(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る時計装置100の外観を示す正面図である。時計装置100は、筐体200と、文字盤201と、秒針(第1指針)202と、分針(第2指針)203と、時針(第2指針)204とを備えている。文字盤201には、指針の回転位置により、秒、分、又は、時が示されるように、円形、方形及び線状の指標が、指針の回転中心を中心とする円周上に複数配列されている。
時計装置100は、光センサ160を備えている。光センサ160は、受光した光量に応じた信号を出力するものであり、例えば、時計装置100の筐体200から前面側(文字盤側)に露出して設けられ、時計装置100の文字盤側の光量を検出する。時計装置100は、光センサ160の検出する光量が所定の閾値未満になったときに秒針202を停止させることにより、夜間における秒針202の停止を実現する。なお、時計装置100は、秒針202を停止させる際に、秒針202を所定の基準位置(例えば0秒の位置)に送り、その基準位置にて停止させる。
図2は時計装置100の信号処理系回路を示すブロック構成図、図3時計装置100のムーブメント211の全体構成を示す断面図、図4はムーブメント211の要部の平面図である。
図において、10は信号処理系回路、11は標準電波信号受信系、12はリセット/強制受信スイッチ、13Aは第1の発振回路、13Bは第2の発振回路、14は制御回路、15はドライブ回路、16は発光素子、17はバッファ回路、18,19はドライブ回路、20はアラーム用アンプ、21はスピーカ、VCCは電源電圧、C1 〜C5 はキャパシタ、R1〜R6は抵抗素子、120は秒針を駆動する第1駆動系、130は指針である分針および時針を駆動する第2駆動系、140は光透過型光検出センサ、150は利用者が手により直接時刻合わせを行う手動修正系をそれぞれ示している。
光センサ160の検出信号は制御回路14へ出力される。制御回路14は、光センサ160からの検出信号に基づいて、時計装置100の前面側の光量が所定の閾値未満であるか否かを判定する。
標準電波信号受信系11は、受信アンテナ11aと、たとえばキー局から送信された時刻コード信号を含む長波(たとえば40kHz)を受信し所定の信号処理を行い、パルス信号S11として制御回路14に出力する長波受信回路11bとから構成されている。この長波受信回路11bは、たとえばRFアンプ、検波回路、整流回路、および積分回路により構成される。
なお、標準電波信号受信系11で受信される、日本標準時を高精度で伝える長波(40kHz)の標準電波は、図5(a)に示すような形態で送られてくる。
具体的には、「1」信号の場合には1秒(s)の間に500ms(0.5s)だけ40kHzの信号が送られ、「0」信号の場合には1秒(s)の間に800ms(0.8s)だけ40kHzの信号が送られ、「P」信号の場合には1秒(s)の間に200ms(0.2s)だけ40kHzの信号が送られてくる。
受信状態が良好な場合には、長波受信回路11bからは図5(b)に示すように、40kHzの有無に応じたパルス信号として信号S11が制御回路14に出力される。
図6は、標準時刻電波信号の時刻コードの一例を示している。
現在の日本の長波標準電波は、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の運用のもとで、福島県より送信されており、送信情報は、分・時・1月1日からの積算日となっている。
時刻データの送信は、1bit/秒で1分間を1フレームとしており、このフレーム内に前述した分・時・1月1日からの積算日の情報がBCDコードで提供されている。また送信されるデータは、0・1の他にPコードというマーカーが含まれており、このPコードは1フレームに数カ所あり、正分(0秒)、9秒、19秒、29秒、39秒、49秒、59秒に現れる。このPコードが続けて現れるのは1フレーム中1回で59秒、0秒の時だけで、この続けて現れる位置が正分位置となる。つまり分・時データなどの時刻データはこの正分位置を基準としてフレーム中の位置が決まっているためこの正分位置の検出を行わないと時刻データを取り出すことはできない。
なお、現在の標準電波は以前(実験局当時)の送信データに加え、年下2桁、曜、分パリティ、時パリティ、サマータイム導入の際に使用予定である予備ビット、うるう秒が追加されている(図6(a)参照)。また、毎時15分、45分には電波の送信を中断する停波情報も付加されている(図6(b)参照)。
リセット/強制受信スイッチ12は、制御回路14の各種状態を初期状態に戻すときにオンにされる。
このリセット/強制受信スイッチ12がオンされたとき、または図示しない電池をセットしたときに本電波修正時計は、標準時刻電波信号を強制的に受信して修正を行う修正モード(強制修正モード)になる。
発振回路13Aは、セラミック発振器CRMおよびキャパシタC2,C3により構成され、所定周波数、たとえば800kHzの基本クロックCLKAを制御回路14に供給する。
発振回路13Bは、水晶発振器CRYおよびキャパシタC4,C5により構成され、所定周波数、たとえば32kHzの基本クロックCLKBを制御回路14に供給する。
図7に示すように、制御回路14は、制御部1041、システムクロック発生回路1042、計時部1043、計時タイマ1044、アラーム発生回路1045、タイマ回路1046、受信コード判定回路1047、および位置検出/修正回路1048を有している。なお、各部はコンピュータにより構成されてもよいし、論理回路として構成されてもよい。
制御部1041は、内部時計1041aを有している。内部時計1041aは、たとえば図示しない分針カウンタ、秒針カウンタ、標準分・秒カウンタ等を含んで構成されている。例えば制御部1041がコンピュータにより構成されている場合、各種カウンタはRAM等の記憶手段により構成され、カウント制御(計時)は、CPUがシステムクロックに基づいて記憶手段に記憶されている時刻を更新することにより行われる。
制御部1041は、標準電波信号受信系11によるパルス信号S11を受けて、受信コード判定回路1047で、受信時刻コードをタイマ回路1046による32Hzのサンプリング信号でサンプリングさせ、受信した標準電波信号の受信状態をあらかじめ決められた基準範囲と比較し、受信状態が基準範囲内にある場合には、位置検出/修正回路1048に制御信号CTL1,CTL2 をバッファ17を介して秒針用のステッピングモータ(秒針用駆動源、第1駆動源)121および時分針用のステッピングモータ(時分針用駆動源、第2駆動源)131に出力させて指針位置の初期設定をし、受信状態が基準範囲内にない場合には、制御信号CTL1,CTL2 を出力させずに、ドライブ信号DR1 をドライブ回路15に出力して、発光素子16を発光させてユーザに電波受信がほとんどできない旨を報知させる。
また、受信状態が基準範囲内にある場合に指針位置を検出した後、受信コード判定回路1047で、受信時刻コードをタイマ回路1046による32Hzのサンプリング信号でサンプリングさせて受信した電波信号をデコードし、デコードの結果、時刻化が可能である場合には、発振回路13Aによる基本クロックCLKAに基づいて、システムクロック発生回路1042で生成されたシステムクロックS1042基づいて各種カウンタのカウント制御並びに光検出センサによる検出信号DT1 の入力レベルに応じて、位置検出/修正回路1048に制御信号CTL1,CTL2 をバッファ17を介して秒針用のステッピングモータ121および時分針用のステッピングモータ131に出力させて、回転制御を行うことにより時刻修正制御を行う。
一方、デコードの結果、時刻化が不可能である場合には、制御信号CTL1,CTL2 を出力させずに、ドライブ信号DR1 をドライブ回路15に出力して、報知手段としての発光素子16を発光させてユーザに電波受信が良好でない旨を報知させる。
これにより、初期修正モードの動作を完了させる。
また、制御部1041は、初期修正モードの動作を完了させた後、通常修正モードの制御を行う。
通常修正モードにおいては、初期修正モード時の帰零動作後と同様の動作を行う。
