JP5292017B2 - ゴムプロセス油の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、天然ゴム又は合成ゴムに添加する鉱油系のゴムプロセス油の製造方法に関し、特には、多環芳香族化合物の含有量を少なくすることにより毒性及び発ガン性がなく、取り扱いが容易なゴムプロセス油を比較的容易な操作ないし工程で製造することができるゴムプロセス油の製造方法に関する。
ゴムプロセス油は、ゴムポリマー組織に対する浸透性を用いて、混練、押出し、成形などのゴム製造操作を容易にするために用いられる。また、ゴム製品の物理的性質を改善するためにも用いられる。このようなゴムプロセス油には、ゴムに対する好適な親和性を有することが必要である。一方、加工するゴムには天然ゴム及び合成ゴムがあり、合成ゴムには様々な種類のものがある。このようなもののうち、特に天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴム(SBR)が多量に用いられており、これらには芳香族炭化水素を多量に含みゴムに高い親和性を有するプロセス油が一般的に用いられる。
このようなプロセス油を得るために、原油の減圧蒸留によって得られる潤滑油留分や、減圧残渣を脱瀝した後、必要に応じて脱ろう処理や水素化精製処理をすることによって得られる油を芳香族炭化水素に親和性を有する溶剤で抽出処理することによって得られる、いわゆるエキストラクトが用いられる。このようにして得られるプロセス油は、カラムクロマトグラフィによれば70〜99質量%の芳香族化合物を含有し、n−d−M環分析によれば%Cは20〜50である。プロセス油は比較的多くの重質な芳香族化合物を含有するため、特に多環芳香族化合物(PCA)の発ガン性の問題から、ヨーロッパでは3質量%以上の多環芳香族化合物(PCA)を含有する油などに対して、また、アメリカではベースオイル調製の際の精製度を基準として、メーカーは発ガン性表示をして販売しなければならない。したがって、多環芳香族化合物(PCA)を3質量%未満に減量したゴムプロセス油でないと販売することが実質的に難しい。
多環芳香族化合物(PCA)は、DMSO抽出分としても表示されるが、DMSO抽出分3質量%未満のゴムプロセス油について、減圧蒸留残留分を脱瀝処理し、得られた油を脱ろう処理して多環芳香族化合物(PCA)を3質量%未満に減少させたゴムプロセス油を製造する方法が開示されている(特許文献1)。しかし、このゴムプロセス油はDMSO抽出分を低くした結果、アニリン点が高くなっている。アニリン点は芳香族炭化水素の含有量の指標となり、アニリン点が高いことは芳香族炭化水素含有量が低いことを意味する。ゴムプロセス油中の芳香族炭化水素含有量が減ると、油のゴムに対する親和性が減少し、ゴムプロセス油に必要な性質、つまり、ゴムポリマーに対するゴムプロセス油の浸透性が低下して、最終ゴム製品の物理的状態を満足なものとするのが困難になる。
また、非発ガン性ブライトストック抽出物及び/又は脱瀝油並びにその精製プロセスを開示し、変異原性指数(MI)を1未満にするために、MIと相関のある特性を精製の指標とすることを提案している(特許文献2)。この特許文献1においては真空蒸留カラム中の残渣の脱瀝によって得られる油、又は脱瀝油の抽出処理によって芳香族化合物が減少した油あるいはその脱ろう処理によって得られる油が使用されている。ただし、多環芳香族化合物(PCA)は3質量%以上と推定される。このような脱瀝油のMIと多環芳香族化合物(PCA)の関係については言及されてはいない。
ゴムポリマーに対する浸透性が高く、DMSO抽出分3質量%未満にして上記課題を解決するゴムプロセス油の製造方法が提案されている(特許文献3)。しかし、このゴムプロセス油は粘度が高いため、ゴムへの配合に際して作業性が悪いという問題があった。そこで、減圧残渣の脱瀝油を溶剤抽出して得られたエキストラクトと、減圧留出油を溶剤精製して得られたラフィネート又は該ラフィネートを精製した鉱油系基油とを混合した低粘度のプロセス油が提案されている(特許文献4)。しかしながら、脱瀝油の溶剤抽出や減圧留出油を溶剤精製するなど操作や廃棄物の処理が面倒なプロセスを多用している。
特表平6−505524号公報 特表平7−501346号公報 特願2001−108354号公報 国際特許公開WO2003/031537号公報
本発明は、かかる問題を解決するもので、ゴムポリマーに対する浸透性に優れ、多環芳香族化合物(PCA)3質量%未満で安全性が高いゴムプロセス油を比較的容易な工程で製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ゴムポリマーに対する浸透性に優れ、多環芳香族化合物(PCA)3質量%未満で安全性が高く、低粘度なゴムプロセス油を脱瀝油の溶剤抽出などの操作を用いずに調製できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりのゴムプロセス油の製造方法である。
(1)(A)下記の(a)及び(b)から選択される1種以上からなる脱瀝油と、
