、粘度が70mm2/sを超えると、粘度か高すぎて、ゴムへの配合の際、成形加工性や操作性に悪影響を与えるほか、ゴム物性も低下する。
なお、プロセスオイルの100℃における粘度の測定は、ASTM−D445に準拠して測定すればよい。
本発明のプロセスオイルは、アニリン点が85〜100℃であり、85〜95℃であることが好ましい。アニリン点が85℃よりも低いと、PCAの含有量が高くなり、基準である3質量%を超える場合がある。一方、アニリン点が100℃を超えると、ゴムとの相溶性が悪くなり、ブリードが発生する場合がある。
従来のプロセスオイルでは、アニリン点は、ゴムとの相溶性の観点から低い方がブリードが発生しないと考えられていたため、概ね80℃以下とされていたが、脱ろう油を溶剤抽出して得られるエキストラクトと脱ろうを任意の割合で混合する等の手段によりプロセスオイルを製造して、(e)芳香族炭素化合物の含有量と(f)極性物質の含有量を前記の範囲とすることにより、80℃以上でも十分ブリードを抑えることができる。
なお、プロセスオイルのアニリン点は、ASTM−D611に準拠して測定すればよい。
本発明のプロセスオイルは、引火点が250℃以上であり、280℃以上であることが好ましい。引火点が250℃よりも低いと、蒸発しやすくなり、安全性に問題があるとともに、環境へ悪影響を与える場合がある。
なお、プロセスオイルの引火点は、ASTM−D92に準拠して測定すればよい。
本発明のプロセスオイルは、芳香族炭化水素の含有量が40〜55質量%であり、45〜55質量%であることが好ましい。芳香族炭化水素の含有量が40質量%より小さいと、ゴムとの相溶性が悪くなり、プロセスオイルを添加してゴムを製造することが困難となったり、ゴムの物性に悪影響を与える場合がある。一方、芳香族炭化水素の含有量が55質量%を超えると、PCAの含有量が高くなり、基準である3質量%を超える場合がある。
なお、プロセスオイルの芳香族炭化水素の含有量の測定は、ASTM−D2007に準拠して測定すればよい。
本発明のプロセスオイルは、極性物質の含有量が10〜15質量%であり、12〜15質量%であることが好ましい。極性物質の含有量が10質量%より小さいと、ゴムとの相溶性が悪くなり、一方、極性物質の含有量が15質量%を超えると、ゴムに添加した場合にゴムの物性に悪影響を与える場合があるとともに、PCAの含有量が高くなり、基準である3質量%を超える場合がある。
なお、プロセスオイルの極性物質の含有量の測定は、ASTM−D2007に準拠して測定すればよい。
本発明のプロセスオイルは、流動点が40℃以下であることが好ましく、20℃以下であることが特に好ましい。流動点が40℃より高いと、製造されるゴムの表面にワックスが析出し、外観が悪くなるとともに、商品価値が低下する。
なお、プロセスオイルの流動点は、ASTM−D97に準拠して測定すればよい。
本発明のプロセスオイルの製造方法の第1の手段は、原油の減圧蒸留残渣油を脱れきして脱れき油を得る脱れき工程と、脱れき油を溶剤抽出してエキストラクトを、脱れき油基準で55質量%以上の得率で得る溶剤抽出工程を備え、このエキストラクトをプロセスオイルとするものであり、かかる製造方法により、前記した性状(a)〜(f)を有するプロセスオイルを効率よく得ることができる。
特に、第1の手段と比較して、脱れき油を脱ろうすることにより、プロセスオイルに適度に流動性を与えることができ、その結果オイルの取り扱いが容易となるとともに、ワックスが表面に析出することを好適に防止することができる。
脱れき工程では、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた減圧残渣油を脱れきすることにより脱れき油を得る。
ここで、原油を常圧蒸留するには、公知の常圧蒸留装置および蒸留条件で行うことができる。例えば、精製対象となるパラフィン系原油やナフテン系原油等からなる原油を、加熱炉等で約350℃程度に熱せられたのちに常圧蒸留塔に送り出し、常圧蒸留塔内部で石油蒸気とされ、冷却後、沸点の低いものから高いものへと順に分離する。本発明は常圧蒸留及び減圧蒸留により減圧残渣油を得るため、沸点が350℃以上の常圧残油を得るようにすればよい。
また、脱れき油の100℃における粘度を30〜50mm2/sとすることにより、最終的に得られるプロセスオイルの100℃における粘度を40〜70mm2/sとすることが容易となる。
第2の手段で必要とされる脱ろう工程では、前記した脱れき油のパラフィンろう成分を分離して脱ろう油を得る。
