JP2004107560A - 改良された芳香族系ゴム配合油 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石油系芳香族ゴム配合油であって、多環芳香族化合物を3重量%未満に低減すると同時に、40℃における動粘度とASTMD2140に規定される組成分析による炭素含有量を下記式(1)を満たすように調整する。
V≧−33.3C+1200 (1)
(ただし、(1)式中、Vはゴム配合油の40℃の動粘度(mm2/s)を示し、Cはゴム配合油のASTMD2140による芳香族炭素含有量(質量%)を示す。)
【効果】本発明の芳香族系ゴム配合油は、従来より使用されてきたゴム配合油と同等の性能を有し、且つ非発ガン性の安全性を備えており、タイヤ等多くのゴム製品の製造に適している。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、ゴム配合油に関し、詳しくは芳香族含有ゴム用の配合油で、特に従来の配合油と同等の優れた性能を維持し、且つ多環芳香族化合物を3重量%未満に低減することで、実質的に非発ガン性としたゴム配合油に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴム配合油は、ゴムとの相溶性を利用して、ゴムの可塑性を高めることで、ゴムの加工における作業性の改善及び加硫後のゴム製品の物理的性質を改善するために配合される油である。特に石油系芳香族炭化水素油が、その芳香族性により芳香族含有ゴムとの相溶性が良好であることから、原料ゴム製造時に配合される伸展油として、またゴムの加工時に配合されるプロセス油として、相当量が使用されていることは当業者に良く知られている。
【0003】
一般に、石油系芳香族炭化水素油は、原油の精製における減圧蒸留より得られる沸点範囲260〜650℃の潤滑油製造留分の溶剤抽出精製法において、芳香族炭化水素化合物を豊富に含む留分として製造されている。また、減圧蒸留残渣の脱れきによる脱れき油から、同様に溶剤精製法により芳香族炭化水素化合物を豊富に含む留分として製造されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら石油系芳香族炭化水素油は、成分として豊富に含む芳香族炭化水素化合物故に、芳香族含有ゴムとの相溶性を発現し有用に使用されているのであるが、この成分として含む芳香族炭化水素化合物の中に、更に成分として15〜28%の多環芳香族化合物(以下PCA(PolycyclicAromatics)と言うことがある)を含んでいる。
【0005】
近年EU指令により、この多環芳香族化合物を3重量%以上含む石油製品は、発ガン性ありと勧告されたことから、石油製品の多環芳香族化合物低減の努力がなされている。
【0006】
しかしながら、多環芳香族化合物の低減は、同時にこれら芳香族系ゴム配合油の芳香族性を低減することになり、配合する芳香族含有ゴムとの親和性を欠き、配合油として十分な性能を発現することができない結果となっている。
【0007】
特にタイヤ、防舷材、制振材等に使用される芳香族含有ゴムへの配合は、ゴムの加工時における配合油の可塑化能による作業性の改善はもちろんであるが、加硫後の製品ゴムの物理特性への寄与、即ち配合油がゴムとの十分な親和性を持つことによるゴム分子の可塑化による流動摩擦エネルギー損失と、配合されている油自身の流動エネルギー損失が、配合ゴムの制振特性に寄与しているとされ、単純に多環芳香族化合物を低減しただけでは、有用なゴム配合油は得られない。
【0008】
従って、これらの性能を従来の芳香族配合油と同等に発現し、且つ多環芳香族化合物を3重量%未満に低減した、実質的に非発ガン性の安全衛生上問題のない芳香族系ゴム配合油が求められている。
