JP5390233B2 - ゴム配合油及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はゴム配合油及びその製造方法に関する。
高芳香族系鉱物油は、ゴム成分との親和性が高く、ゴム組成物の加工性や軟化性、及び経済性に優れるため、天然ゴムや合成ゴム等のゴム組成物の製造に使用されている。例えば、SBR等の合成ゴムには、その合成時に伸展油(エキステンダーオイル)が配合され、タイヤ等のゴム加工製品には、その加工性やゴム加工製品の品質を改善するために加工油(プロセスオイル)が配合されている(例えば、特許文献1)。
一方で、欧州においては、DMSO抽出分又は特定の発ガン性多環芳香族化合物を特定量以上含有するものを、タイヤ又はタイヤ部品の製造に使用してはならないとの規制が2010年より適用されることとなり、これらの規制に合致するゴム配合油が求められている。
このような規制に合致するゴム配合油として、特許文献1では、芳香族炭化水素含有量(C)が20〜35重量%、ガラス転移温度Tgが−55℃〜−30℃、動粘度(100℃)が20〜50mm/sでかつ多環芳香族成分量(PCA)が石油系プロセスオイル中の3重量%以下である石油系プロセスオイルが提案されている。ジエン系ゴムにこの石油系プロセスオイルを配合して得られるゴムをタイヤに用いると、低燃費性とグリップ性を両立でき、耐熱老化性や耐熱摩耗性を向上することができる。
ところで、通常、ゴム配合油としては、減圧蒸留留分や脱れき油の溶剤抽出エキストラクト等を含む高芳香族含有基油が知られている(例えば、特許文献2)。減圧蒸留留分の溶剤抽出エキストラクトは、一般に多環芳香族分が多く、上述の規制のために、そのままではゴム配合油として使用できない状況となりつつある。かかる状況に対応する技術として、芳香族化合物の水素添加処理による低芳香族化や、多環芳香族の希釈効果を狙って、エキストラクト収率を高める方法も知られている。ただし、これらの方法は、水素添加設備付加による経済性の悪化や、低芳香族化、又は副生する潤滑油基油の収率の悪化が懸念される。
一方で、ゴム配合油には、取り扱い性やハンドリング性を改善するため、危険物第4石油類の対象外となるような高い引火点(250℃以上)を有することが求められている。
また、ゴム配合油は、ゴムの低温特性(低温弾性率等)を改善するために、ガラス転移点を低くすることも要求されている。例えば、特許文献1及び3では、ガラス転移点がそれぞれ−55℃〜−30℃及び−45〜−20℃と低いゴム配合油が提案されている。
ところが、一般にガラス転移点と芳香族含有量とは相反する特性を示すことから、高芳香族分と低ガラス転移点とを両立することは一般に困難である。例えば、ASTM D 2007による芳香族分が50質量%以上であり、且つガラス転移点が−45℃以下のゴム配合油は得られていない(例えば、特許文献3の実施例、比較例参照)。また、ゴム配合油のガラス転移点を低くするほど、芳香族分だけでなく、引火点も低下してしまう傾向がある。
ここで、通常の未精製のエキストラクトを含む高芳香族含有基油は、流動点が高くガラス転移点も高い。また、減圧蒸留留分を極性溶剤抽出して得られるラフィネートを精製して得られる潤滑油基油は、流動点が低いものの、芳香族分が低くアニリン点が高いため、特にSBR等の製造に用いられるエキステンダーオイルへの使用は困難である。
特開2004−155959号公報 特許第3658155号公報 国際公開第97/35462号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、全芳香族分を高く維持しつつ、高い引火点と低いガラス転移点とを有するとともに、特定の多環芳香族化合物の含有量が十分に低減されたゴム配合油及びそのゴム配合油の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の潤滑油基油及び/又は特定のエキストラクト成分を含有するゴム配合油が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ASTM D 2007又はASTM D 2549による全芳香族分が50質量%以上、引火点が250℃以上、流動点とガラス転移点の差が45℃以上であり、ベンゾ(a)ピレンの含有量が1質量ppm以下、及び下記1)〜8)の特定芳香族化合物の含有量の合計が10質量ppm以下であるゴム配合油を提供する。
1)ベンゾ(a)ピレン(BaP)
2)ベンゾ(e)ピレン(BeP)
3)ベンゾ(a)アントラセン(BaA)
4)クリセン(CHR)
5)ベンゾ(b)フルオランセン(BbFA)
6)ベンゾ(j)フルオランセン(BjFA)
7)ベンゾ(k)フルオランセン(BkFA)
8)ジベンゾ(a,h)アントラセン(DBAhA)
上記本発明のゴム配合油は、全芳香族分を高く維持しつつ、高い引火点と低いガラス転移点を有するとともに、特定の多環芳香族化合物の含有量が十分に低減されている。
本発明のゴム配合油は、原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を極性溶剤抽出工程で分離して得られるラフィネート又はその精製油を含有し、且つ40℃における動粘度が60〜600mm/s、アニリン点が70℃以上、GC蒸留による10%点が400〜500℃、90%点が500〜600℃、ASTM D 3238による%Cが3〜20、ガラス転移点が−30℃以下である芳香族含有基油を含む(a)成分、及び常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を極性溶剤抽出工程で分離して得られるエキストラクト又はその精製油を含有し、且つ40℃における動粘度が200mm/s以上、アニリン点が90℃以下、15℃における密度が0.94g/cm以上、ASTM D 2549による全芳香族分が30質量%以上である芳香族含有基油を含む(b)成分のうち、少なくとも(b)成分を含んでおり、(a)成分の含有量が95質量%以下、及び(b)成分の含有量が5質量%以上であることが好ましい。
また、本発明において、上記極性溶剤抽出工程は、塔底温度が30〜90℃であり、塔頂温度が塔底温度よりも高い第1の抽出塔で、減圧蒸留留分と極性溶剤とを接触させて、第1のラフィネートと第1のエキストラクトとを得る第1の極性溶剤抽出工程と、塔底温度及び塔頂温度が第1の抽出塔よりもそれぞれ10℃以上高い第2の抽出塔で、第1のラフィネートと極性溶剤とを接触させて、第2のラフィネートと第2のエキストラクトとを得る第2の極性溶剤抽出工程と、を有しており、(b)成分は、第2のエキストラクト又はその精製油を含むことが好ましい。
また、本発明では、原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を極性溶剤抽出工程で分離して得られるラフィネート又はその精製油を含有し、且つ40℃における動粘度が60〜600mm/s、アニリン点が70℃以上、GC蒸留による10%点が400〜500℃、90%点が500〜600℃、ASTM D 3238による%Cが3〜20、ガラス転移点が−30℃以下である芳香族含有基油を含む(a)成分、及び常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を極性溶剤抽出工程で分離して得られるエキストラクト又はその精製油を含有し、且つ40℃における動粘度が200mm/s以上、アニリン点が90℃以下、15℃における密度が0.94g/cm以上、ASTM D 2549による全芳香族分が30質量%以上である芳香族含有基油を含む(b)成分、を配合する配合工程を有しており、ASTM D 2007又はASTM D 2549による全芳香族分が50質量%以上、引火点が250℃以上、流動点とガラス転移点の差が45℃以上、ベンゾ(a)ピレンの含有量が1質量ppm以下、及び下記1)〜8)の特定芳香族化合物の含有量の合計が10質量ppm以下であり、且つ、(a)成分の含有量が0を超えて95質量%以下及び(b)成分の含有量が5質量%以上100質量%未満であるゴム配合油の製造方法を提供する。