(a)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られた減圧残渣を、プロパン溶剤により脱瀝油収率を10〜50質量%で脱瀝して得られた、アニリン点が100℃以下、%Cが15〜50及び多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基脱瀝油、
(b)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られた減圧残渣を、プロパン溶剤により脱瀝油収率を10〜50質量%で脱瀝した後、水素化精製して得られた、アニリン点が100℃以下、%Cが15〜50及び多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基水素化脱瀝油、
(B)下記の(c)〜(g)から選択される1種以上からなる減圧留出油と、
(c)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基減圧留出油、
(d)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られたナフテン基減圧留出油を水素化処理して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基水素化減圧留出油、
(e)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られたナフテン基減圧留出油を溶剤精製して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基溶剤精製減圧留出油、
(f)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られたナフテン基減圧留出油を溶剤精製した後、さらに水素化処理して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基溶剤精製水素化減圧留出油、
(g)混合基原油及び/又はパラフィン基原油の減圧留出油を溶剤精製及び/又は水素化精製し、必要に応じ脱ろう処理して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満である非ナフテン基精製減圧留出油、
を質量比90/10〜10/90の割合で混合することを特徴とする、100℃における動粘度が10〜60mm/s、流動点が20℃以下、%Cが10〜40、かつ多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるゴムプロセス油の製造方法。
(2)ナフテン基脱瀝油(a)とナフテン基水素化減圧留出油(d)、ナフテン基溶剤精製留出油(e)、ナフテン基溶剤精製水素化減圧留出油(f)の1種以上を質量比80/20〜20/80の割合で配合し、かつ、ゴムプロセス油の100℃における動粘度が10〜55mm/s及びアニリン点が100℃以下である、上記(1)に記載のゴムプロセス油の製造方法。
(3)ゴムプロセス油は、変異原性指数が1未満であり、ベンゾ[a]ピレンの含有量が1質量ppm未満であり、かつ、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン及びジベンゾ[a,h]アントラセンの含有量の合計が10質量ppm以下である上記(1)又は(2)に記載のゴムプロセス油の製造方法。
本発明によれば、安全性が高くゴムポリマーに対する浸透性も高く、また配合後のゴムにブリード等の発生が認められず、しかも粘度が低いため、ゴムへの配合に際して作業性を著しく高めることができるゴムプロセス油を、煩雑な操作や廃棄物処理などが面倒な脱瀝油の溶剤抽出などの工程を経ることなく比較的容易な操作で製造することができるという格別の効果を奏する。
〔ゴムプロセス油〕
鉱油系のゴムプロセス油は、一般に、原油から得られる潤滑油留分を原料として調製されている。潤滑油留分は、原油を常圧蒸留した後の常圧残渣を減圧蒸留して得られる減圧留出油として、あるいは、減圧蒸留して得られる減圧残渣を脱瀝した脱瀝油として得ることができる。潤滑油留分から各種の構成成分を分離する方法として溶剤抽出があり、芳香族炭化水素化合物に選択的親和性を有する溶剤を用いて溶剤抽出を行えば、芳香族炭化水素を潤滑油留分から分離することができる。しかし、芳香族炭化水素化合物に選択的親和性を有する溶剤は、多環芳香族化合物(PCA)に対する親和性がより高いので、一般的な抽出操作によって芳香族炭化水素化合物を抽出すると、多量のPCAも含まれることになる。この抽出油からPCAを除去することができれば、好適なプロセス油が得られるが、一般的には困難で、経済的でない。本願発明者らは、PCAが少なく安全性が高く、ゴムポリマーに対する浸透性が高く、更に低粘度で取扱い性に優れたゴムプロセス油の製造方法について研究した結果、減圧蒸留条件、脱瀝条件を調整して組み合わせることによって、脱瀝油の溶剤抽出物(エキストラクト)を用いずに、場合によっては減圧留出油の溶剤精製物(ラフィネート)を用いなくても、効果的にゴムプロセス油を製造できることを見出した。