【0009】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するためになされたもので、多環芳香族化合物を3重量%未満に低減し、且つ従来の芳香族系ゴム配合油と同等の性能を発現する、改良された芳香族系ゴム配合油を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、多環芳香族化合物を3重量%未満に低減した芳香族系ゴム配合油でも、特定の物性を調整することによって、従来の芳香族系ゴム配合油と同等の性能を発現し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、芳香族系ゴム配合油を製造するにあたり、英国石油学会(Institute of Petroleum、以下IPと略す)によるIP346試験法で測定される多環芳香族化合物を3重量%未満に低減すると同時に、該芳香族系ゴム配合油の40℃における動粘度とASTMD2140に規定される組成分析法による芳香族化合物を形成する炭素含有量が、下記式(1)を満たすように調整することを特徴とする芳香族系ゴム配合油である。
V≧−33.3C+1200 (1)
(ただし、(1)式中、Vはゴム配合油の40℃の動粘度(mm2/s)を示し、Cはゴム配合油のASTMD2140による芳香族炭素含有量(質量%)を示す。)
【0012】
【発明の実施の形態】
一般に、タイヤ、防舷材、制振材等に使用される芳香族含有ゴムの制振特性は動的粘弾性モデルで解析されており、多くの公知の文献に記載されている。
【0013】
その解析結果はtanδとして表される損失特性、即ちエネルギー損失が、配合ゴム製品の制振特性の因子となっていると説明している。このエネルギー損失はゴム分子の流動摩擦エネルギー損失及び配合された油の流動エネルギー損失として熱として放散されるものである。
【0014】
本発明の対象とする芳香族系ゴム配合油は、配合ゴムの制振特性を自在にコントロールできる機能性は有しないが、その元となるエネルギー損失の主たる因子となっている。即ち、芳香族含有ゴムに対する芳香族系ゴム配合油の親和性が、ゴムに対する可塑化能として発現し、ゴム分子の流動摩擦エネルギー損失を起こさせる。同時に配合油自体もゴムの変形に対し、流動エネルギー損失を起こす。
【0015】
ここで油の流動エネルギー損失は、油の粘度の高い物ほど流動の活性化エネルギーが高く大きくなるという性質を持っている。
【0016】
芳香族系ゴム配合油は、豊富に含む芳香族化合物により、低温においては分子凝集を起こし流動単位を大きくし、流動活性化エネルギーを大きくする。これを温度粘度特性と言い、一般に石油製品は40℃と100℃の動粘度より計算される粘度指数(ViscosityIndex)の値で評価している。
【0017】
芳香族性の高い油は、この温度粘度特性即ち粘度の温度依存性(感温性)が高く、高温で低い粘度を示し、低温では非常に高い粘度を示す特徴を有す。
【0018】
ここで芳香族系ゴム配合油の機能発現が、芳香族含有ゴムとの親和性によるゴム分子の可塑化能と、同時に油自身の流動エネルギー損失にある事を考えると、従来の芳香族系ゴム配合油より、多環芳香族化合物を3重量%未満に減少することで、芳香族性が低くなる本発明のゴム配合油は、その芳香族性に対し適当な粘度特性を持たせることで、ゴム配合油としての十分な機能発現を果たすことができる事となる。
【0019】
以上の観点より、本発明の芳香族系ゴム配合油の芳香族性を表す尺度として、ASTMD2140に規定される芳香族炭素含有量をとり、粘度物性としては一般的に油の代表性状とされる40℃粘度を対応させ、後述の実施例及び比較例より、総合評価として得られた図1.により、本発明の改良された芳香族系ゴム配合油を完成させた。
【0020】
図1.は、横軸に芳香族炭素含有量、縦軸に40℃粘度をとって、後述の実施例及び比較例のデータより、総合評価の記号で表記したものである。
【0021】
図の実線より右上側のゴム配合油は、芳香族系ゴム配合油として十分な機能を発現するが、実線より左下側のゴム配合油は、ゴム組成物の物理特性の低下及びブリード(油の滲み出し現象)を起こす、芳香族系ゴム配合油としての機能を満足しない、使用に耐えない油であった。よって本発明の芳香族系ゴム配合油は、本図の実線より右上側に位置するするよう、40℃粘度と芳香族炭素含有量の調整がなされなければならない。
【0022】