1)ベンゾ(a)ピレン(BaP)
2)ベンゾ(e)ピレン(BeP)
3)ベンゾ(a)アントラセン(BaA)
4)クリセン(CHR)
5)ベンゾ(b)フルオランセン(BbFA)
6)ベンゾ(j)フルオランセン(BjFA)
7)ベンゾ(k)フルオランセン(BkFA)
8)ジベンゾ(a,h)アントラセン(DBAhA)
上記本発明の製造方法によって得られるゴム配合油は、全芳香族分を高く維持しつつ、高い引火点と低いガラス転移点を有するとともに、特定の多環芳香族化合物の含有量が十分に低減されている。また、本発明の(b)成分を含むゴム配合油は、流動点とガラス転移点との差が45℃以上、特に60℃以上と特異的であるため、たとえ全芳香族分が50質量%以上であり、流動点が15℃以上であっても、ガラス転移点が−45℃以下のゴム配合油を得ることができる。また、(b)成分に脱ろう処理や水素添加処理などの精製を施さなくてもよいため、経済性にも優れる。
本発明によれば、全芳香族分を高く維持しつつ、高い引火点と低いガラス転移点とを有するとともに、特定の多環芳香族化合物の含有量が十分に低減されたゴム配合油及びそのゴム配合油の製造方法を提供することができる。
本発明のゴム配合油は、芳香族の含有量が高いことから、スチレン−ブタジエン系ゴム等のゴム又はゴム材料に対して相溶性が極めて高い。また、例えばガラス転移点が−57〜−44℃程度のスチレン−ブタジエン系ゴム等のゴム又はゴム材料への伸展油又は加工油として用いると、低温特性に優れたゴムを製造することができる。また、引火点が高く、発ガン性のある多環芳香族化合物の含有量が十分に低減されていることから、安全性も高い。特に、特許文献1のように、芳香族炭化水素含有量(C)が20〜35質量%(ASTM D3238による%Cが20〜35と同義)、ガラス転移温度Tgが−55℃〜−30℃、動粘度(100℃)が20〜50mm/sのゴム配合油とし、これを例えば天然ゴム(NR)、各種ブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(BR)及びこれらの任意ブレンドゴム等のジエン系ゴム、特にスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを少なくとも1種類含むジエン系ゴムに配合し、それによって得られるゴムをタイヤに用いることにより、低燃費性とグリップ性を両立することが可能となり、耐熱老化性や耐熱摩耗性をも向上することができる。
本発明に係るゴム配合油の製造方法の好適な実施形態を示す工程図である。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。本実施形態のゴム配合油は、ゴムとの親和性、軟化性、引火点及び安全性に優れ且つ、低燃費性、グリップ性、耐熱老化性及び耐熱摩耗性などのゴム組成物の諸特性を高水準なものとするために、以下の性状を有することが好ましい。
ASTM D2007(クレイゲル法)による芳香族分:通常50〜90質量%、好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは57質量%以上、特に好ましくは60質量%以上、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
ASTM D2007(クレイゲル法)による飽和分:通常5〜50質量%、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
ASTM D2007(クレイゲル法)による極性化合物分:通常1〜20質量%、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
ASTM D2007(クレイゲル法)による飽和分/極性化合物分の比率:通常0.25〜50、好ましくは1以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
ベンゾ(a)ピレン(BaP)の含有量は1質量ppm以下であり、以下に示す1)〜8)の特定芳香族化合物(PAH)の合計含有量が10質量ppm以下である。これにより発ガン性の懸念が十分に低減された安全性のより高いゴム配合油とすることができる。
1)ベンゾ(a)ピレン(BaP)
2)ベンゾ(e)ピレン(BeP)
3)ベンゾ(a)アントラセン(BaA)
4)クリセン(CHR)
5)ベンゾ(b)フルオランセン(BbFA)
6)ベンゾ(j)フルオランセン(BjFA)
7)ベンゾ(k)フルオランセン(BkFA)
8)ジベンゾ(a,h)アントラセン(DBAhA)
本明細書におけるベンゾ(a)ピレンとは、上記1)のベンゾ(a)ピレン(BaP)を意味し、特定芳香族化合物とは、上記1)〜8)の芳香族化合物(PAH)を意味する。これらの特定芳香族化合物は、対象成分を分離・濃縮した後、内部標準物質を添加した試料を調製して、GC−MS分析により定量分析することができる。
引火点は250℃以上、好ましくは260℃以上、より好ましくは280℃以上、好ましくは350℃以下、より好ましくは320℃以下、さらに好ましくは310℃以下である。なお、本明細書における引火点は、JIS K2265に準拠して測定されるクリーブランド開放式(COC)による引火点を意味する。
流動点とガラス転移点の差は、45℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは65℃以上、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。
流動点は、好ましくは30℃以下、より好ましくは25℃以下、好ましくは−10℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは+10℃以上、特に好ましくは+12.5℃以上である。なお、明細書における流動点とは、JIS K2269に準拠して測定される流動点を意味する。
ガラス転移点(Tg)は、好ましくは−30℃以下、より好ましくは−40℃以下、さらに好ましくは−45℃以下、特に好ましくは−48℃以下、特により好ましくは−50℃以下であり、好ましくは−80℃以上、より好ましくは−60℃以上、さらに好ましくは−55℃以上である。
本明細書における芳香族含有基油の「ガラス転移点(Tg)」とは、DSC(示差走査熱量計)にて一定の昇温速度(10℃/分)で昇温した際に測定される、ガラス転移領域における熱量変化ピークから得られたガラス転移点を意味する。初期温度は、通常予期ガラス転移点より30℃〜50℃程度又はそれより低い温度とし、当該初期温度で一定時間保持した後、昇温を開始する。本実施形態においては、具体的には、以下の条件で測定することができる。
装置:ティー・エイ・インスツルメント社製熱分析システムDSC Q100
初期温度:−90℃、10分間保持
昇温速度:10℃/分
終了温度:50℃、10分間保持
なお、熱量変化ピークからガラス転移点を算出する方法は、JIS K 7121に記載された方法で決定することができる。
15℃における密度は、通常0.9g/cm〜1.0g/cm、好ましくは0.94g/cm以上、より好ましくは0.945g/cm以上であり、好ましくは0.98g/cm以下、より好ましくは0.96g/cm以下である。
40℃における動粘度は、通常200〜3000mm/s、好ましくは300mm/s以上、より好ましくは400mm/s、さらに好ましくは500mm/s以上であり、好ましくは2000mm/s以下、より好ましくは1000mm/s以下、さらに好ましくは800mm/s以下である。なお、本明細書でいう各温度における動粘度は、JIS K2283に準拠して測定される各温度における動粘度を意味する。
