JP4028949B2 - 再生アスファルト用添加剤及び再生アスファルト舗装材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、特定の性状を有する再生アスファルト用添加剤及び該添加剤を配合してなる再生アスファルト舗装材に関する。
さらに詳しくは、アスファルト舗装廃材等の劣化アスファルトの繰り返し再生能力に優れ、アスファルト舗装廃材の廃棄用地不足や環境破壊などの問題を改善し得ると共に、多環芳香族の含有量が低く、安全性の高い再生アスファルト用添加剤及び再生アスファルト舗装材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アスファルト舗装廃材等の劣化アスファルトは、産業廃棄物として処分されてきたが、近年、廃棄用地不足や環境破壊などの問題、及び省資源などの観点から、その再生利用が試みられてきた。さらに最近では、アスファルト舗装廃材を再生してアスファルト舗装に使用した後、あるいは工事などでアスファルト舗装廃材になったものについても再々生して使用できること、すなわち、アスファルト舗装廃材の繰り返し再生が要求されつつある。
このアスファルト舗装廃材中のアスファルト分はかなり劣化が進行しており、これを再生して再利用するには、通常、まずアスファルト舗装廃材を機械粉砕又は熱解砕により破砕し、次いでこれに再生用添加剤を混合して加熱軟化処理するか、あるいは、該破砕物を加熱軟化処理したのち、これに再生用添加剤を混合することにより、加熱再生アスファルト混合物を調製し、施工するといった方法が用いられている。この際用いられる再生用添加剤は、アスファルト舗装廃材中のアスファルトの針入度、伸度その他の性状を回復するために添加されるものである。
【0003】
かかる劣化アスファルト再生用添加剤としては、従来高芳香族系鉱油が多く用いられてきたが、最近、高芳香族系鉱油に含まれる多環芳香族炭化水素(PCA)の有害性が問題となっている。
特に、再生アスファルト舗装材においては、舗装材粉塵として環境を汚染することとなるため、再生アスファルト添加剤である高芳香族系鉱油中のPCAを低減することが求められている。
しかし、現在用いられている高芳香族系鉱油の中にはPCAが多量含まれており、PCAを低減させた再生用添加剤の開発が急がれている。
また、逆にPCA含有量の低い一般市販の精製鉱油では、劣化したアスファルトを初期の物性(特に伸度)に回復させることは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、従来のものに比べ、人体に有害なPCAの含有量が低く安全であり、かつ劣化アスファルトの繰り返し再生能力に優れ、アスファルト舗装廃材の廃棄用地不足や環境破壊などの問題を改善しうると共に、省資源化が可能なアスファルト舗装廃材等の再生用添加剤及びそれを用いて得られた再生アスファルト舗装材を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、PCAの含有量が一定以下であり、動粘度、アニリン点及び芳香族分(%CA)が特定の範囲にある添加剤及びこのものを特定の割合で配合した再生アスファルト舗装材がこの目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、多環芳香族含有量が3重量%未満であり、かつ温度40℃における動粘度が250〜800mm2 /secであり、かつアニリン点が70〜100℃であり、かつ芳香族分(%CA)が12〜22重量%であることを特徴とする再生アスファルト用添加剤及び当該再生アスファルト用添加剤を、アスファルト舗装廃材に対し、その中のアスファルト分の重量に基づき、1〜30重量%の割合で配合してなる再生アスファルト舗装材を提供するものである。
【0006】
本発明に使用する添加剤は、各種用途に供された劣化アスファルトの再生に適用されるが、特にアスファルト舗装廃材に好適に適用される。ここでアスファルト舗装廃材については各種のものが挙げられるが、各種工事の際に発生するアスファルト舗装廃材、例えば地下鉄工事,地下配管工事,道路舗装工事などの際に発生するアスファルト舗装廃材を挙げることができる。このアスファルト舗装廃材としては、そのアスファルトが針入度20以上、とりわけ25以上のものが、再生しやすいので好適である。なお、針入度はJIS K−2207に準じ、25℃にて求めた値であり、単位は1/10mmである。(以下同じ。)
【0007】
本発明に使用する添加剤は、PCA含有量が3重量%未満であり、かつ温度40℃における動粘度が250〜800mm2 /secであり、かつアニリン点が70〜100℃であり、かつ芳香族分(%CA)が12〜22重量%のものである。 このPCA含有量が3重量%以上であると、安全性が低下し、環境汚染を引き起こすこととなる。
動粘度が250mm2 /sec未満では繰り返し再生性が不充分であり、800mm2 /secを超えると再生プラントにおけるハンドリングが煩雑になる。繰り返し再生性及びハンドリングなどの面から、温度40℃における好ましい動粘度は400〜750mm2 /secの範囲である。
アニリン点が70℃未満であるとPCA含有量が3%以上となる可能性が高く安全性が問題となり、100℃を超えると繰り返し再生性が不充分となる。繰り返し再生性を良好なものにするには、好ましいアニリン点は70〜90℃である。
また、芳香族分(%CA)が12重量%未満であるとアニリン点が上昇し、繰り返し再生が不充分となり、22重量%を超えるとPCA含有量が3重量%以上となる。安全性及び繰り返し再生などの面からは、好ましい芳香族分(%CA)は、15〜22重量%である。
