JP4169343B2 - アスフアルト舗装廃材用再生添加剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は舗装用アスファルトの再生添加剤に関する。詳しくは環境および人体に対する安全性に優れ、かつ舗装廃材中に含まれる劣化を受け硬化したアスファルトを初期の軟らかさまで回復させる、すなわち低下した針入度、伸度を回復させる能力に優れたアスファルト再生添加剤組成物に関する。
舗装廃材の再生には、舗装廃材、新規骨材、新規アスファルトの3者をアスファルト合材工場のミキサーにて混合し、舗装廃材中に含まれる劣化を受け硬化したアスファルトの針入度、伸度を初期の軟らかさまで回復させるため、アスファルト再生添加剤を添加して劣化アスファルトを再生する方法が行われている。このアスファルト再生添加剤は、劣化により失われたアスファルト中の芳香族成分を補う目的から、芳香族性の高い鉱油、例えば石油精製の溶剤抽出工程から得られるエキストラクト油などが利用されているのが現状である(例えば、特許文献1、2参照)。
このような芳香族性の高い鉱油は、劣化したアスファルト中の芳香族成分を補うため、劣化により大きく低下した針入度、伸度を回復させる能力が高い。特に伸度を大きく回復させるためには、添加する鉱油には高い芳香族性が要求される。ところが、芳香族性の高い鉱油には多量の多環芳香族(PCA)が含まれるため、環境、人体に対する負荷が大きく、現在、環境および人体に対する安全性が高いアスファルト再生添加剤の開発に対する要望が高くなっている。
さらに近年、舗装廃材中の劣化したアスファルトの性状が従来以上に劣化程度が増す傾向にあり、とりわけ針入度が従来以上に大きく低下した舗装廃材を再生する事例も目立つようになってきた。すなわち舗装廃材の再生現場は従来以上に過酷な状況にある。
このような状況のもと、環境および人体に対する安全性が高い、かつ従来以上に高い再生能力、とりわけ繰り返し再生後のアスファルトの針入度、伸度を初期並に回復させるアスファルト再生添加剤の開発が要望されている。舗装廃材中の針入度、伸度を充分に回復せず施工した舗装体は、一般にひび割れが生じる懸念があるため、針入度、伸度の回復は重要である。
特開平02−091303号 特開平08−333515号
環境および人体に対する安全性に優れ、かつ舗装廃材中に含まれる劣化を受け硬化したアスファルトを初期の軟らかさまで繰り返し回復させる、すなわち低下した針入度、伸度を繰り返し大きく回復するアスファルト再生添加剤が求められている。
本発明者らは、前記課題について鋭意研究を重ねた結果、多環芳香族分(PCA)の含有量が一定以下であり、動粘度、引火点、芳香族分(%CA)、ガスクロ蒸留で求められる初留点が一定の範囲である鉱油が、環境および人体に対する安全性が高く、かつ舗装廃材中の劣化アスファルトの針入度、伸度を繰り返し大きく回復することができる高性能なアスファルト再生添加剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の第1は60℃における動粘度が30〜200mm/s、多環芳香族分(PCA)が3質量%未満、引火点が220℃以上、芳香族分(%CA)が10〜20%、ガスクロ蒸留による初留点が280℃以上であることを特徴としたアスファルト再生添加剤組成物に関するものである。
本発明の第2は、本発明の第1のアスファルト再生添加剤組成物において、薄膜加熱質量変化率が−3.0〜0質量%であることを特徴とするものである。
本発明の第3は、本発明の第1及び第2のアスファルト再生添加剤組成物において、ガスクロ蒸留による初留点が285℃以上であることを特徴とするものである。
本発明のアスファルト再生添加剤組成物は、環境および人体に対する安全性に優れ、かつ、舗装廃材中に含まれる劣化を受け硬化したアスファルトを再生する能力が高いため、針入度、伸度を大きく回復させることができる。
以下、本発明について詳述する。
(再生添加剤組成物の動粘度)
本発明のアスファルト再生添加剤組成物の60℃における動粘度は、30〜200mm/sであることが必要である。60℃における動粘度が30mm/sに満たない場合は、軽質留分を多くむため、アスファルト舗装混合物を作製するときに高温の骨材と接触すると白煙が生じ好ましくない。一方、60℃における動粘度が200mm/sを超える場合は、流動性が低下してハンドリング性が悪くなるとともに、針入度、伸度を回復させるために多量の鉱油が必要となることから好ましくない。かかる理由から、60℃における動粘度の下限は40mm/s以上が好ましく、50mm/s以上がより好ましい。また、上限は160mm/s以下が好ましく、140mm/s以下がより好ましく、120mm/s以下がさらに好ましく、100mm/s以下がさらにより好ましい。