具体的には、受信時刻コードをタイマ回路1046による32Hzのサンプリング信号でサンプリングさせ、受信した電波信号をデコードし、デコードの結果、時刻化が可能である場合には、システムクロックS1042に基づいて各種カウンタのカウント制御並びに光検出センサ140による検出信号DT1 の入力レベルに応じて、位置検出/修正回路1048に制御信号CTL1,CTL2 をバッファ17を介して秒針用のステッピングモータ121および時分針用のステッピングモータ131に出力させて、回転制御を行うことにより時刻修正制御を行う。
一方、デコードの結果、時刻化が不可能である場合には、制御信号CTL1,CTL2 を出力せずに、ドライブ信号DR1 をドライブ回路15に出力して、発光素子16を発光させてユーザに電波受信が良好でない旨を報知させる。
システムクロック発生回路1042は、発振回路13Aによる800kHzの基本クロックCLKAを8分周して100kHzのシステムクロックを生成して、制御部1041に供給する。
計時部1043は、制御部1041による時刻化された時刻データを計時し、0.5HzのクロックS1043を計時タイマ1044に供給する。
計時タイマ1044は、発振回路13Bによる32kHzの基本クロックCLKBを分周して4096Hzの信号S1044をアラーム発生回路1045に供給する。
また、計時タイマ1044は、アラーム発生回路145に変調用8Hz、1Hzの信号を供給する。
アラーム発生回路1045は、制御部1041による制御信号S1041がアラーム音の発生を指示しているときは、変調したアラーム信号S1045を生成してアンプ20に出力するとともに、ドライブ信号DR3 をドライブ回路19に供給して、アンプ20に電力を供給させる。
また、アラーム発生回路1045は、制御部1041による制御信号S1041が標準時刻電波の受信モードを指示しているときは、変調しない4096Hzの信号S1045を連続的に出力する。このとき、ドライブ信号DR3 の出力は行わない。
タイマ回路1046は、アラーム発生回路1045による変調しない4096Hzの信号S1045を受けて128分周し、32Hzのサンプリング信号S1046を生成して受信コード判定回路1047に供給する。
受信コード判定回路1047は、図8に示すように、制御部1041を通して入力された受信信号S11を、タイマ回路1046による32Hzのサンプリング信号S1046でサンプリングしてコード判定を行う。
具体的には、1秒を32分割して、ハイ(H)とロー(L)の数からパルス幅を判定する。
なお、上記の説明では、受信状態が基準範囲外にあると判別するときは、電波が弱かったり、ノイズが多いときである。
電波が非常に弱い場合には、図5(c)に示すように、数個の信号分、ローレベル(L)かハイレベル(H)のままになる。
また、ノイズが多いときは、時刻電波と無関係にレベルが変化する。
これらの状態にある信号S11を、たとえば10秒に2回あるいはそれ以上受けたときには、受信状態が基準範囲外にあると判別する。
具体的には、たとえば10秒程度を検出時間として、時間内においてレベルの変化が1秒以内に検出されなかったときおよび検出したパルス幅が0.8、0.5、0.2秒近辺でなかったときをNGとして、NGが2回以上発生したときには受信不可と判断する。
また、制御回路14は、あらかじめ設定した時刻または強制的に標準時刻電波信号を受信して時刻修正を行う場合には、標準電波信号受信系11に駆動電力を供給する。
受信時刻については、たとえば午前(AM)および午後(PM)の6回ずつ設定可能となっている。なお、この時刻については、任意に選択することが可能で、必ずしもAM,PMで6回ずつ受信する必要はない。
そして、この設定受信時刻については、本実施形態に係る電波修正時計は、時刻表示設定についてAM/PMに設定が不可能なアナログ時刻表示を行うものであることから、午前と午後で同一となるように行われる。
ドライブ回路15はpnp型トランジスタQ1および抵抗素子R1 ,R2 により構成されている。
トランジスタQ1のベースが抵抗素子R1 を介して制御回路14のドライブ信号DR1 の出力ラインに接続され、コレクタが抵抗素子R2 を介して発光ダイオードからなる発光素子16のカソードに接続され、エミッタが電源電圧VCCの供給ラインに接続されている。そして、発光素子16のカソードが接地されている。
すなわち、発光素子16は、制御回路14からローレベルのドライブ信号DR1 が出力されたときに発光するようにドライブ回路15に接続されている。
また、ドライブ回路18は、pnp型トランジスタQ2、および抵抗素子R3,R4 により構成されている。
また、ドライブ回路19は、pnp型トランジスタQ3、および抵抗素子R6により構成されている。
トランジスタQ3のベースが抵抗素子R6を介して制御回路14のドライブ信号DR3 の出力ラインに接続され、エミッタが電源電圧VCCの供給ラインに接続され、コレクタがアンプ20の電力供給端子に接続されている。
このドライブ回路19は、たとえば毎正時に制御回路14からドライブ信号DR3 がローレベルで出力されると、トランジスタQ3がオンとなり、アンプ20に駆動電力を供給する。
アンプ20は、ドライブ回路19から駆動電力を受け、かつ制御回路14からアラーム信号S1045を受けて、スピーカ21を鳴動させる。
ムーブメント211は、互いに対向して接続されて輪郭を形成する下ケース111および上ケース112と、この下ケース111および上ケース112で形成される空間内のほぼ中央部において下ケース111と連結した状態で配置される中板113とを備えており、空間内の下ケース111、中板113、上ケース112の所定の位置に対して、第1駆動系120、第2駆動系130、光検出センサ140、手動修正系150等が固定あるいは軸支されている。
第1駆動系120は、図3、図4および図9に示すように、略コ字状のステータ121a、このステータ121aの一方側の脚片に巻回された駆動コイル121b、このステータ121aの他方の磁極間において回動自在に配置されたロータ121cにより構成された秒針用ステッピングモータ121と、ロータ121cのピニオン121c’に大径歯車122aが噛合した第1の5番車122と、この第1の5番車122の小径歯車122bに噛合した秒針車123とにより構成されている。なお、第1の5番車122及び秒針車123はそれぞれ、本発明の秒針用歯車及び第1歯車の一例である。
ここで、秒針用ステッピングモータ121は、ステータ121aが中板113に載置して固定され、ロータ121cが中板113と上ケース112とに軸支されており、制御回路14の出力制御信号CTL1 に基づいて、その回転方向、回転角度および回転速度が制御される。
第1の5番車122は、大径歯車122aの歯数が60個、小径歯車122bの歯数が15個に形成され、下ケース111および上ケース112に回動自在に軸支され、その大径歯車122aが秒針用ステッピングモータ121のロータ121c(ピニオン121c’)と噛合して、ロータ121cの回転速度を所定速度に減速させる。この第1の5番車122には、図11に示すように、秒針車123と重なる領域において周方向に等間隔(中心角α1が120°)で配置された3個の円形状をなす透孔(秒針用透孔、第1指標)122cが形成されている。この透孔122cは、光検出センサ140の検出光を通過させるだけでなく、少なくともその1つは、第1の5番車122を組付ける際の位置決め孔(度決め孔)として用いられるものである。
秒針車123は、大径歯車123aの歯数が60個に形成され、その軸部の一端が上ケース112に軸支され、中板113を下ケース111側に貫通したその他端側には秒針軸123bが圧入されており、この秒針軸123bは、後述する分針パイプ134pの内部に挿通されている。秒針軸123bの先端には秒針202が取り付けられる。この秒針車123には、図12に示すように、回転により第1の5番車122と重なる領域において周方向に等間隔(中心角α2が30°)で配置された11個の円形状をなす透孔(秒針用透孔、第1指標)123cと、一箇所だけピッチの異なる位置決め遮光部123d(透孔123cと透孔123cとの中心角が60°)とが形成されている。そして、上記第1の5番車122の透孔122cが位置決め遮光部123dに対向した後に最初に透孔123cと対向する時に、秒針が正時を指すように構成されている。
透孔123cは、光検出センサ140の検出光を通過させるだけでなく、少なくともその1つは、秒針車123を組付ける際の位置決め孔(度決め孔)として用いられるものである。
また、これらの透孔123cの内側には、周方向に長尺で回転軸方向に突出する円弧状の付勢ばね123eが、切り欠き孔123fにより画定されている。この円弧状付勢ばね123eは、秒針車123をその回転軸方向に付勢するものである。