即ち、本発明の芳香族系ゴム配合油は、IP346試験法で測定される多環芳香族化合物を3重量%未満に減じた石油系芳香族炭化水素油で、40℃における動粘度とASTMD2140に規定される芳香族炭素含有量が図1.に実線で示される下記式(1)を満たすように調整された芳香族系ゴム配合油である。
V≧−33.3C+1200 (1)
(ただし、(1)式中、Vはゴム配合油の40℃の動粘度(mm2/s)を示し、Cはゴム配合油のASTMD2140による芳香族炭素含有量(質量%)を示す。)
【0023】
本発明による芳香族系ゴム配合油のより望ましい形態は、IP346試験法で測定される多環芳香族化合物を3重量%未満に減じた石油系芳香族炭化水素油で、40℃における動粘度とASTMD2140に規定される芳香族炭素含有量が、図−1.の破線で示される下記式(2)を満たすように調整された芳香族系ゴム配合油である
V≧−33.3C+1280 (2)
(ただし、(1)式中、Vはゴム配合油の40℃の動粘度(mm2/s)を示し、Cはゴム配合油のASTMD2140による芳香族炭素含有量(質量%)を示す。)
【0024】
本発明の芳香族系ゴム配合油において、上記性状、組成を満足させる製造法は、従来の石油の精製法及びその組み合わせ、または公知文献に種々提案されている方法が適用できる。
【0025】
具体的には、原油の精製における減圧蒸留より得られる沸点範囲260〜650℃の潤滑油製造留分及び減圧蒸留残渣の脱れき油を原料として、例えば一般に使用されている潤滑油精製法である、溶剤抽出精製法及び水素化精製法が適用できる。
【0026】
溶剤抽出精製法とは、例えばフルフラール、フェノール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド等の極性溶剤を用いて、選択的に芳香族化合物を溶解抽出する精製法で、一般的には芳香族化合物を抽出された抽出残油は潤滑油ベースオイル、芳香族化合物を豊富に含む抽出油が芳香族系ゴム配合油のベースとなる。
【0027】
本発明では、この抽出条件を適宜対応させることによって、多環芳香族化合物をより選択的に抽出除去させ、PCA3%未満の油を製造する方法として適用される。
【0028】
公知文献に提案された方法としては、例えば特開平11−80751に開示された二段階の溶剤抽出精製法及び特開2000−63849に開示されたジメチルスルフォキシドによる抽出精製法などがある。
【0029】
水素化精製法は、主として軽質燃料油の製造に適用される比較的高温高圧の水素化分解法、主として燃料油の硫黄分を除去させるための水素化脱硫法、主として潤滑油留分の芳香族化合物の核水添による除去に適用される比較的高温高圧の水素化処理、主として潤滑油留分のオレフィン等の不安定物質の水素添加による色仕上げ及び安定性向上に適用される比較的低温低圧の水素化仕上げ、液体炭化水素油中のワックス分を選択的に水素化分解する水素化脱ロウ法等多岐にわたる。
【0030】
本発明では、水素化反応条件を適宜対応させることによって、多環芳香族化合物を選択的に水素化分解又は核水添反応によって低減させることで、PCA3%未満の油を製造する方法として適用される。
【0031】
公知文献に提案された方法としては、たとえば特開平11−80755に開示されている水素化精製法がある。
【0032】
更に、一般的な石油の精製法でない種々の提案が下記の公知文献に開示されている。
EP第48937号では、減圧蒸留残渣の脱れきに水と炭酸ガスを用いた超臨界ガス抽出を適用する方法、WO第9411325号では、芳香族炭化水素油をアルキル化処理する方法、WO第9528458号では、芳香族炭化水素油を空気酸化反応によって精製する方法が開示されている。
【0033】
本発明の芳香族系ゴム配合油は、上記の各製造法の精製条件または製造条件を適宜対応させることによって、あるいは各製造法の一種または二種以上の精製法を組み合わせることによって製造することができる。
【0034】
更に上記の各製造法によって得られた、それぞれ多環芳香族化合物3重量%未満の油を二種以上ブレンドすることによっても達成されるが、40℃の粘度特性と芳香族炭化水素含有量の関係が(1)式または(2)式を満足するように調整されなければならないことは言うまでもない。