本発明においては、次の(A)と(B)のゴムプロセス油構成成分を、質量比90/10〜10/90の割合で混合することによって得ることができる。(A)成分としては、以下の(a)及び(b)から選択される1種以上の脱瀝油が挙げられる。
(a)ナフテン基原油を、通常、常圧蒸留して得られる常圧残渣を減圧蒸留して得られた減圧残渣をプロパン溶剤により、脱瀝油収率を10〜50質量%で脱瀝して得られた、アニリン点が100℃以下、%Cが15〜50、及び多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基脱瀝油
(b)ナフテン基原油を、通常、常圧蒸留して得られる常圧残渣を減圧蒸留して得られた減圧残渣をプロパン溶剤により、脱瀝油収率を10〜50質量%で脱瀝して得られた後、水素化精製して得られた、アニリン点が100℃以下、%Cが15〜50、及び多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基水素化脱瀝油
(B)成分としては、以下の(c)〜(g)から選択される1種以上の減圧留出油が挙げられる。
(c)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基減圧留出油
(d)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られたナフテン基減圧留出油を水素化処理して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基水素化減圧留出油
(e)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られたナフテン基減圧留出油を溶剤精製して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基溶剤精製減圧留出油
(f)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られたナフテン基減圧留出油を溶剤精製した後、さらに水素化処理して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基溶剤精製水素化減圧留出油
(g)混合基原油及び/又はパラフィン基原油の減圧留出油を溶剤精製及び/又は水素化精製し、必要に応じ脱ろう処理して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満、である非ナフテン基精製減圧留出油
ゴムプロセス油構成成分(A)と(B)との混合割合は、質量比90/10〜10/90の範囲で混合する。特には、80/20〜20/80とすると所定のゴムプロセス油の調製が容易となり、好ましい。
本発明において、ゴムプロセス油は、100℃における動粘度が10〜60mm/sであり、好ましくは10〜55mm/sであり、より好ましくは20〜40mm/sである。100℃における動粘度が10mm/s未満では蒸発質量変化が増えるとともに、混練後のゴムが柔らかくなりすぎ、特性バランスの良いゴムができない。一方、60mm/sを越えるとプロセス油をゴムへ配合するための作業性が低下するとともに、配合後のゴム製品の粘度低下効果が十分でなくなる。
流動点は20℃以下であり、好ましくは0℃以下である。流動点が高いと低温時において取り扱いにくくなる。
%Cは10〜40であり、好ましくは15〜40、より好ましくは15〜30である。%Cが10未満の場合、ゴムプロセス油の溶解力、つまりゴムとの相溶性が低下し、ゴム製品の物理特性が悪化する。他方、%Cが40を超えると、やはりゴム製品の物理特性が低下する。
人間を含む動物及び植物の細胞の遺伝子情報を狂わせ、奇形の原因やがんの誘発を回避する観点から、多環芳香族化合物(PCA)含有量を3質量%未満とする。多環芳香族化合物(PCA)の含有量を低減すると、その他の芳香族化合物の含有量も下がってゴムの溶解性や、性能に悪影響を及ぼすことがある。PCA含有量は、好ましくは2質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。
さらに、人の健康や環境を保護する観点から、変異原性指数が1未満であり、ベンゾ[a]ピレンの含有量が1質量ppm未満であり、かつ、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン及びジベンゾ[a,h]アントラセンの含有量の合計が10質量ppm以下であることが好ましい。原性指数が1以上であったり、あるいはベンゾ[a]ピレンの含有量が1質量ppm以上であったり、あるいは上記ベンゾ[a]ピレン等の含有量の合計が10質量ppmを超えると、発がんの危険性が高まり
好ましくない。
ゴムプロセス油のアニリン点は100℃以下であることが好ましい。アニリン点が100℃を超えるとゴムとの相溶性が低下するため好ましくなく、90℃以下がより好ましい。
また、ゴムプロセス油は、蒸発質量変化率が0.5%以下であることが好ましい。蒸発質量変化率が0.5%を超えるとプロセス油をゴムへ配合するための作業性が低下するとともに、配合後のゴム加硫時に油分蒸発によりゴム製品の物理特性が低下する。