ここで、位置決め遮光部123dは、周方向において切り欠き孔123fから離れた位置、すなわち、2つの切り欠き孔123fが途切れて離れた領域に形成されている。したがって、切り欠き孔123fと位置決め遮光部123eとの距離を十分確保できるため、位置決め遮光部123dの領域において検出光が切り欠き孔123fに回り込むようなことはなく、確実にこの位置決め遮光部123dで検出光を遮ることができる。すなわち、検出光の回り込みによる誤検出を生じ易い切り欠き孔123fを設けた領域から離れた位置に位置決め遮光部123dが形成されていることから、この位置決め遮光部123dを、秒針車123の回転角度位置の位置決めに用いることで、確実な位置決めを行なうことができる。
秒針車123においては、図12に示すように、複数(11個)の透孔123cを設ける代わりに、図13に示すように、位置決め遮光部123dと径方向において対向する位置にある透孔123cのみを残して、その他の透孔123cをそれぞれ切り欠き孔123gと一体的に開けてもよい。これによれば、検出光の通過を許容する部分において、検出光の通過をより一層確実なものとし、また、秒針車122を形成する材料の無駄を低減することができる。
第2駆動系130は、図3、図4、および図10に示すように、時分針用ステッピングモータ131と、駆動源の駆動力を指針に伝達する歯車列137とを備えている。ステッピングモータ131は、略コ字状のステータ131a、このステータ131aの一方側の脚片に巻回された駆動コイル131b、このステータ131aの他方の磁極間において回動自在に配置されたロータ131cにより構成されている。歯車列137は、ロータ131cのピニオン131c’に大径歯車132aが噛合した第2の5番車132と、この第2の5番車132の小径歯車132bに大径歯車133aが噛合した3番車133と、この3番車133の小径歯車133bに大径歯車134aが噛合した分針車(分針用歯車、第2歯車)134と、この分針車134の小径歯車134bに大径歯車135aが噛合した日の裏車135と、この日の裏車135の小径歯車135bに噛合した時針車(時針用歯車、第2歯車)136とにより構成されている。
ここで、時分針用ステッピングモータ131は、ステータ131aが中板113に載置して固定され、ロータ131cが中板113と上ケース112とに軸支されており、制御回路の出力制御信号に基づいて、その回転方向、回転角度および回転速度が制御される。
第2の5番車132は、大径歯車132aの歯数が60個、小径歯車132bの歯数が15個に形成され、中板113および上ケース112に軸支され、その大径歯車132aが時分針用ステッピングモータ131のロータ131c(ピニオン131c’)と噛合して、ロータ131cの回転速度を所定速度に減速させる。なお、この第2の5番車132としては、前述の第1の5番車122を流用、すなわち、透孔122cが設けられたものを用いてもよい。これにより、部品の共用化が行なえ製品のコストを低減することができる。
3番車133は、大径歯車133aの歯数が60個、小径歯車133bの歯数が10個に形成され、軸部の一端が上ケース112に軸支され、他端側が中板113を貫通した状態で回動自在に配設されており、第2の5番車132の回転を減速して分針車134に伝達する。また、3番車133には、図14に示すように、回転により秒針車123および第1の5番車122と重なる領域において周方向に等間隔(中心角α3が36°)で配置された10個の円形状をなす透孔133cが形成されている。この透孔133cは、光検出センサ140の検出光を通過させるだけでなく、少なくともその1つは、3番車133を組付ける際の位置決め孔(度決め孔)として用いられるものである。
分針車134は、大径歯車134aの歯数が60個、小径歯車134bの歯数が14個に形成され、その中央部には小径歯車134bが一体的に形成された分針パイプ134pが、側面視にて略T字形状をなすように形成されている。そして、分針パイプ134pの一端部が中板13に回動自在に軸支され、他端側の軸部は後述する時針車136の時針パイプ136pの内部に回動自在に挿通されている。また、分針パイプ134pは、下ケース111を貫通して時計の文字板側に突出している。分針パイプ134pの先端には分針203が取り付けられる。
また、分針車134には、図15に示すように、回転により秒針車123,第1の5番車122,3番車133と重なる領域において周方向に長尺な3個の円弧状透孔(分針用透孔、第2指標)134c,134d,134eが形成されている。これら円弧状透孔134cと円弧状透孔134dとは、中心角α5で30°隔てて形成され、円弧状透孔134dと円弧状透孔134eとは、中心角α6で30°隔てて形成され、また、円弧状透孔134eと円弧状透孔134cとは、中心角α7で60°隔てて形成されている。すなわち、円弧状透孔134eと円弧状透孔134cとの間に、最も幅の広い遮光部Aが形成され、円弧状透孔134cと円弧状透孔134dとの間および円弧状透孔134dと円弧状透孔134eとの間に、上記遮光部Aよりも幅狭の遮光部Bが形成されている。
また、円弧状透孔134cは、一端側の円形部134c’と、他端側から伸びる幅広円弧部134c’’と、両者を連結する幅狭円弧部134c’’’とにより形成されている。この幅狭円弧部134c’’’により画定される円形部134c’は、検出光を通過させるだけでなく、分針車134を組み付ける際の位置決め孔(度決め孔)として用いられるものである。
時針車136は、大径歯車136aの歯数が40個に形成され、その中央部に円筒状の時針パイプ136pが一体的に取り付けられており、この時針パイプ136pの内部に前述の分針パイプ134pが挿通されている。そして、時針パイプ136pは、下ケース111に形成された軸受け孔111aに挿通されて回動自在に軸支されており、また、その先端側は下ケース111を貫通して時計の文字板側に突出している。時針パイプ136pの先端には時針204が取り付けられる。
また、時針車136には、図16に示すように、回転により秒針車123,第1の5番車122,3番車133,分針車134と重なる領域において周方向に長尺な3個の円弧状透孔(時針用透孔、第2指標)136c,136d,136eが形成されている。これら円弧状透孔136cと円弧状透孔136dとは、中心角α8で45°隔てて形成され、円弧状透孔136dと円弧状透孔136eとは、中心角α9で60°隔てて形成され、また、円弧状透孔136eと円弧状透孔136cとは、中心角α10で30°隔てて形成されており、さらに、円弧状透孔136c,136d,136eの長さは、中心角β1+β2,β3,β4がそれぞれ75°,60°,90°となるように設定されている。すなわち、円弧状透孔136eと円弧状透孔136cとの間に、最も幅の狭い遮光部Cが形成され、円弧状透孔136cと円弧状透孔136dとの間に、遮光部Cよりも幅の広い遮光部Dが形成され、円弧状透孔136dと円弧状透孔136eとの間に、遮光部Dよりも幅の広い遮光部Eが形成されている。
また、円弧状透孔136cは、一端側から中心角β1で7.5°のところに位置する円形部136c’と、他端側から伸びる幅広円弧部136c’’と、両者を連結すると共に円形部136c’の両側に位置する幅狭円弧部136c’’’とにより形成されている。この幅狭円弧部136c’’’により画定される円形部136c’は、検出光を通過させるだけでなく、時針車136を組み付ける際の位置決め孔(度決め孔)として用いられるものである。
日の裏車135は、大径歯車135aの歯数が42個、小径歯車135bの歯数が10個に形成され、下ケース111に形成された突部111bに対して回動自在に軸支されており、大径歯車135aが分針パイプ134pに形成された小径歯車134bに噛合し、また、小径歯車135bが時針車136(136a)に噛合して、分針車134の回転を減速して時針車136に伝達する。
光検出センサ140は、図3に示すように、上ケース112の壁面に固定された回路基板141に取付けられた発光ダイオードからなる発光素子142と、この発光素子142に対向するように、下ケース111の壁面に固定された回路基板143に取付けられたフォトトランジスタからなる受光素子144とにより形成されている。