【0035】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。実施例は本発明の特徴を示すデータと比較例として示すデータを対峙させ、本発明をより具体的により明確に説明するものであるが、本発明はこれらの実施例に何等限定されるものではない。
【0036】
【表1】
表1.に本発明による芳香族系ゴム配合油及び比較例のゴム配合油を評価するためのゴム配合を示す。検討に使用したこの配合は、原料ゴムやカーボンブラック及びプロセスオイル等の配合材料の検討に使われる、JIS K6383(合成ゴムSBRの試験方法)の標準配合表No.1の非油展ゴム用配合に準じた配合系であり、またゴム配合のロールによる混練方法や試験片の作り方も同試験方法に記載されている方法によって行った。
【0037】
【表2】
表2.に本発明による芳香族系ゴム配合油の性状及び評価結果を実施例として示す。芳香族系ゴム配合油の性状値は、下記の試験法によって測定した。
【0038】
密度はJIS K2283(原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表)の5.振動式密度試験方法。粘度はJIS K2283(原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法)。芳香族炭素含有量CはASTM D2140の組成分析法によって測定した。多環芳香族化合物含有量はDMSO抽出量として示され、IP346試験法によって測定した。
【0039】
ゴム配合の評価は下記の試験法によって測定した。硬さはJIS K6301(加硫ゴム物理試験方法)。引張強度と伸びはJIS K6251(加硫ゴムの引張試験方法)。オイルブリード性は室温で48時間放置後の外観目視検査。tanδ特性はセイコー電子機器の粘弾性アナライザー「粘弾性スペクトロメーターDMS110」を用い、10.0Hzにて測定した。評価は0℃tanδをもって行った。
【0040】
尚、総合評価の記号は下記の評価を表す。
○は良好なレベル。
△は良好とは言えないが、使用に問題ないレベル。
×はそのままでは使用できないレベル。
以下に各実施例について詳細を説明する。
【0041】
実施例1は原料として沸点範囲360〜660℃の減圧直留分を使用して、溶剤としてフルフラールを使用した2段階の溶剤精製法により調整した芳香族系ゴム配合油である。溶剤精製法は芳香族化合物に対して選択的溶解力を持つフルフラールを溶剤として用い、第1段階の溶剤抽出で発ガン性を示す多環芳香族化合物を選択的に溶解抽出し、多環芳香族化合物を減じた抽出残油を第2段階の抽出工程に供給し、ここで芳香族化合物を選択的に溶解抽出した抽出油として得る方法を適用した。
【0042】
得られた配合油の性状は、式(1)を満足する40℃動粘度と芳香族炭素含有量を示し、多環芳香族化合物含有量もDMSO抽出量2.7重量%とEU指令3重量%未満を満たしている。ゴム配合評価は、後述の比較例1及び2に示される従来より使用されている芳香族系ゴム配合油の結果と比べ遜色の無い結果となっており十分な性能を有すと判断される。
【0043】
実施例2は実施例1と同一の原料を用い、同じ2段階の溶剤精製法であるが、その2回目の抽出条件を変更し、40℃動粘度と芳香族炭素含有量を調整した芳香族系ゴム配合油である。
【0044】
この配合油の性状も、式(1)を満足する40℃動粘度と芳香族炭素含有量を示し、多環芳香族化合物含有量もDMSO抽出量2.5重量%とEU指令3重量%未満を満足するように調整された。ゴム配合評価は、後述の比較例1及び2に示される従来より使用されている芳香族系ゴム配合油の結果と比べ遜色の無い結果となっており十分な性能を有すと判断される。
【0045】
実施例3は、原料として沸点範囲360〜660℃と350〜550℃の減圧直留分を7対3にブレンドして使用し、実施例1と同じ2段階溶剤精製法で調整した芳香族系ゴム配合油である。
【0046】