なお、ここでいう60℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される動粘度(mm/s)を意味する。
(再生添加剤組成物の多環芳香族の含有量)
本発明のアスファルト再生添加剤組成物の多環芳香族分(PCA)は、3質量%未満であることが必要である。鉱油中のPCAが3質量%以上であると、環境及び人体に対する負荷が高まる恐れがあるため好ましくない。かかる理由からPCAは、2.8質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。
なお、ここでいう多環芳香族分(PCA)とは、”The Institute of Petroleum”のIP346/92 ”Determination of polycyclic aromatics in unused lubricating base oils and asphaltene free petroleum fractions - Dimethyl sulphoxide extraction refractive index method”の方法に準拠して得られる多環芳香族炭化水素化合物の含有量(質量%)のことを意味する。
(再生添加剤組成物の引火点)
本発明のアスファルト再生添加剤組成物の引火点は220℃以上であることが必要である。鉱油の引火点が220℃未満の場合は、アスファルト舗装混合物の製造時の安全性が低下するため好ましくない。かかる理由から引火点は、230℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。なお、ここでいう引火点とはJIS K2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」のクリーブランド開放式引火点試験方法により測定される引火点(℃)を意味する。
(再生添加剤組成物の芳香族分(%CA))
本発明のアスファルト再生添加剤組成物の芳香族分(%CA)は10%以上20%以下であることが必要である。%CAが20%を超えると再生添加剤組成物中のPCAが3質量%以上になる恐れがあり、環境、人体への負荷が大きくなるため好ましくない。かかる理由から18%以下が好ましく、16%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。一方、%CAが10%未満であると、劣化アスファルトを再生した時の再生アスファルトの伸度が回復しにくくなるため好ましくない。
なお、ここでいう芳香族分(%CA)とは、ASTM D3238“Standard Test Method for Calculation of Carbon Distribution and Structural Group Analysis of Petroleum Oils by the n-d-M Method”により測定される全炭素数に対する芳香族環炭素数の百分率(%)を意味する。
(再生添加剤組成物のガスクロ蒸留)
本発明のアスファルト再生添加剤組成物のガスクロ蒸留による初留点は280℃以上であることが必要である。ガスクロ蒸留による初留点が280℃未満であると、薄膜加熱試験時の加熱減量が大きくなるとともに、舗装廃材の再生時に白煙が生じやすくなり好ましくない。かかる理由から、ガスクロ蒸留による初留点は285℃以上が好ましく、290℃以上がより好ましく、295℃以上がさらに好ましい。
なお、ここでいうガスクロ蒸留による初留点とは、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」のガスクロマトグラフ法蒸留試験方法により測定される初留点を意味する。
(再生添加剤組成物の薄膜加熱質量変化率)
本発明のアスファルト再生添加剤組成物の薄膜加熱質量変化率は−3.0〜0質量%であることが好ましい。薄膜加熱質量変化率が−3.0質量%を超える(薄膜加熱減量が3.0質量%を超える)場合、軽質成分を多く含むため、舗装廃材の再生時に白煙が生じやすくなり好ましくない。かかる理由から−2.5質量%以下(薄膜加熱減量が2.5質量%以下)がより好ましく、−2.0質量%以下(薄膜加熱減量が2.0質量%以下)がさらに好ましく−1.5質量%以下(薄膜加熱減量が1.5質量%以下)がさらにより好ましい。
なお、ここでいう薄膜加熱質量変化率とは、JIS K2207「石油アスファルト−薄膜加熱試験法」により測定される薄膜加熱質量変化率(質量%)を指し、負の値は質量の減量を意味する。
(再生添加剤組成物のアニリン点)