そして、発光素子142のアノードは一端がpnpトランジスタQ2 のコレクタに接続されたドライブ回路18における抵抗素子R4 の他端に接続され、カソードは、接地されるとともに、受光素子144のエミッタに接続されている。
受光素子144のコレクタは、制御回路14に接続されている。この制御回路との接続ラインは、検出信号DT1 の制御回路14への出力ラインとなっており、この出力ラインは、抵抗素子R5 を介して電源電圧VCCの供給ラインに接続されている。
ドライブ回路18のトランジスタQ2 のエミッタは電源電圧VCCの供給ラインに接続され、ベースは抵抗素子R3 を介してドライブ信号DR2 の出力ラインに接続されている。
すなわち、発光素子142は、制御回路14からローレベルのドライブ信号DR2 が出力されたとき発光するようにドライブ回路18に接続されている。
なお、透過型の光検出センサに代えて反射型のものを用いてもよい。
また、図4に示すように、平面視にて第1の5番車122、秒針車123、3番車133、分針車134、時針車136の全てが同時に重なる位置に配置されている。そして、第1の5番車122の透孔122c、3番車133の透孔133c、秒針車123の透孔123c、分針車の透孔134c(134d、134e)、時針車136の透孔136c(136d、136e)が重なり合った時に、発光素子142から発せられた検出光が受光素子144により受光されて、秒針202、分針203、時針204が正時等の基準時刻を示す基準位置に位置することを出力するようになっている。なお、第1の5番車122、秒針車123、3番車133、分針車134、時針車136が互いに重なり合う領域は本発明の検出領域の一例である。
図3に示すように、さらに、発光素子142は、上ケース112の外側に開口するように形成された取付け凹部112c内に配置されており、この取付け凹部112cの底面には、所定径の円形貫通孔112dが開けられている。この円形貫通孔112dは、発光素子142から発せられる検出光が末広がり状に広がる性質があるため、その広がった部分の光を遮断して収束された光のみを通過させて誤検出を防止できるようにするものである。
同様に、受光素子144は、下ケース111の外側に開口するように形成された取付け凹部111c内に配置されており、この取付け凹部111cの底面には、所定径の円形貫通孔111dが開けられている。この円形貫通孔111dは、発光素子142から発せられ、上記透孔を通過してきた光のみをできるだけ通過させて誤検出を防止できるようにするものである。
第1の5番車122、3番車133、秒針車123、分針車134、時針車136を組付ける場合は、所定の位置決めピンが、下ケース111の円形貫通孔111d、位置決めとして用いられるそれぞれの透孔、および上ケース112の円形貫通孔112dを貫くように、順次に組付ける。そして、上ケース112および下ケース111を接合して一体化した後、位置決めピンを引き抜いて、貫通孔112dが位置する取付け凹部112cに発光素子142を取付け、また、貫通孔111dが位置する取付け凹部111cに受光素子144を取付ける。
これにより、貫通孔112dおよび111dは完全に塞がれ、上ケース112および下ケース111により画定される内部空間に外部の光が侵入するのを防止できる。したがって、外部の光が侵入することによる誤検出を防止できると共に、組付け時の位置決め孔と光検出用の透孔とを兼用していることから、これらの孔を別々に設ける場合に比べて装置の集約化、小型化を行なうことができる。
手動修正系150は、図3および図4に示すように、上述の分針車134の小径歯車134bおよび時針車136の大径歯車136aに噛合する日の裏車135と、この日の裏車135の大径歯車135aに噛合する歯車151aを有する手動修正軸151とにより構成されている。この手動修正軸151は、上ケース112の外部に位置付けられて利用者が直接指を触れることのできる頭部151bと、この頭部151bから伸びて上ケース112に形成された開口112eを貫挿し下ケース111に形成された突部111eに対して軸支された柱状部151cとからなり、この柱状部151cの下方領域に歯車151aが形成されている。
手動修正軸151は、分針車134と同位相で回転するように構成されており、上述の第2駆動系130により分針車134が駆動されているときには日の裏車135を介して分針車134と同相で回転するとともに、第2駆動系130の非作動時には、頭部151bを指で回転させることにより、指針位置を手動修正できるようになっている。
上記のように、秒針車123の秒針軸123bが分針車134の分針パイプ134pに挿通され、分針車134の分針パイプ134pが時針車136の時針パイプ136pに挿通されていることから、秒針車123と、分針車134と、時針車136とは、それぞれの回転中心軸が共通しており、また、時刻表示の際に、秒針が60秒間に1回転、分針が60分間に1回転、時針が12時間に1回転するように駆動される。
分針車134の分針パイプ134pの先端部および時針車136の時針パイプ136pの先端部には、図17に示すように、径方向に所定幅をなして伸びる位置決めのための指標として溝134gおよび溝136gが形成されている。そして、これらの溝134gおよび溝136gが、一直線に並んだとき所定の時刻例えば12時00分を指すように設定されている。
このような位置決め指標を設けたことにより、分針車134および時針車136を下ケース111および上ケース112により囲繞して覆ってしまった後においても、溝134gおよび136gが一直線に並んでいれば予め設定された概略の時刻を指していることが分かるため、その状態を基に分針および時針を容易に取り付けることができ、その他の位置合わせおよび位置確認工程が不要になり、製造ラインおよび検査ラインでの製造時間および検査時間を短縮することができる。なお、位置決め指標としては、上記の溝に限るものではなく、ポッチ等のマークでもよい。
次に、時計装置100の動作を、制御回路14における標準電波受信時の時刻修正を中心に、図18、図19、図20及び図21を参照しながら説明する。
たとえばユーザによりリセット/強制受信スイッチ12がオンされると、制御回路14において、各種状態が初期状態に戻され、強制修正モードとなる(ST1)。このとき、たとえば時計装置100の指針も停止される。
そして、指針位置の検出が行われる(ST2)。
また、このときリセット/強制受信スイッチ12がオンされたことにより、たとえば制御回路14から標準電波信号受信系11に駆動電力が供給されて、標準電波信号が強制受信される(ST3)。
標準電波信号受信系11では、長波受信回路11bから受信状態に応じた時刻コードパルス信号S11が生成され、制御回路14に出力される。
制御回路14では、制御部1041において、受信した標準電波信号の受信状態を示す時刻コードパルス信号S11とあらかじめ決められた基準範囲とが比較される。
また、制御部1041から受信モードである旨を示す制御信号S1041がアラーム発生回路1045に出力される。
また、制御回路14においては、計時タイマ1044で発振回路13Bによる32kHzの基本クロックCLKBを分周して4096Hzの信号S1044としてアラーム発生回路1045に供給される。
アラーム発生回路1045では、制御部1041による制御信号S1041が標準時刻電波の受信モードを示していることから、変調しない4096Hzの信号S1045が連続的に出力される。このとき、ドライブ信号DR3 の出力は行われない。
そして、アラーム発生回路1045による変調しない4096Hzの信号S1045はタイマ回路1046に入力される。タイマ回路1046では、4096Hzの信号S1045が128分周され、32Hzのサンプリング信号S1046が生成されて受信コード判定回路1047に供給される。
受信コード判定回路1047では、制御部1041を通して入力された受信信号S11が、タイマ回路1046による32Hzのサンプリング信号S1046でサンプリングされコード判定が行われる(ST4)。
コード判定の結果、時刻化が可能である場合には、内部時計1041aの計時する時刻の修正が行われるとともに、指針により示される時刻が内部時計1041aの修正後の時刻に一致するように、ステップST2において検出した指針位置と内部時計1041aの計時する時刻とに基づいて指針の早送り修正が行われる(ST5)。
その後、通常修正モードに移行され、内部時計1041aによる時刻の計時(ST6)が行われるとともに指針を所定の周期でステップ駆動させる(一定の速度で駆動させる)通常運針(ST7)が行われる。