この脱ろう工程を行うことにより、得られるプロセスオイルに適度に流動性を与えることができ、取り扱いも容易となり、ワックスが表面に析出することも防止することができる。
水素化脱ろうとしては、例えば、ZSM−5触媒(エクソンモービル社製)を用いた水素化分解脱ろうを行うことが好ましい。
溶剤抽出工程では、第1の手段にあっては、前記した脱れき工程によって得られた脱れき油、第2の手段にあっては、前記した脱ろう工程によって得られた脱ろう油を極性溶剤を用いて溶剤抽出することにより、エキストラクトを得る。脱れき油や脱ろう油に対して溶剤抽出を行いエキストラクトとすることにより、PCAを3質量%未満に維持したプロセスオイルとしやすくなり、かつアニリン点を適度に調整することができ、ブリードの発生を抑制することができる。
なお、得率を脱れき油基準で50質量%以上となるようにエキストラクトを得るには、例えば、溶剤としてフルフラールを使用した場合にあっては、溶剤比を10〜12程度として、抽出温度を120〜150℃程度とすればよく、また、溶剤としてNMPを使用した場合にあっては、溶剤比を5〜8程度として、抽出温度を100〜120℃程度とすればよい。
なお、PCA含有量が低いと推定される、脱れき油基準で50質量%以上の得率で得られたエキストラクトを採用するようにしても全く問題はない。
一方、第1の手段にあっては、脱れき工程で得られた脱れき油及び多環芳香族炭化水素(PCA)含有量が3質量%未満の鉱油の少なくとも一つと、また、第2の手段にあっては、脱ろう工程で得られた脱ろう油及び多環芳香族炭化水素(PCA)含有量が3質量%未満の鉱油の少なくとも一つと混合した混合油をプロセスオイルとしてもよく、このようにエキストラクトと脱ろう油を混合した混合油をプロセスオイルとする場合にあっては、エキストラクトの含有量を40質量%以上100質量%未満の範囲内とすることが好ましく、50質量%以上100質量未満の範囲内であることが好ましい。プロセスオイルをエキストラクト100質量%からなるようにすることにより、前記した(a)〜(f)の性状を有するプロセスオイルを好適に提供できることとなる一方、エキストラクトと脱れき油等とを混合し、エキストラクトの含有量を40質量%以上100質量%未満の範囲内とした混合油も、同様に、前記(a)〜(f)の性状を有するプロセスオイルを効率よく提供することができる。
なお、エキストラクトは、得られた後に脱れき油や多環芳香族炭化水素(PCA)含有量が3質量%未満の鉱油)と混合しないのであれば、脱れき油基準で50質量%以上の得率で得られたエキストラクトを採用する。
そして、得られたエキストラクトは、脱ろう油や多環芳香族炭化水素(PCA)含有量が3質量%未満の鉱油(脱ろう油等)と混合しないのであれば(S6’の「NO」)、そのままプロセスオイルとして適用できる(S7’,プロセスオイルC)。また、エキストラクトと脱ろう油等と混合した混合油をプロセスオイルとしてもよい(S6’の「YES」,S81’,S8’,プロセスオイルD)。
なお、この第2の手段にあっても、エキストラクトは、得られた後に脱ろう油や多環芳香族炭化水素(PCA)含有量が3質量%未満の鉱油と混合しないのであれば、脱れき油基準で50質量%以上の得率で得られたエキストラクトを採用する。
更には、プロセスオイルは、熱可塑性樹脂の可塑剤や印刷インキ成分や、舗装用改質アスファルトの軟化剤としても使用することができる。
また、ゴム組成物を製造する場合には、本発明のプロセスオイルやゴム成分のほかに、カーボンブラック、シリカ等の補強剤、加硫剤、加硫促進剤、充填剤、ワックス類等の劣化防止剤、本発明のゴム配合油以外の軟化剤または可塑剤等の通常ゴム業界で用いられるものを適宜配合してもよい。
例えば、前記した態様では、(a)〜(f)の性状を有する本発明のプロセスオイルを製造する手段としては、図1に示す製造方法を用いた例を示したが、当該(a)〜(f)の性状を有するのであれば、プロセスオイルを得る手段は適宜調整しても問題はない。
(脱れき工程)
中東系原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた減圧蒸留残渣油を、プロパンを溶剤として脱れきして脱れき油Aを得た。脱れき油Aの得率は、減圧蒸留残渣油基準で38質量%であり、脱れき油の粘度は、100℃で37.6mm2/sであった。
この脱れき油Aを、メチルエチルケトンとトルエンの混合溶剤(混合比:メチルエチルケトン/トルエン=40/60)を用いて、流動点が12.5℃となるように溶剤脱ろうして脱ろう油Aを得た。脱ろう油Aの得率は、脱れき油基準で93質量%であった。