100℃における動粘度は、通常10〜100mm/s、より好ましくは15mm/s以上、さらに好ましくは20mm/s以上であり、好ましくは60mm/s以下、より好ましくは50mm/s、さらに好ましくは32mm/s以下である。
アニリン点は、通常50〜100℃、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である。なお、本明細書におけるアニリン点とは、JIS K 2256−1985に準拠して測定されたアニリン点を意味する。
窒素分は、通常0.01〜0.2質量%、好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上、好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。なお、本明細書における窒素分はJIS K2609に準拠して測定された化学発光法による窒素分を意味する。
%Cは、通常5〜30、好ましくは10以上、より好ましくは14以上であり、好ましくは25以下、より好ましくは20以下である。%Cは、通常10〜40、好ましくは17以上、より好ましくは20以上であり、好ましくは35以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは25以下である。%Cは、通常30〜85、好ましくは40以上、より好ましくは50以上であり、好ましくは73以下、より好ましくは66以下である。なお、本明細書における%C、%C及び%Cは、特に明示している場合を除いて、それぞれASTM D 3238−85に準拠した方法(n−d−M環分析)により求められる、パラフィン炭素数の全炭素数に対する百分率、ナフテン炭素数の全炭素数に対する百分率、及び芳香族炭素数の全炭素数に対する百分率を意味する。
全芳香族分は、通常30〜90質量%、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。なお、本明細書における全芳香族分とは、特に明示している場合を除いて、ASTM D 2007又はASTM D 2549に準拠して測定された芳香族留分(aromatics fraction)の含有量を意味する。
本実施形態のゴム配合油は、原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を極性溶剤抽出工程で分離して得られるラフィネート又はその精製油を含んでおり、40℃における動粘度が60〜600mm/s、アニリン点が70℃以上、GC蒸留による10%点が400〜500℃、90%点が500〜600℃、ASTM D 3238による%Cが3〜20、ガラス転移点が−30℃以下の芳香族含有基油を含む(a)成分、及び常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を極性溶剤抽出工程で分離して得られるエキストラクト又はその精製油を含んでおり、40℃における動粘度が200mm/s以上、アニリン点が90℃以下、15℃における密度が0.94g/cm以上、ASTM D 2549による全芳香族分が30質量%以上の芳香族含有基油を含む(b)成分、を含有する。以下、(a)成分と(b)成分について説明する。
上記(a)成分は、原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を、塔底温度が30〜90℃、塔頂温度が塔底温度より高い第1の抽出塔で極性溶剤と接触させて第1のラフィネートと第1のエキストラクトを得る第1の極性溶剤抽出工程と、塔底温度及び塔頂温度が第1の抽出塔よりもそれぞれ10℃以上高い第2の抽出塔で、当該第1のラフィネートを極性溶剤と接触させて、第2のラフィネートと15℃における密度が0.94g/cm以上、全芳香族分が30質量%以上の第2のエキストラクトを得る第2の極性溶剤抽出工程とによって得られる第2のラフィネートを、精製処理して得られる全芳香族分が30質量%以上の芳香族含有基油であることが好ましい。
上記(a)成分は、第2のラフィネートを脱ろう処理を含む精製処理を行って得られた芳香族含有基油であって、40℃における動粘度が60〜120mm/s、GC蒸留による10%点が400〜460℃、90%点が500〜540℃である芳香族含有基油(a1)及び/又は40℃における動粘度が120〜250mm/s、GC蒸留による10%点が450〜520℃、90%点が540〜600℃である芳香族含有基油(a2)であることが好ましい。
また、上記(b)成分は、40℃における動粘度が200mm/s以上、引火点が250℃以上、流動点が30℃以下、アニリン点が90℃以下、ガラス転移点が−30℃以下であり、流動点とガラス転移点との差が45℃以上である芳香族含有基油であることが好ましい。
上記(b)成分は、40℃における動粘度が200mm/s以上500mm/s未満、ガラス転移点が−60〜−40℃の芳香族含有基油(b1)及び/又は40℃における動粘度が500mm/s以上、ガラス転移点が−50〜−30℃の芳香族含有基油(b2)であることが好ましい。
上述の(a)成分及び(b)成分の好ましい性状について詳述する。
(a)成分の流動点は好ましくは−10℃以下であり、−20℃未満であってもよい。ただし、ゴム配合油の製造コストの観点から、(a)成分の流動点は、より好ましくは−10〜−20℃である。流動点が−10℃以下の(a)成分を用いることで、一層低いガラス転移点を有するゴム配合油を容易に得ることができる。
(a)成分のガラス転移点は、好ましくは−30℃以下、より好ましくは−50℃以下、好ましくは−100℃以上、より好ましくは−80℃以上、さらに好ましくは−70℃以上である。ガラス転移点が高過ぎると、ガラス転移点の低いゴム配合油を得難くなる傾向があり、ガラス転移点が低過ぎると、脱ろう条件を過度に厳しくする必要があるため製造コストが上昇する傾向がある。
(a)成分のアニリン点は、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。ゴムとの相溶性に優れ且つゴム組成物の特性を維持するために好適なアニリン点を有するゴム配合油を製造し易くなる観点から、好ましくは120℃以下である。
(a)成分の組成として、%Cは、好ましくは3〜20、より好ましくは5〜10であり、%Cは好ましくは15〜35、より好ましくは20〜30である。また、(a)成分における%Cは、%C、%C次第で決定され、好ましくは45〜82、より好ましくは60〜75、さらに好ましくは65〜70である。組成が上記範囲の(a)成分を用いることで、ゴムとの相溶性に優れ且つゴム組成物の特性を維持するために好適な組成を有するゴム配合油を容易に製造することができる。
(a)成分の窒素分は、好ましくは0.01質量%以下であり、より好ましくは0.008質量%以下であり、0.001質量%未満でもよい。ただし、精製度の低い潤滑油基油を使用すればゴム配合油の製造コストを低減できるため、経済性の観点から、好ましくは0.002質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上である。
(a)成分の引火点は、ゴム配合油の引火点を250℃以上として危険物第4石油類の対象外とする観点から、250℃以上であり、好ましくは255℃以上である。なお、(b)成分の引火点も高くすることも可能であるため、(a)成分の引火点を必要以上に高くする必要はなく、好ましくは290℃以下、より好ましくは280℃以下である。
(a)成分のGC蒸留における90%点は500℃以上であり、好ましくは500〜600℃である。(a)成分の1つの態様である(a1)成分としては、510〜550℃のもの、別の態様である(a2)成分としては550〜590℃のものを使用することができる。また、(a)成分のGC蒸留における10%点に特に制限はなく、ゴム配合油の引火点を250℃以上として危険物第4石油類の対象外とすることができる点で、好ましくは400〜510℃、好ましくは440〜500℃である。(a1)成分としては、GC蒸留における10%点が440〜470℃のもの、(a2)成分としては、GC蒸留における10%点が450〜500℃のものを使用することができる。