通常修正モードにおいては、あらかじめ設定された受信時刻であるか否かの判断が行われ(ST8)、受信時刻であれば、標準電波信号の自動受信が行われる(ST9)。
すなわち、制御回路14から標準電波信号受信系11に駆動電力が供給されて、標準電波信号が受信される。
標準電波信号受信系11では、長波受信回路11bから受信状態に応じたパルス信号S11が生成され、制御回路14に出力される。
そして、制御回路14の受信コード判定回路1047で、受信した標準電波信号の受信状態を示すパルス信号S11とあらかじめ決められた基準範囲とが比較される。すなわち、受信可能か否か判定される(ST10)。
受信可能であり、受信した電波信号がデコードされるデコードの結果、時刻化が可能である場合には、内部時計1041aの計時する時刻の修正が必要に応じて行われる(ST11)。また、内部時計1041aの計時する時刻を修正した場合には、指針により示される時刻が内部時計1041aの修正後の時刻に一致するように、内部時計1041aの時刻の修正量に応じた量の指針の早送り修正が行われる。そして、ステップST6の処理に戻る。
また、ステップST4またはST10において、受信が不可能であると判断された場合には、指針の時刻修正も行われず、ドライブ信号DR1 がハイレベルでドライブ回路15に出力される。これにより、報知手段としての発光素子16が発光し、ユーザに電波受信が良好でない旨が報知される。
そして、ステップST10の処理に移行する。
なお指針の位置検出(ST2)は、たとえば図19に示すように行われる。
すなわち、制御回路14からドライブ信号DR2 がドライブ回路18のローレベルで出力される。これにより、トランジスタQ2 がオンし、発光素子142、すなわち発光ダイオードから検出光が発せられる(ST101)。
続いて、制御信号CTL1 が出力されて秒針用ステッピングモータ121がパルス駆動され(ST102)、受光素子144すなわちフォトトランジスタがオンし、検出信号DT1 がハイレベル(電源電圧VCCレベル)からローレベルに切り換わったか否かの判断が行われる(ST103)。
ここで、フォトトランジスタからの検出信号DT1 がハイレベルのままに保持されている場合には、ステップ駆動を行なうためのパルス数を加算する度に、フォトトランジスタからの検出信号DT1 がハイレベル(電源電圧VCCレベル)からローレベルに切り換わったか否かの判断が行われる(ST104〜ST106)。
そして、パルス数が9に達してもフォトトランジスタからの検出信号DT1 出力がハイレベル(電源電圧VCCレベル)からローレベルに切り換わらない場合には、時分針用ステッピングモータ131が1ステップ(パルス)駆動され(ST107)、その後再び秒針用ステッピングモータ121がステップ駆動されて(ST102)秒針車123が回転駆動される。
一方、ステップST103において、フォトトランジスタによる検出信号DT1 がハイレベルからローレベルに切り換わったと判断されると、秒針車123が早送りされて(ST108)、制御回路14であらかじめ記憶された出力パターンとの比較が行われる(ST109)。
比較の結果、得られた出力パターンと記憶された出力パターンとが適合しない場合は、ステップST108に戻り、再び秒針車123が早送りされる。
一方、得られた出力パターンと記憶された出力パターンとが適合した場合には、その時点(5ステップ目でもフォトトランジスタにより検出信号DT1 のレベルがローレベルに切り換わらない場合において次にフォトトランジスタの出力がローレベルに切り換わった時点)で、制御信号CTL1 の出力が停止されて、秒針車123の回路駆動が停止される。そして、秒針車123が帰零位置で停止する(ST110)。このとき、秒針202は所定時刻たとえば正時(0秒)の位置に修正される。
続いて、制御回路14から制御信号CTL2 が出力されて時分針用ステッピングモータ131のみが所定の出力周波数でパルス駆動されて分針車134が早送りされる(ST111)。
そして、フォトトランジスタからの出力パターンと制御回路14にあらかじめ記憶された出力パターンとの比較が行われる(ST112)。
比較の結果、得られた出力パターンと記憶された出力パターンとが適合しない場合は、ステップST111の処理に戻り、再び分針車134が早送りされる。
一方、ステップST112の比較の結果、得られた出力パターンと記憶された出力パターンとが適合した場合は、その時点で、制御信号CTL2 の出力が停止されて、時分針用ステッピングモータ131が停止されて、分針車134および時針車136の駆動が停止される(ST113)。
ここで、上記出力パターンとあらかじめ記憶されたパターンとの比較による時刻修正は、3種類のパターンのいずれかに合わせることにより行われる。
すなわち、分針車134によるフォトトランジスタの出力パターンは、図20(a)に示すように、遮光部が作用するオフの幅として、2つの幅狭のB部と1つの幅広のA部とが交互に現れるようなパターンとなり、また、時針車136によるフォトトランジスタの出力パターンは、図20(b)に示すように、遮光部が作用するオフの幅が3種類のD部、E部、C部が所定間隔をおいて交互に現れるようなパターンとなり、両者を合成した出力パターンは、図20(c)に示すように、D部,B部およびA部が組み合わされたパターンと、E部,B部およびA部が組み合わされたパターンと、C部,B部およびA部が組み合わされたパターンの3種類が所定間隔をおいて現れるパターンとなる。
なお、図20に示すパターンのうちオンとなるパターンの部分は、実際には3番車133の遮光部によりオフとなる部分があるので、歯抜け状のパターンとなっている。
そこで、D部,B部およびA部の組み合わせからなるパターンが確認されたときを例えば4時00分、E部,B部およびA部の組み合わせからなるパターンが確認されたときを、たとえば8時00分、C部,B部およびA部の組み合わせからなるパターンが確認されたときを、たとえば12時00分としてあらかじめ設定しておけば、これらのパターンのいずれかを検出したきに時分針用ステッピングモータ131を停止させることで、分針車134および時針車136すなわち分針203および時針204を所定の時刻に時刻修正することができる。
そして、時分針用ステッピングモータ131を停止させた後、制御回路14によるドライブ信号DR2 がハイレベルに切り換えられる。
これにより、ドライブ回路18のトランジスタQ2 がオフし、発光ダイオードの発光が停止される(ST114)。
このように、指針の修正動作において、分針車134および時針車136に、検出光を通過させるための透孔として、円弧状透孔すなわち長孔を用いているため、光検出センサ140がオンとなる範囲が広がり、位置検出時間を短縮でき、その結果、秒針の時刻修正を行なう時間を短縮することができる。また、時針車136に3種類の遮光部C,D,Eを設けたことから、3箇所のいずれかを検出して時刻修正を行なうことができ、また、最も回転速度の遅い時針車136を従来に比べ略1/3回転させるだけで位置検出ができ、これにより、時刻修正を行なう時間を短縮することができる。
図18のステップST7の通常運針では、図21に示す秒針停止処理が制御回路14によって実行される。この処理は、ステップST7において所定の周期(例えば1秒)で繰り返し実行される。
ステップST201では、制御回路14は、所定の停止条件が満たされたか否か判定する。例えば、光センサ160の受光した光量が所定の閾値未満となったか否かを判定する。
停止条件が満たされていないと判定した場合は、処理を終了する。すなわち、秒針は停止されず、秒針の通常運針は継続される。
停止条件が満たされたと判定した場合は、制御回路14は、内部時計の計時する時刻が所定の設定時刻であるか否かを判定する。設定時刻は、3番車133、分針車134及び時針車136に形成された透光が重なる時間帯において適宜に設定してよい。すなわち、分針203及び時針204を駆動する歯車に形成された透孔が、発光素子142からの光を受光素子144へ透過させることができる位置にある時間帯において適宜に設定してよい。
例えば設定時刻は、1:00に設定される。また、設定時刻は、1日1回、又は、1週間に1回など、一日以上の周期で設定される。なお、内部時計1041aは、電波に含まれる1月1日からの積算日の情報あるいは自己の日付カウンタのカウント制御に基づいて、1日以上の周期で設定された設定時刻の到来を判定することができる。