得られた配合油の性状は、式(1)を満足する40℃動粘度と芳香族炭素含有量を示し、多環芳香族化合物含有量もDMSO抽出量2.2重量%とEU指令3重量%未満を満たしている。ゴム配合評価は、後述の比較例1及び2に示される従来より使用されている芳香族系ゴム配合油の結果と比べ遜色の無い結果となっており十分な性能を有すと判断される。
【0047】
実施例4は、沸点範囲350〜700℃の従来より芳香族系ゴム配合油として使用されている溶剤抽出油を原料として、フルフラール溶剤を使用した溶剤精製法により、多環芳香族化合物を選択的に抽出除去した抽出残油として得られる芳香族系ゴム配合油である。
【0048】
配合油の性状は、式(1)を満足する40℃動粘度と芳香族炭素含有量を示すように、また多環芳香族化合物含有量もDMSO抽出量2.1重量%とEU指令3重量%未満を満たすように、溶剤精製法の抽出条件を適用した。
ゴム配合評価は、引張強度と0℃tanδにおいて、後述の比較例1及び2に示される従来より使用されている芳香族系ゴム配合油の結果と比べやや低い値となっているが、十分実用に足る性能を示している。
【0049】
実施例5は、減圧残渣の脱れき油の溶剤精製工程から得られる従来より芳香族系ゴム配合油として使用されている溶剤抽出油を原料として、フルフラール溶剤を使用した溶剤精製法により、多環芳香族化合物を選択的に抽出除去した抽出残油として得られる芳香族系ゴム配合油である。
【0050】
配合油の性状は、式(1)を満足する40℃動粘度と芳香族炭素含有量を示すように、また多環芳香族化合物含有量もDMSO抽出量1.9重量%とEU指令3重量%未満を満たように、溶剤精製法の抽出条件を適用した。
ゴム配合評価は、後述の比較例1及び2に示される従来より使用されている芳香族系ゴム配合油の結果と比べ遜色の無い結果となっており十分な性能を有すと判断される。
【0051】
実施例6は、実施例5と同一の原料を用い、ニッケル、モリブデンを担持したアルミナ触媒を使用して、水素圧12MPa、反応温度340℃で水素化処理して得られた芳香族系ゴム配合油である。
【0052】
得られた配合油の性状は、式(1)を満足する40℃動粘度と芳香族炭素含有量を示し、多環芳香族化合物含有量もDMSO抽出量1.8重量%と、EU指令3重量%未満を満足している。ゴム配合評価は、引張強度において、後述の比較例1及び2に示される従来より使用されている芳香族系ゴム配合油の結果と比べやや低い値となっているが、十分実用に足る性能を示している。
【0053】
実施例7は実施例4と同一の原料を用い、ニッケル及びモリブデンを担持したアルミナ触媒を使用して、水素圧18MPa、反応温度340℃で水素化処理して得られた芳香族系ゴム配合油である。
【0054】
得られた配合油の性状は、式(1)を満足する40℃動粘度と芳香族炭素含有量を示し、多環芳香族化合物含有量もDMSO抽出量2.9重量%と、EU指令3重量%未満を満足している。ゴム配合評価は、後述の比較例1及び2に示される従来より使用されている芳香族系ゴム配合油の結果と比べ、引張強度、伸び%及び0℃tanδにおいて少し低い値を示しているが、その差は引張強度及び伸び%で10%、0℃tanδで15%以内に保持されており、十分な性能を有しているとは言えないまでも実使用においては問題ないレベルと判断される。
【0055】
実施例8は、実施例4と同一の従来より使用されている芳香族系ゴム配合油に、減圧残渣の脱れき油より選られる精製油(一般にブライトストックと言われる)を、8対2の割合でブレンド調整した原料油を用い、フルフラール溶剤を使用した溶剤精製法により、多環芳香族化合物を選択的に抽出除去した抽出残油として得られる芳香族系ゴム配合油である。
【0056】
配合油の性状は、式(1)を満足する40℃動粘度と芳香族炭素含有量を示すように、また多環芳香族化合物含有量もDMSO抽出量1.6重量%とEU指令3重量%未満を満たように、溶剤精製法の抽出条件を適用した。ゴム配合評価は、後述の比較例1及び2に示される従来より使用されている芳香族系ゴム配合油の結果と比べ、引張強度、伸び%及び0℃tanδにおいて少し低い値を示しているが、その差は引張強度及び伸び%で10%、0℃tanδで15%以内に保持されており、十分な性能を有しているとは言えないまでも実使用においては問題ないレベルと判断される。
【0057】