〔脱瀝油〕
上記のゴムプロセス油を構成する成分基材の一つである(A)成分のナフテン基脱瀝油(a)及びナフテン基水素化脱瀝油(b)は、アニリン点が100℃以下、%Cが15〜50、及び多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満のものを用いる。アニリン点が100℃を超えると、ゴムへの浸透性、つまりゴムとの相溶性が低下し、好ましくない。さらには90℃以下が好ましく、特に好ましくは80℃以下である。%Cが15未満では、やはりゴムへの浸透性が低下し、好ましくない。一方、50を超えると混練後のゴムが柔らかくなりすぎ、好ましくない。より好ましくは15〜40である。多環芳香族化合物(PCA)含有量は、発ガン性を防止する観点からはできるだけ低濃度であることが好ましい。
さらには、(a)及び(b)の脱瀝油は、100℃における動粘度が50〜100mm/s、流動点が10℃以下、及びクロマトによる芳香族分が60〜95質量%の性状を有するものを用いると、上記性状のゴムプロセス油の調製が容易になるため好ましい。
(A)成分の脱瀝油は(a)と(b)の両者の混合物を用いることもできる。このとき混合物は上記の物性を満足する必要がある。混合に際して、混合物として物性を満足するのであれば、(a)と(b)それぞれの物性が個々に見ると多少上記物性から外れていてもかまわない。
プロパン脱瀝では、プロパン単体あるいはプロパンとブタンの混合物(プロパン/ブタンの質量比:5/5〜9/1)をプロパン溶剤(単にプロパンともいう)として用いて減圧残渣と接触させるとプロパン溶剤に溶解成分が抽出され、アスファルト分が溶解せずに分離される。プロパン溶解成分からプロパン溶剤を蒸発除去すると、減圧残渣からアスファルト分が除去されたプロパン脱瀝油を得ることができる。ナフテン基原油からの減圧残渣を脱瀝油収率10〜50質量%でプロパン脱瀝することにより、所望の性状を有するプロパン脱瀝油を得ることができる。
プロパン脱瀝では、通常、溶剤比、つまり溶剤/原料油の比は5〜8で行われるが、6〜7がより好ましい。また、抽出操作は抽出塔で行われ、その温度は塔頂で一般的に60〜70℃であるが、塔内で温度勾配をとって選択性を上げることができる。抽出圧力は溶剤の蒸気圧より高く保ち、溶剤の蒸発を抑えながら抽出する。
この工程において脱瀝油のアニリン点が100℃以下、%Cが15〜50及び多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満になるように収率を設定する必要がある。脱瀝油収率や上記の操作条件を調節して所望の性状を有する脱瀝油を得ることができる。
〔水素化脱瀝油〕
さらに高い品質の脱瀝油を得るために、あるいは上記の性状を満足しない脱瀝油が得られた場合、該脱瀝油を水素化してその品質を向上させた水素化脱瀝油、あるいは、上記の性状を満足する水素化脱瀝油を得ることができる。
プロパン脱瀝油をさらに水素化精製して品質を向上した水素化脱瀝油を、ゴムプロセス油調製のためのブレンド基材として用いると、さらにブレンドのフレキシビリティが向上するので好ましい。特に、プロパン脱瀝油の多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%を超えるとき、水素化精製することにより3質量%未満に低減することができる。
水素化精製処理を行う場合には、ニッケル、コバルト、モリブデン等の金属1種以上をアルミナやシリカ−アルミナ等の担体に担持した触媒を用い、水素圧5〜15MPa、温度320〜410℃、及び液空間速度(LHSV)0.5〜5Hr−1の条件で行うとよい。水素化脱瀝油の性状としてはアニリン点が100℃以下でなるべく低く、%Cが15〜50の範囲でなるべく大きくするのがよい。
プロセス油として或いはその基材として、従来はもっぱらパラフィン基原油あるいは混合基原油からの減圧蒸留残渣の脱瀝によって得られる脱瀝油留分を、芳香族炭化水素に対して親和性を有する溶剤で抽出処理して得た抽出物(エキストラクト)が用いられていたが、上記のようにナフテン基原油からの脱瀝油ないしその水素化脱瀝油を用いると、従来ゴムプロセス油の製造に多用されていたエキストラクトを製造する脱瀝油の溶剤抽出工程を省くことができるとともに大量に生産することができる。
〔減圧留出油〕
ナフテン基原油を減圧蒸留する(一般的には、ナフテン基原油を常圧蒸留して得られる常圧残渣を減圧蒸留する)と、上記の減圧残渣とともに減圧留出油が得られる。このナフテン基の減圧留出油と、上記のナフテン基脱瀝油、ナフテン基水素化脱瀝油、あるいはそれらの混合物とをブレンドして本発明のゴムプロセス油を調製することができる。このときナフテン基減圧留出油は、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満のもの、すなわち、(c)成分として用いられる。