(a)成分は、上述の1)ベンゾ(a)ピレン(BaP)の含有量が1質量ppm以下であることが好ましく、上述した1)〜8)の特定芳香族化合物(PAH)の含有量の合計が10質量ppm以下であることが好ましい。これにより発ガン性が十分に低減された安全性のより高いゴム配合油を製造することができる。
(a)成分の40℃における動粘度は、好ましくは60〜600mm/s、より好ましくは60〜300mm/s、さらに好ましくは70〜200mm/sである。
40℃における動粘度が2000mm/s未満の(b)成分を用いる場合、好適な動粘度のゴム配合油を得るために、40℃における動粘度が好ましくは50〜500mm/s、より好ましくは60〜80mm/sの(a1)成分及び/又は120〜250mm/sの(a2)成分を用いることが好ましい。
(a)成分の全芳香族分に、特に制限はなく、通常20質量%以上、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。(a)成分の全芳香族分が20質量%未満であると、芳香族性の高いゴム配合油を得難くなる傾向がある。一方、(a)成分の全芳香族分が50質量%を超えると、潤滑油基油としての使用する場合の酸化安定性が低下し、潤滑油基油及びゴム配合油用途に兼用することが難しくなり、石油精製プロセス全体の経済性が低下する傾向がある。
(b)成分のアニリン点は、好ましくは40〜90℃であり、より好ましくは45〜70℃、さらに好ましくは50〜65℃である。アニリン点がこの範囲であれば、アニリン点の高い潤滑油基油を配合しても、ゴムとの相溶性に優れ且つゴム組成物の特性を維持するために好適なアニリン点を有するゴム配合油を容易に製造することができる。
(b)成分の組成として、%Cは、好ましくは25〜45であり、より好ましくは30〜40であり、%Cは好ましくは5〜20、より好ましくは6〜12である。また、%Cは、%C、%C次第で決定され、好ましくは35〜70、より好ましくは48〜64である。(b)成分の組成が上記範囲であれば、パラフィン性の高い(a)成分を配合しても、ゴムとの相溶性に優れ且つゴム組成物の特性を維持するために好適な組成を有するゴム配合油を容易に製造することができる。
(b)成分の窒素分は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.15質量%以上である。(b)成分の窒素分が高いことは、極性溶剤抽出工程によって得られるラフィネートの窒素分が低くなり、潤滑油基油の精製度が上がることになる。したがって、窒素分の高い(b)成分をゴム配合油として利用することは、減圧蒸留留分全体を有効に利用できる点で好ましい。
(b)成分の流動点は、好ましくは30℃以下であり、より好ましくは25℃以下であり、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上、特に好ましくは20℃以上である。
(b)成分は、流動点の高い未精製のエキストラクトであってもよく、ガラス転移点が低いものであることが好ましい。(b)成分の流動点とガラス転移点との差(流動点−ガラス転移点)は、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上、特に好ましくは60℃以上、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。
(b)成分のガラス転移点は、好ましくは−30℃以下、好ましくは−60℃以上である。(b)成分の1つ態様である(b1)成分のガラス転移点は−60〜−40℃であり、別の態様である(b2)成分のガラス転移点は−50〜−30℃である。
また、(b)成分は、上述の1)ベンゾ(a)ピレン(BaP)の含有量が1質量ppm以下であることが好ましく、上述の1)〜8)の特定芳香族化合物(PAH)の含有量の合計が10質量ppm以下であることが好ましい。これにより発ガン性が十分に低減された安全性のより高いゴム配合油を製造することができる。
また、(b)成分の引火点に特に制限はないが、ゴム配合油の引火点を250℃以上として危険物第4石油類の対象外にするため、好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上、さらに好ましくは290℃以上、特に好ましくは300℃以上である。
(b)成分の全芳香族分は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上、特に好ましくは60質量%以上、特により好ましくは65質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。
(b)成分の全芳香族分が50質量%未満であると、芳香族性の高いゴム配合油を得難くなる傾向があり、全芳香族分が90質量%を超えると、エキストラクトの収率が悪化するため、経済性の観点から好ましくない。
次に、本発明のゴム配合油の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態では、(a)成分及び(b)成分を製造する、第1の極製法剤抽出工程及び第2の極製法剤抽出工程と、製造した(a)成分及び(b)成分を配合する配合工程とを有する。まず、(a)成分及び(b)成分を製造する第1の極製法剤抽出工程及び第2の極製法剤抽出工程について説明する。
(第1の極性溶剤抽出工程)
図1は、本実施形態にゴム配合油の製造方法における第1の極性溶剤抽出工程及び第2の極性溶剤抽出工程を説明するための工程図である。第1の極性溶剤抽出工程では、まず、原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を、塔底温度が30〜90℃、塔頂温度が塔底温度よりも高い第1の抽出塔30で、極性溶剤と向流接触させて、第1のラフィネートと第1のエキストラクトとに分離する。極性溶剤は、配管34から第1の抽出塔30に供給される。一方、減圧蒸留留分は、配管16を通って第1の抽出塔30に供給される。
減圧蒸留留分とは、通常の原油の常圧蒸留残渣油を減圧蒸留装置に導入して得られる留分である。減圧蒸留留分は、特に限定されるものではなく、軽質潤滑油留分、中質潤滑油留分、重質潤滑油留分、又はこれらの混合物、或いは減圧蒸留留分の全てを使用することができる。最終的に得られる芳香族含有基油の引火点を高くするとともに、粘度が高くなり過ぎず適正な粘度範囲の芳香族含有基油を得る観点から、例えば200〜1500N、好ましくは250〜1200N、より好ましくは300〜600N又は600〜1200Nの潤滑油留分を用いる。なお、本明細書における「N」とは、減圧蒸留留分から得られるニュートラルオイルであることを意味し、例えば300Nであれば、100°F(37.8℃)における粘度が300セイボルトユニバーサル秒(SUS)であることを意味する。
本実施形態では、(a)成分が、200〜1500N、好ましくは250〜600N又は600〜1200N、より好ましくは300〜450N又は700〜1000Nの粘度となるように、減圧蒸留留分を選択することが好ましい。
第1の極性溶剤抽出工程で用いる第1の抽出塔30の塔底温度は30〜90℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは55〜65℃である。第1の抽出塔30の塔頂温度は、塔底温度より高く、好ましくは10〜50℃高く、より好ましくは15〜40℃高く、さらに好ましくは25〜35℃高くすることが好ましい。具体的には、塔頂温度は、好ましくは60〜120℃、より好ましくは80〜100℃、さらに好ましくは85〜95℃である。
第1の極性溶剤抽出工程における溶剤比は、好ましくは0.5〜3、より好ましくは0.7〜2、さらに好ましくは1〜1.5である。なお、本明細書における「溶剤比」とは、原料に対する溶剤の容量比(溶剤容量/原料容量)を意味する。