そして、この脱ろう油Aをフルフラールを溶剤として用いて、溶剤比は10、抽出温度は145℃として溶剤抽出して、エキストラクトAを脱れき油基準で62%で得た。このエキストラクトAを本発明である実施例1のプロセスオイルとした。
(脱れき工程)
実施例1と同様に、中東系原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた減圧蒸留残渣油を、プロパンを溶剤として脱れきして脱れき油Aを得た。
この脱れき油Aを、触媒としてNi−ZSM5を用いて、圧力を3MPa、LHSVを0.5/時間、水素/油比を450Nm3、脱ろう温度を335℃として流動点が20.0℃となるよう脱ろうして、脱ろう油Bを得た。脱ろう油Bの得率は、脱れき油基準で94質量%であった。
そして、この脱ろう油BをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶剤として、溶剤比を7、抽出温度を110℃として溶剤抽出して、エキストラクトBを脱れき油基準で64%得た。このエキストラクトBを本発明である実施例2のプロセスオイルとした。
前記した実施例2で得られた脱ろう油Bを、溶剤としてNMPを用いて、溶剤比を5、抽出温度を95℃として溶剤抽出して、エキストラクトDを脱れき油基準で48%得た。このエキストラクトDと、前記した実施例2で得られた脱ろう油Bとを、混合比としてエキストラクトD/脱ろう油B=50/50として混合し、本発明のプロセスオイルを得た。
前記した実施例2で得られた脱ろう油Bを、溶剤としてNMPを用いて、溶剤比を5、抽出温度を95℃として溶剤抽出して、エキストラクトDを脱れき油基準で48%得た。このエキストラクトDと、市販される多環芳香族炭化水素(PCA)含有量が1.8質量%の鉱油Xとを、混合比としてエキストラクトD/鉱油X=50/50として混合して、本発明のプロセスオイルを得た。
実施例1で得た脱れき油Aを、溶剤としてフルフラールを用いて、溶剤比を5、抽出温度を125℃で溶剤抽出してエキストラクトXを脱れき油基準で53%得た。このエキストラクトXを、本発明のプロセスオイルとした。
後記する比較例6で得られたエキストラクトEと、実施例1で得られた脱れき油A(後記する比較例3のプロセスオイルでもある)とを、混合比としてエキストラクトE/脱れき油A=50/50として混合して、本発明のプロセスオイルを得た。
前記した実施例1で得られた脱ろう油Aを、溶剤としてフルフラールを用いて、溶剤比を8、抽出温度を110℃として溶剤抽出して、エキストラクトCを脱れき油基準で49%得た。このエキストラクトCを比較例1のプロセスオイルとした。
実施例3と同様、前記した実施例2で得られた脱ろう油Bを、溶剤としてNMPを用いて、溶剤比を3、抽出温度を95℃として溶剤抽出して、エキストラクトDを脱れき油基準で48%得た。このエキストラクトDを比較例2のプロセスオイルとした。
実施例1で得た脱れき油Aを用いて、比較例3のプロセスオイルとした。
実施例1で得た脱ろう油Aを用いて、比較例4のプロセスオイルとした。
実施例2で得た脱ろう油Bを用いて、比較例5のプロセスオイルとした。
実施例1で得た脱れき油Aを、溶剤としてフルフラールを用いて、溶剤比を5、抽出温度を125℃で溶剤抽出してエキストラクトEを脱れき油基準で40%得た。このエキストラクトEを、比較例6のプロセスオイルとした。
前記の実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例6により得られたプロセスオイルを用いて、下記表3及び表4の処方で高スチレン系ゴム及び汎用スチレン系ゴムを製造した。
なお、汎用スチレンゴムのゴム物性値は、測定値を、参照である従来のアロマオイル(性状は表1及び表2参照)を用いて同様に製造した汎用スチレン系ゴムの測定値と比較して、アロマオイルの測定値を100としたときの相対値を用いて評価した。
特に、実施例4及び実施例6にあっては、採用したエキストラクトの得率は脱れき油基準で50質量%未満であるにもかかわらず、他の鉱油あるいは脱れき油と50/50の割合で混合することにより、性状(b)〜(f)を具備するプロセスオイルとなり、評価結果も問題のないものであった。
また、実施例1〜実施例6のプロセスオイルを適用した汎用スチレン系ゴムのゴム物性は、従来使用されているアロマ系プロセスオイルと比較しても相違なく、従来品と同様のゴム物性を維持できることが確認できた。
比較例4及び比較例5のプロセスオイルは、アニリン点が高いためブリード現象が認められた。
Claims (10)