通常、プロセス油を製造するために、常圧換算沸点が300〜700℃程度の減圧留出油を、芳香族炭化水素に親和性を有する、例えば、フルフラール、フェノール、N−メチル−2−ピロリドンなどから1種あるいは2種以上の溶剤で抽出して、多環芳香族化合物(PCA)含有量を3質量%未満に調整したラフィネートが用いられている。ところが、ナフテン基原油から得られる減圧留出油の中には多環芳香族化合物(PCA)含有量を3質量%未満のものがある。そこで本発明においては、まず、この多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満のナフテン基減圧留出油を用いて、上記の脱瀝油と混合してゴムプロセス油を調製することができる。こうすることによって、ゴムプロセス油の製造で通常行われている減圧留出油の溶剤抽出(或いは溶剤精製)工程を省略することができる。
ナフテン基の減圧留出油は、さらにその品質を向上したい場合、又は減圧留出油の多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%以上の場合、水素化や溶剤抽出して品質を向上し、PCA含有量を3質量%未満に調整することができる。こうして得られた減圧留出油もPCA含有量を3質量%未満であれば、すなわち、(d)のナフテン基水素化減圧留出油として、あるいは、(e)のナフテン基溶剤精製減圧留出油として使用することができる。
また、ナフテン基の減圧留出油を溶剤精製と水素化の両方の処理をして得られたPCA含有量を3質量%未満の減圧留出油を用いることもできる。溶剤精製と水素化の順序はどちらを先にしてもかまわないが、溶剤精製した後に水素化するのが、不必要な成分を水素化処理することがなく、経済的であり一般的である。このようにして得られた減圧留出油の誘導体が(f)のナフテン基溶剤精製水素化減圧留出油である。
さらに、混合基原油、パラフィン基原油を常圧蒸留して得られる常圧残渣を減圧蒸留して得た減圧留出油(非ナフテン基減圧留出油)を、上記のナフテン基脱瀝油、ナフテン基水素化脱瀝油、あるいはそれらの混合物とブレンドして本発明のゴムプロセス油を調製するための基材として用いることができる。非ナフテン基減圧留出油は、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であることは必要であるので、溶剤精製及び/又は水素化精製し、必要に応じ脱ろう処理する。こうして、(g)の多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満である非ナフテン基精製減圧留出油を得ることができる。非ナフテン基精製減圧留出油は、流動点が10℃以下であることが好ましい。
(c)〜(g)の減圧留出油ないしその誘導体は、主として、上記のプロパン脱瀝油あるいはその水素化脱瀝油のゴムプロセス油としての良好な性状を損なわずに粘度を調整する目的で混合されるものであり、単独で用いてもよく、いずれかの2種以上を適宜の割合で混合した混合物の形態で用いることもできる。2種以上の混合物で用いる場合、混合物のPCA含有量は、当然3質量%未満となる。
(c)〜(g)の減圧留出油ないしその誘導体は、PCA含有量以外の物性として、100℃における動粘度が4〜35mm/s、%Cが3〜30、アニリン点が120℃以下、クロマトによる芳香族分が10質量%以上、流動点が10℃以下のものを用いることが、上記性状のゴムプロセス油の調製が容易になるため、好ましい。
また、上記性状を有する(c)〜(g)の減圧留出油及びその誘導体を調製するに際して、減圧蒸留、水素化処理、溶剤精製、及び脱ろうなどのプロセスを適宜組み合わせて適宜の順序で処理する。
より具体的には、上記のような性状を有する減圧留出油は、原油を常圧蒸留して得た常圧残渣を減圧蒸留する際に、留出留分の抜き出し温度、抜き出し量、リフラックス量やその温度等の運転条件を適切に設定することにより得ることができる。減圧蒸留は、常圧蒸留残渣(単に、常圧残渣ともいう)を原料として留出油の終点が常圧換算500℃以上となる条件にて行うことが好ましい。
上記性状の減圧留出油が得られない場合、又は、ブレンドのフレキシビリティを向上するためにより高品質の減圧留出油を得るために、水素化精製処理、溶剤精製処理をすることができる。
ナフテン基の水素化減圧留出油(d)は、ナフテン基の減圧留出油を、ニッケル、コバルト、モリブデン等の活性金属1種以上をアルミナやシリカ−アルミナ等の担体に担持した触媒の存在下に、水素圧5〜15MPa、温度300〜400℃、液空間速度(LHSV)1〜5Hr−1の条件で水素化精製処理を行うことにより得ることができる。
ナフテン基の溶剤精製減圧留出油(e)は、ナフテン基の減圧留出油を、芳香族炭化水素に親和性を有する溶剤で抽出する。芳香族炭化水素に選択的親和性を有する溶剤としては、フルフラール、フェノール、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられ、これらのうちの1種あるいは2種以上を選択して用いて芳香族分を抽出除去する。この溶剤精製工程においては、通常の潤滑油基油を精製する条件、例えば、フルフラールを抽出溶媒として用いる場合、温度60〜155℃、溶剤/油比(容積比)=1/1〜3/1程度で溶剤と接触させるとよい。こうすることによりラフィネートとして所望の性状を有するナフテン基溶剤精製減圧留出油(e)を得ることができる。