上述の条件で、第1の抽出塔30の内部において極性溶剤と減圧蒸留留分とが向流接触し、第1の抽出塔30の塔底部から配管38を通って第1のエキストラクトと極性溶剤との混合物が得られ、塔頂部から配管36を通って第1のラフィネートと極性溶剤との混合物が得られる。なお、第1のエキストラクトと極性溶剤との混合物は、図示しない分留塔において、第1のエキストラクトと極性溶剤とに分留される。また、第1のラフィネートと極性溶剤との混合物は、図示しない分留塔において、第1のラフィネートと極性溶剤とに分留されてもよく、分留されずにそのまま第2の抽出塔40に導入されてもよい。
図示しない分留塔において、第1のエキストラクト及び第1のラフィネートと分留された極性溶剤は、回収され再利用される。極性溶剤としては、フルフラール、フェノール、クレゾール、スルフォラン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド、フォルミルモルフォリン、グリコール系溶剤等の極性溶剤が挙げられるが、本実施形態においては一般的な潤滑油基油の溶剤抽出設備をそのまま利用できる点で、フルフラールを用いることが好ましい。
上述の通り、第1の極性溶剤抽出工程では、減圧蒸留留分が第1のラフィネートと第1のエキストラクトとに分離されることとなる。第1の極性溶剤抽出工程で得られる第1のラフィネートの収率は、減圧蒸留留分を基準として、好ましくは50〜90容量%、より好ましくは60〜85容量%、さらに好ましくは70〜80容量%である。第1の極性溶剤抽出工程で得られる第1のエキストラクトの収率は、減圧蒸留留分を基準として、好ましくは10〜50容量%、より好ましくは15〜40容量%、さらに好ましくは20〜30容量%である。
第1の極性溶剤抽出工程によって、第1のエキストラクト側に後述する特定芳香族化合物(PAH)が抽出されるため、後段の第2のエキストラクト、第2のラフィネート、及びこれらから得られる芳香族含有基油の特定芳香族化合物(PAH)の含有量を十分に低減することができる。なお、第1のエキストラクトは、特定芳香族化合物(PAH)を含むため、潤滑油基油やゴム配合油に適さない傾向がある。したがって、この第1のエキストラクトの収率を例えば30容量%以下とすることによって、潤滑油基油やゴム配合油又はその基材として有用な第2のラフィネート及び第2のエキストラクトを高い収率で得ることができる。例えば、減圧蒸留留分を基準として、第2のラフィネートと第2のエキストラクトの合計を70容量%以上とすることも可能であり、本実施形態の芳香族含有基油の製造方法は、資源の有効活用の点からも極めて有用であるといえる。
第2の極性溶剤抽出工程では、第1の極性溶剤抽出工程で得られた第1のラフィネート又は第1のラフィネートと極性溶剤との混合物及び極性溶剤を、配管36及び配管44から第2の抽出塔40にそれぞれ導入し、第2の抽出塔40において、第1のラフィネートと極性溶剤とを接触させる。第2の抽出塔40は、第1の抽出塔30よりも、塔底温度及び塔頂温度がそれぞれ10℃以上高くなっている。
第2の極性溶剤抽出工程に用いられる第2の抽出塔40の塔底温度は、第1の極性溶剤抽出工程における第1の抽出塔30の塔底温度よりも10℃以上高く、好ましくは10〜50℃高く、より好ましくは15〜40℃高く、さらに好ましくは20〜30℃高くする。具体的には、第2の抽出塔40の塔底温度は、好ましくは40〜140℃、より好ましくは60〜100℃、さらに好ましくは80〜95℃である。
また、第2の抽出塔40の塔頂温度は、塔底温度より好ましくは10〜50℃高く、より好ましくは15〜40℃高く、さらに好ましくは25〜35℃高くする。具体的には、第2の抽出塔40の塔頂温度は、好ましくは50〜150℃、より好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは110〜130℃である。
第2の極性溶剤抽出工程における溶剤比は、好ましくは1〜4、より好ましくは1.3〜3.5、さらに好ましくは1.5〜3.3である。第2の極性溶剤抽出工程における溶剤比は、第1の極性溶剤抽出工程における溶剤比の1.5倍以上とすることが好ましい。
上述の条件で、第2の抽出塔40の内部において極性溶剤と第1のラフィネートとが向流接触し、第2の抽出塔40の塔底部から配管48を通って第2のエキストラクトと極性溶剤との混合物が得られ、塔頂部から配管46を通って第2のラフィネートと極性溶剤との混合物が得られる。なお、第2のエキストラクトと極性溶剤との混合物は、図示しない分留塔において、第2のエキストラクトと極性溶剤とに分留される。また、第2のラフィネートと極性溶剤との混合物は、図示しない分留塔において、第2のラフィネートと極性溶剤とに分留される。図示しない分留塔において、第2のエキストラクト及び第2のラフィネートから分離された極性溶剤は、回収され再利用される。
上述の通り、第2の極性溶剤抽出工程では、第1のラフィネートが第2のラフィネートと第2のエキストラクトとに分離されることとなる。第2の極性溶剤抽出工程で得られる第2のラフィネートの収率は、第2の抽出塔40に導入される第1のラフィネートを基準として、好ましくは50〜90容量%、より好ましくは60〜85容量%、さらに好ましくは70〜85容量%である。第2の極性溶剤抽出工程で得られる第2のエキストラクトの収率は、好ましくは10〜50容量%、より好ましくは15〜40容量%、さらに好ましくは15〜30容量%である。
なお、本実施形態において、第1及び第2の抽出塔として別々の抽出塔を用いる必要はなく、一つの抽出塔を、第1の抽出塔30及び第2の抽出塔40として兼用してもよい。この場合、第1の極性溶剤抽出工程で得られたラフィネート(極性溶剤を除去したものが好ましい)を一旦タンク等に貯蔵しておき、抽出条件を第2の極性溶剤抽出工程の条件に調整した第2の抽出塔40に導入して、第2の極性溶剤抽出工程を行えばよい。こうすることにより、過剰な設備投資をすることなく本実施形態の(a)及び(b)成分を得ることができる。
第2の極性溶剤抽出工程によって、第1のラフィネートと、15℃における密度が0.94g/cm以上であり、全芳香族分が30質量%以上である第2のエキストラクトとを得ることができる。
次に、上記第2のラフィネートに、脱ろう装置50による脱ろう処理及び水素化仕上げ装置60による水素化仕上げ処理からなる精製処理を施すことによって、精製油である潤滑油基油を得ることができる。このようにして得られた芳香族含有基油(潤滑油基油)を(a)成分として用いることができる。なお、(a)成分は、上述のようにして得られる芳香族含有基油(潤滑油基油)を2種以上混合したものであってもよい。
このようにして得られた(a)成分は、全芳香族分が好ましくは30質量%以上、より好ましくは30〜60質量%である。(a)成分は、好ましくは200〜1500N、より好ましくは(a1)250N以上600N未満及び/又は(a2)600〜1200N、さらに好ましくは(a1)300〜450N及び/又は(a2)700〜1000Nである。
500Nの芳香族含有基油を得るための減圧蒸留留分には、上述の8種の特定芳香族化合物(PAH)を多く含む可能性があり、また、粘度が異なる高引火点の芳香族含有基油を同時に2種以上得ることが困難な傾向にある。このため、(a1)300〜450N及び/又は(a2)700〜1000Nの芳香族含有基油を得るための減圧蒸留留分を用いて、芳香族含有基油を得ることが好ましい。
(a)成分は、以下の性状を有していることが好ましい。
・流動点:好ましくは−5℃以下、より好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−20℃以上。
・ガラス転移点:好ましくは−30℃以下、より好ましくは−40℃以下、さらに好ましくは−50℃以下、好ましくは−60℃以上、より好ましくは−100℃以上、さらに好ましくは−80℃以上、特に好ましくは−70℃以上。