実施例9は、実施例5と同一の減圧残渣の脱れき油から得られる、従来より使用されている芳香族系ゴム配合油に、沸点範囲360〜660℃の溶剤抽出及び水素化工程を経た精製油(一般にベースオイルと言われる)を、8対2の割合でブレンド調整した原料油を用い、フルフラール溶剤を使用した溶剤精製法により、多環芳香族化合物を選択的に抽出除去した抽出残油として得られる芳香族系ゴム配合油である。
【0058】
配合油の性状は、式(1)を満足する40℃動粘度と芳香族炭素含有量を示すように、また多環芳香族化合物含有量もDMSO抽出量0.7重量%とEU指令3重量%未満を満たように、溶剤精製法の抽出条件を適用した。ゴム配合評価は、後述の比較例1及び2に示される従来より使用されている芳香族系ゴム配合油の結果と比べ、伸び%及び0℃tanδにおいて少し低い値を示しているが、その差は伸び%で10%、0℃tanδで15%以内に保持されており、十分な性能を有しているとは言えないまでも実使用においては問題ないレベルと判断される。
【0059】
【表3】
表3.に本発明によらない芳香族系ゴム配合油の性状及び評価結果を比較例として示す。
【0060】
比較例1は沸点範囲350〜700℃の、比較例2は沸点範囲340〜580℃の減圧直留分の溶剤精製工程より抽出油として得られる、従来より使用されている芳香族系ゴム配合油である。
【0061】
配合油の性状は、式(1)を十分に満足する40℃動粘度と芳香族炭素含有量を示し、ゴム配合評価も非常に良好な結果を示している。
しかしながら多環芳香族化合物含有量は、DMSO抽出量に見られるように、比較例1で15重量%、比較例2で19重量%とEU指令3重量%未満を満足していない。
【0062】
比較例3は実施例1と同一の原料を用い、同じ2段階の溶剤精製法であるが、その2回目の抽出条件をよりシビアーに変更し、溶剤精製度を上げることによって40℃動粘度と芳香族炭素含有量が式(1)を満足しないように調整したオイルである。
【0063】
多環芳香族化合物含有量はDMSO抽出量1.3重量%とEU指令3重量%未満を満足しているが、ゴム配合評価では引張強度、伸び%、0℃tanδにおいて、比較例1及び2に示される従来の芳香族系ゴム配合油の結果に対してかなり悪い値を示す結果となった。特に、0℃tanδの値は、比較例2に対しても20%以上の低い値となり、実用上問題である。また、40℃動粘度が低いのに芳香族炭素含有量も十分でないため、オイルのゴムとの親和性が悪く、その結果としてブリード現象を起こし、実用に足る性能を有しないものとなった。
【0064】
比較例4は、実施例4と同一の従来より芳香族系ゴム配合油として使用されている溶剤抽出油を原料として、フルフラール溶剤を使用した溶剤精製法により、多環芳香族化合物を選択的に抽出除去した抽出残油として得られる芳香族系ゴム配合油であるが、実施例4よりも溶剤精製における抽出条件をシビアーにし、溶剤精製度を上げることによって、40℃動粘度と芳香族炭素含有量が式(1)を満足しないように調整したオイルである。
【0065】
多環芳香族化合物含有量はDMSO抽出量1.2重量%とEU指令3重量%未満を満足しているが、ゴム配合評価では引張強度、伸び%、0℃tanδにおいて、比較例1及び2に示される従来の芳香族系ゴム配合油の結果に対して悪い値を示す結果となった。また、40℃動粘度が低いのに芳香族炭素含有量も十分でないため、オイルのゴムとの親和性が悪く、その結果としてブリード現象を起こし、実用に足る性能を有しないものとなった。
【0066】
比較例5は、実施例5と同一の減圧残渣の脱れき油から得られる、従来より使用されている芳香族系ゴム配合油を原料として、フルフラール溶剤を使用した溶剤精製法により、多環芳香族化合物を選択的に抽出除去した抽出残油として得られる芳香族系ゴム配合油であるが、実施例5よりも溶剤精製における抽出条件をシビアーにし、溶剤精製度を上げることによって、40℃動粘度と芳香族炭素含有量が式(1)を満足しないように調整したオイルである。
【0067】