また、ナフテン基の減圧留出油を溶剤精製と水素化精製の両方の処理を行う場合、溶剤精製後に水素化精製処理を行うのが一般的である。溶剤精製及び水素化精製は上記と同様の条件下に行うことができる。
混合基原油を減圧蒸留して得られた混合基減圧留出油あるいはパラフィン基原油を減圧蒸留して得られたパラフィン基減圧留出油も、溶剤精製及び/又は水素化精製し、必要に応じ脱ろう処理をして多環芳香族化合物(PCA)含有量を3質量%未満に調整すると、ナフテン基の減圧留出油等と同様に上記の脱瀝油及び/又は水素化脱瀝油とブレンドして、本発明におけるゴムプロセス油を調製することができる。このように精製して得られた非ナフテン基の減圧留出油を総称して非ナフテン基精製減圧留出油(g)という。非ナフテン基精製減圧留出油(g)は、ナフテン基減圧留出油等と同様に、100℃における動粘度が4〜35mm/s、%Cが3〜30、アニリン点が120℃以下、クロマトによる芳香族分が10質量%以上、流動点が10℃以下であることが、上記性状のゴムプロセス油の調製が容易になるため好ましい。
溶剤精製及び/又は水素化精製し、必要に応じ脱ろう処理をして得られた多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満の非ナフテン基精製減圧留出油(g)は、物性の異なる多種類のものが得られるが、それぞれ単独で用いることも、2種以上を混合して用いることもできる。また既に述べたように非ナフテン基精製減圧留出油(g)は上記の(c)〜(f)のナフテン基減圧留出油等と適宜の割合で混合して用いることもできる。
混合基減圧留出油及びパラフィン基減圧留出油は、常圧残渣を減圧蒸留して常圧換算沸点が300〜700℃の減圧留出油として得た後、芳香族炭化水素に親和性を有する溶剤で抽出する溶剤精製処理を行う。芳香族炭化水素に選択的親和性を有する溶剤としては、フルフラール、フェノール、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられ、これらのうちの1種あるいは2種以上を選択して用いて芳香族分を抽出除去する。この溶剤精製工程においては、通常の潤滑油基油を精製する条件、例えば、フルフラールを抽出溶媒として用いる場合、温度60〜155℃、溶剤/油比(容積比)=1/1〜3/1程度で溶剤と接触させるとよい。このようにして得られた多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満に低減されたラフィネートを非ナフテン基精製減圧留出油(g)として用いることができる。
また、上記の減圧留出油、あるいは、それを溶剤精製処理した後、さらに水素化精製処理を行うことができ、その場合には、ニッケル、コバルト、モリブデン等の活性金属1種以上をアルミナやシリカ−アルミナ等の担体に担持した触媒の存在下に、水素圧5〜15MPa、温度300〜400℃、液空間速度(LHSV)1〜5Hr−1の条件で行うとよい。
さらに好ましい性状を付加するために、溶剤精製及び/又は水素化精製を行った後にさらに溶剤脱ろう又は水素化脱ろうといった脱ろう処理を行うことができる。溶剤脱ろうは、例えば、メチルエチルケトン/トルエンの混合溶媒下に、溶媒/油比(容積比)=1/1〜5/1、温度−10〜−40℃で行うとよく、また、水素化脱ろうは、ゼオライト触媒の存在下に、水素圧5〜15MPa、温度300〜400℃、LHSV1〜5Hr−1の条件で行うとよい。
以上のようにして得た(A)の脱瀝油(a)及び(b)と、(B)の減圧留出油(c)〜(g)とを質量比で90/10〜10/90、特に好ましくは、80/20〜20/80の割合で混合することにより所望の性状を有するゴムプロセス油を製造することができる。また、好ましくは、(A)の脱瀝油(a)と、(B)の減圧留出油(d)〜(f)の1種以上とを上記の割合で混合するゴムプロセス油の製造方法である。こうすると、ナフテン基水素化脱瀝油(b)を用いないことから水素化に要するユーティリティが不要で経済的であり、また、多環芳香族化合物(PCA)含有量が2質量%未満等、優れた品質のゴムプロセス油を比較的安価に調製することができる。さらに好ましいゴムプロセス油の製造方法は、ナフテン基脱瀝油(a)と、ナフテン基水素化減圧留出油(d)及び/又はナフテン基溶剤精製減圧留出油(e)とを上記の割合で混合する方法である。
以下、実施例、比較例に基づいて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例の供試油(ゴムプロセス油)を調製してその物性を測定し、性能を評価した。
供試油の調製にあたり、まず、ナフテン基原油であるオーストラリア産のワンドゥー原油及びパラフィン基原油であるサウジアラビア産のアラビアンライト原油の常圧蒸留残渣を減圧蒸留し、得られた減圧蒸留留出及び減圧残渣を、さらに、脱瀝、水素化精製、あるいは溶剤精製して、実施例及び比較例の供試油(ゴムプロセス油)を試作するための基材を以下のようにして調製した。