・アニリン点:好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは105℃以上、好ましくは120℃以下。
・粘度指数:好ましくは90以上、より好ましくは95以上、好ましくは120以下、より好ましくは105以下。
・引火点:好ましくは250℃以上、好ましくは310℃以下
・ASTM D 3238による基油組成:%Cは好ましくは60〜70、%Cは好ましくは20〜30、%Cは好ましくは5〜10。
・ベンゾ(a)ピレン含有量:好ましくは1質量ppm以下。
・特定芳香族化合物(PAH)の合計含有量:好ましくは10質量ppm以下。
(a1)成分である300N以上且つ600N未満、好ましくは300〜450Nの芳香族含有基油としては、上述の性状に加え、以下の性状を有していることが好ましい。
・40℃における動粘度:好ましくは60〜120mm/s、より好ましくは65〜90mm/s、さらに好ましくは70〜80mm/s。
・GC蒸留による10%点:好ましくは400〜460℃、より好ましくは430〜450℃。
・GC蒸留による90%点:好ましくは500〜540℃、より好ましくは510〜530℃。
・全芳香族分(ASTM D 2549):好ましくは30質量%以上、より好ましくは30〜50質量%。
(a2)成分である600〜1200N、好ましくは700〜1000Nの芳香族含有基油は、上述の性状に加え、以下の性状を有していることが好ましい。
・40℃における動粘度:好ましくは120〜250mm/s、より好ましくは150〜200mm/s。
・GC蒸留による10%点:好ましくは450〜520℃、より好ましくは460〜500℃。
・GC蒸留による90%点:好ましくは540〜600℃、より好ましくは560〜590℃。
・全芳香族分(ASTM D 2549):好ましくは30質量%以上、より好ましくは35〜60質量%、さらに好ましくは40〜50質量%。
(b)成分としては、上記第1及び第2の極性溶剤抽出工程を施すことによって得られる、第2のエキストラクト又はその精製油である芳香族含有基油を用いることができる。なお、(b)成分は、上述のようにして得られる第2のエキストラクト又はその精製油を2種以上混合したものであってもよい。
第2のエキストラクトの15℃における密度は、好ましくは0.94g/cm以上、より好ましくは0.95〜1g/cm、さらに好ましくは0.95〜0.98g/cmである。また、全芳香族分は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、好ましくは90質量%以下である。
第2のエキストラクトは、ASTM D2140により測定される%Cが、好ましくは15〜35、より好ましくは20〜33、さらに好ましくは22〜32である。
この第2のエキストラクトは、以下の性状を有していることが好ましい。
・引火点:好ましくは250℃以上、より好ましくは260℃以上、好ましくは310℃以下。
・流動点:好ましくは30℃以下、より好ましくは10〜30℃。
・アニリン点:好ましくは90℃以下、より好ましくは40〜80℃、さらに好ましくは50〜70℃。
・ガラス転移点:好ましくは−30℃以下、より好ましくは−40℃以下、さらに好ましくは−60℃以上。
・流動点とガラス転移点との差(流動点−ガラス転移点):好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下。
・ベンゾ(a)ピレン含有量:好ましくは1質量ppm以下。
・特定芳香族化合物(PAH)の合計含有量:好ましくは10質量ppm以下。
(b)成分は、40℃における動粘度が200mm/s以上500mm/s未満、ガラス転移点が−60〜−40℃の芳香族含有基油(b1)及び/又は40℃における動粘度が500mm/s以上、ガラス転移点が−50〜−30℃の芳香族含有基油(b2)であることが好ましい。
(b1)成分としては、上述の性状に加え、以下の性状を有していることが好ましい。
・40℃における動粘度:好ましくは200mm/s以上500mm/s未満、より好ましくは400mm/s以下、さらに好ましくは350mm/s以下、特に好ましくは300mm/s以下。
・ガラス転移点:好ましくは−60〜−40℃、より好ましくは−55〜−48℃。
・流動点:好ましくは0〜30℃、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上。
・流動点とガラス転移点との差(流動点−ガラス転移点):好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、さらに好ましくは70℃以上、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下。
・全芳香族分:50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、好ましくは90質量%以下。
(b2)成分としては、上述の性状に加え、以下の性状を有していることが好ましい。
・40℃における動粘度:好ましくは500mm/s以上、より好ましくは800mm/s以上、さらに好ましくは1000mm/s以上、好ましくは5000mm/s以下、より好ましくは2000mm/s以下、さらに好ましくは1500mm/s以下。
・ガラス転移点:好ましくは−50〜−30℃、より好ましくは−45〜−35℃。
・全芳香族分:50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、好ましくは90質量%以下。
上述の第1及び第2の極性溶剤抽出工程によって、(a)成分として200〜1500Nの芳香族含有基油を得る場合、この留分に対応する減圧蒸留留分を原料として用いることより、同時に(b)成分として40℃における動粘度が、好ましくは200mm/s以上、好ましくは250mm/s以上、好ましくは5000mm/s以下、より好ましくは2000mm/s以下のものを得ることができる。なお、(a)成分及び(b)成分は、蒸留により適宜所望の留分を分取したものであってもよい。この場合、原料である減圧蒸留留分の粘度は特に限定されない。
ただし、所望の(a)成分及び所望の(b)成分を連産品として得ることが好ましいことから、(a)成分及び(b)成分の性状に見合った減圧蒸留留分を選択し、同一の減圧蒸留留分を出発原料にすることが好ましい。
例えば、(a1)成分として250N以上600N未満の芳香族含有基油を得る場合には、この留分に対応する減圧蒸留留分を原料として用いる。そして、上記第1及び第2の極性溶剤抽出工程により、(a1)成分として250N以上600N未満の芳香族含有基油を得るとともに、(b1)成分として40℃における動粘度が200mm/s以上500mm/s未満、好ましくは250〜350mm/s、さらに好ましくは250〜300mm/sのエキストラクト(芳香族含有基油)を得ることが好ましい。
また、例えば、(a2)成分として600〜1200Nの潤滑油基油を得る場合には、この留分に対応する減圧蒸留留分を原料として用いる。そして、上記第1及び第2の極性溶剤抽出工程により、(a2)成分として600〜1200Nの芳香族含有基油を得るとともに、(b2)成分として40℃における動粘度が500〜5000mm/s、好ましくは800〜2000mm/s、さらに好ましくは900〜1500mm/sのエキストラクト(芳香族含有基油)を得ることが好ましい。このような方法においては、所望の(a)成分及び(b)成分を得るためにバッチ処理することが好ましい。
配合工程では、上述の通りにして得られた(a)成分及び(b)成分を所定の比率で配合して、ゴム配合油を調製する。例えば、ゴム配合油全量基準で、(a)成分を95質量%以下(0を含まず)及び(b)成分を5質量%以上の比率で配合する。これによって、(a)成分及び(b)成分を含有するゴム配合油を得ることができる。