多環芳香族化合物含有量はDMSO抽出量0.9重量%とEU指令3重量%未満を満足しているが、ゴム配合評価では引張強度、伸び%、0℃tanδにおいて、比較例1及び2に示される従来の芳香族系ゴム配合油の結果に対して悪い値を示す結果となった。また、芳香族炭素含有量が低いためオイルのゴムとの親和性が悪く、その結果としてブリード現象を起こし、実用に足る性能を有しないものとなった。
【0068】
比較例6は実施例4と同一の原料を用い、ニッケル及びモリブデンを担持したアルミナ触媒を使用して、水素圧20MPa、反応温度360℃の実施例7よりシビアーな反応条件で水素化処理して得られたオイルである。
【0069】
水素化精製度を上げることによって、オイルの性状は40℃動粘度と芳香族炭素含有量が式(1)を満足しないものとなっている。多環芳香族化合物含有量はDMSO抽出量1.9重量%とEU指令3重量%未満を満足しているが、ゴム配合評価では引張強度、伸び%、0℃tanδにおいて、比較例1及び2に示される従来の芳香族系ゴム配合油の結果に対して悪い値を示す結果となった。また、40℃動粘度が低いのに芳香族炭素含有量も十分でないため、オイルのゴムとの親和性が悪く、その結果としてブリード現象を起こし、実用に足る性能を有しないものとなった。
【0070】
比較例7は実施例5と同一の原料を用い、ニッケル及びモリブデンを担持したアルミナ触媒を使用して、水素圧15MPa、反応温度360℃の実施例6よりシビアーな反応条件で水素化処理して得られたオイルである。
【0071】
水素化精製度を上げることによって、オイルの性状は40℃動粘度と芳香族炭素含有量が式(1)を満足しないものとなっている。多環芳香族化合物含有量はDMSO抽出量0.7重量%とEU指令3重量%未満を満足しているが、ゴム配合評価では引張強度、伸び%、0℃tanδにおいて、比較例1及び2に示される従来の芳香族系ゴム配合油の結果に対して悪い値を示す結果となった。オイルのゴムとの親和性の観点からはオイルブリード現象を起こしていないが、総合的には実用に足る性能を有しないものと判断される。
【0072】
比較例8は、実施例4と同一の従来より使用されている芳香族系ゴム配合油に、沸点範囲350〜550℃の溶剤抽出及び水素化工程を経た精製油(一般にベースオイルと言われる)を、7対3の割合でブレンド調整した原料油を用い、フルフラール溶剤を使用した溶剤精製法により、多環芳香族化合物を選択的に抽出除去した抽出残油として得られる芳香族系ゴム配合油であるが、実施例8よりも溶剤精製における抽出条件をシビアーにし、溶剤精製度を上げることによって、40℃動粘度と芳香族炭素含有量が式(1)を満足しないように調整したオイルである。
【0073】
多環芳香族化合物含有量はDMSO抽出量1.3重量%とEU指令3重量%未満を満足しているが、ゴム配合評価では引張強度、伸び%、0℃tanδにおいて、比較例1及び2に示される従来の芳香族系ゴム配合油の結果に対して悪い値を示す結果となった。また、40℃動粘度が低いのに芳香族炭素含有量も十分でないため、オイルのゴムとの親和性が悪く、その結果としてブリード現象を起こし、実用に足る性能を有しないものとなった。
【0074】
比較例9は、実施例4と同一の従来より使用されている芳香族系ゴム配合油に、沸点範囲360〜660℃゜の溶剤抽出及び水素化工程を経た精製油(一般にベースオイルと言われる)を、7対3の割合でブレンド調整した原料油を用い、フルフラール溶剤を使用した溶剤精製法により、多環芳香族化合物を選択的に抽出除去した抽出残油として得られる芳香族系ゴム配合油であるが、実施例8よりも溶剤精製における抽出条件をシビアーにし、溶剤精製度を上げることによって、40℃動粘度と芳香族炭素含有量が式(1)を満足しないように調整したオイルである。
【0075】
多環芳香族化合物含有量はDMSO抽出量1.3重量%とEU指令3重量%未満を満足しているが、ゴム配合評価では引張強度、伸び%、0℃tanδにおいて、比較例1及び2に示される従来の芳香族系ゴム配合油の結果に対して悪い値を示す結果となった。オイルのゴムとの親和性の観点からはオイルブリード現象を起こしていないが、総合的には実用に足る性能を有しないものと判断される。