本発明のアスファルト再生添加剤組成物のアニリン点は70℃以上100℃以下が好ましい。アニリン点が70℃未満であるとPCAが3質量%以上になる恐れがあり、環境、人体への負荷が大きくなるため好ましくない。かかる理由から、80℃以上がより好ましく、85℃以上がさらに好ましい。一方、100℃を超えると劣化アスファルトの繰り返し再生性が充分でなくなるため好ましくない。かかる理由から、97℃以下がより好ましく、94℃以下がさらに好ましい。
なお、ここでいうアニリン点とは、JIS K2256「石油製品アニリン点及び混合アニリン点試験方法」により測定されるアニリン点(℃)を意味する。
(再生添加剤組成物の密度)
本発明のアスファルト再生添加剤組成物の15℃における密度は0.900〜0.950/cmであることが好ましい。再生添加剤組成物の15℃における密度が0.900g/cm未満だと、軽質成分を多く含むため、舗装廃材の再生時に白煙が生じやすくなり好ましくない。よって、密度の下限は0.910g/cm以上がより好ましい。一方、密度の上限は0.950g/cmを超えると芳香族成分の割合が高く、PCAが3質量%以上になる恐れが生じ、環境、人体への負荷が大きくなるため好ましくない。かかる理由から0.940g/cm以下がより好ましい。
なお、ここでいう密度とはJIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法」により測定される15℃における密度(g/cm)を意味する。
(再生添加剤組成物の製造−鉱油)
本発明のアスファルト再生添加剤組成物は、動粘度、多環芳香族分(PCA)、引火点、芳香族分(%CA)、ガスクロ蒸留による初留点が上述の範囲内にあれば特に限定されるものではないが、以下に述べる鉱油を1種あるいは2種以上使用して製造することが好ましい。
本発明の再生添加剤組成物に使用される鉱油を製造する際に用いる原油は特に限定されるものではないが、例えば、ペンシルベニヤ原油、ミナス原油、大慶原油等のパラフィン基原油、カリフォルニア原油、テキサス原油、ベネズエラ原油等のナフテン基原油、ミッドコンチネント原油、アラビア原油、ガッチサラン原油、カフジ原油、マヤ原油、ニュートラルゾーンスペシャル原油、フート原油、クェート原油、ラタウェー原油、アルライアン原油、エオシン原油、ソリューシュ原油等の混合基原油等が好ましく用いられる。
本発明のアスファルト再生添加剤組成物に使用される鉱油は、特に限定されるものではないが、上述の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留し、得られた留分を使用することが好ましい。減圧蒸留工程から得られた留分は、プロパン脱れき等で代表される溶剤脱れき、フルフラール抽出等で代表される溶剤抽出、MEK(メチルエチルケトン)を用いてろう分を除去するMEK脱ろう等で代表される溶剤脱ろう、水素化分解溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の処理を適宜組み合わせて精製されることがさらに好ましい。特に原油を減圧蒸留して得られる潤滑油留分を、フルフラールを用いて潤滑油留分中の芳香族化合物やレジン分をとり除くフルフラール抽出により得られるラフィネート及びそのラフィネートをさらに水素化精製・MEK脱ろう等を組み合わせて処理して得られる精製ラフィネート、減圧蒸留残渣油から潤滑油留分を抽出することを目的として行うプロパン脱れきにより得られるPDAエキストラクト、PDAエキストラクトをフルフラール抽出して得られるPDAフルフラールエキストラクト、PDAエキストラクトをフルフラール抽出して得られたPDAフルフラールラフィネートをMEK脱ろう・水素化精製等を組み合わせて処理して得られる高粘度高級潤滑油成分(ブライトストック)などが好適に用いられる
(鉱油の好ましい性状)
本発明のアスファルト再生添加剤組成物に使用する鉱油の性状は、最終製品である再生添加剤組成物の動粘度、多環芳香族分(PCA)、引火点、芳香族分(%CA)、ガスクロ蒸留による初留点が上述の範囲内にあれば特に限定されるものではないが、以下の性状を有することが好ましい。
本発明にかかる鉱油の引火点は190℃以上であることが好ましい。鉱油の引火点が
190℃未満の場合は、アスファルト舗装混合物の製造時の安全性が低下するため好ましくない。かかる理由から引火点は、200℃以上がより好ましく、210℃以上がさらに好ましい。また、15℃における密度は0.85〜0.95/cmであることが好ましい。鉱油の15℃における密度が0.85g/cm未満だと、軽質成分を多く含むため、舗装廃材の再生時に白煙が生じやすくなり好ましくない。よって、密度の下限は0.88g/cm以上がより好ましく、0.90g/cm以上がさらに好ましい。一方、密度の上限は0.95g/cmを超えると芳香族成分の割合が高く、PCAが3質量%以上になる恐れが生じ、環境、人体への負荷が大きくなるため好ましくない。かかる理由から0.94g/cm以下がより好ましい。