なお、上記配合工程を行わずに、(b)成分単独でゴム配合油を調製してもよい。ただし、適正な動粘度(100℃における動粘度が10〜70mm/s、好ましくは15〜50mm/s、より好ましくは20〜32mm/s)のゴム配合油を得る観点、及び、流動点とガラス転移点の差が50℃以上のゴム配合油を得る観点から、(a)成分の配合割合を、ゴム配合油全体を基準として、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%とすることが好ましく、(b)成分の配合割合を、好ましくは90〜50質量%、より好ましくは80〜60質量%とすることが好ましい。
また、流動点とガラス転移点との差が50℃以上且つガラス転移点が−50℃以下のゴム配合油を得る観点から、(a)成分は、(a2)成分を含むことが好ましく、(b)成分は、流動点とガラス転移点の差が例えば60℃以上と特に大きいことから、(b1)成分を含むことが好ましい。さらに上述した適正な動粘度を有するゴム配合油の収量を大きくするために、(b)成分としては、(b1)成分及び(b2)成分を含むことが好ましい。このような観点から、(a)成分又は(a2)成分、(b1)成分、及び(b2)成分の含有割合は、それぞれ好ましくは10〜40質量%、5〜35質量%、及び85〜25質量%、より好ましくは20〜30質量%、20〜30質量%、及び60〜40質量%である。
なお、本実施形態のゴム配合油は、本発明の効果が損なわれない限り、(a)成分及び(b)成分以外の基材を配合することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
本発明を、以下の実施例及び比較例を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4)
原油の常圧蒸留残渣油を通常の減圧蒸留装置を用いて減圧蒸留し、燃料相当留分、150N相当留分以下の留分、350N相当留分及び900N相当留分を分取した。分取した350N相当留分を、図1に示すような極性溶剤抽出装置によって処理した。具体的には、350N相当留分を、塔底温度が塔頂温度よりも低い第1の抽出塔30に導入し、極性溶剤(フルフラール)と350N相当留分とを接触させる第1の極性溶剤抽出工程を行った。この第1の極性溶剤抽出工程によって、350N相当留分を、第1の抽出塔30の塔頂部分から得られる第1のラフィネート及び極性溶剤の混合物と、塔底部分から得られる第1のエキストラクト及び極性溶剤の混合物とに分取した。その後、図示しない分留塔によって、極性溶剤を回収して上述の混合物から第1のラフィネートと第1のエキストラクトとを得た。
次いで、第1のラフィネートを、塔底温度が塔頂温度よりも低い第2の抽出塔40に導入し、極性溶剤(フルフラール)と接触させる第2の極性溶剤抽出工程を行った。この第2の極性溶剤抽出工程によって、第1のラフィネートを、塔頂部分から得られる第2のラフィネート及び極性溶剤の混合物と、塔底部分から得られる第2のエキストラクト及び極性溶剤の混合物とに分取した。その後、図示しない分留塔によって、極性溶剤を回収して上述の混合物から第2のエキストラクトと第2のラフィネートとを得た。
第2のラフィネートは、ASTM D2549に準じて測定した全芳香族分が30質量%以上であった。また、第2のエキストラクトは、15℃における密度が0.94g/cm以上であり、ASTM D2549に準じて測定した全芳香族分が30質量%以上であった。
第1の極性溶剤抽出工程と、第2の極性溶剤抽出工程の製造条件と収率を表1に示す。
Figure 0005390233
上述の第2のラフィネートについて、流動点が−10℃以下となるようにMEK脱ろう及び水素化仕上げ処理による精製処理を行い、全芳香族分が30質量%以上である芳香族含有基油(潤滑油基油)を得た。これを(a1)成分とした。また、第2のエキストラクトを(b1)成分とした。(a1)成分及び(b1)成分の性状を表2に示す。なお、第2のエキストラクトは精製処理を行わなかった。
Figure 0005390233
なお、ベンゾ(a)ピレン及び8種類の特定芳香族化合物(PAH)の合計含有量は、以下の通りにして測定した。まず、それぞれの芳香族含有基油1gを50mlフラスコにてヘキサンに溶解し、2質量%の試料溶液を調製した。この試料溶液を5質量%含水シリカゲルに負荷し、ヘキサンで洗浄後、1体積%アセトン/ヘキサン溶液で対象成分を溶出させた。溶出液を濃縮後、内部標準物質を添加した試料を調製し、一般的なガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)にて同定・定量した。
(実施例2)
350N相当留分に代えて900N相当留分を第1の抽出塔30に導入したこと、並びに第1及び第2の極性溶剤抽出工程の製造条件を表3に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、第1及び第2のラフィネート、並びに第1及び第2のエキストラクトを得た。第1の極性溶剤抽出工程及び第2の極性溶剤抽出工程の製造条件と収率を表3に示す。
Figure 0005390233
上述の第2のラフィネートについて、流動点が−10℃以下となるようにMEK脱ろう及び水素化仕上げ処理による精製処理を行い、全芳香族分が30質量%以上である芳香族含有基油(潤滑油基油)を得た。これを(a2)成分とし、第2のエキストラクトを(b2)成分とした。(a2)成分及び(b2)成分の性状を表4に示す。
Figure 0005390233
表1及び表3より、本実施例では、ゴム配合油又はその基材として有用である第2のラフィネート及び第2のエキストラクトの合計収率は、第1の抽出塔の原料油を基準として、74〜75容量%であった(有用成分の収率)。このように、高い収率でゴム配合油又はその基材として有用である潤滑油基油(芳香族含有基油)を製造できることが確認された。
また、表2及び表4より、本実施例の(a1)、(a2)、(b1)及び(b2)成分は、いずれも、全芳香族分が30質量%以上で且つ引火点が250℃以上であった。すなわち、本実施例では、粘度の異なる複数の減圧蒸留留分を用いることによって、優れた性状を有する、粘度の異なる芳香族含有基油を複数製造することができた。
さらに、(a1)、(a2)、(b1)及び(b2)成分は、発ガン性を有するベンゾ(a)ピレンや8種類の特定芳香族化合物(PAH)の合計含有量が十分に低減されていた。
また、(b1)及び(b2)成分は、流動点とガラス転移点との差が50℃以上であり、特に(b1)成分は、該差が70℃以上と特異的な性状を有していた。すなわち、(b1)及び(b2)成分は、どちらも流動点が高いにもかかわらず、ガラス転移点が低いことが確認された。
上述の(a1)、(a2)、(b1)及び(b2)成分を、表5に示す配合比で配合して、実施例1〜4のゴム配合油を調製した。各ゴム配合油の性状を表5に纏めて示す。
Figure 0005390233
表5に示すように、実施例1〜4のゴム配合油は、いずれも、全芳香族分も引火点も高く、発ガン性のある有害物質が十分に低減されていた。また、流動点とガラス転移点の差が45℃以上であった。特に実施例1及び2のゴム配合油は、流動点とガラス転移点の差が60℃以上であり、ASTM D2549又はASTM D2007による全芳香族分が50質量%以上、流動点が15℃以上にもかかわらず、ガラス転移点が−45℃以下であるという特異的な性状を有していた。
なお、実施例1〜4のゴム配合油は、いずれもASTM D3238による%Cが20〜35、ガラス転移温度Tgが−55〜−30℃、動粘度(100℃)が20〜50mm/sでかつ特定芳香族化合物(PAH)を実質的に含まない石油系プロセスオイルであることから、ジエン系ゴムの製造工程で用いるエキステンダーオイル又はジエン系ゴムの加工に用いるプロセス油として配合した場合には、低燃費性とグリップ性を両立でき、耐熱老化性や耐摩耗性を向上できるという優れた効果をも奏することは明らかである。