設定時刻であると判定した場合は、制御回路14は時分針用ステッピングモータ131へのパルス信号の出力を停止する。これにより、3番車133、分針車134及び時針車136が停止し、ひいては分針203及び時針204も停止する。
ステップST204では、制御回路14は、秒針用ステッピングモータ121にパルス信号を出力して第1の5番車122及び秒針車123を回転させ、受光素子144の出力パターンに基づいて秒針202の帰零位置の検出(原点検索)を行い、帰零位置で秒針202を停止させる。
すなわち、図19のステップST108〜ST110と同様に、秒針車123を駆動して得られた受光素子144の出力パターンと、予め記憶された出力パターンとを比較して帰零位置を特定して秒針202を停止させる。これにより、停止条件が満たされる前までに秒針202に位置ずれが生じていたとしても、秒針202が帰零位置からずれた状態で通常運針が停止されることが防止されるとともに、秒針202の位置ずれも補正される。なお、分針車等の位置ずれの可能性を考慮して、図19のステップST102〜ST107も実行するようにしてもよい。
ステップST206では、制御回路14は、時分針用ステッピングモータ131にパルス信号を出力して分針203及び時針204を早送りし、分針203及び時針204の示す時刻を内部時計1041aの計時する時刻に一致させる。すなわち、分針203及び時針204を正規位置まで早送りする。そして、分針203及び時針204をシステムクロックに基づく所定の周期でステップ駆動させる通常運針に戻る。
ステップST207では、停止条件が解除されたか否か、例えば、光センサ160の検出する光量が閾値以上となったか否かを判定し、停止条件が解除されたと判定するまで待機する。停止条件が解除されたと判定した場合は、ステップST208に進む。
ステップST208では、制御回路14は、秒針用ステッピングモータ121にパルス信号を出力して秒針202を早送りし、秒針202を内部時計1041aの計時する時刻に一致させる。すなわち、秒針202を正規位置まで早送りする。そして、秒針202をシステムクロックに基づく所定の周期でステップ駆動させる通常運針に戻る。その後、処理を終了する。
ステップST202において、設定時刻ではないと判定した場合は、制御回路14は、秒針用ステッピングモータ121にパルス信号を出力して秒針202を早送りし、秒針202を帰零位置に停止させる(ST209)。ただし、この場合、前回の秒針202の位置検出と、内部時計1041aの計時する時刻とに基づいて、秒針202を帰零位置に停止させることから、前回の位置検出以後に秒針202が内部時計1041aの計時する時刻に対して位置ずれを生じていた場合には、秒針202は帰零位置に対してずれた位置に停止する。
ステップST210では、設定時刻が到来したか否かを判定する。設定時刻が到来したと判定した場合は、ステップST203に進む。設定時刻が到来していないと判定した場合は、停止条件が解除されたか否か判定し(ST211)、解除されたと判定した場合はステップST208に進む。停止条件が解除されていないと判定した場合は、ステップST210に戻る。
以上の実施形態によれば、停止条件が満たされている間において、内部時計1041aの計時する時刻が、3番車133、分針車134及び時針車136の透光が重なる時刻になったとき、時分針用ステッピングモータ131を停止させ、秒針用ステッピングモータ121を駆動し、受光素子144による検出光の検出に基づいて秒針202の帰零位置を検出することから、従来のように秒針202、分針203及び時針204の全ての指針の帰零位置を検出して位置ずれを修正する場合に比較して、位置ずれが生じやすい秒針202の位置ずれの修正のみを重点的に行うことができる。分針203及び時針204の帰零位置の検出が省略されることから、分針203や時針204の早送りに要する電力を節約することができ、分針203や時針204の早送りがユーザに違和感を与えることも抑制される。夜間停止中等、秒針の停止中に帰零位置の検出が行われることから、換言すれば、ユーザがあまり時計装置を視認しないときに検出が行われることから、秒針の帰零位置の検出動作がユーザに違和感を与えることも抑制される。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の時計装置は、第1の実施形態と同様に、図1に示す外観を有し、図2及び図7に示す信号処理系回路を備えている。ただし、第2の実施形態では、指針を駆動する歯車列の構成及び歯車に形成される透孔のパターンが第1の実施形態と相違する。そして、第1の実施形態では、第2の5番車122及び秒針車123に形成された透孔を利用して秒針202の位置検出が行われたのに対し、第2の実施形態では、秒針車2123に形成された透孔のみを利用して秒針の位置検出を行う点を主要な相違点とする。なお、第1の実施形態と同一の構成については第1の実施形態と同一符号を付す。
図22は本発明の第2の実施形態の時計装置のムーブメント2100の構成を示す断面図であり、図23はその要部の平面図である。また、図24は図23から指針を駆動するための歯車のみを抜き出し、その輪列構成を示したものである。
ムーブメント2100は、互いに対向して接続されて輪郭を形成する下ケース2111および上ケース2112と、この下ケース2111および上ケース2112で形成される空間内において下ケース2111と連結した状態で配置される中板2113とを備えており、空間内の下ケース2111、中板2113、上ケース2112の所定の位置に対して、第1指針である秒針を駆動するための第1の駆動系、即ち秒針駆動系2120と、第2の指針である時分針を駆動するための第2の駆動系、即ち時分針駆動系2130と、透過型光検出センサ(検出手段)2140と、手動で時刻を修正するための手動修正系2150と、秒針駆動系2120、時分針駆動系2130、および光検出センサ2140に接続され、電力や信号の伝送に用いられる回路基板2160などが固定あるいは軸支されている。
下ケース2111および上ケース2112で形成される空間内のほぼ中央部で、秒針に接続されている秒針車2123と、分針に接続されている分針車2134と、時針に接続されている時針車2136とは同軸上に配置されている。
秒針駆動系2120は、図22〜図24に示されているように、ノッチ型のステータ2121a、このステータの鉄芯2121dに巻回された駆動コイル2121b、このステータ2121aの鉄芯2121dに対向する脚片の磁極間において回転自在に軸支されたロータ2121cにより構成されている秒針用ステッピングモータ(秒針用駆動源、第1駆動源)2121と、ロータ2121cのピニオン2121c’に噛合する第1の5番車2128と、この第1の5番車2128に噛合した秒針車(秒針用歯車、第1歯車)2123とを有する。
なお、本実施形態においては、第1の5番車2128は12ステップ/回転、秒針車2123は60ステップ/回転となっている。
秒針用ステッピングモータ2121は、制御回路14が出力する制御信号CTL1に基づいて、その回転方向、回転角度、および回転速度が制御される。なお、本実施形態においては、駆動系の動きを考える際の最小単位として、制御回路14がステッピングモータ2121,2131をパルス駆動するために1回パルス出力を発振し、駆動コイルの発生する磁界の向きが変わり、ステッピングモータ2121,2131のロータが半回転することを1ステップと称する。ステップ間の間隔の実際の長さは通常運針時と時刻修正時の早送りの際では異なり、また秒針駆動系と時分針駆動系においても異なる。
本実施形態においては、秒針車2123は6°/ステップで回転することになる。
図25に、本実施形態において用いる秒針車2123の図を示す。
秒針車2123には、半径方向に所定の幅を有し、円周方向にそれぞれ所定の長さだけ伸びている3個の円弧状の長孔(秒針用透孔、第1指標)2123a,2123b,2123cと、それぞれの長孔同士の間の部分である遮光部2123d,2123e,2123fが、秒針車2123の回転軸を中心とした同心円上に交互に配置されている。これらの長孔は、光検出センサ2140の検出光を透過可能な位置に配置される。
なお、本実施形態においては、長孔2123a,2123b,2123cのそれぞれの中心角λ1°,λ2°,λ3°を、それぞれλ1=60°,λ2=81°,λ3=111°としている。