減圧蒸留で得られた常圧換算360〜590℃の留分を減圧蒸留留出油として、すなわち、ワンドゥー原油からの減圧留出油としてナフテン基減圧留出油(N−VD)を、また、アラビアンライト原油からの減圧留出油としてパラフィン基減圧留出油(P−VD)を採取した。
ナフテン基及びパラフィン基の減圧残渣は、それぞれプロパン100%の溶剤を用い、溶剤比6.0でプロパン脱瀝を行った。脱瀝油の収率をワンドゥー原油残渣(ナフテン基減圧残渣)の場合は25%、アラビアンライト原油残渣(パラフィン基減圧残渣)の場合は30%に設定し、それに合わせ抽出塔の塔頂温度を60〜70℃で調整し運転した。ワンドゥー原油からナフテン基脱瀝油(N−BS)を、またアラビアンライト原油からパラフィン基脱瀝油(P−BS)を抽出し回収した。このようにして減圧残渣をプロパン脱瀝して得られた脱瀝油は、いわゆるブライトストックと称され、潤滑油基材を製造する原料として用いられている。
前記のナフテン基減圧留出油(N−VD)及びナフテン基脱瀝油(N−BS)を、それぞれコバルト/モリブデンを担持したアルミナ触媒で、水素圧10MPa、温度350℃、液空間速度1.0Hr−1の条件において、水素化精製を行い、N−VDの水素化処理油としてナフテン基水素化減圧留出油(N−VD−H)を、またN−BSの水素化処理油としてナフテン基水素化脱瀝油(N−BS−H)を得た。
さらに、前記のナフテン基減圧留出油(N−VD)を、フルフラールで溶剤精製した。溶剤比を1.0とし、精製油であるラフィネートの収率が80%となるように抽出温度を調整して、ワンドゥー原油のナフテン基減圧留出油(N−VD)の溶剤精製油であるナフテン基溶剤精製減圧留出油(N−VD−F)を得た。
また、このN−VD−Fをさらに上記と同じ条件で水素化精製してナフテン基溶剤精製水素化減圧留出油(N−VD−FH)を得た。
さらに、パラフィン基原油からのパラフィン基減圧留出油(P−VD)を、溶剤精製及び水素化精製した後、さらに溶剤脱ろうした、(株)ジャパンエナジーから市販されている製品である500ニュートラルの潤滑油基油をパラフィン基精製減圧留出油(P−VD−FHW)として用いた。
上記のようにして調製した供試油(ゴムプロセス油)調製用基油、N−BS、N−BS−H、P−BS、N−VD、N−VD−H、N−VD−F、N−VD−FH、P−VD、及びP−VD−FHWのそれぞれの油の性状を表1に示す。P−BS、P−VDは流動点がかなり高く、室温では固体状態である。また、アニリン点はP−BS,P−VD、P−VD−FHWが高い。PCA含有量はN−BS、N−VDが3.0%より若干少ないが、P−VDは3.0%より多い。
なお、それぞれの基油のアルファベット略号の最初の1文字は原油種、すなわち、Nはナフテン基、Pはパラフィン基を表し、次の2文字は、減圧残渣の脱瀝油をBSとし、減圧留出油をVDとした。そして、さらに水素化精製、溶剤抽出、及び脱ろう処理を行った油については、それぞれH、F、及びWを、処理した順序に従って付した。
Figure 0005292017
表1の基油を用いて表2の上部に示す割合(質量%)で混合して実施例1〜9及び比較例1〜4の供試油(ゴムプロセス油)を調製した。それぞれの供試油について、物性を測定するとともにゴムを試作してその性能をJIS K6383「合成ゴムSBRの試験方法」など準じて評価した。物性測定結果及び評価結果を表2に示す。
Figure 0005292017
なお、本発明において、物性測定や性能評価の試験は、以下の方法により行った。
動粘度
JIS K2283−1993に規定する方法により測定した。
流動点
JIS K2269−1987に規定する方法により測定した。
%C
%Cは、いわゆるn−d−M環分析である、ASTM D2140−97に規定する方法により算出した。
アニリン点
JIS K2256−1998に規定する方法により測定した。
クロマトによる芳香族分
ASTM D2007−98に規定する方法により測定した。
多環芳香族化合物(PCA)濃度
多環芳香族化合物(PCA)濃度は、DMSO抽出分としてイギリス石油協会IP346(1992年版)試験法によって測定した。
蒸発質量変化率
JIS K2207 「6.9 蒸発試験方法」の規定に準じる方法で、163℃の恒温空気槽中に3時間保った後、試料の質量変化量を測定し、加熱前試料の質量に対する百分率として算出した。
変異原性指数(MI)
ASTM E1687−98に規定する方法により測定した。
ベンゾ[a]ピレンの含有量、及び
ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン及びジベンゾ[a,h]アントラセンの含有量の合計(以下、ベンゾ[a]ピレン等の合計含有量と略す)
アルミナカラム分離-GC・MS(SIM)法により測定した。アルミナカラムとしては500mg固相抽出用カラムを用い、ヘプタン溶出により飽和分を除去し、その後、トルエン溶出により芳香族分を分離し、GC・MS分析に供した。