なお、ここでいう引火点とはJIS K2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」のクリーブランド開放式引火点試験方法により測定される引火点(℃)を、密度とはJIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法」により測定される15℃における密度(g/cm)を意味する。
(再生添加剤の使用方法)
本発明のアスファルト再生添加剤組成物は、プラント再生工法においても、路上再生工法においても使用できる。プラント再生工法では、バッチ式プラント、または連続式プラントにて再生が行われるが、本発明のアスファルト再生添加剤組成物はこれらプラントの形式によらず使用できる。骨材、アスファルト、再生骨材を混合するプラントミキサーに本発明のアスファルト再生添加剤組成物を所定量添加し、ミキシングすることで再生アスファルト混合物が製造できる。一方、路上再生工法では、リミックス方式とリペーブ方式があるが、本発明のアスファルト再生添加剤組成物はこれらの方式によらず使用できる。すなわち、リミックス方式においては加熱、かきほぐした既設表層混合物に本発明のアスファルト再生添加剤組成物を加え、これと新規アスファルト混合物とを混合して敷きならし、締め固めることができる。またリペーブ方式では、加熱、かきほぐした既設表層混合物に本発明のアスファルト再生添加剤組成物を加え、攪拌し敷きならしたうえ、その上部に新規アスファルト混合物を敷きならして、これらを同時に締め固めることができる。
本発明のアスファルト再生添加剤組成物の舗装廃材への添加量は、舗装廃材中の劣化したアスファルトの針入度および伸度などを所望の値にまで回復させるのに必要な量であり、
舗装廃材中の劣化したアスファルト100重量部に対し4〜30重量部であることが望ましい。この量が4重量部未満の場合、添加剤が劣化アスファルト全体に行き渡らず不均一な再生となる。一方、30重量部を超える場合、再生効果が過剰となり、特に針入度が所望の値を越えてしまう。かかる理由から好ましい添加量は5〜25重量部、さらに好ましくは、6〜20重量部である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
[実施例および比較例]
(鉱油)
添加剤1〜12を製造するのに使用した鉱油の性状を表1に示す。
鉱油Aはナフテン基原油を常圧蒸留して得られた残油を減圧蒸留処理し、得られた留出油を水素化精製し、動粘度(40℃)が560mm/s程度になるように調製したものである。
鉱油Bはナフテン基原油を常圧蒸留して得られた残油を減圧蒸留処理し、得られた留出油を水素化精製し、動粘度(40℃)が320mm/s程度になるように調製したものである。
鉱油Cはナフテン基原油を常圧蒸留して得られた残油を減圧蒸留処理し、得られた留出油を水素化精製し、動粘度(40℃)が46mm/s程度になるように調製したものである。
鉱油Dはナフテン基原油を常圧蒸留して得られた残油を減圧蒸留処理し、得られた留出油を水素化精製し、動粘度(40℃)が8mm/s程度になるように調製したものである。
鉱油Eはナフテン基原油を常圧蒸留して得られた残油を減圧蒸留処理し、得られた留出油を硫酸白土処理し、動粘度(40℃)が340mm/s程度になるように調製したものである。
鉱油Fは混合基原油を常圧蒸留して得られた残油を減圧蒸留処理し、その減圧蒸留残渣油をプロパン脱れきして得られるエキストラクトを、さらにフルフラール抽出処理して得たラフィネートを、水素化精製ならびにMEK脱ろう処理を施すことによって得られたブライトストックである。
鉱油Gは混合基原油を常圧蒸留して得られた残油を減圧蒸留処理し、得られた留出油をフルフラール抽出し、そのラフィネートをさらに水素化精製ならびにMEK脱ろう処理を施し、動粘度(40℃)が90mm/s程度になるように調製したものである。
鉱油Hは混合基原油を常圧蒸留して得られた残油を減圧蒸留処理し、得られた留出油をフルフラール抽出し、そのラフィネートをさらに水素化精製ならびにMEK脱ろう処理を施し、動粘度(40℃)が46mm/s程度になるように調製したものである。
鉱油Iは混合基原油を常圧蒸留して得られた残油を減圧蒸留処理し、得られた留出油をフルフラール抽出し、そのラフィネートをさらに水素化精製ならびにMEK脱ろう処理を施し、動粘度(40℃)が13mm/s程度になるように調製したものである。
鉱油Jは混合基原油を常圧蒸留して得られた残油を減圧蒸留処理し、その減圧蒸留残渣油をプロパン脱れき処理して得られるエキストラクトを、さらにフルフラール抽出処理して得られたエキストラクトであり、動粘度(40℃)が4800mm/s程度になるように調製したものである。