また、長孔2123aと長孔2123bとの間の中心角ψ1°,長孔2123bと長孔2123cとの間の中心角ψ2°、長孔2123cと長孔2123aとの間の中心角ψ3°を、それぞれ,ψ1=60°,ψ2=ψ3=24°としている。ψ1は、ψ2,ψ3と比べて大きくなっている。
所定のタイミングで検出光を発しながら秒針車2123を回転させた場合に、秒針車2123の長孔と遮光部によって生じる光検出センサ2140のON,OFFのパターンを判別することにより、秒針即ち秒針車2123の基準位置が検出される。
図25に示すように、秒針車2123は上ケース2112側から見て左回りに回転する。秒針車2123の遮光部2123dは他の遮光部2123e,2123fに比べて長くなっているので、遮光部2123e,2123fによるOFF期間よりも長いこの遮光部2123dによるOFF期間を検出できれば、その時点で秒針車2123がある特定の場所に位置していることが分かる。本実施形態においては、遮光部2123dによる長いOFF期間の後で最初に光検出センサがONになるステップにおいて、秒針車2123に直結されている秒針が正時、即ち0秒を指すように定めている。秒針車2123の溝2123gはそのための初期位置を規定するためのものである。秒針車2123は、溝2123gがある所定の場所に位置するように組み立てられる。その後秒針車2123がどれほど回転したとしても、この溝2123gが組み立て位置に戻ってきた時には、遮光部2123dによる長いOFF期間の後の最初の光検出センサのONが検出され、秒針は0秒を指す。
図26に、秒針車2123の基準位置検出の様子を、秒針車2123が基準位置に到達する2ステップ前から表した図を示す。図26(a)が2ステップ前の状態であり、図26(b)が1ステップ前、図26(c)が、秒針車2123が基準位置に到達したステップにおける状態を示している。
第1の5番車2128は、その輪歯部分がロータ2121cのピニオン2121c’に噛合し、そのカナが秒針車2123に噛合している。
図26(a)〜(c)において、ロータ2121cのピニオン2121c’、第1の5番車2128および秒針車2123は、回転軸を中心としてそれぞれ図中の矢印の方向に回転する。
光検出センサ2140は移動しないので、図中における、光検出センサ2140の配置領域2140aおよび光検出センサ2140の検出光を収束して通過させるための円形貫通部2140bの位置は変わらない。
本実施形態では、図26(b)の状態において、秒針車2123の長孔2123bが、配置領域2140a内で円形貫通部2140bに一部重なる(図26(b)の領域REの部分)。
本実施形態における円形貫通部2140bの半径は0.5mmとしているので、上記の重なりは、歯車等の部品の加工精度のバラツキや、バックラッシュ等の歯車のガタつきなどにより、図26(c)のようにほぼ完全に重なる状態へ容易に変化する。そのため、光検出センサ2140のON,OFFを毎ステップ検出していると、1ステップ前である図26(b)の状態において秒針車2123が基準位置に到達したと誤検出する可能性が生じる。
上記のような歯車のバラツキやガタつきがない場合でも、光検出センサ2140の検出光が領域REから漏れることで、誤検出が引き起こされる可能性がある。
本実施形態においては、この位置の誤検出を防止するために、例えば、図26(a),(c)のステップにおいては光検出センサのON,OFFの検出を行い、図26(b)のステップでは検出を行わないように、2ステップに1回ずつ検出を行うようにする。これにより、歯車のズレ等の外乱が生じたとしても、誤検出は生じず、秒針車2123が図26(c)に示す基準位置に到達したときには確実にONという検出がなされることになる。このときのONは、先述のように、遮光部2123dによる長いOFF期間の後の最初のONである。
なお、秒針車2123は偶数回のステップで1回転するので、ONとなるべき歯車の位置は、もう一度同じ場所に両歯車が戻ってきたときにもONとなり、検出にズレは生じない。
ステータ2121aの磁極の向きが変わるごとにロータは半回転し、歯車は1ステップ分進むので、上述の、2ステップに1回の検出を実現するためには、ステータ2121aの磁極が2回変わるごとに検出を行うようにすればよい。
しかしながら、単にステータ2121aの磁極が2回変わるごとに検出を行うだけでは、正確な基準位置検出を実現することはできない。これは、駆動コイルの導線の巻回方向が変わっても磁界の向きは変わり、導線の始点と終点のどちらに入力するパルス信号を基に検出するかでもステップがずれることによる。
この不都合を解消するために、本実施形態においては、ムーブメントの製造に際して、駆動コイル2121bの導線の巻回方向をあらかじめ規定しておき、導線の巻始めと巻終わりを区別できるような巻始め端子2121b’および巻終わり端子2121b’’を用意しておく。
駆動コイル2121bの導線の巻回方向は、例えば巻始め端子2121b’側に制御回路14からステッピングモータ2121の駆動用のパルス信号が入力されたときに、ステータ2121aのNとSの磁極の方向が図23に示す方向になるように定めておく。
以上により、例えば巻始め端子2121b’にパルス信号が入力されるごとに、制御回路14から光検出センサ2140へ検出指令信号を出力してONかOFFかの検出結果を入手するようにしておけば、全ての製品において、検出時の磁極の向きを揃えた上での2ステップごとの検出が可能になる。
ただし、ムーブメントの製造時には、ロータ2121cの磁極の向きと、ステッピングモータ2121を駆動する際に巻始め端子2121b’と巻終わり端子2121b’’のどちらの側から先にパルス信号を入力するかも予め規定しておいてから組み立てる必要がある。例えば、組み立て時の、電力が供給されていない静止状態において、ロータ2121cのS極が図23に示すNの方向を向き、ロータ2121cのN極がSの方向を向くようにロータ2121cを組み込んでおく。
このロータ2121cの磁極の向きがずれていると、最初に電源が投入されて図23に示すステータ2121aのNとSの磁極の方向を生み出す磁界が発生したときに、ロータ2121cのS極(N極)がステータ2121aのN極(S極)に引きつけられるまでの回転角のぶんだけ、各歯車が進んでしまうことになる。
以上のように、時計の組み立て製造時に、駆動コイル2121bの巻回方向と、ロータ2121cの磁極の向きと、基準位置検出用の歯車の位置関係と、巻始め端子2121b’と巻終わり端子2121b’’のどちらか一方へのパルス入力のタイミングとを、指針の正しい基準位置検出が行えるように定めておけば、歯車のズレなどによる誤検出の起こらない、2ステップに1回の検出による正確な時刻修正が可能になる。
時分針駆動系2130は、図22〜図24に示されているように、略コ字型のステータ2131a、このステータ2131aの一方側の脚片に巻回された駆動コイル2131b、このステータ2131aの他方の脚片の磁極間において回転自在に軸支されたロータ2131cにより構成されている時分針用ステッピングモータ(時分針用駆動源、第2駆動源)2131と、ロータ2131cのピニオン2131c’に噛合する第2の5番車2132と、この第2の5番車2132に噛合した3番車2133と、この3番車2133に噛合する分針車(分針用歯車、第2歯車)2134と、この分針車2134に噛合した日の裏車2135と、この日の裏車135に噛合する時針車(時針用歯車、第2歯車)2136とを有する。
ここで、時分針用ステッピングモータ2131は、制御回路14が出力する制御信号CTL2に基づいて、その回転方向、回転角度、および回転速度が制御される。
第2の5番車2132のカナに3番車2133の輪歯部分が噛合し、3番車2133のカナに分針車2134の輪歯部分が噛合し、分針車2134のカナに日の裏車2135の輪歯部分が噛合し、日の裏車2135のカナに時針車2136が噛合している。
なお、本実施形態においては、3番車2133は45ステップ/回転、分針車2134は360ステップ/回転、時針車2136は4320ステップ/回転となっている。
3番車2133には、図27に示すように、半径方向に所定の幅を有し、円周方向にそれぞれ所定の長さだけ伸びている3個の円弧状の長孔2133a,2133b,2133cと、それぞれの長孔同士の間の部分である遮光部2133d,2133e,2133fが、3番車2133の回転軸を中心とした同心円上に交互に配置されている。なお、本実施形態においては、長孔2133a,2133b,2133cのそれぞれの中心角λ4°,λ5°,λ6°を、それぞれλ4=96°,λ5=56°,λ6=72°としている。