- 原油の減圧蒸留残渣油を脱れきして脱れき油を得る脱れき工程と、
前記脱れき油を溶剤抽出してエキストラクトを、脱れき油基準で50質量%以上の得率で得る溶剤抽出工程を備え、
前記エキストラクトを、下記(a)〜(f)の性状を有するプロセスオイルとすることを特徴とするプロセスオイルの製造方法。
(a)多環芳香族炭化水素(PCA)含有量3質量%未満
(b)粘度(100℃)40〜70mm2/s
(c)アニリン点85〜95℃
(d)引火点250℃以上
(e)芳香族炭化水素の含有量40〜55質量%
(f)極性物質の含有量10〜15質量% - 原油の減圧蒸留残渣油を脱れきして脱れき油を得る脱れき工程と、
前記脱れき油を溶剤抽出してエキストラクトを得る溶剤抽出工程を備え、
前記溶剤抽出工程を得たエキストラクトと、前記脱れき工程で得た脱れき油を混合して得た混合油を、下記(a)〜(f)の性状を有するプロセスオイルとすることを特徴とするプロセスオイルの製造方法。
(a)多環芳香族炭化水素(PCA)含有量3質量%未満
(b)粘度(100℃)40〜70mm2/s
(c)アニリン点85〜95℃
(d)引火点250℃以上
(e)芳香族炭化水素の含有量40〜55質量%
(f)極性物質の含有量10〜15質量% - 原油の減圧蒸留残渣油を脱れきして脱れき油を得る脱れき工程と、
前記脱れき油を脱ろうして脱ろう油を得る脱ろう工程と、
前記脱ろう油を溶剤抽出してエキストラクトを、脱れき油基準で50質量%以上の得率で得る溶剤抽出工程を備え、
前記エキストラクトを、下記(a)〜(f)の性状を有するプロセスオイルとすることを特徴とするプロセスオイルの製造方法。
(a)多環芳香族炭化水素(PCA)含有量3質量%未満
(b)粘度(100℃)40〜70mm2/s
(c)アニリン点85〜95℃
(d)引火点250℃以上
(e)芳香族炭化水素の含有量40〜55質量%
(f)極性物質の含有量10〜15質量% - 原油の減圧蒸留残渣油を脱れきして脱れき油を得る脱れき工程と、
前記脱れき油を脱ろうして脱ろう油を得る脱ろう工程と、
前記脱ろう油を溶剤抽出してエキストラクトを得る溶剤抽出工程を備え、
前記溶剤抽出工程を得たエキストラクトと、前記脱ろう工程で得た脱ろう油及び多環芳香族炭化水素(PCA)含有量が3質量%未満の鉱油の少なくとも一つを混合して得た混合油を、下記(a)〜(f)の性状を有するプロセスオイルとすることを特徴とするプロセスオイルの製造方法。
(a)多環芳香族炭化水素(PCA)含有量3質量%未満
(b)粘度(100℃)40〜70mm2/s
(c)アニリン点85〜95℃
(d)引火点250℃以上
(e)芳香族炭化水素の含有量40〜55質量%
(f)極性物質の含有量10〜15質量% - 請求項2または請求項4に記載のプロセスオイルの製造方法において、
前記混合油中の前記エキストラクトの含有量が40質量%以上80質量%未満であることを特徴とするプロセスオイルの製造方法。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のプロセスオイルの製造方法において、
前記脱れき工程で得られた脱れき油の得率が減圧蒸留残渣油基準で30質量%以上であり、
前記脱れき油の粘度(100℃)が30〜50mm2/sであることを特徴とするプロセスオイルの製造方法。 - 請求項3ないし請求項6のいずれかに記載のプロセスオイルの製造方法において、
前記脱ろう工程で製造された脱ろう油の流動点が0〜25℃、脱ろう油の得率が脱れき油基準で90質量%以上であることを特徴とするプロセスオイルの製造方法。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のプロセスオイルの製造方法において、
前記溶剤抽出工程における抽出温度が80〜150℃であり、溶剤比が2.0〜12.0であることを特徴とするプロセスオイルの製造方法。 - 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のプロセスオイルの製造方法において、
前記プロセスオイルは、(g)流動点が40℃以下であることを特徴とするプロセスオイルの製造方法。 - 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のプロセスオイルの製造方法において、
前記プロセスオイルは、60倍のトルエンで希釈した際のASTM色相が8.0以下であることを特徴とするプロセスオイルの製造方法。
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