(参考例1)
原油の常圧蒸留残渣油を通常の減圧蒸留装置を用いて減圧蒸留し、燃料相当留分、150N相当留分以下の留分、250N相当留分及びそれ以上の留分(500N相当留分)を分取した。分取した500N相当留分を、塔底温度が塔頂温度よりも低い抽出塔に導入し、極性溶剤(フルフラール)と接触させる極性溶剤抽出工程を行った。この極性溶剤抽出工程によって、500N相当留分を、第1のラフィネートと、第2のエキストラクトとに分取した。溶剤抽出工程の製造条件と収率を表6に示す。
Figure 0005390233
このようにして得られた第1のラフィネートについて、流動点が−10℃以下となるようにMEK脱ろう及び水素化仕上げ処理による精製処理を行い、全芳香族分が30質量%以上である芳香族含有基油(潤滑油基油)を得た。これを芳香族含有基油eとした。また、エキストラクトを芳香族含有基油fとした。芳香族含有基油得e及びfの性状を表7に示す。
Figure 0005390233
表6に示すとおり、本参考例では、抽出塔に導入した原料を基準とする第1のラフィネートの収率が60容量%、第1のエキストラクトの収率が40容量%であった。また、表7に示すとおり、芳香族含有基油fの発ガン性の特定芳香族化合物(PAH)の合計含有量は、10質量ppmを超えていた。この芳香族含有基油fは、そのままではゴム配合油として使用するのは好適ではなく、また、他の潤滑油基油と配合する場合でも、通常はその配合比率を50質量%以上とすることができない。
(参考例2)
原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留残渣油の脱れき油を、参考例1と同様の極性溶剤抽出工程によって、ラフィネートとエキストラクトとに分取した。このエキストラクトは、100℃における動粘度が95mm/s、ASTM D2549による全芳香族分が69質量%、流動点が12.5℃、ガラス転移点が−29.7℃、流動点とガラス転移点との差(流動点−ガラス転移点)は42.2℃であった。
このエキストラクトと、上記参考例1の芳香族含有基油eとを80:20の質量比で配合してゴム配合油を調製した。このゴム配合油の流動点は0℃、ガラス転移点は−44.5℃であり、流動点とガラス転移点の差は44.5℃であった。
30…第1の抽出塔、40…第2の抽出塔、50…脱ろう装置、60…水素化仕上げ装置。

Claims (6)

  1. 原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を極性溶剤抽出工程で分離して得られるラフィネート又はその精製油を含有し、ASTM D 3238による%C が3〜20、流動点が−10℃以下である芳香族含有基油からなる(a)成分、及び
    前記常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を極性溶剤抽出工程で分離して得られるエキストラクト又はその精製油を含有し、ASTM D 3238による%C が25〜45、15℃における密度が0.94g/cm 以上である芳香族含有基油からなる(b)成分を含んでおり、
    前記(a)成分の含有量が95質量%以下、及び前記(b)成分の含有量が5質量%以上であり、
    ASTM D 2007又はASTM D 2549による全芳香族分が50質量%以上、引火点が250℃以上、流動点とガラス転移点の差が45℃以上であり、
    ベンゾ(a)ピレンの含有量が1質量ppm以下、及び
    下記1)〜8)の特定芳香族化合物の含有量の合計が10質量ppm以下であるゴム配合油。
    1)ベンゾ(a)ピレン(BaP)
    2)ベンゾ(e)ピレン(BeP)
    3)ベンゾ(a)アントラセン(BaA)
    4)クリセン(CHR)
    5)ベンゾ(b)フルオランセン(BbFA)
    6)ベンゾ(j)フルオランセン(BjFA)
    7)ベンゾ(k)フルオランセン(BkFA)
    8)ジベンゾ(a,h)アントラセン(DBAhA)
  2. 前記(a)成分の前記芳香族含有基油は、40℃における動粘度が60〜600mm/s、アニリン点が70℃以上、GC蒸留による10%点が400〜500℃、90%点が500〜600℃、ガラス転移点が−30℃以下であり、
    前記(b)成分の前記芳香族含有基油は、40℃における動粘度が200mm/s以上、アニリン点が90℃以下、ASTM D 2549による全芳香族分が30質量%以上である請求項1記載のゴム配合油。
  3. 前記極性溶剤抽出工程は、
    塔底温度が50〜70℃であり、塔頂温度が80〜100℃である第1の抽出塔で、前記減圧蒸留留分と極性溶剤とを接触させて、第1のラフィネートと第1のエキストラクトとを得る第1の極性溶剤抽出工程と、
    塔底温度及び塔頂温度が前記第1の抽出塔よりもそれぞれ10℃以上高い第2の抽出塔で、前記第1のラフィネートと極性溶剤とを接触させて、第2のラフィネートと第2のエキストラクトとを得る第2の極性溶剤抽出工程と、を有しており、
    前記(b)成分は、前記第2のエキストラクト又はその精製油である請求項1又は2記載のゴム配合油。
  4. 前記(b)成分は、40℃における動粘度が200mm /s以上500mm /s未満、ガラス転移点が−60〜−40℃の芳香族含有基油(b1)と、40℃における動粘度が500mm /s以上、ガラス転移点が−50〜−30℃の芳香族含有基油(b2)とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム配合油。
  5. 前記(a)成分は、40℃における動粘度が120〜250mm /sである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム配合油。
  6. 原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を極性溶剤抽出工程で分離して得られるラフィネート又はその精製油を含有し、且つ40℃における動粘度が60〜600mm/s、アニリン点が70℃以上、GC蒸留による10%点が400〜500℃、90%点が500〜600℃、ASTM D 3238による%Cが3〜20、流動点が−10℃以下、ガラス転移点が−30℃以下である芳香族含有基油からなる(a)成分、及び
    前記常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留分を極性溶剤抽出工程で分離して得られるエキストラクト又はその精製油を含有し、且つ40℃における動粘度が200mm/s以上、アニリン点が90℃以下、ASTM D 3238による%C が25〜45、15℃における密度が0.94g/cm以上、ASTM D 2549による全芳香族分が30質量%以上である芳香族含有基油からなる(b)成分、を配合する配合工程を有しており、
    ASTM D 2007又はASTM D 2549による全芳香族分が50質量%以上、引火点が250℃以上、流動点とガラス転移点の差が45℃以上、ベンゾ(a)ピレンの含有量が1質量ppm以下、及び下記1)〜8)の特定芳香族化合物の含有量の合計が10質量ppm以下であり、且つ、前記(a)成分の含有量が0を超えて95質量%以下及び前記(b)成分の含有量が5質量%以上100質量%未満であるゴム配合油の製造方法。
    1)ベンゾ(a)ピレン(BaP)
    2)ベンゾ(e)ピレン(BeP)
    3)ベンゾ(a)アントラセン(BaA)
    4)クリセン(CHR)
    5)ベンゾ(b)フルオランセン(BbFA)
    6)ベンゾ(j)フルオランセン(BjFA)
    7)ベンゾ(k)フルオランセン(BkFA)
    8)ジベンゾ(a,h)アントラセン(DBAhA)
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