また、長孔2133aと長孔2133bとの間の中心角ψ4°,長孔2133bと長孔2133cとの間の中心角ψ5°、長孔2133cと長孔2133aとの間の中心角ψ6°を、それぞれψ4=88°,ψ5=ψ6=24°としている。ψ4は、ψ5,ψ6と比べて大きくなっている。
分針車2134には、図28に示すように、半径方向に所定の幅を有し、円周方向にそれぞれ所定の長さだけ伸びている3個の円弧状の長孔(分針用透孔、第2指標)2134a,2134b,2134cと、それぞれの長孔同士の間の部分である遮光部2134d,2134e,2134fが、分針車2134の回転軸を中心とした同心円上に交互に配置されている。なお、本実施形態においては、長孔2134a,2134b,2134cのそれぞれの中心角λ7°,λ8°,λ9°を、それぞれλ7=60°,λ8=120°,λ9=60°としている。
また、長孔2134aと長孔2134bとの間の中心角ψ7°,長孔2134bと長孔2134cとの間の中心角ψ8°、長孔2134cと長孔2134aとの間の中心角ψ9°を、それぞれψ9°,ψ7=60°,ψ8=ψ9=30°としている。ψ7は、ψ8,ψ9と比べて大きくなっている。
時針車2136には、図29に示すように、半径方向に所定の幅を有し、円周方向にそれぞれ所定の長さだけ伸びている3個の円弧状の長孔(時針用透孔、第2指標)2136a,2136b,2136cと、それぞれの長孔同士の間の部分である遮光部2136d,2136e,2136fが、時針車2136の回転軸を中心とした同心円上に交互に配置されている。
なお、本実施形態の時針車2136においては、長孔2136a,2136b,2136cの中心角λ10°,λ11°,λ12°をそれぞれλ10=90°,λ11=77.5°,λ12=60°としている。
また、長孔2136a,2136b,2136cのそれぞれの両端が直線になっているために、長孔2136aと長孔2136bとの間の中心角ψ10°、長孔2136bと長孔2136cとの間の中心角ψ11°、長孔2136cと長孔2136aとの間の中心角ψ12°がそれぞれそのまま遮光部2136d,2136e,2136fのなす中心角となり、ψ10=27.5°,ψ11=45°,ψ12=60°となっている。
本実施形態においては、3番車2133に、基準位置検出用の透光部として従来のような円形または略円形の透孔ではなく、長孔2133a,2133b,2133cを設けている。従って、秒針車2123の場合と同様に、基準位置決定のために3番車2133と分針車2134の長孔と遮光部によって生じる光検出センサのOFFのパターンを区別する必要がある。基準位置としては、秒針車2123の場合と同じく、遮光部2133e,2133fによる光検出センサのOFF期間よりも長い遮光部2133dによるOFF期間を検出した後で最初に光検出センサがONになるステップにおいて分針車2134に直結されている分針が正時、即ち0分を指すようになっている。
なお、3番車2133の孔2133gと分針車2134の溝2134g、および時針車2136の溝2136gはそのための初期位置関係を規定するためのものであり、所定の位置において孔2133gと溝2134g,2136gが重なる時に、時分針が12時0分を指すようになっている。
図23および図24に示される手動修正系2150は、上述の分針車2134および時針車2136に噛合する日の裏車2135と、この日の裏車2135に噛合する手動修正軸2151とを有する。この手動修正軸2151は、上ケース2112の外部に位置付けられて利用者が直接指を触れることのできる頭部2151aを有している。
日の裏車2135の輪歯部が手動修正軸2151と分針車2134の両方のカナに噛合することで、手動修正軸2151は、分針車2134と同位相で回転するように構成されており、上述の時分針駆動系2130により分針車2134が駆動されているときには日の裏車2135を介して分針車2134と同位相で回転すると共に、時分針駆動系2130の非作動時には、頭部2151aを指で回転させることにより、指針位置を手動修正できるようになっている。
透過型光検出センサ2140は、図22に示すように、例えば、下ケース2111に取り付けられた発光ダイオードからなる発光素子2142と、この発光素子2142に対向するように、上ケース2112に取り付けられたフォトトランジスタからなる受光素子2144とにより形成される。
また、図22〜図24に示すように、光検出センサ2140は、秒針車2123、3番車2133、分針車2134、および時針車2136の全てが同時に重なる位置に配置されている。
秒針車2123の長孔2123a(または2123bまたは2123c)、3番車2133の長孔2133a(または2133bまたは2133c)、分針車2134の長孔2134a(または2134bまたは2134c)、および時針車2136の長孔2136a(または2136bまたは2136c)が重なり合った時に、発光素子2142から発せられた検出光が受光素子2144により受光されて、光検出センサ2140がON状態になる。
これまで述べてきたような、円弧状の長孔を用いることで、検出光を受光する機会が増え、基準位置検出にかかる時間を短縮することができる。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、図18、図19、図21の動作が行われる。
ただし、図19のステップST103においてフォトトランジスタの出力がオンでないとき、ステップST104〜ST107に代えて、秒針用ステッピングモータ2121と、時分針用ステッピングモータ2131を、ともに2ステップずつ早送り駆動し、ステップST103を繰り返す。このとき、この早送り駆動に同期させて、2ステップに1回ずつ発光ダイオードを発光させてフォトトランジスタのオン、オフの状態を調べる。
また、図19のステップST109及びST110では、5〜12ステップの間に1度もオンにならずオフ状態であったとき、次にオンになった位置でステッピングモータ2121を止め、秒針車2123を停止させる。これは、秒針車2123の遮光部2123dによる長いオフ期間後の最初のオン状態を検出することを意味しており、このとき、秒針の停止位置がちょうど0秒となる。図21のステップST204、ST205も同様である。
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明は以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施してよい。実施形態の歯車列の構成、透孔(指標)の配置パターンは一例であり、透孔の重なり状態により指針位置を検出できる限り適宜な構成としてよい。
停止条件が満たされたときに停止される指針であって、停止中に位置検出がなされる指針(第1指針)は秒針に限定されない。例えば、分針及び時針にそれぞれ別個に駆動源を設け、分針の通常運針を停止させるとともに時針の通常運針は継続するように構成し、分針の通常運針の停止中に分針の位置検出を行ってもよい。
停止条件は、適宜に設定してよい。例えば、光センサの検出した光量が所定の閾値未満となったことに加え、内部時計の計時する時刻が、夜間の時間帯(例えば19時から翌5時)であることを停止条件としてもよい。また、夜間に停止させるものに限定されず、昼間に停止させるものでもよい。停止条件は製造者において設定してもよいし、使用者において設定できるようにしてもよい。
14…制御回路、100…時計装置、121…秒針用ステッピングモータ(秒針用駆動源、第1駆動源)、122…第1の5番車(秒針用歯車、第1歯車)、122c…透孔(秒針用透孔、第1指標)、123…秒針車(秒針用歯車、第1歯車)、123c…透孔(秒針用透孔、第1指標)、131…時分針用ステッピングモータ(時分針用駆動源、第2駆動源)、134…分針車(分針用歯車、第2歯車)、134c,134d,134e…透孔(分針用透孔、第2指標)、136…時針車(時針用歯車、第2歯車)、136c,136d,136e…透孔(時針用透孔、第2指標)、142…発光素子、144…受光素子(検出手段)、202…秒針(第1指針)、203…分針(第2指針)、204…時針(第2指針)、1041a…内部時計。