なお、鉱油の性状は下記の方法にて分析した。
密度(15℃)はJIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法」により測定される15℃における密度(g/cm)を指す。
引火点(COC)はJIS K2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」のクリーブランド開放式引火点試験方法により測定される引火点(℃)を指す。
動粘度(40℃、100℃)はJIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される40℃、100℃における動粘度(mm/s)を指す。
芳香族分(%CA)はASTM D3238“Standard Test Method for Calculation of Carbon Distribution and Structural Group Analysis of Petroleum Oils by the n-d-M Method”により測定される全炭素数に対する芳香族環炭素数の百分率(%)を指す。
PCA含有量は”The Institute of Petroleum”のIP346/92 ”Determination of polycyclic aromatics in unused lubricating base oils and asphaltene free petroleum fractions - Dimethyl sulphoxide extraction refractive index method”の方法に準拠して得られる縮合多環芳香族の含有量(質量%)のことを指す。
アニリン点はJIS K2256「石油製品アニリン点及び混合アニリン点試験方法」により測定されるアニリン点(℃)を指す。
(アスファルト再生添加剤)
上記の鉱油単独または他の鉱油とを所定の重量比で混合し、60℃下で15分攪拌混合し均一なアスファルト再生添加剤組成物:添加剤1〜12を得た。混合比率、混合後の性状を表2に示す。また、後述する煙度試験の結果も表2に併記した。
なお、表2に示したアスファルト再生添加剤組成物の性状は下記の方法にて分析した。
密度(15℃)はJIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法」により測定される15℃における密度(g/cm)を指す。
引火点(COC)はJIS K2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」のクリーブランド開放式引火点試験方法により測定される引火点(℃)を指す。
動粘度(40℃、60℃、100℃)はJIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される40℃、60℃、100℃における動粘度(mm/s)を指す。
芳香族分(%CA)はASTM D3238“Standard Test Method for Calculation of Carbon Distribution and Structural Group Analysis of Petroleum Oils by the n-d-M Method”により測定される全炭素数に対する芳香族環炭素数の百分率(%)を指す。
PCA含有量は”The Institute of Petroleum”のIP346/92 ”Determination of polycyclic aromatics in unused lubricating base oils and asphaltene free petroleum fractions - Dimethyl sulphoxide extraction refractive index method”の方法に準拠して得られる多環芳香族炭化水素の含有量(質量%)のことを指し、負の値は質量の減量を意味する。
GC蒸留の初留点は、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」のガスクロマトグラフ法蒸留試験方法により測定される初留点を意味する。
薄膜加熱試験後の質量変化率はJIS K2207「石油アスファルト−薄膜加熱試験法」により測定される薄膜加熱質量変化率(質量%)を指し、負の値は質量の減少を意味する。
(煙度試験)