なお、PCA含有量、動粘度、アニリン点及び芳香族分(%CA)は、それぞれIP 346/92、JIS K−2283、JIS K−2256及びASTM D−3238に準拠して求めた値である。
【0008】
添加剤は、このような性状を有する鉱油であれば、特に限定されないが、石油精製の溶剤抽出工程から得られるラフィネ−ト油が適当である。
ラフィネ−ト油としては、様々なものがあるがあるが、そのうちナフテン系油の溶剤抽出精製時に得られるラフィネ−ト油が好適である。このナフテン系油の溶剤抽出精製時に得られるラフィネ−ト油は、パラフィン系油などの精製時に得られるラフィネ−ト油に比べて、同様な組成(飽和分,芳香族分,レジン分)を有していてもアニリン点が低く、化学構造がかなり異なるものと推定される。アニリン点が低いラフィネ−ト油は繰り返し再生性が良好であり、したがって、ナフテン系油の溶剤抽出精製時に得られるラフィネ−ト油が特に好適である。
【0009】
次に、本発明の再生アスファルト舗装材は、アスファルト舗装廃材に対し、上記添加剤を配合して再生したものであって、その配合量は、該舗装廃材中のアスファルトの針入度及び伸度などを所望の値にまで回復させるのに必要な量であり、本発明においては、舗装廃材中のアスファルト分の重量に基づき、1〜30重量%の範囲で選定すべきである。この量が1重量%未満では、再生アスファルト舗装材は、その中のアスファルトの針入度及び伸度などが所望の値にまで回復せず、再生効果が不充分であって、舗装した場合に舗装面にひび割れが発生するなどの問題が生じるおそれがある。また、30重量%を超えると再生効果が過剰となり、特に針入度が所望の値を超え、耐流動性能が低下する傾向がみられる。適切な再生効果及び耐流動性能などの面から、特に好ましい配合量は3〜17重量%の範囲である。
この本発明の再生アスファルト舗装材は、舗装面にひび割れが発生するなどの問題もなく、各種舗装工事に好適に用いられる。
【0010】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0011】
(1) 添加剤の製造
実施例1
ナフテン基系原油を常圧蒸留して得られた残油を減圧蒸留し、得られた留出油をフルフラ−ル溶剤で溶剤/油(重量比)1.2の条件で溶剤抽出を行った。次いで得られたラフィネ−トを水素化処理した。
実施例2
溶剤/油(重量比)を1.0とした以外は実施例1と同様にして溶剤抽出までを行ない、得られたラフィネ−トを水素化処理した。
実施例3
溶剤/油(重量比)を0.8とした以外は実施例1と同様にして溶剤抽出までを行ない、得られたラフィネ−トを脱酸蒸溜した。
実施例4
アスファルテン分が0.3重量%のナフテン基系原油減圧蒸留残さ油に、温度40℃における動粘度が約90mm2 /secでPCA含有量が3重量%未満の潤滑油基油を40容量%混合し、次いでフルフラ−ル溶剤で溶剤/油(重量比)1.0の条件で溶剤抽出を行いラフィネ−トとして得た。
【0012】
比較例1
従来品(芳香族系市販添加剤 PCA含有量9.6重量%)
比較例2
従来品(芳香族系市販添加剤 PCA含有量15.6重量%)
比較例3
一般市販精製鉱油(PCA含有量0.5重量%)
これらの方法で得られた各添加剤の性状を第1表に記載する。
【0013】
【表1】
【0014】
(2) 再生効果の確認
針入度60〜80の新ストレ−トアスファルトを、200℃の乾燥機で強制劣化させ、針入度25、軟化点60.5℃、伸度6.5cmの劣化アスファルトを得た。
この劣化アスファルトに、目標針入度70±1となるように各添加剤を添加し、加熱混合し再生した。
得られた再生アスファルトの針入度、軟化点及び伸度を測定し、添加剤による再生効果を確認した。
【0015】
【表2】
【0016】
(3) 再生効果の比較
実施例1の添加剤はPCA含有量が3重量%未満であり、比較例1、2のPCA3重量以上の高芳香族系市販添加剤を使用した場合に比べ、針入度及び軟化点は同レベルまで回復し、伸度の回復は若干劣るが、ある程度回復している。
実施例2、3、4の添加剤はPCA含有量が3重量%未満であり、比較例1、2のPCA含有量が3重量以上の高芳香族系市販添加剤を使用した場合に比べ、針入度、軟化点、伸度共に同レベルまで回復している。
比較例3の添加剤はPCA含有量が3重量%未満であり、比較例1、2のPCA含有量が3重量以上の高芳香族系市販添加剤を使用した場合に比べ、針入度及び軟化点は同レベルまで回復し、伸度の回復は不十分である。
【0017】
【発明の効果】
本発明のアスファルト再生用添加剤は、従来のものに比べ、人体に有害なCPAの含有量が低く安全であり、かつ舗装材の繰り返し再生能力に優れたものである。
また、本発明の再生アスファルト舗装材は、舗装面にひび割れが発生するなどの問題もなく、各種舗装工事に好適に用いられる。
Claims (2)
- 多環芳香族含有量が3重量%未満であり、かつ温度40℃における動粘度が250〜800mm2/secであり、かつアニリン点が70〜100℃であり、かつ芳香族分(%CA)が12〜22重量%の鉱油であることを特徴とする再生アスファルト用添加剤。
- 請求項1に記載の再生アスファルト用添加剤を、アスファルト舗装廃材に対し、その中のアスファルト分の重量に基づき、1〜30重量%の割合で配合してなる再生アスファルト舗装材。
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