プロセス油の性能評価は、一般的なSBR配合(JIS K6383「合成ゴムSBRの試験方法」)に準じて、まず、表3に示した配合剤と配合割合で、配合、混練して供試用のゴムを作成してゴムの性能を試験して評価した。なお、SBRとしては日本合成ゴム(株)のJSR1500を、他の配合剤は市販品を用いた。加硫は加硫プレスにより、160℃、20分の条件で行った。
Figure 0005292017
次いで、得られた加硫ゴム製品の性能評価は、次の方法により行った。
硬さ
JIS K6301「加硫ゴム物理試験方法」に規定する方法により測定した。
引張強度、300%引張応力、伸び
JIS K6251「加硫ゴムの引張試験方法」に規定する方法により測定した。
引裂強度
JIS K6252「加硫ゴムの引裂試験方法」に規定する方法により測定した。
オイルブリードの有無
また室温で3日間放置後の外観、オイルブリードの有無を目視検査により観察した。
表2から実施例1〜9はすべてゴムプロセス油としての特性を満たしていることがわかる。一方、比較例1、及び2は流動点が高すぎて油とは言えない。また性能評価でゴムにブリードが見られることから、性能も劣り使えないと言える。比較例3は、流動点はぎりぎり使えるレベルであるが、PCA含有量が3.0%をオーバーしており、性能評価でブリードが見られ好ましくない。比較例4は流動点が高く、やはり性能評価でブリードが見られ、実用的に使用することは困難である。
本発明の例はゴムプロセス油としての特性バランスに優れ、かつPCA含有量が3.0%以下であり、環境的にも安全にゴムの伸展等に使用できるゴムプロセス油である。

Claims (3)

  1. (A)下記の(a)及び(b)から選択される1種以上からなる脱瀝油と、
    (a)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られた減圧残渣を、プロパン溶剤により脱瀝油収率を10〜50質量%で脱瀝して得られた、アニリン点が100℃以下、%Cが15〜50及び多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基脱瀝油、
    (b)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られた減圧残渣を、プロパン溶剤により脱瀝油収率を10〜50質量%で脱瀝した後、水素化精製して得られた、アニリン点が100℃以下、%Cが15〜50及び多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基水素化脱瀝油、
    (B)下記の(c)〜(g)から選択される1種以上からなる減圧留出油と
    (c)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基減圧留出油、
    (d)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られたナフテン基減圧留出油を水素化処理して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基水素化減圧留出油、
    (e)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られたナフテン基減圧留出油を溶剤精製して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基溶剤精製減圧留出油、
    (f)ナフテン基原油を減圧蒸留して得られたナフテン基減圧留出油を溶剤精製した後、さらに水素化処理して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるナフテン基溶剤精製水素化減圧留出油、
    (g)混合基原油及び/又はパラフィン基原油の減圧留出油を溶剤精製及び/又は水素化精製し、必要に応じ脱ろう処理して得られた、多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満である非ナフテン基精製減圧留出油、
    を質量比90/10〜10/90の割合で混合することを特徴とする、100℃における動粘度が10〜60mm/s、流動点が20℃以下、%Cが10〜40、かつ多環芳香族化合物(PCA)含有量が3質量%未満であるゴムプロセス油の製造方法。
  2. ナフテン基脱瀝油(a)と、ナフテン基水素化減圧留出油(d)、ナフテン基溶剤精製留出油(e)及びナフテン基溶剤精製水素化減圧留出油(f)の1種以上を質量比80/20〜20/80の割合で配合し、かつ、ゴムプロセス油の100℃における動粘度が10〜55mm/s及びアニリン点が100℃以下である、請求項1に記載のゴムプロセス油の製造方法。
  3. ゴムプロセス油は、変異原性指数が1未満であり、ベンゾ[a]ピレンの含有量が1質量ppm未満であり、かつ、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン及びジベンゾ[a,h]アントラセンの含有量の合計が10質量ppm以下である、請求項1又は2に記載のゴムプロセス油の製造方法。
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