薄膜加熱試験用の試験皿に再生添加剤組成物を50gとり、その試験皿を直径15cm、高さ20cmのガラスの容器に入れ、アルミ箔によりガラス容器の蓋をする。163℃に加熱した恒温槽の中にこのガラス容器を入れる。5時間後、ガラス容器を取り出し、ガラス容器内を目視観察し、加熱により生じた白煙の発生度合いを評価する。この試験を煙度試験と呼ぶこととする。すなわち、白煙の発生度合いが小さく、ガラス容器の向こう側が良好に見える場合を○とする。白煙の発生度合いが大きく、ガラス容器の向こう側が非常に見づらい場合を×とする。その中間を△とし評価した。
表2に示すように、薄膜加熱質量変化率(減量)が3質量%を超える添加剤9〜11は、いずれも白煙の発生度合いが大きいという結果になった。従って、薄膜加熱質量変化率(減量)が3質量%を超えると、実際の再生プラントにおける使用時においても多量の発煙が生じると推測でき、アスファルト再生添加剤として使用するには不適であることが分かる。
(劣化アスファルト)
針入度70のストレートアスファルトを薄膜加熱試験にて163℃、5時間試験した後、
さらに米国SHRPが提案する加圧促進劣化試験により劣化アスファルトを得た。すなわち温度100℃、空気圧2.07MPaの条件下で20時間試験を行い、劣化アスファルトAを得た。さらに、劣化アスファルトAを加圧促進劣化試験により温度100℃、空気圧2.07MPaの条件下でさらに20時間試験を行い、劣化程度がさらに進んだ劣化アスファルトBを得た。劣化アスファルトA及びBの性状を表3に示す。
針入度(25℃)はJIS K2207「石油アスファルト−針入度試験方法」により測定される針入度を指す。
伸度(15℃)はJIS K2207「石油アスファルト−伸度試験方法」により測定される15℃における伸度を指す。
(実施例1〜9、比較例1、2)
加熱溶融状態の劣化アスファルトに目標針入度70となるように添加剤1〜8を添加、攪拌し再生を行った。得られた再生アスファルトの物性を測定し、その再生効果を確認した。再生アスファルトの性状を表4に示す。再生アスファルトの性状は下記の方法にて分析を行った。
針入度(25℃)はJIS K2207「石油アスファルト−針入度試験方法」により測定される針入度を指す。
軟化点はJIS K2207「石油アスファルト−軟化点試験方法」により測定される軟化点(℃)を指す。
伸度(15℃)はJIS K2207「石油アスファルト−伸度試験方法」により測定される15℃における伸度を指す。
密度はJIS K2207「石油アスファルト−密度試験方法」により測定される15℃に換算した密度(g/cm3)を指す。
薄膜加熱試験後の質量変化率はJIS K2207「石油アスファルト−薄膜加熱試験法」により測定される薄膜加熱質量変化率(質量%)を指し、正の値は質量の増量、負の値は質量の減量を意味する。
薄膜加熱試験後の針入度残留率はJIS K2207「石油アスファルト−薄膜加熱試験方法」により測定される薄膜加熱後の針入度の原針入度に対する百分率(%)を指す。
実施例1〜9の再生後のアスファルト性状は、いずれも表5に示す日本道路協会の定める道路舗装用ストレートアスファルトの規格を満足するものである。なお、表4に記載していないが、引火点(COC)、トルエン可溶分、蒸発試験後の針入度比も表5の日本道路協会の定める規格を満たすものであった。
比較例1及び比較例2の添加剤8は芳香族分(%CA)の値が小さいため、再生後のアスファルトの15℃における伸度がそれぞれ50cm、30cmと小さく、日本道路協会の定める道路舗装用ストレートアスファルトの規格を満足する試料に再生できなかった。
比較例3〜5の添加剤9〜11は、薄膜加熱試験後の質量の減少割合が大きいため、前述の煙度試験の結果が悪く、アスファルト再生添加剤として使用するには、合材プラントにおける再生混合物の製造およびその施工性の問題から不適であることがわかる。
比較例6の添加剤12は、PCA含有量が5.2質量%と3質量%を超えるため、環境、人体への負荷が大きくなるため、アスファルト再生添加剤として使用するには不適であることがわかる。
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Claims (3)

  1. 鉱油を1種あるいは2種以上使用して製造される、60℃における動粘度が30〜200mm2/s、多環芳香族分(PCA)が3質量%未満、引火点が220℃以上、芳香族分(%CA)が10〜20%、ガスクロ蒸留による初留点が280℃以上であることを特徴とするアスファルト再生添加剤組成物。
  2. 鉱油を1種あるいは2種以上使用して製造される、薄膜加熱質量変化率が−3.0〜0質量%であることを特徴とする請求項1記載のアスファルト再生添加剤組成物。
  3. 鉱油を1種あるいは2種以上使用して製造される、ガスクロ蒸留による初留点が285℃以上であることを特徴とする請求項1または2記載のアスファルト再生添加剤組成物。
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