【0076】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。本発明は、従来より使用されてきたゴム配合油と同等の性能を有し、且つ非発ガン性の安全性を備えており、タイヤ等多くのゴム製品の製造に適している芳香族系ゴム配合油を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1.は、横軸に芳香族炭素含有量、縦軸に40℃粘度をとって、実施例及び比較例のデータより、総合評価の記号で表記したものである。図の実線▲1▼より右上側のゴム配合油は、芳香族系ゴム配合油として十分な機能を発現するが、実線▲1▼より左下側のゴム配合油は、ゴム組成物の物理特性の低下及びブリード(油の滲み出し現象)を起こす、芳香族系ゴム配合油としての機能を満足しない油である。
【符号の説明】
▲1▼ :式(1)を示す直線
▲2▼ :式(2)を示す破線
実1:実施例1のデータプロット
実2:実施例2のデータプロット
実3:実施例3のデータプロット
実4:実施例4のデータプロット
実5:実施例5のデータプロット
実6:実施例6のデータプロット
実7:実施例7のデータプロット
実8:実施例8のデータプロット
実9:実施例9のデータプロット
比3:比較例3のデータプロット
比4:比較例4のデータプロット
比5:比較例5のデータプロット
比6:比較例6のデータプロット
比7:比較例7のデータプロット
比8:比較例8のデータプロット
比9:比較例9のデータプロット
Claims (2)
- IP346試験法で測定される多環芳香族化合物を、油全重量を基にして3重量%未満に低減した石油系芳香族炭化水素油で、40℃における動粘度とASTMD2140に規定される組成分析による芳香族化合物を形成する炭素含有量が下記式(1)を満たすように調整された芳香族系ゴム配合油。
V≧−33.3C+1200 (1)
(ただし、(1)式中、Vはゴム配合油の40℃の動粘度(mm2/s)を示し、Cはゴム配合油のASTMD2140による芳香族炭素含有量(質量%)を示す。) - ゴムが芳香族含有ゴムである事を特徴とする請求項1.記載の芳香族系ゴム配合油。
Priority Applications (1)
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JP2002274749A JP2004107560A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 改良された芳香族系ゴム配合油 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002274749A JP2004107560A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 改良された芳香族系ゴム配合油 |
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Family Applications (1)
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JP2002274749A Pending JP2004107560A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 改良された芳香族系ゴム配合油 |
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JP (1) | JP2004107560A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113490608A (zh) * | 2019-02-28 | 2021-10-08 | 引能仕株式会社 | 含有石油系芳香族的油、橡胶组合物、轮胎及轮胎的制造方法 |
-
2002
- 2002-09-20 JP JP2002274749A patent/JP2004107560A/ja active Pending
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